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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

'22年 月別疾患情報

12月  31日   年の瀬、今日は大晦日です。今年1年、山口耳鼻咽喉科クリニックをご利用いただきありがとうございました。すべての患者様に満足いただける診療ができたかどうか、患者様が何を一番求めているのか、100%を求めるやはり難しいものだと実感しています。来年こそはと決意を新たにして新年を迎えたいと思います。また今年1年、発熱外来・無料検査・ワクチン接種等の診療業務も1年を通じて多忙を極めました。スタッフの皆にも本当に感謝したいと思います。

 今月は新型コロナの第8波が襲ってきました。8月の第7波では確か1日で最高57名のコロナ陽性患者様を診察しました。今月も最高53名の時がありました。診療時間も長引いたことから今月に入りこのブログも更新することができませんでした。今日はここ1ヵ月の当院外来をまとめておきたいと思います。

 サッカー日本代表のジャイアントキリング、体中からアドレナリンが出で大興奮しました。東日本の大豪雪、愛媛でも久万高原町で観測史上最高の75センチの積雪を観測しました。当院周辺もうっすらと薄化粧をしました。
 物価高、私は診療が忙しい時期はスタッフの夕食を朝コンビニで仕込むのですが、お弁当の値段も本当に高くなりました。日銀もついに超金融緩和方針転換です。来年の経済情勢はどうなるのでしょうか。
 学術面では、日耳鼻の専門医講習会が今回もウェブ開催されました。多忙な事もあってすべての講習を見ることはできませんでしたが、それでも耳鼻科の知識をアップデートすることができました。9月に私の出身大学である徳島大学の新教授が決まりました。前任の武田教授が育てた様々な業績を引き継いで、さらに大きく花を咲かせることを期待しています。武田教授からは折々に開業していてももっと研究業績を発信するように叱咤激励を受けてなかなか頭が上がりませんでした。私の後輩にあたる北村新教授からはプレッシャーを与えられる事はないと思いますが(^^; 今の医局は本当にうらやましい位に活気に溢れていると感じています。今月は北村新教授の講演会の案内や紹介記事を目にするようになりました。今後の活躍を期待したいと思っています。

 それでは当院のここ1ヵ月を振り返ってみます。
 新型コロナが第8波化して、過去最高の波だった第7波の患者数・入院者数・死亡者数全てに匹敵するようになりました。特に12月後半には愛媛を含む西日本の患者数が多くなりました。ウイルスのタイプで見ると、7月末にオミクロン株のBA.5が主流となりましたが、12月後半にBA.5が70%、新たな変異株のBQ.1が30%と流行の主流がまた変わりつつあります。オミクロン株に2回感染して2回発症する例も珍しくはありません。2月に、7月、8月、9月に、中には11月にコロナに感染して12月にまた発症した患者様もいました。インフルエンザは一回かかると1年後まで基礎免疫が残って発症しにくくなる印象が強いのですが、やはり新型コロナは基礎免疫が十分にできない傾向にありそうです。アルファ株やデルタ株に比べて重症化率の減ったオミクロン株ですが、それでも重症化するケースは見られます。12月には当院からも、気道炎症が強く発声できない、水分摂取が十分できない、酸素飽和度の低下が見られるなどで3名の方の入院を余儀なくされました。ここ数日は、救急搬送を依頼しても救急車が出払っていてすぐには要請に応じられないケース、当院としては全身状態が良くないので入院治療担当病院への緊急受診を保健所を通じて依頼しても診察まで時間がかかるため一旦自宅で待機してもらうよう要請のあるケースもありました。高次病院の病床使用率も逼迫してきています。病院の現場では入院に対してのトリアージも始めざるを得ない状況になってきているのでしょうか。やはり当院でもワクチン未接種の方の重症化が目立ちます。重症化予防のためにはワクチン接種はやはり重要だと感じています。
 新型コロナの後遺症を発症する割合も結構多いとの報告が相次いでいます。当院でも嗅覚障害、味覚障害が遷延化する例や、頭痛が続く、咳が止まらない、過敏性腸症候群のような下痢軟便が続くというような後遺症の方も結構見られました。

 インフルエンザの状況ですが、12月に入り6都府県で3年ぶりに流行入りレベルの発生です。当院でも23日に2年10ヵ月ぶりにA型インフルエンザ陽性の方を見ました。引き続いて感染した家族や新規の方も含め計5名の陽性者を見ました。おそらくA香港型だと思われます。A香港型は最もウイルスの増殖力が強いですので、下手をすれば潜伏期は12時間ほどであれよあれよと感染が広がっていきます。日本人はここ3年インフルエンザにかかっていませんので、インフルエンザに対しても免疫がない人がほとんどになっていますのでインフルエンザのワクチン未接種の方の症状が強くなる可能性があります。インフルエンザは肺の粘膜に侵入し、新型コロナは肺胞の血管内皮細胞のACEレセプターから侵入して換気障害を引き起こします。侵入する細胞が異なることから、年明けにインフルエンザがもし増えてくると、新型コロナとインフルエンザへ同時感染するケースが増えてきそうです。最新のデーターではオミクロン株の致死率が0.67%、過去のインフルエンザの致死率が0.7%とのことですが、同時感染すると致死率が上がることも考えられます。インフルエンザの流行拡大にも注意したいと思います。

 その他の感染症としては、10月のピークよりは減りましたがまだ乳幼児の間でヒト・メタニーモウイルスの発生が見られます。細気管支炎化による呼吸不全で総合病院小児科へ紹介したもありました。このウイルスも急性中耳炎を続発しやすいウイルスです。発熱が遷延化し鼓膜切開を必要とした小児も見られました。一方RSウイルスは見られなくなりました。溶連菌咽頭炎、アデノウイルス感染症は散見されました。マイコプラズマ肺炎の方も見られました。

 感染症以外では、ここ1ヵ月間半ほど冷え込んでは雨、冷え込んでは雨、冷え込んでは雪などの気圧や温度の変化も大きい気候が続きましたので、鼻や気管支の気道過敏症、メニエール病、偏頭痛などの症状を繰り返す方が目立ちました。夏ほどではありませんが外耳炎、鼻前庭湿疹が目立つ人もいました。免疫力の低下で単純ヘルペスや帯状疱疹ヘルペス、顔面神経麻痺を発症した方、鼻出血で出血量が多いため出血点の同定ができず救急搬送を余儀なくした方もいました。

 来年に向けて、スギ花粉の飛散予想のニュースも見られるようになってきました。来年は特に関東東北でびっくりする位の大量飛散が予想されています。愛媛を含む西日本でも今年が飛散量が少なすぎたこともありやはり来年は関東ほどでないにしても大量飛散が予想されています。今年の松山は過去34年の観測の歴史で3回あった内の1回の最も飛散開始が遅い2月14日バレンタインデーから飛散が始まりました。過去の最も早い年は1月17日、過去の飛散開始日の中央値は2月の5~7日です。来年はこれから1月の気温にもよりますが、1月下旬にはちらほらと花粉の飛散が始まりそうです。花粉症の初期治療を始める目安は、やはり2月に入ったら花粉症のお薬を飲み始めてもいいと思います。また1月下旬でも外出時にムズムズと花粉を感じ出す人であれば1月下旬から飲み始めてもいいと思います。今年も12月に入りレーザー治療を希望される方の来院が続きました。

 今年の当院での新たな診療技術を振り返ると、9月からメニエール病に対する在宅中耳加圧療法を始めました。12月から脳波測定も可能な精密睡眠ポリグラフ検査を始めました。新型コロナでは経口薬であるラゲブリオの投与を8月から始めました。軽症者に投与可能な塩野義の新薬ゾコーバも年末には届きましたので、来月からは軽症でも症状が強い方には患者様と相談しながら投与したいと思います。
 今年も愛媛大学病院に人工内耳手術を依頼した例がありました。難治性の耳管開放症に対する耳管ピン挿入手術の施設承認もそろそろ始まっているものと思います。来年には当院で経過を見ている難治性の方に対しても紹介を考えたいと思っています。

 来年の耳鼻科外来はどうなるのでしょうか。年末年始の人流増加を踏まえて新型コロナのBQ.1株を中心とした流行第8波とインフルエンザの同時流行に警戒したいと思います。2月上旬からのスギ花粉の大量飛散にも対応したいと思います。1月には例年通り花粉観測装置ポールンロボの設置も行います。
 新型コロナの重症化に伴い、新型コロナは今のインフルエンザと同様な5類相当に感染症法上の扱いを変更する検討が始まっています。当院でもやはり新型コロナの99%は軽症か無症状の印象です。現在の新型コロナの対応では、発熱外来での検査、自家用車やベンチで待機しての保険確認・会計・処方箋の受け渡し、レセコンでは公費負担を分けての入力、経口薬の処方例では同意書の記入を依頼、タクシーや電車で来た方への輸送を保健所に依頼、重症者の診療調整を保健所に依頼、9月4日からの全数把握制度がなくなったことによりずいぶん簡素化されましたが保健所への重症者や高齢者妊婦の登録など、新型コロナ陽性の患者に対する事務的な手続きは多岐に渡ります。抗原検査陰性で新型コロナがそれでも疑われる患者様にはPCR検査も追加で提出していますので、そちらの提出と結果連絡も事務的な時間を要します。今後重症化率が上がらないという前提ですが、政府の言うウィズコロナで経済を回すほうに方向転換して新型コロナを5類感染症とすることができれば、当院外来の手間も劇的に軽減できることになると思います。5類感染症への移行が早く可能になれば良いと思います。

 長々と書き綴りましたが、あと数時間で今年が終わります。来る年が皆様によって良い年であるように祈念しております。
 今年の病院の忘年会も、昨年同様皆の相談で見合わせることとしました。来年こそは感染を気にせずに忘年会で1年の労をねぎらえるようになればと思います。
 ここ数日私は、録画していたM1グランプリを見て、今日はNHKの「72時間」の1年の総集編を見ています。私の年末の恒例行事です。昨日、遅ればせながら新装なった松山三越に行きました。三越に転居したジュンク堂で心電図、小児科外来、耳鼻科手術の本の購入しました。お正月3が日はゆっくりしながら、そして少しだけ勉強して過ごそうと思います。


当院から見た薄化粧の雪景色です。 
     
  23日  サッカーワールドカップがいよいよ開幕しました。昨日はサウジアラビアが36連勝中のアルゼンチンを2対1で下しました。大番狂わせです。今日行われる日本対ドイツ戦でも大番狂わせが起こらないかと思わず期待しています。
 
 新型コロナウイルスの流行が第8波入りしました。当院でも徐々に陽性の方が増え、陽性率も高くなってきました。二度オミクロン株にかかる人もちらほら見られます。先週、愛媛県の衛生研究所が興味深いレポート出しました。1軒家の陽性者のウィルスのタイプの検査ですが、オミクロン株の変異株の推移をグラフをグラフ化したものです。それによると1~2月に大部分を占めていたBA.1から、3月下旬にはBA.2になり、7月下旬にはBA.5がメインになっています。大体、東京の流行状況から3週間ほど遅れて愛媛が追随しているのがわかります。当院でも例えば、6月に陽性でこの11月に陽性だった人は、6月にBA.2にかかり11月にBA.5にかかったことになります。新型コロナは感染しても中和抗体が十分に上がらない人がいます。やはり血管障害以外にも免疫系にも影響を及ぼす気持ちの悪いウイルスだと思います。インフルエンザであれば前年にガッツリと感染した場合には、翌年ワクチンを接種していなくても基礎免疫が結構残っているであろうと思われて、発症しないかごく軽症で済む場合をよく目にしていました。どうやら新型コロナはこの常識が通用しないようです。
 新型コロナウイルスの経口薬ゾコーバが緊急承認されました。国産初めての新型コロナ治療薬です。この薬はインフルエンザへのタミフルと同様、ウイルスの増殖を抑える作用機序です。治験では有症状期間が服用していない人より1日短縮されたと言うことです。1日症状が短縮ぐらいなら効果は大した事じゃないんじゃないかと思う人がほとんどだろうと思います。しかし、インフル用のタミフルも有熱期間を2日短縮するだけですが、、実際に服薬してみるとウイルスの増殖が抑えられるために全身倦怠感などの自覚症状が劇的に軽くなります。免疫の暴走から起こる脳症などの重篤な症状の発生率も劇的に減ります。新型コロナの重症化リスクのない軽症者でも適用のあるゾコーバには期待したいと思います。早ければ12月から処方が可能になります。

 インフルエンザが全国的に3年ぶりにちらほらと発生してきています。特に大阪京都兵庫で目立っています。愛媛県はまだそれほどではないなりに、保健所の報告では、3週間前には全県下で2件の報告が、2週間前には西条で2件、1週間前には西条で1件の報告が上がっています。松山ではまだ報告はありません。例年だと当院でも11月中にはインフルエンザの方を診るのですが、まだ陽性の方は見られません。しかしそろそろ私も警戒を始めたいと思います。急な発熱、全身倦怠感を認めた場合、新型コロナの感染でもこのような症状は認めますがやはりウィルスの増殖力の強いインフルエンザでもこのような症状が見られます。今後このような患者様を見た場合には、当院でも新型コロナとインフルエンザの同時検査を進めたいと思います。昨日、国はインフルエンザの検査キットの市販化も検討すると発表しました。当院でもそろそろインフルエンザキットの備蓄を始めなければと思っていたところ、すでに供給不足の傾向があるとのことです。私も少々焦ってきました。明日以降、医薬品卸の担当者の方と相談をしなければいけません。

 いよいよ脳波測定や筋電図測定もできる睡眠ポリグラフ検査が当院に納入されます。最近も当院で簡易ポリグラフ検査で中枢性無呼吸の割合が極端に多いケースがありました。脳の呼吸中枢の働きが弱かったり、心不全など心機能が弱い場合も考えられます。このような場合には精密睡眠ポリグラフ検査での再検査も行い、より正確に睡眠時無呼吸の原因を突きとめたいと思います。
 
11月   8日  新型コロナウィルスへの経口薬工場が緊急承認されました。この薬はインフルエンザへのタミフルと同様ウィルスの増殖を抑えると言う作用機序です。知見では言う症状を期間が服用していない人のより1日短縮されたと言うことです。1日症状が短縮ぐらいだったら効果大した事じゃないんじゃないかなと思う人がほとんどだろうと思いますが、タミフルも結熱期間を2日短縮されずするだけですが、、実際に服薬してみるとウィルスの増殖が抑えられるため全身倦怠感などの自覚症状は本当に軽くなります。免疫の暴走から起こる脳症などの重篤な症状もの発生率も劇的に減ります。重症化リスクのない継承者でも適用のある工場には期待したいと思います。早ければ12月から処方が可能になります。 
     
  30日   西条祭り、新居浜太鼓祭りの影響もあったのでしょうか。西条と新居浜でコロナの感染者数が増えて、警戒レベルが続いていますが、中予は警戒レベルが引き下げられました。当院でも陽性者は目立って少なくなりました。
 ライノウイルス、エコーウイルス、”旧型”コロナウイルスによると思われる急性上気道炎、いわゆる普通感冒の人が増えています。普通の風邪が目立って増えるのは、新型コロナが発生する前の2019年秋以来です。 普通に風邪に罹った後で細菌が鼻で増殖することによって、中耳に細菌感染が波及して急性中耳炎を続発する集団保育児も増えてきました。中には中耳の炎症が強く痛みが持続してすることから、鼓膜切開を治療として選択するお子様も散見されます。

  
受付のフラワーアレンジメントです。風船唐綿(ふうせんとうわた)のまん丸の果実が優しい雰囲気を醸し出します。右は秋晴れの”松山のセントラルパーク”こと城山公園の紅葉です。芝生に寝そべった人から見れば、本当に空が高そうです。キッチンカーでカフェを楽しむ人もいます。
  23日   秋も深まってきました。今、院長室vから見える夕焼け空は高く澄んでいます。

 この度当院では終夜睡眠ポリグラフ装置(PSG)を新たに導入することにしました。当院では睡眠時無呼吸症候群などの睡眠呼吸障害に対して現在、終夜酸素飽和度測定装置1台、無呼吸低呼吸指数AHIを判定できる携帯型睡眠ポリグラフ検査装置を1台、AHIに加えて中枢性無呼吸や閉塞性無呼吸を判定できる携帯型睡眠ポリグラフ検査装置2台で検査を行ってきました。今度導入をするPSG装置では、脳波、心電図、オトガイ筋電図、胸腹部運動モニターなどもできるポリグラフ検査装置です。このため、レム睡眠や浅睡眠、深睡眠などの睡眠ステージの判定、呼吸努力関連覚醒反応を測定して覚醒反応指数Arlを算出、不整脈も検知が可能です。
 睡眠時無呼吸SASの病態は、繰り返される低呼吸や無呼吸により、低酸素血症、高二酸化炭素血症、胸腔内圧の低下、睡眠中の覚醒反応を引き起こすことなどから、睡眠障害を招くようになります。その結果、日中過眠や抑うつ状態などをもたらし、また交感神経活動の高進により、高血圧、虚血性心疾患、脳血管障害などの合併症のリスクが明らかに高くなります。就眠中のレム睡眠や深睡眠の割合が減ることにより深い眠りが得られずに、昼間の傾眠や集中力不足も惹き起こされます。ここ10年ほどの研究の進展により、無呼吸から心房細動や致死的不整脈が引き起こされる機序の解明が進んできました。今回導入する装置によって、中枢性の呼吸の詳しい状態、心血管イベントへの影響など様々な病態がをより詳しく評価できることになります。心不全の患者さんの心臓の状態と睡眠呼吸障害の状態の関連性も明らかにでき、持続的陽圧呼吸CPAP治療装置の的確な選択をできるようになります。また、睡眠時無呼吸を明らかには伴わない睡眠障害や中途覚醒時の睡眠状態の評価もできるようになります。そのようなデータをもとに、睡眠障害をする専門とする精神科医との連携もスムーズに行えるようになるものと思います。いろいろないろいろな方面でこの装置を活用していきたいと思います。

 新型コロナウイルスの感染者数はなかなか減りません。全国的にも1日あたりまだ3万人余の感染者が出ています。最近でも当院近隣の小学校で学年閉鎖がありました。既にオミクロン株に2度罹った人も散見されます。現在流行しているのはオミクロンBA.5方ですが、欧米ではBA.7型やBQ.1型などのBA.5型の亜型が増えてきています。最近、政府の分科会でも第8波も大規模なものになる可能性があると言及していましたが、確かにその可能性も否定できない気がします。当院でも新型コロナの後遺症を疑われる方が見られます。嗅覚味覚の脱失、頭痛や倦怠感の持続、嘔気や腹部膨満感などの消化器症状の持続など血管障害の持続から引き起こされるであろう症状は多彩です。Bスポット治療などを含めて、耳鼻科の立場からアプローチできる治療も試みています。

 小さなお子さんの間では、ケンケンと言う犬の遠吠えのような咳をする喉頭炎が目立っています。この原因として最近多いのが、ヒト・メタニューモウイルス感染症と思われます。新型コロナが流行る以前の年間の風邪の流行パターンは、12月にRSウィルスが流行→1月~3月上旬にインフルエンザが流行→5月から6月にヒト・メタニューモウイルスが流行する う傾向がありました。5~6年前からは、RSウイルスの流行のピークが9月と早くなりました。新型コロナが発生した2年前は、インフルエンザやRSウイルスを含めほとんどの風邪の流行がなくなりました。ところが昨年はRSウイルスが8月を中心に流行しました。今年はさらに、春先と特に7~8月に大流行しました。このRSウイルスの流行が現在まで続いている上に、ヒト・メタニューモウイルスが同時に流行するようになっています。ヒト・メタニューモウイルスは従来感染者数も少ないことから、もともと迅速抗原検査キットの製造も多くはありません。ところが今年はこの時期に流行したことから、検査キットの流通が滞り、出荷調整対象となりました。当院でも1週間前からは在庫が極端に少なくなっていますので、検査対象を、呼吸困難が悪化した場合には入院治療も必要となる可能性もあるお子さんに制限させてもらっています。このヒト・メタニューモウイルスは、RSウイルスと同様にゼーゼーが強くなる細気管支炎を引き起こすので注意が必要です。また、ヒト・メタニューモウイルスは、RSウイルスやパラインフルエンザウィルス、新型コロナウイルスとともに喉頭炎も引き起こすことがあります。喉頭炎は声帯周囲の腫れがメインで引き起こされますが、その腫れが進行して声帯の下が腫れてくると声門下喉頭炎(クループ)と言う状態になります。気を吸い込む時にヒーヒーと言う吸気性喘鳴を引き起こします。この状態が増悪すると呼吸困難を引き起こし入院治療を必要とします。細気管支炎も声門下喉頭炎も即効性のある治療としては、気管支拡張剤や血管収縮剤の吸入と経口や点滴でのステロイド薬の投与があります。当院での外来治療で改善するのか? 悪化する可能性があるのか? その辺のことを注意しながら診察を進め、総合病院小児科との連携を図っています。

 来シーズンのスギ花粉の飛散予測が出そろいました。全国各地にはその地方のスギ花粉を測定して地域の予測を出す研究者がいますが、全国的な予測を出しているのは現在のところは主に3つの施設です。日本気象協会、ウェザーニュース、NPO法人花粉情報協会です。私も各社の予測も参考にしながら、私独自の予報も行っています。
 例年、各施設のどこが1番予測が当たるのかを注目しています。日本気象協会は気象庁から続く蓄積された観測データを基に、ウェザーニューズは気象データに加えて全国に張りめぐらせたポールンロボのデータを基に、花粉情報協会は全国の花粉症研究者の集まりでもあるので、12月には実際にスギの花芽の生育状況をフィールドワークを行いその結果も踏まえた予測をします。3者3様の特徴があります。今年のスギ花粉の飛散量は、先日もお伝えしたように松山の花粉観測の歴史34年の中で過去3番目に少ない飛散量でした。これだけ少ないと言う予測は誰もしていませんでした。来シーズンはそんな記録的に飛散の少なかったシーズンの後になるシーズンです。第一報時点では三者の予測に微妙な違いがあるのが興味深いです。愛媛の飛散量について、三者とも今シーズンの倍から4倍近く飛散すると予想しています。日本気象協会は例年に比べるとやや多い110~150%位、ウェザーニュースは150~200%、花粉情報協会は300%近いとしており、三者に微妙な違いがあります。特に興味深いのが関東東北地方の飛散予測です。ウェザーニュースは平年並みと予測していますが、日本気象協会と花粉情報協会は非常に多いとの予測を出しています。私としては来年の関東東北地方の飛散状況が気になります。

 マイナンバーカード保険証の義務化が発表されました。2024年秋には紙の保険証を廃止する予定です。国はマイナカードの普及に、一気に舵を切りました。当院では1月からマイナカードのカードリーダーの運用を始めていますが、今月に入るまで実際にマイナ保険証を利用した人はわずかに数名でした。この制度、どうなるんだろうと感じていましたが、ほぼ全員が利用するとなると、医療事務の負担軽減や診療服薬履歴の確認などに役に立ちそうです。個人情報の保護管理の観点から、マイナカードの制度には賛否両論があります。私は、大概の国で国民の登録番号による管理が行われており、管理されて一番困るのは地下マネーに依存している者ですので、国民総背番号制には概ね賛成です。皆さんはどう思われるでしょうか?

  咽頭異物(鉗子付きファイバースコープでの摘出)、耳鳴順応療法TRT、末梢性顔面神経麻痺、頚部リンパ節炎、下咽頭腫瘍、新型コロナウイルス後遺症など。

    
 診察室と待合室の絵を新しくしました。周りの空気が少し華やかになりました。 
10月  10日   秋も深まってきました。昨日はひんやりした冷気の中での発熱外来でした。今年は3年ぶりに松山の地方祭も開催されました。9月下旬からは町々には紙垂も飾られて祭り気分を盛り上げていました。
 今日は体育の日で、当院もお休みをいただきました。私は県立図書館を利用するとともに、真横にある県立美術館にも立ち寄りました。美術館では「国宝 高野山金剛峯寺展」が開かれていました。以前から一生に1度は見てみたいと思っていた弘法大師の真筆、聾瞽指帰(ろうこしいき)を見ることができました。空海が24歳の時、出家するにあたっての考えを述べた書です。会場では、この書の冒頭の現代語訳も掲示してあって、空海の思考の一端を感じることができました。書の心得の全くない私ですが、現代の楷書体のような整った文字で、一文字一文字がくっきりと読めました。司馬遼太郎は、過去の日本人で1番頭が良いのは空海かもしれないと言っています。しっかりと字と文章にはそれを思わせるものがありました。

 新型コロナウイルスの全数把握の制度が終わりました。高齢者、妊婦、基礎疾患のある方以外は新型コロナの入力システムHER-SYSへの詳細情報は報告する必要がなくなりました。人数だけを報告することになりましたので、ものの数分で報告が完了します。おかげで診察中終了後の事務的な負担は本当に軽くなりました。9月下旬から新型コロナにかかる方は、当院でも本当に少なくなりました。それでも緊急入院を要する方、後遺症の残る方もまだまだ見られます。なかなかに手強い感染症です。
 この夏からは、一昨年のように感染症が本当に少ないという感じではなくなっています。様々な感染症が散見されています。溶連菌感染症、感染性胃腸炎、夏風邪の手足口病やヘルパンギーナ、RSウイルス感染症が見られてます。9月に入り、RSウイルスの兄弟分ともいえるヒト・メタニューモウィルスも乳幼児の間で目立っています。ヒト・メタニューモウィルスは、”インフルエンザのような発熱、RSウィルスのような呼吸器症状”が特徴的です。成人も含めて軽症で済む方が多いのですが、中には発熱が5日から7日続いたり、細気管支炎で酸素の取り込みが悪化するお子さんもいます。細気管支炎化には注意しながら診察を進めています。ライノウイルス、エコーウイルス、”旧型”コロナウイルスと思われる、一般的な上気道炎も増えてきています。一般的な風邪の後に急性中耳炎を続発する小児も、一般的な上気道炎が増えてきたせいか、2年半ぶりに増えてきています。
 秋の花粉症シーズンです。秋のイネ科雑草花粉は、お盆ごろより飛散が始まり、11月初頭まで飛散が続きます。ちょうど今時期のススキもイネ科花粉です。また、9月初めから今の時期までがヨモギ、ブタクサなどのキク科雑草花粉の飛散時期でした。イネ科の飛散はまだ続きますが、秋花粉シーズンもピークは過ぎました。ハウスダスト系では、吸入性のカビは9月で少なくなりますが、ダニは死骸やフンが残って抗原性が続きますので、軽くはなりますが、今しばらく反応する方はいると思います。急に寒くなりましたので、冬の布団を出した方もおられるとおもいます。押し入れにひと夏こえて入れていた布団にはダニの死骸が大量にたまっています。しっかりと日干しや布団たたきをした後に敷いて下さい。9月はハウスダストの刺激とともに、残暑の暑さやクーラーや朝の冷え込みによる寒冷刺激、気温の日差が大きい、台風や秋雨前線の低気圧などで非特異的な過敏症が引き起こされます。10月に入って秋晴れの気候であれば、過敏症を感じる人は少なくなります。日本気象協会から来年のスギ花粉の飛散予報の第一報がでました。四国は今年の2倍大量飛散します。しかし、今年の飛散量が少なすぎた上での2倍ですので、”例年よりやや多い”飛散量のようです。 
     
9月  16日  新型コロナウィルスの怒涛のような第7波の流行もピークを超えました。当院外来もようやく平常に戻りつつあります。今日は久しぶりにこのコーナーを更新することができました。8月中旬の感染ピーク時には、当院では連日1日50人を超える陽性者の方を診察しました。松山市の発生件数の2~3%、日曜日は10数%を当院が占めた時もありました。新型コロナの患者さんを診察する際には、電話相談で病状を確認した上での発熱外来への誘導、行政検査を分けてレセコンへ入力、感染防御を行った上での会計、処方など、一般的な診察に比べても事務的な手数がかなり煩雑になります。発熱外来に加えて、一般診療、無料検査としての抗原&PCR検査、ワクチン接種も行います。また診療後には、PCR検査の結果の受験者への伝達、自宅療養者の健康観察も行い、加えて各種の補助事業の申請書や報告書作成(数えてみると9月の当院の報告項目は、HER-SYS以外にも週間疾患情報の定点報告やワクチンの接種報告配送依頼、ラゲブリオの在庫依頼、抗原キットの配送依頼、休日の発熱外来の補助金申請、無料検査の週次報告、健康観察記録シートの提出など17項目に上っていました)で当院スタッフの業務量もかなり過重になりました。報道もされましたが保健所に発生届を出すための報告システムHER-SYSへの入力もかなりの時間を要しました。お盆の中日のピーク時には、診察が午後9時過ぎに終わった後に入力を開始したことから、入力が終わったのが午前4時半になりました。9月26日からはHER-SYSも全数把握を終了する予定ですので、これからは診療に注力できそうでホッとしています。
 当院でも新型コロナのアルファ株、デルタ株、オミクロン株と3回感染した方がおられました。またオミクロン株に2度感染した方も複数見られました。新型コロナウイルスは血管内皮細胞に感染し細胞の障害を引き起こします。やはり特殊なウイルスです。耳鼻科的には、強い咽頭痛や声がれを認める人が目立ちました。ただ咽喉頭の高度炎症で扁桃炎や喉頭蓋炎、クループなどの重篤な状態になる事はまずありません。しかし心血管障害からの心筋炎、肺胞周囲の障害からの呼吸不全、胃腸障害、皮膚障害、嗅覚味覚障害、脳細胞の障害によるいわゆる脳の霧(倦怠感持続、頭痛、記憶力の減退など)を引き起こす可能性もあることから、高齢者や基礎疾患のある方への診察にはかなり気を使いました。新型コロナの高熱や高度な全身倦怠感からプレショックをきたした方、過換気発作を起こした方、呼吸不全で救急搬送を要した方など、当院の外来でも緊張を強いられる場面が多々ありました。当院でも経口抗ウイルス薬ラゲブリオを活用しましたが、処方の同意書を得たり、処方の配送依頼などで平素の処方よりもかなり時間を取られました。
 7月8月と新型コロナ以外の感染症も目立ちました。RSウィルス感染症が昨年の夏以上に乳幼児の間で流行しました。赤ちゃんが新型コロナに感染した場合には3日ほど高熱が出て収束するパターンが1番多かったですが、RSウィルスでは細気管支炎から呼吸不全に至ったケースもあり、乳児では新型コロナ以上にRSウイルスでの症状増悪に注意が必要でした。7月には発熱+咽頭痛+下痢を認めるアデノウイルスも目立ちました。8月には例年より発生はかなり少ないものの、手足口病やヘルパンギーナも集団保育児を中心に見られました。また、RSウイルス類縁のヒト・メタニューモウイルスも同じく集団保育時児に見られました。青年層では、少ないながら溶連菌やEBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症の方も散見され、感染症の鑑別には注意を要しました。
 今年の夏は、7月の天候不順(気象庁は当初6月としていた梅雨明けを例年並みに7月と訂正しました)、8月の猛暑、9月に入っての台風襲来と天候の乱れが続きましたので、熱中症、メニエール病などのめまい発作、外耳炎が増悪する人なども目立ちました。
 新型コロナの患者さんが減ってきたこともあり、一昨日は久方ぶりに時間に余裕ができました。往診の後ようやく散髪もできましたし、図書館で新しい本を借りることもできました。日常が戻ってきました! 
     
8月  6日   いつのまにか8月になってしまいました。オミクロン株の感染爆発の中、当院は連日多忙を極めています。診療業務に隠れた事務処理量も半端ではありません。当ブログの更新も滞ってしまいました。落ち着いたらじっくりと更新したいと思います。('_')
     
  18日   夏休み入りも間近です。全国的にも愛媛でも新型コロナの感染者が急激に増えています。流行のタイプも、オミクロン株のBA.2からBA.5に急速に置き換わっています。BA.5はBA.2の1.25倍ほどの感染力との報告も出ていますが、重傷者数は今のところかなり少なく推移しています。現時点ではBA.5は、デルタ株はもとよりBA.2よりも重傷者が少ないことから私も少しホッとしています。当院発熱外来でも、新型コロナの感染者を診ることは珍しくなくなっています。乳幼児は急な高熱が1~2日出るものの気道症状は強くならない印象です。成人はのどの反応が強いのが特徴的です。かなり強い咽頭痛や声がれ、微熱は認めるものの、呼吸不全に陥るケースはほとんど見られません。アルファ株は発症後1週間後から、デルタ株は発症5日前後から酸素飽和度の低下をきたして重症化するケースがあったことから新型コロナはかなり怖いイメージもありましたが、今回の第7波は軽症に終わるケースが多いようです。政府も病床使用率が上がっていないころから、現時点では積極的な行動制限は行っていません。夏休みに向かって旅行や帰省のシーズンになりますが、このまま重症化率が少ないまま推移してほしいものです。

 夏本番の汗ばむ気候です。今年は子供たちの水遊びや水泳の授業も平常化しています。昨年や一昨年よりも、外耳炎をおこす方、鼻前庭湿疹から鼻出血を繰り返す小児が多くなっています。 
7月  3日   KDDI(au)の通信障害ですが、台風の近づく西日本から復旧作業を行い西日本は午前11時頃に完了したものの、一部音声通話が繋がりにくい場合があるとのことです。このブログを書いている午後20時現在、まだ当院から電話が繋がらずPCR検査のお伝え出来ない患者様がいます。今日の夕刻に保健所の方とお話ししましたが、新型コロナ陽性者への連絡や健康観察ができないケースが、昨日に続き今日もあるとのことでした。若い世代はほぼ全員、固定電話を世帯に持っていません。テレビニュースでは、今回の通信障害で生まれて初めて公衆電話を利用した若者のインタヴューが放映されていました。なるほど、そんな時代なんですね。現在の第6波はほぼ全例重症化率の低いオミクロン株ですので、自宅で急変するケースはほとんどないと思われますが、通信障害が新型コロナの診療にも悪い影響を及ぼさないか心配です。

 ここ1週間、愛媛も全国も新型コロナの実効再生産率が1を超えて、感染者が増えています。恐らく現在愛媛で流行しているのはオミクロン株のBA.2という亜系統で、東京ではすでにBA.4やBA.5に移行していると思われます。愛媛でも今月からはBA.5へ感染の主体が移っている気がしています。これらの変異株は何れもL452RとF486Vというふたつのスパイク蛋白の変異を特徴としています。いずれもワクチンの感染予防効果が低下していると考えられています。一方、感染力や重症化への影響はまだ解っていません。この夏これから、BA.5を中心に感染第7波の到来が懸念されます。また、重症化率の高いデルタ株とオミクロン株のハイブリットしたタイプの増加も心配です。コロナ禍はいつまで続くのでしょうか? 

 難治性メニエール病、遅発性内リンパ水腫の新しい治療法で20年4月から保険適応化された中耳療法ですが、当院でもこの治療法を導入していますが、昨年後半よりこの治療装置が極端な供給不足に陥っています。当院でも新規の患者様に導入できないでいます。この治療法はスエーデンで開発されました。スエーデンの治療法は鼓膜チューブ留置という侵襲的な治療を行ったうえで中耳加圧を行うものでしたが、日本の富山大を中心とした研究グループが本邦で以前から使用されていた鼓膜マッサージ器を改良した機器でも有効であることを解明したことにより、日本では非侵襲的な治療法が可能となりました。優れた治療法と考えますが、昨今の世界的な半導体不足も影響しているのでしょうか? また全国的にこの治療法の症例数が劇的に増えたせいもあるのでしょうか? 医療機器メーカーでの製造が追いついていないようです。一日も早い供給不足の解消を期待したいです。当院でこの治療をお待ちの患者様には、もう少しお待ちください。_(._.)_
     
  28日   今日、松山も過去最速の梅雨明けです。西日本の10のダムで貯水率の大きな低下がみられています。松山市は人口の多い市の中では水不足が懸念される地方自治体の一つです。なにせ松山市の水瓶が貯水量の多くない石手川ダムひとつに限定されているからです。過去には当院も断水時間を気にして診療を行わざる追えなかった経験があります。今日の晴天猛暑がうらめしいです。

 当院ではRSウイルスやアデノウイルスが目立っています。小さなお子さんでは急に高熱がでます。幼稚園児や小学生でも症状が強い場合があり新型コロナとの鑑別が難しい場合が多いです。迅速検査キットが診断に大いに役立っています。RSウイルスからウイルス性中耳炎が引き起こされるケースもまま見られます。耳鼻科の一般診療でも注意すべき感染症です。

 6月21日の東京の立川市の小学校でインフルエンザによる学年閉鎖が報告されました。都内での学級閉鎖は20年3月以来です。全国的にも昨年11月の兵庫県で1校報告があって以来です。新型コロナが日本で広がり始めた20年3月に、インフルエンザはちょうど新型コロナと入れ替わるように全く流行しなくなりました。しかし現在、南半球で冬にあたるオーストラリアではインフルエンザが爆発的に流行しています。日本人のインフルエンザに対する免疫も落ちてきていると考えられますので、この冬は2年前に懸念されていたようなインフルと新型コロナの同時流行に備えなければいけないようです。

 雑誌日経コンピューターからの耳より情報を一つ。皆さんはカーナビに何を使っているでしょうか。スマホアプリの進化とともに、スマホをカーナビ代わりに使う人も多くなり、特にバイクやロード自転車ではスマホの方が一般的になっていますが、私も含め多くの人はまだ車に備え付けの純正カーナビを使っていると思います。公共施設や観光地を目的地にナビする時には純正カーナビで問題ないのですが、グーグルマップの方が番地での検索が詳細にできますので、私は往診で住宅地に向かう際にはグーグルマップで検索してナビしていました。ところが以前往診に行った先では、地図上では道は患者宅まで繋がっているのに、実際に向かうとあと数百メートルが細くて車の通行が出来ずに袋小路に入ってしまい、車の後退にえらい気を使ったことがありました。グーグルのナビは細い道までルートされる傾向があります。そこでお勧めが、ヤフーナビです。グーグルのナビと違い、純正のナビのように走行時にヘッドアップの3D画面様になり、道も幹線道路を主ルートにしてナビしてくれます。ルート検索も複数提示されますし、高速道路の広域渋滞情報のページにも直でリンクされています。先日、私の車のナビの地図を更新しようとしたところ無料更新期間を過ぎているので更新料が2万円もかかると聞かされて、更新をあきらめました。ヤフーナビはそれこそ随時更新された最新の道路地図で無料でナビできます。私のお勧めです。 
  20日  梅雨入りして1週間経ちました。四国は平年より8日遅く、過去5番目に遅い梅雨入りでした。その後、梅雨空は本格化せず、今日も晴れ間がのぞき蒸し暑い一日でした。メニエール病などのめまい症の方が目立っています。
 学校検診の報告書を持って受診する小学生が増えてきました。東京ではハウスダストによるアレルギー性鼻炎の小学生の有病率は6割に達しています。松山の小学生も5割近いのではないでしょうか。いまやアレルギー性鼻炎持ちの人が多数派です。アレルギーの根本的な体質が治る訳ではありませんので、かならずしも治療をきっちりとしなければいけない訳ではありません。生活の質を高めるための環境改善や治療を、学生さん本人や親御さんと相談しながら進めています。私がよくお話しているのは「小学生で頭痛や頭重感を訴えたり、中学生で集中力不足を気にするようであれば、治療をお勧めします」です。
 まだ暑さに順応していない季節であることもあり、熱中症の方の来院もみられました。高温多湿の中での運動で塩分喪失性の脱水から有痛性の筋痙攣をきたす熱痙攣を呈した例もありました。これからの季節、高温下で野外活動や部活を行う人はこまめな水分塩分補給を心がけて下さい。

 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の学術講演会が始まりました。今年もオンラインと現地でのハイブリッド開催となりました。オンライン開催はコロナ下で3年目となります。例年の現地参加であれば、当院を休診して1日の参加がやっとでしたが、オンライン参加では3日間にわたる学会期間の主要な講演や講習を全て受けられます。現地で参加するよりもゆっくり視聴できます。気になる図や写真は動画を止めてじっくり見ることもできます。ここ2週間あまりは、自宅でじっくりとオンライン講習を受けたいと思います。
6月  5日   昨日の松山の最高気温は29℃、当院も冷房がフル稼働でした。今日は一転、低気圧の接近で雨模様になりました。明日の国立競技場でのサッカー日本代表のブラジル戦は雨の中での試合になりそうです。日本代表への慈雨になって欲しいです。明後日以降、梅雨前線はまた南下します。梅雨入りは例年より遅めとなるのでしょうか。
 新型コロナの経口薬ラゲブリオを初めて処方しました。基礎疾患を持つ方へは軽症での投与も認められています。オミクロン株はアルファ株やデルタ株に比べて、感染力が強く潜伏期も短いものの病原性は弱く、重症化の割合は少ないです。発熱期間が短く、咽喉頭粘膜の反応が強いため強い咽頭痛と嗄声(声がれ)が特徴です。新型コロナウイルスの特徴は、血管内皮細胞に浸潤増殖して、血栓形成や急性の免疫不全を起こすことです。デルタ株では肺へすりガラス状に浸潤して換気障害から重症化しますが、オミクロン株は肺へ広がる力は弱いようです。それでも糖尿病など毛細血管が弱い基礎疾患の方の感染では、重症化に注意しなければいけません。重症リスクのある方には、今後もラゲブリオの投与を検討したいと思います。
 ラブゲリオを処方するためにレセコンの薬剤リストから薬剤コードをひぱってこようとしましたが、薬剤のリストにはラゲブリオがありませんでした。確認したところ、ラゲブリオは特例承認薬剤のため薬剤コードや薬価はありません。治験薬と同様の処方箋形式にしなければなりませんでした。新型コロナの診療は、なにからなにまで特例続きです。輸入時の納入価格から類推すると、ラゲブリオの5日分1セットの価格は8万6千円程度です。輸入時の輸送量備蓄費、医療機関や調剤薬局への配送備蓄の管理料など諸経費も加えると、ラブゲリオを1回処方すると費用は10万円近くかかっているのではないでしょか。コロナワクチンでは、4回目接種を迎えて全国的にもモデルナワクチンが大量に余りそうです。新型コロナの軽症化の進む中、医療の現場でも対費用効果の数値化をすすめなければいけないようです。折しも現在、持続化給付金の不正受給がニュースになっています。コロナ幽霊病床への高額の補助金、一部飲食店の補助金による焼け太り、補助金業務委託企業への高額な支払いと下請けへの丸投げ、コロナ関連予算の執行分が追えない、地方自治体のがコロナ関連事業として広く交付金を受領など、今後、予算執行への波紋はしばらく続きそうです。 
     
  27日   当院の発熱外来、新型コロナのPCRと抗原検査を行う無料検査ともに来院される方は少なくなってきました。少しずつ日常の外来が戻りつつあります。
 26日の夜、南予地方では記録的短時間大雨情報が出され、愛南町では1時間に120ミリの猛烈な雨が降りました。梅雨入りはまだですが気圧変動の大きな日が続いたこともありメニエール病のめまい発作を起こす方が目立ちました。

  亜急性甲状腺炎、急性冠血管障害、心因性難聴、鼓膜穿孔閉鎖術、いびき症に対するナステントのフィッティングなど。 
  21日   2020年の小林化工による成分誤混入事件に端を発して、事前通告無しに抜き打ちで立ち入り調査が行われるなど査察体制が強化された影響で日医工などの後発医薬品メーカーへの業務停止命令が多発しました。この影響で多数の後発品が供給不足に陥っています。今年は供給不足も緩和されると思っていましたが、まだまだ供給不足は続きそうな気配です。耳鼻科でよく処方される抗アレルギー剤も、成人向け小児向けの各種の薬剤が供給不足に陥っています。ある薬剤の供給不足が解消したと思ったら他の薬剤があらたに供給不足になるなど、一貫した処方が出来かねています。後発品の供給不足で先発品も供給不足に陥るケースも多いです。供給不足に陥った薬剤は同等の効果の他の薬剤で代替していますが、”この抗アレルギー剤は中枢抑制作用が少ないので、熱性痙攣の既往のある小児にも安心して処方できる”など、それそれのお薬には特徴があります。既存の後発品メーカーが製造ラインを増やすのも簡単にはいかないようですが、早くこの事態が解消されて欲しいものです。

 6月に新たな経口の片頭痛治療薬が発売されます。片頭痛の病態として、中枢での疼痛シグナル伝達や抹消での三叉神経の過活動が大きく関わるとされています。新たなジタン系薬剤レイボーは三叉神経終末のセロトニン1F受容体に結合してこの受容体を活性化させることでCGRPやグルタミン酸などの神経伝達物質の放出を押さえます。従来のトリプタン製剤よりも選択的にこの受容体の活性を高めます。トリプタン製剤は片頭痛発作の極期の直前に服用する必要がありましたが、この薬剤では片頭痛発作のピークの1時間後に服用しても効果が発現します。また悪心、音過敏、光過敏などの随伴症状にも有意に効果があります。片頭痛の治療は、昨年、CGR受容体拮抗薬の注射薬であるエムガルティ、アジョビ、アイモビーグが続々と発売されて治療の選択肢が増えましたが、これらはいずれも生物学的製剤であることから医療費が高額になる点がネックでした。私も頭痛専門医と連携しながらこの薬剤を活用したいと思います。


 当院前庭のツツジです。当院もいつになく華やかです。 
5月 14日   梅雨入り前ですが、昨夜は梅雨前線の影響で松山もまとまった雨が降りました。気温や気圧の変化が大きいことから、メニエール病が悪化する方が目立ちます。

 ヒノキ花粉の飛散も例年よりやや早く4月23日には飛散が終了しました。スギ花粉の飛散は予想を大幅に下回り、ヒノキ花粉が大量飛散しました。この冬の感染症の流行は、3年続けてインフルエンザの発生がほとんどなく、病原性が低くなったものの感染力が強くなった新型コロナのオミクロン株がBA1からBA2へと移行して発生はピークアウトしません。この冬は、感染症も花粉症も例年にないイレギュラーなシーズンでした。

 新型コロナ以外の感染症の発生は例年よりかなり少ないものの、それでも当院では各種の感染症が見られます。溶連菌咽頭炎、アデノウイルス、RSウイルス、ノロウイルス、サボウイルスやアストロウイルスと思われる感染性胃腸炎、EBウイルスによる伝染性単核球症、アルコール消毒が効かないライノウイルスなどです。単純ヘルペスウイルスの初回感染、突発性発疹も見られます。一方、ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎は全く見られていません。例年よりも感染症の目立たない冬ももう3年目ですが、それでも2年前の安倍政権時に小中学校を休校にした時よりは様々な感染症が見られます。

  突発性難聴、顔面神経麻痺、自己免疫性難聴、聴覚情報処理障害、良性発作性頭位眩暈、学童結節、ポリープ癰声帯、頚部粉瘤、頚部嚢腫、中耳加圧療法、鼻茸摘出術など。 
     
  22日  風が香ります。ゴールデンウィークを前に、心地よいお天気です。松山市の中学校では、来週に修学旅行の学校が多いようです。昨年は行き先が県内や四国内でしたが、今年は関西方面と、コロナ前に戻ったようです。診察中に行き先を聞いていると、USJを楽しみにしている学生さんが多いようです。旅行を前にして、鼻炎の治療や車酔いの対策での受診がありました。

 スギ花粉の飛散は1ヶ月前には少量になっていましたが、10日前に飛散は終了しました。桜の開花とともに例年よりやや早めに飛散の始まったヒノキ花粉ですが、大量飛散もピークを過ぎ、目立った飛散は後1週間程と思われます。ハンノキも先週、大量飛散しました。4月に入りイネ科雑草花粉の飛散も始まりました。松前町特産の裸麦も、実はイネ科の植物です。先週が裸麦の花粉飛散のピークだったでしょうか。松前町のエミフルに買い物に出かけて、鼻や目がムズムズした松山市民もいたのではないでしょうか。
  13日   大量飛散したヒノキ花粉の飛散はピークを越えました。記録的な少量飛散のスギ花粉もわずかな飛散がまだ見られます。4月に入り、イネ科雑草の花粉も飛び始めました。

 台風1号が日本に接近しつつあります。松山の最高気温は、昨日が25℃、今日が17℃と8℃下がりました。東京は前日より12℃下がっています。寒暖差や気圧変動が極めて大きいですので、メニエール病や気道過敏症が増悪する方が目立っています。台風が近づく時は、その数日前から微小気圧変動の変動幅が大きくなります。そのためメニエール病や天気痛など気圧変動で惹き起こされる病気をお持ちの方は、台風が日本に接近する前から症状が出る場合があります。明日はPM2.5の飛来も予想されていますので、気道過敏症の方も症状が悪化する場合もありそうです。今週後半は特に衣類の調節などで寒暖差を防ぎ、体調を崩さないようご注意下さい。
 天気痛は、気圧の低下した天気の悪い日に、頭痛や全身の痛みや倦怠感が生じる病気です。メニエール病の素因がある方に多いのですが、低気圧によって内耳の内リンパ圧が高まり、この刺激が三叉神経終末を介して脳内に伝わって全身の痛みや知覚過敏、全身倦怠感を引き起こすものです。治療には内耳の神経伝達の興奮を鎮める乗り物酔いの治療に用いる抗ヒスタミン剤(トラベルミンなど)が有効です。天気痛の有病率は結構高く、思春期から苦しめられる人も多いことが最近知られてきました。天気の悪い日に痛みを感じる人は、天気痛のような機序の病気のあることを知って、市販の頭痛薬だけに頻繁にたよることのないようにしてください。(薬剤連用性頭痛でお薬が効かずに頭痛が悪化する場合もあります) 
4月  6日   4月、新年度入りです。診療報酬改定によるレセコンの更新、新たな施設基準の申請、新型コロナのワクチン接種や無料検査の実施と申請業務、保健所への連絡などなど、例年になく事務作業に追われています。

 4日から今日にかけてヒノキ花粉が大量飛散しました。今年のスギ花粉の飛散ピークは3月5日でしたが、その時の飛散数を凌駕しています。スギ花粉の飛散よりヒノキ花粉の飛散が多いという特異なシーズンになりました。ヒノキ花粉はスギ花粉よりも花粉粒子が小さいこともあり、気道の奥まで吸引されて咳が目立ちます。 
     
  29日   昨日、松山では桜の満開とともにヒノキ花粉が大量飛散しました。

 あと2日で新年度です。今年は診療報酬改定の年度に当たっています。明日、明後日とレセコンのデータ更新の確認や新たな施設基準の申請などしっかりと準備して4月1日を混乱なく迎えたいと思います。
 ここ半年、新型コロナウイルス診療に関する通達が、保険医療の分野でも次々と増やされました。自宅療養者へのオンライン診療による処方は公費負担、新型コロナ陽性判定後の診療は公費負担、レセプト請求の診断と治療は公費番号が違い福祉医療の公費番号は3番目に記載する、などなど医療事務も煩雑になりました。当院の受付は、煩雑なレセコン入力に加えて、新型コロナのワクチン接種や無料検査の受付や請求事務でてんてこ舞いです。以前の診察自体が忙しかった時とは違う忙しさです。スタッフの皆に感謝です。 
  24日   サッカーW杯本選出場決定おめでとう! 私もアジア最終予選にはほんとうにひやひやしました。今日の対オーストラリア戦、DAZNには加入していないので、YouTubeのハイライト動画を探して見ました。それにしても、三笘選手のロスタイムダメ押しの2点目のドリブルは凄すぎでした。

 スギ花粉のシーズンも終盤近いです。今シーズンの飛散量を過去と比較すると、恐らく、昨年の15%、松山の観測の歴史過去34年の24%程度となりそうです。21世紀に入りスギ花粉の飛散量はやや増えていることから過去10年と比較すると21%程度です。1988年以来の過去34年で3番目に飛散の少ないシーズンになりそうです。当初の予想では平年よりやや少ない程度の裏年としていましたが、予想をはるかに下回りそうです。
 今日の診察では、4月から東京に転勤になる方の再診がありました。現在、スギ花粉の飛散の中心は中京地方に移っています。東京はこれから飛散のピークを迎えます。また関東の飛散量は多いとの予報です。東京へ転勤される方は、ちょうど花粉前線に沿っての移動となります。これからもしっかり服薬するようお伝えしました。 
  23日   あと1週間で年度末です。卒業式は明日の小学校を残すのみです。先週は、大学の卒業式後に新型コロナの無料検査を受けた方の来院がありました。そういえば、結婚式を前に無料検査を受けた方もおられました。合格発表も昨日の県立高校と国立大学後期試験の発表で終わりました。今年も蒿3生には卒業後に県外に出るかどうかお聞きすることが多かったです。どこに進学するかとか、どこに就職するとかのプライバシーではなく、職業柄、花粉症の方がどの県に行くのかが気になって仕方なかったからです。(^^; 転勤の準備の荷造りで、アレルギー性鼻炎が強くなった方もおられました。この季節、例年一番気になるのが中耳炎がなかなか治らないお子様の転居です。ここ2年は新型コロナに対する感染予防の徹底のおかげか小児の風邪への罹患が減っていることもあり、中耳炎が遷延化する小児も目に見えて減りました。おかげで、これまでの経過をしたためた紹介状をお渡しする機会も減りました。(^^♪

  傘に落つる 桜の雫かな  子規

 スギ花粉の飛散ですが、先週末も軽度の飛散で推移しています。やはり今シーズンは大量飛散の日は3月5日の1日だけになりそうです。あと1週間、少量飛散して、その後1週間わずかに飛散した後に、飛散終了となりそうです。代わってヒノキ花粉の飛散が、どうやら昨日より本格化してきました。桜の散る4月第2週に飛散のピークを迎えそうです。

 頭頸部領域の帯状疱疹を見る機会が増えたような気がしています。目の上から額の横に疱疹が広がる三叉神経第一枝領域の帯状疱疹や、外耳道や口内に疱疹が出来て内耳や喉頭に広がり顔面神経麻痺や難聴、めまい、声帯の麻痺(反回神経麻痺)を生じるハント症候群が見られました。新型コロナの感染の広がりが影響しているのでしょうか?

  咽頭出血、フォアダイス斑点、副鼻腔乳頭腫など。 
  18日  例年より2週間遅く、過去タイ記録の3月5日に大量飛散日を迎えたスギ花粉ですが、その後は中程度の飛散量で、このままゆくと大量飛散日は1回のみの4年振りのシーズンとなりそうです。やはり今シーズンは症状の強い方はほとんど見かけません。これまでの飛散状況を説明すると「お薬がしっかり効いているから症状が軽いと思っていたのに、、」と苦笑いの患者様もおられました。高知の宿毛では16日に全国最速でソメイヨシノが開花しました。宇和島と福岡が昨日17日でした。宇和島は今年は全国最速を宿毛に奪われました。(-.-) 日本気象協会は、道後公園の桜の標本木の開花予想日を24日から22日に早めました。他の予想サイトでは、松山の開花予想日を21日としているところもあります。スギ花粉の飛散が目立つのもあと1週間ばかりとなりました。
 ヒノキ花粉は3月12日に飛散がはじまったもようです。秋にどんぐりを作るハンノキ花粉も、3月に入り飛散が始まりました。
  13日   今日は4月並みの陽気でした。松山の桜の開花は24日、満開が31日と平年並みの予想です。宇和島の開花予想は20日で今年も全国最速の予想です。春本番もすぐ近くです。スギ花粉の飛散は、5日に最初の大量飛散を迎えた後そこそこの飛散が続いていますが、大量飛散は見られません。当院ではこれまでのところ、総じて花粉症症状の軽い人がほとんどです。スギ花粉の飛散は桜とともに終わります。今シーズン、4年前と同様に大量飛散の日は1日だけになるかもしれません。(^.^) 
  5日  今日は春を思わせる陽気でした。スギ花粉は、3日前の夕方からそこそこの飛散は続いていましたが、今日は昼過ぎからドーンと大量飛散です。今週の水曜木曜とお別れ遠足を行う小学校が多かったのですが、遠足で花粉症を発症した小学生も目立ちました。 
3月  1日   3月に入りました。スギ花粉の飛散は、西日本全域で例年に比べてかなり遅いようです。今シーズンは、まだ花粉症症状の強い方は一人もみていません。一昨日からの寒波の緩みで、週末には今シーズン最初の大量飛散があるかとも思っていましたが、フワッと飛散した程度でした。大量飛散の年には、2月中から2~3回の大量飛散が観測されるのですが、今シーズンの大量飛散は、今日の雨があがった後になりそうです。2018年は大量飛散の日がわずか1日だったのですが、そこまで少なくはならないとは思います。例年、花粉症症状の強くなる方は、マスク着用のニューノーマルもあり、皆さん、しっかり花粉予防が出来ているようですが、明日以降はさらに花粉予防を心がけて下さい。

 オミクロン株の発生もピークを越えた模様です。しかしアルファ株やデルタ株の時よりも感染者数の減少は鈍いようです。愛媛での小児への感染拡大は、東京などの大都市よりはゆっくりとしか広がっていないようですが、今後じわじわと発生が続くかもしれません。
 当院でもその他の感染症は例年よりはかなり少ないですが、1月よりは2月のほうが多くなったようです。溶連菌や感染性胃腸炎以外にも、アデノウイルスやRSウイルスに罹ったお子様を散見しました。

  あたゝかな 雨がふるなり 枯葎(かれむぐら)  子規 
     
  25日   遂にロシアがウクライナに侵攻しました。9.11の日本時間の夜に私が感じたのとおなじような、”世界が変わってしまった”言い知れぬ不気味さを感じずにはいられませんでした。それにしてもプーチン大統領はどこを落としどころとしているのでしょうか? ウクライナの現政権の転覆→ロシアの息がかかった新政権がウクライナ軍の非武装宣言(+形ばかりの中立化宣言?)→ロシアと同盟を結んでロシア軍のウクライナ領内の駐留固定化→NATO東方拡大の阻止 でしょうか。今回の侵攻では、ウクライナ国内もロシア国内もインターネット回線の切断はありませんので、攻撃の様子や市民の動きがリアルタイムに発信され続けています。2003年の中東欧のカラー革命や、20011年のアラブの春の時以上に情報が拡散されています。ゼレンスキー大統領を首都進攻時に殺害したり、拘束してロシアの軍事裁判でジェノサイドの主犯として死刑にしたところで、世界の目は納得するでしょうか? 日本にとっても”太平の眠りをさます”きっかけになるのでしょか? 
  23日   松山も寒気団にすっぽりと覆われました。北海道ではホワイトアウト多発、千歳空港は113cmと過去最高の積雪量を記録しました。自衛隊機のスクランブル発進はどうなっているのでしょう。松山のスギ飛散は飛散開始が始まって1週間経ちましたが、まだチラホラ程度の飛散です。花粉を感じる人は少ないようです。予報では寒波の去った後のこの土曜日に急に暖かくなるそうです。スギ花粉の最初の大量飛散日は次の日曜日頃になりそうです。

 昨日からのテレビニュースはウクライナ情勢がトップニュースとなっています。私も1週間前よりロシア関連の本を図書館で借りて読みました。現況のロシア情勢を理解するのに最も役に立ったのが「プーチンの国家戦略 岐路に立つ強国ロシア」です。著者の小泉 悠氏は外務省専門分析員も務めていました。2016年発行の本ですが、今回のウクライナ紛争を予見していたかのような本です。ソ連崩壊後の混乱から2000年代の原油価格高騰による経済成長の中でのプーチン政権の考え方を分析しています。1990年代のロシア軍の弱体化、旧ソ連邦の分裂、NATOの東方拡大の中、ロシア軍は、核兵器による抑止と通常兵器によるA2/AD(接近阻止・領域拒否)能力を重視しました。主な軍事介入手段として、通常の軍事力と非正規手段を混交した戦争手法であるハイブリッド戦争を確立してきました。2009年のグルジア(ジョージア)戦争、2014年のクリミア併合にこの戦争手法が見事に成功しました。今回のウクライナ紛争もまさハイブリッド戦争のシナリオ通りに進んでいます。しかし、以前と異なるのは西側諸国がこの手法をしっかりと把握していることです。前回のクリミア併合では直前のウクライナの政権転覆の混乱の中で西側諸国は確固たる対応が出来ませんでした。今回の紛争がどのような帰結を辿るのか、しっかり見届けたいと思います。
 本書はプーチンの勢力圏を通した世界観、プーチンの権力掌握過程(ロシアでは地方政府が独自の憲法を持っており、時にロシア本国の憲法と違憲状態にもなっていました。プーチンは地方政府をいくつかの行政管区に集約し、そのトップの任命権罷免権を大統領が持つことで、また行政管区の人間が中央議会の議席を持てなくすることで、地方政府の権力を削ぎました。ソ連崩壊後に台頭したオルガリヒ(新興財閥)に対しても、プーチンは反対するものには粛清を、賛成するものには利益を与えて掌握しました。)、対NATO戦略、ウクライナ紛争(紛争時の詳細な部隊の動きも分析しています)、核戦略、旧ソ連諸国戦略、中国や日本へのアジア太平洋戦略、クレムリンの内実、宇宙戦略など多岐にわたって分析しています。


 今日の祝日、お勧めの映画をひとつみました。知人から借りたDVD「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」です。2016年のカナダ映画で、数々の映画祭で観客賞を受賞していることからも分かるように、見た人の魂に訴える映画です。私はカナダ映画を初めてみました。カナダで最も有名な画家イラストレータのルイスの生涯を描いた実話です。若年性関節リウマチで手足が不自由ななかで描き続けるルイスと夫の物語です。赤毛のアンのプリンスエドワード島のようには鮮やかではありませんが、カナダのややモノトーンな美しい四季と、スターバックスのカフェ音楽のような穏やかな音楽を堪能しました。観ている人の感情を揺さぶってやろうという映画ではないので、逆に、人生のすばらしさをじんわりと感じることが出来ました。蛇足ですが、関節リウマチの治療成績はここ10年、生物学的製剤の登場で劇的に良くなっています。ルイスが現代に生きていたら、どのような絵を描いたのか、どのような人生を送ったのかふと気になりました。エンドロールでは、本物のルイスと夫の映像が流れ、ルイスの絵の数々が流れます。ぱっと見、小学生が描いたような朴訥な絵ですが、やはり一般の小学生が描ける絵ではありません。不思議な絵でした。
 この映画、私は”泣ける”映画ではありませんでした。最近”泣けたのは”「浅草キッド」です。「ALWAYS 3丁目の夕日」の世界観が好きで、M1グランプリの錦鯉の受賞でウルウルする私のツボにはまりました。現在、日本の「ドライブ・マイ・カー」が米国アカデミー賞の作品賞にノミネートされています。授賞式が楽しみです。 
  17日   昨日、当院では1月13日以来の1か月振りに花粉を観測しました。今日は小雪が舞いましたが、今日も花粉を観測しました。当院でのスギ花粉の飛散開始日は昨日になりそうです
 でも、そんなことはどうでもいいです。フィギア女子フリー、坂本選手、銅メダルおめでとう! 私的にはそれ以上に、ノルディックスキー複合男子団体銅メダルおめでとう! 北欧の大型選手との2~4位争いの最後のデッドヒート、手に汗を握りました。凄いです!
 ロシア軍はウクライナ国境に張り付いたままです。落ち着きません。 
  11日   平野歩夢選手、金メダルおめでとう! 今日は休診日、おかげで初めて北京オリンピックをじっくりライブで見ることができました。みんなが思った2本目のランでなんで2位? 3本目でさらに精度を上げてくる、、凄い精神力です。

 今日の松山は雨上がりで寒波もゆるんでいます。しかしスギ花粉は飛散しません。(^^♪ 当院も、久万高原町も、大洲も、宇和島も、新居浜も、九州中国四国全域でも1月中旬以降、わずかな飛散も観測されていません。1月からの積算気温が300℃を超えれば飛散が始まるともされているスギ花粉ですが、松山の積算気温が300℃を超えても飛散しません。今冬の西日本は記録的な寒波というわけでもないのですが。松山でのスギ花粉の観測の記録では、過去一番遅い飛散開始日は2月14日のバレンタインでした。今年は記録を更新するのでしょうか?

 新型コロナの無料検査、当院では抗原検査に引き続き、PCR検査にも対応することになりました。検体は唾液から採取します。検査結果の通知には2~3日要します。結果のすぐ判明する抗原検査と、無症状時の感度の高いPCR検査。その特性を踏まえて利用したいと思います。 
  5日   診察中、窓の外には雪が舞いました。屋外の発熱外来、寒さが身に沁みました。

 当院近隣にミミタス補聴器店さんが開店して1年半余りになります。当院でも補聴器の相談が増えてきました。今日は補聴器のいろはをまとめてみました。

 高齢化が進み加齢性難聴の人が増えています。70歳の方の半数以上がささやき声の聞き取りが難しくなり、3割以上の人が会話の聞き取りに不都合を覚えます。音が明瞭に聞こえないと脳への刺激も少なくなります。難聴が認知症の進行を進めるリスクファクターのひとつであることが判ってきました。難聴の方も補聴器を利用することによって快適な生活を送ることができます。我が国の補聴器の出荷台数は2019年に初めて60万台を超え、装用する人が増えています。しかし、補聴器にも限界があります。加齢性難聴をはじめとする聞こえの神経が弱る感音性難聴では、音の聞き取りが悪くなるだけでなく、音がひずんだり割れて聞こえたり耳鳴を感じやすくなったりします。単に音を大きくするだけでは割れて聞こえて不快になることもあります。感音難聴が高度になると補聴器にも限界があるのです。以下に、補聴器を使う(適合する)ために必要な知識をまとめました。

1、聴力の評価:補聴器を正しく使用するには、まず正確な聴力の評価が必要です。
1)純音聴力  正常    0~ ㏈
        軽度難聴  25~ 30:ささやき声
        中等度難聴 40~   50:話し声 60:しっかりした話し声
        高度難聴  70~   70:大声  身体障害6級(片耳90良耳50も6級)  
                   80:        4級(最高語音明瞭度50%以下も)
        重度難聴  90~   90:        3級
        聾(ろう) 100~   100: 2級
 補聴器の適応となるのは、純音聴力で良聴耳平均聴力が40㏈とされます。ただし社会人でわずかな聞き落としが問題になる環境に置かれていたり、小児で学習面の利点が得られる場合はそれ以下の聴力でも補聴器の対象になります。
 高齢者や小児で聴力の判定が困難な場合には、耳音響放射(OAE)、聴性脳幹反応(ABR)、聴性定状反応(ASSR)などの他覚的な聴力検査も併用します。小児では、音による行動の反応で聴力を類推する聴性行動反応検査も用います。条件詮索反応(COR、生後4か月から)、視覚強化式聴力測定(VRA、生後6か月から)があります。
2)不快域値(UCL)測定
 500,1000,2000,4000Hzの音を聞いて「音が大きくて長くは聞いていられない」レベルを測定します。補聴器装用時の聴覚過敏レベルが判定できます。補聴器の最大出力はUCL以下とします。補聴器のノンリニア増幅、騒音抑制機能でもUCLを上回らないように設定します。
3)語音聴力検査
 十分大きな音で言葉を聞いて理解できるレベル(最大語音弁別能)が60%以下では言語情報を把握することが難しくなり、40%以下では困難となります。補聴器適合は難しくなります。

2、補聴器
種類:
1)ポケット型:低価格、紛失しにくい、衣擦れの音が入る
2)耳かけ型:販売数の66%を占め最も普及。マイクが耳にあり生理的な状態に近い、ハウリングが起こりやすい、メガネと干渉する
3)耳あな式:ITE(in the ear,外耳道の外に装着)、ITC(in the canal,外耳道内に装着)、CIC(completelyin the canal,完全に外耳道内に装着)に分けられます。高価、耳垢が詰まりやすい
4)軟骨伝導補聴器:圧電伝導子→耳珠(耳たぶ)→耳軟骨→内耳の経路で好感度に音が伝えられることが解明され、新たな補聴器として市販されました。

デジタル式補聴器の機能:
音の増幅、ノンリニア調整、出力制限:入力音の強さに応じて増幅の度合いを変化させる非線形増幅、難聴者のラウドネスカーブを正常化させることも可能
周波数特性:周波数を分割チャンネル化して、帯域毎に増幅度、圧縮比(非線形増幅比)、最大出力を設定できる。最新のものではチャンネル数が30以上
ノイズ抑制機能、定状雑音抑制、衝撃音抑制、風雑音抑制:
指向性マイクロフォン:前方からの会話音以外を抑制する固定型指向性や、雑音の発生方向を検知してその雑音を軽減する適応型指向性などがある
ハウリング抑制機能:ハウリングの音の帯域の利得を逓減したり、ハウリング音の逆位相の音を発生させてハウリング音を消去したりする。この機能により、外耳道をふさがないオープンフィッティング補聴器も開発された。
データログ機能:使用時の音環境や使用状況を記録して、補聴器再調整の資料とできる。
遠隔フィッティングシステム:

デジタル補聴器のフィッティング:
 補聴器の機械設定として、増幅特性(周波数チャンネル毎の利得、圧縮比(非線形増幅比)、最大出力)をソフトで設定する規定選択法を行います。規定選択法の周波数特性を求める処方式は、リニア増幅として、ハーフゲイン、1/3ゲイン、POGO法、NAL-RP法があり、感音性難聴者にはノンリニア増幅として、NAL法、DSL法があります。
 実際に装用した際の実耳測定では、プローブチューブを鼓膜前面に挿入して実際の音圧を測定します。実耳挿入利得(REIG real ear insertion gain)=補聴器装用時の音圧(REAG real ear aided gain)ー非装用時の音圧(非装用利得 REUG real ear unaided gain)で求め、処方値に合致するように補聴器の特性を調整します。
 有効なフィッティングの目標は、装用時の会話音圧帯(60㏈BHL)で非装用時の最高語音明瞭度を実現させることです。また、装用時のファンクショナルゲインが非装用時の聴力レベルの半分(ハーフゲイン)になることが望ましいともされます。

3、装用効果判定
1)補聴器機器の評価:補聴器特性測定装置により、60㏈SPL(Sound Pressure Level 音圧)入力で会話域の増幅を、90㏈SPL入力で強大音の出力を見ます。
2)自覚的装用状態の確認 
 補聴器適合検査の指針(2010)に則り、以下を評価します。
 a)環境装用の許容を指標とした適合評価:朗読音を65㏈で、環境騒音を50㏈で聴取した際に補聴器を快適に利用できるかどうかを判定する
 b)補聴器装用下の語音明瞭度曲線の測定:装用下60㏈と非装用下の純音域値+30㏈を比較し、装用下の結果が非装用下より10%以上良ければ許容とされる
 他に、音場聴力検査(ファンクショナルゲインの測定)も参考となります。

4、福祉医療と補聴器関連制度
 障害者総合支援法により、身体障害者手帳が交付された身体障害者、児童福祉法で身体に障害のある18歳未満の障害児、指定難病の難病者には、補聴器の費用支援制度があります。愛媛県独自の障害児童への支援制度もあります。支給は基準額の1割を利用者が負担し、所得に応じて月額負担上限が定められています。言語聴覚士や認定補聴器技能者による補聴器調整にかかわる加算も認められています。
   基準額の例:高度難聴用耳掛け型43.900円 重度難聴耳掛け型67.300円
 公益財団法人テクノエイド協会から、認定補聴器技能者(2020年登録者4189名)、認定補聴器専門店が認定されています。また、補聴器の購入には所得税法上の医療費控除が認められます。補聴器相談医の証明が必要です。 
  4日   ウクライナ情勢、軍事を絡めた国際政治のパワーバランスのせめぎ合い、緊迫の度合いを深めています。今日から、北京冬季オリンピックが開催されます。ウィンタースポーツはテレビ観戦する分には本当に美しいですが、人工雪で大きな事故が起こらなければ良いのですが。
 今日は立春。昨日から伊予路に春を呼ぶ椿まつりが始まりました。今年も昨年に続いて新型コロナの感染予防対策のため11日間の昼間を中心の開催となりました。椿さんと言えば参道の露天巡りも楽しみの1つでしたが、今年も露店の出店は中止されました。ゆったりと参拝する椿さんも時には良いのでしょうか。私はよく、松山の花粉症は椿さんとともに始まり、インフルエンザの流行が椿さんとともにピークを迎えるとお伝えしていました。スギ花粉は1月中旬からここまで県下全域で嘘みたいに飛散していません。さすがに来週、椿さんの期間中からは飛散が始まると思われます。インフルエンザの流行は全くありませんが、今年の椿さんは新型コロナウイルス第6波の流行のピークになりそうです。 
2月  1日   サッカーW杯 アジア最終予選。日本代表、サウジアラビアに勝利です! あと2戦、自力で本選出場を決めて欲しいです。 
     
  30日   当院で新型コロナの無料検査を始めて1週間余りとなりました。この制度は、国の制度であるワクチン接種や検査の実施によりできるだけ感染のリスクを減らして社会経済活動を通常に戻すための方策としてのワクチン・検査パッケージ制度と、感染拡大期に感染不安を感じる無症状の愛媛県民に対しての検査を行の制度に基づいています。実際に運用してみると、当院で受けられるのはPCR検査ですか? 抗原検査ですか? との問い合わせをよく受けるようになりました。PCR検査の方が感度が良く、これまでの臨床の場では無症状者にはPCR検査を行うのが原則でした。しかしPCR検査装置は、1回に数10人から100人単位の検体を集めて同時に測定する必要があり、当院のような1日の検体数が多くても十数人のような施設では、検査機器が高価なこともあり導入は一般的ではありません。20分で検査結果の出る簡易PCR検査装置もありますが、これも現在米国からの検査キットが入ってこなくなっています。これらの背景から、当院では現在抗原定性検査キットを主に用いています。
 新型コロナの診断法としては遺伝子(PCR)検査、抗原検査、抗体検査があります。抗原検査には、30分で判定できる高感度定量抗原検出法(化学発酵酵素免疫測定法)と簡易定性抗原検出法(イムノクロマトグラフィー法)があります。高感度定量抗原検査装置ルミパルスもPCR検査と同様に、多数の検体を同時にセットする必要があり、大中規模の医療機関での利用が中心となっています。抗原定性キットはインフルエンザの迅速キット同様その場で検体を採取して15分前後で肉眼で陽性バンドの出現を確認する簡便なものです。
 では抗原定性検査の実力はいかほどなのでしょうか。検査の有効性を見る指標に、感度と特異度があります。感度はコロナウィルスの感染を何%の割合で正確に検出できるかと言うことです。特異度と言うのは、コロナ以外のものをコロナと判定せずに正確にコロナであることだけを何%の割合で判定できるかという指標です。感度について、米国感染症学会(IDSA)が発表したデータでは、発症7日以内の感度が84%、7日目以降では62%、無症状者では49%と報告されています。IDSAでは、基本的に遺伝子検査を推奨し発症7日目以内であればPCR検査のアクセス不良などを考慮して抗原検査の使用も認めると言う見解です。また抗原検査が陰性であったとしても疑いが強い症例に対しては遺伝子検査を実施することを推奨しています。わが国のデーターでは、現在当院が使用しているクイックナビの成績では、感度92%、特異度は100%、検出限界はウイルス量53個/mlとしています。バンビオではCt値が31前後の検体で感度50%、Ct値が25以下で感度100%とされています。Ct値は遺伝子検査におけるウィルス量の指標となるもので、Ct値が小さいほどウィルス量は多いとされ、Ct値 25以下のレベルではウィルス量は1万/mlとされます。ウイルス量十分あれば抗原定性検査の感度もほぼ100%に近くなることを示しています。ちなみに高感度定量抗原検査の感度は93%、特異度は94%です。
 これまでのコロナ診療での検査キットの選択法としては、無症状ではPCR検査、有症状では発症後9日目まで抗原定性検査も利用可能されていました。今回の制度で無症状者にも抗原定性検査を使うようになりましたが、では無症状者に対する検査成績はどうなのでしょうか。クイックナビでは無症状者の感度が67%優勝乗車は89%でした。英国のデータでは、無症状者の感度が40%、特異度が99.9%との報告もあります。また無症状でも10万/ml以上のウイルス量では感度70%との報告もあります。これらのことから無症状者を対象にした場合でも、感染性の高い(ウィルス量の多い)患者に対しては診断に活用できる可能性があると言えます。
 また抗原定性検査に影響与える因子についても考えてみます。検体の採取法で見ると、鼻の奥の鼻咽頭ぬぐい液では感染者で1万以上のウィルスが回収出来、鼻の入り口の鼻前庭からでは1000前後との報告があります。やはり鼻咽頭からの検出の方が感度が高くなるようです。しかし一方、鼻前庭からの採取に比べると鼻咽頭からの採取では、せきやくしゃみ誘発のリスクなどから検体採取者の感染リスクが高まることから、今回のワクチン検査パッケージ制度では被検者本人が自ら鼻前庭から採取することとなっています。正確に検出するために必要なウイルス用は、PCR検査では1000個/ml、抗原訂正検査では10万個パーミリリットル必要とのデータもあります。
 まとめると、抗原定性検査での感度は、有症者に対して診断用として認可された精度の高いキットを用いれば、感度は85~99%、特異度99%を示すものの、無症状者での感度は40~80%程度とみられます。臨床の場では鼻咽腔からの検体採取の方が感度が高くなる、有症者や高齢者で感度が高くなる傾向があります。唾液からの採取はウィルス量が少ないので抗原定性検査は適していません。
 ワクチン・検査パッケージ制度として抗原定性検査を行う場合には、特例として無症状者に対して検査を行うことになっていますが、検査陽性率は決して高くないことから確定診断として使えるものではありません。繰り返し陰性だったとしても100%完全否定できるものはないので、あくまでも検査が陰性であっても「感染した可能性が小さい状態である」と判断して、社会生活を送る必要がありそうです。オミクロン株の感染拡大が続いていることより、県の制度は2月末日まで制度の延長が決まりました。国の制度も期限は3月末日までとなっています。この制度下で当院でも無料検査の続けたいと思います。 
   28日  オミクロン株以外の感染症はどこかに行ってしまった感じです。当院は夏休みみたいです。(^.^)
 雨模様の後の小春日和ですが、スギ花粉の飛散はまったくありません。やはり飛散開始日は2月7日前後になりそうです。花粉症の初期治療(予防投薬)を希望する方は増えてきました。   

  内耳振盪症、副鼻腔カテーテル治療、メニエール病、肉芽性鼓膜炎など。
  26日   オミクロン株の感染拡大が止まりません。愛媛県でも連日、1日あたりの感染者数が過去最高を更新しています。
 国立感染研から、オミクロン株が最初に流行した沖縄県の疫学調査の発表がありました。対象は56人で米軍基地での感染例は含まれていません。感染確定者の66%がワクチン2回接種完了であり、ブレークスルー感染が主流を占めていました。症状を見ると無症状者が4%、37.5度以上の発熱が75%、咳60%、全身倦怠感52%、咽頭痛46%、鼻水・鼻閉38%、頭痛33%、関節痛25%、呼吸困難8%、嗅覚味覚障害2%でした。この中からは重症例や死亡例は確認されてません。これを見る限り感染力は強いものの、明らかにデルタ株よりも重症化率は低いようです。行動歴や接触情報から推定暴露期会が特定できた例をもとにした潜伏期間は、中央値は3日(2~5日)でこれまでの報告されている変異株の中央値5日前後よりも明らかに短くなっています。普通のウィルス感染やインフルエンザに近いような感染形態のように思います。
 変異株に対する抗体量についても横浜市大から詳細な報告がありました。新型コロナの細胞の核内タンパク質に対する抗体ヌクレオカプシドタンパク質(MP-IgG)、細胞表面の感染成立に重要な働きをするスパイクタンパク質に対する抗体(SP-IgG)、および中和抗体(NT50)について測定しています。感染6ヶ月後には無症状、軽症例の15~30%で変異株に対する中和抗体が消失していました。一方重症例では、感染12ヶ月後でもすべての変異株に対する中和抗体が保持されていました。NP-IgG抗体やはSP-IgG抗体価の減少率よりもNT50の減少率の方が少なかったようです。やはり無症状者や軽症者は、感染後半年も経てば再感染するようです。ワクチン接種者でも重症感染者ほどは抗体価が増えないと思われるので、やはり新型コロナの感染が続く間は、6ヶ月毎のワクチン接種が好ましいようです。 
  25日   今日は、喘息の診断に有用な呼気中一酸化窒素濃度検査についてお話しします。当院でも分析装置NIOX VEROを導入しています。測定方法は、マウスピースに1分間ほど息を吹き続けるだけの簡便なもので体への負担はありません。概ね小学生以上であれば測定は可能です。
 喘息は細気管支が狭窄して引き起こされるのですが、この原因は、好酸球性と非好酸球性に分けられます。好酸球性の中にはアレルギー性と非アレルギー性とがあり、アレルギー性では、ハウスダスト・夏カビ・ペットの毛などが原因となることが多く、小児喘息の9割はダニを中心とするハウスダストにあるとされます。抗原抗体反応による1型アレルギーの機序がないのに好酸球が増えるのが非アレルギー性好酸球性のタイプで、近年機序が解明されてきた2型炎症によります。これは、成人期に目立ってくる自己の体質で引き起こされます。この分析装置によって、気導に好酸球性の反応があるかが判定できます。耳鼻科領域では、好酸球性副鼻腔炎合併の気道過敏症の診断にも有用です。一方、好酸球が関与しない非好酸球性喘息には、細菌性など一般の炎症による好中球性炎症と、細菌性の炎症が関与しない顆粒球性炎症があります。老年期に急性気管支炎などの風邪の後に起こる喘息や、肺気腫、COPD、慢性気管支炎から起こる引き起こされる喘息がこれにあたります。
 呼気中一酸化窒素(FeNO)は、好酸球が来引き起こした炎症で特異的に上昇します。このためこの分析装置によって、気道炎症が好酸球性か否かが判断できます。
 8週間以上咳の続く慢性咳嗽の原因は、気管支喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、逆流性食道炎、COPD、百日咳、結核などの多くの病気がありますが、耳鼻科の立場で目立つのが副鼻腔炎です。高齢者では慢性副鼻腔炎と慢性気管支炎・気管支拡張症が連動した副鼻腔気管支症候群。成人では、好酸球性副鼻腔炎に連動した好酸球性喘息。小児では、アデノイド肥大やアレルギー性鼻炎の粘膜で集団保育の薬剤耐性細菌が増殖して後鼻漏を引き起こす急性副鼻腔炎があります。
 咳が長引くケースではこの分析装置を用いることによってアレルギーや好酸球性の反応が気道にないかどうかを確認する事は診断を進める上で大いに役立ちます。また治療効果を判定するためにも有用です。FeNOは、喫煙やステロイド服用、アルコール摂取、脂質の過剰摂取などで低値を示し定位置を示し、ほうれん草やレタスなどの硝酸塩を含有する食品や気管支拡張薬服用で上昇します。このような特性にも注意しながら、長引く咳の診断に役立てています。 
  24日   氷雨混じりの肌寒い日が続いています。やはり1月の寒さが続いていますので、スギ花粉の飛散開始は2月の第2週になりそうです。
 やはり普通の風邪はほとんど流行セマンしませんしていません。昨年の冬と同様中耳炎になるお子様は本当に少ないです。オミクロン株の流行だけが水面下で広がっているようです。
 新型コロナの検査キットの不足が昨日からマスコミでも報道されるようになりました。当院の在庫は現時点ではまだ十分に余裕がありますが、次の入荷が2月の中旬以降になるとの連絡を業者さんから頂いています。このまま感染拡大が続けば心配です。 
  22日   未明の日向灘震源の地震は、幸いにも松山は震度4で大きな被害はありませんでした。私は思わず2001年の芸予地震を思い出しました。この時は土曜日の午後で、ちょうど診療中でした。震度5強のかなり大きな揺れで、待合室の患者様にも床に伏せて待機してもらいました。今回びっくりしたのは携帯のけたたましいアラート音でした。松山で警報音が鳴るアラート情報は初めてではないでしょうか? アラートの後しばらくしてから揺れが襲ってきました。地震警報システムの「一般向け」は2007年に運用が始まったとのことですが、今回のアラートシステムは私もその正確性有用性に感心しました。2年前のNHK特集で、近年日向灘中心に微小地震が頻繁に起こっているのは、南海トラフ地震の前触れのであるかもしれないと取り上げていました。なんとも不気味です。 
  21日   本日より当院でのコロナの無料検査の運用が始まりました。松山市では、19日から21日の4日間、城山公園でPC R検査センターを開設して検査キットの無料配布を行っています。対象は松山市在住の無症状の方で、自身で検体採取して提出すれば陰性の場合には保健所から連絡があるとのことです。国の施策であるコロナ・ワクチンパッケージ事業も各地方自治体の裁量で事業が延期されることになりました。肝心の検査キットですが、簡易PCRキットが1週間前より、抗原定性キットが昨日より品薄による出荷調整が始まりました。潤沢に検査キットがあるとされていた韓国でも、PCR検査を65歳以上を優先に使うよう制限するそうです。オミクロン株の流行が早く終息しなければ、検査をが十分に受けられない事態も想定しなければいけなくなりました。 
  20日   オミクロン株が猛威をふるっています。当院では新型コロナウィルスの無料検査を行うことになりました。これは、国のワクチン・検査パッケージ等定着促進事業と、愛媛県の感染拡大傾向時の一般検査事業と言うコロナ関連事業制度に則ったものです。対象は、感染不安を感じる無症状の方、ワクチン接種を受けられない方、ワクチン接種対象外の12歳未満の小児です。無症状でも感染不安を感じる方は、ぜひご利用ください。当院の検査予約は電話ではなく予約用のサイトよりおこないます。当院ホームページのトップページより予約サイトに入っていただけます。当日と翌日分のが予約可能です。診療体制との兼ね合いもあり1日20人までをめどとし、抗原定性検査を行います。

 当院の花粉観測装置ウェザーニュース社のポールロボの観測が12日より始まりました。早速、12、13日の両日、少量の花粉飛散が観測されてました。その後は観測されていません。当院のスギ花粉の初観測日は1月12日になりました。今週後半はまた寒波が襲来しています。今年の1月は寒さが続いていますので、スギ花粉が毎日飛散を始める飛散開始日は、早くはならないと思います。今シーズンの飛散開始日は2月7日前後となりそうです。 
  16日   1月に入り一般的な感染症の流行はほとんどなくなっています。唯一、オミクロン株のみが大流行です。当院でも年始からの診察開始1週間で、一般的な感染症では溶連菌感染症の方を1名見た程度です。近隣の保育園でアデノウイルス感染症の例ありとの情報もありましたが、インフルエンザの発生も含めて感染症の大きな流行の情報はありません。新型コロナのほうは、県内の複数の高校でクラスターが報道されて他にも、当院近隣の複数の保育園でもコロナによる休園が起こっています。オミクロン株は総じて軽症のイメージが強く、米国では発生のピークも越えたみたいですが、日本はいつピークを迎え、そしていつ収束に向かうのでしょうか?

 6日前に花粉症を発症した方を今年はじめてみました。1月後半に入り松山でもスギ花粉のわずかな飛散が始まっている模様です。当院のポールンロボは設置完了しました。来週ごろからはデータの発信ができると思います。

 亜鉛が新型コロナウィルス感染症に有用のエビデンスがあるとの論文が出ていました。耳鼻科領域では、微量元素の亜鉛の欠乏で味覚異常や嗅覚低下が引き起こされることが有名です。新型コロナに対する亜鉛の有用性について、1、亜鉛にはRNA ポリメラーゼ阻害による感染抑制や、インターフェロン産生抑制、ウィルス侵入抑制作用あり 2、呼吸器感染症のエビデンスとして、亜鉛不足で感染症リスク上昇、亜鉛が成人の風邪の発病期間を短縮。3、新型コロナ患者は、亜鉛不足で重症例や予後不良例が増加、亜鉛不足は日本人のコロナ重症化因子、亜鉛摂取で死亡率低下や症状改善 などののデータがあります。亜鉛以外にもビタミンCやビタミンDの摂取がコロナ感染に良いとのデータもあります。当院では亜鉛欠乏による舌痛症や味覚異常で多数の方が通院されています。新型コロナの感染予防や症状軽減のためにもプロマックなどの亜鉛製剤の服用が重要のようです。
 また亜鉛が急性ウィルス性気道感染症による感冒症状の発症を予防し、重症度スコアの低下や症状の持続期間の短縮をもたらす可能性を示唆するメタ解析の報告もあります。亜鉛投与群では風邪症状が2日早く消失、発症7日後の感冒症状が続く人の割合も少なくなるとの報告もあります。亜鉛はコロナだけでなく急性上気道炎の粘膜にも有用なのでしょう。

 川崎病は小児で発熱が続いたり全身の粘膜が反応することもあり当院でもまれに見ることがあります。病態については全身の血管炎が本態であることが明らかになってきました。新型コロナウィルス感染症でも小児が川崎病様の病態になることが報告されており、これを小児多系統炎症症候群(MIS-C)とも言います。また川崎病の発症のトリガーについても興味深い報告を目にしました。川崎病と小児多系統炎症性症候群は新型コロナ流行下では両者の鑑別が困難だそうです。スウェーデンからは、川崎病診断前に罹患した全ての感染症によって川崎病の発症リスクが有意に上昇したとの報告もあります。多くの異なる微生物が川崎病発症のトリガーとなり得ると言うことです。またわが国からも、川崎病の発症には呼吸器系の日の伝播物質または病原体が関与しているらしいとの報告がありました。2020年、コロナ流行下では川崎病の発症が優位に減少しました。コロナ流行下の感染予防でその他の感染症が減って川崎病が減ったということは、呼吸器系のコロナ以外の病原体が川崎病の発症に何らかの影響を及ぼすことを示唆するとしています。小人の風邪を診ることが多い当院では、小児の風邪でなかなか解熱しないケースでは常に川崎病のことも気になってきます。やはり呼吸器系の感染症が川崎病に影響を及ぼすと言うことであれば、私もより一層風邪症状の後に川崎病が発症しないかどうかに注意して診察を進めたいと思います。

 当院でも時に日常生活が制限されるほどの強い片頭痛の方を見ることがあります。昨年の新たな頭痛診療ガイドラインでは、片頭痛の予防投薬として遺伝子関連ペプチド(CGRP)抗体が強く推奨されるようになりました。これまで予防投薬にはミグシスが一般的でした。今後は、昨年日本でも使用が可能となったCGRP関連製剤の注射薬が予防治療としてより一層用いられそうです。予防療法の適用基準も変更になっています。これまでは片頭痛発作が月に6日以上となっていたのが3回以上に変更されています。週に一回程度片頭痛発作を起こす方には、高価な製剤ではありますがCGRP関連製剤を強く勧めたいと思います。 
  10日   遅くなりましたが、明日より本年の診察を始めさせて頂きます。年明けより私は昨年5月に続き2回目の療養を行っていました。前回の療養以降には、診察の折に時にお見舞いの言葉をかけていただきました。ありがとうございます。今回の療養で治療は終了しました。本年はバリバリと診療を行う所存です。

 皆さんもびっくりされていると思いますが、年始からのオミクロン株の急増には驚きました。年末の欧州や米国での感染拡大の状況を見るにつけ覚悟はしていましたが、我が国でも沖縄・岩国の感染拡大に始まり、ここ数日は愛媛県も確実に第6波の拡大期入りです。このままでは松山も2月にはすごい感染者数となりそうです。
 年末に参加していた日本耳鼻咽喉科秋季学会のウェブ講習で、新型コロナののど(喉頭)の所見の提示例がありました。その特徴は、喉頭の声門上部に白苔付着を伴う腫脹が見られるというものでした。これまで新型コロナで見られる症状で耳鼻科関連で特徴的なものとしては、嗅覚味覚の減退が早くから指摘されていました。これは嗅細胞周囲の支持細胞のACE2レセプターからウィルスが細胞内に侵入することにより引き起こされることが判ってきました。一方、局所所見として新型コロナに特徴的な点は耳鼻科領域ではこれまでほとんど報告がありませんでした。例えば内科領域では肺野のCTですりガラス様陰影が特徴的所見となります。喉頭の白苔様所見、明日からの診療の参考としたいと思います。
 今回急激に広がりつつあるオミクロン株はデルタ株よりも感染力は強いが重症化はしにくいことが判ってきました。デルタ株のように下気道の肺に広がる力は弱く、上気道炎の症状、喉の痛みや声がれが目立つことが多いようです。弱毒化したことによって、小児で喉頭炎を起こすパラインフルエンザウイルスのような所見に近いのでしょうか? また乳幼児で下気道の反応が強くなり重症化すると細気管支炎を引き起こすRSウイルス(これは昨年の夏コロナの第5波と軌を一にして流行しました)も、ウイルスへの免疫ができた成人で下気道ではなく咽喉頭や扁桃腺での反応が強くなります。弱毒化したオミクロン株の急性期の局所所見はこれらパラインフルエンザウイルスやRSウイルスのように上気道主体の所見になるような気がしています。感染対策上、喉頭所見を取ることは難しいのですが、耳鼻科的な所見が参考になる疾患になってきそうです。
 また、潜伏期もデルタ株の中央値が4~5日に対してオミクロン株では3日前後とインフルエンザまでは短くないですがパラインフルエンザウイルスに近くなっているような印象です。オミクロン株は普通のウイルスに近い増殖力となっている可能性もあるようです。
 しかし弱毒化したといってもやはり新型コロナです。ACE 2レセプターを介して全身の血管障害を引き起こしたり、T細胞系の免疫異常を引き起こすなど、後遺症を引き起こす面も含めて決して普通のウィルスではありません。私も医療従事者枠でコロナワクチンを接種してすでに7ヶ月以上経っています。来週3回目接種の予定ですが、現時点では新型コロナへの免疫はかなり落ちていると考えられます。ワクチン接種の2週間後に抗体がしっかり上昇することを考えると、私も少なくとも2月初旬まではコロナに感染すると怖いです。明日からの診察では、軽症や無症状でもコロナの感染が疑われる方に対しては、屋外の発熱外来で診察を行い、私を含め医療スタッフや他の患者様への感染をしっかりと防ぐような診療体制をとっていきたいと思います。

 今月からは受験のシーズンです。当院が休診の間に中学受験は終わりましたが、今後も共通テスト、私大入試、二次試験、高校受験と続きます。コロナ流行下の中とはなりますが、受験生の皆さんの体調管理の力添えができるよう診療に力を入れる覚悟です。

 当地のスギ花粉の飛散もすでに初観測日を迎えていることと思います。近隣の山口県の初観測日は1月5日でした。当院でも今週中にはポールロボによる花粉観測を始めます。私の印象では今年のスギ花粉の飛散量は少なめと思っていますが、実際の飛散量はさてどうなるでしょう。今シーズンも”生活の質を落とすことのないための最善の治療”を目指したいと思います。


 年末の紅白歌合戦、生活様式や視聴スタイルの変化などで視聴率は過去最低だったようですが、私は以前のような合戦ではない歌を中心に聞かせてくれる昨年からのスタイルの方が楽しめました。会場は東京国際フォーラムでした。ここは学会会場としてもよく利用されます。紅白ではアトリウムコートからの中継も何組かありました。YOASOBIのikuraさんが私も乗った記憶のあるエスカレーターから歌い始めた時は、思わずオオーとなりました。

 昨日、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」が始まりました。昨年の「晴天を衝け」では渋沢栄一について私はこれまでノーマークでしたので、幕府の下級武士を通しての幕末維新は本当に面白かったです。私も歳とともに歴史好きになってきました。年始の療養中には、鎌倉幕府関連の書籍2冊と、第二次大戦に至るまでの日本の政治経済の本を読みました。
 平家滅亡から鎌倉幕府執権政治の確立までの歴史は、権力中枢内の陰惨な抗争だらけですね。日本史の中でも1番おどろおどろしさが続いた時期ではないでしょうか。脚本の三谷幸喜さん、どうやって笑いもある大河にするのでしょうか? アプローチが楽しみでもあり心配でもあります。
 続いて、明治から昭和の戦前の日本についての歴史を読んで何時も感じることを。現代を生きる我々からみると、「満州事変 あんなの私だったら絶対賛成しない」「515事件226事件 絶対許せない」「あんなナチス何かと同盟するなんてありえない」「石油を牛耳る米国相手に開戦なんて馬鹿なのか」などの思いが皆さんの常識でしょう。なかなか難しいことですが、その時代その立場に立った気になってみると、人間なんて現代人も昔の人も本質は変わるものではありません。戦前の日本人一人一人が愚かだったとは決して言えません。政治家の、外交官の、軍人の、経済人の、マスコミの、大衆のヒストリーを別々に追うと、個々人の判断は決して愚鈍ではありません。私も同時代に身を置いていれば、きっと日本の国際連盟脱退に賛成し、ノモンハン事件に恐れをなしていたことでしょう。年始にはウクライナ問題がいよいよ緊迫してきました。米中の衝突も回復不可能にも思えてきます。第二次世界大戦終結から75年、世代も2世代以上回り、過去の記憶が薄れつつあることから、様々な立場での抑止力は低下しているのではないでしょうか。「多分大した事にはならないだろうから、多少の軍事行動はしないと自分の立場が危うくなる」という立場の為政者が相互抑止力の水面下で行動を起こすことは近い将来にあるように思えてなりません。南海トラフ地震、富士山噴火も怖いですが、ここ10年以内に小さく始まった国際紛争が大きくなる事態が起こる気がしてなりません。
 すみません、年始早々変な文章になってしまいました。私も歳のせいで昔語りが多くなってきました。診療は昔語りをしないことを肝に銘じて年始の筆をおきます。<(_ _)>


 道後平野間から見る雪景色の石鎚山です。左手が標高1982メートルの石鎚山頂、右手が二の森でしょうか。8日午前に松山市街地でもうっすらと雪化粧しました。首都圏では10cmの積雪です。松山で積雪10cm以上積もったのはもう20年前が最後だったでしょうか。ちなみに、昭和59年(1984年)の大雪では14 cm、明治40年(1909年)の34cmが観測史上1位でした。松山市で30cmの積雪なら屋根のヘリの家の周囲なら50cmは積もっていたのでしょうか。今では考えられません。


 散歩で春を見つけました。ソメイヨシノの蕾です。今頃にはもう蕾が出ているんですね。


 日当たりの良い場所では紅梅が1輪咲いていました。梅の蕾は初期から蕾自体に色があるのですね。今回、しげしげ見て初めて気が付きました。


「さざんか さざんか 咲いた道 焚き火だ 焚きだ 落ち葉焚き」 こちらは冬の花のさざんかです。さざんかもツバキ科の植物ですが椿とは異なり花弁は1枚ずつ落ちます。椿が「ぼったり」落ちるなら、さざんかは「さらさら」と散りゆきます。こちらの方が私は好きです。


 こちらは 文旦(ぶんたん)でしょうか? ミカンとは違うような。自信がありません。  
1月 1日   新しい年を迎えました。今年の診察は1月11日(火)より始めます。本年も当院を宜しくお願い致します。皆様の1年が健やかでありますように。


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