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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

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真珠腫性中耳炎と中耳炎後遺症

 中耳炎の経過を診る耳鼻科医にとって、真珠腫性中耳炎、癒着性中耳炎、穿孔性中耳炎が中耳炎の進行形として最も注意する中耳炎です。小児の急性反復性中耳炎や滲出性中耳炎の経過を診るということは、現在の難聴や痛みなどを改善させることが重要であると同時に、これらの中耳炎へ進行させないことも重要な目的となります。

 小児は、上気道感染の後に急性中耳炎を誘発した後の細菌感染の遷延化や、アデノイド肥大・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎による 鼻⇒耳管⇒中耳の換気不良 により滲出性中耳炎を惹き起こします。滲出性中耳炎の状態に上気道感染が起こると、滲出性中耳炎が急性中耳炎化します。このようなサイクルが、小学校低学年になると、免疫力が高まることにより細菌感染が改善したり、アデノイドが縮小することにより、改善していきます。幼児期に中耳炎を反復化した小児の大部分が小学校2年生頃に丈夫になっていきます。しかし、頭の骨格が完成に近づく小学校高学年になってもアデノイド周囲の耳管扁桃の肥大傾向が続く、アレルギー性鼻炎の強い反応が続く、副鼻腔炎が改善しない、などにより耳管狭窄が改善しないと滲出性中耳炎が遷延化します。また滲出性中耳炎が改善しても、部分的なものも含めて耳管狭窄が続くことにより真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎が発生します。また炎症や鼓膜穿孔、耳漏を繰返すことにより鼓膜穿孔が残って穿孔性中耳炎となる、鼓膜や鼓室粘膜、耳小骨が硬化して鼓室硬化となる、鼓膜が薄く菲薄化したり部分的に陥凹したりします。

★急性中耳炎⇆滲出性中耳炎⇆耳管狭窄 の悪化から、真珠腫性中耳炎、慢性穿孔性中耳炎、癒着性中耳炎、鼓室硬化、鼓膜の菲薄化・陥凹が発生する

真珠腫性中耳炎:中耳の上部の上鼓室に部分的な換気不良の部位があると、鼓膜が陰圧で上鼓室に引き込まれて陥凹部分(retraction pocket)を作ります。この陥凹部分に付着したかさぶたが鼓室内で自己増殖したものを真珠腫と呼びます。真珠腫は癌ではありませんが、一旦増殖を始めると、周囲の骨を圧迫破壊して進行していきます。この状態に感染を伴うとさらに悪化します。真珠腫の増殖が鼓室内で進行すると、鼓膜や耳小骨が破壊されて伝音性難聴が強くなります。内耳との境界の骨も破壊すると、感音性難聴やめまい、顔面神経麻痺を惹き起こすこともあります。時には頭蓋底まで進展して、髄膜炎まで惹き起こします。一旦発症すると進行性で、手術的な摘出が必要となります。しかし、鼓室の上皮に真珠腫母膜がわずかでも残ると徐々に再増殖していくことから、再発も少なくありません。わずかな再発は高分解能CTでも判別が困難なことから、時間をおいて再手術(second look operation)で再発の有無を確認する場合もあります。
★真珠腫性中耳炎のタイプ:
弛緩部型;上鼓室型ともいいます。鼓膜の最も上の部分(鼓膜弛緩部)には狭い部分(鼓室峡)があり、上鼓室への換気はブロックされやすくなっています。この弛緩部にポケットが形成され、そこから真珠腫母膜が発生します。耳小骨の連鎖が早期より破壊されるために、伝音難聴が目立ってきます。上鼓室は中耳の奥に広がる空洞(乳突洞、乳突蜂巣)への入り口ですので、真珠腫がより深く進展します。
緊張部型;後上部型ともいいます。鼓膜の後上方(鼓膜緊張部後上象限)が陥凹して鼓室の後壁に癒着した部位から真珠腫母膜が発生します。鼓膜の後部が広範に鼓室に癒着する癒着性真珠腫となる場合もあります。
中鼓室穿孔型;鼓膜穿孔の辺縁から上皮が鼓室側に進展して真珠腫母膜が発生する、二次的な真珠腫です。
先天性;本来は鼓室内には上皮はありませんが、なんらかの原因で先天的に上皮が迷入していて、生後に増殖してきます。幼児期に、鼓膜の中に透見される白い塊で発見されます。増殖のスピードが速い傾向があります。

穿孔性中耳炎:急性中耳炎や外傷で鼓膜が裂けて(自壊)、鼓膜が再生せずに穴が残ったものです。菲薄化した鼓膜では、鼓膜チューブを留置した後に発生することもあります。

癒着性中耳炎:鼓膜の陥凹が強く、鼓膜が鼓室の後壁(鼓室岬)に密着した状態が続くと、炎症により鼓膜の粘膜層と鼓室粘膜が一体化して癒着に至ります。強い耳管狭窄が持続している場合が多く、耳管狭窄自体を”ほどよく”改善させる手術が確立していないことから、癒着を手術で一時的に治しても再癒着する場合が多いことから、癒着性中耳炎の手術は難しいです。

鼓室硬化:中耳炎の反復や持続によって鼓膜、耳小骨、鼓室粘膜が石灰化を起こしたり硝子様変性を起こすために硬くなった状態です。伝音性難聴をきたします。

鼓膜の菲薄化・陥凹:中耳炎の反復や持続により鼓膜が薄くなったり、陥凹した状態で固定したものです。

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