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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

今月の疾患情報

31日   本年の診察も無事終りました。28日は診察終了が午後10時を回り、29日も受付は午後0時まででしたが終了は午後6時になりました。コロナ以前の年末が戻ってきたみたいな雰囲気でした。受診された方々にはご協力ありがとうございました。
 12月後半にさすがに最近はないだろうとノーマークだったヒトメタニューモウイルスで喘鳴をきたしたお子様が見られました。インフルエンザや新型コロナ、アデノウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、感染性胃腸炎など年末も多彩な感染症が発生していました。例年1月にインフルエンザを筆頭に様々な風邪が流行りますので、さて来春の感染症の流行状況はどうなることでしょう。
 年末は小春日和のような陽気です。来年のスギ花粉の飛散もやはり例年よりは少し早くなりそうです。松山の過去の観測の歴史では1番早い年は1月17日が飛散開始日だったとの記録もあります。さすがにそこまでは早くならないでしょうが、2月初頭から飛散開始もあり得るかもしれません。
 年末の診察ではアフターコロナでこの正月に旅行を予定されている方も多かったです。韓国へ、京都へ、湯布院へなどなど、私としては羨ましい限りですが旅行される皆さんが体調万全で過ごされることを願っています。私はここ最近毎年恒例となっているNHKの「ドキュメント72時間」の年末スペシャルを見てゆっくり過ごしています。
 今年は新型コロナの第7波、第8波、第9派の対応に追われ、6月からはコロナ以外にも実にさまざまな感染症が続きました。また年の後半には咳止めや小児の抗生剤の供給不足が続きました。薬剤の供給状況を鑑みながら処方すると言う余計なところで気をつかう何とも言えない状況も続きました。
 今年1年当院を受診していただいた皆様には本当にありがとうございました。受診された全ての方々に最善を尽くすとの思いで診療を続けて参りましたが、全ての人々に診療を受けて良かったと満足いただけたかどうか。様々なコメントを見てもやはり至らなかったこともあるようです。来年こそは全ての方々に満足いただけるようにとの思いを胸にしたいと思います。コロナとそれに続く感染症の流行の中、忙しい中いつも前向きに診療を進めてくれたスタッフの皆にも感謝したいと思います。マイナ保険証での受付が続くと受付自体が滞ってしまう思わぬ影響も今年はありました。特に受付のスタッフの創意工夫には感謝したいです。
 来年の皆様の1年が健やかで良い年となるよう祈念して、今年のこのコーナーを締めくくりたいと思います。 
13日   早いものでいつの間にか12月も半ばになりました。当院スタッフの結婚式も無事終わりました。新婦はとても素敵で、私も父親になった気分で見守ることが出来ました。当日はかつてのスタッフとも再会できて楽しい時間を過ごすことができました。このところ公私ともに忙しく、このコーナーの更新が滞っていました。今日は久方ぶりにまとまった時間が取れましたので、この文をしたためています。散髪もできました。延滞気味だった図書館の本も返すことが出来ました。(^^;

 当院外来では6月からずっと多彩な感染症が見られています。
 新型コロナの第9波の流行は10月には落ち着きましたが、それでも感染者の発生は続いています。愛媛でのオミクロン株のゲノム解析の状況では、XBB系統が主流ですがBA.2系統も見られています。全国的にはさらにXBB系統の亜型のHK.3系統が増えてきています。愛媛県でも10月から検出されはじめており今後はHK.3系統が主流になると考えられます。いずれもオミクロン株の中の変異株ですが、当院ではオミクロン株に複数回感染してしまった方も見られています。新型コロナはどうやら以前に罹った免疫があてにならない傾向があります。オミクロン株に繰り返し罹った場合、以前の感染時よりは軽症で終わる例がほとんどですが、国外のレポートでは再度罹った時の方が重症化する症例もあるようです。当院でもアルファ株やデルタ株の時のように重症化する例はほとんど見られず、多くは軽症の経過を辿っています。しかし時には咽喉頭粘膜の反応が強かった入り、嗅覚味覚障害や頭痛倦怠感の持続、脱毛などの感染罹患後症状の続く方もいます。複数回の感染とともに後遺症の発現にも注意して経過を診ています。
 インフルエンザは引き続き猛威を振るっています。今年前半はA香港型がほとんどで、まれにB型が散見される程度でしたが、11月以降は以前新型と称されていたA2009年型が増えてきています。先週からは愛媛県でもA2009年型の方が発生は多くなってきているかもしれません。A2009年型にもA香港型の遺伝子配列は一部入っていますが、基本的にはA200年型とA香港型は違うタイプですので、今年インフルエンザに二度罹る人も増えています。
 溶連菌感染症も記録的に流行しています。溶連菌は小児期に複数回感染して免疫が出来て大人になってからは発症しない例が多いのですが、これだけ流行するとお子さんからうつされて発症する大人の方も珍しくありません。アデノウイルス感染症も9月頃より全国的にも愛媛県でも記録史上最大の大流行です。さすがに11月に入ると感染者は減るものと思っていましたが、12月に入ってもいまだに増え続けています。現在流行の株はのどの反応が主体で目や腸での反応は少ないようですが、高熱が続く例が多いです。小児で40℃が4日続く、大人でも39~40℃の高熱がでる方見られています。また、手足口病も引き続き見られています。パラインフルエンザによると思われるクループ性気管支炎、EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症、マイコプラズマ肺炎、原因の病原菌は特定できない壊死性リンパ節炎なども見られています。
 このように多彩な感染症が発生していますので、インフルエンザと新型コロナに同時感染した”フルコロ”や、インフルエンザと溶連菌への同時感染、インフルエンザとアデノウイルスの同時感染、アデノウイルスと溶連菌の同時感染などが見られています。これだけ同時感染の方を続けて診るのは私は過去に経験したことがありません。

 お薬の供給不足も収束する気配がみられません。国はこの冬に鎮咳剤の供給を10%増やすよう製薬業界に要請したとのことですがその程度では供給不足の解消には程遠いようです。大人向けの咳止めや痰気りに続いて、小児向けの抗菌剤の供給不足も広がっています。先々週からはついに小児用の鎮咳剤の供給不足も目立ってきてしましました。処方薬の供給状況を鑑みながら処方しなければいけませんので、余計なところで頭を使わなければいけませんので私もストレスが溜まります。記録的な流行となっているアウイルスと溶連菌については、迅速検査の検査キットの供給もひっ迫して出荷調整となっています。咽頭所見であきらかに溶連菌感染が疑われるお子さんに対しては検査をせずに判断するなどの対応も取らざるを得なくなっています。こちらも頭が痛い問題です。

 気象の長期予報ではこの冬は暖冬傾向との予測です。今年の1月は最強寒波でスギ花粉の飛散開始は遅かったのですが、来シーズンの飛散開始時期はやや早まりそうです。今シーズンの飛散開始は2月14日のバレンタインデーで過去タイ記録の遅さでしたが来シーズンは2月初めから飛散し始めるか、ひょっとしたら1月末からの飛散開始もあり得るかもしれません。1年は早いもので後1ヶ月半で花粉シーズンです。来シーズンの花粉の飛散予報も出そろったようです。愛媛では今シーズンが過去最高に近い大量飛散でしたので来シーズンは裏年にあたります。この夏四国で高温でしたが日照時間が平年並みでしたので、東日本ほどは花粉の生育には勢いはなさそうです。来シーズンの四国のスギ花粉の飛散量は平年並みで大量飛散した昨年よりはある程度少なくな見込みです。

 来院患者総数が今日で91.500人を超えました。過去、このコーナーでは万単位を超えた際には報告していたのですが、忙しさにかまけて報告する前に9万人から1500人オーバーしてしまいました。開院以来、実に多くの患者様に支えられて当院も診療を続けることができました。病院など誰一人来たくて来る人はありません。体調のすぐれない中で止む負えず来院されます。これからも、患者様の体調や不安な気持ちに寄り添って、診察を受ることによって安心して頂けるよう、心して、目の前の患者様に向かい合いたいと思います。 
   
18日  松山の地方祭も終わりました。暑かった初秋も過ぎて、ようやく秋らしくなってきました。平和通りのイチョウ並木もうっすらと黄色く色づいてきました。西条祭り、新居浜の太鼓祭りに参加して風邪をひいてしまった方の来院もありました。栗の皮がのどに引っかかったかもという方もいました。秋らしい外来です。

 ジェネリック医薬品の供給不足は解消どころかますます悪化しています。大人の咳止め、痰気り、気管支拡張剤。小児の抗菌薬。広範囲な品種がいつ入ってくるかわからない状況です。漢方薬も再度供給不全気味ですが、西洋薬、漢方薬、吸入薬などを組み合わせて対応しています。インフルエンザやヒト・メタニューモウイルスの流行に伴って、それらの迅速診断キットも出荷調整されています。どの程度在庫を確保するかスタッフと相談しながら確保に努めています。

 秋に入っても、とにかく風邪に罹る方や発熱の方が多いです。例年だと8~9月は風邪の流行がなくなり当院の外来も閑散とするのですが、今年は夏休みに入っても、お盆になっても、9月に入っても多数の患者様が来院されます。私もずっと昼休みのない状況が続いていますが、診察終了が夜遅くなることが続くためスタッフも大変です。私が「家族の晩御飯が作れなくて大変でしょう?」と問うと「晩御飯は朝に作り置きしてるからいいけど、家事がたまってたまって」とのころでした。スタッフ皆には頭が下がります。
 明日は就学時健診出務のため午後の診察は午後3時頃からとしています。例年ならば午前の受付診察は平常通りなのですが、今年は午前の診察も午前11時まででインターネットの受付も午前は休止とさせていただきます。就学時健診は各科合同で一斉に行いますので耳鼻科だけ遅れるわけにはいきません。心苦しいのですが、何卒、ご理解の程お願いいたします。

 10月中旬でブタクサやヨモギなどのキク科の花粉の飛散はほぼ終了ですが、イネ科は11月初旬まで飛散します。例年、これから11月下旬まで季節外れの秋のスギ花粉の飛散もごく少量ですが見られます。スギ花粉症が強い方の中には花粉を感じる方もおられると思います。1年も早いもので後3か月もすればスギ花粉の飛散シーズンとなります。今年大量飛散でしたので来年は裏年で少量飛散となって欲しいものですが、今年の夏の暑さも猛烈でした。夏の日照時間や気温を考えると、そんなに少量飛散にはならないかもしれません。

 朝はひんやりしてきましたが、日中の寒暖差が大きいです。気道過敏、メニエール病、片頭痛、神経痛、高血圧など諸々の病気が気温や気圧の変化で増悪します。衣服のモードや布団で温度変化に対応して下さい。

 14日は松山市内の小学校の多くで運動会が開催されました。今年はこのイベントがインフルエンザの流行に大きく関わったみたいです。A型インフルエンザはウイルスの増殖力が強いことから早ければ潜伏期間12時間で発症します。午前中の運動会中に感染して夜から倦怠感やのどの痛みが翌朝には急に高熱が出たなどのケースも多々目にしました。どうやらA型インフルもA香港型が主流であることには変わりありませんが、A2009年型(新型)インフルも同時発生しているようです。B型は当院では今年前半は見ていましたが初夏からはみていません。しかし愛媛県の報告では愛媛では現在もポツポツとB型の報告も上がってきています。インフルエンザの今シーズンの二度罹りも目にしますので、今後もインフルエンザの複数回感染にも気を配りたいと思います。
 新型コロナはここ1ヶ月減少傾向にありますが、こちらも愛媛県でもXBB1.15が主流ですが他の変異株も検出されています。当院でもオミクロン株だけで3回感染した方も見られました。オミクロン株でも重症化が心配されることから当院で入院調整を行うケースもあります。厚労省もオミクロン株でも2割に罹患後症状(後遺症)が見られるとのデータも出してきています。重症化、後遺症に注意しながら診察を進めていきます。
 アデノウイルスは引き続き全国的にも愛媛県でも10年来レベルの流行が続いています。溶連菌感染症も多く発生し、私の印象では咽頭所見の軽いタイプが多いように見えます。RSウイルスは本当に減りましたが、当院でもまだ1週間前に検出しています。ヒト・メタニューモウイルスも減りましたがまだまだ見られます。夏に猛威を振るったヘルパンギーナに代わって手足口病が増加傾向にあります。当院でも手足口病が流行する保育園を耳にしました。パラインフルエンザウイルスが病原と思われるクループ性気管支炎のお子様も目につきます。小学生で声門下の腫れの強いケースも目にしました。
 このように風邪の流行が百花繚乱の勢いですが、ライノウイルスなどのいわゆる普通感冒が少ないようにも感じます。曲者の風邪ばかりが流行しつづけるやっかいな秋です。 
   
13日   9月、新学期入りです。この夏は猛暑が続き私も夏バテ気味でした。皆さんの体調はいかがでしたでしょうか。ここ数日はようやく朝は少しひんやりとしてきました。冷気が心地よいです。
 ラグビー日本代表ブレイブ・ブロッサムズ、初戦勝利やりました。私は4年振りのにわかラグビーファンですが、見ているだけでラグビーは迫力がありますね。サッカー日本代表も凄いです。あのドイツに快勝です。当地松山のサッカークラブ、愛媛FCが現在J3リーグで1位をキープしています。来年はまたJ2に復帰できるかもです!
 猛暑続きで汗をかくことが影響したのか8月後半からは外耳炎が強く耳せつ化したり、耳の下が蜂窩織炎化した方が目立ちました。
 お盆を境に多種多様だった感染症は減少傾向に見えましたが、新学期で集団生活が戻ってきたせいもあるのでしょうか。感染症が少しずつまた増えてきているようです。11日の月曜日には松山市内の小学校4学級でインフルエンザの学級閉鎖が報告されています。中予の複数の中学校高校でインフルエンザと新型コロナのクラスターの同時発生も発生しています。在籍しているクラス内ではインフルエンザが流行っているのに、診察したら新型コロナの方に感染していたと言う学生さんもいました。現在愛媛県では、インフルエンザはA香港型が大多数ですが、少数ながらA2009年型も検出されています。新型コロナの方は、オミクロン株の中のXBB1.15株が9割ですがGE.5株など5種類の変異株が検出されています。当院でもこの夏に2回A型インフルエンザにかかった方や2回新型コロナにかかった方も見られました。特に新型コロナは感染後の免疫が十分につかない機序も疑われています。昨年の夏にかかっていて、この冬にかかっていて、この春にかかっていて、、またこの夏に2度目3度目と感染する人も珍しくありません。新型コロナは本当にいやらしいウイルスです。

 7月末にレセコンのトラブルに懲りて端末を増設した当院ですが、8月末にはサーバー側の端末が無停電装置のトラブルでシャットダウンしてしまうという別のトラブルを引き起こしてしまいました。またやってしまったかと焦りましたが、シャットダウン5分前までのバックアップは取れていたようで何とか大きなトラブルにはならずに済みました。診察終了後も夜分遅くまで復旧作業に駆けつけていただいたベンダーの方には本当にお世話になりました。
 アフターコロナで街の賑わいも徐々に戻ってきています。まだ以前ほどでは無いようにも見えますが大街道やロープウェー街はいつ見ても人でごった返すようになってきています。11月の後半には当院スタッフの結婚披露宴が予定されていますが、会食も気兼ねなくできそうです。また12月には3年ぶりに病院の忘年会もやっと開催できそうです。 
   
13日  今日から4日間、当院もお盆休みです。ここ数ヶ月公私ともに忙しかったこともあり、今日は少しホッとして過ごしています。1か月余りこのブログの更新ができていなかったこともあり、最近の当院外来の様子を概括してみます。
 5月に新型コロナが5類になったことで発熱外来の事務的な手間が劇的に少なくなりました。レセコンの端末造設を行いました。当院の受付スペースも十分に広いわけではありませんでしたので、サーバーの方がレセコンの動きが遅いことによる端末やモニターの再配置の検討、データのバックアップやプリンターのトラブルなど決して順調とは言えませんでしたが、ベンダーの心強い対応もありどうにか移設を終えることができました。新型コロナワクチンの接種業務も、高齢者と基礎疾患の人のみに限定されましたので通常の診療に負荷をかけることなく続けています。
 ちょうど一年前は、新型コロナの第8波で発熱外来が保健所への連絡業務や自宅療養の方への健康観察などで診療終了後まで業務がひっ迫していました。また、RSウイルスなどの一般的な感染症もでてきていましたので、そのあたりの鑑別にも注意しての診療でした。今年の夏は、3年前の感染症が全くなくなっっていた状態が嘘のように、新型コロナの第9波ともいえる感染者増、様々な感染症の増加で、インフルエンザを筆頭とした冬の風邪の流行と、アデノウイルスやヘルパンギーナを筆頭とした夏風邪の流行が同時に発生したような状況で、当院も連日発熱された方の来院が多く、往年の冬のインフルエンザ流行期のような混雑が続きました。発熱や頭痛咽頭痛、嘔気嘔吐、倦怠感、めまいなど体調がすぐれない方々に長時間お待ち頂き申し訳ありませんでした。また、晩御飯の時間が遅くなっても診療を続けてもらったスタッフ一同にも感謝したいと思います。

 新型コロナは、オミクロンの派生型がBA.5からBQ.1、XBB1.15、BA7と多岐にわたり、この冬にBA.5に罹ってXBB1.15にまた罹るなど、新型コロナに2回、3回と罹るケースも珍しくなくなっています。またアジアを中心に新たな派生型GE.5も日本で検出され始めましたので、再感染するケースがさらに増えることも予想されます。
 コロナの後遺症、罹患後症状についてですが、以前、私が読んだ文献ではオミクロン株になってからは嗅覚味覚障害の発現率は3%、16%という報告があったのですが、当院での印象ではもう少し多いような印象もあります。ステロイドの嗅裂への点鼻療法など耳鼻科ならではの治療法も活用しています。上咽頭擦過療法も試みています。罹患後症状は、発症後6か月後に26%、1年後に9%に認めるとされ、女性に1.6~3倍多いとされます。筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群(ME/CFS)、心筋障害、呼吸障害、脳障害(ブレインフォグ脳の霧 睡眠障害)、精神障害や脱毛、嗅覚味覚障害など多種の後遺症が報告されているます。その原因については現在、様々な研究がされていますが、血管障害に加えT細胞系の機能異常、ウイルス抗原の体内での残存、ウイルスタンパク質が心臓や腎臓を障害が原因との様々な報告があるります。当院でも罹患後症状に苦しむ方が多数おられます。上咽頭擦過療法を試みるとともに、ゾコーバで後遺症が45%軽減との報告もあることから発症時の症状の強い方には抗ウイルス薬のゾコーバやラゲブリオ、パキロビッドも治療の選択肢のひとつとして提示しています。昨年から日本でも後遺症に対する幹細胞治療の治験が始まっています。愛媛県立中央病院でも治験を始めているようですので、このような先進治療も提示したいと思います。
 インフルエンザに関しは、当院でもA型に今シーズン2回罹った方も3名おられました。B型に罹った方も4名でした。先月、愛媛の感染症研究所でも今シーズン初めて以前新型インフルエンザと呼ばれていたA2009年型が検出されています。夏休みになっても小学校の児童クラブでインフルエンザが集団発生してクラブを閉鎖したとのケースも耳にしました。来月から2013/2014シーズンと暦の上では新しいシーズン入りするインフルエンザですが、今シーズンは夏も、子供さんの夏休み中にもインフルエンザの発生が続いて来シーズンに続いていくという過去にない流行パターンになりそうです。
 2年前の夏にRSウイルスの流行があり、1年前の夏にもまたRSウイルスの流行がありました。RSウイルスの兄弟分であるヒト・メタニューモウイルスがRSウイルスに代わって昨年の11月から今年の2月にかけて発生しました。今年の4月からまたRSウイルスが再流行して夏まで流行が続いているのですが、なんとヒト・メタニューモウイルスも夏に再発生してきました。RSウイルスとヒト・メタニューモウイルスが同時流行することは過去に経験したことがありません。どちらも年齢を問わず発症します。下気道で重症化するのは乳幼児と高齢者ですが、ウイルスへの暴露が強いと若者や大人でも上気道で粘膜の障害が強くなり高熱をきたすケースもありますので注意が必要です。
 その他の感染症でも、エンテロウイルス系のヘルパンギーナや少数ですが手足口病がまだ見られています。パラインフルエンザウイルスによると思われる声門下喉頭炎、マイコプラズマ肺炎、溶連菌とともにさらにノロウイルス、サボウイルス系の感染性胃腸炎も散見されます。熱中症からの消化機能の低下や細菌性食中毒も見られます。感染症に続発したり夏の免疫力低下による単純ヘルペスや帯状疱疹も多くなっています。
 以上のように夏休みに入っても、発熱患者さんは全然減らなかったのですが、お盆明けはさすがに減ってくるものと期待しています。
 この夏は新型コロナが5類に移行してから初めての夏休みです。今日から徳島では阿波踊りが通常の開催で始まりました。松山の土曜夜市も花火大会も大勢の人でごった返していました。この夏は、診察中も子供たちから、明日からディズニーランドへ行く!USJにいく!などの元気な返事をたくさん聞きました。しかし一方、新型コロナが先行して再流行していた沖縄から帰ってすぐに新型コロナを発症した方もいました。ノーマルな生活が戻ってきたことに感謝しながらも、私の立場では新型コロナの再流行に注意したいと思います。

 白砂の きらきらとする 熱さ哉  子規

  メニエール病への中耳加圧療法、耳鳴への音響療法TRT、聴覚情報処理障害、頚部リンパ節炎、扁桃周囲膿瘍、突発性難聴、外耳道異物、耳せつ、鼻茸摘出術など。 
   
30日   一昨日の29日、松山は5月にもかかわらず例年より7日、昨年より13日早い梅雨入りです。梅雨入り早々ですが昨日は1日中土砂降りの雨が降り続けました。雨ザーザーで雑草花粉の飛散はなくなりますが、気圧の変化が大きくなることで喘息等の気道過敏症、メニエール病、片頭痛などが悪化しやすくなります。また昼間が蒸し暑くなってきましたのでオフィスやお店でも冷房がかかってきました。夜間も少し蒸し蒸ししてきましたので冷房をかけだした家庭もでてきたのではないでしょうか。冷房や乾燥した冷気も気道過敏症を悪化させる要因となります。さらにこれからは室内のダニやカビが増える季節です。ハウスダストアレルギーの方の気道過敏症も強くなってくる季節となりました。

 感染症の発生状況ですが、例年ならば5月は、冬に流行した感染症が激減し、夏風邪はまだあまり見られない時期ですので、風邪ひ罹る人が1年を通しても少ない時期です。ところが今年は多彩な感染症が発生しており、小児でも成人の方でも発熱する方が多数みられます。新型コロナの発生報告が5類相当となったことから全数把握はなくなり定点報告のみと変わりました。全国的にも愛媛県でも新型コロナの発生は増加傾向にあり、当院でもほぼ毎日散見しています。インフルエンザも小学生から高校生にかけて集団発生が今でも見られています。ちょうど修学旅行シーズンに当たっており、修学旅行中や修学旅行から帰ってきた後に集団発生するケースも見られます。アデノウイルス感染症も目立っています。このウイルスはのどや目、腸の粘膜での増殖傾向が強いことが特徴的です。人で感染症を起こすアデノウイルスの種類は50数種類と言われていますが、現在の流行は主にのどの反応が強いたいぷのようです。RSウイルスも目立っています。RSウイルスはインフルエンザほど増殖のスピードが強くありませんが、気道粘膜を障害する力の強いウィルスです。RSウイルスに十分な免疫持たない0~1才の乳幼児やときには高齢の方で下気道の障害が強くなります。青壮年の大人の方でも暴露するウイルスの量が多ければ高熱が出ることがあり、小さいお子さんと違って咽頭で反応が強くなるケースもあります。さらに、夏風邪のヘルパンギーナが急に発生してきました。昨年は11月を中心に初冬にも小流行が見られました。この時はどちらかと言えば手足口病のパターンの方が多かったのですが、当院でもここ5日ほどヘルパンギーナのお子様を見ることが目立って多くなりました。ヘルパンギーナは急な高熱と口内炎が多発することが特徴です。ときには小さな口内炎がのどの奥に20個30個できることもあります。そのため小さなお子さんの中には痛がって食事を取らないくなることもあります。夏風邪はエンテロウィルス系で腸管の中でも増殖しますので、下痢を起こしたり、また治ったかに見えて便にウイルスがしばらく排出されることから手指を介して遅れて発症ことがありますので手洗いが重要になってきます。その他にも、若者のマイコプラズマ感染症も見られるようになっています。先日は久方ぶりにご高齢の方の百日咳も見られました。大人の方も含めて溶連菌感染症も珍しくありませんので、例年の5月と違い多彩な感染症が見られています。
 この時期の感染症の拡大の原因は、やはり新型コロナへの感染予防対策でこれまで他の感染症が流行しなかったことで各々の感染症に対する集団的な免疫が低下しているためだと考えられます。これはしかたのないことではありますが、これから1~2年は様々な感染症の流行が目立つかもしれません。来年の冬にはインフルエンザがかなり流行する可能性もあります。新型コロナの変異株は、米国では昨年11月まではBA.5が主体で12月にBQ.1.1に、今年1月後半にはXBB.1.5へと変遷しています。我が国でもこの春からはXBB.1.15が主体となりつつあります。現状日本ではまだ第9波の流行には至っていませんが、これから夏にかけて第9波に出現に注意しなければいけないでしょう。先日、HNK「映像の世紀 バタフライエフェクト スペインかぜ 恐怖の連鎖」を視聴しました。100年前、病原菌も解らない中、第一次大戦のさなか全世界にそして我が国に襲いかかりました。当時の人々もマスクを着用してソーシャルディスタンスをとっていました。私は現在の新型コロナへの現代人の対応とあまりに似ていることの既視感にビックリしました。スペイン風邪の猛威は4年ほどで収まりましたが、1960年代にソ連風邪が出現するまでのその後50年間、季節性インフルエンザとして流行し続けました。新型コロナもこれから新たな大型変異もあるかもしれませんし、現在のオミクロン株だけでも数10年流行は続くかもしれません。

 ゴールデンウィーク終盤5日の日曜日、当院の診察が2/3ほど進んだ段階でなんとレセプトコンピューターがクラッシュしてしまいました。最初は急に画面からマウスポインターが消えてしまいました。マウスとマザーボード間のデバイスの接合の不具合かなとも思いましたが、マウスとの再接続どころか再起動も行えなくなり全くお手上げの状態となりました。おかげで会計計算ができなくなり、処方箋も手書きでの発行となりました。当日の午後から夕方に受診された患者様には本当にご迷惑をおかけしました。障害発生直後よりでレセコンの会社の迅速なサポートは受けていましたが、診療時間内の復旧には至りませんでした。しかし当日の夜から翌日の早朝にかけて休日にもかかわらず代替機の確保とバックアップを行っていただき、翌日月曜日の診療開始時間には復旧できました。ただしバックアップは前日までのデーターですので障害当日の1日分の診療情報入力は、月曜日の診察終了後にすることとなりました。サポートの方に障害の原因を尋ねたところおそらくハードディスクがクラッシュしたとの事でした。これまでであればハードディスクの寿命を想定して余裕を持ってハードディスクを新品に入れ替えていたのですが、この春からのマイナンバーカード端末の運用に伴ってハードディスクにもかなりの負荷がかかっていたことでハードディスクの寿命が想定以上に短くなっていたのではないかとのことです。確かにマイナンバーカードの受付端末をパソコンに接続した頃から明らかにレセコンの応答速度が鈍くなっていました。こんなところにもマイナ保険証の導入の影響があるとは思いませんでした。当院では今までレセコンは単体で運用していたため業務終了後のバックアップは行っていましたがミラーリングシステムのように同時バックアップができていませんでした。マイナ保険証を読み取るとき他の入力業務が一時的に止まってしまいます。このようなこともあり受付業務を円滑にすることと、バックアップ体制を厳重にすることからレセコンをもう1台増設して2台体制で運用することにしました。今後は二度とこのような入力データのクラッシュ事故が起こらないと思います。(^^)/ 
21日   梅雨も終盤です。今日は朝から真夏のような蒸し暑さでした。私が担当する学校検診、小学校1校中学校1校の検診も無事終りました。今年の検診児童には慢性中耳炎などのこじれた方は1人もいませんでした。私もホットして検診を終わることができました。
 マイナ保険証の運用も本格化して日が経ちました。当院では現状、マイナ保険証を利用する人は来院される方の5%程度です。おりからマイナ保険証の入力ミスによる問題が話題となっています。マイナンバーカードを自主返納する人も出てきています。当院でもこれまでに、マイナ保険証で本人確認しても「該当者なし」と言うケースがありました。実際その場では対応に苦慮しました。膨大なデータを人が入力しなければならないと言う事ですので、100%完全と言う訳にはいかないようです。事務方の苦労も大変だろうとは思いますが、早く安心安全なカードになってもらいたいものです。
 今日は水曜日午後の休診を利用してレセコン(レセプトコンピューター)端末の増設を行っています。開院以来はじめての増設です。増設の目的の1つは、先日レセコンが突然ダウンして当日分の入力を全てやり直さなければならない事態があったことです。もう一つは、マイナンバーカードをレセコンで読み取る際には結構な時間がかかることから、今後マイナンバーカードでの受付が主流になった際に受付端末が1台だけでは受付や会計業務が渋滞することが想定されることです。これらのことから端末を増設することになったのですが、結果としてマイナ保険証を導入するにあたって、カードリーダーの設置費用以外の負担がかかることとなってしまいました。新たなシステムを導入すると言う事はそう簡単ではないと言うことでしょう。

 新型コロナの第9波入りが現実的になりつつあります。当院でも連日広い世代で陽性の方を見ています。現在愛媛県で流行しているタイプは、BA.2型のオミクロン株から変異したXBB1.1.5が6割を占め、他にもBA.5から変異したBA 7も検出されています。やはり新型コロナは他の病原体よりも感染による免疫が獲得しにくいのでしょうか? オミクロン株に2回罹患する人も珍しくはありません。先日、新型コロナの後遺症が続く人の体内に活動性の新型コロナウイルスが潜伏感染しているケースがあるとの論文報告がありました。このようなケースは稀だと思いたいですが、やはりなかなかに手強いウイルスです。
 新型コロナの感染予防の生活を続けている間は他の病原体の感染予防も行われていた、新型コロナを5類相当にした感染対策の変更で、ソーシャルディスタンスをとる場面が会社でも学校でも少なくなったことなどが原因と思われますが、夏に向かうこの夏に様々な感染症が文字通り百花繚乱で多数発生しています。インフルエンザも6月に近隣の小学校を中心に学年閉鎖や学級閉鎖が多発しました。99%がA香港型ですが、当院でもA香港型→A2009年型とA型に2回罹った方、B型に罹った方も見られました。また、RSウイルスが幼児を中心に大流行です。これも過去に6月に大流行したのは初めてです。RSウイルスも粘膜内で増殖する力は強いことから、細気管支炎以外にも鼓膜炎で強い耳痛を訴える子供さんも目にします。RSウイルスは2年前の夏、1年前の夏に流行した後、11月から2月にかけてはその姉妹分のヒト・メタニューモウイルスが発生していました。この春からまたRSウイルスが流行してきたのですが、6月になってまた松山市内でも1部の保育園ではヒト・メタニューモウイルスの集団発生も見られています。さらに、アデノウイルスも引き続き流行しています。現在の流行株は病原性の比較的弱いタイプと思われますが、それでも結膜炎や胃腸炎をきたすケースもあります。夏風邪のヘルパンギーナも例年ならば7月に流行のピークを迎えるのですが、今年は5月末から爆発的に流行しています。数日前には当院で同じエンテロウイルス系の手足口病も見られました。溶連菌咽頭炎やノロウィルスを中心とした感染性胃腸炎も目立っています。マイコプラズマ肺炎も青年層や成人層で見られています。流行する感染症ではありませんが、サイトメガロウイルスによる伝染性単核球症も散見されています。このように実に多種多様な感染症が発生しています。当院外来も新型コロナが発生する以前の冬の感染症シーズンのような雰囲気です。発熱や頭痛、吐き気めまい感など多様な症状が見られます。できる限り病原を明らかにしながら診察を進めています。

 小中学校のプール開きも各校でほぼ終わったようです。ある小学生の男の子が水が冷たいと文句をいっていました。(^^; 感染症の流行とともに続発して発症した中耳炎が治りにくくなっているお子様も目立ちます。急性炎症の状態でなければプールや水遊びは鼻の粘膜の刺激にはなりますが可能です。また鼻前庭湿疹から鼻血が出やすくなっている子供さんも目立ってきました。出血の頻度や程度が強いようであれば、プール授業への参加はお勧めできません。鼻出血を起こしやすい箇所の毛細血管を収縮させる治療を行い、出血時の対応法をお伝えして 鼻出血が落ち着いているようならばプールや水遊びに参加してもらうよう指導しています。

 甲状舌管のう胞、甲状腺嚢腫、流行性耳下腺炎、鼓膜換気チューブ留置術、上咽頭擦過療法(EAT、Bスポット治療)、舌下粘液のう胞、口腔白板症など 
   
10日   5月です。今日は汗ばむような陽気でした。ゴールデンウィークも終りました。ニュース映像を見ると全国の観光地は人並みでごった返していました。ゴールデンウィークに海外に旅行に行く人や、一方国外から観光に来る人の数もコロナ前に戻ってきています。まだ夜の飲食店訪れる人の数はコロナ前までは戻っていないと言う事ですが、松山の街の活気が戻ってきているように感じます。
 8日から新型コロナウイルス感染症が感染症法上で5類扱いとなりました。数日前にはWHOも新型コロナの緊急事態宣言を解除しましたので、日本も適切な時期での対応だと思います。外来での新型コロナへの対応での変更点としては、検査や治療に対する公費負担が無くなったことがあります。PCR検査を受けると検査料金その他もろもろで3割負担の方で自己負担は4000円以上かかることになります。一方、大変高価な薬剤である新型コロナの抗ウイルス薬であるラゲブリオやゾコーバは9月まで公費負担は続きます。新たな制度下での新型コロナへの診断や治療では、一人ひとりの患者様に負担のかからない最善の治療ができればと思います。これは蛇足なのですが公費負担の項目が一気に減ったことにより、医療事務上での会計入力の手数が大幅に減りました。新型コロナに対する制度以外にも、この春からはマイナンバーカード保険証による受付業務や診療報酬請求業務の完全オンライン化に伴って事務手数が大幅に増えましたので、新型コロナの事務手数が減って受付のスタッフは少しほっとしています。また、保健所へ新型コロナの発生報告の必要がなりましたので、私の診察後の事務的な業務はほぼなくなりました。ただし、中等症以上で入院が必要とされるケースへの入院調整は当院から直接行わなければなりませんので、これまでの救急疾患への対応と同様に高次医療機関との連携を密にしたいと思います。

 連休前後は大勢の患者様の来院がありました。診察終了が午後9時近くになる時もありました。体調のすぐれない中お待ちいただいた患者様にはご協力ありがとうございました。病院スタッフの皆にも感謝したいと思います。
 当院外来では5月に入っても新型コロナが散見されています。またA型インフルエンザも小学生から高校生にかけて集団発生が見られています。5月に入ってもA香港型の集団発生が多数見られるのは私も過去に記憶にありません。小児の間では昨年の秋から冬にかけて発生していたヒト・メタニーモウイルスがほとんど見られなくなったのに代わって、昨年の夏以来半年振りにRSウイルスが見られるようになりました。アデノウイルスや溶連菌も見られます。咳が長引く人の中にはマイコプラズマ感染症の方も複数見られました。赤ちゃんの突発性発疹、若者の伝染性単核球症、単純ヘルペスの初回感染、パラインフルエンザウイルスを中心とした声門下喉頭炎、小さいお子さんではライノウイルスなどの一般的なウイルス感染が原因と思われる短期間の発熱など、ゴールデンウィーク期間中も急に発熱した方の来院が目立ちました。

 2ヶ月前の3月上旬をピークに大量飛散したスギ花粉は4月12日前後に飛散終了しました。飛散数は昨シーズンの9倍、平年の2.3倍に達しました。1ヵ月前の3月末をピークにやや大量生産したヒノキ花粉は4月28日前後に飛散終了しました。続いてこれから5月いっぱいがイネ科の雑草花粉の飛散のピークとなります。ゴールデンウィークに山河や公園行って、修学旅行で景勝地をめぐって、野外での部活の試合で、など雑草花粉症の反応が強くなる人も見られるようになってきました。

  伝染性単核球症、舌下腺粘液のう胞(ガマ腫)、顔面神経麻痺、扁桃周囲膿瘍、甲状腺のう胞、耳介血腫など
 
   
23日   4月も終盤に差し掛かりましたが、まだ風邪に罹る方が多いようです。ここ1週間、今の時期としては例年以上の方の来院がありました。インフルエンザがまだ散見されます。ほとんどがA型、おそらくA香港型ですが、B型に罹った大人の方も見られました。新型コロナもまだ散見されます。全国的には感染者数は増加傾向にあります。5月からは感染症法5類に移行しますが、米国に遅れてオミクロンの変異株XBB1.15の増加による第8波到来の可能性も気になります。RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌も散見されますが、大人でも小児でも急性喉頭炎やクループをきたす方が少なくありません。パラインフルエンザウイルスの可能性もあります。10~30歳代で高度な扁桃炎や5~10日間も発熱の続く伝染性単核球症も見られます。伝染性単核球症をきたすウイルスにはEBウイルスとサイトメガロウイルスがあります。若者の多くはEBウイルスによることが多いのですが、今年に入って3名の若者のサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症を診ました。EBウイルスよりは症状の軽い印象がありますが、高熱と強いのどの痛みが続くことから食事が十分にとれないケースもあります。ウイルス性肝炎化にも気を付けながら経過を見ています。
 スギ花粉の飛散は3月12日がピークで3月末には少量飛散となりましたが、まだ飛散は続いています。ヒノキ花粉も大量飛散しました。3月に入ってからの暖かい気候で、飛散ペースは例年より1週間早く進んでいます。ヒノキの最後の大量飛散は4月2日でした。どちらの花粉も今週中、ゴールデンウィーク前には飛散が終了しそうです。
  ここ10日で3回、松山でも黄砂の飛来がありました。10日前には全国ニュースにもなりましたが、一昨日の夜の方が松山では飛来の濃度が高かったかもしれません。昨日の朝、車のフロントガラスがスギ花粉が大量飛散したときのように黄色くなっていました。 
12日   新学期が始まりました。幼稚園や小学校の入学式帰りに来院した方もいました。通い慣れたお子様の小学校の制服姿をはじめてみると、急にお兄ちゃん、お姉ちゃんになったようで思わず微笑んでしまいます。

 ここ4日、新型コロナの方の来院はありませんでした。インフルエンザもパラパラ見かける程度となりました。溶連菌咽頭炎、感染性胃腸炎は散見しますが、風邪症状で来院された方の多くは軽症で、ほとんどがライノウイルスなどのウイルス性上気道炎と思われます。当院では例年より早く、はなみずきとツツジがもう満開です。ヒノキ花粉の飛散も例年より早めにピークを越えて少なくなってきました。2月初旬より続いたスギ・ヒノキの花粉シーズンもあと10日ほどとなりました。当院の外来はコロナ前に戻ったような雰囲気です。(^^♪ 
3日   4月、新年度入りです。新たな生活が始まる方も多いと思います。そんな方々の門出を祝し、今後のご活躍を祈念したいと思います。
 新年度とともに診療報酬の改定も行われました。「いまや全体像を把握している人はいない」とまで複雑化した医療介護関係の診療報酬制度ですが、マイナンバーカードとレセコンのリンクなど、ドタバタしましたが無事、改定に対応できました。('_')
   
30日   今日は朝からヒノキ花粉が大量飛散しました。12日のスギの飛散のピークを越えて、今シーズンの最大飛散日になりそうです。ヒノキ花粉はスギ花粉より粒子も小さく抗原性も弱いため、スギ花粉症よりは症状が軽いことがほとんどです。それでも今日は目や皮膚の反応の強い方の来院がありました。この暖かさでヒノキ花粉の飛散のピークも例年より早まり、ここ1週間がピークで4月中旬には少量飛散になりそうです。

  
 松山の桜が満開になりました! 先日は「久しぶりに会社の花見があるので花粉症のお薬を希望します」と来院された方もいました。私は行き慣れた城山公園でお花見ウォークです。桜越しに見る松山城は風流です。
 城山公園の第二期整備事業が始まります。城山公園は国有地だと思っていたのですが、公園整備は松山市が行うのですね。北入口は江戸時代の門になり、西の丸に眺望地ができ、侍屋敷の区割りが再現されます。令和9年度に完成とのことですが、今から完成が楽しみです。


 県美術館の図書コーナーからは城山公園が見渡せます。静かに画集や美術雑誌を読むことができます。私のお気に入りスペースです。 
22日   WBC 侍ジャパン 優勝おめでとう! 今日は特別に診察室のモニターでも無音ながら決勝戦の蜂巣を流していました。私は関係なく診察をしていましたが、優勝が決まった瞬間には待合室でも診察室でも歓声が響きました。(^.^)

 松山でも18日に桜が開花しました。平年より6日早く昨年より3日早い開花です。スギ花粉の飛散は、梅とともに始まり桜とともに終わります。松山のスギ花粉シーズンも、もうすぐ終わりです。20の昼から3時間ほど集中して花粉の大量飛散がありました。最初はスギの最後の大量飛散とも思いましたが、どうやらヒノキ花粉が大量飛散したもようです。今シーズンのスギ花粉のシーズンは、例年より1週間遅く始まり1週間早く終わる短期決戦のような飛びようになりそうです。ヒノキ花粉の飛散は3月前半の暖かさによって、例年より1週間早く3月下旬にはピークを迎えそうです。

 話題のAIチャット検索のChatGPTを、本家のOpen AIのサイトから試してみました。昨年11月に一般利用が可能になり、過去のどんなアプリより爆発的に利用者が増えているそうです。ここ数日で、Microsoft社の検索サイトBingにも実装され、テスト公開中です。ChatGPTに米国の司法試験を解かせたところ、成績は上位10%レベル」だったそうで、私もあるソフトのソースコードを尋ねたところたちどころに教えてくれてビックリしました。ChatGPTで自身の症状を相談してから診察に向かう、という人ももう直ぐに見られるようになりそうです。 
19日   今日は晴れ渡った気持ちのいい一日でした。昨日の雨があがり、今日は最後のスギ花粉の大量飛散日とも思いましたが、わずかな飛散数で終わりそうです。症状がでるレベルのスギ花粉の飛散はあと1週間ほどでしょう。今シーズンは大量飛散の日が3回ほどありました。2年ぶりに花粉を感じた方も多かったようです。今シーズン、当院ではこれまで、2才のお子さんで5名ほどスギ花粉症発症をお伝えしました。21世紀に入ってもスギ花粉の飛散数はまだ増えています。スギ花粉症発症年齢の低年齢化は進んでいるようです。

 高校、中学と卒業式が終わりました。あとは小学校の卒業式を残すのみです。県外への進学が決まった、転勤が決まったなどで、この春から愛媛を離れる宗のお話を診察でよく耳にするようになりました。新生活を迎える皆さんのご発展をお祈りしています。 
12日   今日、スギ花粉が大量飛散しました。3月1日、10日に続く大量飛散ですが、今回は超大量でした。1月の最強寒波の影響で飛散のピークが例年より1週間程度後ろ倒しでしたが、私はてっきり1日の初回の大量飛散がシーズンのピークになると思ったいました。まさか今日がピークになるとは思いませんでした。数日前から東京の大量飛散も始まっており、関東地方と同時期の大量飛散となりました。
7日   H3ロケットの打ち上げ失敗、残念です。テレビでは、原因は二段ロケットへ伝える電気系統のトラブルか?とも伝えていましたが、各種センサーからの信号を収集しコンピュータソフトで判断して作動部に伝える、どこか一つでも不具合があると全く挙動しなくなります。JAXAのリベンジに期待します。

 花粉の飛散が本格化して、症状の強い方の受が多数来院されています。今日は朝から花粉の飛散が目立っていましたので、今日が3月1日を超える大量飛散になるかなと思っていました。しかし、午後から普段とは逆に飛散が少なくなりました。あまりに無風で山から市街地に花粉が流れてこなかったようです。明日、明後日に大量飛散しなければ2年続けて1回目の大量飛散日がシーズンのピークになりますが、実際はどうなるでしょうか? 今日は大陸からPM2.5の飛来もありました。青空が心持ちどんよりしていたのもこのせいでしょう。PM2.5も花粉症でダメージを受けた粘膜にさらなる障害を引き起こします。しっかりとしたマスクでPM2.5を吸引しないよう心がけて下さい。 
   
28日   スギ花粉の飛散は、18日から本格的な飛散が始まり、28日より一回目の大量飛散を迎えています。やはり午後から夕方に飛散が多くなりますので、この時間に野外でスポーツ活動をしている学生さんで症状の強くなるケースが目立ちます。昨年が極端に少量飛散のシーズンだったことから、2年ぶりに症状のでた方の来院も多数見られました。今シーズンも2才で花粉症”デヴュー”したお子様も複数おられました。これから2週間、大量飛散が続くと考えられます。花粉を被らない、吸い込まない、帰宅時には早く花粉を落とすことを心がけて下さい。小鼻にワセリンを塗って外出すれば、花粉がワセリンに付着してはじけないというメカニズムのワセリン療法もお勧めして、ご希望の方にはワセリンを処方しています。

 新型コロナに感染する方は劇的に減っています。当院でも陽性者0名の日も出てきました。インフルエンザも少しずつ減ってきています。中高での学級閉鎖の報告は1件もありません。
 国公立大の二次試験も終わり、入試は残すところ来週の県立高のみとなりました。高校入試を控えている受験生の皆さんが、新型コロナやインフルエンザに罹らず、花粉症も目立たずに試験で実力を発揮できることを祈っています。 
19日   スギ花粉が2月9日に飛散開始しましたが、寒い日が続き昨日まではわずかな飛散数でした。昨夜からは雨模様でしたが、今日は急に暖かくなり春一番が吹きました。今日は今シーズン初めてまとまった数の花粉が観測され、診察では花粉を感じ始めた人が多く来院されました。

  耳下腺嚢腫、耳下腺腫瘍、甲状腺嚢腫、口腔カンジダ症、新型コロナウイルス罹患後症状など。 
11日   2月4日の立春も過ぎ、スギ花粉の飛散が2月9日から始まりました。当院のポールロボの観測データでは、1月10日に1個観測して以降は、最強寒波など1月下旬に寒さが続いたことからその後全く観測されませんでした。元日からの日中最高気温の積算気温が2月7日には400度を超えてきましたので、花粉の飛散もそろそろかなぁと思っていた矢先、2月9日、10日と2日連続して花粉を観測しましたので、当院でのスギ花粉の飛散開始日は2月9日となりました。例年よりわずかに遅い飛散開始です。


 新型コロナの第8波の感染者数は着実に減ってきています。当院でも2月に入り陽性者の方が2桁になる事はなくなりました。1月下旬からは重症化の可能性がある方もいませんでした。1月末で新型コロナの無料検査も終了したことから、当院で検査を受験する方も大幅に減りました。新型コロナが広がる前の”いつもの冬の外来”に戻りつつあり、ほっとしています。
 インフルエンザの感染拡大も穏やかな拡大です。松山市内での学級閉鎖も小学校で3校増えただけです。中学や高校、職場、家庭内での急激な感染拡大も見られていません。やはり学校や職場でのマスク着用が有効なのでしょう。

  蒲団著て 手紙書く也 春の風邪   子規

  耳鳴症への耳鳴順応療法、メニエール病への中耳加圧療法、扁桃周囲膿瘍、急性喉頭蓋炎、外耳道真珠腫、耳介血腫など

 NHKから花粉症特集の取材があり、8日のローカルニュース番組「ひめポン!」で放映されました。その時の取材メモを載せておきます。今シーズンの花粉症対策の参考にしていただければ幸いです。
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今年の飛散予想
 昨年の2~3倍、平年並みより多い大量飛散が予想されています。
愛媛県では昨年、極端に飛散が少なかったこともあり、今年はスギ花粉の生育に勢いがあります。また、昨年夏が高温で雨が少なかったことから花粉の付きも多くなると予想されています。
 1月後半の寒波の影響もあり、まだ県内全域で花粉が毎日飛散する飛散開始日は迎えていませんが、南予や中予では年明けからの積算気温からはいつ飛散開始してもおかしくない状況になっています。恐らく今週末には飛散が始まると思われます。

花粉測定網
 県内でも複数の施設がスギ花粉の観測を行っています。当院では、気象予報会社の花粉測定装置を利用して、毎日1時間ごとの飛散数をインターネットで配信しています。
 NHKの気象情報でお伝えしている花粉情報などを利用して、 これから5月初旬にかけてのスギとヒノキの花粉対策にお役立てください。

花粉症の傾向
 スギ花粉の飛散量は全国的に、21世紀に入ってから増え続けています。年々、症状が強くなる人が増えています。またスギ花粉症を持つ人の割合も増えてきています。初めて発症する年齢の若年齢化も指摘されています。小学校入学前のお子さんが発症するケースも珍しくありません。

対策
 市街地では、山間部で午前中に飛散て吹き上がった花粉が午後に落ちてきます。雨上がりの風の強い日に大量飛散しますので、そのような日の午後には、花粉を被らないように注意してください。
 衣服や洗濯物にも付着します。窓からも侵入しますので、新型コロナウイルス感染予防のためには室内換気も大事ですが、花粉の侵入には注意してください。

治療
 花粉飛散前の今の時期から行う初期治療が有効です。症状が強くなる前から花粉症の飲み薬や鼻のスプレー、点眼薬を使用すると、花粉に対する強い反応が押さえられます。
毎年症状の強い人に対しては、花粉に反応する抗体を劇的に少なくする注射薬や、3年かけて花粉に体を慣らしていく舌下免疫療法があります。


新型コロナウイルス対策との関連
 新型コロナウイルスへの対策としての屋外でのマスク着用は密な場所以外ではしなくてよいことになってきましたが、花粉の吸引や顔面への付着を防ぐ意味も兼ねればマスク着用が極めて有効です。
 花粉症の初期には急に鼻や目、のど、顔の皮膚が反応します。新型コロナウイルスやインフルエンザ、一般の風邪の初期と区別が付かない場合もあります。感染症か花粉症か判断に困った場合には、医療機関での診察をお勧めします。 
   
31日   23日夜からの最強寒波ですが、幸い当院のある松山市の西部地区では降雪量は大した事はありませんでした。一方、松山市の中心部より東から重信方面にかけてはまとまった積雪がありました。24日朝の診察ですが、どうにか平常通り午前9時から開始することができました。また、24日の夜には当院より南西の松前町や伊予市方面で雪が降ったこともあり朝から56号線が大渋滞でした。そのため25日朝の方がスタッフが遅れたりして慌ただしくなりました。

 今日で、昨年1月から1年余り続けられた新型コロナウイルスの抗原とPCRの無料検査の制度が終了しました。当院でも無症状で検査を受検して陽性となり、その日や翌日に発症するケースがままありました。臨床の場でも役に立った検査ではありましたが、国や県の財政負担も大きかったようです。1月後半は愛媛県での受検者数も減ってきたことで、県は制度の終了を決めたようです。5月に新型コロナを感染症法上5類にすることになりました。今後は感染不安のある人は自身で購入した抗原検査キットで判定したり、風邪症状のある人は医療機関で診断していく流れで十分だと思います。

 その後も今日まで寒い日が続いています。スギ花粉は元日からの日中最高気温の積算温度が300度を超えれば飛散し始めるとの研究があります。この寒波で当院でも花粉の飛散は、1月10日の初観測日以外は全く観測されていません。おそらく寒波の緩む2月10日前後より飛散が始まるとものと予想しています。しかしスギ花粉の初観測は終わっていますので、中予の市街地でもかすかな飛散はあると思います。2週間ほど前に久万高原町の患者様が毎日花粉を感じるとおっしゃっていたのが印象に残っています。愛媛県の昨年夏の天候は、暑い日が続き、日照時間も長く、少雨でした。また今年はスギ花粉飛散の表年にあたりスギの雄花の生育も勢いがあると思われます。やはり昨年の数倍、例年の2倍程度の大量飛散は考えられます。今年の花粉シーズンも日本人はしっかりマスクをして外出すると思いますので、マスク着用は花粉飛散対策としても有効だと思います。しかし大量生産すると、目や顔面の皮膚への刺激、衣服に付いて室内に持ち込まれたり換気を良くしているために窓から室内に入る花粉も多いと思います。スギ花粉は市街地では天気の良い日の午前中に山間部から噴き上がった花粉が落ちてきます。そのため夕方に屋内で部活をしている学生さんが反応しやすくなるのです。大量飛散の日には特に夕方を中心に花粉に暴露しないよう注意してください。

 1月後半に入ると全国的にも愛媛県でも新型コロナの第8波はかなり少なくなってきました。それでもオミクロン株の複数の変異株が市中に存在していることから、オミクロン株に2回罹る人も見られます。1回目に罹患した時よりは症状が軽い人が大多数ですが、再感染は充分注意してください。

 インフルエンザの流行は冬休み明けに愛媛県でも注意報レベルの発生となりましたが、翌週は感染者がやや減りました。愛媛県では1月9日の週より学級閉鎖、学年閉鎖の報告がでていますが、1月30日に中予地区ではじめて当院近隣の小学校で学級閉鎖の報告がありました。また当院近隣の複数の幼稚園での学級閉鎖を耳にしました。一方、まだ介護施設での集団発生は聞いていません。1月上旬に当院でもB型の方を診ましたし、愛媛県下でも少数ながらA2009年型の報告もあります。当院での迅速検査の結果を見ると、B型だったお一人を除いて全てA型です。おそらく99%香港型だろうと思われます。お子さんの中には高熱による熱せん妄や、軽症ですが異常行動を訴える人もいました。保護者の方にはお子さんが高熱の間は行動観察をお願いしています。

 その他の感染症では、溶連菌咽頭炎、感染性胃腸炎、手足口病が散見されます。手足口病に関しては昨年愛媛県で検出されていたのはほとんどがコクサッキーA6型でしたが今年に入りA2型にも検出されています。昨年11月を中心に流行したエンテロウイルス系の手足口病とヘルパンギーナですが、今年に入り再度罹るケースにも注意しておきたいと思います。全国的には過去最高で梅毒が報告されています。耳鼻科的にも感染初期に咽頭潰瘍を認めますので、当院でも留意して診察を進めています。

 コロナの後遺症をLong covidと称していましたが、昨年より「罹患後症状」と称するようになっています。罹患後症状を認める人の発生頻度などを見る疫学調査や罹患後症状の発生機序の研究も多数出てきています。しかし発生機序を特定してそれに対処する特効的な治療がはまだありません。対症療法的な治療で症状が軽減していくの期待すると言う治療がメインです。当院でも嗅覚味覚障害にはその診断基準に則った治療、めまいには中枢性めまいに則った治療、長引く咳には下気道の炎症を除く治療を行っています。
 昨年4月に慢性咳嗽の治療薬リフヌアが発売されました。肺を含む気道粘膜にはその粘膜上皮まで迷走神経の枝である求心性神経繊維(c-fiber)が張り巡らされています。このc-fiberが活性化すると患者がその刺激を咳衝動として感じ咳嗽反射が惹起されます。リフヌアはこのc-fiber上にあるATP依存性イオンチャンネルであるP2X3受容体をブロックする作用があります。呼吸器学会では慢性咳嗽は8週間以上続く咳としています。新型コロナの罹患後症状として咳が長引いているケースで、急性炎症反応がなくなり後遺症としての換気障害が見られない場合には、このリフヌアも症状を軽減するための選択肢の1つになりそうです。この薬剤の問題点として、副作用として味覚障害が高頻度に起こることです。臨床治験では味覚消失、味覚減退、味覚障害などの味覚不全が63%で発現しています。多くは軽症で投与中止で改善したとのことで、原因としてはどうやら薬剤溶出時の苦味が影響していると言う意見もあるようですが、コロナの罹患後症状の患者さんに味覚障害が出てくるとなるとなんだか気持ち悪い感じです。呼吸器専門医とも連携しながら慢性咳嗽の治療のひとつの手段としてリフヌアを位置づけたいと思います。 
21日   遅ればせながら、、あけましておめでとうございます。今年1年、山口耳鼻咽喉科クリニックをよろしくお願いいたします。皆様の今年1年のご健康とご発展をお祈りしています。
 先月に引き続き今月もこのコーナーの更新が遅くなってしまいました。年末年始と新型コロナの第8波とインフルエンザの同時流行で、発熱外来は多忙を極めました。発熱外来を受診された患者様には、診察の遅れや受付、会計、処方の受け渡しなど寒い中お待ちいただくケースも珍しくありませんでした。お詫び申し上げます。5日日曜日の診察は終了が午後10時を回りました。年始の診療報酬レセプトの提出も祝日を挟み時間的余裕がありませんでした。事務スタッフには開院以来初めて休みに出勤してレセプト提出の手続きをして貰いました。当院スタッフ一同、本当にご苦労様でした。

 新型コロナの当院での患者数は年始がピークでした。第7波のピークとほぼ同じ患者数でした。第8波では複数の変異株が広がりました。オミクロンのBA.5が約5~6割、BQ.1が約3割、BA.7が約1割で、米国で急激に広がったXBB1.15も東京や兵庫で検出されていましたので松山でも既に入ってきているのではないでしょうか。今月も先月に引き続き、重症化の疑われる患者様に対して保健所への受診調整依頼も多数ありました。また、新型コロナの治療薬に関してはラゲブリオに引き続いて新たな治療薬のゾコーバの当院への配給も年始から始まりましたので、こちらの処方にに対しての同意書を取ったり院内処方を用意したりと事務の手間も増えました。
 ここ数日ようやく目に見えて新型コロナの陽性者の方が少なくなりました。当院でもやっと昼休みの時間が取れるようになりました。政府は昨日、新型コロナの感染症法上の扱いをインフルエンザと同じ5類相当にする検討を始めると表明しました。春には発熱外来の体制も簡素化されそうです。発熱外来による診療時間の制約や事務的な煩雑さも軽減するものと思われます。感染の再拡大や重傷者数の高止まりには注意しなければいけませんが、医療の現場にもウィズコロナが定着することを期待しています。

 12月下旬に当院で3年ぶりに検出したインフルエンザですが、年末年始と徐々に受診される方が増えてきました。ほとんどが迅速検査A型でA香港型と思われます。インフルエンザの中でもA香港型は最もウイルスの増殖力が強いタイプです。3年間日本で流行がなかったことから、やはりインフルエンザに対する免疫が落ちている人がほとんどのようです。特に予防接種未接種の方は、急な高熱や強い全身倦怠感が目立ちます。初めてインフルエンザにかかったと訴えた方も複数おられました。新型コロナよりもインフルエンザの方が症状の出現が急激ですが、ウィルスの増殖を抑える抗ウイルス薬タミフルやリレンザなどが有効です。服薬開始直後からウィルスの増殖が止まってきますので、全身倦怠感や高熱はおさまってきます。ウイルスの増殖を抑えるだけですので有熱期間の短縮1.55日程度ですが、かなり体が楽に過ごすことができますので私も積極的に処方しています。以前問題になった小児が抗ウイルス薬を服用した後の異常行動についてですが研究会では薬剤と異常行動の因果関係ははっきりしないと言う結論になっていました。それでも現在でも抗ウイルス薬を服用した際には保護者が2日間は目を離さない事とするようになっています。インフルエンザも時には脳症など重篤な病態を引き起こします。処方したお子様の保護者の方にはこの辺の点も注意してご家庭で経過を見るようにお伝えしています。

 その他の感染症は、昨年の秋よりは総じて少なくなってきています。それでも、ヒト・メタニューモウイルスや手足口病、溶連菌咽頭炎、ウイルス性の感染性胃腸炎が見られます。流行ではありませんがマイコプラズマ肺炎や伝染性単核球症、単純ヘルペス初回感染等も見られます。

 1月9日に当院のポールロボが設置され今年も花粉観測が始まりました。今年は全国的にスギ花粉の大量飛散が予想されています。関東東北地方ほどではありませんが松山でも昨年の2倍強の飛散が予想されます。年末年始は気候がやや穏やかだったこともあり、山口県の初観測日は2日、当院の初観測日は9日になりました。久万高原町から来院された方はすでに結構花粉を感じるとおっしゃっていました。しかし、来週の火曜日水曜日には大寒波の到来が予報されています。松山でも結構雪が積もるかもしれません。1月の積算気温が低い場合には、スギ花粉が毎日飛散し始める飛散開始日は遅くなるとされています。昨年は過去1番遅い2月14日が飛散開始日と遅かったのですが、今年はそこまで遅くはならないでしょう。やはり松山での飛散開始日は過去の平均値の2月5日から7日ごろになると思われます。初期治療(予防投薬)を始める時期はやはり2月に入ってからで良さそうです。今年も12月後半から花粉症に対するレーザー治療を希望して来院される方が増えています。この春スギに対する舌下免疫療法を始めて3年目を迎える方もおられます。昨年は飛散数が極端に少なかったことから舌下免疫の効果が出ているのかどうか評価は難しかったように思います。今年の大量生産で舌下免疫療法の効果が評価できそうです。ダニの舌下免疫療法を受けている人の経過を見ていると結構効いているように感じますので、スギ花粉症の方への効果も期待できます。当院では舌下免疫療法での深刻な有害事象は認めていません。またスギ花粉が大量飛散しますので、生物学的製剤の抗IgE抗体製剤のゾレアも症状の強い方には治療の選択肢の1つになると思います。注射の自己負担金が高価なのですが、数回の薬価改定を経てだいぶ安くはなってきました。注射した後の2週間から1ヵ月、スギ花粉症を引き起こす最もトリガーとなるIgE抗体が体内から劇的に減りますので花粉症症状は本当に軽くなると思います。このお薬は副作用発現時の24時間体制の救急対応を求められますので、当院では治療を行っている関連病院に治療を依頼しています。


 正月2日、穏やかな天気だったこともあり松山城に登城してきました。東雲神社に参拝した後、東雲登山道をゆっくりウォーキングです。松山城の本丸には県外から多数の観光客が訪れていました。中には「結構大きい城で迫力あるなぁ」「眺めがいいなぁ、、海が見える」と松山城に大満足の声が聞こえてきました。松山の地元民としてはちょっと誇らしかったです。


重要文化財の戸無門から眺めた松山城です。私が中学校2年生の春の写生大会で描いたのがこのアングルです。その時の事はなぜかまだ鮮明に覚えています。絵心のない自分ですが、なぜか作品を気に入りしばらく大事にしていました。


正月飾りを掲げた太鼓門を潜れば、いよいよ本丸に到着です。


晴わたった空の下、興居島の小富士が遠望できます。海、山、街が望める絶景の本丸です。


戦国武者やお姫様のコスチュームをした松山城門人会の方々が松山城天守をバックにした無料撮影会を行っていました。順番待ちの観光客の方やちょっと怖がる子供たちに武者言葉で当意即妙にやりとりをして周りの皆さんを和ませていました。傍で見ているだけの私でしたが思わずニコニコしていました。 

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