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当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

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〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

補聴器

 高齢化が進み加齢性難聴の人が増えています。70歳の方の半数以上がささやき声の聞き取りが難しくなり、3割以上の人が会話の聞き取りに不都合を覚えます。音が明瞭に聞こえないと脳への刺激も少なくなります。難聴が認知症の進行を進めるリスクファクターのひとつであることが判ってきました。難聴の方も補聴器を利用することによって快適な生活を送ることができます。我が国の補聴器の出荷台数は2019年に初めて60万台を超え、装用する人が増えています。しかし、補聴器にも限界があります。加齢性難聴をはじめとする聞こえの神経が弱る感音性難聴では、音の聞き取りが悪くなるだけでなく、音がひずんだり割れて聞こえたり耳鳴を感じやすくなったりします。単に音を大きくするだけでは割れて聞こえて不快になることもあります。感音難聴が高度になると補聴器にも限界があるのです。以下に、補聴器を使う(適合する)ために必要な知識をまとめました。

1、聴力の評価:補聴器を正しく使用するには、まず正確な聴力の評価が必要です。
 1)純音聴力  正常    0~ ㏈
        軽度難聴  25~ 30:ささやき声
        中等度難聴 40~   50:話し声
                    60:しっかりした話し声
        高度難聴  70~   70:大声  
                        70~:身体障害6級(片耳90良耳50も6級)
                        80~:    4級(最高語音明瞭度50%以下も)
        重度難聴  90~        90~:    3級
        聾(ろう) 100~         100~:    2級
 補聴器の適応となるのは、純音聴力で良聴耳平均聴力が40㏈とされます。ただし社会人でわずかな聞き落としが問題になる環境に置かれていたり、小児で学習面の利点が得られる場合はそれ以下の聴力でも補聴器の対象になります。
 高齢者や小児で聴力の判定が困難な場合には、耳音響放射(OAE)、聴性脳幹反応(ABR)、聴性定状反応(ASSR)などの他覚的な聴力検査も併用します。小児では、音による行動の反応で聴力を類推する聴性行動反応検査も用います。条件詮索反応(COR、生後4か月から)、視覚強化式聴力測定(VRA、生後6か月から)があります。

 2)不快域値(UCL)測定
 500,1000,2000,4000Hzの音を聞いて「音が大きくて長くは聞いていられない」レベルを測定します。補聴器装用時の聴覚過敏レベルが判定できます。補聴器の最大出力はUCL以下とします。補聴器のノンリニア増幅、騒音抑制機能でもUCLを上回らないように設定します。

 3)語音聴力検査
 十分大きな音で言葉を聞いて理解できるレベル(最大語音弁別能)が60%以下では言語情報を把握することが難しくなり、40%以下では困難となります。補聴器適合は難しくなります。

2、補聴器
種類:
 1)ポケット型:低価格、紛失しにくい、衣擦れの音が入る
 2)耳かけ型:販売数の66%を占め最も普及。マイクが耳にあり生理的な状態に近い、ハウリングが起こりやすい、メガネと干渉する
 3)耳あな式:ITE(in the ear,外耳道の外に装着)、ITC(in the canal,外耳道内に装着)、CIC(completelyin the canal,完全に外耳道内に装着)に分けられます。高価、耳垢が詰まりやすい
 4)軟骨伝導補聴器:圧電伝導子→耳珠(耳たぶ)→耳軟骨→内耳の経路で好感度に音が伝えられることが解明され、新たな補聴器として市販されました。

デジタル式補聴器の機能:
 音の増幅、ノンリニア調整、出力制限:入力音の強さに応じて増幅の度合いを変化させる非線形増幅、難聴者のラウドネスカーブを正常化させることも可能
 周波数特性:周波数を分割チャンネル化して、帯域毎に増幅度、圧縮比(非線形増幅比)、最大出力を設定できる。最新のものではチャンネル数が30以上
 ノイズ抑制機能、定状雑音抑制、衝撃音抑制、風雑音抑制:
 指向性マイクロフォン:前方からの会話音以外を抑制する固定型指向性や、雑音の発生方向を検知してその雑音を軽減する適応型指向性などがある
 ハウリング抑制機能:ハウリングの音の帯域の利得を逓減したり、ハウリング音の逆位相の音を発生させてハウリング音を消去したりする。この機能により、外耳道をふさがないオープンフィッティング補聴器も開発された。
 データログ機能:使用時の音環境や使用状況を記録して、補聴器再調整の資料とできる。
 遠隔フィッティングシステム:

デジタル補聴器のフィッティング:
 補聴器の機械設定として、増幅特性(周波数チャンネル毎の利得、圧縮比(非線形増幅比)、最大出力)をソフトで設定する規定選択法を行います。規定選択法の周波数特性を求める処方式は、リニア増幅として、ハーフゲイン、1/3ゲイン、POGO法、NAL-RP法があり、感音性難聴者にはノンリニア増幅として、NAL法、DSL法があります。
 実際に装用した際の実耳測定では、プローブチューブを鼓膜前面に挿入して実際の音圧を測定します。実耳挿入利得(REIG real ear insertion gain)=補聴器装用時の音圧(REAG real ear aided gain)ー非装用時の音圧(非装用利得 REUG real ear unaided gain)で求め、処方値に合致するように補聴器の特性を調整します。
 有効なフィッティングの目標は、装用時の会話音圧帯(60㏈BHL)で非装用時の最高語音明瞭度を実現させることです。また、装用時のファンクショナルゲインが非装用時の聴力レベルの半分(ハーフゲイン)になることが望ましいともされます。

3、装用効果判定
 1) 補聴器機器の評価:補聴器特性測定装置により、60㏈SPL(Sound Pressure Level 音圧)入力で会話域の増幅を、90㏈SPL入力で強大音の出力を見ます。
 2)自覚的装用状態の確認 
 補聴器適合検査の指針(2010)に則り、以下を評価します。
  a)環境装用の許容を指標とした適合評価:朗読音を65㏈で、環境騒音を50㏈で聴取した際に補聴器を快適に利用できるかどうかを判定する
  b)補聴器装用下の語音明瞭度曲線の測定:装用下60㏈と非装用下の純音域値+30㏈を比較し、装用下の結果が非装用下より10%以上良ければ許容とされる
 他に、音場聴力検査(ファンクショナルゲインの測定)も参考となります。

4、福祉医療と補聴器関連制度
 障害者総合支援法により、身体障害者手帳が交付された身体障害者、児童福祉法で身体に障害のある18歳未満の障害児、指定難病の難病者には、補聴器の費用支援制度があります。愛媛県独自の障害児童への支援制度もあります。支給は基準額の1割を利用者が負担し、所得に応じて月額負担上限が定められています。言語聴覚士や認定補聴器技能者による補聴器調整にかかわる加算も認められています。
   基準額の例:高度難聴用耳掛け型43.900円 重度難聴耳掛け型67.300円
 公益財団法人テクノエイド協会から、認定補聴器技能者(2020年登録者4189名)、認定補聴器専門店が認定されています。また、補聴器の購入には所得税法上の医療費控除が認められます。補聴器相談医の証明が必要です。

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