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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

ヘルペス 〜耳鼻咽喉科領域において〜

 ヘルペスウイルスは初回感染の後、体の奥深くの神経節に隠れて、再発した場合には神経痛や神経麻痺を起こすことがあります。発症した部位や重症度に応じて総合病院での入院治療、皮膚科や眼科への紹介を行います。

1、単純ヘルペス(HSV):粘膜と皮膚の境界部で発症しやすく、T型は主に顔面の知覚を司る三叉神経節に潜伏するため口唇や鼻入口部、目で発症し、U型と一部のT型では陰部で陰部ヘルペスを発症する。昔は祖父母と孫などの家族間での頬ずりや同じ食器でご飯を与えたりすることで4才以下で感染していたが、核家族化の進行で60代以上の90%が既感染であるのに対し10代の既感染者は20%である。水疱内のウイルス量は多く感染力は強い。

初感染:ヘルペス性歯肉口内炎;高熱、歯肉の腫脹、口腔内の水疱形成が典型例は10%で、成人では症状の強くなる場合が多い。小児では脱水に注意。脳炎、角膜炎に注意。

再活性:口唇ヘルペス、眼ヘルペス;疲労やストレス、風邪などによる免疫低下により再発する。再発する頻度は平均すると1年に2回。

*カポジ水痘様発疹症;アトピー体質などで水疱の掻破でウイルスが広範囲の皮膚に広がる。重症例では皮膚科入院。

2、帯状疱疹ヘルペス(VZV)

初感染:水痘;約90%が10才までに感染。兄弟間の感染力は強い。潜伏期10〜21日、発熱2〜7日。すべての水疱のかさぶた化まで出席停止。発症1週間後の一時的な免疫力低下あり、0才児や中耳炎罹患児は注意。アトピー児は皮疹の増悪に注意。抗ウイルス剤の服用で軽症化。ごくまれに脳炎。

再感染:帯状疱疹;80才までに30%〜50%が罹り、20才台と60才台に発症のピークがある。帯状疱疹自体も2%で再度発症。SLEなどの膠原病があれば再度発症しやすい。好発部位は、肋間神経、三叉神経第1枝(顔面のまゆ毛の上)だが全身の知覚神経領域で片側に発症。再度の発症は違う部位での発症がほとんどである。皮膚症状は発赤→水疱→膿胞→ただれ→かさぶたの経過をたどり、発疹は痛みを持ち4〜5日続き、その後徐々に赤みが薄くなり、通常は3〜4週間で治る。発疹出現後72時間以内に抗ウイルス剤を服用し、神経痛や神経麻痺の後遺症化を予防する。眼ヘルペスでは、角膜障害による視力低下に注意。

@帯状疱疹痛:発症〜3週間(ほとんどの人が経験)
A帯状疱疹神経痛:その後3ヶ月まで(多くに人はこの時期に軽快)
B帯状疱疹後神経痛:3〜6ヶ月以降続く慢性疼痛、高齢者に多い

3、耳鼻咽喉科で注意すべき病態 いずれも帯状疱疹ウイルスでは麻痺が後遺症になりやすい

顔面神経麻痺;単純ヘルペスでベル麻痺、帯状疱疹でラムゼイハント症候群(耳介や軟口蓋の水疱形成に注意) *聴覚過敏、中間神経痛(外耳)に注意
突発性難聴;耳鳴、歪む聞こえに注意
前庭神経炎;めまい発作の持続
反回神経麻痺;声帯麻痺による声がれ
眼部帯状疱疹;鼻背部や鼻尖部の皮疹(ハッチンソン徴候)後に眼病変発症

血液診断:

初感染;IgM抗体陽性 CF1週間隔のペア測定での上昇
再活性;IgG抗体1週間隔のペア測定で上昇、CF単回測定で中等度陽性(16倍以上)

治 療:

抗ウイルス剤;バルトレックス、ゾビラックス (軟膏、内服、点滴)、アメナリーフ(1日1回、腎機能低下でも服用可);ウイルスの増殖を抑える。軟膏は水疱の拡大を抑える。内服では神経内のウイルスを減少させることにより、神経節に戻るウイルス量が減少することで再発しにくくなる。単純ヘルペスでは5日間、帯状疱疹では7日間服用

ステロイド:神経の過剰な炎症を抑える

抗アレルギー剤:痒みや水疱内粘液の産生を抑える

抗生物質;二次感染の皮膚化膿(とびひ)を治療。軟膏と内服

カチリ(フェノール亜鉛華軟膏):水疱の乾燥と保護、抗炎症、かゆみ軽減(世界的にはあまり使われていない)

トランサミン:口内炎の軽減

消炎鎮痛剤:リリカ;疱疹後神経痛の神経障害性疼痛に有効
  トラムセット;弱オピオイドという麻薬様成分とアセトアミノフェエンの合剤。眠気、嘔気、口渇、便秘に注意

神経ブロック注射:ペインクリニックで行う


予 防:1)免疫力を高めるビタミンA(人参、ほうれん草)、C(レモン、ブロッコリー)、B1(豚肉、玄米、ゴマ)、B6(レバー、ピーナッツ)を摂取。強い紫外線を避ける。
    2)帯状疱疹では成人への任意接種の水痘ワクチンで予防効果あり。50才以上に接種した米国の研究では、帯状疱疹の発症を半分に、神経痛への移行を3分の1にできた。

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院 長 山 口 幹 夫

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