<日常の注意点> @ 一般療法:冬に流行するウイルスは寒冷乾燥の環境で増殖します。発病後は部屋を暖かく保湿して、体力を低下させないように心がけます。 A 手洗い・うがいの励行:飛沫感染や、他の人の鼻水に直接触れることによる接触感染で広がるため、手洗いを心掛けます。うがいは、粘膜内の細胞に侵入したウイルスを直接除去できる訳ではありませんが、感染予防と喀痰除去、気道の加湿作用があります。マスクの使用で感染を確実に防げる訳ではありませんが、気道の加湿加温作用、痰の飛散予防効果があります(咳エチケット)。 B 耳鼻科処置の重要性:鼻汁の除去や消毒、ネブライザーによる気道の清浄化・鼻腔や気管支の拡張が、有用です。特に自分で鼻がかめず、鼻水がのどの奥に落ちる(後鼻漏)傾向のある幼児では鼻汁の吸引が有用です。 C 合併症の予防:扁桃腺の弱い体質やアレルギー体質、免疫低下などのない健康な成人は、高度な合併症を起こすことはまれです。しかし、インフルエンザ型や喉頭炎型、肺炎型は合併症を起こしたり、治りが悪くなる場合があります。 小児は、気道が狭く扁桃組織が反応しやすいために、中耳炎、喘息性気管支炎、気管支肺炎、声門下喉頭炎(仮性クループ)に注意します。また、十分な抗体を備えていないために、症状が強くなり反応する部位が広がる傾向があることから、脳炎、髄膜炎、脱水症に注意します。また、当初は一般的なかぜの初期にみえても重大な病気の初期症状である場合もあります。乳幼児では「なんとなくいつもと違って体調が悪い=not
doing well」という印象が大事です。あまりにもウトウトして反応が鈍い、突発的な嘔吐を繰り返す、首や全身がこわばってひきつれている、水分を飲む元気がない、尿が半日以上全く出ない、などの症状に注意します。 高齢者は、痰の排出能力が落ちることから、上気道の感染が下気道に波及し、気管支炎から肺炎に進行する可能性が高くなります。若年者と異なり肺炎になっても高熱が出ることなく、すぐに呼吸困難や心不全を起こすことがあります。