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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

インフルエンザ 17/18シーズン

 「インフルエンザ」とはイタリア語で'同時に多くの人を襲う災厄'という意味です。1743年にヨーロッハで多数の死者を出したかぜが大流行した時にインフルエンザと名付けられました。後に原因がウイルスであることが解明され、Influenza virusと命名されました。人間に感染・発症するタイプで従来からあるものを季節性としA香港型、Aソ連型が変異したA09年型、症状の軽いB型があります。09年4月に豚インフルエンザから変異したA型がメキシコで流行した後世界に広がり新型(その後2009年型と称す)となりました。インフルエンザは感染すると48時間はウイルスが急激に全身で増殖し、その後、体内のインターフェロンや中和抗体の働きによって4〜7日でウイルスが死滅します。
 日本では、季節性のものは12月末から流行が始まり、1〜3月にA型が流行し、4月にB型が小流行する傾向があります。05年から沖縄では通年でB型が発生しています。A09年型は、AH1N1亜型で1918年に流行したスペイン風邪や77年から流行したAソ連型と構造が似ており、また香港型、ソ連型、トリ、ブタの4種の遺伝子が混ざっているために、成人では部分的な免疫力を獲得しているため発症しにくいと考えられます。09/10シーズンに罹っていない人を中心に11年に再流行しました。

症 状:潜伏期間が12〜48時間と一般的なウイルスの2〜4日に比べ短く、また、一般的なかぜに比し全身症状が強いのが特徴です。A香港型が症状が強く、09年型とB型は症状が軽い傾向があります。高熱(38〜40度)が突然出るととともに、悪寒、頭痛、腰痛、筋肉病、全身倦怠感が出現します。それと同時か、1〜2日遅れて鼻みず、くしゃみ、のどの痛み、せきなどの呼吸器症状が出てきます。時には食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状も出現します。熱は通常3日程度で下がります。二度熱という、いったん下がった熱がウイルス自身の反応によって再度1〜2日上昇するケースもあります。呼吸器症状はその後も数日続き、合併症がなければ約一週間の経過で治癒します。
*以前の感染による基礎免疫により、倦怠感と軽い咽頭痛、咳だけで、熱が出ない軽い症状だけの場合もあります。将来遺伝子レベルでの研究がすすめば、症状が出にくい体質や感染しにくい体質、ひいては予防接種を必要としない体質も判るようになるかも知れません。

合併症:普通のかぜと違い全身症状が強い為、様々な合併症を起こします。高齢者では二次的な細菌性肺炎で死亡することもあります。発病して4〜5日してもいっこうに熱が下がらなかったり、せき、たんがひどくなって、呼吸困難感や胸痛を感じる時には、肺炎を合併した可能性がありますので必ず医療機関を受診して下さい。ごくまれに脳症ギランバレー症候群と呼ばれる神経系の病気や心筋炎横紋筋融解症による腎不全を合併することもあります。小児では中耳炎仮性クループ(声門下喉頭炎)と呼ばれる呼吸困難を起こすことがあります。2才以下の乳幼児の脳炎は発症当日〜2日で急激に発現し、時には命に関わることもあります。耳鼻科領域では発症初期のウイルス性中耳炎(水泡性鼓膜炎)による内耳炎にも注意します。
 合併症の注意点を発症後の経過で以下に挙げます。
   発症当日〜4日 乳幼児の脳症、熱せん妄‥頭痛、意識障害、嘔吐、首のこわばり、異常行動
   発症2〜5日  乳幼児、高齢者の脱水‥尿がでない、ぐったりしている
   発症4〜8日  乳幼児、高齢者の肺炎‥解熱しない、呼吸困難
           乳幼児の中耳炎‥解熱しない、不機嫌 (初期でも発症します)

治 療:発症初期には抗ウイルス剤による根本治療が、発症2日後からは対症療法と二次感染の予防が主体となります。家庭で安静にして、保温の上、水分を十分に補給して下さい。高度な合併症が疑われた場合には、入院を前提として関連病院に紹介することもあります。
   ◎ 意識消失、嘔吐の持続、高度の脱水などの際には救急治療が必要となります!!

★感染への注意点

 潜伏期は1日前後と極端に短く、発症後約5日間は感染力があるため、家庭内や学校、職場で一気に流行します。主に痰からうつる飛沫感染で、家庭内では20〜40%の人にうつります。患者の鼻水や痰をとったティッシュペ−パ−には手を触れない、患者はマスク着用で痰を広げない(咳エチケット)など、直接接触しない心掛けが必要です。また、抗ウイルス剤の服用で早く症状が治まってもウイルス排泄期間は短くならないとの報告もあり、治ったかにみえた人から感染する場合もあります。

★解熱剤の使用に際しての注意点
 38度台の体温は全身の免疫機能が活性化されてウイルスを殺す至適温度です。痛みがなく生活に支障がなければ、解熱剤を用いる必要はありません。ただし、39〜40度の熱が続く場合は、熱自体による体力の消耗と、特に幼児では脱水やけいれん、せん妄の心配がでてきます。倦怠感が続くため水分が十分に取れず、尿の出が少ないようなら、解熱剤の使用も考慮して下さい。COX1阻害作用の強いサリチル酸系の解熱剤(ボルタレン、ポンタールなど)は極まれに脳炎による嘔吐、意識障害、けいれん、肝障害などのライ症候群を誘発する可能性があるため使用を控えて下さい。  
*当院で処方される小児用の解熱剤はアセトアミノフェン(コカール、パラセタ坐薬など)というCOX3阻害作用が主体の刺激の少ない解熱剤ですので安心してご使用下さい。

★予防接種について
 前年の中国のブタの流行からその年に流行する種類を類推した09年型、A香港型、B山形系統、Bビクトリア系統の4種類(15/16シーズンよりB型が2種に増えました)が混合したワクチンです。高齢者の約4割の発症を予防し約8割の死亡予防効果が、就学前児童の2〜4割で発症予防効果があるとされており、特に高齢者に対する接種が推奨されています。0歳児への発症予防や脳炎予防への効果については多様な報告があり、厚労省研究班が04年2月に発表したデータでは有効性は認められないとのことです。現在の不活化ワクチンでの重大な副作用は少ないとされており、高齢者、集団保育中や耳・気管支が弱い幼児、受験生などへの接種は推奨します。ただし、1)接種部位が腫れることはままある 2)学童への集団接種による副作用被害に対し国の責任が問われたことや集団接種しても流行が抑えられないとの報告が出たことなどから、4年に任意接種に切替わった歴史がある 3)厚労省の副作用情報では、約1500万人が接種した02年では小児1名を含む9名の接種後死亡例の報告もある などから、特に乳幼児の接種に際してはその得失をよく理解したうえで接種されることをお勧めします。
 大人は1回、インフルエンザに対する基礎免疫の少ない小児は1〜4週の間隔を開けて2回の接種が必要です。初回の接種後約2週間で抗体がつくため、流行入りの前の12月初旬までに接種を済ませていれば効果的です。接種後1ヶ月で約80%に有効な抗体量がつき、成人では5ヶ月後より、小児では4ヶ月後より抗体が少なくなります。抗体の保有期間は約半年ですので、毎年接種する必要があります。65才以上の高齢者には接種への公的補助があります。  
*当院では診療時間の関係もあり接種は行っておりません。

★小児の出席停止期間について 
 学校保健安全法で「発症日を0日と数え、5日を経過しかつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止」とされおり、最短でも発症日を1日目とすれば7日目に登校可能となります。なお欠席は公欠扱いで、中予地方では、中学生は欠席の連絡に診断書は不要で、口頭でよいとされています。

[診断] 迅速診断キットは、ウイルスの量の少ない感染初期と感染後半期には感染していても反応が出にくいため、診断は所見や経過から総合的に判断します。キットの感度は発熱1日目の陽性率3割、2日目の陽性率8割との報告もあります。

[治療] 抗ウイルス薬でウイルスの増殖を停止させます。高熱や全身倦怠感などは改善しますが、殺菌作用ではないために微熱が無くなる期間は使用しない場合と比べて1日半程度の短縮効果となります。ウイルスが本来増殖のピークを迎える発症後48時間までに服薬を開始すれば特に有効です。
 内服薬のタミフルは全身に作用するため、全身からの発熱や倦怠感、関節痛に特に有効です。A09年型ではタミフルが効かない耐性株の報告があります。 2割の小児で下痢を認めます。2017年からは0才児でも使用可能となりました。中学生の服用後の異常行動による死亡例が複数報告されたため、10代の服用中止と小児は48時間保護者が行動を監視するとの勧告が出ています。研究会報告で因果関係は認められないとされましたが、厚労省は中止勧告を継続しています。ゾフルーザ(新薬18年3月発売)は1回の服用で5日間有効で、体重10s以上の小児なら粉末化での服薬も可能です。ウイルスの増殖の速い段階を阻止することから、タミフルより速効性で耐性株にも有用です。小児の50人に1人で下痢を認めます。これまで異常行動の報告はないものの、未成年者を2日間は一人にならないよう配慮することとなっています。
*ウイルスが検出されなくなる時間;無治療4日 タミフル3日 ゾフルーザ1日
 吸入薬のリレンザは1日2回5日間吸入で、特にB型で速効性があります。イナビルは1回で5日間効果が持続します。主な感染の場である気道にウイルスが広がるのを強力に抑える作用があり、耐性株は見られていません。吸入可能な5才から使用でき、嘔吐などで服薬が困難な小児にも有用です。いずれも、成分は脳内に移行しないが2日間は未成年者をひとりにしないように保護者が配慮すること、牛乳アレルギーでは慎重投与との注意がされています。
 ラピアクタは点滴で、1回点滴で5日間効果が持続します。4ヵ月児より投与可能です。下痢誘発の傾向があり、腎障害あれば慎重投与となります。
*予防投薬として、成人小児ともに、タミフルは1日1回10日間まで、リレンザは1日1回10日間まで、イナビルは1回の吸入で5日間その後1回追加で計10日間までの有効性が認められています。

[トリインフルエンザ] ヒト→ヒト感染のパンデミック化すると全世界で数百万人が死亡すると推定される新型インフルエンザ化する可能性があります。 96年に中国のアヒルから高病原性のH5N1型が検出され、97年香港でヒトへの感染死亡例が、04年にヒト→ヒト感染疑い例の報告があり、06年にはインドネシアでヒト→ヒト→ヒト感染が報告され、11、12年にもヒトの死亡例が出ました。現在WHOでの感染症レベルはグレード3の「ヒトーヒト感染は極めて限定されている」です。13年3月に中国で新たなタイプのH7N9型のトリ→ヒト感染が確認され、14年も感染例、死亡例が報告され、強毒の新型インフルエンザ化が心配されています。日本では13年に新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されました。

[予防接種] 03年より米国で点鼻生ワクチンのフルミストが承認されましたが、16年に注射接種より効果が低いとされました。2020年を目標に錠剤による舌下免疫によるワクチンの開発を日本で進めています。

17/18シーズンの経過の概要 (18年4月9日現在 その後の経過は診察時に適宜お知らせします)
 9月は全国的にもインフルの発生が早く、昨年同期の約3.5倍(学校は約5.7倍)で、A香港型、A2009年型、B型ともに検出され、千葉、東京、大阪、鳥取、島根、沖縄では学年・学級閉鎖も報告されました。9月21日砥部町の小学校でB型が集団発生、松山でもB型の散発が続き、10月下旬には東予・中予でA型>B型で散発しました。当院では11月24日にB型を、12月1日にA型を初めて検出しました。愛媛県は11月26日に流行入り、12月10日に注意報入り、松山では12月5日に今シーズン初めてとなる学級閉鎖が三津小学校から報告されました。1月7日に宇和島で警報レベルとなり、1月21日に松山、愛媛とも警報入りしました。2月4日には全国的に過去最高の流行となり、3月4日まで警報レベルの流行が続いています。全国的にはインフルエンザ脳症の報告も増えています。2月4日までに全国で123例発生し、死亡例も9例(1才2例、30才代2例、10、40、70、80、90才代各1例)報告されています。3月18日で長かった警報レベルが終了、4月1日には注意報レベル以下となりました。
 愛媛の流行タイプは、12月はA09年型94%B型6%でしたが、1月に入りA型46%B型54%とB型が1月に優位となる初めてのシーズンとなり、3月はA型14%B型86%でした。12月にはA09年>A香港型>B山形系統、1月はB山形系統>A09年型=A香港型、2月、3月はB山形系統>Bビクトリア系統=A香港型で検出されています。耐性株は昨シーズンと同じ傾向で、タミフルとラピアクタに対してA09年型の1.3%にのみ認めました。
 ワクチンは、当初予定していた製造株の増殖が少なく製造量が予定以下だった影響で、12月まで供給不足が続きました。3月14日に新薬ゾフルーザが登場しました。

過去シーズンのまとめへ

リンク集
愛媛県感染症情報センター 愛媛県立衛生環境研究所の報告です。県内の最新の流行情報が掲載されています。
インフルエンザ情報サービス  「インフルエンザ流行レベルマップ」で全国の最新の流行情報が一目でわかります。
国立感染症研究所 感染症情報センター  全国の流行状況が判ります。
インフルエンザQ&A  厚生労働省のページです。感染予防やワクチン接種についてまとまっています。

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