耳音響放射(OAE)検査
内耳の聴覚機能を他覚的に評価する検査法です。正常な内耳からは耳音響放射(OAE: Oto Acoustic Emissions)と呼ばれる微小な音が発生して外耳にエコーが返って(放射して)います。聴覚に異常があるとOEAの出力レベルが減少したり検出できなくなります。1978年英国のKemp博士により発見されました。
当院での測定法:歪成分耳音響放射検査(DPOAE: Distortion Product Oto Acoustic Emissions);特に内耳の外有毛細胞からのOAEを検出します。機種はダイアテックカンパニー社製タイタンです。
検査法:耳にイヤホン(測定用プローブ)を挿入後、12秒で測定が完了します。1.2.3.4.5.6kHzのDPgramを得られます。安静を保てない乳幼児はベッドにて行います。
検査の意味:DPgramで反応が得られれば、内耳では少なくとも40dBの聴力。DPOAEレベルが0db以上であれば最小可聴閾値は30db以下と考えられます。ただし、内耳よりも高次の聴神経や中枢(脳内)の異常は判定できません。
検査の臨床的な役割:
1)新生児や乳児の聴覚スクリーニング検査:DPgramで反応があれば「パスpass」であり、検査時点では正常の聴力があると考えられます。反応が見られなければ「要再検refer」であり、聴覚障害の精密検査を必要とします。聴性脳幹反応(ABR)または自動聴性脳幹反応(Automated ABR)を、高次の医療機関に紹介します。
2)加齢性難聴の評価:加齢により外有毛細胞が減少します。聴力が落ちるだけでなく、音が歪んだり割れて聞こえます(聴覚補充現象)。外有毛細胞の健康状態をチェックして、補聴器をフィッティングする際の参考とします。
3)突発性難聴やムンプス難聴、メニエール病などの内耳性難聴の評価や経過観察
4)心因性難聴などの機能性難聴、詐聴の評価
*耳あかや滲出性中耳炎、鼓室硬化などの伝音性難聴があると正確な検査は出来ません。診察にて外耳や中耳の状態を確認した上でOAE検査を行います。