咽喉頭異常感症
咽喉頭異常感症とは、のどの奥(咽喉頭)に特別な異常がないにもかかわらず、異物感、痛み、閉塞感などの違和感を感じる病態です。私も大学病院では咽喉頭異常感症外来という専門外来を担当していました。所見がないにもかかわらず症状がある、という病態ですので、当時は様々な病態を考えてアプローチしていました。
咽喉頭異常感症の中で最も見逃してはならない病気が、下咽頭癌、頚部食道癌です。頻度は少ないですが癌を見逃さないことを最重点の診断ポイントとして、異常感の治療を行います。
症状:咽喉頭痛、咽喉頭部の異物感・閉塞感
局所の病変:
下咽頭癌、頚部食道癌
急性上気道炎後の知覚過敏、舌根扁桃炎、副鼻腔炎による後鼻漏、嚥下機能障害による唾液貯留
喉頭蓋や口蓋垂の形態異常、過長茎状突起、下咽頭梨状窩瘻
後縦靱帯骨化症などの頸椎異常
甲状腺腫、甲状腺機能障害
喉頭アレルギー・喉頭肉芽腫などの喉頭疾患
逆流性食道炎(咽喉頭酸逆流症)、食道裂肛ヘルニア、食道カンジダ症、食道炎などの食道疾患
鉄欠乏性貧血によるプランマービンソン症候群
全身的な要因:更年期障害
精神的な要因:喉頭神経症、ヒステリー球、自律神経失調症
治療:隠れた局所や全身の異常が見つかれば、その原因治療を行います。精神的な要因が疑われれば、抗不安薬の試用も試みます。漢方薬では、半夏厚朴湯、柴朴湯が代表的です。