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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

当院での鼓膜切開を行うタイミング

 本来、中耳は耳管を通して鼻の奥から無意識に空気が入っている空洞です。急性中耳炎であれ滲出性中耳炎であれ、まず、処置・薬剤・個人に備わった本来の免疫力で治ることを目指します。しかし、急性期の反応が強すぎる場合や、慢性化の恐れがでてきた時には、鼓膜切開が有効な治療手段となります。

急性中耳炎:
 □痛みや発熱、腫れが強く、消炎鎮痛解熱剤や抗生物質の効果がすぐには期待できない時
 □鼓膜に高度な腫れ(水疱性鼓膜炎など)があったり、上鼓室の反応が強いなどで、
 中耳の奥(乳突洞)から髄膜方向への炎症の波及(乳様突起炎髄膜炎)や、感音難聴などの内耳炎が起こった時
 □発熱や全身状態の不調が続き、原因の可能性のひとつとしての中耳の炎症をはやく確実に取り除きたい時

 *鼓膜切開を行うと鼓膜の緊張がなくなるので高度な痛みは直後から改善しますが、粘膜の腫れや充血は残りますので、軽い痛みが数時間続く場合があります。また、鼓膜切開により排膿が早期に十分に行え、切開穴から空気が入り中耳が乾燥化する事により、抗生物質の効きも良くなります。
 ★2018年の小児急性中耳炎ガイドラインでは 「軽症では経過観察か抗生剤を、中等症では初日に高度鼓膜所見で鼓膜切開、または抗生剤2種を6~10日服用で改善ない場合に鼓膜切開、重症では初日に鼓膜切開」が推奨されています。
 ★小児で急性中耳炎を4回/6ヶ月反復、血清IgG2 80未満でIVIG治療(静注免疫グロブリン月1回計6回投与)が2015年保険適応となっています。

急性中耳炎から滲出性中耳炎への移行:
 □ 0,1歳児:3週間たっても中耳のウミがなくならない時
 ★耳管が太く短いため、かぜの後の反復性急性中耳炎は起こし易いとしても滲出性中耳炎化しにくいため
 □ 2歳児以降:10日たっても中耳のウミがなくならない時
 ★ アデノイド肥大、扁桃肥大、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、薬剤耐性菌感染などの要因がある場合に 耳管の通気度が悪く難治性反復化しやすいため

 ★上記は2004年度日本耳鼻咽喉科学会総会報告の提言より。ただし、09~10年に耐性菌に有効な小児用抗菌剤2種が登場したとや、肺炎球菌ワクチンの開始で、内服薬で治るケースが増えています。
 *鼓膜切開の穴の多くは1週間(鼓膜や中耳の状態によっては3日~1ヶ月)で閉鎖します。閉鎖した時に中耳に炎症が残っていたり、耳管通気度が十分改善していないと、中耳炎が再発する可能性があります。
 *ウミの性状、薬剤耐性菌の存在、聴力、鼻やのどの状態、耳管通気度、これまでの経過などの総合的に判断します。

滲出性中耳炎:
 □難聴、不快感の持続(特に両側の場合)
 □鼻の治療をしても耳管通気の正常化が期待できない時
   a;鼻炎・副鼻腔炎自体が難治な場合
   b;鼻炎が改善しても中耳炎が改善しない場合!
 □好酸球性中耳炎ANCA関連血管炎性中耳炎で感音難聴などの内耳炎化が疑われる時
 □中耳内の陰圧が強く、癒着性中耳炎真珠腫性中耳炎コレステリン肉芽腫への移行が心配される時
 □ 中耳炎が数ヶ月以上続き、中耳の骨の発育が抑制されたり、鼓膜が薄く弱くなる恐れがある時 

 *鼓膜切開によって中耳に空気が入ると、中耳側からも耳管の正常化が図られます。 
 *鼓膜切開を繰り返しても中耳炎が難治化反復化する場合には、鼓膜チューブの挿入も考慮します。
 ★2015年の小児滲出性中耳炎治療ガイドラインでは「滲出性中耳炎が3ヶ月以上遷延し、鼓膜の病的変化や両側性の難聴が強い場合にはチューブ留置」が推奨されています。

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院 長 山 口 幹 夫

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