妊婦さん・授乳婦さんのお薬
わが国の医療用薬剤は、厚労省で認可された際に発表された添付文書が使用の基準となります。認可の前提となる臨床試験は倫理的な観点から妊婦・授乳婦は一般に除外対象となっているために、妊婦さんや授乳婦さんへの投与に対しては「治療上の有益性が危険性を上まわると判断された場合にのみ投与」「動物実験で乳汁中への移行が報告されているので、授乳中の婦人に投与することを避け、やむをえず投与する場合には授乳を中止させること」となる薬剤がほとんどです。
当院でやむをえず投与しなければならない場合には、添付文書と公的リスク基準を参考として投与します。代表的なリスク基準には、妊婦向けに、米国FDAの妊娠カテゴリー、オーストラリア医薬品評価委員会の分類基準、虎の門病院の催奇形危険度総合得点があり、授乳婦向けに、WHOの授乳と母体の薬物療法に関する勧告、米国小児科学会の分類基準、我が国の国立成育医療研究センターの一覧があります。その他にも公的病院の産婦人科や薬剤部の情報も参考にします。
実際の処方は、患者様個々人にお伝えしています。