ふるえ,けいれんとこわばり,麻痺
ふるえやけいれんは不随意運動とも呼ばれます。多くは運動神経系の漏電現象と錐体外路と呼ばれる運動神経の調節機能低下で惹き起こされます。ふるえの状態によって、振戦、アテトーゼ、ジスキネジア、ミオクローヌス、けいれん、異常連合運動、線維束性痙攣などに分類されます。以下に部位別に主な病気と主な治療法を挙げます。
顔
両側性眼瞼けいれん:デパス アーテン ボツリヌス毒素(ボトックス)
片側顔面けいれん:リボトリール ボトックス筋肉内注射 神経血管剥離術(70%有効)
先天性眼振:リボトリール
チック
有痛性チック:[三叉神経痛伴う] ビタミンB12 テグレトール 三叉神経局所麻酔剤ブロック
口周囲不随意運動症:グラマリール リボトリール
咬筋ジストニア:[顎関節症誘発] リボトリール グラマリール デパス ボトックス
舌咽頭ジスキネジア:セレネース グラマリール リボトリール セルシン ボトックス
睡眠障害(歯ぎしり):マウスピース ボトックス
アテトーゼ:脳性麻痺に多い
強制泣き:脳梗塞後遺症
首や肩
本態性振戦:アルマール リボトリール アーテン
痙性斜頚:精神安定剤 ボトックス
頭頸部(喉頭)ジスキネジア:[肩こりに左右差 首と胴体のずれ] アーテン ギャバロン リボトリール ボトックス
ヒステリー発作:経過観察
手や腕
本態性振戦:インデラル アルマール デパス
パーキンソン病:アーテン
甲状腺機能亢進症
企図振戦:脊髄小脳変性症など
羽ばたき振戦:肝腎機能障害など
書痙:ボトックス
ピアノ演奏様指:脳卒中後
ミオトニア:筋強直性ジストロフィー
偽性ミオトニア:[手を開くのが遅い] 頚椎症性根神経障害
てんかん大発作
線維束性攣縮:頚椎症 筋萎縮性側索硬化症
足や膝
有痛性けいれん(こむら返り):[カリウムやブラジキニンなどの有痛性物質の貯留 伸側運動] ミオナール ユベラ アリナミンF
クローヌス:脳梗塞後 脊髄障害後
本態性振戦
失調性歩行:脊髄小脳変性症
全身
捻転ジストニア:脳卒中、脳炎、外傷後遺症 セレネース セルシン リボトリール アーテン ボトックス
舞踏病:ハンチントン[遺伝性] シデナム 老人性 妊娠性
バリスム:[打ち付け動作] 脳卒中後
ミオクローヌス:てんかん クロイツフェルト・ヤコブ病(BSE)
熱性痙攣
横隔膜けいれん(しゃっくり):リボトリール ナウゼリン
〇 全身の麻痺
ギラン・バレー症候群:1〜2週間の先行感染後のカンピロバクタ―菌などの自己抗体が末梢神経を攻撃。検査は神経電導検
査。2割に後遺症。治療は血漿交換、免疫グロブリン投与、補体への抗体医薬
〇 全身のこわばり
破傷風:土壌中の芽胞化した嫌気性菌の破傷風菌による感染。年間40人発症、30歳以上の成人に多い。
3-21日の潜伏期の後、開口障害、嚥下困難、顔面筋緊張(痙笑)、頚部硬直、全身の強直性痙攣に進行。
治療は、毒素中和のために抗破傷風免疫グロブリン、抗菌薬としてメトロニダゾール。