●合併症: A) 無菌性髄膜炎;他の無菌性髄膜炎と同じ症状で、発熱、頭痛、嘔吐が主症状です。頻度は、おたふくかぜの3〜10%です。発症時期は、耳下腺が腫れ出してから4日以内が50〜60%となっていますが、耳下腺が腫れ出す前(20%)や耳下腺が腫れない場合(4〜5%)もあります。予後は良好で大部分は2週間程度で後遺症なく治ります。ムンプスウイルスは脳への移行や親和性が高く、髄膜炎まで至らなくとも軽度の頭痛は認めることが多いですので、発病初期に不用意に体力=免疫力を落とさないことが大事です。 B) 脳炎・脊髄炎;頻度0.02〜0.3%です。2〜3日で急激に発症し、髄膜炎の症状の他に麻痺や意識障害なども加わります。 C) 精巣(睾丸)炎・卵巣炎;思春期以前はまれです。精巣炎は、成人男性の25%で起こり、耳下腺腫脹後4〜10日くらいに多いとされます。主な症状は、発熱、頭痛、悪心、精巣の激痛・腫れ、陰嚢の発赤などで、3〜7日くらい続きます。まれに睾丸の萎縮を起こすこともありますが、片側だけのことが大部分なので不妊症となることはまれです。卵巣炎の症状は下腹部痛が多いようです。 D) 膵臓炎;合併率は数%といわれています。7〜10日目頃に多く発熱、上腹部痛、悪心、嘔吐、下痢などの膵炎の症状があります。だいたいは1週間程度で治ります。 E) ムンプス難聴;頻度は0.1〜0.25%です。片側ですが、高度で回復が困難です。小児の後天的高度難聴の最大の原因です。3〜7日目頃に多く、突然めまい、耳鳴り、嘔吐、ふらつきなどとともに耳が聞こえにくくなります。 F) 心筋炎;おもに成人の合併症で、頻度としてはごくまれです。胸痛、頻脈、呼吸困難などの症状が、1〜2週後から出現し、突然死することもあります。