扁桃腺と口臭
【問い】29歳の女性。 扁桃腺(へんとうせん)の穴に食べ物のカスが時折、入りこみ、自然に出るまでの間、ロ臭が気になります。病院で診てもらいましたが、「自然に出るのを待てばよい」とだけ言われ、力スは除いてもらえませんでした。気になるのでピンセットやスポイトで除こうとするのですが、きれいに取れません。カスが入らないようにする、また取り除く良い方法はないものでしょうか?(中予)
【答え】扁桃腺はロの奥の両側にある、小さな卵形のこぶです。ロの粘膜の中に半分埋ま て位置しています。中にはリンパ球が集まっており、細菌やビールスなどの外界の異物を殺す働きがあります。扁桃腺の表面には陰窩(いんか)と呼ばれる小さい穴が開いており、このため扁桃腺の表面積が大きくなって、細菌をより効率的に殺せるような構造になっています。陰窩の奥には細菌の死骸である細菌塊や食べ物の力スがたまっています。このカスが表面に露出している部分を、膿栓(のうせん)と呼びます。質問者の気付いた力スは、この膿栓と思われます。正常な人でも膿栓の見られることはあり、特に症状がなけれは放置しても差し障りありません。しかし、かぜをひく度に高熱やのどの痛みがでる急性扁桃炎を繰り返す場合や,微熱が続いたり腎(じん)炎などの他の臓器に悪影響を及ぼす慢性扁桃炎、いびきや睡眠時無呼吸の原因となるような扁桃肥大等があれば、治療が必要となります。また、ロ臭の原因となることから、あなたのようにロ臭が気になるのであれば治療の対象となります。治療法としては、膿栓の吸引や陰窩洗浄、高周波電気で陰窩の表面をつぶしてしまう電気凝固術などがあります。治療の必要性も含めて耳鼻咽喉科の医師とよく相談してみて下さい。
追加:当院では扁桃腺の縮小手術(ラジオ波凝固術)を行っています。