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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

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好酸球性中耳炎

 好酸球性中耳炎とは、気道粘膜の一部としての中耳粘膜に好酸球が浸潤して慢性炎症化し、にかわ状の滲出液がたまる中耳炎です。インターロイキン4.5.13というサイトカインがIgE産生、好酸球性炎症またはムチン産生などを惹起する2型炎症反応であることが解ってきました。 一般的なアレルギーの治療に難治性であり、多くの場合、鼻茸を伴う好酸球性副鼻腔炎や、気管支喘息が合併します。喘息のタイプでは成人発症型やアスピリン喘息合併型が多いです。

症 状
 にかわ状のかたい貯留液が中耳腔にたまることにより、難聴や耳閉感、耳鳴などが生じます。5割に慢性的な鼓膜穿孔を認め、3割で粘膜の肉芽化を認めます。特に喘息の発作時に増悪することが多く、発作の軽快とともに耳の症状が治まることもあります。7割が両側性です。進行すると約半数で内耳傷害により感音難聴を来し、1割が高度難聴に進行するとされ、注意を要します。
 好発年齢は40~60才代で、女性にやや多いです。9割で気管支喘息を、8割で副鼻腔炎を合併します。好酸球性副鼻腔炎の1~3割で好酸球性中耳炎を合併しています。

診断基準
大項目
  好酸球優位な中耳貯留液が存在する滲出液中耳炎/慢性中耳炎
小項目
  1)膠状の中耳貯留液
  2)中耳炎に対する従来の治療に抵抗
  3)気管支喘息の合併
  4)鼻茸の合併
 確実例 : 大項目+小項目2つ以上
 除外例 : 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA/CSS)、好酸球増多症候群(HES)
   (参考文献:EOM study group. ANL, 2011, 38: 456–61)

検 査:滲出液の鏡検による好酸球陽性
血中好酸球数高値、好中球細胞質抗体(ANCA)陰性
CT:耳管鼓室口を中心にした下中鼓室の陰影から始まり、進行すると乳突洞、乳突蜂巣にも波及するが骨破壊はない

治 療:現在確立された治療指針はありませんが、以下の方針が代表的です。
①にかわ状滲出液を温ヘパリン生食を用いた耳浴洗浄で慎重に除去し、肉芽様粘膜を鉗除します。鼓膜穿孔の無い滲出性中耳炎タイプでは、鼓膜換気チューブ留置を行います。
 *粘膜の制御が難しく感音難聴が悪化することもあることから、慢性化膿性中耳炎に行うような手術(鼓室形成術)は一般的には行いません
②ステロイド(ケナコルト注、プレドニン注、リンデロン点耳など)の鼓室内投与(耳管粘膜に深達させるために逆通気により加圧)や全身投与が最も有効です。
 *感音難聴にはステロイドの大量投与も行いますが、聴力が改善しない場合も多いです。
③ 好酸球の作用を抑制する抗ロイコトリエン薬(オノン、キプレス)の内服も試みられます。
④ 生物学的製剤の注射薬抗IL-4,13抗体デュピクセントが、鼻茸を伴う重症好酸球性副鼻腔炎合併例に2019年に保険適応になりました。
⑤両側高度難聴(聾レベル)では人工内耳も試みられています。

鑑別すべき疾患
滲出性中耳炎
ANCA関連血管炎性中耳炎:好中球細胞質抗体(ANCA)による壊死性血管炎で微少血管が障害される成人発症の自己免疫疾患です。原因は十分解明されていませんが、ANCAが風邪などの上気道感染の後に炎症によって産生されたサイトカインとともに好中球を活性化し、各種の有害因子を放出し血管炎や肉芽腫を起こすと考えられています。血液検査でMPO-ANCA、PR3-ANCAが陽性となります。難治性中耳炎と急速に進行する感音難聴を認め、高率に顔面神経麻痺や肥厚性硬膜炎を合併します。進行すれば、肺の壊死性肉芽腫や全身の壊死性肉芽腫性血管炎,壊死性半月体形成性腎炎などの全身性疾患となります。治療はステロイドと免疫抑制剤の長期投与です。
 以下に細分類されます。
1、顕微鏡的多発血管炎
2、多発血管炎性肉芽腫症(ウエゲナー肉芽腫);発熱、全身倦怠感、食欲不振などの炎症を思わせる症状と、眼、耳鼻(ウエゲナー肉芽腫)、咽喉頭などの上気道、肺、腎の3つの臓器に炎症による症状が起こってきます。
3、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA 、旧 チャーグスストラウス症候群);好酸球性副鼻腔炎、気管支喘息(重症例の3%で合併)が先行し、著明な好酸球増多と全身の虚血症状で発症し、種々の血管炎、肺浸潤が出現します。発熱、体重減少、関節痛、筋肉痛、紫斑などの全身症状とともに多発性単神経炎を起こします。ステロイドと免疫抑制剤が治療の中心ですが、2018年より抗酸球減少作用の強い生物学的製剤抗IL-5抗体メポリズマブが保険適応となりました

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