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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

院長の徒然草 過去ログ ~17年1月

「今月の疾患情報」のコラムも一部再掲しています。
  「院長の徒然草」過去ログ ~16年 8月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~15年 1月 へ

  「院長の徒然草」過去ログ ~13年 3月 へ
  「院長の徒然草」過去ログ ~12年 12月 へ

急性中耳炎・全国サーベイランス研究その後  17年1月19日
 当院が研究協力施設になっている「急性中耳炎・全国サーベイランス研究」(慶應義塾大学医学部感染症学教室)の中間報告が発表されました。この研究は全国の医療施設から中耳炎の膿汁を集めて、ウイルスや肺炎球菌のタイプ(莢膜型や遺伝子型)まで詳細に測定します。慶應大の研究で学会発表前でもあり、私からの詳細な言及は控えますが、例えば、肺炎球菌ワクチンの普及後にワクチンに含まれないタイプの耐性菌が増えてきている、など、興味深い知見が多数得られています。この研究成績が、今後の中耳炎のガイドラインに反映されたり、世界に向けて公表されることを期待しています。
(18年8月10日追加)
 当院が参加登録していた、慶應大の感染症学教室が行っていた「急性中耳炎の起炎菌に関する全国サーベランス研究」の日本感染症学会・日本化学療法学会・日本耳鼻咽喉科学会での発表資料が送られてきました。研究結果では、1)肺炎球菌ワクチンの普及とともに肺炎球菌の検出率や莢膜型、耐性遺伝子の割合が変化している。2)起炎菌では肺炎球菌が減少し、インフルエンザ桿菌が増加している。3)インフルエンザ菌検出例では、中耳炎治療ガイドラインで推奨する抗菌薬から変更しなければいけない場合が多く、これまで高い有効性を誇っていたキノロン系抗菌剤の耐性菌も出てきている。などが報告されています。本研究は遺伝子解析による薬剤耐性も調べており、臨床の立場から見てもおおいに参考になります。当院の診療が研究として活用されたことは臨床医として感無量です。中耳の膿汁の検体採取に協力頂いた子供達をはじめとする患者様や保護者の方の協力に改めて感謝します。

頭部CTの導入  16年1月18日
 当院では、頭部・胸部のレントゲンも撮影できる頭部CTの導入を検討していましたが、今日、既存のレントゲン室に収まることが確認できましたので、導入を決定しました。なんと国内で最初の導入施設になるとのことです! 当院では久々の大型投資となります。副鼻腔炎の手術適応の判断、鼻鼻骨折や顔面外傷の評価、唾石の確認、睡眠時無呼吸での咽頭腔の評価などに活用できるものと思います。思えば私が開業する前に勤務していた病院では、必要があれば放射線部がすぐにCTやMRIを撮影してくれていました。患者様のメリットも大きかったと思いますが、私の診療スキルの向上にも貢献してくれていました。気になる所見に対してすぐに答えが出ることは、私の”若かりし頃”の診療スタイルに戻れそうで楽しみです。画像診断を敢えて積極的に行ってない当院の診療スタイルからすれば、恐らく投資資金を回収することにはならないと思いますが、その場で直ぐに評価出来て総合病院に紹介する頻度も少なくなると思われますので、患者様にとってのメリットも大きいと思います。コーンビームCTですので被ばく量も少なくて済みます。詳細は追って紹介したいと思います。
(3月18日追加)
 当院では、明日の夕方より祝日明けまで、休診を利用してCTの設置工事を行います。これからは、診察中に気になる所見があった時には、すぐにCTで確認できます。決して闇雲に撮る訳ではありませんが、必要な時に直ぐにCT所見が得られる状況は、私としては前任の県立病院で勤務していた時以来です。CT精査を目的に高位の病院に紹介する機会が減りますので、患者様のメリットにもなると思われます。医療費負担が増えることを忘れないようにして、有効活用したいと思います。
(3月21日追加)
 CTの設置が昨日無事終了しました。今日は放射線の漏洩試験も行われました。CTメーカーのレイジャパン、耳鼻咽喉科機械メーカーの永島医科器械、当地の代理店の協和医理器の方々にはお世話になりました。迅速的確な設置で、トラブルもなく、今日から運用を開始することが出来ました。あと数日のガイダンスを経て本格的な運用に入りたいと思います。今日は早速、好酸球副鼻腔炎や術後性頬部のう腫の評価に活用出来ました。その場で的確な判断が下せますので、患者様からも喜んで頂けました。放射線を用いる検査装置ですので、今後も放射線被ばくのデメリットを十分に理解して頂いた上で、検査を行なっていきます。CT導入に際して、このホームページ上に、コーンビームCTの説明や耳鼻咽喉科領域での活用点、放射線被ばくなどについて説明するページを設けました。
(3月22日追加)
 今日の午後、診察終了後に、CT操作法のスタッフミーティングを行いました。また私もインストラクターの方から、画像処理ソフトの使い方のレクチャーを受けました。いよいよ本格的な運用が始まります。
(4月7日追加)
 当院でCTを導入して早いもので2週間以上経ちました。トラブルなく安定して稼働しており、真珠腫や腫瘍の検出など、早速威力を発揮しています。CT製造メーカーのRAYJAPAN社より放射線被ばく量のレポートが届きました。気になって私が要望していたデータですが、成人や小児の体格別、部位別の詳細なデータを頂きました。なかなかしっかりしたメーカーさんです。(^^♪ 以前まとめた被ばく線量の表に、当院のRAYSCAN耳鼻科用CTのデータを加えました。以下に掲載しています。当院のデジタル撮影では、鼻や胸部の撮影で東京~ニューヨーク片道の航空機内で受ける線量の約1/4、CTでは2~4倍となります。側頭骨を広く撮影する中耳~内耳のCTではそれなりの放射線量になります。検査では少なからず被ばくすることを改めて肝に銘じて検査を行いたいと思います。電気事業連合会のデータを見ると、当然、検査を受ける状況からは被爆のデメリットよりも検査を受けるメリットの方が遥かには大なのですが、心臓カテーテル検査の局所の被ばく量はさすがに凄いです。緊急作業の被ばくへの制限は最大100ミリシーベルトでした。福島の原発事故の対応のドキュメンタリーの緊迫した情景を思い出しました。

被ばく線量について:
 国際放射線防護委員会(ICRP)では年間の放射線の被ばく量の限度として、年間約1mSv(ミリシーベルト)が理想的であると勧告しています。以下に、被ばく線量の目安を挙げます。
  0.006:歯科デジタル撮影(フィルム撮影0.01)
0.01~0.05:RAY SCAN耳鼻科デジタル撮影(フィルム撮影0.02)
      歯科デジタルパノラマ撮影(フィルム撮影0.04)
   0.06:RAY SCAN胸部デジタル撮影(フィルム撮影0.09)、胸部X線検診 
0.11~0.19:東京~ニューヨーク往復の航空機内
0.21~0.79:RAY SCAN耳鼻科用CT(成人副鼻腔0.28 成人耳0.78)
   0.6:胃X線
    1.0:一般公衆に対する制限(年間)
   2.0:頭部CT
   1.5:日本での1人当たり年間自然放射線量
   2~10:PET検査
   2.4:世界平均での1人当たり年間自然放射線量
2.4~12.9:CT(頭部CT2.0 胸部CT6.9)
    3.0:胃造影X線検診
    10:ブラジル・ガラバリ市、イラン・ラムサール地方の年間自然放射線量
     50:発電所作業員への制限(年間)
    100:緊急作業への制限
100~6200:心臓カテーテル検査(皮膚)
   200:臨床症状が確認される被ばく線量
   500:全身被ばくで末梢血中のリンパ球減少
  1.000:全身被ばくで10%の人が悪心嘔吐
  7.000:全身被ばくで100%死亡
(単位はmSv、RAY JAPAN社ならびにアールエフ社、国連放射線影響科学委員会、電気事業連合会のデータに加筆)

今シーズンのポールンロボ設置  17年1月14日
 今日、診察終了後に新しいポールンロボを設置しました。当院での花粉観測開始です。早速今晩も、花粉が観測されていました。ポールンロボは花粉様粒子の自動観測ですので実測ではありませんが、花粉飛散の強弱は分かります。そしてなにより時間単位のリアルタイムデータが得られますので、「昨日雨で今日は暖かいから朝から花粉が大量飛散だな」とか「今日の日中は寒くて飛散は少なかったが、夕方から夜にかけて結構花粉が落ちてきたな」などと判断できます。生活リズムや外出の時間帯をみてマスク着用の有無を判断したり、お洗濯を干す時間帯の参考にして下さい。

小児の睡眠時無呼吸症候群  17年1月6日
 小児の睡眠時無呼吸症候群(SAS)についてですが、2005年の睡眠時無呼吸国際分類の第2版からは、成人の無呼吸低呼吸指数(AHI)とは独立して記載されるようになりました。成人では1時間当たり5回以上無呼吸発作のみられるAHI5以上で軽症のSASとされますが、小児では1以上で軽症、10以上で重症と分類されます。小児の睡眠時の低換気が脳細胞や発育に及ぼす影響を成人よりはシビアに見ています。当院では小児のいびき症でも睡眠時無呼吸が疑われる場合には、まずスマホ動画などによる確認を行いますが、重症度を判別するためには在宅の睡眠ポリグラフ検査も積極的に行っています。年末年始に行った検査でも、小児で高度無呼吸に分類される例が続きました。小児のSASの大部分が口蓋扁桃+アデノイド肥大による閉塞型SASで、その大部分が手術(口蓋扁桃摘出アデノイド切除術)で劇的に改善します。深睡眠が妨げられているお子様に対しては積極的な手術治療をお勧めしています。

インターネットラジオ  17年1月6日
 今、この文章をパソコンの前で、インターネットラジオ”Suono Doruce”を聞きながら、米国雇用統計の発表を気にしながら書いています。このラジオは、キーAM局のニッポン放送が運営主体のメロウサウンドが24時間が流れっぱなしの無料放送です。「東京・丸の内から1日中甘く切ないラブソングをお届けするラブソングステーション」です。作業用BGMとして、私のお気に入りです。スマホアプリもあり、様々なデバイスでの聴取が可能です。
(追加)このラジオは2018年に廃局となってしまいました。残念です。

声帯の腫れ  16年12月21日
 声帯の周囲に腫れもの(腫瘤)が出来た方の来院が続きました。声帯の腫瘤で最も注意しなければいけないのが喉頭癌ですが、その他にも前癌状態の白板症や、ウイルスによる乳頭腫、慢性炎症や機械的な刺激が誘因となるポリープや結節、先天的な要因が大きい嚢胞、感染による結核などがありますが、最近、肉芽(にくげ)と呼ばれる炎症性の腫瘤の目立った方が来院されました。ある方は声帯の後方中央部、後連合と呼ばれる場所に肉芽が見られました。逆流性食道炎による喉頭への胃酸の刺激が原因と考えられました。また、別のある方は、声帯から空気の通り道である声門に大きく張り出した肉芽腫で、全身麻酔による挿管の刺激が原因と考えられました。治療には胃酸の抑制剤(PPI)や吸入ステロイドを用います。

指定難病  16年12月18日
 昨年7月に指定難病が306疾患に拡大となりました。耳鼻科関連ではシェーグレン病、好酸球性副鼻腔炎、遅発性内リンパ水腫が主なもので、時にIgG4関連疾患や多発血管炎性肉芽腫症などが関連してきます。指定難病に申請すれば外来治療費の負担が3割から2割負担に減額されたり月の治療費の上限も設けられます。当院でも好酸球性副鼻腔炎やシェーグレン病で通院されて申請基準に該当する方もおられますが、1)入院治療や手術を要する方は限られ 2)月の薬剤費が多額になることが少なく 3)高齢者医療でもともと外来の負担率が2割以下の方もおられる 4)好酸球性副鼻腔炎のように申請の為にCT検査等を行う場合には別途検査代金の負担が発生する、などから申請のメリットが少ない場合がほとんどです。そのため、当院で実際申請するケースは年間数例のみとなっていますが、ここ数か月申請を検討する方が重なりました。出来る限りご本人のメリットとなるように申請のお手伝いが出来ればと思っています。

診療予約システム「アイチケット」更新  16年12月7日
 今日、当院の診療予約システム「アイチケット」の更新が無事、終わりました。。当院がアイチケットを導入したのが2005年です。当時、診療予約システムは電話を用いるものでも黎明期でした。アイチケットは、インターネットを通じて予約出来て、時間予約ではなく順番や診察の進み具合を確認できるシステムだったために、当時は画期的でした。耳鼻科は外科系として、外来中に急を要する処置や小手術が入ることもあり、診察のペースに波があります。そのため当時の私は”時間”予約システムの導入には二の足を踏んでいたのですが、”順番”予約の「アイチケット」が発表されと直ちに導入を決定し、当院は「アイチケット」の設立早期の導入施設となりました。その後、アイチケットは全国の医療機関に支持を広げ、今では日本における診療予約システムのシェアNo.1となっています。私が支持した会社が伸びたことから、私もなんだか誇らしい心持ちです。
 当院が導入していた初期のシステムは、院内のパソコン上でソフトが動いてネット上のサーバーにデータを送るシステムでしたが、来年の春をもってサーバー上でソフトが動くクラウドシステムに全面転換することになったことから、この度のシステム更新となった訳です。更新してみると、細かい機能が多々追加されていました。更新の手法も、東京の会社からのパソコンのリモート操作で更新ソフトをアイチケットの担当者が次々にインストールし、リモート画面を通じて当院スタッフがガイダンスを受けるなど、なにかとハイテクな感じでした。また、院内の掲示用モニターに各種の診療に関する動画が流れたり、スマホアプリが活用できたりと、私が知らない間にシステムは大きく進化していました。(';') 明日以降来院される方は、掲示用モニターの変化に気付かれると思います。とにかく、今日のところはトラブルなく導入できてホッとしていますが、ややシステムが複雑になったこともあり、明日の運用第一日目が少し不安です。明日の運用がスムースに運びますように、、 また、今回の更新で、患者様が見るスマホやパソコンの画面も刷新されました。アドレスも変更になっていますので、これまで利用されていた患者様はブックマークの変更お願いいたします。(ただし、これまでのページからも自動でジャンプしますので従来のアドレスにアクセスしてもご利用頂けます)

花園町のライトアップ  16年12月4日
 年末恒例で私が楽しみにしているものといえば花園町のライトアップです。今年はまだ電飾の準備が無いので、今年は花園町の電線地中化工事の影響で中止かも?と心配していましたが、今年は時期が変更になり、例年より遅くクリスマスからバレンタインまでとになったそうです。今年で10回目のイルミネーションイベントは「光のおもてなし in Winter ~アクア・フェリーチェ~」として、これまでの花園町通りからエリアと期間を拡大し、松山市駅から花園町通り、“恋人の聖地”に認定された二之丸史跡庭園まで、12月22日から2月14日までライトアップするそうです。南堀端から城山公園を通って二の丸庭園までライトアップが続くのでしょうか? きっと素敵でしょうね。松山城は、本丸広場からの市街地の眺め、3つの趣の違う登山道、ロープウェイやリフト、広大な城山公園とそのな中には市民会館、NHK放送局、県美術館、県図書館があり、さらに、二の丸史跡庭園、堀端の周遊路と様々な顔があります。堀端は実は私の高校時代の通学路でもありました。松山城は私のとって様々な思い出の詰まった素敵な場所です。
(17年1月18日追加)
 あれっ、今年の花園町の電飾は少ないなと思っていた冬のライトアップですが、今日の夕刻、”お堀の図書館”県立図書館に立ち寄った際に城山公園の電飾を見ることができました。今年のライトアップは「光のおもてなし in Winter ~アクア・フェリーチェ~」とのこと。“恋人の聖地”二之丸史跡庭園のライトアップが素敵だそうです。気になりましたが時間と気合の関係で、県美術館周囲のライトアップだけ見ました。(-_-;)
 県美術館の電飾が松山市民会館まで輝きが続いています。NHK松山放送局の前庭の電飾は雪だるまがかわいいです。”夜の”県美術館図書室は開館時間中は無料で、眼前に松山城を望みながら、ゆったりと画集や写真集を閲覧できます。いつか時間を忘れて、こころゆくまで過ごしたい場所です。

インフルエンザの点鼻生ワクチン  16年11月25日
 米国で承認済みのインフルエンザの点鼻生ワクチンのフルミストですが、私は今シーズン日本でも認可されると思っていたのですが、米国で新しい動きがあったようです。米国疾病予防管理センター(CDC)が、15/16シーズンに2~17才で検討したフルミストのインフルエンザ発症予防効果が注射の不活化ワクチンより低かったとして、今シーズンは”フルミストの接種を推奨しない”としました。点鼻は接種時の痛みがないことから子供に優しいワクチンとして期待していたのですが、どうやら認可の雲行きが怪しくなっています。代わってと言ってはなんですが、11月に日本の日東電工が阪大微生物研究所との共同開発で、経口の舌下免疫インフルエンザワクチンを開発すると発表しました。経口免疫では抗体が出来にくいのですが、日東光電が抗体の生成を促す補助剤の開発を担当するそうです。私は初耳だったのですが、既に臨床試験は始められており2020年以降の製品化を目指すところまできているそうです。スギやダニへの減感作だけでなく、ワクチン領域にも経口免疫の臨床応用が始まろうとしています。これも子供に優しいワクチンになりそうで、技術の完成が楽しみです。 

アニメ「坂道のアポロン」  16年11月23日
 休日に2012年放映のテレビアニメ「坂道のアポロン」を観ました。YouTubeの”お勧め”になにげに出たのを少し見ただけで虜になりました。映画化されておらず、また、これまで私がアニメに縁が無かったこともあり全くのノーマークでしたが、実は「このマンガがすごい!2009」オンナ編で第1位、第57回小学館漫画症一般向け部門受賞などの受賞歴もある作品です。私は以前「ピアノの森」を紹介しましたが、「ピアノの森」が高校生がショパン・コンクールを目指すクラシックの音楽アニメなら、「坂道のアポロン」はジャズ・セッションを行う二人の高校生の物語です。音楽が流れるドラマが好きな人にはお勧めです。

抗アレルギー剤の新薬  16年11月19日
 18日に抗アレルギー剤の新薬2種、デザレックスとビラノアが処方可能となりました。抗アレルギー剤の分野では、ディレグラ配合錠が発売されて以来3年半振り、単剤としてはザイザル以来6年振りの新薬です。新薬は薬価が高いのが通り相場で、ディレグラの発売時に私は「こんなに高いの」とビックリした記憶がありましたが、当時と違い、薬価の承認基準が大きく変わりました。超高額な抗がん剤のオプジーボの公定価格見直しは、中医協の審議で、9月の時点では発売1年で例外的に薬価を25%引き下げるとの方針でしたが、官邸の意向もあり13日の協議では当初の予定よりもさらに引き下げ50%下ることで決定しました。今回発売された抗アレルギー剤にも新しい薬価算定の流れが影響しています。この2剤はいずれも既に海外で発売されており、特にデザレックスは以前から発売されているクラリチンの代謝活性物で、いわゆる改良品です。海外で既に発売されている薬剤は海外での薬価を参考にし、改良品は完全な新薬ではないとして新薬としての薬価上の加算をしないとうい新規定ができたことから、今回の新薬は画期的に安くなりました。既存の抗アレルギー剤よりも安い価格です! 予定していた価格よりも低い価格となったために製薬会社は大変ですが、実際に服薬する患者や、財政を負担する国は助かります。(^.^) デザレックス、ビラノアともに、○効果が高く ○速効性があり ○1日1回の服薬で済み ○眠気の発現が少ないことから添付文書に「眠気を催すことがあるので、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に注意すること」との注意書きはありません。特にビラノアは ○12才以上の小児も服薬可能です。今回の新薬の登場に際しては、私も、効果や副作用、費用負担のデメリットを考えずに処方できそうです。 

広島国際会議場での日本耳鼻咽喉科学会専門医講習会  16年11月10日 
 今回開催されるのは専門医講習会という形式の、講義や実習が主体の講習会で、広島で開催されます。例年であれば私は主に5月の総会学術集会に参加していました。今回、専門医講習会に参加することになったのは、私が再来年満期となる専門医資格の更新のためには、従来と異なり、新たな専門医制度の下での科を問わず全ての専門医資格に必要となった「医療倫理」や「医療安全」といった講習を受ける必要が出てきたためです。今回の学会出席は”宿題”を終わらせるためのようで、前向きとういよりは少々気が思いのですが、専門医資格は目に見えるライセンスとして重要ですので、しっかり受講してこようと思います。専門医講習会では必須の講義以外にも、実技講習があります。ここが従来の学会とはおおいに違うところです。ちなみに今回の講習会での実習を紹介してむると、以下の通りです。外耳・中耳疾患に対する耳処置と中耳手術の基本手技、嚥下内視鏡検査と嚥下障害の治療、 内視鏡下鼻副鼻腔手術の基本手技 、超音波検査と穿刺吸引細胞診の実際、耳鳴検査とリハビリテーション 、補聴器、音声機能検査とリハビリテーション、平衡機能検査とリハビリテーション、睡眠障害の検査・診断・治療、アレルギー性鼻炎の検査と治療、乳幼児聴力検査と難聴児の診断・治療・聴覚検査(聴性定常反応、耳音響放射を含む)。専門医制度は、医療技術を担保するものです。医学に関する座学だけでなく、広く技術を得るためには有用な制度です。今回私は、乳幼児聴力検査と難聴児の診断・治療・聴覚検査の実習を受ける予定です。聴力検査のスキルアップを目指してきます。(^^)/
(11月23日追加)
 私はお休みを利用して、先日参加した専門医講習会のおさらいと、この冬に私の論文が小児科の学術雑誌に掲載されることを契機に自分の研究業績のおさらいをしました。ネット時代のおかげで研究のための文献検索も便利になっています。米国国立医学図書館の国立生物科学情報センターが作成しているデータベースPubMedでは世界の医学論文の抄録が無料で検索できます。J-STAGEでは国内で発行された学術論文全文を読むことができます。多くは学会毎の参加者がパスワードで入る必要があるのですが、「耳鼻臨床学会誌」に掲載の私の学位論文は無制限で公開されていました。未来に向かって私の足跡が残せると考えると感慨深いです。私が研究していた当時に最新の研究に触れることが出来たのは、大学図書館の研究雑誌か、有料で手配する論文検索しかありませんでしたので、隔世の感です。これを機会に 研究業績 のページを新設しました。

 専門医講習会で私が得た知識を忘備の意味も込めて、以下に挙げたいと思います。普段の学会と違い、講習会は専門医としての知識を確認する場です。臨床医としての実践的な知識や技術の確認になりました。やや専門的な内容ですが、耳鼻科医療の現状やレベルが判ると思います。興味のある方はご一読下さい。

○乳幼児聴覚検査:新生児1000人に1人の割合で難聴。難聴児の聴能訓練を見つかってから6ヶ月以前に開始した場合とそれ以降の場合では習得語彙数に差が認められることから、早期発見・早期治療が重要。
1)スクリーニング
OAE(耳音響放射:DPOAE,TEOAE):耳に刺激音をいれ、これに反応して内耳から放射される小さな音を拾う。Passは、1kHz以上で25-30?、少なくとも40?に反応と考える。内耳障害だけでなく中耳や外耳障害でもRefer(要再検)。
AABR(自動聴性脳幹反応):脳波の誘発電位であるABR(聴性脳幹反応)を利用して、自動判定。6か月児まで適応。両側耳介にイヤーカプラを装着し700~5000Hzの35dBのクリック音で刺激し、前額部と項部と肩に装着した電極より記録。
2)精密検査
聴性脳幹反応(ABR):従来はクリック音式、500Hz tone pip音での検査装置あり。
3)乳幼児聴力検査
a)聴性行動反応聴力検査 (Behavioral observation audiometry: BOA) :対象は生後5ヵ月より。視界の後ろから大きな音を聞かせ定位反応の有無を見る。太鼓、鈴、紙のこすれる音も使う。
b)条件詮索反応聴力検査(Conditioned orientation response audiometry: COR):対象は1才児より。左右に設置したスピーカーと光源を組み込んだ装置を使う。音が聞こえると光に照らされるなどの方法で、どのくらいの音で反応するかを観察。反応すれば幼児を褒めるのがコツ。
c)PEEP SHOW:対象は3才以上。ヘッドホン着用無し。音に反応してボタンを押したら褒める。
c)遊戯聴力検査 (Play audiometry) :対象は3才6ヵ月以上。ヘッドホン着用。音が出ている時だけボタンを押すと玩具が見える装置を使って条件付けを行い聴力閾値を測定。
○顔面神経術中モニタリング:耳下腺腫瘍、真珠腫性中耳炎などの耳科手術、聴神経腫瘍などの側頭骨頭蓋底手術での顔面神経の確認、顔面神経麻痺への顔面神経減荷手術での神経麻痺の予後判定に使用。術中に筋弛緩剤は投与しない
○ナビゲーション手術:実視野に拡張現実(augmented reality)で内耳や顔面神経を映しこむ。手術器具先端の位置を決めるには光学式と磁気式がある。
○cadaver(ご遺体)による手術修練:平成24年に日本外科学会と日本解剖学会が「臨床医学の教育および研究における死体解剖のガイドライン」を策定。耳科学会でも策定中。ホルマリン固定と未固定がある。
○頭頸部腫瘍における緩和医療と看取りの医療
○鼓膜が正常な伝音難聴:耳小骨固着では聴力低下が低音域のみに限局する場合があり低音障害型感音難聴との鑑別に注意。固着が進むと低音域から中高音域に気骨導差が波及し2000Hzの骨導域値上昇(カールハルト・ノッチ)を伴う聴力像stiffness curve)となる。アブミ骨筋反射は伝音難聴の方が早い時期から抑制される。耳小骨周囲の軟部陰影では先天性真珠腫の合併も注意、その際はMRI拡散強調画像が有用。耳硬化症のCT所見では、前庭窓前縁や迷路骨包の微細脱灰像。0.5㎜以下で撮影すれば前庭窓前方に限局した脱灰硬化所見も半数で確認可能。迷路骨包全体に脱灰が拡大し高度難聴を呈する蝸牛型耳硬化症もアブミ骨固着を伴った耳硬化症の進展例と考えられている。耳硬化症では1000Hzの気骨導差dが20?以上拡大すれば手術を念頭においた聴覚管理となる。
○悪性外耳道炎:強い炎症による骨破壊を伴った側頭骨骨髄炎。夜間に増強する痛み、外耳道底部の肉芽、糖尿病合併、緑膿菌の検出。ANCA関連中耳炎、中耳結核、外耳道癌が鑑別疾患。病理検査で確定。
○副咽頭間隙腫瘍:迷走神経、舌下神経、交感神経由来の神経鞘腫と耳下腺深葉から発生する多形腺腫が多い。
○喉頭外傷;内腔の損傷が高度で癒着、狭窄が危惧される場合にはステント留置
○新専門医制度:専門医数の推移-過去20年で、麻酔科、精神科が増加、耳鼻科は減少した産婦人科、外科に続く横ばい。
○薬力学とドラッグデリバリーシステム
○頭頸部癌治療薬と副作用:白血球数1000、好中球500以下で顆粒球コロニー刺激因子G-CSF使用、ヘモグロビン8以下で濃厚赤血球輸血、血小板2.5万以下で血小板輸血。
○突発性難聴へのステロイド鼓室内注入ITS:デキサメサゾン2㎎連日8日投与。糖尿病などステロイド全身投与危惧症例でも安心して施行可能。軽度から高度難聴に対して有効かつ副作用の少ない安全な治療法。
○抗菌薬のPK/PDパラメーター:PK薬物動態-濃度変化のパラメーター、PD薬力学-抗菌作用のパラメーター
○時間依存性抗菌薬と濃度依存性抗菌薬:時間依存はβ-ラクタム系抗菌薬、濃度依存性はキノロン系抗菌薬、後抗菌薬作用がグラム陰性菌のインフルエンザ桿菌やモラクセラ菌にはセフェム系で無いことからβ-ラクタム抗菌薬は増量が必要。
○点耳薬:1回4-5滴、点耳後に耳珠を数回パンピングし外耳道に陽圧をかける。チューブ留置後の耳漏には抗菌薬とステロイドの点耳が有効。3%過酸化水素水2倍希釈液、0.2%ピオクタニン液をMRSAに。4倍希釈ブロー液を組織障害が強い場合やMRSAに。
○指定難病:遅発性内リンパ水腫-難聴耳に半規管麻痺かつ水平回旋混合眼振、若年発症型両側性感音難聴-40才未満発症、両側性70?以上原因遺伝子の特定が必要、好酸球性副鼻腔炎、アッシャー症候群、臍耳腎症候群、ミトコンドリア病、神経線維腫症、顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、シェーグレン症候群、再発性多発軟骨炎、チャージ症候群、オスラー病、ベーチェット病、IgG4関連疾患
○身体障害福祉法:障害名 例)聴覚障害(内耳性難聴)、聴覚障害(語音明瞭度著障)、聴覚障害およびそれに伴う言語障害、平衡機能障害(末梢性平衡失調、中枢性平衡失調、小脳性平衡失調)、原因名 例)老人性難聴、慢性化膿性中耳炎、原因不明 発生年月日 不明な際には最初に医療機関を受診した日、0年頃 参考となる所見 言語獲得状況、日常会話の困難度、補聴器装用の有無、手術経過、介助での自立や歩行
○嚥下機能検査:反復唾液飲み検査-30秒間の嚥下回数、2回以下を異常とする、水飲みテスト-3mlの水嚥下、血中酸素飽和度モニター-食事中に2%低下、嚥下内視鏡検査VE-下咽頭梨状陥凹や喉頭蓋谷の唾液や食物残渣の有無、内視鏡先端で喉頭粘膜に触れる、嚥下造影検査VF
○嚥下機能改善手術:咽頭弁形成術、咽頭縫縮術、喉頭挙上術、輪状咽頭筋切断術、声帯内方移動術、声帯内注入術 
○難聴遺伝子検査:2012年保険収載10遺伝子46種類、2015年からは19遺伝子154種類
○言語発達遅滞:軟口蓋および舌の運動量不足-「か」発声時に舌背後半を挙上できる、筋機能療法 例)ふき戻しを吹いて伸ばす 音韻意識困難 発達ゲルストマン症候群 不器用をともなう発語困難症
○甲状腺エラストグラフィー:腫瘍の硬さを画像化するエコー検査
○甲状腺穿刺吸引細胞診:充実性結節では20㎜以上、10㎜以上で悪性疑う 5㎜以上で悪性強く疑う場合に施行。膿胞性では10㎜以上、充実性成分に悪性疑う場合に施行。22-23G針使用。エコーガイド下交叉法と平面法がある。組織は95%エタノールで湿固定。
○抗がん剤(分子標的薬)による副作用:間質性肺炎 他
○頭頚部癌への化学放射線併用療法
○頚部廓清術:頸動脈周囲270°以上または長径5㎝以上腫瘍が取り囲んでいれば切除不能。早期舌癌ステージⅠⅡでは口腔内部切により原発巣の制御は可能だが、術後1-2年で30%頚部リンパ節転移が後発してくる。舌への腫瘍の浸潤が4㎜以上では予防的頚部廓清術が推奨。センチネンタルリンパ節(原発巣から最初に腫瘍が流れ込むリンパ節)生検は頭頸部領域ではまだ保険収載されず。
○耳処置と中耳手術:鼓膜チューブ留置ではローゼン探針で押し込む。外耳道局所麻酔は1時の方向に1ml浸潤麻酔。
○耳鳴:遮蔽検査-遮蔽されて聞こえなくなる遮蔽音の細小レベルを求める。遮蔽音は2-3秒与える。音響療法-環境音、音楽、ラジオ放送、サウンドジェネレーター、補聴器
○音声機能検査:最長発声持続時間MPT-/a/発音、正常は男性15秒以上、女性10秒以上
○音声訓練:緊張を緩める-あくびため息法、咀嚼法、ハミング法、チューブ発声 緊張を高める-プッシング法、硬起声発声法 声を低くする-指圧Kayzer-Gutzmann法、硬起声発声法 声を高くする-裏声、地声変換発声 声門閉鎖を強める-プッシング法 呼気力を高める-呼吸訓練 包括的治療-発声機能拡張訓練、Lessac-Madsen共鳴協調訓練、アクセント法
○睡眠障害:小児の診断基準は1時間に1回以上の閉塞型や混合性無呼吸や呼吸低下といびき、吸気時の鼻圧波形の平坦化、胸部腹部の奇異呼吸、ビデオモニタリングも有用、小児の治療には噴霧ステロイドや抗ロイコトリエン剤も使用、成人のAuto-CPAPは閉塞性肺疾患やうっ血性心不全があれば適応にならない。CPAP導入拒否や使用率低下への対応法
○嚥下内視鏡検査:検査食は食紅やゼリー、プリンを3ml、検査は1.上咽頭をパピプペポ発声で軟口蓋挙上と鼻咽頭閉鎖を確認 2.声門閉鎖と唾液貯留確認 3.内視鏡先端を喉頭蓋や披裂部に接触させて防御反射をみる 4.着色水嚥下時の反射惹起をみる 5.嚥下後の咽頭クリアランス確認
○嚥下のリハビリ:頭部挙上訓練-仰臥位、肩を床につけて頭部をつま先が見えるまで挙上1分休憩1分3クール 嚥下おでこ体操-額に片手をあて臍を覗き込むように強く下を向きゆっくり5つ数える プッシング法ー壁や机を押す、肩からこぶしを振り下ろす動作とともに強い発声、音声が良くなれば徐々に上肢の力を減らす
○頚部エコー検査:顎下腺、口蓋扁桃、舌は口腔底方向を見上げるようにプローブ当てる 癌頚部リンパ節転移の所見-部分的均質高エコー、嚢胞状部分、リンパ門からの血流途絶、硬いリンパ節、被膜が保たれていれば境界明瞭平滑
○補聴器適合検査:実耳挿入利得測定、挿入型イヤホンも用いて聴覚域値、不快レベル、快適レベル測定 補聴器装用閾値 語音明瞭度曲線、雑音下語音明瞭度検査 環境騒音許容検査 
○良性発作性頭位めまい症:外側半規管型は後半規管型より眼振潜時短く持続時間長く、疲労現象少ない クプラ結石は1分以上持続で方向交代性上行性眼振、半規管結石では1分以内の下向性眼振 浮遊耳石置換法は後半器官型でエプリー法、外側半規管型でレンバート法
○メニエール病:蝸電図で-SP増大で間接的に水腫推定陽性率60-70%、ガドニウム造影MRIで直接的に水腫描出陽性率80%
○前庭神経炎:単純ヘルペスの再活性、健側向き眼振数週持続
○平衡検査:眼球圧迫Aschner試験-1分圧迫脈拍10減少で副交感神経亢進 眼振検査-注視眼振が自発眼振より強ければ、または垂直性など種類を変化させる眼振で中枢性由来 前庭誘発筋電位VEMP-胸鎖乳突筋の電極で同側の卵形嚢と下前庭神経、眼輪筋の電極で対側の球形嚢と上前庭神経の評価 重心動揺計は局在診断よりも経過観察に有効、綿製だけが開眼閉眼ともに多いパターンは心因性めまいも
○聴覚検査:ウェーバーテスト-音叉を頭蓋正中に当てると骨導聴力の良い耳が良く聞こえる 純音検査-クロスヒアリングは気道音で50?、骨導音で5? 聴性定常反応ASSR-500.1000.2000.4000Hzの周波数別域値検査可能な脳波検査
○喉頭下咽頭の検査、手術:前屈顎引きのKillianの頭位で下咽頭腔が広がる、フード付き内視鏡有効 喉頭ストロボスコピーは声門癌や声帯嚢胞で声帯振動の阻害 経口的直達鏡手術TOVS
○救急蘇生法:2015年ガイドラインで、胸骨圧迫は100-120回/分、静脈ルート確保できなければ骨髄ルートも
○顔面神経麻痺:ベル麻痺の6割が単純ヘルペス、2割が帯状疱疹ヘルペス 表情筋運動40点法(柳原法)の10点以下で完全麻痺 誘発筋電図ENoG発症後10-14日後40%以上で1か月で改善、20%以上で2か月で改善ただし病的共同運動の可能性も、10%以上で4ヵ月で改善、10%未満の半数治癒せず 治療はデキサメタゾン60㎎より漸減(高度例やハント症候群では120㎎より開始) 完全麻痺かつENoG10%以下で顔面神経減荷手術も、慢性期にミラーバイオフィードバック療法や表情筋マッサージ持続、1年後よりボツリヌス毒素注射も
○耳管:機能検査-耳管鼓室気流動態法、音響耳管法、加圧減圧法でダイバーや航空乗務員の適正判定、耳管狭窄開放の判定、慢性中耳炎の換気能術前検査、滲出性中耳炎難治例の推測 耳管内視鏡検査 耳管内薬液注入は0.1ml通気嘴管に注入 
○嗅覚検査:T&Tオルファクトメーター:労災自賠責の後遺障害診断 平均認知域値2.6以上で嗅覚低下、5.6以上で嗅覚脱失 静脈性嗅覚検査-20秒かけて静注 潜伏時間10秒以内持続時間60秒以上が正常 保険請求できない検査にニオイスティックOSIJ-T、カード式ニオイ同定能測定具Open Essenceあり。

 今回の講習会は、広島平和記念公園内の広島国際会議場で開かれました。新専門医制度の影響で参加者が増え、日本の耳鼻科医約1万人の内の3千人以上の専門医が参加しました。予想以上の参加者で国際会議場のキャパシティーを超えたことから、急遽サテライト会場まで造設されました。国際会議場は広島平和記念資料館の横に建てられています。講習会の合間には平和記念公園を散策できました。平和記念公園と資料館は丹下健三氏の案がコンペで採用され、1998年には公共建築百選に、1999年には日本の近代建築20選に、2006年には世界平和記念聖堂とともに第二次世界大戦後の建築物としては初めて国の重要文化財に指定されています。外国人による「日本における必見の場所トップ20」のリストでは1位が宮島で、広島平和記念資料館が2位、3位松本城、4位東京ディズニーシー、5位沖縄美ら海水族館、6位伏見稲荷大社となっています。原爆ドームを望む歴史の重さとともに建築学上も貴重な場所です。慰霊碑の前の広場は先日のオバマ大統領と安倍首相がスピーチした場所です。資料館は現在改装中で、資料館直下の発掘では原爆投下時の跡が発掘されています。戦禍の記憶と国際政治の重みを身近に感じました。

ゆるキャラグランプリ2016in愛媛  16年11月6日
 3日の祝日、「ゆるキャラグランプリ2016in愛媛」の会場設営が終わった城山公園の入場ゲートです。愛媛県人にはなぜか認知度の高いゆるキャラグランプリですが、過去の成績を見れば納得です。ゆるキャラグランプリは2010年滋賀県の彦根で初めて開催されましたが、翌2011年以降の愛媛県勢の成績は素晴らしいです!
  2010年 1位 ひこにゃん
  2011年 1位 クマモン 2位 いまばりバリィさん
  2012年 1位 いまばりバリィさん
  2013年 11位 みきゃん
  2014年 3位 みきゃん
  2015年 2位 みきゃん
 一度優勝したキャラクターは次回からは参加しない決まりだそうで、「いまばりバリティさん」はすでに殿堂入りです。開催地のキャラクターである「みきゃん」は、全国から集まるゆるキャラやファンのおもてなしに専念するとしてエントリーしなかったそうです。今回のグランプリは2日間で5万1千人が来場、約1400体がエントリーし、会場には「くまモン」や「みきゃん」も含め約200体が集結したとのことで、今日の城山公園は凄い盛り上がりだったんでしょうね。結果は高知県須崎市の「しんじょう君」がグランプリ獲得です。四国勢大活躍です! 
 ここで私が気になったのは、あれっ有名人の「ふなっしー」はどうなっているの、、でした。調べてみると、ふなっしーは、2013年の日本百貨店協会主催の「ご当地キャラ総選挙 2013」で1位に輝いています。ふなっしーはある船橋市民が個人的に始めた梨がモチーフになったご当地ゆるキャラだそうで、当初は船橋市公認でないために公営の「ゆるキャラグランプリ」には出場できなかったそうです。2014年には船橋市とふなっしーの間に東京での梨のイベントでのすれ違いがありました。その後、人気の出てきたふなっしーに対し、なんと昨年3月には船橋市議会でふなっしーの市公認問題が議題に上っています。結果は、ふなっしー自身がもう公認を望んでいないことから、船橋市非公認が決定しました。続く6月の市長選で新市長が選出されると、市とふなっしーとの間の溝が埋まり、ふなっしーが市に迷惑をかけたことを謝罪し、市からは感謝状が贈られ和解に至りました。現市長の言では「公認にすると逆に活動に制限が出るので敢えて公認にしていないだけで、ふなっしーは非公認だけど船橋市がしっかり認めた存在」とのことです。船橋市とふなっしーにはいろんな経緯があったのですね。

マイコプラズマ感染症  16年11月3日
 マイコプラズマ感染症が4年ぶりの流行です。マイコプラズマは細胞壁の無い小さな細菌です。マイコプラズマ「肺炎」というおどろおどろしい病名が付きますが、ゆっくりと増殖し、感染細胞内に活性酸素を蓄積させて粘膜を軽く損傷することから、細菌やウイルスよりも穏やかな炎症反応で終わることが多いです。マイコプラズマが下気道で感染する際は、下気道の線毛細胞で滑走運動という特有の運動でゆっくりと広がることから、至近距離での激しい咳や痰で大量のマイコプラズマに暴露することが必要です。抗菌剤の作用は静菌的といって増殖を抑える作用が主体ですので、4年前の薬剤耐性菌による流行時のデータによると、有効な薬剤であっても発熱に対する治療効果は2日間発熱期間を短縮するレベルです。(ちなみに、増殖を抑える抗ウイルス薬で治療するインフルエンザの治療による発熱短縮期間は1日です) マイコプラズマは細菌感染のように重症化しない代わりに劇的にも治らない病気です。基本的には3~4週間で自然治癒しますが、肺炎化する時は感染した人の免疫応答を介して重症化します。多くの人は気管支炎1ヶ月で自然治癒しますが、時に肺炎で重症化します。上気道粘膜を遡ると鼓膜炎や中耳炎も起こし、重症化すると内耳炎で聴神経を痛める場合もあります。風邪をひいて1週間経つのに微熱が取れない、咳がひどくなる、上気道炎もすっきりしない時はマイコプラズマ感染症の可能性が高くなります。初感染で基礎免疫のない幼児では高熱が出たり、不定形発疹などの皮膚症状や下痢などの消化器症状を起こすこともあり多彩な経過を辿る場合もあります。耳鼻科として気管食道科としも曲者の感染症です。

書評「誰が音楽をタダにした?」「ゲノム編集とは何か」「殺人犯はそこにいる」  16年10月26日&11月3日
 スティーヴン・ウィット著の新刊「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち」を読みました。ゼロ年代に入り、音楽や映像メディアは、CD・DVD→有料配信→定額配信となりつつあります。特に音楽はYouTubeで流し聞きをする無料配信の時代に突入し、若者は無料配信が主流となっています。音楽業界の収益モデルは、CDや配信から得るよりもライブや関連グッズで得るモデルに劇的に変化しつつあります。この劇的な変化のオリジンが何か特定できるの?との興味から、ノンフィクション作品好きの私は一気に読みました。CD陣営オランダのフィリップス社とドイツの技術者のMPEGとMP3の規格標準化の闘い。ユミバーサルミュージック(現・米ソニー・ミュージック・エンターテインメントCEO)のダグ・モリス氏が仕掛け人ともなった黒人ラップ音楽やヒップホップ系の流行と、そのユミバーサル所属の人気ラッパー達の作品のMP3による違法コピーの普及とその顛末を、詳細に取材しています。インターネット普及による産業革命の一端が良く判りました。
 文化の日の自己啓発ですが、遺伝子治療に関する「ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃」小林雅一著(講談社現代新書)を読みました。ゲノム編集が、iPS細胞による再生医療、オブジーボなどの癌免疫療法薬などのトピックス同様にここ数年で技術のブレークスルーがあったことに驚きました。ノックアウトマウスという特定の遺伝子を欠損させた実験動物を作ることにより遺伝子組み換え技術が普及し、この技術がノーベル医学賞を受賞、免疫学や再生医療の発展に大いに貢献しました。しかし、この技術は遺伝子の編集には膨大な時間と労力がかかります。クリスパーという遺伝子配列を利用すると哺乳類の遺伝子も簡単に編集できます。クリスパーを発見したのは、なんと大阪大微生物研究所の石野良純氏らで1987年でした。クリスパーを使ってゲノム編集が可能と米国の研究者から発表されたのは2012年以降のことで、米国では熾烈な研究と特許の競争が繰り広げられています。ここ10年以内に、先天性遺伝性疾患の赤ちゃんに遺伝子改変の治療が行われるであろうと予測されています。医学の進歩は驚くばかりです。
 もうひとつ、ノンフィクション好きの私が読んだのは「殺人犯はそこにいる 隠微された北関東連続幼女誘拐殺人事件」です。作者の日テレ記者清水潔氏の以前のルポ「桶川ストーカー殺人事件 遺言」の印象もあり思わず手に取りました。この一連の仕事でも「日本民間放送連盟最優秀賞」「同テレビ報道番組優秀賞」「ギャラクシー賞」「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」などを受賞しています。半径10キロ圏内で5つの誘拐事件が重なったことに注目したことからの現場取材はさすがです。その中のひとつの事件「足利事件」の冤罪を暴きました。やはり組織や個人は知らず知らずに自己弁護してしまいます。冤罪が判った時点で検事や刑事の謝罪はありませんでした。判決時には、裁判官が頭を下げて謝罪しました。記者はさらに真犯人の目星をつけ、その本人に取材までするも、科捜研の問題もあり警察の追及の手は止まったままです。ミステリー小説ではありません、鬼気迫る実話です。 

小学校のエアコン導入  16年10月20日
 今日の午後診は、就学時検診出務により遅れて始まりました。お待ち頂いた皆様のご協力ありがとうございました。年々再々ですが、健診では、小学校という新しい舞台にちょっと緊張した子供達に、声援を送りました。また、私も元気をもらいました。健診時の先生との会話で、さくら小学校が教室へのエアコンの導入を準備していることを知りました。全国的には公立小学校へのエアコンの整備が広がってきているそうです。中学校でも、さくら小学校が校区の一部に含まれる西中学校では来年度からエアコンが整備されるとのことです。家庭や商業施設でこれだけエアコンが普及しているのですから、もうそろそろいいんでしょうね。全国の学校の冷房設置率のデータもちゃんとありました。文科省は3年ごとに調査しています。直近の平成26年度では、全国トータルで小中学校の普及率が30%、幼稚園が41%、高校が43%でした。小学校では東京都がダントツでほぼ100%導入です。意外だったのは四国四県でも差があったことです。徳島が26%、香川が81%、高知が14%で愛媛が5%です。私は今まで、小中学校はエアコンはないものと思っていましたが、愛媛県の設置率はなんと全国で43番目、愛媛以下の県は、北海道、青森、岩手、秋田だけでした。愛媛県の小学生は、夏の暑いさなかの授業を全国で一番耐えて受けていたんですね。(';')

余土中学校移転  16年10月13日
 新設移転した余土中学校、道路越しに見ても素敵です。移転早々の体育祭も終わり、そろそろ新しい校舎に慣れてきたんではないでしょうか? 私も生徒たちの新しい通学パターンに慣れてきました。学校の横を通る際に、テニスの練習風景を見かけました。真っ新なコートに真っ新な部室、コートの皆さんは元気に練習していました。新しい体育館の天井が高くなったそうです。体育館での部活も気持ちいいんでしょうね。

国民医療費  16年10月12日
 10月に入り薬剤費を中心とした国民医療費の問題が、厚労省と財務省がまるで呼応したようなタイミングで複数報道されました。今月、私は新聞を見る度に、今日も医療費の話題が、、と目に留まりました。後世から見れば今が ”医療の進歩に際限なく医療費はつぎ込めない”政策が次々と実行されるターニングポイントになるかも知れません。
 厚労省が2015年度の概算医療費を発表しました。13年連続で過去最高を更新し、前年度比3.8%増、特に調剤が9.4%と大きな伸びでした。主因は、1錠6~8万円のC型肝炎治療薬のソバルディ、ハーモニーの使用が秋から増えたことです。4日の財務省財政制度等審議会では医療介護費抑制の議論が始まりました。かかりつけ医以外の受診時の定額負担や高齢者医療費、介護保険料の負担増、介護サービスの給付抑制とともに、高額薬剤の臨時での薬価引下げの方針が示されました。このターゲットとなったのが、本庶佑京大教授らが発見した業績を基に、日本の小野薬品が開発した免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボです。14年の最初の承認時には皮膚癌の悪性黒色腫のみの承認で、日本での年間適応症例が470人であるとの想定時の薬価でしたが、今年度、推定患者数1万人の肺癌の中の非小細胞癌への適応拡大が認められました。オプジーボは100㎎あたりの薬価が73万円、体重60㎏の人が1年使うと薬剤費は3500万円となります。審議会では年間5万人が使えば年間の薬剤費は1兆7500億円との試算が出されました。審議会では医師側の委員も、あまりに高額で医療財政が脅かされるとの意見が出ました。5日には薬価を決める厚労省の中央社会保険医療協議会(中医協)でオプジーボの価格を17年度に臨時で25%下げる事が決定しました。私も癌治療の講演会で聴いてビックリしたのですが、オプジーボは効果判定の難しい薬です。どのタイプの人に効くのか。オプジーボは投薬を止めても効果が残る場合もあります。効いているなら、いつまで投薬すべきか。自分が身近な人が肺癌になったら、少しでも可能性があるならオプジーボを試してみたいし、癌の進行が少しでも止まっているならば服薬し続けたいと思うでしょう。今の制度では高額療養費制度のおかげで、入院費や検査費も含めて月の医療費の個人負担の上限は数万円ですので、個人的には治療は続けられます。オプジーボが承認された時に私は、日本初のピカ新(ピカピカの新薬)が出て喜んだのですが、まさか1年でこんな問題になるとは思いませんでした。薬の開発には平均3000億円かかるともされています。これまでは新薬が出て、製薬企業が成長し、人類が豊かになる、、でよかったのですが、これからは、国民全体が生き残り、製薬会社が生き残るという立場で医療費問題を考えなくてはならなくなりました。審議会の委員である日赤医療センター医師の国頭英夫は、新聞の対談で「混合診療では家計が持たない、超高額医療の適応は公平に年齢で制限すべし」と提言しています。抗体医薬、遺伝子治療薬、iPS細胞による再生医療、自然免疫の免疫学等、創薬技術の進歩は日進月歩です。今年のノーベル医学賞のテーマであるオートファジーの医学からの創薬も夢ではありません。これからも数年単位で素晴らしい新薬が発売されるでしょう。超高額薬は保険診療から外して混合診療にするので高額な医療保険に入れない人は十分な医療を受けられない、、平均余命を過ぎた人への超高額薬の適応は認められない、、国家財政問題や年金問題、人口減少による過疎やインフラ整備の問題とともに、高額医療費の問題でも、ここ10年以内に我々はシビアな選択を迫られそうです。

遺伝性難聴  16年10月12日
 遺伝性難聴の具体的な病因を解明したとのニュースがありました。神戸大学京都大学のグループは、原因不明の難聴患者の遺伝子解析から特定の遺伝子の異常を抽出。続いてその遺伝子異常のあるマウスモデルの作成に成功。さらに、この遺伝子異常で内耳の中にある音を感じる有毛細胞の聴毛に過剰にアクチンという分子が過剰に供給することを突き止め、そのことで障害された聴毛の電顕像も発表しました。遺伝性難聴は新生児の千人に1~2人が発症するとされますが、臨床医からすれば、生後徐々に明らかになる先天性難聴のお子様を前にしたとき、その子の難聴が遺伝子異常で起こったのか、その他の要因なのかの原因の判別は、家族性難聴や内耳奇形などを合併していない限り困難でした。この研究の示唆するところは、将来、遺伝子検査で遺伝性難聴が特定された場合に、その病因遺伝子によって引き起こされる障害がピンポイントで治せる可能性があるということでしょう。素晴らしいexcellentな研究です!

風邪の熱が下がらない  16年10月10日
 先週の診察では、急の発熱で来院した方が目立ちました。発熱した方を診察してみると、上気道粘膜に発赤が広がっていることから感染性の上気道炎であることは分かるのですが、迅速検査でも病原が確定できない方が大半でした。恐らく、ライノウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルスなどの一般的な上気道炎のウイルスによるものが大半だと思われました。病原微生物が確認できる例としては、小児では、エンテロウイルスによる手足口病や、RSウイルスによる気管支炎、所見の軽い溶連菌が見られました。学童~青年層では、マイコプラズマによる気管支炎やEBウイルスによる伝染性単核球症が、成人では百日咳も見られました。この夏には、解熱しないために総合病院に紹介したところ、サイトメガロウイルス感染症が判明したお子様の例や、自己免疫疾患である血管炎が判明した成人の例もありました。その場で感染が直ぐに確認できる迅速検査が年々増えてきたことから、外来での診断力は迅速検査の無い時代に比べると格段にアップしています。しかし、それでも感染性の上気道炎で病原体が確定できない場合は多々あります。病原菌が特定できないと病気の経過を予想することは難しいのですが、受診された方々には出来る限り”今後注意しないといけない経過”をお伝えしています。

火山灰  16年10月8日
 阿蘇山が36年振りの爆発的噴火です。愛媛や香川でも火山灰の降灰が確認されたそうです。診察が終わった時点で外は真っ暗だったために、私は降灰に気づきませんでした。明日の朝、スギ花粉や黄砂が大量飛散した時と同様に、車のフロンドガラスが汚れているのでしょうか。火山灰は直径2㎜以下の火山岩のことですが、鼻よりは眼や下気道での障害に注意します。PM2.5と異なり粒子が大きく硬いことから、眼では掻破することによる結膜炎や網膜剥離を惹き起こします。COPDなどの呼吸器系の基礎疾患や喘息体質があると気管支炎や喘息の増悪を惹き起こします。また、火山灰に結晶性シリカが多く含まれて長期間吸引すると珪肺症を発症する場合もあります。耳鼻科よりは眼科や呼吸器科的な注意が必要です。

台風の最大瞬間風速とノーベル医学生理学賞  16年10月3日
 テレビニュースを見ていると、速報が二つ飛び込んできました。台風18号で沖縄本島が特別警戒警報発令です。久米島では最大瞬間風速が秒速80mと予想されました。時速換算では実に時速288㎞、走行中の新幹線の屋根に立っている状態です。秒速80mを超えれば、日本の過去の観測記録の第一位富士山山頂で秒速91m、第二位宮古島で1966年の台風時に85m、第三位1961年の第二室戸台風の室戸岬の84mに次ぐ速さです。秒速70mを超えると「壁が押し倒され住家が倒壊する。非住家はバラバラになって飛散し、鉄骨づくりでもつぶれる。汽車は転覆し、自動車はもち上げられて飛ばされる。森林の大木でも、大半折れるか倒れるかし、引き抜かれることもある。」レベルだそうです。被害が甚大にならないことを祈ります。台風情報で落ち着かないところに、二つ目の速報です。ノーベル医学生理学賞に大隈良典氏が選ばれました。医学賞に日本人が2年連続で選ばれました。今年、私にとっては「リオ五輪で男子陸上400mリレーでの銀メダル」に次ぐ驚きです。共同研究者の水島昇氏との同時受賞でないのは残念ですが、今回は日本人の単独受賞です。大隈氏はインタビューで「人と同じことは絶対にしない」と仰っています。凄い信念です。

紙垂(しで)  16年10月2日
 地方祭を前にして、市内の通りはZ型のひらひらした白い紙で飾られています。お払いの際の玉串やにもついている紙ですが、どんな名称でどんな意味があるのか、以前から気になっていたので調べてみました。名前は紙垂(しで)と言います。「神聖・清浄」を表していて、紙垂をしめ縄に垂らすと聖域を示す象徴となり、玉串の榊に紙垂をつけて初めて遷霊されるものとされます。由来は日本神話の神代天石屋戸条(しんだいあめのいわやどのじょう)で、この中に紙垂の原型「丹寸手(にきて)」が出てきます。「天の香具山のよく茂った榊を根こそぎ掘り取ってきて、その上方の枝に多くの勾玉を長い緒に通した玉飾りをつけ、中ほどの枝に八咫鏡を掛け、下方の枝には楮の白い幣と麻の青い幣を下げた」とあります。やはり深い由来があるのですね。(^^♪ 

君の名は。  16年9月20日
 映画「君の名は。」が社会現象化です。今日は遂に報道ステーションでも取り上げられました。日本のオリジナル作品での予想外の大ヒットには、私もワクワクです。作品の評価もさることながら、”業界の勢力図”や”売れ筋商品のシェア争い”などの数字が好きな私の注目は観客動員数です。公開25日目の昨日19日までの観客動員が428万人、この連休の動員が土曜21万人、日曜月曜が32万人でした。9月18日に公開以来初めて達成した1日動員数30万人はビックリする数字だそうです。確かに、その日だけで日本人の400人に1人が劇場で作品を観たことになります。世界配信も決定です! 長らくピクサーやディズニーに押され気味だった日本のアニメ映画ですが、「君の名は。」で、東京の美しい風景や日本人の信仰の原風景など、世界に広く発信できればいいですね!
(9月22日追加)
  「君の名は。」、実は9月4日日曜に早くも一日動員数30万人越えだったそうで、今日、興行収入100億円越えがほぼ確定だそうです。公開28日目の早い100億円越えは洋画も含めて歴代2位。興行収入1位の「千と千尋の神隠し」は、消防法改正以前でネット予約もない”立ち見”の時代の2001年公開で、これは別格としても、「君の名は。」がどこまで伸びるのか? 業界関係者も含めて誰も予想しなかった大ヒットだそうですので、私も年末までワクワクが続きそうです。
(10月15日追加)
 映画「君の名は。」が興行収入150億円を超えました。ちなみに歴代の興行収入ランキングは、1位304億 「千と千尋の神隠し」 2位272億 「タイタニック」 3位259億 「アナと雪の女王」 4位203億 「ハリー・ポッターと賢者の石」 5位196億 「ハウルの動く城」 6位192億 「もののけ姫」 7位173億 「踊る大捜査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」 8位173億 「ハリー・ポッターと秘密の部屋」 9位163億 「E.T.」 10位156億 「アバター」 です。アナ雪ほどではないですが「君の名は。」もリピーターが多いそうですので、200億、日本映画歴代2位獲得も夢では無くなってきました。映像作品に対して、過去に何度かマイ・ブームがありました。「24」を見て海外ドラマのお勧めランキングで、「プリズン・ブレイク」「ハウス・オブ・カード」や初期作品の「ツイン・ピークース」を。ブームも去った頃にひょっと1話見た「冬のソナタ」を見て、泣ける韓流ランキングの「悲しき恋歌」「ごめん、愛してる」「フルハウス」、次には鬼気迫るサスペンスの「オールド・ボーイ」「悪魔を見た」などなど。
 今回、新海監督の評判を聞いてYouTubeでみた「言の葉の庭」の映像美に感激して、レンタルビデオ等々で新海監督の全作品を見ました。ちなみに、最初期の「遠い世界」は新海監督の最初の個人ホームページ上で今も公開されています。「彼女と彼女の猫」は「ほしのこえ」のDVDの映像特典で入っています。私は往年のトレンディ・ドラマの、終盤でテーマ音楽が流れて一気に盛り上がるのがたまりませんでした。やはり「東京ラブストーリー」はその点で名作です。新海監督は、1/30秒単位のフレームで音楽と動画の連動を要求するそうです。新海作品の、音楽をバックに走馬灯のように流れる映像、たまりませんでした。(^^♪ 
 ということで、ここ1ヶ月のマイ・ブームはアニメやコミックでした。宮崎アニメを映画館で見たことのない私にとっては「宇宙戦艦ヤマト」以来のブームでした。続いて、泣けるアニメの「四月は君の噓」「聲の形」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」から、スポコンの「ちはやふる」アニメ版、2015年マンガ大賞の漫画家の自伝コミック「かくかくしかじか」(これは民放ドラマ「重版出来」、映画「バクマン」からの流れでもあります)まで堪能しました。へーっ、アニメも製作委員会方式で作成か。アニメのサントラも凄い! 作画が受け入れられれば、漫画やアニメにはカメラワークやロケ地・大道具小道具の制限がありませんから、自由に映像表現が出来ますね。実写映画よりも尺が長いだけに丁寧に物語が進行します。等々、遅ればせながらアニメに感服です。
(10月20日追加)
 東宝が過去最高益。ついに「君の名は。」がNHKニュース9のトップニュースです。観客層も広がったそうで、興収200億円、達成するかも!  私はもうひとつだけコミック漬けしました。「ピアノの森」、大人を唸らせる作品でした。読んでいるだけで”ピアノのコンクール会場”と”過去の記憶”と”共演者の動き”が音楽を奏でながら迫ってきました。まるで映画「砂の器」のクライマックスみたいでした。コミックで映画ばりの体験が出来てビックリでした。
(11月15日追加)
 「君の名は。」の興収が184億円を超えました。君の名は。ピコ太郎、BABYMETAL、今年の紅白を賑わせそうです。
(12月30日追加)
 「君の名は。」の興行収入が213億円を超えています。ひょっとしたら「アナと雪の女王」の興収を抜く? 「真田丸」の総集編の放映があり、明日は紅白歌合戦です。私も1年を振り返りながら年末を過ごしたいと思います。当ホームページを訪れた皆様の”来る年が良い年であること”を祈念したいと思います。

はしか(麻疹)  16年9月7日
 はしか(麻疹)について、昨年、日本は排除状態にあると認定されましたが、9月に入り輸入麻疹の感染者が増えています。関空に帰国した麻疹感染者から、幕張メッセのコンサートに参加した若者と関空職員の2ルートで感染が拡大しています。麻疹の潜伏期は10日間で、解熱後3日目まで、およそ発症して10日間ほどは感染力が強いです。予防接種を2回接種することで確実な免疫を得ることが出来ます。20才代後半より若い世代は麻疹ワクチンが集団から個別接種になった年代のために,麻疹ワクチンの接種ができていないか,接種が1回だけで抗体が低下している世代です。そのため、日本では10~30才代の人に免疫が不十分な人が多いことから、2008年の春から夏にかけて大学生を中心に流行し、関東地方を中心に263校が休校しました。今回の輸入麻疹の発端地は国際空港と野外ライブですので、ここ2週間程は国内広域への感染波及が心配されます。テレビニュースでも取り上げられており、昨日、当院にも関空を利用した風邪症状の若者が麻疹を心配して来院されました。麻疹は発症4日後以降の、熱型や発疹、口内炎の様子をみたり、血液中の抗体の上昇を確認しなければ確定診断出来ません。診察の結果は、とりあえず普通の風邪、急性上気道炎でしたが、ここ数日の経過観察が必要です。

肥満症  16年9月7日
 睡眠時無呼吸症候群には肥満治療が大事とお伝えしましたが、気になって肥満症のガイドラインを確認しました。肥満症診療ガイドラインは日本肥満学会で2000年に初めて発表され、今年改定されたとのことです。診断基準ではBMI(body mass index)が基本となり、25以上で過体重、30以上で肥満としています。この基準には当然根拠があって、肥満による健康障害の代表である高血圧、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症、糖尿病の有病率が2倍となるレベルで設定したとのことです。さらに内蔵脂肪が100㎠の人の腹囲をウエスト周囲長の判断基準として、男性が85㎝、女性が90㎝としています。皮下脂肪ではなく内蔵脂肪が細胞活性が高くアディポサイトカインという脂肪細胞由来の生理活性物質が増えると血圧や血糖値に悪影響を与えることが分かってきたことから、BMIが35以上で内蔵脂肪の蓄積があり健康障害がある場合に高度肥満症とします。治療は、まず3%の減量を目標とした食事、運動、行動療法ですが、BMI35以上の高度肥満症では、中枢性食欲抑制薬サノレックスと腹腔鏡下スリーブ状胃切除術が保険適応となっています。当院でも睡眠時無呼吸があり肥満傾向の方のBMIは記録しています。BMI35以上の高度肥満症の方には、今以上に内科肥満外来の専門医に紹介したいと考えています。

映画「64(ロクヨン)」  16年9月7日
 キネマ旬報の特集記事に釣られて、映画「64(ロクヨン)」が気になりました。残念ながら映画館での公開は既に終わっていました。興行成績はなかなかのものでした(現在の興行成績、シン・ゴジラ、君の名は。は快調ですね)。 ロクヨンは「半落ち」「クライマーズ・ハイ」のミステリー作家、横山秀夫氏の7年ぶりの作品で、2012年の「週刊文春ミステリーベスト10」の第1位、2013年の「このミステリーがすごい!」の第1位でした。私はミステリー小説を読むことはほとんどないので、この作品も知らなかったのですが、レヴューを見るとえらい高評価です。NHK土曜ドラマとの共作で、テレビドラマの評価も高く、あるレヴューでは、2015年最高のテレビドラマ、全編を通して緊張感あり、ながら見は出来ない、など、素晴らしい評価です。映画のDVD化は年末のようですが、NHK版ロクヨンはレンタル店にありました! 確かに素晴らしいドラマでした。ピエール瀧氏の快演(私はBS番組「歴史発見城下町へ行こう!」で最初に知ったのですが、「凶悪」や「ロクヨン」での怪演、恐るべしです)、5本位同時進行するストーリーが全て最終回で見事に回収され、エンドロールの最後の最後まで目が離せませんでした。私のミステリー映像作品の中では、映画版「砂の器」に次ぐ二番目の作品となりました。映画版との共作が続くNHKですが「クライマーズ・ハイ」「紙の月」など映画版より素晴らしい作品が目立ちます。WOWOWとNHKはスポンサーが煩くないから自由に作れるのでしょうか? ドラマ制作部門のレベルは高いです! 追)ついでに借りた「レヴェナント:蘇えりし者」、5度目のノミネートでディカプリオが念願の主演男優賞を初受賞との話題は知っていたのですが、監督賞、撮影賞も獲得しています。主演男優賞、実力で受賞は文句ない演技でしたが、私が驚いたのはとにかくカメラワークです。ほとんどが極寒の荒野でのロケだと思われます。このカメラアングルはどうやって撮ったの? これはドローンでの映像? これはCG? 物語は単純ですが、カメラワークでこれでもかこれでもかと見せてゆきます。

鼻出血  16年9月2日
 鼻前庭炎からの反復性鼻出血のお子様も目立っています。9月は子供達にとっては、残暑の中での運動会の練習シーズンです。アレルギー性鼻炎の小児が、かさぶたが付着した鼻の入口を痒がって掻くことにより、かさぶたの下の粘膜の血管が拡張し、かさぶたが剥がれる時に鼻出血を来しやすくなります。時には夜間の睡眠時にも、無意識に鼻をこすったり布団が鼻に当ることが刺激になって出血します。鼻血が出た際の対処法ですが、多くは鼻の入り口をティッシュペーパーとともに内側に5分ほど圧迫すれば止まります。慌てずに抑え続けてみて下さい。しっかり圧迫したのに流れるような出血が止まらない場合には、病院で出血点の確認を行う必要も出てきます。何分ぐらいなら自宅で様子を見ても構わないか、、ケースバイケースで一概には言えませんが、大人、特に高齢者で高血圧や糖尿病の持病がある、血液をサラサラにする抗凝固剤を服用しているなどで止血困難が予想される場合や、拍動性を疑う出血が大量で大部分がのどに落ちる場合などは、救急病院の受診も必要になります。小児の場合は出血の多くが鼻の入り口からです。時に動脈性で止血が困難な場合もありますが、口の中から噴き出るような出血が持続するようなケースでなければ、まず30分前後は自宅での圧迫止血で経過を見るという対応で経過を見ることも可能だと思います。

睡眠時無呼吸症候群(OSA)のガイドライン  16年9月2日
 日本睡眠学会では睡眠時無呼吸症候群(OSA)のガイドラインを来年の公表を目標に策定中です。7月の学会ではガイドラインに関するセッションが設けられました。私が注目したのは以下の4点です。(1)閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)が二次性高血圧の主要な原因の一つであり、特に治療抵抗性高血圧や夜間早朝高血圧の原因となる。私も診察時に咽頭狭窄の患者様を診ると高血圧の有無には注意しています。高血圧の人の中には従来考えられているより高率に、OSAを治療すれば高血圧が軽減するケースも隠れていそうです。(2)OSAは成人になって発症する2型糖尿病やメタボリック症候群の発症リスクを高める。糖尿病の発症要因になるとは意外でした。今後は糖尿病の患者様にも積極的に、診察時の咽頭狭窄の有無を確認しSASを合併していないか確認したいです。(3)治療では、持続陽圧呼吸(CPAP)単独では不十分で、食事・運動療法による肥満に対する減量が重要である。私はOSA肥満体質の方には、減量を心がけるようお伝えしたり漢方治療をお勧めしていましたが、高度肥満の方には内科の減量外来を積極的に紹介するなど、よりいっそう積極的なアドバイスを行おうと思います。(4)CPAP療法が不眠で十分に行えない時には、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の服用がアドヒアランスを向上させる。(アドヒアランスという言葉が医療の現場では流行語といってもよいくらい一般的な言葉となっています。直訳すれば adherence=執着心という意味です。従来のコンプライアンス=順守という概念では、コンプライアンスは守らない場合は患者側に問題があるとのニュアンスですが、アドヒアランスでは患者自身の治療への積極的な参加というニュアンスで、治療者と患者が共に考えて治療を進めるとの考えが根底にあります)CPAP療法では3割の方が治療自身が不快で受け入れられません。CPAPのマスクが不快で不眠に陥ることはよく経験します。一般的な不眠症や入眠障害には睡眠薬も治療の選択枝ですが、従来の睡眠薬のベンゾジアゼピン系は舌根沈下や口渇などの副作用があることから一般的にはOSASの治療には用いられません。ここ数年でベンゾジアゼピン系以外の睡眠薬が発売されました。ベンゾジアゼピン系以外ならばOSASの治療にも試みても良いとガイドラインが策定されれば、私も試みたいと思います。非ベンゾジアゼピン系で作用機序がベンゾジアゼピン系に似ているものには現在、マイスリー、ルネスタが、作用機序の全く違う薬剤では、メラトニン受容体拮抗薬のロゼレム、オレキシン受容体拮抗薬のベルソムラがあります。特にロゼルム、ベルソムラは自然な睡眠を得られるともされます。私も今後CPAP治療での活用を検討したいです。

言霊(ことだま)信仰  16年9月1日
サッカーW杯最終予選、黒星発進。無念です。今大会の最終予選B組はFIFAランクがあてにならないくらいにシビアな組です。報道はどうしても楽観論に傾きますが、ドーハの悲劇を思い出してチャレンジしなければいけないくらいですね。「逆説の日本史」が代表作の歴史家、井沢元彦氏の提唱する「言葉に霊力を認め、それを口にすることによってその霊力を発動させ、言葉の内容の実現を祈る」言挙げ(ことあげ)を行うという日本特有の言霊(ことだま)信仰を元に日本の歴史を見れば新しい発見があります。氏は、日本人は、料金値上げを「改定」・全滅を「玉砕」・敗戦を「終戦」・侵略を「進出」と言い換える、”日米構造障害の初期協議”を「日米構造協議」と言い換えるなどの例をもとに、日本人が希望的観測に流される危険性を指摘しています。サッカーでもオリンピックでも、日本では勝つことにしか言及できない報道ばかりです。そして根本的な改革の提案は敗戦後までタブーとなります。サッカー報道を見て、日本人の心象風景に思いをめぐらせてしまいました。

ペットに対する皮膚のアレルギー反応 16年9月1日
 イヌ・アレルギーの方が来院されました。ペットのアレルギーではネコ・アレルギーが抗原性が強くて有名ですが、この夏、イヌのアレルギーによる顔面の湿疹の方の来院が続きました。ペットの毛の上皮やフケに対するアレルギーは抗体検査があります。アレルゲンに対するIgE抗体を介した即時型の抗原抗体反応による蕁麻疹は、抗体検査でアレルギーの有無が確認できます。しかし、ハプテンと呼ばれる分子量が少ないために単独ではアレルゲンになることが出来ない物質を原因とするアレルギー反応では、ハプテンがキャリアタンパクと呼ばれる体内のタンパク質と結合して抗原性を獲得してアレルギー反応が発現します。マクロファージ→ヘルパーT細胞→サイトカイン→ケミカルメディエーターという反応の流れで14~72時間という比較的長い時間をかけて反応するⅣ型アレルギーとなります。この反応ではツベルクリン反応が有名です。ネコの唾液等を介すると即時型の蕁麻疹だけでなく、接触性蕁麻疹や接触性皮膚炎のような機序も考えなくてはいけません。ペットに対する皮膚のアレルギー反応では、治療は慢性化しなければ同じではありますが、アレルゲンを介した即時型反応か、ハプテンを介した接触性皮膚炎の反応かに注意します。

急性中耳炎に対する他施設共同研究  16年9月1日
 急性中耳炎に対する他施設共同研究の検体の検査結果が当院に返ってきています。昨日は鼓膜切開により得た鼓室内膿汁から「ペニシリン耐性肺炎球菌PRSP莢膜血清型35B」が検出されました。普段利用している検査センターからの検査結果よりも詳しく、細菌のサブタイプや遺伝子タイプが解かるために、臨床医の立場でも大いに役に立ちます。先の日耳鼻学会総会では、急性中耳炎の多剤耐性肺炎球菌に関する研究で、2010年から任意接種、2013年4月から定期接種として導入された7価結合型肺炎球菌ワクチン、2013年11月から導入された13価結合ワクチンでもカバーできない血清型15Aによる難治性急性中耳炎が2歳未満で多く同定されたとの発表がありました。肺炎球菌には90種の莢膜血清型があり、ワクチンには90種の中の一部で強毒性で髄膜炎を惹き起こすタイプの血清型を含んでいます。13価結合とは13種類のタイプの血清型を含んだワクチンということです。ワクチンの普及とともに、これまで髄膜炎化しにくかったとされたタイプの血清型で新たに髄膜炎を発症するケースもでてきており、細菌と人間の免疫のいたちごっこを示します。この研究では、急性中耳炎の領域でもワクチンでカバーされていないタイプの感染が増えてきていることを示唆しています。先日、当院で検出された血清型は35Bでしたが、15Aが当院でも検出されるかどうか、興味深いです。
 先の日耳鼻学会では、小児急性中耳炎への治療法として、和歌山県立医大から、マクロライド系抗菌薬CAMとペニシリン系抗菌薬AMPCの併用療法の有効性に関する研究がありました。3歳未満の急性中耳炎罹患児では、AMPC単独よりもAMPC+CAM5日投与の方が有用だったとの報告です。AMPCは細菌の細胞壁を破壊する殺菌的作用で肺炎球菌に有効、CAMは細菌の増殖を停止させて死滅させる静菌的作用でインフルエンザ桿菌やモラクセラ菌に有効です。両者を併用すると、確かに抗菌スペクトルは広くなりますが、CAM投与で細菌の増殖が抑制されることからCAMが有効な肺炎球菌への抗菌力が一部抑制されるきらいがあります。実際は肺炎球菌のほとんどがCAM耐性ですのでそこはクリアできるのでしょうか。また研究としては有用ですが、臨床データの蓄積がこれからですので、保険診療上での適応はまだ将来の課題です。この治療法がこれから普及してくるかどうか、今後の研究に期待したいです。 

好酸球性食道炎  16年8月31日
 欧米では消化器の分野で「好酸球性食道炎」が注目を集めています。米国消化器病学会では2007年に早くも診断基準のガイドラインを策定しています。診断基準は、1.食物のつまる感じや嚥下障害などの食道症状 2.食道粘膜生検で好酸球浸潤が15/HPF以上 3.逆流性食道炎などの他疾患の除外 とされています。食道内視鏡で、縦走溝、白斑、輪状収縮、狭窄が見られます。30代から50代の男性に多いとされ、この病気が増えてきている原因として、専門的になりますが、胃へのピロリ菌感染が少なくなったことでヘルパーT細胞のバランスが、細胞性免疫のTh1より液性免疫のTh2の方が優位になって増えているとの考えがあります。好酸球は気道のアレルギー疾患でも重要な細胞です。アレルギー学はまず、IgE抗体・肥満細胞・ヒスタミンなどによる抗原抗体の即時反応を中心とした獲得免疫が解明されました。その後、遅発反応や自然免疫の機序の解明が進みました。アレルギー反応にも複雑なネットワークが構築されていることが次々と解明されています。好酸球は、そのネットワークでも重要な位置を占める細胞で、好酸球性炎症という機序で粘膜に障害を及ぼすことが解かっています。好酸球性中耳炎は難治で内耳障害を起こすことがあります。好酸球性副鼻腔炎はポリープ形成・高度な嗅覚障害・手術でも再発しやすいなどから難病に指定されています。気管支喘息でも好酸球性炎症が喘息発作に大きく影響し、好酸球性気管支炎、好酸球性肺炎という疾患分類があります。気道アレルギーの分野で好酸球性の病気が明らかになった後に、消化器の分野でも好酸球性食道炎や好酸球性胃炎という病気が注目を集めるようになりました。治療では、半数の方に胃酸の抑制剤PPIが効きますので胃酸の逆流も関与していると考えられます。難治例では吸入ステロイドの嚥下療法が試みられています。吸入ステロイドにはアレルギー反応だけでなく広く炎症を鎮める作用があります。耳鼻科領域ではアレルギー疾患以外でも、アデノイド肥大による幼児の睡眠時無呼吸症候群や、声帯ポリープ・声帯結節・喉頭肉芽腫症などの喉頭領域の慢性炎症みの用いられていますが、収入ステロイドのパウダーを嚥下して食道で直接作用させるという新たな治療法は、とても興味深いです。私も気管食道科医として食道内視鏡検査は行いますが、絶食を要する胃まで含む上部消化管内視鏡や食道粘膜生検までは対応していません。そのため生検による確定診断は出来ませんが、食道内視鏡検査や臨床症状で好酸球性食道炎が疑われた場合には、消化器内科と連携しながら対応したいと思います。 

児童医療費の無料化  16年8月30日
 今年12月診療分から伊予市が、来年1月診療分から松前町の外来分の児童医療費が中学生まで無料になります。これで中予地区の自治体では松山市と東温市を除いて外来医療費が中学生まで無料となります。無料となる家庭の家計は助かります。ちなみに、松山市は平成27年4月から入院医療費は中学生まで無料となりましたが、外来は就学前児童までです。子供の医療費の補助が、東京都世田谷区のように自治体単位で広がった最初の頃、財政赤字の事も考えると全額無料はやりすぎではと思っていたのですが、子育て支援の掛け声もあり児童医療費の無料化は全国に広がっています。診察を行う立場でも、保護者の方の金銭的な負担を考えずに診療を行えることから、十分な検査や治療が行えるメリットがあります。しかし、念のために検査しておこう、ジェネリックのない新しいお薬を積極的に使用する、、など医療のコストを軽視する方向にバイアルがかかる傾向もなきにしもあらずです。医療のコストの観点を忘れないよう自戒しながら診察したいと思っています。松山市民の保護者の方とこの話題になった際に、松山の人がエミフル(松前町にある中予最大のショッピングモールです)でお金を落とすことも、松前町が松山市より先に学童医療無料したことに影響しているのでしょうか。いやいや、やはり松前に東レの工場があるおかげですよ、、と雑談が弾んでしまいました。

原発性免疫不全症  16年8月30日
 原発性免疫不全症(PID)という病気が認知され始めています。この病気は、先天的に免疫系に障害を持ち生体防御機能に異常をきたす疾患群で、原因遺伝子や障害される免疫担当細胞の種類や部位により、現在までに300種類程度が報告されています。症状は、中耳炎・副鼻腔炎・肺炎を繰り返す反復感染、髄膜炎・骨髄炎・敗血症などの重症感染、真菌やウイルスの治癒が困難になる難治感染、抗菌薬の投与でも改善しない持続感染、日和見感染などの易感染性が特徴とされます。2008年の厚労省の全国調査では患者数は1.305人でしたが、米国の報告では有病率が1.200人に1人とされ、我が国でも調査の少なくとも10倍の患者が存在すると言われています。PIDの診断基準として「PIDを疑う10の徴候」という世界共通の基準があります。その中には耳鼻科医が日頃接する機会が多い徴候も含まれています。小児版では ○1年に4回以上中耳炎にかかる ○重症副鼻腔炎を繰り返す ○抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない ○1歳以降に、持続性の鵞口瘡、皮膚真菌症・広範囲な疣贅(いぼ)がみられる 成人版では 1年に2回以上中耳炎にかかる ○1年に2回以上重症副鼻腔炎を繰り返す ○2年以上1年に1回以上肺炎にかかる ○径静脈投与を要する感染症の反復 ○持続性の鵞口瘡や皮膚真菌症がみられる ○2回以上、髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症や皮下膿瘍、臓器内膿瘍なdの深部感染症にかかる などです。厚労省の研究班では、これらの項目の1つ以上該当すれば専門医のもとでの精査を推奨しています。耳鼻科の外来診療では、この条件を満たすケースは決して珍しくありませんので、基準に適応する患者様が外来に多い事には少々ビックリします。精査には、免疫グロブリンIgG,M,A値、T細胞数(CD3/4/8陽性リンパ球)、B細胞数(CD19/20陽性リンパ球)、血清補体値(CH50)、特異抗体などを調べます。治療は、重症複合型には造血幹細胞移植を、PIDの約半数を占める抗体不全症にはIgG値を1.000㎎/dl以上に保つ免疫グロブリン補充療法で、感染症の予防が可能となっています。私も免疫不全の視点を忘れないように診療を行いたいと思います。 

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