1) ’99年9月のホームページ開設以来の「今月の疾患情報」のまとめへのリンクをコンテンツ欄にリンクしています。当院の月別の疾患情報を通して、耳鼻咽喉科外来の1年の様子が伺えると思います。ぜひご覧下さい。ブログ風ですが、ブログサイトが普及する以前からの当ホームページオリジナルの形式です。(^^)/ 2) ’02年9月より疾患情報を復活させています。(^。^) 以前のスタイルとはちょっと趣を変えて、ショートコラム風にその時々の当院の診察室風景をお伝えします。時には、松山のチョットした風物も紹介出来ればと思っています。 |
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20日 | 急に冷え込んできました。天気図を見ると、いわゆる西高東低の気圧配置で、いかにも冬の天気図です。当院でもこの秋、初めて軽く暖房をかけました。 前日までの4日間、当院ではようやくようやく新型コロナを見なくなりました。これで愛媛県でも全国的にも新型コロナの第12波は到来せず収束していくかもしれないなと淡い期待を寄せていました。しかし今日は残念ながらお二人の方で新型コロナが陽性となりました。先週発表の愛媛県感染症情報センターの報告ではXEL株が1 例報告されていました。XEL株はKP.3株と他の株が合わさって発生したようで、欧州や米国、ブラジルでの発生に続き日本でも報告が始まっています。この株がこの冬の第12波の主たる流行株になるのでしょうか? XEL株が市中に広がらないことを祈っています。 11月に入り、さすがに花をつける雑草はなくなりました。イネ科キク科の雑草シーズンは終わりましたが、実は11月にスギ花粉が飛散することをご存知でしょうか? 過去には松山でも秋の天気の良い日に1日1個から2個、時には2、3日連続でスギ花粉の飛散が観測されていました。今年の夏は猛暑かつ日照時間が長かったことからスギ花粉の花芽の発育状況は抜群に良いものだと思われます。今年の11月は例年以上にスギ花粉がパラパラと飛散していそうです。今日みたいな天気の良い日に屋外で鼻がムズムズし方は、案外スギ花粉を感じているのかもしれません。 昨年はスギ花粉が大量飛散しすぎました。今年は、悲惨の裏年に当たるものの、昨年の夏が猛暑だったことから、平年並みよりもやや少ない位の飛散量かなと思っていた飛散量ですが、大方の予想に反して、極端に少量飛散でした。松山ではなんと過去36年の観測の歴史で、3番目の少なさでした。今年は昨年以上にさらに猛暑で、飛散の表年にあたることから大量飛散が予想されます。日本気象協会は来年の飛散傾向平年の2.1倍、前年の8.4倍としています。日本、花粉情報協会でも、来年の飛散予測、過去10年平均の2倍弱、前年の7〜8倍としています。私も診察の際に「今年は花粉症が軽すぎて治ったと思われたかもしれませんが、実は飛ばなすぎたせいですよ。(笑) 来年は、いっぱい飛ぶから覚悟しておいてください」とお伝えすることもあります。12月に入ると、秋のスギ花粉の飛散も一旦ほぼなくなりますが、1月に入るとパラパラとスギ花粉の飛散が始まります。例年多くの方から「花粉症予防するならお薬はいつから飲み始めたら良いのですか」と質問を受けます。粘膜がスギ花粉の刺激を受けて障害され、症状が本格化する前から、抗アレルギー剤を服薬しておけば粘膜が障害を受けにくく、症状が出にくくなります。このような服薬方法を初期治療と呼んでいます。とすれば、スギ花粉が毎日飛散し始める飛散開始日かその数日前からの服薬が好ましいことになります。では飛散開始日はいつなのかが気になります。例年また来シーズンも愛媛県の。遺産開始は2月初旬とするところが多いようです。しかし実はこれがなかなか一筋縄では行かず、実は飛散開始時期は1月の気温に大きく左右されます。1月に寒波が襲来すれば飛散の開始は遅めになり、1月が暖冬だと飛散開始は早めになります。元日からの毎日の最高気温の積算値が200℃を超えれば飛散し始めると言う報告もあります。松山の過去の観測で最も早い飛散開始日は1月17日でした。最も遅い飛散開始日は2月14日のバレンタインデーでした。今年の飛散開始日も2月13日ないしは14日と過去最も遅い傾向にありました。例年の中央値は2月の5日から7日ごろでしょうか。このようなことから、私は皆様に服薬を始める日の目処を、1月末から2月の頭または1月中からでも外でムズムズ感じ出始めた時とお伝えしています。 いよいよ12月からマイナ保険証の本格的な運用が始まります。現行の紙保険証も有効期限までは使えますし、資格証を持たれている方はこれも有効ですが、原則的にはマイナ保険証での受付をお願いすることになります。政府の音頭にもかかわらずこれまではなかなか活用されていなかったのが実態です。当院でもこれまで利用率が5%を超える事はありませんでした。受付の立場からすると、マイな保険証をいきなりカードリーダーに入れて受付を進めると、受付のレセコン画面では、受けた患者様のデータが最前列に出てきます。診察を終わって会計処理をしていた患者様のデータ処理が中断されてしまいます。そのため、当院ではレセコンを待機させておいて、カードリーダーを通す際には前もってお伝えくださいとお願いしています。紙の保険証で提出していただいた場合には、複数の患者様の保険証を一旦預かりカルテの頭書きを同時に進めることができますが、マイナー保険証では一人一人順番に出せ込んで受付しなければいけません。当院でも受付のレセコンは二台体制にはしていますが、診察が終わった方の会計業務とマイな保険証での受付業務を皇太后隊に進めなければいけませんので、どうしても紙カルテの時よりは、やや時間がかかります。また、当院でもカードリーダーの読み込みに際しては色々なエピソードがありました。暗証番号を3回間違いロックがかかって役所に持っていかなければ解除できなくなった方、顔認証がうまくできなかった方、これも結構多かったのですが、マイナ保険証で登録されている保険証の番号が有効でないと表示されるケースなど、何かトラブルがあると受付スタッフもそこに結構時間を取られてしまいます。12月から国は原則として再診の方も受診毎にマイナカードを確認するようにとの通達が来ています。これまでは月2回目の再診の方は診察券だけ確認して、保険証は確認してませんでしたので受付にかなり時間を取られるようになりそうです。紙の保険証では他人がなりすまして利用したり、有効期限切れを隠して利用したりが可能であるなど、制度的な面もありました。マイナ保険証では過去の健診情報や他の病院の処方内容が確認することがその場ででき、電子処方箋化すれば薬局の連携もよりスムーズになります。活用すればそれなりに有効だとは思います。が、です。診療情報を確認したり、電子処方箋化したりするには、診察室にセコンの子機をもう1台増設してドクター個人の認証カードを読み込ませてから入力しなければいけません。今の私の外来状況ではなかなかそこまでの余裕ができません。今後どう対応していくか頭の痛いところです。もう10日ばかりで12月ですが、受付での対応が混乱しないことを祈っています。 航空性中耳炎、突発性難聴、メニエール病、頸部リンパ節炎、頸部腫瘍など |
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15日 | 早いもので、もう11月の中旬です。師走ももう直ぐです。あっという間に年を越しそうです。年が明ければスギ花粉の飛散シーズンに入ります。数日前に花粉観測装置、ポールンロボの設置準備を始めました。当院恒例の年越し準備です。朝は肌寒く感じて車の暖房を入れ、昼は蒸し蒸しして思わず冷房を入れました。朝晩の寒暖差が大きいことから、思わず体調を崩しそうです。皆様も上着の調節などで体調管理をしっかり行ってください。 冬の風邪のシーズンの前ですが当院は今の時期にしては何かと忙しくしています。新型コロナが収束しない、インフルエンザの散発的な発生が続くなども含めて、多彩な感染症が見られます。特に悩ましいのがマイコプラズマ肺炎です。潜伏期が3週間前後と長く、感染力も強くなく、多くの方は軽症で終わるものの、免疫の落ちた方や小児では反応が強く出ることもあります。多彩な感染症の中にマイコプラズマ感染症も見られることから感染症の鑑別診断を行うに際してはなかなか悩ましい状況です。各種の感染症の迅速診断キット、血液検査、レントゲン検査など闇雲に行うと、患者様の治療費負担額も思いのほか高くなってしまいます。どこまで検査してどのような症状悪化のリスクを考えて治療するかに思いを巡らせて診察を進めています。 ここ1年ほど扁桃周囲炎や急性喉頭蓋炎で来院される方が平素よりも明らかに多いようです。昨年の5月に、新型コロナが、感染症法上の2類から5類になった頃からマスク着用などの感染予防の対策も少し甘くなっています。また、感染対策を徹底していた頃に、あらゆる感染症の流行が見られなくなって、様々な病原菌に対する集団免疫力も落ちていると思われます。扁桃周囲炎や急性喉頭蓋炎が目立って増えてきたのにはこのような背景があるからと思われます。扁桃周囲炎の腫れが喉の奥広がって喉頭浮腫をきたしたり喉頭蓋の腫れが喉頭内腔に広がると呼吸困難が急速に進行する場合があります。時には致死的になることもあり、耳鼻科救急で最も注意すべき疾患とされる所以です。これらの疾患の方が来院された場合には、応急処置を行うとともに高位の耳鼻咽喉科の病院と連携をとって、ときには救急車での救急搬送も要請します。中予の医療圏では三次救急担当の愛媛県立中央病院を始めとして、松山赤十字病院、松山市民病院、愛媛大学病院、鷹ノ子病院などに対応してもらっています。当院の日曜診療時や、平日でも診療が夜遅くまでなった時でもしっかり対応して頂いており、私も救急担当の先生方には感謝してもしきれません。 |
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11月 | 8日 | 日に日に秋も深まってきました。松山市では先週の2日の土曜日、観測史上最大の1時間雨量100mm超を記録しました。このため、大雨洪水警報が発令され、私自身も診察中にけたたましい雨音に驚かされることがありました。「警戒レベル5(緊急安全確保)」の状況下では、待合室で診察室で複数の携帯のアラートが何度も鳴り響き、落ち着かない診察となりました。 その翌日、文化の日には、私の出身教室の80周年記念祝賀会が徳島で開催されました。日曜診療を行っているため、これまでなかなか教室の行事には参加できなかったのですが、初めて?祝日に会が催されることになって、今回はようやく出席することができました。久しぶりに対面した先輩や後輩との語らいで往時の自分を思い出し明日の活力が得られました。豪雨の翌日でしたが、まるで前日のことが嘘のような秋晴れに恵まれ、会までに時間に余裕があったので、母校のキャンパスを2か所訪ねてきました。市内にある常三島キャンパスでは、ちょうど文化祭が行われており、ステージでのバンド演奏や部活の屋台の呼び込みに囲まれて、若い学生たちに囲まれて少し若返った気分になりました。また、学祭に合わせて図書館も開放されており、教養部の図書館に入ったのは学生時代以来のことでした。蔵書に囲まれた学習室の凛とした雰囲気に、気持ちが引き締まりました。 最近、関東では桜が咲き、紫陽花が咲いて、蝉が鳴いていたとの情報もあり、10月まで続いた猛烈な暑さの影響で、ダニやカビが増殖していたのではないかと思います。そのため、ハウスダストアレルギーの方は、今年の10月まで鼻のぐずぐずする期間が長かったのではないでしょうか。ようやく冷え込んできた今、ダニやカビの増殖は終わったと思いますが、ダニの死骸や糞も抗原性が強いので、衣替えや冬の布団を出した際にアレルギーの刺激を感じる方も多いかもしれません。この夏の猛暑は、来シーズンのスギ花粉の飛散にも影響を及ぼす可能性があります。前シーズンは大量飛散し、昨年の猛暑の影響で、今シーズンのスギ花粉の飛散予想は表年にあたるため、かなりの量の飛散が予想されています。また、秋の雑草花粉の飛散も終わり、これからは11月の天気の良い日に野外で目がかゆくなったり、鼻がムズムズする方は、スギ花粉症の可能性もあります。 9月から当院でもまた見かけるようになった。インフルエンザですが、10月後半には、松山市内の小中学校や松前町の小学校で学級閉鎖が報告されました。松前町の小学校では運動会で感染が広がったと聞いています。現在流行しているインフルエンザのタイプは、A2009年型(新型)です。A香港型よりは病原性は弱いですが、それでも急な発熱や強い、倦怠感など、ウルスの増殖の力が強い特徴を示しています。治療には経口薬のタミフル、ゾコーバと吸入薬のイナビル、リレンザを適宜使い分けています。吸入薬のイナビルは吸入する粉が苦いのが難点です小さなお子様がようやく吸入できたと思ったところ、苦いので思わず吐き出してしまうことがあります。医療保険上は違う坑ウイルス薬を追加処方することが認められていないので、その際は違うお薬を自己負担で購入してもらうことになります。なかなかに悩ましい制度です。 新型コロナも少なくなりましたが、まだまだ発生が続いています。現在流行している株はほぼ100% K P.3 株です。8月まではJ N.1株も同時発生していたので、当院でも7月にコロナに感染してまた8月に感染した方や、8月に感染して10月に感染した方も見られました。これらの方は症状の出方から持続感染を検出したのではなく、やはり再感染したものと思われました。現在流行の株でも9角味覚障害が続いたり咳が続いたり倦怠感が続く方も見られます。なかなか特攻的な治療はありませんが、私もコロナの罹患後症状には消炎治療や亜鉛やビタミンの補充療法、漢方治療などで症状に向き合っています。 1988年の統計を始めて以降で最も流行しているマイコプラズマ感染症ですが、10月に入っても松山市内での市中感染は続いています。日本では8年ぶりの流行で過去にマイコプラズマに感染した既往のない小学校低学年より若い世代では、感染症状が強く出るケースも見られます。当院では今回の流行ではまだ酸素化不良など呼吸不全が強くなったケースは認めていませんが、高熱が4日5日と続き、インフルエンザやアデノウイルスなどのウイルス感染の反応が強い場合との鑑別が初期にはできかねる場合もあり、小児科とも連携を取りながら慎重に経過を診させていただいています。 徳島市の象徴、眉山です。市の郊外から眺めると「眉の形の山」であることがよくわかります。 文化祭の徳島大学常三島キャンパスです。学生時代に過ごしたときの風を感じながらキャンパスを散策しました。 工学部キャンパスの通りでは、イチョウの木が色づき始めていました。いよいよ秋も深まってきました。 眉山の麓にある西部公園からは医歯薬学部のある徳島大学蔵本キャンパスが望めます。学生時代、某運動部がこの公園で新歓の花見を行っていて、騒ぎすぎて送迎用の部員の車の上に乗って屋根がへこんだとの逸話があったのを思い出しました。(ちなみに我がソフトテニス部ではありません、、) |
10月 | 4日 | 今日の朝はひんやりして、ようやくようやく秋らしくなりました。
今日、近隣の小学校がインフルエンザで学級閉鎖です。1週間前には隣町の中学校で新型コロナの学級閉鎖です。ここ1週間、新型コロナが発生していると色々な学校の高校生からお聞きしました。インフルエンザが発生している高校もありました。新型コロナの第11波は減退していますが、まだまだ流行しています。インフルエンザもA型を中心に9月10月と発生が続いているようです。 9月に入って、手足口病に2回罹るお子様もおられました。愛媛の感染症情報ではコクサッキーA6型、A10型に続いて9月末にはA16型も報告されており、これらのウイルスで2回罹ったようです。 マイコプラズマ肺炎も引き続き当院でも散見されています。8年振りの日本での流行で、小学校低学年より下の年齢では初感染がほとんどですので、幼児では発熱が続くケースも見られました。 周りの田んぼでは稲刈りが佳境を迎えています。家の隣が田んぼで「稲刈りでやられた」方もいました。イネのもみ殻は粘膜への機械的な刺激だけですが、田んぼの周囲ではイネ科ととも9月末にはヨモギやブタクサなどのキク科花粉も飛散のピークを迎えていますので、雑草花粉で「やられる」人が多いようです。 いよいよ12月2日からは保険証はマイナンバーカードが主体となります。現在当院でのマイナカードでの受付はようやく6~7%といった具合でしょうか。国の方針もあり当院でもマイナンバーカード利用促進の掲示は出していますが、まだまだ紙の保険証の方が使い勝手がいい方が多いようです。当院では当面はカードリーダーは1台での運用を続けます。12月以降はほとんどの方がマイナカードで受付をすることになります。今から受付事務は戦々恐々としています。 サイトメガロウイルスによる伝染性単核球症、扁桃腫瘍、扁桃周囲膿瘍、おたふくかぜ、耳せつ、良性発作性頭位幻暈症、顔面神経麻痺など |
19日 | 残暑というより嘘のような猛暑が続いています。松山の路地にはチラホラと地方祭の飾り(紙垂)が張られるようになりました。こんなに猛暑なのに秋の飾り、、季節感が追いつきません。 手足口病が広がっています。現在の流行はコクサッキーA1株でしょうか。手足の水泡が大きく、体幹まで広がる傾向があります。手足口病の皮膚の水泡は「痛くも痒くもないですよ、軟膏も要りません」とお伝えしていましたが、水疱が大きいと痛みがでているようです。特に足の裏に出来ると歩く際の痛みがつらくなります。お子様からうつされたお母様で、口内炎が出来たり、手足に水疱が出現したり、時には短期的に発熱した、という方々も見られました。 インフルエンザで18日に松山市内の小学校から学級閉鎖が報告されました。今日も通っている幼稚園で流行っているとお聞きしました。当院では9月に入り5名の方でA型を検出しました。少しビックリしたのですが、13日にはお子さんからB型も検出しました。松山にもB型が存在しているのですね。愛媛の感染症情報センターからはまだ現在流行のインフルエンザのタイプの遺伝子解析の報告は出ていません。A型は香港型?2009年型? B型はビクトリア系統?山形系統? 国立感染研の全国データでもA形で香港型2009年型ともに散発での報告があるのみですので、現在の松山の流行株が何なのか気になっています。 |
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9月 | 5日 | 9月になりました。今日も30℃越えの真夏日が続いていますが、吹く風は少しひんやりと感じます。超大型の台風10号が松山をかすめていきましたが、松山へ接近した段階では中心気圧もグンと上がって台風の目も無くなっていました。今回の台風では竜巻や遠隔豪雨など多大な被害を及ぼしましたが、松山では大きな被害もなくホッとしました。6日にはスタッフにも出勤は無理しないよう取り決めていたのですが、どうにか通常通りの診察を行うことができました。
昨年は8月9月と二峰性のピークで流行した新型コロナですが、今年はお盆を過ぎるとピークアウトしています。しかし、新型コロナはやはり感染後の免疫が十分につかないのか、オミクロン株だけで5回発症した高校生、4回発症した小学生もいました。8月の後半も多彩な感染症が見られましたが、溶連菌、RSウイルス、アデノウイルス、手足口病など全て少なくなっています。 昨年秋に中国で流行した薬剤耐性マイコプラズマですが、日本でもこの夏に増えています。日本でもマクロライド系抗菌薬への耐性株が90%近いとの報告もあります。愛媛ではまだ目に見える流行には至っていませんが、当院でもちらほら検出しています。マイコプラズマ肺炎は、歩ける肺炎、異型肺炎とも呼ばれ、細菌性肺炎ほどは重症化しないとされていますが、初回感染の幼児では反応が強くなることもあり、また薬剤耐性もすすんでいることから、私も発症した方の重症化には気を付けています。 救急医療の講演会でマダ二と溶連菌による感染症について聴講しました。マダ二に咬まれたことでリケッチア菌に感染して起こる日本紅斑熱は愛媛では南予の果樹栽培者に多いこと、ダニに刺された記憶の無い人も3割いること、血液培養等での確定診断までには時間を要することから、日本紅斑熱を疑った際にはテトラサイクリン系の抗菌薬を投与することが望まれます。もう一つの重要な感染症、重症熱性血小板減少症候群SFTSは、マダ二からSFTSウイルスが人体内に入り引き起こされます。SFTSでは有効な抗菌薬が無く全身的な臓器障害を引き起こすことから、高次医療機関との早期の連携が重要なことを認識しました。溶連菌感染症では、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome: STSS)が今年前半に全国的に流行し報告例は1000人を超えています。成人の皮膚の傷から侵入した溶連菌の毒素で、筋肉の壊死を起こし、敗血症で急速に全身的な臓器障害が広がります。ただし皮膚に傷を認めない例も30%前後存在するとのことで、今年は成人発症の溶連菌咽頭炎が当院でも目立っていることから、溶連菌咽頭炎からの全身的な障害も視野に入れて経過を診たいと思います。 また、外来感染対策の講演会では、2015年より増え始め、ここ3年間は過去の感染者数を超えて史上最高の報告数を更新している梅毒についての講演を聴講しました。耳鼻科では、梅毒が全身性に血行性に広がって生じる感染2期に目立ってくる、軟口蓋中心に白体や粘膜疹の広がるバタフライ徴候や口唇や顔面の皮膚の硬性下疳に注意が必要です。当院でこれまで梅毒はほぼ見かけませんでしたが、ここ数年若者を中心に珍しい感染症ではなくなっていますので、当院でも梅毒の存在も念頭に入れた診察を行っていきます。 急性喉頭蓋炎、喉頭浮腫、マイコプラズマ肺炎、外傷性鼓膜穿孔、鼻中隔穿孔、先天性耳瘻孔化膿症、耳せつ など。 |
16日 | 国立感染研からの病原微生物検出情報から、最近の感染症の動向をお伝えします。 マイコプラズマ感染症が増えています。当院でも今年の春ぐらいから時々検出しています。2012年に特効薬とそれたマクロライド系抗菌薬への耐性が80-90%になり2015~2016年にかけて流行したマイコプラズマですが、コロナが流行してきた2020年には報告数が激減していた状況が2023年11月まで続いていましたが、昨年末より報告が増えてきました。この頃、中国で劇的に流行しその大部分がマクロライド耐性でした。わが国でも昨年末から報告が増えてきています。日本でのマクロライド耐性の割合はまだ報告が上がってきていませんが、小児病院での重症例にはマクロライド耐性が報告されてきています。これから愛媛でもマクロライド耐性のマイコプラズマが増えてくる可能性は高いと考えられます。耐性が獲得されていない合成抗菌剤による治療が必要となりそうです。マイコプラズマは4~40才での報告が多いです。これまで持続感染はEBウイルスやヘルペスウイルスが有名でしたが、新型コロナも持続感染による後遺症化が注目されています。マイコプラズマも耳鼻科領域では上咽頭での持続感染か以前に報告されて入り私も注目していたのですが、持続感染から喘息化する病態もこれから注目されるかもしれません。 人喰いバクテリアとも称される劇症型溶血性レンサ球菌感染症STSSも、2023年夏以降全国的に報告数が増えています。現在流行しているタイプは2010年以降に英国で広がった病原性と伝播性が強いとされるS.pyogenes MI(UK系統株)です。50才未満での報告が多いです。我が国では劇症型ではない溶連菌咽頭炎が、新型コロナ流行下の2020年からは報告が少なかったのですが、全国的にも愛媛県でも昨年11月から今年の7月まで過去10年平均では一番の流行が続いていました。当院でも今年の前半は本当によく見かけました。従来型の溶連菌咽頭炎であっても、扁桃腺や咽頭での反応が強い成人のケースにによく遭遇しました。劇症型は菌血症や急性腎不全で急速に全身状態が悪くなるケースもあるとされています。溶連菌咽頭炎を発症した方で全身的にも咽頭の局所的にも反応が強いケースでは激症化に細心の注意を払って診察を進める必要がありそうです。 |
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8月 | 13日 | パリ五輪が閉幕しました。参加できた選手、参加できなかった選手。本番で実力を発揮した選手。出来なかった選手。審判に泣いた選手。選手一人一人に、テレビで見えた向こう側には物凄い努力とプレッシャーがあったのだと思います。皆さんにお疲れ様と伝えたいです。お盆です。徳島大出身の私にとっては阿波踊りの開幕でお盆を感じます。当院の今年のお盆休みは、山の日の振替休日と繋がって6連休となりました。ここのところずっと病院が忙しかったこともあり、正直、ちょっとばて気味でした。お休み直前に診た方々の体調が順調に回復することを念じながら、お盆休みは骨休みさせていただきます。 5年前までなら、夏は感染症が無くなり1年で一番のどかな診察室でした。4年前の夏は、新型コロナは怖いものの市中には広がらず、それ以外の感染症もほぼ無くなってのどかすぎる診察室でした。3年前からは夏に新型コロナの感染拡大が起こりました。新型コロナも発生して5年目に入っています。1914年に発生したあのスペイン風邪でも4年で大流行は収束しましたし、2009年の新型インフルエンザも3年目には季節性化して大流行は見られなくなっていました。変異を繰り返した新たな株が次々出現してくる新型コロナウイルスは、やはり普通の新興ウイルスとは違うようです。第11波が9月には収束して冬には第12波は来ない、、となって欲しいものです。 当院での感染症の発生状況ですが、新型コロナが引き続き多く見られました。これまでコロナに罹ったことがなく今回初めて発症した方で、高熱や咽頭粘膜の強い腫れなどで症状の強いケースが目立ちました。インフルエンザはここ2ヶ月全く見なくなりました。溶連菌咽頭炎も目立ち、新型コロナと同時感染するケースも複数見られました。手足口病、アデノウイルス感染症も少なくなりましたが見られています。手足口病は、口内炎が強くて食事が十分とれないお子さんや、子供さんから感染して発症する大人の人も見られました。手足口病の皮疹はそれ自体は痛くも痒くもないことがほとんどなのですが、足の裏の皮疹は歩いて体重がかかった時に強い痛みを感じるケースがあります。珍しいですが大人の人がこうなると、なかなかしんどいです。 連日、熱中症警戒アラート発令が発令されています。汗のかいて外耳炎から耳の周りや首にとびひ(伝染性膿痂疹)が広がった方、脱水気味でメニエール病が悪化した方も見られました。連日冷房をかけっぱなしで寝るせいで、鼻過敏症の方では夜間の鼻づまりがつらくなる方が、また、のどが狭くていびきをかきやすい人の中には朝の寝起きにのどをやられてヒリヒリする方もおられました。花粉の飛散は現在ほぼありませんが、お盆明けからは少ないながら秋のイネ科花粉の飛散が始まります。ヨモギなどのキク科花粉の飛散は9月に入ってからです。これだけの猛暑、少雨ですので山ではスギ花粉の花芽の発育が旺盛になりそうです。来シーズンは今年の反動でスギ花粉が大量飛散しそうです。 当院が新型コロナにしっかり対応していたクリニックということで、新型コロナへの対応に関する原稿依頼がありました。医療関係者向けの原稿ですが、以下にご紹介しておきます。 タイトル:COVID-19 耳鼻咽喉科診療所での対応を振り返る COVID-19(以下新型コロナ)の出現は、外来レベルでは耳鼻咽喉科が最も影響を受けた診療科となりました。来るべき新興感染症への備えの一助になればと思い、当院での対応を振り返ってみます。 2009年、メキシコから新型インフルエンザA(H1N1)pdm09が発生しました。当初の報告では致死率40%と大変恐れられました。豚インフルエンザや香港型の変異も入っていましたがAソ連型の変異が主体で、強力な変異でないことが判明しました。パンデミックが終わってみれば、抗インフルエンザ薬を多用する日本が世界で一番致死率が低いというオチもつきましたが、このウイルスはAソ連型に置き換わって季節性に毎年流行するようになりました。ACE2レセプターを介して血管内皮に感染し全身的な血管障害と免疫不全をきたすという全く新しいウイルスである新型コロナも、変異を繰り返しながら感染の流行波が執筆時点で第11波まできています。新型コロナも従来型のコロナウイルスに加えて、今後季節性に発生が続いていくかもしれません。 2019年11月に中国で発生したとされる新型コロナですが、2020年1月15日に日本国内でも初めて患者が報告され、23日に武漢が都市閉鎖、30日にWHOが緊急事態宣言、2月1日わが国で指定感染症2類に指定、同日横浜に到着したダイヤモンドプリンセス号で集団感染発生と怒涛のような流れでした。この時点では致死率が3~5%とされ発症の病態も解明されず有効な治療法も確立されていなかったことから世界的に恐怖感が覆ったのもむべなるかなでした。しかしこの頃は水際対策が主体で、耳鼻科外来への影響はまだ見られていません。しかし、3月には感染第1波が到来。徳島でも愛媛でも初感染者が報告され、学校の臨時休校要請、4月には1回目の緊急事態宣言発令に至って、医療機関での感染を恐れ外来受診者が激減しました。感染様態も飛沫感染ではなく従来型のマスクをすり抜けるエアロゾル感染とされ、アルコール消毒は有効だが室内で付着したウイルスは1週間は死滅しないとされました。3密回避の日本発の考えも提唱されました。各科別では耳鼻科と小児科の患者数減が特に目立ちました。院内の換気消毒、患者間のソーシャルディスタンス確保、病院スタッフのフェイスシールドや防護服、手袋着用、ネブライザー治療や内視鏡検査の中止、会計の金銭の消毒など、スタッフの業務量も増えていきました。 その後、2023年5月の新型コロナの5類移行まで厳重な感染予防対策が求められました。私は急性上気道炎を中心とするいわゆる風邪の診断治療では耳鼻科がプライオリティをとっていかないでどうするとの矜持で、発熱や風邪症状の患者には以前と同様向き合い続けることとしました。幸いこれまで、スタッフの新型コロナの感染発症は複数回あり感染した職員には当初2週間の自宅待機も必要でしたが、クラスター化はなく他のスタッフが補ってくれたおかげで病院は休診することなく続けられました。 新型コロナのワクチン接種は待合室のチャイルドコーナーを隔離室化することで接種後の待機時間の空間的隔離を確保して診療と同時に行うことができました。幸いにもワクチン接種後に有害事象を発現した方はみられませんでした。発熱外来はちょうど当院の通用口の近くの駐車場に屋根があった部分に設置できましたので、短い導線で対応することができました。発熱外来はキャンプ用テントを活用して風よけもしっかりできましたが、いかんせん屋外での設置でしたので、夏は防護服で汗だくになることから冷風扇を、冬は底冷えでファンヒーターを設置、夜間の診療に照明の造設、発熱外来待ち用に複数のベンチを造設、駐車場の車内で診察や会計を行う際の懐中電灯など、スタッフと相談しながら整えていきました。電話診療、処方の宅配も認められましたので、密にならない診療の一助にはなりました。 診断は主に抗原定性検査でしたが、外注のPCR検査も利用しました。院内で迅速診断が可能なPCR検査装置の導入も検討しましたが、費用面と感染拡大時には検査キットが十分に供給されなかったことから導入は断念しました。無料検査施設にも手上げをして無料検査も行いました。無料検査で無症状陽性者のピックアップもかなりできました。無料検査を始めたことで、通常診療、発熱外来、ワクチン接種と職員の業務量が半端なくなりました。受付電話もパンク状態になり2回線に増やしました。スタッフ一同の献身的な協力でどうにかマルチタスクをこなせました。PCR検査は外注で当日中にゆうパックで出せば翌日FAXで結果が帰ってくるシステムでした。最寄りの郵便局なら午後4時までに土日は当時新型コロナの影響で郵便局の窓口の受付時間も短縮されていたことから本局には午後6時までに間に合うようハラハラして向かっていました。自費診療の抗体検査も行いましたが、感染拡大とワクチンの複数接種が進み臨床的意義は低くなり希望者は徐々に減りました。 治療では、アルファ株、デルタ株では急速な酸素化不良例、心不全化例もみられました。またオミクロン株の方が目立つようになりましたが咽喉頭粘膜の高度なびらんと腫脹を来す例も多々見られました。消化器症状や皮膚炎、耳鼻科的には時に出血性耳漏まで起こす鼓膜炎もみられました。中等症Ⅱ以上で重症化が疑われるケースでは保健所に連絡の上、連携して新型コロナ対応の基幹病院に救急搬送しました。しかし2021年8月のデルタ株による第5波では入院病床も逼迫して受け入れが不可能な時期もありました。その際は酸素装置に余裕のある在宅医と連携して祈るようにバトンタッチしていました。オミクロン株に移行して最多感染者数となった2022年夏の第7波では、連日多数の感染者が来院しピークでは1日80人強、平日だと松山市の感染者総数の3%、日曜診療を行っていたことから日曜日は愛媛県全体の感染者の10%を数えていました。陽性者はその場で保健所に電話で連絡、公共交通機関での帰宅が困難な人には移送用のタクシーを依頼、自宅での隔離が不可能な人には療養ホテルを確保など保健所への依頼を行っていましたが、一時は電話口でも窺い知れるぐらい保健所の業務も逼迫していたようです。医師会からの依頼で協力した自宅療養者管理ですが多い時には依頼患者数が30名程でした。診察終了が午後10時前後になる中、療養管理を1日1回電話で確認する必要があり早朝や診察の合間、療養している方の就寝までには連絡をとるよう私も時間確保に苦慮しました。患者登録システムのHER-SYSですが病院によっては医事スタッフ入力していたようですが、感染経路、発症日、基礎疾患、重症度などを登録する必要があり私は診察終了後カルテを自宅に持って帰って入力していました。ピークには午後10時診察終了。午後11時から入力開始。住所の郵便番号を検索したり外字の名前をパッド入力したりで四苦八苦しながら終了が午前5時という時もありました。なんといっても5類移行で一番ホッとしたのがHER-SYS入力が無くなったことでした。経口抗ウイルス薬が2022年から外来でも使用可能となりました。当初は発熱外来実施施設の中で登録した施設に申請すれば配給され、高齢者や基礎疾患者に患者同意書を取って院内処方する流れでしたが、2023年からは院外処方箋での処方が可能になりました。パキロビッドは腎機能低下では使いにくく、最近欧州ではラゲブリオの推奨を外す予定で、私の処方した実感ではゾコーバが服薬初期から解熱し症状も軽くなり有効な印象です。 感染後症状(後遺症)の方の来院も見られます。耳鼻科では嗅覚味覚障害が最も目立ちますが、運動後倦怠感や脳の霧でめまいが持続する例も見られます。中には長期の休職を余儀なくされている例もあります。感染後症状の病態はまだはっきりしていませんが、微小血栓による細胞障害、自己免疫異常の誘発、持続感染が疑われています。めまいでは持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)のような機序も関与している気もしています。特効的な治療法はいまだありませんが、感覚器を扱う耳鼻科として感染後症状の患者さんに向き合っていきたいと思います。 耳鼻科診療所の経営面では、医療動態調査をみると2020年は全科の中で小児科とともに収益が悪化しました。翌年、小児科は収益が改善しませんでしたが耳鼻科は唯一取り残されました。当院でも賞与の一時カットを余儀なくされました。2021年には発熱外来への補助金があり、コロナ診療の公費負担、特別加算から経営面では一息つくことができました。 1914年に発生したスペイン風邪は4年でパンデミックが終わり、後は季節性の流行に移行しました。新型コロナも発生して5年目に入りました。変異とともに弱毒化して季節性化してほしいものですが、オミクロン株でもまだインフルエンザの3倍程度の致死率で、高齢者や基礎疾患者では重症化も見られます。耳鼻咽喉科医、特に耳鼻科外来診療医は上気道を俯瞰できて感染症のゲートキーパーたる存在です。耳鼻科のメリットを生かした感染症診療を今後も続けたいと思います。 |
7月 | 22日 | 平年より短期間で暑かった梅雨が明けました。子供たちは夏休み入りです。 新型コロナの第11波入りは確定のようです。当院でも日増しに陽性の方が増えています。愛媛県では6月までの報告ではオミクロン株のJN.1株が多数にXDQ株が少数報告されるという状況でした。感染症情報センターからの報告はまだ上がっていませんが、どうやら愛媛県でも7月に入って、感染力が強いとされるKP.3株が主体になったと思われます。いずれもBA.2株が変異したものですが、1~2ヶ月以内に繰り返し感染発症するケースも見られるかもしれません。当院でも咽頭粘膜の反応が高度な方や、血中酸素飽和度が下がる方も見られます。オミクロン株でも発症1週間後より自己免疫性肺炎で酸素化が不良となるパターンや血栓やサイトカインストームで急に重症化するパターンも報告されています。新型コロナの検査が陽性になった方に対しては、基礎疾患で重症化しやすい可能性があるのか、現在の重症度レベルはいかほどなのか、新型コロナの抗ウイルス薬を適応した方がよいのかなど勘案しながら診察を進めています。 |
6月 | 30日 | 例年より遅かった梅雨入り、さらに梅雨入り後1週間は雨の降りませんでしたが、ようやく本格的な梅雨の気候になりました。松山でも蒸し暑い夜に豪雨です。気道過敏症やメニエール病、片頭痛などの方は、低気圧で症状が誘発されますのでいつも以上に体調管理に留意して下さい。 新型コロナの方はほぼ毎日来院されています。この5月に2日だけひとりも来院されない日がありましたが、6月も毎日ずっと来院されています。愛媛県では現在JN.1株がメインのようですがXDQ株も検出されていますので、立て続けに発症するケースも見られます。オミクロン株だけで5回発症した方もおられました。全国的にも愛媛県も第11波の到来というほどの感染者数の増加は見られませんが、徐々に増加傾向にあります。新型コロナの収束はいつになるのでしょうか? 6月から新型コロナへの抗ウイルス薬への公的補助がなくなりました。医療保険3割負担の方で、ゾコーバで9千円。ラブゲリオ、おパキロビッドで2万8千円前後の自己負担が必要となりました。感染した方の症状のレベル、基礎疾患の有無、年齢などを考慮しながら抗ウイルス薬を服薬するかどうか、患者様とも相談しながら処方しています。 1年前にA香港型から発生しはじめたインフルエンザですが、11月からはA2009年型が、今年1月からはB型が発生していました。この冬に3回インフルエンザを発症したお子様もおいでました。ここ2か月半でA型を検出することがなくなり、1ヶ月半前にはB型も見なくなっていたのですが、当院ではここ2週間、またA型を検出するようになりました。新型コロナほどではないですが、こちらもほぼ毎日検出しています。まだ愛媛県の感染症情報センターからは今のA型の遺伝子分析結果は発表されていませんが、急な発熱が目立つことから、私はウイルスに勢いのあるA香港型を疑っています。 溶連菌も猛威を振るっています。溶連菌も愛媛県では昨年11月以降、過去10年では最も多いペースのまま発生が続いています。ヒト・メタニューモウイルスは見かけなくなりましたが、RSウイルスは多く発生しています。集団保育児からお母さんやお父さん、おばあちゃんがうつされて発症するケースも珍しくありません。手足口病もまだまだ見られています。コクサッキーA10型でしょうか? 全身に皮疹が広がるお子様もみられます。アデノウイルスも見かけますが、こちらは少なくなってきました。また、マイコプラズマ肺炎もまま見かけます。 血管炎性肉芽腫症や好酸球性血管炎性肉芽腫症の方の来院が続きました。これらは全身性に血管炎が広がる病気で、MPO-ANCAやPR3-ANCAなどの血管を障害する自己抗体を有することが多いです。21世紀に入って病態の解明が進んだ病気で、その研究では日本がリードしていました。気道の入り口である鼻腔から発症することが多く、粘膜のただれ(びらん)が目立ったり鼻中隔穿孔が生じたりします。全身的に広がると、肺炎や腎炎で重症化します。近年、生物学的製剤が有効であるとの報告がなされています。これらの方々は、全身的な検索や自己免疫疾患としての膠原病内科的な治療も求めて、高位の病院に紹介しています。 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会学術講演会が5月に大阪で開催されました。新型コロナが発生してからはオンラインでの参加聴講が可能となりました。やはり学会は最新の知見を効率よく吸収できる有意義な場所ですので、以前は当院を休診にして参加していましたが、オンライン開催が始まって以降は自宅でじっくりと受講することができるようになりました。コロナの発生が下火になって以降は、耳科学会や鼻科学会、平衡神経科学会、音声外科学会などなど各種の分科会や地方部会は対面での開催のみに戻った学会も増えてきましたが、大きな学会はオンライン開催がまだ続いています。対面の学会であれば、質疑応答の討論や機械展示に触れることができ、旧知の方との情報交換もできるメリットがありますが、休診に抵抗感のある私にとっては、オンライン開催がずっと続くことを期待してしまいます。 |
5月 | 29日 | 5月のすがすがしい季節が過ぎようとしています。汗ばむ陽気の日もあり、当院でも冷房が必要になってきました。ここ2日、松山も激しい雨に見舞われました。四国もあと1週間ほどで梅雨入りでしょうか? 今の時期のアレルギー環境の推移は、雨が降り続くとイネ科花粉も飛散は落ち着きますが、代わって、ダニやカビが増えて、低気圧で気圧の変化が大きくなり、冷房で体が冷えますので、ハウスダストアレルギーの方や気道過敏症の強い方で症状が強くなってきます。 昨年から当院ではカメムシの大量発生に困っています。今年も1週間前より照明に誘われて玄関ドアにカメムシが集まってきています。玄関の風除室にも少し入ってきますので、待合室に入ってこないかヒヤヒヤしています。診察が終わった後、私が風除室内に留まっているカメムシをそろりと追い出しています。(/_;) 新型コロナがしぶといです。松山でもオミクロン株の変異株がJN.1株からXDQ株に半数近く置き換わっているようです。ゴールデンウィークが明ければ新型コロナの第10波もとりあえず収束するかと思っていましたが、全国的にも2週間前からまた報告数が増えてきています。当院でも連日検出しています。ただし3日前と今日は陽性の方は見られませんでした。新型コロナは血管内皮に感染する変なウイルスですが、感染後の免疫が付きにくいという特徴もあるようです。当院でもオミクロン株だけで4回罹った方もおられました。これから第11波になるのではなく、一度は発生が収束して欲しいのですが、、 インフルエンザはA型が2か月前に収束し、B型も2週間前にほぼ姿を消したようです。溶連菌とRSウイルスはまだまだ発生が多いです。手足口病、アデノウイルス、ヒト・メタニューモウイルスもまだ散見されます。咳が長引くマイコプラズマ感染症も時に見られます。 新型コロナウイルスの後遺症に関する講演会に参加してきました。新型コロナウイルスでは「後遺症」と呼ばすに「罹患後症状」と称しています。英語でも long COVID と「長引くコロナ感染症」と称しています。講演の先生のコメントでによると、後遺症と呼ぶと治らないイメージが先行してしまうことから、後遺症と出来るだけ呼ばないようにしているのではないかとのことでした。そうですね。罹患後症状が長引いてアルファ株の当時に感染していまだに症状が3年たっても改善しないケースもあるようですが、多くの人は改善していくようですのでえ罹患後症状という表現は言いえて妙だと思います。罹患後症状の原因の特定と有効な治療法はいまだ確率されていないのが世界的にも現状ですが、原因としては、新型コロナウイルスの持続感染と感染後の免疫異常が大きく関わっているのではないかとのことです。症状で特徴的なのものに運動後倦怠感があるとのことでした。講演会では様々な治療法についても報告されていました。当院でも感染後後遺症に苦しめられている方々の通院が続いています。耳鼻科手技の上咽頭擦過治療お含めて、抗炎症治療や漢方治療など。私も患者様と相談しながら最善を尽くそうと考えています。 喉頭腫瘍、頚部リンパ節炎、頚部腫瘤、顔面神経麻痺、突発性難聴、多発血管炎性肉芽腫症など。 |
4月 | 28日 | ゴールデンウィーク入りです。新緑が目に眩しいです。 つゝじ多き 田舎の寺や 花御堂 子規 今回の診療報酬改定はスケジュールが変更され、薬価改定は4月でしたが診療報酬改定は6月になりました。例年なにかしらレセコンの不都合が発生していた当院の新年度入りですが、今年は穏やかな新年度入りとなっています。 供給の滞っているスギへの舌下免疫薬とメニエール病への中耳加圧治療器ですが、いまだに供給は滞ったままです。舌下免疫の導入や中耳加圧治療を希望される患者様にはいましばらくお待ちください。鎮咳剤や抗菌剤の供給制限は徐々にではありますが改善されてきています。それでも十分な供給にはまだほど遠いです。 思えば昨年5月に新型コロナの感染症法上の扱いが2類から5類に変更され、6月から皆様も恐る恐るマスクを外し始めたと思います。その影響と新型コロナのへの感染予防でその他の感染症への免疫が落ちていたことから、いままで潜んでいた様々な感染症が6月以降ほほ1年にわたって大流行しました。しかしその流行も4月中旬には漸く落ち着いてきました。 当院でも新型コロナはまだほぼ毎日検出されてはいますがかなり少なくなりました。愛媛県での新型コロナのゲノム解析ではBA.2系統のJN.1、XBB、XDQ系統が検出されています。4月にはXDQ系統が主流となっています。新型コロナは全身の血管障害を引き起こすやはり特別なウイルスですが、それでも病原性はかなり低くなったと実感します。倦怠感の持続、咳の遷延化、嗅覚味覚障害などの後遺症の続く方はかなり少なくまりました。急性期の少々も軽い方が多くなっています。上気道、特に咽喉頭での粘膜障害が強い印象はありますが、以前のアルファ株やデルタ株のような心臓の障害や呼吸不全をきたすケースは見なくなりました。新型コロナもようやく従来型コロナ並みの”普通の風邪”に近づいてきているようです。 インフルエンザも当院ではA型は3週間前からは検出していません。B型はまだほぼ毎日検出していますがそれでも少なくなりました。4月下旬は中学生の修学旅行のピークですが、幸いにも今年は、当院からは修学旅行に行けなかった学生さんは出ませんでした。(^^♪ その他の感染症では、溶連菌咽頭炎がまだまだ過去10年来で最多で推移しています。3月が中心で流行していたヒト・メタニューモウイルスですが4月には少なくなりました。代わってRSウイルスがやや増えています。今年も呼吸不全で当院から紹介入院を余儀なくされた小さなお子さんもおられましたが、皆さん重症化せずに退院できています。私もホッとしています。アデノウイルス、マイコプラズマも散見はされています。 それでもここ2週間、ようやく種々の感染症は激減してきました。これからゴールデンウィークで子供たちの集団生活は一旦終わり気候もよくなりますので、長かった感染症の流行は終わりそうです。 ここ1ヶ月、当院では急性喉頭蓋炎の患者様が続きました。のどの腫れが急速に下に広がる喉頭蓋炎、喉頭炎は最悪の場合、窒息につながります。週末の時間外にもかかわらず救急対応して頂いた基幹病院耳鼻科の先生方には感謝しています。心強いです。 記録的な少量飛散となったスギ花粉は例年より早く3月末に飛散終了しました。ヒノキ花粉も少量飛散のようです。例年より飛散開始が遅く、3月末に、ヒノキ飛散開始→黄砂→直ぐにスギ飛散終了となっています。ヒノキ花粉はそれでも4月10日ごろやや大量飛散しましたが、その後も少量飛散で今日あたりでほぼ飛散終了するものと思われます。10日前に2回目に日本に飛来した黄砂ですが、マスコミの報道ほどには松山では飛来していません。黄砂による気道過敏の増悪を心配されて来院された方もおられましたが、多くは軽い急性上気道炎や温度変化などの気候による過敏症でした。 頚部膿瘍、外傷性鼓膜穿孔、聴覚情報処理障害、唾石、腺腫様甲状腺腫など。 |
27日 | 年度末も間近です。今年も患者との様々な別れがありました。高校を卒業して県外に出る方も多いです。東京、大阪、京都、神戸、広島、九州へと旅立って行きます。卒業生の皆さんの新たな旅立ちに幸あれ! 転勤で松山を離れる方、家族の転勤で転校するお子様、新たな環境での活躍を期待しています。中耳炎の経過観察や睡眠時無呼吸のCPAP治療の継続のための紹介など続きました。 風邪で熱の出る方はまだまだ多いです。新型コロナの第10波も2月上旬のピークからは徐々に減っていますが、まだまだ見かけます。インフルエンザはA型はほとんど見かけなくなりましたが、B型の流行は続いています。卒業式で広がったケースもまま見られました。乳幼児ではヒト・メタニューモウイルスが目立ちます。溶連菌も学童に目立ち、アデノウイルス、手足口病、RSウイルスも散見されます。水痘のお子様、マイコプラズマの青年も見られました。流行する病気ではありませんが、単純ヘルペスの初回感染、サイトメガロウイルスによる伝染性単核球症も見られました。今年は3月後半になっても例年よりかなり多くの感染症が見られています。これから子供たちが春休みにないりますので、さすがに多彩な感染症も減ってくると思われます。 スギ花粉は春の嵐となった20日にまとまって飛散しましたが、それでもトータルの飛散量は少なく、このまま昨年の1/10、松山の過去36年で3番目に少ない飛散量でシーズンを終えそうです。ヒノキ花粉も例年よりかなり少なくなりそうです。恐らく昨日あたりが初めての少量飛散で、例年よりかなり遅い飛散開始、かなり少ない飛散量になりそうです。23日には高知で全国で一番早い桜の開花が確認されました。松山の開花も間もなくです。スギ花粉の飛散ももうすぐ終わりです。30日には黄砂の飛来が予想されています。松山でも結構大量に飛来するようです。黄砂も気道の障害を誘発します。鼻や気管の弱い人は暴露しないよう気を付けて下さい。 先天性耳瘻孔急性化膿、急性喉頭蓋炎、顔面神経麻痺、外傷性鼓膜穿孔、ガマ腫、帯状疱疹、水痘、突発性難聴、良性発作性頭位眩暈症など。 |
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3月 | 13日 | スギ花粉の飛散ピークは終わりました。シーズン前の予想は「平年よりやや少ない」としていましたが、これまでのペースで見ると、前年の6%(1/16)で、松山の観測の記録と比較しても過去36年の観測の中で1994年に次ぐ過去2番目の少量飛散になりそうです。一昨年が極端な少量飛散で昨年が極端な大量飛散でしたので、ここのところスギの樹勢が表年裏年で大きくなっているのでしょうか。診察でも「今年は花粉本当に飛んでるんですか?」との質問も受けました。今年花粉症デビューのお子様も例年よりかなり少ないです。今シーズンは症状の軽い方が多いのが何よりです。(^^♪ スギ花粉の飛散は、あと2週間ほど毎日飛散した後、4月に入ると飛散しない日もでてきて4月中旬に飛散終了となります。スギと共通性抗原のあるヒノキ花粉の飛散がそろそろ始まります。スギが少ない年はヒノキも少ないと飛散量は連動することが多いのですが、ヒノキの飛散の予想は難しいのが現状です。スギ同様に記録的な少量飛散にはならず案外飛ぶかもしれません。ヒノキ花粉はスギ花粉より粒子が小さく抗原性も低いことから軽い症状ながら咳症状が目立つ場合もあります。これから飛散が始まって4月初旬に飛散のピークを迎えます。 新型コロナですが、まだまだ患者様は多いのですが、それでも第10波は順調に減じてきています。インフルエンザは、A型はほ見なくなりましたがB型はまだまだ見られます。市内でも学級閉鎖が散発しています。3月も広後半に入りますので、今後も順調に流行は収束に向かうと思われます。小さなお子様の間ではヒト・メタニューモウイルス感染症が目立っています。関東で多いRSウイルスですが、先日当院でも検出しました。関東では麻疹(はしか)の発生が増えてきているようです。予防接種を受けていない幼児や時には大人も重症化しますので、愛媛への感染の波及にも注意したいと思います。耳鼻科とは関係しませんが、インバウンド旅行者の増加とともにホテルでのトコジラミの発生がニュースになっています。病院のソファーにトコジラミ、、にならないようにすることも含めて感染予防のこまめな消毒は引き続きしっかり行っていきます。 せき止めを中心とするお薬の供給不足はなかなか解消しません。大人の咳止め痰気りに続き、小児の咳止め、抗菌剤、総合感冒薬、漢方薬と供給不全が広がっていましたが、最近では小児の抗アレルギー剤や点鼻液の供給も滞っています。お薬の供給状況を考えながら処方しますので、以前と違い変に頭と時間をつかってしまいます。早くスムースな処方ができるようになってほしいものです。薬の安定供給のために4月の薬価改定では供給不足であった咳止めや去痰剤、漢方薬の薬価が大幅に上がる予定です。”病院でもらう風邪薬は安い”のイメージは崩れるかもしれません。 |
24日 | 1週間前の15日の春一番、16~18日の椿まつりから徐々に飛散は増えていました。今年はまさに松山のスギ花粉症のシーズンは”椿さんで始まる”を地で行く形となりました。今日はさらに飛散が増えて、今シーズン初めて中等度飛散のレベルに達しました。これから1ヶ月の大量飛散が始まります。 今日午後4時、松山外環状道路の余戸南ICー垣生東IC間が開通しました。松山道松山ICから松山空港までのアクセスがさらに便利になります。朝のラッシュ時に渋滞の多かった余戸南ICと国道56号の接道部の渋滞の緩和が期待できそうです。 診療が終わって当院3階から外環状道路の高架を眺めてみると、車のヘッドライトやテールライトの光が漏れてきています。ゴーッという車が通る高架橋の音や高架の接合部を車が通過するときのシャーシャーという音も漏れてきます。当院からの音の風景も、電車の通貨音と踏切の警報音、飛行機の離着陸音、遠くから聞こえる船や気動車の汽笛に加えて、高速道の高架橋の音が加わったことから、少し都会のテイストになりました。 |
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14日 | 急に暖かくなりました。当院のスギ花粉の飛散開始日は2月10日となりました。当初、例年より早めの飛散開始を予想していましたが、2月初旬の寒波のせいでむしろ例年よりやや遅めの飛散開始となりました。1月に最強寒波で例年より飛散開始がやや遅かった昨年よりも、さらに1日遅くなりました。今日は全国的に記録的な温かさですが今日も花粉の飛散はまだわずかです。来週から本格的な飛散が始まりそうです。花粉の飛散を感じ始めた方の来院が目立ってきました。花粉症へのレーザー治療は飛散が本格化する前に行いますが、駆け込みでレーザー治療を希望する方も見られました。 新型コロナの第10波はますます目立っています。昨日、今日とヒト・メタニューモウイルス感染のお子様が立て続けに4名見られました。昨年夏にRSウイルスが流行し、昨年秋にRSウイルスの兄弟分のヒト・メタニューモウイルスが流行しました。関東では再度RSウイルスが流行との情報がありましたが、松山ではヒト・メタニューモウイルスがまた増えるのでしょうか。 |
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2月 | 8日 | 大学共通テスト、私立高校入試と受検シーズンが続きます。受験生で受診された学生さんが十二分に実力を発揮できるよう最善の治療を心がけたいです。 いよいよ11日には愛媛マラソンが開催です。当院にも当日参加予定のアスリートの方の受診が見られます。受験生同様、ランナーの方々が体調万全で当日を迎えられるよう、私も最善の治療を目指しています。 ここ1週間の寒波でスギ花粉の飛散は止まっています。当初の私の予想に反して、飛散開始日は例年よりやや遅い来週初めになりそうです。 |
31日 | 寒いです。この冬一番の寒波の影響でスギ花粉の飛散は少量のままです。毎日飛散する「飛散開始日」は2月5日前後になりそうです。花粉症の初期治療やレーザー治療を希望する方の来院が増えてきました。 インフルエンザと新型コロナが猛威を振るっています。A香港型の流行に続いて、A2009年型とB型ビクトリア株も流行してきました。今週に入り松山市内の学級閉鎖の報告も一気に増えました。低学年でB型で学級閉鎖、高学年でA型で学級閉鎖、全校で新型コロナも同時発生の小学校もあります。当院では3日続けて、インフルと新型コロナへの同時感染の方の来院が続きました。新型コロナは今年に入り愛媛県でもオミクロン株のJN.1系統が主流になりつつあるようです。オミクロン株への複数回感染も珍しくなくなっています。 サイトメガロウイルスによる伝染性単核球症、細菌性甲状腺炎、顎関節症、三叉神経領域の帯状疱疹、耳せつ、良性発作性頭囲眩暈症、結節性甲状腺腫、急性顎下腺炎、反回神経麻痺、新型コロナウイルス罹患後症状など |
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24日 | 1月当初よりB型インフルエンザの流行が始まりました。昨年中に主流だったA香港型が引き続き発生しているなかでA2009年型の発生もありB型の発生もありの状況になっています。今週に入り、ある小学校ではA型で学級閉鎖が起こり、ある小学校ではB型で学級閉鎖が、ある小学校ではA型とB型が混在して発生しています。この冬、A型に二度罹ったり、A型B型に二度罹るケースも出ています。まだインフルに3回罹った人はまだいませんが、これから3度罹りするケースも出てきそうです。 新型コロナも年末からまだ増えてきています。愛媛でもオミクロンのBA.2系統、XBB系統の発生が見られています。関東では米国やインドなど世界で広がっているXBB系統のJN.1も増えているようです。今後、愛媛県でもJN.1系統を中心に新型コロナの第10波の流行が始まるかもしれません。オミクロン株だけでも2度3度発症するケースも珍しくなくなっています。 当院でも年末に猛威を振るったアデノウイルス、溶連菌は少なくなっています。手足口病もわずかにみられる程度になってます。 ポールンロボによる花粉飛散の集計を始めました。当院では12日から観測を始め13日が初観測となりました。今日は寒波ですが1月に入り記録的な暖冬であることからスギ花粉の飛散開始は例年よりかなり早くなりそうです。関東では過去最速で1月中の飛散開始も予想されだしました。松山でも1月中に毎日飛散する飛散開始日を迎えそうな気配です。 |
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3日 | 明日は当院の仕事始めです。今日はもう1日ゆっくり過ごさせて頂きました。 元旦の松山城です。いつ訪れてもどっしりとした城垣には惚れ惚れします。道後平野の東には雪をかぶった石鎚山が遠望できます。 松山気象台が改修され、往年の時計台が復活しました。 この建物は昭和3年松山測候所として建造され、現在は国登録有形文化財に指定されています。気象台の前庭には百葉箱をはじめとする各種の観測機器が設置されています。年末の天気予報の番組で得た知識ですが、中央には黒いタイヤが置かれています。なぜこんなとこにタイヤがと思われますが、この中で初霜などの観測をするそうです。気象台の西の隅(中央の写真の奥)に松山市の梅の標本木があります。近づいてみると既に開花しています。この標本木、例年極端に開花が早いようです。毎年松山が全国でもトップクラスで梅の開花が早いのはこの標本木が気が早いせいですね。標本木を代えた方がいいような気がしますが、さて、気象台の方はどう評価しているのでしょうか。 |
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1月 | 2日 | 明けましておめでとうございます。本年も当院を宜しくお願いいたします。 新年から地震、航空機事故と大変な新春となりました。被災で取り残された方々の一刻も早い救出を願ってやみません。 本年も「ふなや」の正月飾りでこのコーナーを始めたいと思います。 |
31日 | 本年の診察も無事終りました。28日は診察終了が午後10時を回り、29日も受付は午後0時まででしたが終了は午後6時になりました。コロナ以前の年末が戻ってきたみたいな雰囲気でした。受診された方々にはご協力ありがとうございました。 12月後半にさすがに最近はないだろうとノーマークだったヒトメタニューモウイルスで喘鳴をきたしたお子様が見られました。インフルエンザや新型コロナ、アデノウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、感染性胃腸炎など年末も多彩な感染症が発生していました。例年1月にインフルエンザを筆頭に様々な風邪が流行りますので、さて来春の感染症の流行状況はどうなることでしょう。 年末は小春日和のような陽気です。来年のスギ花粉の飛散もやはり例年よりは少し早くなりそうです。松山の過去の観測の歴史では1番早い年は1月17日が飛散開始日だったとの記録もあります。さすがにそこまでは早くならないでしょうが、2月初頭から飛散開始もあり得るかもしれません。 年末の診察ではアフターコロナでこの正月に旅行を予定されている方も多かったです。韓国へ、京都へ、湯布院へなどなど、私としては羨ましい限りですが旅行される皆さんが体調万全で過ごされることを願っています。私はここ最近毎年恒例となっているNHKの「ドキュメント72時間」の年末スペシャルを見てゆっくり過ごしています。 今年は新型コロナの第7波、第8波、第9派の対応に追われ、6月からはコロナ以外にも実にさまざまな感染症が続きました。また年の後半には咳止めや小児の抗生剤の供給不足が続きました。薬剤の供給状況を鑑みながら処方すると言う余計なところで気をつかう何とも言えない状況も続きました。 今年1年当院を受診していただいた皆様には本当にありがとうございました。受診された全ての方々に最善を尽くすとの思いで診療を続けて参りましたが、全ての人々に診療を受けて良かったと満足いただけたかどうか。様々なコメントを見てもやはり至らなかったこともあるようです。来年こそは全ての方々に満足いただけるようにとの思いを胸にしたいと思います。コロナとそれに続く感染症の流行の中、忙しい中いつも前向きに診療を進めてくれたスタッフの皆にも感謝したいと思います。マイナ保険証での受付が続くと受付自体が滞ってしまう思わぬ影響も今年はありました。特に受付のスタッフの創意工夫には感謝したいです。 来年の皆様の1年が健やかで良い年となるよう祈念して、今年のこのコーナーを締めくくりたいと思います。 |
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12月 | 13日 | 早いものでいつの間にか12月も半ばになりました。当院スタッフの結婚式も無事終わりました。新婦はとても素敵で、私も父親になった気分で見守ることが出来ました。当日はかつてのスタッフとも再会できて楽しい時間を過ごすことができました。このところ公私ともに忙しく、このコーナーの更新が滞っていました。今日は久方ぶりにまとまった時間が取れましたので、この文をしたためています。散髪もできました。延滞気味だった図書館の本も返すことが出来ました。(^^; 当院外来では6月からずっと多彩な感染症が見られています。 新型コロナの第9波の流行は10月には落ち着きましたが、それでも感染者の発生は続いています。愛媛でのオミクロン株のゲノム解析の状況では、XBB系統が主流ですがBA.2系統も見られています。全国的にはさらにXBB系統の亜型のHK.3系統が増えてきています。愛媛県でも10月から検出されはじめており今後はHK.3系統が主流になると考えられます。いずれもオミクロン株の中の変異株ですが、当院ではオミクロン株に複数回感染してしまった方も見られています。新型コロナはどうやら以前に罹った免疫があてにならない傾向があります。オミクロン株に繰り返し罹った場合、以前の感染時よりは軽症で終わる例がほとんどですが、国外のレポートでは再度罹った時の方が重症化する症例もあるようです。当院でもアルファ株やデルタ株の時のように重症化する例はほとんど見られず、多くは軽症の経過を辿っています。しかし時には咽喉頭粘膜の反応が強かった入り、嗅覚味覚障害や頭痛倦怠感の持続、脱毛などの感染罹患後症状の続く方もいます。複数回の感染とともに後遺症の発現にも注意して経過を診ています。 インフルエンザは引き続き猛威を振るっています。今年前半はA香港型がほとんどで、まれにB型が散見される程度でしたが、11月以降は以前新型と称されていたA2009年型が増えてきています。先週からは愛媛県でもA2009年型の方が発生は多くなってきているかもしれません。A2009年型にもA香港型の遺伝子配列は一部入っていますが、基本的にはA200年型とA香港型は違うタイプですので、今年インフルエンザに二度罹る人も増えています。 溶連菌感染症も記録的に流行しています。溶連菌は小児期に複数回感染して免疫が出来て大人になってからは発症しない例が多いのですが、これだけ流行するとお子さんからうつされて発症する大人の方も珍しくありません。アデノウイルス感染症も9月頃より全国的にも愛媛県でも記録史上最大の大流行です。さすがに11月に入ると感染者は減るものと思っていましたが、12月に入ってもいまだに増え続けています。現在流行の株はのどの反応が主体で目や腸での反応は少ないようですが、高熱が続く例が多いです。小児で40℃が4日続く、大人でも39~40℃の高熱がでる方見られています。また、手足口病も引き続き見られています。パラインフルエンザによると思われるクループ性気管支炎、EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症、マイコプラズマ肺炎、原因の病原菌は特定できない壊死性リンパ節炎なども見られています。 このように多彩な感染症が発生していますので、インフルエンザと新型コロナに同時感染した”フルコロ”や、インフルエンザと溶連菌への同時感染、インフルエンザとアデノウイルスの同時感染、アデノウイルスと溶連菌の同時感染などが見られています。これだけ同時感染の方を続けて診るのは私は過去に経験したことがありません。 お薬の供給不足も収束する気配がみられません。国はこの冬に鎮咳剤の供給を10%増やすよう製薬業界に要請したとのことですがその程度では供給不足の解消には程遠いようです。大人向けの咳止めや痰気りに続いて、小児向けの抗菌剤の供給不足も広がっています。先々週からはついに小児用の鎮咳剤の供給不足も目立ってきてしましました。処方薬の供給状況を鑑みながら処方しなければいけませんので、余計なところで頭を使わなければいけませんので私もストレスが溜まります。記録的な流行となっているアウイルスと溶連菌については、迅速検査の検査キットの供給もひっ迫して出荷調整となっています。咽頭所見であきらかに溶連菌感染が疑われるお子さんに対しては検査をせずに判断するなどの対応も取らざるを得なくなっています。こちらも頭が痛い問題です。 気象の長期予報ではこの冬は暖冬傾向との予測です。今年の1月は最強寒波でスギ花粉の飛散開始は遅かったのですが、来シーズンの飛散開始時期はやや早まりそうです。今シーズンの飛散開始は2月14日のバレンタインデーで過去タイ記録の遅さでしたが来シーズンは2月初めから飛散し始めるか、ひょっとしたら1月末からの飛散開始もあり得るかもしれません。1年は早いもので後1ヶ月半で花粉シーズンです。来シーズンの花粉の飛散予報も出そろったようです。愛媛では今シーズンが過去最高に近い大量飛散でしたので来シーズンは裏年にあたります。この夏四国で高温でしたが日照時間が平年並みでしたので、東日本ほどは花粉の生育には勢いはなさそうです。来シーズンの四国のスギ花粉の飛散量は平年並みで大量飛散した昨年よりはある程度少なくな見込みです。 来院患者総数が今日で91.500人を超えました。過去、このコーナーでは万単位を超えた際には報告していたのですが、忙しさにかまけて報告する前に9万人から1500人オーバーしてしまいました。開院以来、実に多くの患者様に支えられて当院も診療を続けることができました。病院など誰一人来たくて来る人はありません。体調のすぐれない中で止む負えず来院されます。これからも、患者様の体調や不安な気持ちに寄り添って、診察を受ることによって安心して頂けるよう、心して、目の前の患者様に向かい合いたいと思います。 |
院 長 山 口 幹 夫