高血圧と耳鼻咽喉科疾患
高血圧の原因で最も多いのが動脈硬化です。動脈硬化の原因として肥満や高脂血症などがあり、その悪化要因に塩分過量摂取や運動不足などがあります。高血圧だけでは普段症状がなく“サイレント・キラー”とも呼ばれます。
以前は、収縮期血圧が140~160が境界型で、減塩食・カロリー制限などの食事療法が第一選択でしたが、2000年代初頭に米国で2万人規模の大規模疫学研究がなされ、140台でも脳出血・くも膜下出血・脳梗塞などの脳血管障害や心筋梗塞などの発症率が有意に高いことが判明し、最新の治療ガイドラインでは血圧140以上の持続で薬物治療を開始します。糖尿病や腎臓病ではもっと低い血圧まで降圧目標が下げられています。
また近年、副腎腫瘍による原発性アルドステロン症が多いことが判ってきました。
耳鼻科領域でも動脈硬化に起因する血圧変動や末梢循環障害により、様々な病気が惹き起こされます。当院では血圧管理は行なわず、必要に応じて循環器内科と連携しています。
高血圧の原因:動脈硬化、腎機能障害、糖尿病、呼吸機能障害
原発性アルドステロン症(高血圧の10%、急に発症、夜間頻尿、血中アルドステロン高値、低カリウム血症)
睡眠時無呼吸、甲状腺機能障害、自律神経失調、心身症、妊娠
動脈硬化の原因:高脂血症(LDL(悪玉)コレステロール高値)*管理目標(家族性高コレステロール血症、急性冠症候群、重症糖尿病70 狭心症100 糖尿病、腎臓病、非心原性脳梗塞、末梢動脈閉塞120
糖尿病、痛風(高尿酸血症)、メタボリックシンドローム(肥満)
高血圧と動脈硬化の悪化要因:塩分過剰摂取、高カロリー食、運動睡眠不足、ストレス、喫煙、過量な飲酒
耳鼻科領域で関連する病態や病気:
めまい、立ちくらみ(起立性調節障害)
耳鳴
頭痛、頭重感、肩こり
突発性難聴、顔面神経麻痺
甲状腺機能亢進症
当院での検査:安静時血圧、起立検査、頸動脈エコー、指尖容積脈波
血圧の変動:
早朝高血圧(血圧サージ):冬の早朝のトイレの時間は脳卒中や心筋梗塞が好発する時間帯です!
ヒートショック:寒い冬、脱衣時を含めた入浴の前後などに体温の変化が急激に起こり、血圧変動や自律神経の刺激から突然死を誘発する場合があります!
白衣(病院)高血圧、仮面高血圧
*家庭血圧計を利用して、血圧の日内変動、季節変動、めまいなど高血圧に起因すると思われる病状が出た前後の血圧を記録しましょう。