本文へスキップ

当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

「とびひ」と頭頚部の皮膚感染症

 汗ばむ時期はとびひ(伝染性膿痂疹のうかしん)の季節です。皮膚の毛穴に化膿菌が感染して生じます。文字通り火が飛ぶように拡がるために「とびひ」と呼ばれます。子どもに多いのが水ぶくれタイプで、高温多湿の夏に多く見られ、黄色ブドウ球菌や化膿性連鎖球菌という化膿菌により生じます。近年はMRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)と呼ばれる抗生物資に抵抗力のある細菌が増えています。はじめに赤い斑(はん)ができ、次いでそこに水泡ができます。この水泡はやぶれやすく、ただれた皮膚となり、周囲に薄く汚いかさぶたができます。病変部には菌が多数存在し、そこを触れた指や爪により次から次ヘと全身各所、接触すれば他人へもうつります。
 黄色ブドウ球菌そのものは鼻孔の入り口などには常在していますが、正常皮膚では防壁となっており発病しません。鼻を触り過ぎてかき傷をつくったり、湿疹、アトピー性皮膚炎などの引っかききず、すりきず、虫さされ、糖尿病などで局所の免疫力が低下した場合などにより正常皮膚の防壁が壊されると、そこから菌の侵入を許してとびひとなります。耳鼻科の観点からは。アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎の小児が、鼻の入り口(鼻前庭)や耳の孔(外耳道入口部)を掻破して広がる事をよく経験します。

 治療は、感受性のある抗生物質軟膏を、病変(耳鼻科では鼻入口部)周囲までやや広めに塗ります。軟膏を塗るだけでは不十分なことが多く、効果のある抗生物質の内服が必要な事が多いです。病変部は覆わないで乾かした方が早くなおります(感染の無い一般的な外傷では湿潤治療ですが、感染時は創部は開放します)が、湿潤したがあれば清潔ガーゼを厚くあてます。バンドエイドは通気も悪く悪化する事が多いのでよくありません。とびひは伝染力が強く、できるだけ幼稚園や学校は休ませる方がよいのですが、登校する場合は、患部を清潔ガーゼでおおって下さい。プールは禁止です。入浴は軽いシャワー程度にします。石けんは使用していいですが、こすり過ぎないようにします。とびひは反復する傾向がありますので、 ①虫さされや湿疹があれば早く治しておく ②爪を短く清潔に ③鼻や耳の孔を掻かない、普段から鼻や耳の痒みが強い場合は鼻炎や中耳炎の治療を行う ④汗をかいた後はシャワーや入浴を行ない清潔を保つ、などの日頃の心がけが必要です。

【注意すべき関連疾患】 
SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群):新生児や乳幼児で、黄色ブドウ球菌によりのどがはれた後や、とびひの後に、突然熱を出し、皮膚がやけどのように赤く全身に広がり、水泡ができる重症型があります。とびひに発熱を伴ったり、拡大傾向にあれば要注意です。

面疔(めんちょう):顔面の癤をこう呼びます。特に鼻の頭の面疔には注意が必要です。鼻のあたまの静脈は、いったん脳内に入ってから心臓に帰っていきます。そのため、抗生物質の十分普及していなかった昔は、髄膜炎を誘発することがあり怖がられていました。現代でも、抗生物質を内服するほうが安心です。にきび(尋常性座瘡じんじょうせいざそう)と異なり毛穴の周囲まで炎症が広がります。

丹毒:溶血性連鎖球菌により皮膚の中に高度の炎症が広がります。抗生物資の注射が安心です。糖尿病などで皮膚の免疫力が低下していると再発する場合があります。(再発性丹毒)

蜂窩織炎(ほうかしきえん):ブドウ球菌や嫌気性菌により皮膚の深部に炎症が広がります。顔面の奥や首の奥に腫れが広がる恐れのある場合は、入院による治療も考慮します。

ナビゲーション

バナースペース

医療法人 大輝会

山口耳鼻咽喉科
クリニック

院 長 山 口 幹 夫

〒790-0045
愛媛県
松山市余戸中1丁目2-1

  TEL 089-973-8787