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院長の徒然草 過去ログ ~17年1月

医療法人 大輝会
院長 山口 幹夫
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◆ 院長の徒然草 過去ログ ~17年1月
急性中耳炎に対する他施設共同研究 16年9月1日

急性中耳炎に対する他施設共同研究の検体の検査結果が当院に返ってきています。昨日は鼓膜切開により得た鼓室内膿汁から「ペニシリン耐性肺炎球菌PRSP莢膜血清型35B」が検出されました。普段利用している検査センターからの検査結果よりも詳しく、細菌のサブタイプや遺伝子タイプが解かるために、臨床医の立場でも大いに役に立ちます。先の日耳鼻学会総会では、急性中耳炎の多剤耐性肺炎球菌に関する研究で、2010年から任意接種、2013年4月から定期接種として導入された7価結合型肺炎球菌ワクチン、2013年11月から導入された13価結合ワクチンでもカバーできない血清型15Aによる難治性急性中耳炎が2歳未満で多く同定されたとの発表がありました。肺炎球菌には90種の莢膜血清型があり、ワクチンには90種の中の一部で強毒性で髄膜炎を惹き起こすタイプの血清型を含んでいます。13価結合とは13種類のタイプの血清型を含んだワクチンということです。ワクチンの普及とともに、これまで髄膜炎化しにくかったとされたタイプの血清型で新たに髄膜炎を発症するケースもでてきており、細菌と人間の免疫のいたちごっこを示します。この研究では、急性中耳炎の領域でもワクチンでカバーされていないタイプの感染が増えてきていることを示唆しています。先日、当院で検出された血清型は35Bでしたが、15Aが当院でも検出されるかどうか、興味深いです。
 先の日耳鼻学会では、小児急性中耳炎への治療法として、和歌山県立医大から、マクロライド系抗菌薬CAMとペニシリン系抗菌薬AMPCの併用療法の有効性に関する研究がありました。3歳未満の急性中耳炎罹患児では、AMPC単独よりもAMPC+CAM5日投与の方が有用だったとの報告です。AMPCは細菌の細胞壁を破壊する殺菌的作用で肺炎球菌に有効、CAMは細菌の増殖を停止させて死滅させる静菌的作用でインフルエンザ桿菌やモラクセラ菌に有効です。両者を併用すると、確かに抗菌スペクトルは広くなりますが、CAM投与で細菌の増殖が抑制されることからCAMが有効な肺炎球菌への抗菌力が一部抑制されるきらいがあります。実際は肺炎球菌のほとんどがCAM耐性ですのでそこはクリアできるのでしょうか。また研究としては有用ですが、臨床データの蓄積がこれからですので、保険診療上での適応はまだ将来の課題です。この治療法がこれから普及してくるかどうか、今後の研究に期待したいです。 

好酸球性食道炎 16年8月31日

欧米では消化器の分野で「好酸球性食道炎」が注目を集めています。米国消化器病学会では2007年に早くも診断基準のガイドラインを策定しています。診断基準は、1.食物のつまる感じや嚥下障害などの食道症状 2.食道粘膜生検で好酸球浸潤が15/HPF以上 3.逆流性食道炎などの他疾患の除外 とされています。食道内視鏡で、縦走溝、白斑、輪状収縮、狭窄が見られます。30代から50代の男性に多いとされ、この病気が増えてきている原因として、専門的になりますが、胃へのピロリ菌感染が少なくなったことでヘルパーT細胞のバランスが、細胞性免疫のTh1より液性免疫のTh2の方が優位になって増えているとの考えがあります。好酸球は気道のアレルギー疾患でも重要な細胞です。アレルギー学はまず、IgE抗体・肥満細胞・ヒスタミンなどによる抗原抗体の即時反応を中心とした獲得免疫が解明されました。その後、遅発反応や自然免疫の機序の解明が進みました。アレルギー反応にも複雑なネットワークが構築されていることが次々と解明されています。好酸球は、そのネットワークでも重要な位置を占める細胞で、好酸球性炎症という機序で粘膜に障害を及ぼすことが解かっています。好酸球性中耳炎は難治で内耳障害を起こすことがあります。好酸球性副鼻腔炎はポリープ形成・高度な嗅覚障害・手術でも再発しやすいなどから難病に指定されています。気管支喘息でも好酸球性炎症が喘息発作に大きく影響し、好酸球性気管支炎、好酸球性肺炎という疾患分類があります。気道アレルギーの分野で好酸球性の病気が明らかになった後に、消化器の分野でも好酸球性食道炎や好酸球性胃炎という病気が注目を集めるようになりました。治療では、半数の方に胃酸の抑制剤PPIが効きますので胃酸の逆流も関与していると考えられます。難治例では吸入ステロイドの嚥下療法が試みられています。吸入ステロイドにはアレルギー反応だけでなく広く炎症を鎮める作用があります。耳鼻科領域ではアレルギー疾患以外でも、アデノイド肥大による幼児の睡眠時無呼吸症候群や、声帯ポリープ・声帯結節・喉頭肉芽腫症などの喉頭領域の慢性炎症みの用いられていますが、収入ステロイドのパウダーを嚥下して食道で直接作用させるという新たな治療法は、とても興味深いです。私も気管食道科医として食道内視鏡検査は行いますが、絶食を要する胃まで含む上部消化管内視鏡や食道粘膜生検までは対応していません。そのため生検による確定診断は出来ませんが、食道内視鏡検査や臨床症状で好酸球性食道炎が疑われた場合には、消化器内科と連携しながら対応したいと思います。 

児童医療費の無料化 16年8月30日

今年12月診療分から伊予市が、来年1月診療分から松前町の外来分の児童医療費が中学生まで無料になります。これで中予地区の自治体では松山市と東温市を除いて外来医療費が中学生まで無料となります。無料となる家庭の家計は助かります。ちなみに、松山市は平成27年4月から入院医療費は中学生まで無料となりましたが、外来は就学前児童までです。子供の医療費の補助が、東京都世田谷区のように自治体単位で広がった最初の頃、財政赤字の事も考えると全額無料はやりすぎではと思っていたのですが、子育て支援の掛け声もあり児童医療費の無料化は全国に広がっています。診察を行う立場でも、保護者の方の金銭的な負担を考えずに診療を行えることから、十分な検査や治療が行えるメリットがあります。しかし、念のために検査しておこう、ジェネリックのない新しいお薬を積極的に使用する、、など医療のコストを軽視する方向にバイアルがかかる傾向もなきにしもあらずです。医療のコストの観点を忘れないよう自戒しながら診察したいと思っています。松山市民の保護者の方とこの話題になった際に、松山の人がエミフル(松前町にある中予最大のショッピングモールです)でお金を落とすことも、松前町が松山市より先に学童医療無料したことに影響しているのでしょうか。いやいや、やはり松前に東レの工場があるおかげですよ、、と雑談が弾んでしまいました。

原発性免疫不全症 16年8月30日

原発性免疫不全症(PID)という病気が認知され始めています。この病気は、先天的に免疫系に障害を持ち生体防御機能に異常をきたす疾患群で、原因遺伝子や障害される免疫担当細胞の種類や部位により、現在までに300種類程度が報告されています。症状は、中耳炎・副鼻腔炎・肺炎を繰り返す反復感染、髄膜炎・骨髄炎・敗血症などの重症感染、真菌やウイルスの治癒が困難になる難治感染、抗菌薬の投与でも改善しない持続感染、日和見感染などの易感染性が特徴とされます。2008年の厚労省の全国調査では患者数は1.305人でしたが、米国の報告では有病率が1.200人に1人とされ、我が国でも調査の少なくとも10倍の患者が存在すると言われています。PIDの診断基準として「PIDを疑う10の徴候」という世界共通の基準があります。その中には耳鼻科医が日頃接する機会が多い徴候も含まれています。小児版では ○1年に4回以上中耳炎にかかる ○重症副鼻腔炎を繰り返す ○抗菌薬を服用しても2か月以上感染症が治癒しない ○1歳以降に、持続性の鵞口瘡、皮膚真菌症・広範囲な疣贅(いぼ)がみられる 成人版では 1年に2回以上中耳炎にかかる ○1年に2回以上重症副鼻腔炎を繰り返す ○2年以上1年に1回以上肺炎にかかる ○径静脈投与を要する感染症の反復 ○持続性の鵞口瘡や皮膚真菌症がみられる ○2回以上、髄膜炎、骨髄炎、蜂窩織炎、敗血症や皮下膿瘍、臓器内膿瘍なdの深部感染症にかかる などです。厚労省の研究班では、これらの項目の1つ以上該当すれば専門医のもとでの精査を推奨しています。耳鼻科の外来診療では、この条件を満たすケースは決して珍しくありませんので、基準に適応する患者様が外来に多い事には少々ビックリします。精査には、免疫グロブリンIgG,M,A値、T細胞数(CD3/4/8陽性リンパ球)、B細胞数(CD19/20陽性リンパ球)、血清補体値(CH50)、特異抗体などを調べます。治療は、重症複合型には造血幹細胞移植を、PIDの約半数を占める抗体不全症にはIgG値を1.000㎎/dl以上に保つ免疫グロブリン補充療法で、感染症の予防が可能となっています。私も免疫不全の視点を忘れないように診療を行いたいと思います。 


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