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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

院長の徒然草

「今月の疾患情報」のコラムも一部再掲しています。
  「院長の徒然草」過去ログ ~17年12月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~17年 7月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~17年 1月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~16年 8月 へ
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  「院長の徒然草」過去ログ ~13年 3月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~12年 12月 へ
                 

突然の停電  18年4月15日
 昨日の診察終了前に停電がありましたが、今日は診察直前までWifi通信が復旧しておらず、このままでは診察が始まってもiTcketの運用が出来ないのではとかなりあせりましたが、どうにかルーターの初期化で事なきを得ました。診察開始にギリギリ間に合い、本当にホッとしました。ご近所さんからは停電の情報を教えて頂きました。愛媛新聞にも載っていました。それによると、午後5時35分頃から、余戸地区の約600戸で最大1時間20分停電したとのこと。伊予鉄郡中線の電車4本も安全確認も含めて約15~17分停車しました。原因はカラスが電柱に営巣していたためでした。局地的な停電だったのですね。それにしても四国電力の保守力には安心しました。当院では1時間弱の停電だったと思いますが、救急車並みの対応です。私はトミカでしか見たことはないのですが、きっと「よんでんの働くクルマ」電力緊急車両が出動したのでしょう。愛媛新聞の停電の記事の隣には、昨日ジェットスター成田ー松山便の出発が4時間35分遅れたとの記事も載っていました。こんなことまで載ってるんだと、地方紙のきめ細かさに改めて感心しました。

新薬収載  18年4月13日
 来週18日に薬価収載される耳鼻科関連の新しい薬剤を紹介します。
 アレサガテープは抗アレルギー剤初の皮膚への貼付テープ剤です。湿布薬の有力メーカー、久光製薬が開発しました。有効成分のエメダスチンは、すでに経口薬で発売されていますが、私は独自に商品名にもじって「ダレンはだれる」と覚えていました。この成分は眠気の発現頻度が高いので、私はこれまで処方していませんでした。今回のテープ材は血中濃度のピークが低く抑えられますので眠気の発現は少なくなるものと思われます。ちなみに私がサンプル品を自身で試した際には眠気は感じませんでした。テープ材特有の問題としては、皮膚がかぶれる場合があることです。湿布薬一般として約5~10%に貼付部位の発赤やかゆみが見られます。本来、アレルギー体質の方が使用しますので、処方する際にはこのような副反応の発現に注意したいと思います。経口投与が難しいケースでは、薬剤選択の幅が広がることになるので、新薬を歓迎したいと思います。
 スギ花粉症の舌下免疫はこれまでボトルに入った水薬による滴下型がありましたが、新たにタブレット型のシダキュアスギ花粉舌下錠が登場します。従来の滴下型のシダトレンよりも高い力価で投与することができ、また従来の12才以上から5才以上と適応年齢も広がりました。薬価の設定に当たっては効果からの有用性加算と小児にも抵抗できることによる小児加算が加わったことから薬価は10%アップですが、錠剤で常温保存できる効果も高いことから、これからはシダキュアスギが主流となりそうです。
 耳鼻科関連ではありませんが、アトピー性皮膚炎で初めての遺伝子組み換えの抗体医薬品デュピクセント皮下注が承認されました。IL-4とIL-13という2つのアトピー性皮膚炎における持続炎症に関わるタンパク質のシグナル伝達を特異的に阻害するヒトIgG4モノクローナル抗体です。ステロイド外用剤では効果不十分なケースに有用とのことです。これまで気管支喘息領域では、抗ヒトIgEモノクローナル抗体製剤のゾレア、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体のファセンラ、好酸球を直接除去するヒト化抗IL-5モノクローナル抗体のヌーカラと、リンパ球や単球、マクロファージなどの免疫反応に関わる白血球から産生されるインターロイキン(IL)に作用するいかにも開発しましたという薬剤が複数登場し、これまでにない効果を挙げています。くやしいですが、いずれも欧米の製薬会社が開発し、薬価もびっくりするくらい高いです。今回のデュピクセントも薬価は月2回の注射で16万円と高価です。日本での年間適応患者数はどのくらいになるのか、国民医療費的には心配ですが、医療の進歩は実感できます。耳鼻科領域、アレルギー性鼻炎や好酸球性副鼻腔炎の領域でいつこのような抗体医薬が登場するのか、待ちどおしいようなそうでないような気持ちでいます。

小児の中耳炎に対する細菌検査  18年4月13日
 私は中耳炎の小児では積極的に細菌検査を行っています。その理由は、保育園や幼稚園で集団保育を受けているお子様は、どうしても耐性菌に感染する機会が多くなり、そのようなお子様が中耳炎に罹ると難治化する傾向があることから、中耳炎の病原菌を把握することが抗生物質の選択や鼓膜切開を行う必要があるかどうかの判断に役に立つからです。アデノイド肥大やハウスダストアレルギーなどによるアレルギー性鼻炎があるとどうしても、風邪に罹った後に上咽頭が乾きにくくなりますので、そのようなお子様が中耳炎を引き起こすと治りにくくなります。その上、耐性菌に感染するとより一層治りにくくなるのです。
 ここ数年の、当院の細菌検査の傾向をみると、以前よりも、肺炎球菌が減り、インフルエンザ桿菌やモラクセラ菌の検出が多くなっています。一昨年、当院が参加した多施設による中耳炎起炎菌の研究結果とも一致します。2010年の公費助成の開始により小児の肺炎球菌ワクチン接種率が高くなったことから、病原性の強い肺炎球菌による急性中耳炎が減少しています。全国的にも当院でも、鼓膜所見の強い中耳炎を呈する小児が減ってきていることから、鼓膜切開の施行数も減っています。しかしその代わりに、インフルエンザ桿菌やモラクセラ菌への感染による中耳炎が増えている印象です。
 インフルエンザ桿菌にもHibワクチンがありますが、これはインフルエンザ桿菌の中のb型に対する予防接種です。Hibは乳幼児の細菌性髄膜炎、肺炎、敗血症、喉頭炎の起炎菌として重要ですが、小児の中耳炎全体でみるとインフルエンザ桿菌はHib以外でも持続感染するケースが多いことから、肺炎球菌ワクチンほどには中耳炎の発生数の減少には貢献していないようです。肺炎球菌ワクチンも93種類ある莢膜型の内の最初のワクチンで7種類、後ででたワクチンで13種類をカバーするだけですが、重症タイプをカバーしていることから中耳炎の重症化が少なくなっているようです。インフルエンザ桿菌は細胞内寄生といってアデノイドなどの扁桃組織や中耳粘膜、副鼻腔粘膜に寄生しますので、死滅せずに除菌不良となることが多いです。またモラクセラ菌も病原性は弱いものの、βラクタマーゼという酵素を産生するタイプが多く、他の病原菌と混合感染しているとセフェム系やペニシリン系の効果を減弱する間接起炎菌として重要です。この菌は0才児より定着することが多く、この菌が主体となって症状が強くなるケースは少ないですが、やはり抗生物質の選択には注意しなければいけません。
 実際の治療に際しては、日本や米国の小児急性中耳炎の治療ガイドラインにそって、まず病原性の強い肺炎球菌に有効なペニシリン系抗生物質で治療するべきか、インフルエンザ桿菌やモラクセラ菌の感染による難治化を疑いマクロライド系抗生物質で治療すべきか、そのような判断を行うため、細菌検査が、どのような細菌に感染していて、その菌が耐性菌で抗生物質が効きにくくなっているのかを判断するために有用なのです。

ヒノキ花粉の大量飛散  18年4月9日
 日本気象協会が東京都心で3月中に観測したヒノキ花粉の飛散量が昨シーズンの同月と比べて43.6倍にのぼったと発表しました。都心の千代田区大手町で3月に測定されたヒノキ花粉の飛散量は2878個で、昨年3月の計66個を大幅に超えたとのことです。実は松山の飛散量も昨年同時期の69倍となっています。私も松山のヒノキの大量飛散にはビックリしていましたが、今シーズンにヒノキ花粉が大量飛散したのは松山や山口県だけではなく全国的な傾向だったようです。どうしてこんなに大量飛散したのでしょうか? 日本気象協会では、3月下旬の東京は気温が高く降水が少なかったためとコメントしていますが、それにしても多すぎます。いったい何が原因なのか、今後の研究発表が待たれます。  

耳鼻咽喉科からみた免疫不全  18年4月6日
 耳鼻科では上気道の感染症を診ます。”風邪気味”の方を診察する際は、どのような部位にどのような所見があるのか? 病原微生物は何か? どのような治療が有効か? 抗菌薬が有効か? 有効ならばどの抗菌薬がベストか? などを考えながら治療をすすめますが、病気の経過が思わしくないケースも時に見られます。このような場合には、扁桃組織が弱い、アレルギー性の粘膜で修復が悪い、糖尿病などの基礎疾患があり創傷治癒力が低下している、集団保育の環境などで頻回に感染する、難治な病原菌に感染している、複数の病原菌に混合感染している、など様々なケースがありますが、その人の免疫力自体が弱いケースにも注意しなければいけません。極端に風邪の治りが悪い場合や、全身的に複数の障害が見られる場合には免疫力の低下や自己免疫の異常の可能性も考えなければいけません。以前、耳鼻咽喉科の観点で見た膠原病や自己免疫疾患についてまとめましたが、今回、耳鼻科の観点から注意すべき免疫不全をきたす疾患についてまとめました。
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免疫不全について ~耳鼻咽喉科での注意点~
 免疫不全とは、外界の細菌やウイルス・真菌(かび)などの病原微生物から体を守る免疫が正常に働かなくなる状態です。
 耳鼻科領域では、風邪が治らず解熱しない、中耳炎・副鼻腔炎・扁桃炎を繰り返す、ヘルペスが度々発症する、外耳道や鼻の湿疹が治らない、顔面の難治性の膿痂疹(とびひ)、難治性口内炎、口腔カンジダ症(真菌症)など低病原性の微生物に対する抵抗力が弱まって発症する日和見感染症などに注意します。
 急性発症では、感染症や薬剤アレルギーによる好中球減少や白血病・多発性骨髄腫などの骨髄の腫瘍、小児では遺伝的な体質による先天性免疫不全、成人では感染による後天性免疫不全(AIDS)に注意します。

1、抗体産生機能の異常:体液性免疫―B細胞から作られる免疫グロブリン(Ig、抗体)の異常
 検査:血清IgG、IgA、IgM:免疫グロブリンの中でも感染防御に関与する
    B細胞数
    CD40リガンド:ヘルパーT細胞に発現する免疫グロブリンのクラススイッチ誘導を促進する
    Igサブクラス:IgG4欠損症などのサブクラス欠損を確認する
2、T細胞系の異常:細胞性免疫―免疫のネットワークを司るリンパ球の中のT細胞の機能低下の異常
 小児:遺伝的な先天性
 成人:AIDS―ヒト免疫不全ウイルスHIVの感染でCD4陽性Tリンパ球を破壊
  急性初期感染期:感染後2~4週。発熱、咽頭痛、筋肉痛、皮疹、リンパ節腫脹、頭痛などのインフルエンザや伝染性単核症様症状。数日~10週間で自然軽快。
  無症候期~中期:感染後6月~10年。血中に抗体が産生され、ウイルス量は減少し無症候期入り。エイズ発症前駆期(中期)になると、発熱、倦怠感、リンパ節腫脹などが出現し帯状疱疹などを発症。
  エイズ発症期:HIV の増殖とともにCD4リンパ球の破壊が進み、200㎣ 以下でカリニ肺炎などの日和見感染症。50㎣で中枢神経系の悪性リンパ腫などを発症。
 検査:末梢血T細胞数 CD4、CD8
3、好中球の異常:食細胞機能異常―病原微生物を貪食する白血球の中の顆粒球の主成分である好中球の減少による異常
 ①好中球減少症:タイプは、先天性、同種免疫性、慢性良性、周期性、低ガンマグロブリンを伴う、先天性代謝異常を伴う、Myelokathexis(骨髄好中球の異常)、薬剤(抗甲状腺薬、抗てんかん薬、抗生物質など)、感染症、脾機能亢進症、放射線、栄養など
 ②好中球機能異常: 慢性肉芽腫症、 白血球粘着不全症、好中球G-6-PD欠損症、ミエロペルオキシダーゼ欠損症、二次顆粒欠損症 、 Shwachman症候群など
 症状:口内炎、歯肉炎、肛門周囲膿瘍や臍炎などの皮膚化膿症。創傷治癒遅延。
 検査:末梢血好中球数1500㎣以下 (特に500㎣以下)、自己抗体(抗好中球抗体含む)、補体、骨髄検査
4、骨髄機能の異常:白血球を産生する骨髄の異常
 白血病:正常な細胞が骨髄で作られなくなることと、癌化した細胞が骨髄外で増殖することで障害を起こし、貧血、出血、感染、肝臓・脾臓の腫れ、発熱、骨痛、脳脊髄での増殖による頭痛・嘔吐などを引き起こす。
  急性リンパ性白血病;小児白血病の70%、リンパ球細胞が癌化し無制限に増殖。2~5歳での発症が多い、日本では年間500人が発症。
  急性骨髄性白血病;小児白血病の25%、骨髄球系前駆細胞が癌化し無制限に増殖、日本では年間180人が発症。
 多発性骨髄腫:B細胞から分化した抗体をつくる働きを持つ形質細胞が癌化して骨髄腫細胞化、正常な抗体の働きを持たないMタンパクが増殖。
5、その他:複合免疫不全症、症候を伴う遺伝的な免疫不全症、自然免疫不全症、自己炎症性疾患、補体欠損症など
<原発性免疫不全症を疑う10の兆候>  (免疫不全症データベース(PIDJ)より)
1、乳児で呼吸器・消化器感染症を繰り返し、体重増加不良や発育不良がみられる。
2、1年に2回以上肺炎にかかる。
3、気管支拡張症を発症する。
4、2回以上、髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症や、皮下膿瘍、臓器内膿瘍などの深部感染症にかかる。
5、抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない。
6、重症副鼻腔炎を繰り返す。
7、1年に4回以上、中耳炎にかかる。
8、1歳以降に、持続性の鵞口瘡、皮膚真菌症、重症・広範な疣贅(いぼ)がみられる。
9、BCGによる重症副反応(骨髄炎など)、単純ヘルペスウイルスによる脳炎、髄膜炎菌による髄膜炎、EBウイルスによる重症血球貪食症候群に罹患したことがある。
10、家族が乳幼児期に感染症で死亡するなど、原発性免疫不全症候群を疑う家族歴がある。

鼻出血と抗凝固薬  18年4月4日
 慢性的に鼻粘膜が刺激を受けることから例年よりも花粉症の方で鼻出血をきたす方も多いようです。最近は狭心症などの心血管障害や心房細動などの不整脈、隠れ脳梗塞ともいえるラクナ梗塞に対しての抗凝固療法が一般的となっていますので、高齢者の方を中心に”血液サラサラ”のお薬を服薬する方が増えています。消化器領域では胃出血の増加が問題になっていますが、耳鼻科でも鼻出血には難渋します。やはり止血が”甘く”なりますので、どうしても圧迫止血用のガーゼを長めの期間留置するケースが多くなります。

愛媛大学社会共創学部  18年4月4日
 今年は診察が忙しかったこともあり、私はお花見をせずじまいでした。今日の夕方は、久しぶりに愛媛大学中央図書館に立ち寄れました。やはりキャンパスの空気感は格別です。写真は社会共創学部前の桜です。愛大キャンパスの中でも、この桜は決して大きくはないものの、1本しっかりと立っていますので、なぜか毎年印象に残っています。
 社会共創学部、、地元の私でもあまり知らない学部です。以前は違う学部の建物だったようなと思っていたところ、なんと3日前に新しく開設された学部でした! 大学のホームページを見てみると、「商店街が賑わいを取り戻すには— 俳句文化を観光資源とするには— 社会共創学部は様々な地域社会の持続可能な発展のために、地域の人達と協働しながら、課題解決策を企画・立案することができ、地域社会を価値創造へと導く力を備えた人材を育成します」とあります。産業マネジメント学科ー産業マネジメントコース、事業創造コース 産業イノベーション学科ー海洋生産科学コース、紙産業コース、ものづくりコース 環境デザイン学科ー環境サステナビリティコース、地域デザイン・防災コース 地域資源マネジメント学科ー農山漁村マネジメントコース、文化資源マネジメントコース、スポーツ健康マネジメントコース と地方大学ならではの斬新なコースが並びます。紙産業、海洋生産、農村漁村、文化資源と、愛媛ならでは、が並んでいます。主な研究をみてみると、安全・安心な地域構築のための実践研究、農産物直売所を核とした地域活性化の新展開、東アジアの生業と社会の地域的形成過程、鉄道黎明期の愛媛県、愛媛県内中小企業の景況感に関する調査、生簀網清掃用自動ロボットの研究、開発途上国の貧困問題を背景とする小規模金採掘による水銀汚染に関する研究、都市地域計画における社会的合意形成に関する研究、排水中の微量化学物質除去のための機能紙の開発、衰退商業地におけるワークライフバランス起業の実態に関する研究 など、愛媛のためになる実践研究が並んでいます。地元企業も早速寄付講座の開設で協力しています。愛大、なかなかやります。

梅毒などの性感染症  18年3月25日
 代表的な性感染症である梅毒の患者報告数が、日本では2011年より増え始め、2013年からはさらに急激に増えています。特に10才代後半から20才代の女性の発生が増えています。この傾向は日本だけでなく、他の先進国でも見られています。性習慣の変化から、口からの感染も増えていると考えられます。当院でも時に性感染症を心配しての来院もありますが、多くはありません。診察時に患者様がこっそりと心配事を伝えて、私がこっそりと対応するといった診察です。多くの一般の方は自身の風邪症状が性感染症によるものとは思わずに受診されていますが、2013年からの梅毒の発生状況を見ると、私にもこれまで以上に、性感染症の存在も念頭に置いて病原微生物が何かを考えながら進める診療が求められています。特に青年層の方の難治性口内炎には注意して、プライバシーに配慮した慎重な問診を行いながら診察を行いたいと思っています。この機会に、耳鼻咽喉科医の観点からみた性感染症についてまとめてみました。また、結核も重要な感染症で、肺外結核が耳鼻咽喉科領域でも時に見られます。こちらも同時にまとめてみました。

 風俗の変化による性感染症の口からの感染の増加、海外との交流が増すなどの要因での結核の増加が見られます。注意すべき病原体とその咽喉頭の所見について説明します。

1、クラミジア・トラコマティス:性器クラミジアは毎年45万人以上が新規に感染、不妊症の原因(米国では年間15~20万人が卵管炎で不妊、その1/4はクラミジア感染)
上咽頭炎:10代後半~20代に注意
診断:うがい液からのPCR法
治療:ジスロマック1g単回投与が著効、クラリス・ビブラマイシン・合成抗菌剤7日投与も有効、耐性菌の報告なし
2、梅毒:日本では2013年以降急増中、20代前半女性で著明増加
Ⅰ期:感染後3週間、初期硬結と中央のびらん潰瘍化(硬性下疳)⇒リンパ節腫脹⇒第2潜伏期
 オーラルセックスでは口腔粘膜や舌、口唇、口蓋扁桃に硬性下疳が出現
Ⅱ期:感染後3ヶ月、皮膚の発疹(バラ疹、丘疹性)、口角の扁平コンジローマ
 口腔粘膜の粘膜斑(バタフライ様所見、ベーチェット病様の所見)
診断:脂質抗原とTP抗原で判定
Ⅰ期の10%はTP抗原のみの陽性もあり再検査も考慮、TP抗体があっても再感染する
治療:ペニシリン内服が著効
3、淋菌:1回の性行為による感染率は30%と高い、感染しても免疫は得られず再感染を起こす。男性尿道炎の1/3が淋菌、1/3がクラミジア、1/3がマイコプラズマ
淋菌性咽頭感染:性器に淋菌を持つ1~3割が咽頭にも保菌、症状所見は乏しいが一部に咽頭炎・扁桃炎
診断:上咽頭擦過物やうがい液からのPCR法
治療:ロセフィン静注単回投与が著効
4、マイコプラズマ・ジェニタリウム:クラミジアと同様な病原性、1980年に初めて英国で分離された病原菌のため、咽頭での研究報告例はまだ少ない
治療:ジスロマック2g単回投与、グレースビッド7日投与、両者の耐性菌の報告も見られ始めた
5、単純ヘルペスウイルス(HSV):オーラルセックスによる性器ヘルペス初回感染;Ⅰ型で症状強い、Ⅱ型で軽い
6、ヒト乳頭腫(パピローマ)ウイルス(HPV):2013年4月定期接種化、同6月副反応により積極的推奨の中止(ただし希望あれば接種は可能)
16型18型などのハイリスクHPV:子宮頚癌の96%、中咽頭癌(扁桃癌)の63%(扁平上皮癌に比べ若年、非喫煙・非飲酒多く、放射線や抗がん剤治療が奏功)
6型11型などのローリスクHPV:尖圭コンジローマ
7、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、AIDS:現在、治療開始3ヶ月でウイルスは検出限界以下となり、非感染者と同様の日常生活を送ることが可能となっている
急性期:感染後2~4週間、HIVの急激な増殖でCD4陽性リンパ球が破壊
 発熱・咽頭痛・下痢などのインフルエンザ様症状や皮疹、数週間以内に自然消滞
無症候性キャリア期:約10(2~15)年、CD4陽性リンパ球数の低下により免疫力は徐々に低下
 下痢、体重減少、帯状疱疹、口腔カンジダ症など
エイズ期:免疫力の低下から弱毒性の病原体による日和見感染症や悪性腫瘍、神経障害、20~40代男性注意
 伝染性単核球症様の所見(高度な扁桃炎、発熱、リンパ節腫脹)、頻回の帯状疱疹、口腔カンジダ症や難治性口内炎、結核
検査:保健所でも可能、プライバシーに配慮した検査報告様式
8、結核:地域偏在(関西、大都市圏に多い)、集団発生・在日外国人・東南アジアへの移住邦人に注意
咽頭結核:白苔が付着する腫瘍性病変、肺結核を認めない原発性が多い、上咽頭結核は結核性中耳炎に注意
頸部リンパ節結核:疼痛などの炎症所見に乏しい、原発性が多い、X線での石灰化、CTでの乾酪壊死像
喉頭結核:60~80%は肺結核に続発、急性喉頭蓋炎様の強い嚥下痛や声がれに注意、浸潤型・潰瘍型・軟骨膜炎型・肉芽腫型がある
診断:確定診断には生検が必要

抗がん剤シスプラチンと難聴  18年3月8日
 耳鼻科関連の話題を。様々な癌に広く有効である抗がん剤にプラチナ製剤のシスプラチンがあります。頭頸部癌領域でも最も使われている抗がん剤です。この薬には難聴を惹き起こすという副作用があります。成人の40~80%、小児の50%に発生します。米国立衛生研究所NIHの研究により、シスプラチンが内耳の血管条という聞こえに大事な部位に蓄積していることが明らかになりました。なぜこの抗がん剤だけが内耳障害、特に難聴を引き起こすのか気になっていましたが、どうもシスプラチンは内耳に取り込まれた後に他の部位と異なり排出されないようです。残念ながら一度起こったシスプラチン関連難聴を治す手段はありませんが、がん治療後の難聴で来院された方には、このような機序もあることをお伝えしたいと思います。

スギ花粉症の有病率  18年3月8日
 スギ花粉症の有病率についての報告がありました。第4回東京都花粉症患者実態調査では、2016年の都民の推定有病率は49%で、10年間で20%も増加しています。14才未満の小児が10年前の26%から40%に増加、60才以上でも14%から37%に増加しています。都民の半数がスギ花粉症とのことで、ハウスダストアレルギーやスギ花粉症が多数派といえる状況になりつつあると言えます。農村部の学童のスギ花粉症有病率が都会の児童よりも多いとの報告も以前目にしたことがあります。全国平均でみても花粉症持ちが多数派といえそうです。花粉症も含めたアレルギーは、50才を超えると徐々に減弱するアネルジーという現象があると理解していたのですが、60才以上でも3人に1人は花粉症を発症しているという今回の報告で、認識を新たにしたいと思います。

加齢性難聴と認知症  18年3月8日
 加齢性難聴が認知機能低下に関連しているとの論文が海外の耳鼻科雑誌に掲載されました。当たり前といえば当たり前の結論ですが、この報告の興味深い点は、アルツハイマー病や血管性認知症などの明らかな脳の細胞の異常による病気では、加齢性難聴との関連性は認めなかったことです。つまり、明らかな脳神経の異常があれば難聴があろうがなかろうが認知症症状は進行する可能性が高いのですが、認知機能低下や認知障害などの年齢変化ともいえる軽い認知症の状態では、聞こえが良いことは大事だということです。高齢の方は、平均聴力が40~60㏈の会話が聞き取りにくくなる中等度難聴の段階から補聴器を使った方が、認知症予防にはよいようです。

花粉症と風邪  18年3月7日
 四月並みの陽気と春一番で、昨日、スギ花粉が大量飛散しました。恐らく今シーズン最大の飛散になると思われます。スギ花粉の飛散と、インフルエンザがまだ警報レベルで流行していることもあり、先週末から今日まで当院の診察時間は長くなりました。お待ちいただいた患者様にはご協力ありがとうございました。インフルエンザの流行に混じって、RSウイルス、ヒト・メタニューモウイルス、アデノウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、百日咳、パラインフルエンザウイルス、ノロウイルスなろ様々な感染症も見られます。できる限りの精査を心がけています。花粉症も、その個人個人の体質で、ハウスダストアレルギーがある、ヒノキやハンノキなどの花粉症も合併している、扁桃腺が弱く慢性上咽頭炎が隠れている、好酸球性や消炎鎮痛剤の過敏症がある、年齢的に萎縮性鼻炎が目立っているなど様々な要因がベースにあって花粉症が発症します。また、先日のテレビでも取り上げていましたが、”花粉症インフル”というような、花粉症と思っ受診したら実は隠れB型インフルになっていた、などのケースもあります。一昨日も2才で”花粉症デビュー”が疑がわれたお子様2名を、4才で花粉症確定のお子様2名が来院されました。今日も、4才で確定、5才で確定のお子様の来院もありました。その一方で、B型インフルの二度罹りのお子様も見られます。私は最近診察の場で「人生経験豊富になるとインフルに罹っても熱出ず、花粉症の抗体が増えると砥部動物園や久万のスキー場に行って花粉を被って顔面が腫れあがって咳が止まらずに熱が出る、こともある。軽いインフルより重い花粉症の方が風邪っぽいですよ」とお話ししています。花粉症だけでも、目にくる方、顔面の皮膚が弱い方m、喉にも刺激の出る方など、様々な体質があります。そのような方が、風邪に罹って症状が強くなって診察する、というケースも多々あります。風邪か?花粉症か?過敏症か? 様々なケースを考えて、その方にあった治療をオーダーメイドで行いたいと思いながら診察を進めています。

抗インフルエンザ薬ゾフルーザ  18年3月7日
 期待の日本発塩野義製薬のインフルの新薬「ゾルフーザ」ですが、今日の中央社会保険医療協議会総会で特例中の特例で早期承認されました。有用性加算、先駆け審査指定制度加算により薬価も高く設定されました。日本発の新薬が高く評価されて高薬価になることは日本の誇りでもあります。気になる薬価ですが、成人1治療当たりの薬価が、従来の抗インフル薬 タミフル2830円、リレンザ吸入3058円、イナビル吸入4590円に対し、ゾルフーザ4789円と設定されました。3割負担の方で個人負担分が1440円です。製薬会社からのデータを見ると、タミフルよりも早期にウイルスの排出量が減り、副作用も小児ではタミフルでは1/5で下痢が発言していたのが、1.3%の発現率です。その他の有害事象も目立ちませんので、体重10㎏以上の小児も含めて1回服薬するだけで急速にインフルの勢いが無くなり二度熱の可能性も少なくなりそうです。これまでの情報では期待の持てる新薬です。ちょっと高くても許されそうです。
(3月14日追加)
 本日、インフルエンザの新薬ゾフルーザが発売となりました。昨日、MRさんからの情報提供では発売当初から供給体制は万全とのことです。今日の当院は午前診でしたので、レセコンにゾフルーザのコードを入力しただけでした。明日から処方可能となります。ゾフルーザは1回の服用で5日間有効で、体重10㎏以上の小児なら粉末化での服薬も可能です。ウイルスの増殖の速い段階を阻止することから、タミフルより速効性で耐性株にも有用です。小児の50人に1人で下痢を認めますが、副作用の少ない薬剤です。タミフルのように10才代の処方中止と10才未満の”異常行動の監視”の必要はありません。ただし、抗インフルエンザ薬一般の注意として、これまで異常行動の報告はないものの”未成年者を2日間は一人にならないよう配慮すること”となっています。ウイルスが検出されなくなる時間は、無治療で4日、タミフルで3日、ゾフルーザはなんと1日です。恐らく服薬直後から”効いてきた感じ”が自覚できると思われます。インフルの診療では、迅速診断キットの発売、タミフルの登場に続くエポックメイキングなことだと思もわれます。体重10㎏以上の方に対しては10才代も含めて広く用いることができ、全身に作用しますので、タミフルや吸入薬のリレンザ、イナビル、注射薬のラピアクタを一気に凌駕するお薬になりそうです。明日からのインフルの治療風景は変わります。(^^♪
(12月14日追加)
 今シーズンのインフルエンザ治療薬として、私はこの3月に発売されたゾフルーザを第一選択と考えています。以前、お伝えしたように、他の抗インフルエンザ薬と比べても、ウイルスの排出が早期に抑えられることがこの薬剤を選択するポイントと考えています。さらに、ゾフルーザは新薬だけに、まだ臨床的な耐性菌の報告がないことも利点と考えられます。
 しかし、ゾフルーザにも治験データでは、ゾフルーザの投与によって同薬に低感受性を示すアミノ酸変異株という変異ウイルスが発生することが報告されています。臨床治験段階で、小児の23.4%にA型感染時に変異株が発生したとのことです。アミノ酸変異株は、これまでの薬剤耐性株とは違う機序の変異で、私はこのゾフルーザの治験データの報告で初めて知りました。塩野義製薬のMRさん(医療情報担当者)からの報告では、変異株が出来ても感染力が弱いために、実際の臨床の現場では、変異株は新たな感染は引き起こさず死滅する可能性が高いとのことでした。市販後の臨床データとしては、まだゾフルーザへの耐性株による感染の報告例はないとのことです。この変異株については、日本感染症学会インフルエンザ委員会でも「アミノ酸変異による臨床効果への影響は不明であり、これからの検討が必要」としていますので、今シーズン、世界的にゾフルーザが多く処方されるようになった時点で、耐性株の報告がでてくるかどうかに注目しておきたいと思います。
(12月30日追加)
 インフルエンザの新薬ゾフルーザが3月に発売になりました。ウイルスの増殖抑制作用が強いことから、私はこのシーズンから主流で使いたいと思っていますが、薬価が成人の40㎎で4789円で、タミフルのジェネリック1360円の3.5倍です。タミフルに劣らない(非劣性)というデータはありますが、発売後の有用性のデータはこれからです。投与後にアミノ酸変異のあるウイルスが小児の23%、成人の10%でみられたとのデータもあります。患者や国の医療費負担も考えながら、今後の副作用や耐性化のデータにも注意しながら処方したいと思っています。

パソコンのトラブル  18年3月1日
 この1週間、私はこのホームページをアップしているパソコンと個人用のノートパソコンが相次いでトラブルに見舞われました。パソコン工房さんの情報では、どうも最新のWindows10の更新が、windows7や8からのversionupしているパソコンでは更新が動かずにパソコンが使えなくなるケースが多いとのことでした。今回のWindowsの自動更新にはホトホト参りました。ノートパソコンは初期化で再利用可能となりましたが、診療で用いているデスクトップパソコンはハードディスクの耐用年数のことも考えて新しくしました。ハードディスクは3~5年でクラッシュします。データのバックアップが面倒くさくなり油断したころに不思議とクラッシュします。私も何度か途方に暮れた苦い思い出があります。そこで今回、初めてパソコンを新しい記憶装置SSDが入っものにしました。起動も早く、音も静かです。それでもSSDでも寿命は5年という説もありますので、これからはオンラインストレージも活用してクラッシュによるトラブルとはおさらばしたいものです。で、パソコントラブルが解決したかと思った矢先に、今度はオンライン予約システム用の親機のパソコンの不調です。こちらもWindous7時代の古いノートパソコンでしたのでそろそろと思っていたところ、5日前から起動中に急に動作が止まるトラブルが出現です。パソコンの下部が極端に熱くなっており、どうやら熱暴走のようです。翌日からは診療用のアイスノンで冷やしていればなんとか運用可能でしたが、これも冷却システムの経年劣化が疑われることから、新しいモバイルノートパソコンを購入の上、今日、予約システムの移設を行いました。こちらはiTikuketさんのサポートで行いましたので、遠隔操作で設定の移設をして頂きました。順調に移設完了と思いきや、診察室のモニター画面が全く映りません。最近のモバイルパソコンはモニターとの接続端子はHDMI端子だけしかついていないものが主流です。既設の診察室のモニターは昔ながらのRGB端子だけでしたので、変換ケーブルを用意していたのですが、これが不良品? モニターが古いのでパソコンとモニターの相性が悪い? いざとなったらパソコンもミニターも買い替えなければいけない? 明日の運用は大丈夫? とかなり焦りましたが、さすがサポートデスクです。担当者の方は冷静に、モニターの品番も確認しながら、こらがだめなら次はこれと、私の理解の及ばない範囲でパソコンの設定をいじって、時間はかかりましたが、モニターを映すことに成功しました。さすがです! 私一人ならとうにあきらめていました。おかげで明日は、新しい案内画面でiTicketを運用することができます。iTicketでは以前より動画配信サービスが行われていました。2年前に行われたシステム更新時には、当院も当初は動画配信サービスの情報番組をモニターの予約確認画面に流していたのですが、このサービスを利用すると予約システムの動きがなんとも遅くなってしまいました。古いパソコンの処理能力不足のせいです。そこで残念ながらこのサービスはその後停止していたのですが、今回の移設でCPUの処理能力が今風のパソコンになったことから、動画もスムースに流せるようになりました。来院された方には、待合室が少し今風になったと感じていただけると思います。(^^♪

慢性上咽頭炎  18年2月26日
 慢性上咽頭炎に関する本が2月17日に発売されました。堀田 修氏の「つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい」です。早速、Amazonでも耳鼻科領域のベストセラー1位となっています。当院で行っているBスポット治療も、この本の著者 堀田博士の研究に基づいて行っています。以前、私がこの治療法について日本病巣疾患研究会と連絡を取っていた縁で、この本の中で当院が慢性上咽頭炎治療医療機関として紹介されました。四国では、当院と松山市北条の久我耳鼻科の2施設が掲載されています。この本では、一般向けに慢性上咽頭炎とはどんな病態か、Bスポット治療=EAT(EpipharingealAbrasive Therapy 上咽頭擦過療法)の方法や効果をわかりやすく解説しているだけでなく、患者自身でできる上咽頭炎の治療を多数紹介しています。最近は耳鼻科関連学会である日本口腔咽頭科学会などでも慢性上咽頭炎に再注目するようになっています。堀口氏や日本病巣疾患研究会の研究にはこれからも注目していきたいと思います。

日本アカデミー賞  18年2月13日
 一昨年は「君の名は。」(このお正月に地上波初放映がありましたが、やはりこの映画の評価はアニメながら映画館で見て評価して欲しいものです)で盛り上がった私ですが、昨年は「ラ・ラ・ランド」以降、ぜひ映画館でと思う作品がありませんでした。気になっていたのは「君の膵臓が食べたい」でしたが、映画館に足を運ぶ機会がなく、先ほどレンタルビデオで鑑賞しました。不覚にも4度ウルウルしてしまいました。岩井俊二監督の映画「ラブレター」(こちらがやはり映像美と幻想的な音楽では秀でています)、アニメ版「四月は君の嘘」(遺書からの回想シーンはやはりこたえます)、「ひよっこ」や「最後から二番目の恋」で気になっている脚本家岡田惠和氏の作品(登場人物がみんな心優しい人ばかりでキャラクターが立っています)を思い出しました。私のささやかな夢のひとつが、いつかはシナリオを書きたいという夢です。一時はシナリオ集や教則本を読んだりしていましたが、この映画のような脚本はとても書けそうな気がしません。脱帽です。今年の日本アカデミー賞の優秀作品賞には、「君の膵臓をたべたい」「三度目の殺人」「関ヶ原」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「花戦さ」がノミネートされています。3月2日の発表が楽しみになってきました。映画通が気にするキネマ旬報の2017年度の日本映画ベスト1は既に発表されていて「夜空はいつでも最高密度の青色だ」でした。こちらもまた観てみたいです。

経口免疫療法とピーナッツアレルギーの話題  18年2月12日
 NHK「ためしてガッテン」では、医療に食生活にと、興味のある話題を楽しく解りやすく取り上げています。医療の話題も決して”色物”でないアカデミックな最新の話題です。よくもまあ毎週毎週話題があるものだなと感心しています。企画スタッフの情報収集力と取材力の力には脱帽です。先々週は食物アレルギーを取り上げていました。食物アレルギーの研究はこの10年大きく進みました。それとともに治療法も、アレルギーの原因物質をを避けるのではなく、食べながら慣らしていく方向に進んでいます。この番組ではどんな風にこの話題を取り上げるのかと興味深く視聴しました。まず、欧米の小児のピーナッツアレルギーが天然のピーナッツオイルの入った保湿剤を塗ることによって発症することを示した後、湿疹などの皮膚の炎症がある部位では抗原提示細胞である樹状細胞が皮下から表層に現れて、皮膚からの抗原刺激でアレルギーが発症(経皮感作)することを人形も使って判りやすく解説していました。パン屋さんの小麦アレルギーが手の湿疹から発症した人も紹介していました。さらに、治療では、原因食物の除去から、徐々に食べて慣らしていく負荷試験や経口免疫療法も紹介しています。この治療法の有用な点と、時に治療中にアナフィラキシーなどの副反応が起こる危険性を、医師の立場と患者の立場から紹介していました。さすがの番組です!
 これに関連した話題を紹介します。ピーナッツアレルギーの素因がある乳児に対しては、除去ではなくむしろ乳児期からピーナッツを食べた方がピーナッツアレルギーを発症し難いとの研究報告を契機に、ここ10年世界的に、食物アレルギーを起こしやすい食物を除去する根拠はないとの方向に治療方針が180度代ってきています。鶏卵アレルギーに対しても、2016年の国立成育医療研究センターが、アトピー性皮膚炎の乳児には生後6ヵ月から固ゆで卵を与えた方が与えなかった群よりも鶏卵アレルギーの発症を8割抑えられたとの報告を出しています。このことからこの研究チームは、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんでは経皮感作を予防するために湿疹の治療をしっかり行った上で専門医の下で生後6ヵ月から卵を摂取した方が良いのではないか、逆にアトピー性皮膚炎の無い赤ちゃんには逆に急いで卵を摂取する必要なないのではないかとの考えを示しています。
 2017年には神奈川県立こども医療センターが、牛乳アレルギーの小児が医師の監視の下で牛乳を飲んで慣らしていく急速経口免疫療法で低酸素脳症が起こった例を報告しました。低酸素脳症のような重篤な有害事象の報告は今回が初めてであったことから、日本小児アレルギー学会が注意喚起を公表しています。アレルギーの治療で原因物質を摂って慣らしていく治療は、反面、アレルギーの過剰反応を起こす危険性もはらんでいます。耳鼻科でもスギに次いでハウスダストの経口免疫療法が外来で進められています。これまでのところ死亡例はありませんが、アナフィラキシーなどの重篤な障害例もごく稀ながら報告が上がってきています。アレルギーの過剰反応は、感染症に罹った時など本人の体調が不良な時、ストレスがたまるなどで免疫力が低下した時、低気圧や猛暑、寒波など環境の刺激があった時やこれらの悪条件が重なった時に、急に発症します。当院でも経口免疫療法で経過を診させて頂いいる患者それぞれの方の体調の不調には気をつけたいと思います。

インフルエンザ脳症  18年2月11日
 当院でも何時インフルエンザ脳症を患者様が発症するかわかりません。知識を整理しておきたいと思います。厚労省インフルエンザ脳症研究班のガイドラインでは、初期の診断において意識障害が最も重要な所見だとしています。診断基準では外来来院時の確定例は
1)JCS 20以上の意識障害:けいれん後の意識障害(けいれんそのものの影響)や抗けいれん剤による鎮静状態は除外する。これらの状態と脳症による意識障害の鑑別が困難な場合は、経過によって判断する。原則として、熱性痙攣は数時間で回復傾向を示すが、脳症の意識障害は不変か増悪する。
2)頭部CT検査:びまん性低吸収域、皮髄境界不鮮明、脳表クモ膜下腔・脳室の明らかな狭小化、局所性低吸収域(両側視床、一側大脳半球など)、脳幹浮腫(脳幹周囲の脳槽の狭小化)
となっています。血液検査は参考程度の扱いです。入院後の確定例は、意識障害が経過中、増悪する場合、または、意識障害(JCS 10以上またはGCS 13以下)が24時間以上続く場合となっています。
 実際に当院で判断する場合は、熱性痙攣や一時的な熱せん妄ではなく意識障害が持続する場合には速やかに高次病院に救急紹介することになります。診断基準で示された意識障害のレベル判定で用いられる基準は、Japan Coma Scale(日本昏睡スケール)という基準です。
JCS
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態
 300 痚み刺激にまったく反応しない
 200 痚み刺激で尐し手足を動かしたり、顔をしかめる
 100 痚み刺激に対し、払いのけるような動作をする
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態
 30 痚み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、辛うじて開眼する
20 大きな声または体をゆさぶることにより開眼する
10 普通の呼びかけで容易に開眼する
Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態
3 自分の名前、生年月日がいえない
2 見当識障害がある
1 意識清明とはいえない

乳幼児の意識レベル判定法
Ⅲ 刺激をしても覚醒しない状態
300 痚み刺激にまったく反応しない
200 痚み刺激で尐し手足を動かしたり、顔をしかめる
100 痚み刺激に対し、払いのけるような動作をする
Ⅱ 刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む)
30 呼びかけを繰り返すと、辛うじて開眼する
20 呼びかけると開眼して目を向ける
10 飲み物を見せると飲もうとする。あるいは乳首を見せれば欲しがって吸う
Ⅰ 刺激しないでも覚醒している状態
3 母親と視線が合わない
2 あやしても笑わないが、視線は合う
1 あやすと笑う。ただし不十分で、声を出して笑わない
 インフルエンザ脳症では、外来でJCS20以上が続く、すなわち普通に話しかけて開眼応答する場合には今しばらく様子を見ることが出来るが、大声でやっと反応する程度であれば救急搬送する必要があるとのことです。当院でも時に診察の前後の待合室で待っている時にお子様が熱性痙攣を起こすこともあります。その場合は痙攣の応急処置を行い、単純性痙攣で回復すれば慌てずに小児専門医へ連携していますが、複雑性痙攣の際には救急搬送を行ってきました。万一、脳症が疑われる方が来院した場合にもこのような方針で対応したいと思います。

母校  18年2月3日
 今日は珍しく私の母校の話題を。私は徳島大学出身ですが、母校は遠くにありて想うものとなりつつあります。
 昨年だったか私が在学中に所属していた運動部の年報で、学業が疎かになっているので部活動を一時自粛するとの報告がありました。とっさに私は、今の学生は昔以上に部活やバイトに熱心で遊び惚けているのかと思っていました。ところがさにあらず。母校は全国でも有数の留年が多い大学になっていました。某受験サイトのランク付けでは、徳島大学は弘前大学と並んで全学年留年者数が50名以上の”理不尽級”に進級が困難な大学のトップ2となっていました。入学した同期の中で留年せずに既定の6年間で卒業できる人数が半数程度という訳です。昔話になりますが、私が在学中は普通に勉強していれば余裕で進級できていました。ところが最近は、1年から2年への進級時に20人、2年から3年への進級でまた20人留年しています。これを読んだ皆さんは、えっ、徳大ってそんなに学生のレベルが低いのと思われるかもしれませんが、彼らが落第しているのは医師国家試験の勉強とはあまり関係のないジャンルの学科の試験です。国試は臨床医学が出題の中心ですが、解剖学や生理学などの基礎医学の試験で落第しているのです。学生たちは正月明けの試験に備えて大学受験の時よりも猛勉強せざるを得ない状況だそうです。でも勉強しても医師国試の勉強には直接メリットがない、そんな状況で1学年20人、特に1年生の前期でも留年となれば息つく暇もありません。現在の学生は1年生から専門科目が始まります。私の頃は2年生までは教養課程といって医学には全く触れませんでした。良いか悪いかは別として、受験勉強から一息ついて様々な分野に視点を広げることができた期間でした。基礎医学の試験を厳しくするのは、大学の意向として研究機関としての立場から研究者を育てたいという欲があるのだと思います。臨床医になる医師国試への勉強と研究者養成のための基礎医学重視。なかなか難しい問題ですが、学生時代、部活やらなにやらのほほんとしていた私は、現在なら確実に留年していたでしょう。(-_-;)
 私の在学当時、徳島大学は全国有数の多浪生の多い医学部でした。前年には全国最高齢の医学部入学がニュースとなり、私の同期生も現役生から40歳代まで多士済々でした。ところが現在は、徳島大は再受験(多浪生)に厳しい大学に位置付けられています。昔は面接が無く試験点数だけで合否が決まっていたのですが、今は面接に地域推薦枠もあり大学の意向で再受験生を制限することができます。これも学部の研究者を求める姿勢からでしょうか。このあたりも私の在学中と様変わりでビックリです。
 徳島大医学部は映画の舞台ともなりました。さだまさしさんの原作「眉山」です。 松嶋菜々子さん主演の映画版では”徳島市立大学医学部”に、常盤貴子さん主演のテレビ版では”徳島県立大学医学部”になっています。(ちなみに「白い巨塔」では、母校は阿波大学として書かれています)映画では建て替わって今は無くなった病院正面玄関や、私が学祭の担当委員で嘉門達夫氏のライブを開いた大塚講堂が実際にロケに使われています。私が長年パート耳鼻科医として通い、これも今は建て替わった旧徳島赤十字病院でもロケされています。今は無き母校の面影を映像作品の中で鑑賞すると、また違った趣があります。松山市民にとっては松山城が普段は意識しない知らず知らずにシンボルであるように、徳島市民にとっては眉山がシンボルです。母校のキャンパスは眉山に抱かれています。 ”眉山にかかる月のように 手は届かなくても いつまでも傍にいた” さだまさしさんの詩は抒情詩です。”

松山市の城北、文教地区  18年1月20日
 城北、文教地区には戦前、城山と護国神社の間に松山城北練兵場が広がっていました。市内電車の赤十字病院前停留場の旧称は戦前は練兵場前停留場でした。戦後は教育施設が集まり文教地区となりました。中心部の町名もその名の通り”文教町”となっています。西(写真左)から、市立勝山中学、市立清水小学校、松山大学(四国の財界人を多く輩出している旧松山高等商業学校、松山商科大学)、県立松山北高(旧制北予中学、坂の上の雲の主人公秋山好古が校長を務めたこともあるサッカーの名門校)、愛媛大学、市立東中学校、市立東雲小学校、松山赤十字病院とアカデミックな雰囲気が広がっています。私は勝山中学(勝中)への2年生からの転校生ですが、当時市内有数のマンモス校だった勝中生にはゴールデンコースがあります。清水小→勝山中→北高→松大or愛大と進学すれば、小1から大卒まで半径200m以内の通学圏内だけで過ごせます。1学年にこのコースに乗る生徒が30~40人はいたのではないでしょうか? 小中や最近では中高と同じ学校というのは珍しくありませんが、小学校から大学まで同じ同窓の集団が目立つのは勝中ゴールデンコースならではでしょう。全国的にもここまで集中した地区は珍しいのではないでしょうか。さすがに少数だと思いますが、医療関係職で卒後日赤に勤務すれば半径300m以内で退職まで過ごす人もいそうです。

受験生のインフルエンザ  18年1月19日
 センター試験が終わりました。試験直前にインフルエンザを発症した学生さんがおられたことから、センター試験の際のインフルエンザの扱いについて調べてみました。別室での受験はなく、疾病によるものとして診断書を提出すれば2週間後の追試験が受けられます。本人の理由による疾病・負傷・事故では追試験に。公共交通機関の遅延や試験会場の不備による試験時間の確保不足などでは再試験となります。ちなみに今年、立命館大学大阪いばらきキャンパス試験場では「正規の試験時間を確保しなかったため(10秒間の時間不足)」で1名再試験しなっています。たった10秒の不足です! 誰がどのように試験時間を計測して、試験会場の不備が判明したのでしょう。この人だけ10秒早く解答用紙を回収したのでしょうか?? 試験は学校保健法には縛られないためにインフルエンザの学生さんが受験しても問題はないそうです。今年58万人受験して、疾病・負傷による追試験者は466人でした。再試験になると二次試験の出願に際して他の受験生との比較が出来ず結果判明も遅くなることから、無理をしてでも正規のセンター試験を受けた方が良いのでしょうね。私の勝手な推測ですが、58万人も受験したとなると、恐らくその中の数千人はインフルエンザに罹っていたかも知れません。中には、試験1日目に会場で感染して、試験2日目の最中に発症した学生さんもいたかも知れません。体調万全で試験に臨むのもなかなか大変です

書評「逆説の日本史 西南戦争と大久保暗殺の謎」「メキシコ麻薬戦争」など  18年1月3日
 今年の正月休みは読書三昧です。井沢元彦氏の新著「逆説の日本史22 明治維新編 西南戦争と大久保暗殺の謎」を読みました。近年のNHK大河ドラマでは平成20年の「篤姫」が私にとっては出色の出来でした。篤姫のサウンドトラックは今聞いても耳に染みわたります。今度の逆説の日本史では、西郷隆盛がなぜ下野して西南戦争で最期を遂げたのかの背景がよく判りました。今年の大河ドラマ「西郷どん」の放映開始が楽しみです。井沢氏は、宗教的な背景をもとにした新たな歴史像を示してくれます。「逆説の世界史」も著しているとのこと。調べると県立図書館に蔵書でありました。井沢氏が、中国史・古代エジプト史・一神教の世界をどのような世界史として示しているのか? 今から読むのが楽しみです。
 もうひとつ、ディープな本の紹介を。きっかけは、Netfrixの「ナルコス」というドラマのロケ下見スタッフがメキシコで惨殺されたというニュースからです。気になってビデオの旧作が出ているシーズン1を借りて観てみました。これまでおぼろげながらの知識しかなかったコロンビアの麻薬カルテルの歴史がなぞれます。そこから麻薬を扱う世界の裏社会の歴史に興味がでました。
 歴史を理解できる本を紹介すると、
1、ヨアン・グリゴ著「メキシコ麻薬戦争」 なぜコロンビアからメキシコに密輸の主体が移ったのか、世界でもまれにみる暴力がなぜ生まれたかの歴史がわかります。世界でも類のない残忍な行為は、軍特殊部隊出身者が設立した組織から始まりました。その手法は中米の共産組織との戦いを支援した米軍のマニュアルからも得られています。英国からのアヘン貿易によって中国でアヘンが蔓延し、中国移民が最初はメキシコのネットワークを握っていましたが、その後地元の組織に権力が移行し、コロンビアからマイアミへの海上からの密輸ルートが絶たれたために、米国と長い国境を接するメキシコが密輸を制するようになりました。この本の著者の凄いところは、今後の改善策をしっかりと提言していることです。禁酒法のせいで醸造販売が非合法になりギャングの資金源になりました。麻薬の合法化と課税もひとつのプランであることが理解できます。
2、ミーシャ・グレニー著「世界犯罪機構 世界マフィアのボスを訪ねる」 冷戦崩壊後のボスニア、ロシア、イスラエル、日本、中国の裏組織の歴史が網羅的にまとめられています。ソ連崩壊後などの権力の空白期には、裏社会と国の資産を奪取した新興財閥が癒着します。ロシアでは違う裏組織をバックに、内務省軍とKGBがモスクワ市内で撃ち合いました。裏組織の資金源はどこでも、麻薬、人身売買が主ですが、ロシアや旧ソ連のコーカサス地方ではキャビアや石油も重要な資金源です。日本も終戦直後の混乱で塗炭の苦しみを味わいましたが、それでも島国で国境がないこと、犯罪組織が組織化されていたことで、世界の国々の崩壊期に比べればいかに秩序立っていたかがわかり少しホッとしました。
3、佐藤哲彦他著「麻薬とは何か 禁断の果実五千年史」 麻薬は中枢神経に作用し麻酔作用もある薬理学上も重要なジャンルです。学生時代にも薬理作用は学びましたが、この本では様々な麻薬のディープな歴史を網羅しています。ヒッピー文化とLSD、レイブ文化とエクスタシー薬などの若者の風俗との関係が述べられており、いかに豊かな国アメリカが新たな麻薬の普及に関わっているかが判ります。日本の覚せい剤取締法で所持をまず罪にしたのは、当初は覚せい剤が市販品として売られており、市販の規制が始まって密売人が多くなってきたための対応としてで、覚醒剤第一次流行期の検挙が急に増えたのは東側諸国の資金源を断つためでした。
4、工藤律子著「マフィア国家 メキシコ麻薬戦争を生き抜く人々」 麻薬組織の研究ではなく、現地の子供達や被害者のルポルタージュです。統計に出てこない犠牲者の孤児がいかに多いか。暗澹とさせられます。
(1月27日追加)
 井沢元彦氏の「逆説の世界史」①古代エジプトと中華帝国の興廃 ②一神教のタブーと民族差別 二巻を読了しました。いや、面白かったです。私のとって人生最高の歴史書といっても過言ではないでしょう! 穢れを忌む無意識な多神教の日本人から見た、一神教や儒教、古代の多神教の解説です。一神教徒から見た常識と多神教徒から見た常識の違いが良く判りました。縦横無尽の知識と簡潔化した解説で、複雑な古代オリエントやエジプト史、中国史、中近世イスラム史、中世西欧史がスーッと頭に入ってきます。高校時代に世界史を選択していた私ですが、中世のヨーロッパと中近東の歴史はいくら読んでも全く繋がりませんでしたが、この本に出合って初めて全体が見渡せた気がします。それにしても井沢氏の歴史を俯瞰する知識と理解力には脱帽です。いつか、井沢元彦氏と池上 彰氏、佐藤 優氏の3人の鼎談を聞いてみたいものです。次は、県立図書館で”貸出可”を確認している「イスラームから見た「世界史」」タミム・アンサーリー著 に挑戦したいと思います。
(3月21日追加)
 先日取り上げていたタリム・アンサーリー著「イスラームから見た世界史」をやっと読了しました。筆者は、西欧から見た"中近東"という呼称をあえて"ミドルワールド"と呼んでいます。ミドルワールドは古代文明が生まれ、ユダヤ教・キリスト教・イスラム教という同じヤハウェという神を崇める宗教が生まれた地域です。また西洋と東洋インドの結節点でもあります。ムハンマド(マホメット)が啓示を受けたのちのわずか数十年でイスラム教は爆発的に広がりました。神の下で人間は平等である、イスラームの教えでは寡婦を保護し(ムハンマドは若くして父親を亡くしています)、貧しき人々に施しを行うべしとが教えにあります。初期のイスラーム世界ウンマに入れば人は皆平等で安心して暮らせると人々は感じました。私は一神教者ではありませんが、イスラム教の支持される理由が理解出来た気がします。しかし外お世界に向けては、イスラームの教えでは、異教者でも人頭税ジズヤを納めればイスラーム世界の中での共生を許されるが、そうでない異教者や棄教者には厳しく当たるようにも定められています。宗教や文明の対立はなかなかに解決困難です。イスラーム世界も多様で、最初の中近東のアラブ人のイスラム、ペルシャ人(現イランとヒンズー教と共生していたインドのムガール)のイスラム、北方遊牧民族が定着したトルコ人のイスラムがあります。ムハンマドの後継者カリフをどのように認めるかでスンニ派、シーア派をはじめ様々な流派に分かれてもいます。この本では、イスラームの視点で、中華社会や西欧の発展も描いています。イスラム文化が花開いていた時代に西欧が暗黒の中世史だったのに、なぜ近世には、西欧社会が国家国民の概念の確立と産業革命で植民地を持つような覇権者になったのかも描いています。なぜイスラムとヒンズーが支配していたインドで、英国がなし崩しに支配を強め、大きな侵略戦争もせずにインド東会社を経て英国国王がインドの統治者となり得たのか。南下政策のロシアとそれを防ぐ英国の地政学的な駆け引きのなかでも、過去も現在もアフガニスタンの攻略が難しいのか。中東戦争から9.11まで続く西欧による圧迫や、イスラームからみた聖戦ジハードの意味も伝えています。私は高校時代に世界史を選択していましたが、中東の歴史の流れは今の今まであやふやなままでした。私は、日本史から見た世界史と、西欧史から見た世界史、少しは中華世界からみた世界史は理解したつもりでいましたが、中近東から見た世界史は理解できていませんでした。世界情勢の流れを理解するためにも、私にとって大いに啓発された本でした。この本は子供たちに語りかけるような文章で、物語を読んでいるような感覚で読み進めることが出来ます。世界情勢を深く理解するためにはとても役に立つ書籍だと思いました。
 診療が忙しかったこともあり、厚い本はなかなか読み進められませんでした。丸山真男講義録の完読はあきらめました。今日はお休みを利用して県立図書館に立ち寄りました。返却と入れ違いに企画書コーナーにあった航空関係の本を中心に借りてきました。好きな交通の本でリラックスしようと思います。城山公園の桜も2分咲きでした。春満開ももうすぐです。 

Facebookへの投稿  17年12月24日 
 ホームページの疾患情報は当院のFacebookにも転載しています。お恥ずかしいのですが、実はFacebookの投稿をこの夏から怠っていました。言い訳になるのですが、Facebookのページの進化にはビックリします。どんどん新しい機能が追加されて私も把握しきれません。特に当院のページも会社(ビジネス)のページとして登録されていますので、広告を出す、近隣に広告を出す、広告を管理、電話の発信を促す、クーポンを作成、ビジネスの道順を紹介、いいね!を増やすために工夫する、、などのコーナーがどんどん増えて、私としては「なんだかなー」という感じでしたので、ついつい投稿が億劫になっていました。昨日、遅ればせながら夏からの疾患情報を追加しました。Facebookでフォローして頂いていた方々には大変失礼しました。
 若者の間では、SNSの流行は Facebook → Line → Instagram だそうです。私はもう付いていけません。(-.-)

  「院長の徒然草」過去ログ ~17年12月 へ
 

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