耳より情報 耳そうじ&耳のケア 中耳炎発見のポイントなど
耳のための、耳の先生による、耳より情報あれこれ
会話をしたり、テレビを見たり、、。毎日、当たり前に機能してくれている「耳」。「耳の日」を期会に、その働きや気をつけたい病気を知り、耳について考えませんか?(取材協力)山口耳鼻咽喉科クリニック 山口幹夫先生
「聞く」だけじゃない!働きものの耳の機能って!?
耳は音を聞く聴覚器の働きのほかに、体の回転運動や傾きを感じる平衡器の働きや、耳の中の空気圧を調整するなどの働きも行っています。大きく分けると外耳、中耳、内耳からなる耳。各々の役割は次の通り。
A:外耳では、耳介で音を集め、外耳道という管を通って中耳に音を伝えます。
B:中耳では、鼓膜が振動して音を拾い、耳小骨と呼ばれる3つの骨が、鼓膜の振動を拡大して内耳に伝えます。また、鼻の奥の咽頭とつながっている耳管が中耳内の空気圧を、外気の圧力の変化に応じて調節し、鼓膜の振動を製正常に保つ働きももっています。
C:内耳には、耳小骨で増幅された音の振動を感じる蝸牛があります。また内耳は、回転の動きを受容する半規管と、体の傾きを受容する前庭により、平衡感覚もつかさどっています。内耳から聴神経で脳内に情報が伝わります。
子供も大人も要注意! 気をつけたい耳の病気
「近年」、アレルギーを持ち、鼻の弱い子どもが増えた影響で中耳炎にかかる子どもが増えています」と山口幹夫先生。「また、抗生物質が効きにくい耐性肺炎球菌や耐性インフルエンザ桿菌などの治りにくい耐性菌に感染する、難治性中耳炎にかかるケースや、急性・滲出性を繰り返す反復性中耳炎にかかるケースもあり、慢性化した症状はしかりとした経過観察と治療が必要です」。大人でも、耳掻き後の傷や夏の汗、プールの刺激で雑菌が入り炎症を起こす外耳炎や、風邪が原因の中耳炎にかかるケースがあります。また、ストレスや、自律神経失調が原因のめまいもよく見られます。「激しく周囲の景色がグルグル回るような回転性の幻暈を繰り返すようなら、メニエール病などの耳からのめまいの可能性もありますので、一度耳鼻科でも診察を受けた方がよいでしょう」。
子どもの風邪やアレルギーに起因する中耳炎が慢性化傾向に
急性中耳炎:風邪ののどや鼻の炎症が耳管を通り中耳に感染して起こる。7割の小児が3歳までに1回はかかると言われている。
滲出性中耳炎:3歳〜6歳児に多く、耳管の働きが低下して水が中耳に溜まる。急性中耳炎のあとや、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、扁桃腺肥大があるとかかりやすい。急性、滲出性の状態を繰り返す反復性中耳炎を起こす場合も
ストレスや自律神経失調、疲労、血行障害が原因のめまい・耳鳴り・難聴
メニエール病:自律神経失調などにより、内耳のリンパ液の調節機能が低下し耳鳴りや難聴、めまいなどが起こる。女性ホルモンのバランスが崩れる、更年期前の40歳代の女性に多い。
良性発作性頭位めまい症:頭を特定の位置に動かすと数秒〜1分程度、回転性のめまいが起こる。血行障害等で前庭の中の耳石が剥脱し半規管の中を移動することによって起こる。数週〜数ヶ月で徐々に直る良性のものが多い。内耳性めまいの中で最も多い。
突発性難聴:突然聞こえなくなる病気で、耳鳴り、めまいを伴うことも。原因の特定できないことが多いが、風邪に伴うウイルス感染、動脈硬化や自律神経失調で血液の循環が悪くなるために起こると考えられている。発症後1ヶ月で後遺症となることが多く、発症後数日以内からの早期診断、早期治療が大切です。
耳あか 日頃のケア、ここがポイント!
乾いた耳あかの場合:耳あかが自然に手前に押し出されるので、無理に奥までケアしなくても大丈夫。手前に出てきた耳あかを掻き出すように
湿った耳あかの場合:耳かきのやりかたによっては耳あかを奥に押し込んでしまうので注意!入浴後など湿気が多く柔らかい状態の時に細い綿棒で周囲をふき取るように
子どもには:耳たぶを後方に引っ張ると、外耳道の奥が見やすくなる。光の入る範囲でベビー用の綿棒でなでるように手前に掻き出してケア。*奥でダンゴ状になりとれない場合は無理にとらないで、病院へ!
特に嫌がる子どもには:耳の入り口を撫でられるのは本来気持ちのよいもの。最初から耳あかをとろうとせず、入り口を撫でて気持ちいいと思ってもらえるようスキンシップをはかろう
耳の日に学ぼう、耳トリビア
耳よりトピックス1
耳あかタイプは遺伝子の塩基配列が決めていた!:日本などアジアではカサカサの乾性、欧米ではネバネバの湿性が多い耳あか。英語では耳あかをear waxということからも欧米に湿性の人がおおい事が伺えます。2つはある遺伝子の塩基配列のたた1つの違いで決まる事が、今年1月に発表されました。
耳よりトピックス2
難聴は2種類 老人性難聴はどんなもの!?:難聴は大きく分けて、A伝音難聴(音の機械的振動が伝わらない) B感音難聴(音を感じる神経が障害される)があります。加齢により60歳くらいから自覚される老人性難聴は、Bの感音難聴にあたります。音が小さく聞こえるだけでなく、音が歪んだり、大きい音が響き不快に聞こえます。聞こえ方の特徴を「字」に視覚的に例えると!?:良好な聞こえは大きな字 伝音性難聴は字が小さいだけ 感音性難聴は字が小さく、かつ、かすむ
耳よりトピックス3
放っておくと怖い耳鳴り:耳鳴りは血行障害や肩こり、ストレス、中耳炎、自律神経失調や脳の血行障害、脳腫瘍とさまざまな原因が考えられます。発症から6ヶ月以内の急性のものは治る場合もあるのですが、6ヶ月以上の慢性化したものは完全に耳鳴りを消し去ることが出来ずに後遺症が残る場合も。特に難聴やめまい・頭痛をともなった耳鳴りが急に起こった場合は、重大な病気の可能性も。早めに診察を。
*リビングまつやま 取材文より
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耳 ケア&トラブル
耳はデリケートなところだから、傷つけたりしないか心配なもの。気をつけてお手入れしてあげたいですね。でも、神経質になりすぎないで。不安なことがあれば、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。 取材協力/山口耳鼻咽喉科クリニック 山口幹夫さん
耳のなか:耳の中は大きくわけて、外耳と中耳と内耳があります。普段、気にするのは主に外耳の部分。耳の中は、骨の上に皮膚が1枚ついているという弱いところです。かいても痛くなければ大丈夫になっていますが、やりすぎは禁物。耳アカは保護の役目もあります。耳をかきすぎないようにしましょう。
耳のケア:耳のお手入れをするのは「何歳から」という基準はありません。耳の穴をのぞいてみて、耳アカが見えるようであれば掃除をしましょう。
耳アカは、乾いている人とやわらかい人がいます。乾いていれば耳アカは自然に耳の入り口まで出てくるので、入り口付近でカタマリになった耳アカを取るだけでOK。でも、やわらかい耳アカの場合は、麺棒などで取ろうとすると、かえって耳の奥につまらせる場合もあります。取りにくい場合は無理をしないように。
耳の掃除は、耳たぶを後ろに少し引っ張って、電灯の明かりでで見える範囲に耳アカがカタマリになっていたら、小さな耳かきや綿棒などで取り除いてあげましょう。耳の穴が大きい子どもの場合は、奥まで耳かきが入って耳の中を傷つけてしますことも。強くかいたり、無理に取ろうとしないように。
耳の掃除を嫌がる子どももいますが、無理にしようとしないで。耳の入り口をこちょこちょとすrば気持ちが良いはずです。それを教えてあげることも愛情の一つ。愛情を持って、気持ちの良いことを教えてあげることから始めるとスムースにできますよ。
耳の病気:夏に多いのが外耳炎。耳にバイキンが入り炎症を起こす病気です。プールで耳に水が入ったり、耳の中が汗をかいたりすると外耳炎になりやすくなります。
●外耳炎:耳をよく触る、耳だれがある、などが気になれば外耳炎の可能性があります。「とびひ」の一つとして外耳炎になることも。「とびひ」とは、傷や虫さされ、湿疹などにバイキンが入ってできた水ぶくれが、かくことで広がっていく夏に多い病気です。
●中耳炎:
<急性中耳炎>一般的に知られている中耳炎。カゼなどのバイキンがのどや鼻から耳に入り、炎症を起こす病気です。
<滲出性(しんしゅつせい)中耳炎>3〜6歳くらいに多く、耳の中に水がたまり、耳の聞こえが悪くなる病気。耳が痛くならないので気付きにくいです。聞こえにくさの程度は軽いのですが、はうっておくと治りにくくなります。また、音を通じた学習が少なくなるため、成長のさまたげになる恐れも。
中耳炎発見のポイント:
<急性中耳炎>鼻カゼが5日以上続く。微熱が続く。食欲がない。わけもなく不機嫌。夜泣きする。
<滲出性中耳炎>音の反応からは、後ろから呼んでも返事しない、大きな声でしゃべる、言ったことを聞き返す、テレビの音を大きくする、言葉の発育が遅いなどです。情緒面からは、おこりっぽく、よく泣く、落ち着きがない、協調性や積極性がない、内向的などです。
*リック ”いくじんぐ” 取材分より
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耳のケアをしよう
3月3日は「耳の日」です。健康な耳への感謝、いい音楽を聴いて楽しむ、耳の不自由な人に対する社会的な関心を盛り上げるために制定されました。耳のケアについて、山口耳鼻咽喉科クリニックの山口幹夫さんにうかがいました。
耳を知ろう
耳の入り口から鼓膜までを外耳道といい、耳あかは、外耳道の入り口部分にある耳垢線と鼓膜表面の皮膚が移動してきて外耳道の入り口ではげ落ちてできます。耳あかはそれ以上奥ではできません。外耳道の奥の部分は、骨の上に薄い皮膚がある状態なので、痛みを感じやすく、デリケートな部分です。
ケア
日本人の3分の2が乾いた耳あか、3分の1が軟らかい耳あかです。ちなみに、白人や黒人は軟らかいタイプの人が多数です。乾いたタイプであれば、線毛運動(細胞が耳の入り口に向かって動くこと)で外側に押し出されてきます。耳あかのできるサイクルは4週間。耳掃除は2〜4週間に一度、耳の入り口付近に出てきたものをかき出すように取りましょう。軟らかいタイプは、綿棒で掃除しているうちに耳の奥に押し込んでしまう人が多いので注意が必要です。外耳道を手前にかき出しながらふき取るように掃除しましょう。
ケア用品
耳のケア用品は千差万別。外耳道の形や広さで適したケア用品は変わってきます。外耳道が狭い人はベビー用の綿棒を使うなど、自分に合ったケア用品を探しましょう。
耳掃除をしていると、、、
耳の掃除は気持ちいいけれどくしゃみや咳が出たりしませんか。それは、鼻の奥と耳の奥の他覚神経がつながっているから。鼻の奥に異物が入ったと判断し、体の外に出そうとせきやくしゃみが出るのです。
耳掃除でのトラブル
耳掃除によるトラブルは意外と多いので、気をつけて行いましょう。
外耳炎
外耳道をかき過ぎると、傷かついて出血したり、そこから外耳炎になる場合も。
鼓膜の傷
耳かきなどを奥まで入れ過ぎて鼓膜を傷つけることも。耳掃除をしていて痛みを感じたら、そこは鼓膜に近い場所なので危険信号! それより奥は掃除しないようにしましょう。
耳あかの詰まり
耳あかが奥に詰まって取れずに聞こえが悪いと感じたときは、一度、耳鼻科を受診してみましょう。
子どもの耳
外耳道が狭い子どもの耳掃除は結構大変。急に子どもが動いて耳に傷をつけることも珍しくありません。耳たぶを後ろに引っ張り、耳かきを持った手を子どもの耳の周囲に当てて、なでるようにかき出しましょう。また、子どもがよく手を耳に持っていき、気にしている様子があったら、アレルギー性鼻炎や中耳炎が隠れていることもあります。
*ウィークリーえひめ リック 2013年2月28日号