本文へスキップ

当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

’13年 今月の疾患情報
12月 4日  師走です。めっきり冷え込んできましたが、夏の猛暑のせいで紅葉の季節が遅かったこともあり、松山ではまだ銀杏の木がまっ黄色です。今年の愛媛は、1月が史上1~2番目に寒く、3月が史上1~2番目に暖かく、9月が観測史上最高に暑かったです。11月下旬からは急に寒くなりました。今年は例年になく四季の移ろいの目だった一年となりそうです。今日、当院ではスタッフ総出で大掃除を行いました。来週は当院の忘年会です。あれよあれよと年の瀬の雰囲気です。
  冬の日の 入りて明るし 城の松  子規

 インフルエンザは、全国的には少しずつ報告が増えています。A香港型、A2001年型、Bビクトリア株、B山形株全てが報告されています。12月下旬からの流行シーズンに向けて、どのタイプが流行の主体となるのか注視したいと思います。愛媛では11月上旬に全国的にも早く報告されましたが、その後は増えていません。当院でも検出は一人のみです。昨日、テレビでも報道されていましたが、RSウイルスが過去10年では最大の流行を見せています。報告では0才の報告が70%ですが、RSウイルス感染は、何回も罹りながら免疫が付いてくると反応が軽くなります。青壮年期の普通感冒(ウイルス性上気道炎)の中にも軽いRSウイルス感染は結構隠れています。また、アデノウイルスも11月下旬を中心に急に発生が増えました。アデノウイルスも40種類以上のタイプがありますが、現在流行しているタイプは、反応の軽いタイプと思われます。アデノウイルスは”目、のど、お腹”を好みます。当院でも、結膜炎が主症状の方、咽頭炎が主症状の方、胃腸炎を併発する方、発熱が目立つ方など、様々な反応が見られます。時にアデノウイルス、RSウイルス、溶連菌、EBウイルスへの複数合併した方も散見されます。溶連菌や嫌気性菌による慢性扁桃炎の急性増悪には抗生物質が効きますが、アデノなどのウイルスには直接効く抗ウイルス剤はありません。混合感染や二次感染に注意しながら、処方する薬剤を選択しています。

 年が明ければ、耳鼻科ではスギ花粉症の対策シーズン入りとなります。残念ながら松山では、2年前からは11月、12月のスギ花粉飛散を直接観測したデータのリアルタイムでの配信はありませんが、例年、11月~12月に僅かなスギ花粉の飛散は観測されていました。当院の自動花粉観測ロボットでは、今年は秋以降も観測を続けています。あくまでも花粉状粒子の観測ですが、雑草花粉症シーズンの終わった11月中旬以降でも、花粉状粒子は時々観測されていますので、やはり今年も、松山の市街地でも風の強い午後にはスギ花粉が落下している日もあったと思われます。スギ花粉に敏感な方は、山間部のゴルフ場などで、鼻や目がムズムズする方もおられたと思います。
 以前は予防投薬と称していたスギ花粉症の初期治療ですが、臨床データの蓄積とともに少しずつ方法論が変わってきています。今年、花粉症治療のガイドラインも4年振りに改定になっています。花粉飛散1ヶ月前から抗アレルギー剤を服用する集団と花粉を感じ初めてから服用する集団で比較してもシーズン中の症状抑制率には変わりが無かったとの報告があります。抗ヒスタミン作用の薬剤は速効性があるので症状発現時からでも十分であるとの意見もあります。初期治療の標準的治療は、従来標準的とされた「毎日飛散する飛散開始日の2週間前から服薬する」から「予想される飛散開始日の1週間前から服薬、ないしは、初観測日以降で飛散開始日の前でも、目や鼻が痒くなるなどの症状を感じ始めた時点で服薬を開始する」となりそうです。臨床医の私の印象でも、後者の方法で十分花粉症の初期治療になると思われます。
 花粉症の新しい免疫療法である舌下免疫療法は、本格的な保険適応開始は来シーズンのスギ花粉シーズン後となりそうですが、その他にも、免疫療法の研究は進んでいます。他の物質を結合させた修飾抗原による免疫療法、Tリンパ球のみが反応するペプチドによるペプチド免疫療法、細菌DNAと抗原を接着させたDNAワクチン療法、アレルギーの伝達物質をブロックする抗体(抗IgE、抗サイトカイン)療法などです。これらの多くは癌治療の研究ともリンクするものです。体質改善により近い新しい免疫療法の発展に期待しています。 
  8日  今週は忘年会シーズン。飲み過ぎや睡眠不足で体調を崩して、風邪に罹る方が見られます。声帯の弱い方は、声の出し過ぎによる声帯結節化にも注意して下さい。また今週からはクリスマス・モードです。当院では、かわいい天使の小さな子供達に、ささやかながらクリスマスプレゼントを用意しています。来週後半にお渡ししようと思っています。病院を怖がる天使達が少しでも安心しますように。(^.^) 
 8日に大洲の小学校5年生1クラスで、B型インフルエンザの学級閉鎖がありました。今シーズン、県下では初めての学級閉鎖です。当院近隣での集団発生はまだありません。 フルエンザの学級閉鎖がありました。今シーズン、県下では初めての学級閉鎖です。当院近隣での集団発生はまだありません。  
  15日  今日の日曜診療は混み合いました。迅速な診察、精確な待ち時間の案内には心掛けていますが、患者様の病院紹介なども重なり、今日は想定以上の待ち時間となってしまいました。お待ち頂いた患者様には大変ご迷惑おかけしました。
 当院では引き続きインフルエンザ陽性の方は増えていませんが、他院でA型陽性後に当院に来院した小児が見られました。愛媛県内でも12月8日以降の学級閉鎖は報告されていませんが、B型7割、A型3割の割合でインフルエンザの報告は徐々に増えています。
 小児のRSウイルス、アデノウイルスは引き続き目立っています。
 面疔、頬部蜂窩織炎、頚部蜂窩織炎、頚部リンパ節炎など、顔面頚部の腫脹腫瘤で来院される方がやや目立ちました。
  顔面神経麻痺、鼻骨骨折、鼓膜外傷、鼻腔異物、逆流性食道炎など。

 当院では、アレルギーや感染症、炎症を診るための血液検査は行いますが、予防接種は行っていませんので、来院の度に注射を怖がるというお子様はいません。反復性中耳炎で、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置のための麻酔による鈍痛や、抑制帯に巻かれることを嫌がるお子様は以前より見られました。以前、あるお母さまから「車が当院の方向に曲がったとたん、子供が泣き出します」と聞いた時には、心苦しがったです。さて、以前はインフルエンザだけでしたが、溶連菌、アデノウイルスから最近はマイコプラズマ、メタニュウーモウイルス、肺炎球菌まで、年々、感染症の迅速検査が増えています。当院でも、発熱した場合や、咳が長引く場合など、迅速検査をする機会がめっきり増えてしまいました。また当院では積極的に鼻の細菌検査を行っています。さらにアレルギー検査のひとつである鼻汁好酸球検査では鼻粘膜を擦過する必要があります。診察ユニットにすわるなり鼻を抑えて嫌がるお子さんが年々歳々増えてきました。中には「今日は鼻のこちょこちょない?」と座るなり私の機制を制するしっかりしたお子様もいます。特に感染症の迅速検査では、採取した検体が少量だと偽陰性(感染しているのに検査では陽性に出ない)となる可能性もありますので、ある程度しっかりと鼻の奥の上咽頭粘膜を擦過する必要がありますので、大人も含めてどうしてもツンとした痛みを頭の奥に感じてしまいます。診断には非常に有用な検査ですが、悩ましい検査です。子供達が出来るだけ嫌がらないようにするには、どうしたらいいのだろう、、と暗中模索の毎日です。検査用の綿棒も、最近は毛先の柔らかいものが出てきています。このような綿棒を活用して、また幸にも耳鼻科医は迅速検査の前に鼻腔の中のどちらが広いか確認できることから、出来る限りツンとしない検査を心掛けたいと思っています。

 今年最高の3D映画との評判を聞きつけて、地上600㎞の宇宙空間に放り出された宇宙飛行士の運命を最新のVFXと3D映像で描いた映画「ゼログラビティ」を、IMAX3Dで観てきました。脚本も無駄がなく、これはあり得ないだろうという無理すぎる設定も目につかず、緊張の90分間でした。くやしいけども、ハリウッド映画は邦画よりVFXに掛ける費用が桁違いのようです。地球を背にしての宇宙遊泳、緊迫の大気圏突入などが疑似体験できます。「アバター」が3Dのエポックメイキングならば、この映画も3Dの新境地を開きました。SF好きな方にはお勧めの映画です。
 YouTube 映画『ゼロ・グラビティ』予告4 絶望編 へ
  24日  メリークリスマス! 良い子のみんなにサンタさんがきますように。明日の診察では、良い子たちにサンタさんが来たかどうか聞いてみようと思います。(^.^) 
 一昨日、大人の方でA型インフルエンザが見られました。今シーズン、当院では2例目で、例年よりインフルエンザの発生は少ないです。この様子では、年末の集団発生は目立たず、冬休み明けから発生が目立ち始め、1月下旬に学級閉鎖が目立ってくると思われます。20日に吸入タイプの抗インフルエンザ薬イナビルの予防投薬が効能追加で認められました。10才以上で1日1回2日間の吸入で10日間予防効果が持続します。保険適応ではありませんが、受験生などにはおおいに役立つと思います。

 携帯の普及とともに、ドラマでは劇的な出会いが描きにくくなったそうです。話題のドコモのCM、Line世代のクリスマス・シーズンの出会いを描いていて、なんだかほこっとします。シンデレラエクスプレス@わたせせいぞう&ユーミンに続くクリスマスエキスプレス@山下達郎、スマホ前世代の駅での出会いもどうぞ。(山下達郎のクリスマス・イブには89年のJR東海CMに出演した牧瀬理穂がちょこっと出ています)
 YouTube ドコモ CM NTT DoCoMo LTE 「想いをつなぐ」篇 へ
 YouTube JR東海 Xmas Express CM 1988年~1992年 & 2000年 へ
 YouTube 山下達郎 / クリスマス・イブ へ 
  30日   当院の今年の診療も終わりました。今年は例年になくインフルエンザの少ない12月でしたので、心持ちゆったりした年末の外来でした。年末に診察した患者様皆様のお正月休みのご健康をお祈りします。私も少しゆっくりしたいと思います。(^.^) 
 今年の当院は、スタッフの結婚、新しいスタッフの参加、デジタルレントゲンの更新、照明設備の更新などがありました。来年も少しでも進化する(退化しない?)ように、がんばりたいと思います。日本をみても、経済の活性化、オリンピック誘致成功などいいこともありましたが、国際情勢の変化など目まぐるしい一年でした。来年は消費税増税という大きなハードルが待っています。来る年が良き年であることを祈念します。

 来年4月は消費税増税とともに、2年に一度の診療報酬改定の年です。年末のニュースで、うがい薬のみの処方は保険診療から外すとの厚労省の方針が発表されました。ただし他のお薬との同時処方では、引き続き保険診療扱いとのことです。うがい薬だけで年間医療費が60億円!とのこと。厚労省のこの方針には、とりあえず私も賛成です。耳鼻科の立場で見ると、口腔カンジダ症や口内炎、扁桃炎の治療としてのうがい薬の処方はありますが、全科的に見ればうがい薬単独での処方で最も多いのは”風邪予防”のための処方だと思います。医療費、介護保険、年金など、このままでは若い世代につけが回るのは見えていますので、治療を主目的とする健康保険から予防医学的な治療を外すのは合理的です。以前から、うがい薬だけでなく、湿布薬や漢方薬なども保険適応外とする検討が漏れ伝わっていました。漢方も西洋医学的にな薬効評価が難しいですので、医療保険外とする意見にも一理あります。これからは先進医療をどの程度まで医療保険に含めるか?これまで保険で認めていた医療のどれを外していくのか?という段階になっていかざるを得ません。日本の医療は国民皆保険、フリーアクセス(自分の希望する病院に自由に罹れて、病院は患者を選択できない)です。もし国保を滞納していても、大病したら、その月から保険料を支払えば保険で事後的に認めてもらえます(だったと思います?)。アメリカでは病気になったらまずは自分が加入している保険で契約している家庭医を受診しなければいけません。重症化した際も保険の認めている範囲の制限があります。アメリカでは保険未加入者の数も半端ではありません。国民皆保険は日本が世界に誇る医療制度ですが、高齢人口の増加による医療費の増加とともに、医療の進歩による医療費の肥大化も宿命です。従来の治療は健康保険で、先進医療は個人の医療保険でまかなうという混合診療もどこかでは認めていかざるを得ないと思います。今、TPP交渉で議論となっている分野のひとつが医療保険の自由化です。TPPの行方も、混合診療の行方を大きく左右します。私も国民皆保険が良いのは分かっていますが、国の財政を考え、かつ医療の進歩を考えると、どこかで混合診療を加えていかざるを得ないと思っています。うがい薬の保険適応除外はその第一歩となりそうです。
     
11月 2日  楽天、優勝おめでとう! 
 当院では珍しい連休です。わたしは、花粉症・インフルエンザのパンフレットを来シーズン版に書き換える書類整理、図書館の本の返却・貸出、撮りためていた「ぶらぶら美術・博物館」「日曜美術館」「BS歴史館」「歴史秘話ヒストリア」「NHK特集」「ETV特集」を見るなどで、”文化の日”しています。それにしても「ぶらぶら美術・博物館」は素晴らしい番組です。注目の美術展に音声ガイド付きで行った気にさせてくれます。今、足立美術館の庭が無性に見たくなっています。(^.^)

   テレビで得た豆知識ですが、マーケティングの世界ではターゲットの世代を絞って戦略を練っています。アラサ―、アラフォー、F3(30代女性のこと)など様々な分類がありますが、博報堂の世代分類が目に留まりました。以下、耳鼻科診療の観点を私なりに追加して挙げてみます。当院通院の皆様はどの世代に当てはまりますか。20才以下の世代には今後、どんな名称が付けられるのでしょうか? 失われた20年世代、日はまた昇る世代、どうでしょう?
 青春映画世代  67-70才 小児期は国民皆保険(昭和36年)の前で、
               結核、小児細菌性中耳炎副鼻腔炎遷延、
               ピロリ菌感染の世代。鼓膜穿孔、細菌性中耳炎の後遺による
               内耳性耳鳴症、副鼻腔の発達不良の世代
 団塊      62-66才 ピロリ菌感染の世代
 ポパイ・JJ世代 53-61才
 新人類     47-51才 この辺りから下がアレルギーを有する人が増える世代
 バブル     43-47才 高蛋白高カロリー食、ピロリ不在で、
               胃酸過多からの逆流性食道炎が多い世代 
 団塊ジュニア  31-47才
 ゆとり     21-30才  小児期に贅沢に抗生物質を服用できた世代
(名称まだ)   20才以下 第三世代セフェム系抗生剤服用世代の下で
               未就学児に耐性菌中耳炎・副鼻腔炎が多い 
 
 スギ花粉に対する舌下免疫(減感作)療法が薬事法上で認可され、今後順調に薬剤が承認されれば来シーズンからは保険診療が可能となります。日本耳鼻咽喉科学会でも、11月の専門医講習会、2月の耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会、5月の総会学術集会の折に講習会が開かれます。新しい治療法でこれだけ大規模に講習会を開くのは、日耳鼻学会としては初めてではないでしょうか。それだけ耳鼻科診療の世界でもepoch-making なのだと思います。
 当院でもこれまで保険診療の認められていたスギやハウスダストに対する注射による減感作療法は行っていましたが、ごくまれにアナフィラキシー・ショックなどの重大な有害事象がある、私の印象では3年程度治療を続けても有効率は半分以下、長期の通院を必要とする、などから、当院の患者様には主に、ハウスダストなどの通年性過敏症の方にはレーザー治療や化学剤治療を勧めて、花粉症の方には、予防投薬(初期治療)などの薬剤でコントロールして頂くことをお勧めしていました。当院でも、今後保険診療が認められれば、この経口免疫療法の導入を検討します。
 さて、スギの舌下免疫療法ですが、これは舌下のパンに含ませるなどで、スギ・アレルゲンを、低濃度、少量から連日投与し、徐々に増量、高濃度へ移行させ、最高用量に到達後その用量を維持用量とする治療方法です。アレルゲン免疫療法、減感作療法とも呼ばれるアレルギーに対する変調療法で、アレルゲンに対する過敏性を減少させる治療法です。世界的には既にWHOも有効性を認め、米国、英国、フランスなどの諸外国で既に行われています。一方日本では、予防接種も含め副作用に対して慎重な国民性の為か、臨床研究や承認が遅れていました。来シーズンのスギから、ようやく国が承認する治療法となる見込みです。
 作用機序自体は十分解明されている訳ではありません。”原因物質を摂取することによって体が慣れて再調整される”のですが、作用機序の説明として、1)この再調整により調節T細胞の一種であるTh2細胞が増加する、2)アレルゲン特異的IgE産生の代わりにアレルゲンと結合し中和するアレルゲン特異的なIgG誘導が起こる、3)特にIgGの中のIgG4がIL-4やIL-13を介してIgEを産生するB細胞からIgG4を産生するB細胞に切り替わるためにIgEの作用が減弱する、4)Th2細胞や肥満細胞に作用するIL-10の産生を増大させIL-10を介してTh2はロイコトリエン産生を抑制しヒスタミン分泌を予防するように働く、、 などの様々なデータが報告されています。アレルギーの遅発性反応では、ひとつの機序だけでなくアレルギー性炎症を鎮める方向で様々なネットワークが働きます。恐らく免疫療法でも、様々な機序が複合的に作用しているものと私は考えます。もともと生物は遺伝子レベルで固体を守る方向に進化します。進化した個体が生き残っていきます。アレルギー反応はもともと個体を守る為の反応です。過剰に反応し過ぎることがアレルギーという”病気”になります。免疫療法ではマイルドに個体を守る機序が遺伝子レベルで総合的に起こっているものと思われます。ちょうどiPS細胞が山中因子の活性化で作られるように、アレルギー体質も、根源ではどこかの遺伝子にトリガーによる刺激が加わってカスケードとしてのネットワークが働き出すのかもしれません。将来、そのような遺伝子が特定できれば、遺伝子治療でピンポイントで体質を変えることができるかも知れませんが、現時点では、この免疫療法が最も体質改善に近いものと言えます。
 経口免疫療法は、これまでも食物アレルギーの分野では経口減感作療法が、研究的な機関で行われていました。急速減感作と呼ばれる短期間で高容量を投与するヒトに対する研究的治療も行なわれていました。(急速減感作はスギやハウスダスト対して注射では試みられています)しかしこれらの治療では、ショックなどの副作用の可能性があるため、入院の上厳重な管理のもとで行う必要がありました。今回のスギに対する経口免疫療法は家庭での服用が前提となっています。今のところ国内での臨床研究データでは、注射による投与とは違い、重篤な有害事象は報告されていません。その意味では安全な治療法のようですが、有効率は注射による投与よりはやや劣っているようです。つまり、副作用の可能性は少ないが有効性は低い?これまで重篤な副作用の報告はないが全く起こらないわけではない?などの心配があります。これから、講習会の開催や経口減感作薬の承認に伴って、より詳細な情報が得られると思われます。私も情報をよく吟味して、舌下免疫療法を実際に行う否か、対象となる個々の患者様とよく相談したいと思います。

 


 「イルミナーレ花園2013~光のガーデン~」です。幻想的で花園通り一帯は、はやくもクリスマス・モードです。下の写真は、今年初めてライト・アップされたお堀の「光の噴水」です。
  11日  今日、LED額帯鏡が届きました。これで当院のLED化は一段落です。これまでのファイバー導光の額帯鏡に比べてなんと軽い事か!思えば私も耳鼻科医になって以来、外来診療、健診はもとより病棟処置でも咽頭・鼻腔の手術でもファイバーという鎖に繋がれていました。私にとっては画期的なエポックです。明日の診察から、早速使いたいと思います。
 前回、触れたスギ花粉症への舌下免疫療法ですが、アレルギー学会などでも講演会が開催され初めています。実際の臨床応用が始まるのは、どうやら来年春以降になりそうです。
 当院での感染症では普通感冒(ウイルス性上気道炎)がほとんどです。全国的にはアデノウイルス感染症がやや増えています。宮崎、山口などで多く報告されていますので、愛媛でも今後やや増えるかもしれません。2年連続夏から多かったRSウイルス感染症ですが、例年11月から1月にかけて多くなります。今後、乳幼児での感染の広がりに注意します。10月末より愛媛県下でもインフルエンザの報告が出始めました。八幡浜で多く、宇和島、松山でも報告されています。迅速検査ではA型8割、B型2割の割合です。当院ではまだ検出していませんが、私もそろそろインフルエンザの存在も念頭に置いて診察を進めたいと思います。 
  伝染性単核球症、急性喉頭蓋炎、頚部リンパ節炎、メニエール病など。

 以前、この欄でも触れていましたが、岩田健太郎氏の「99.9%が誤用の抗生物質」を読了しました。ショッキングなタイトルの本ですが、第5章でも触れている通り、「経口第3世代セファロスポリンは、99.9%が誤用」というのが著者の伝えたいことのようです。岩田氏は臨床の立場から研究機関の教授を務めています。この本は専門書でなく一般向けの新書ですが、しっかり文献を明示して明確に論を進めています。ここかしこに当意即妙な例えも満載で、きっと医学生に大人気なのでしょう。氏の、研修医時代に[とにかく8剤以上使っている場合はなんでもいいから減らせ」と上級医に鍛えられた。(ちなみに研修先は、研修医に大人気の沖縄中部病院です) CT検査するならば、医師も患者と堅く抱き合って一緒にCT検査をうけなければならない、というルールを作ればCT検査のオーダーは激減する。臨床データを基にした治療(EBM)や薬剤治験のデータは、結論のみをうのみにせず、EBMの母集団や薬剤データの背景を見極める。患者に良いと思って薬を増やす医師には日本人らしさが背景にある。医師が新薬を使いたくなる心根とMR(製薬会社の薬剤提供担当者)との関係の是非。大学病院外来の質の低さは治療者と患者さんの共犯。基礎医学と臨床医学の距離は離れてきている。など、広く偏らない視野からの指摘には、私も大いに感心しました。
 この本では、風邪に抗生物質は必要か? 抗生物質やCRPのような検査を乱用していないか? というテーマが取り上げられています。著者も、”抗生物質を必要とする(こともある)急性咽頭炎、急性副鼻腔炎、急性中耳炎は、「かぜ」と間違えかねない。「かぜ」同様、抗生物質を必要としない急性気管支炎も「かぜ」と間違えやすく、抗生物質を必要とする肺炎は急性気管支炎と勘違いしやすい。”と述べて、病気の連続性を指摘し、慌てず経過を診ることの大切さを訴えています。必要に応じて、効果の確立された薬剤を使用する、という論旨には、私も大いに賛同します。経口第3世代セフェム剤をあまり処方しない私としては、タイトルにも大いに納得です。
 ここからは、耳鼻科医である私から臨床論を述べてみます。
1、風邪に抗生物質は必要か?
 風邪を”咳、鼻汁、咽頭痛の症状が同じバランスで出ているもの”とすれば、もっとも多いのが、”ライノウイルス、エコーウイルス、コロナウイルスや時にRSウイルスなどに以前罹った免疫があるところへの上気道感染”によるウイルス性急性上気道炎だと思います。当然、放っておいても治ります。インフルエンザなどの反応の強くなるウイルスでも、溶連菌や肺炎球菌などの細菌感染、マイコプラズマなどの肺炎でも、はては癌でも、免疫力が上回れば放っておいても治ります。ただし、世界的には肺炎や下痢症で命を落とす患者は決して少なくありません。発展途上国の小児では、中耳炎からの髄膜炎でも命を落とします。耳鼻科医は、咳、鼻汁、咽頭痛に対して、目を皿のようにして、中耳粘膜、鼻腔粘膜、咽頭粘膜、喉頭粘膜、気管粘膜の状態を見て、病状の経過も勘案しながら、現在の局所の状態が、どの病原菌によるどの程度の活動性の病態かを推し量ろうとします。ウイルス性上気道炎には抗生物質は必要ありません。熱が高いから、CRPが高値だから、だけで抗生物質の適応ではありません。私は、上気道に抗生物質が有効な病原菌の存在が疑われ、かつその人に悪影響を及ぼす可能性がある場合に抗生剤を投与しようと思います。
2、持続感染からの急性増悪
 乳児は血管や脳脊髄関門のバリアが弱く、菌血症、細菌性髄膜炎、SSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)などの重篤な細菌感染症を発症することがあります。未就学児は、鼻や咽頭の免疫力が弱く持続的な細菌感染叢を持っていることが多く、除菌しても集団保育の環境下では、直ぐに再感染します。この細菌叢は必ずし病原性を示すという訳ではありません。私は外来でよく「鼻に細菌を飼っていても元気ならいいけど、中耳炎を誘発したり、下気道に悪影響を及ぼしているならば、こじれた状態ですよ」とお伝えしています。成人の口蓋扁桃も持続感染の巣です。IgA腎症や掌蹠膿疱症のような病巣感染と呼ばれる体の他の部位に悪影響を及ぼす感染を誘発することがあります。高齢者は、免疫力が低下して、かつ、粘膜の修復力が弱いために、感染症が増悪したり、病原性の弱い微生物から発症する日和見感染を惹き起こしやすくなります。感染で体質がアレルギーに傾かないというような感染の利点もないことはないのですが、持続感染している臓器や粘膜では、ウイルス性上気道炎の後の二次感染だけでなく、持続感染叢からの急性増悪化には注意したいと思います。
3、風邪の初期に抗生物質は必要か?
 ウイルス性上気道炎に抗生物質は必要ありませんので、二次感染を来しにくい初期は、よりいっそう抗生物質は必要ありません。しかし、上気道の細菌叢が悪影響して反復性中耳炎や難治性中耳炎の段階の小児、副鼻腔に慢性感染を来して副鼻腔気管支症候群の状態の高齢者などには、時として持続感染からの急性増悪のために抗生物質を必要とする場合があります。また、社会的要請ともいえるのですが、本来ならば2~3日経過を見た上で細菌感染が確定した段階で抗生物質は投与されるべきものですが、重要な人生のイベントを前にして、マイコプラズマやクラミジアなどのように発症初期は診断の確定することが難しい感染症の発症初期が疑われたり、持続感染からの急性増悪”予防”のために、抗生物質を投与する場合があります。この場合の処方に対しては、国民医療費の負担の観点や、全国レベルでの耐性菌誘導の視点からは、批判されるものです。社会的要請からの抗生物質投与は、私にとって最も気を使います。
4、急性中耳炎の初期に抗生物質は必要か?
 医学論文やデータを見る場合には、物理学のように前提となる母集団が一致するのではなく、母集団が一致しないことに留意が必要です。国別で比較しても、データを集計した病院のランクによっても母集団の背景が異なります。様々な病気の診断基準や治療指針を見る際にも、その辺りへの注意が必要です。肺炎は、感染の背景の違いが、診断基準や治療指針を策定する段階から反映されています。市中肺炎と院内肺炎に分けて治療指針は策定されています。中耳炎も、国別に、また耳鼻科や内科、小児科などの科別に様々な診断基準や治療指針がありますが、治療指針の元になる母集団の違いには注意しなければいけません。日本よりもアメリカの診断基準の方が、家庭医が判断した発熱による中耳粘膜の発赤や、軽度のウイルス性の中耳粘膜の発赤、耳管狭窄よる中耳への換気不全による滲出性中耳炎、などの病態の割合が多くて、日本の耳鼻科専門医が判断するよりも細菌性中耳炎の割合が少なくカウントされている恐れがあります。アメリカの治療指針によれば、急性中耳炎は3日程度は対処療法のみで抗生物質は服用しないで経過をみる、となっていますが、小児で上咽頭に細菌感染叢があれば初期から細菌性中耳炎化する頻度は高くなります。中耳炎でも中耳だけを見るのではなく、上気道全体や過去の経過も勘案して、抗生物質を必要とするかどうか判断する必要があります。2~3日経過をみることも重要ですが、自分が今発病している立場だったら、今の経過を抗生剤なしで2~3日みることが出来るか、耐えることが出来るか、という視点も必要です。私は、明らかなウイルス性中耳炎や鼓膜炎の初期でなくて、細菌感染の可能性があると判断された場合には、可能な限り病原菌も類推して、抗生物質を処方しています。そのために、細菌培養同定検査は積極的にオーダーしています。(ちなみに私は、副鼻腔も含めてレントゲン検査は、どうしても判断材料にしたいと思う最低限のレベル以外は行っていません)
5、急性喉頭蓋炎はインフルエンザ桿菌による感染?
 喉頭蓋炎の代表的な病原菌はインフルエンザ桿菌です。急性喉頭蓋炎は救急的に命にも関わる病態ですので、喉頭蓋喉頭面や喉頭披裂部、声門下の浮腫を来し気道狭窄を来す可能性が少しでもあれば、予防的な意味も含めてインフルエンザ桿菌に必要な抗生物質を入院管理化で投与する必要があります。しかし、喉頭蓋炎も実は様々な病原菌で起こります。RSウイルスやインフルエンザウイルス、EBウイルスなどのウイルス感染でも起こります。舌根から喉頭披裂部までの粘膜の反応の程度も様々で、舌根扁桃肥大の体質があるために、感染の影響は軽度でも二次的な粘膜の反応が高度な場合などもあります。このように原因菌も重症度も様々です。下咽頭、喉頭を直接診察できるのは耳鼻科医の特徴です。的確な早期診断、早期治療、高次病院との連携に心掛けています。
  15日   今日の診察で、今シーズン初めてA型インフルエンザを検出しました。当院での初検出は、例年並みだがやや早い時期での検出です。愛媛県では11月初旬より、八幡浜を中心に、宇和島や松山でインフルエンザの報告が出始めていました。今週は、ひょっとすると、愛媛県は全国的にも沖縄に次いでインフルエンザの報告が多い地域になるかも知れません。 
  24日   今日の診察は祝日明けの日曜日だったこともあり混み合いました。お待ち頂いた患者様には ご迷惑をお掛けしました。当院のBGMもクリスマスソングになりました。”ジングルベル”では、思わず診察室で歌いだすかわいい”天使”がいました。私もスタッフも中待合の患者様も、おもわず微笑んでしまいました!
 私が先週予想していた通り、国立感染症研究所のデータでは11月第2週、愛媛県は全国でも沖縄に次いで2番目にインフルエンザの報告が多かったようです。それでも第3週の愛媛県のデータでは発生は少なくなっているようで流行が広がる気配はありません。当院でも先週報告して以降の検出はありません。県下の迅速検査の報告では、2週前がA型8割B型2割でしたが、前週はB型7割A型3割でほとんどが10才未満の報告です。これから年末にかけてB型は散発ながら発生が続くかもしれません。
 当院で見られる感染症では、ライノウイルスやコロナウイルスなどによると思われるウイルス性上気道炎が最も多く、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、クラミジアなどによる気道感染が目につきます。アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌は中耳炎を続発するケースもあり、上気道感染と中耳炎の因果関係に注意しながら診察を進めています。

 恋するフォーチュンクッキー、いろいろなご当地版で盛り上がっているようです。シンガポールに留学している日本人大学生4人が作ったPVです。現地のマスコミでも話題になっているとのこと。広がれCool Japan!(でも、どうしてジム・ロジャーズが出てくれたのでしょう??)  
 YouTube:恋するフォーチュンクッキー Singapole Ver. 
     
10月 1日  秋晴れが続いています。花園町でははやくもライトアップが始まり、晩秋の趣です。伊予鉄の市内電車では電飾車が登場しました。花園町を電飾電車が通ると、なんとも幻想的です。
 今日は雑草花粉症の方が目立ちました。当院も秋の趣です。

 来週はいよいよノーベル賞の発表です。今年日本人で受賞する可能性のある人は、科学分野で3名、文学賞で1名との報道も目にしました。昨年は山中教授の受賞で湧きましたが、今年はどうなるでしょうか? 
 山中教授のインタビューで、私が感銘をうけたものがありました。「生涯に2度、実験仮説と逆の結果が出た実験があり、その時はものすごく興奮した」そうです。私の現役時代を思い出すと、予想と違う実験結果が出た時には、あたふたとして、まず実験の機材や手法が拙かったと考え、必死で結果を出そうとしていました。このような心構えでは、予想された結果を証明するだけで、びっくりするような新しい知見は出てきません。(;_;) 山中教授のこのような心構えが、ES細胞を追いかけるのではなく、細胞の初期化を目指すという挑戦につながったのだと思います。山中教授の右腕で、2006年のマウスのiPS細胞発見の論文の共著者の高橋特任助手(現京都大講師)の実験エピソードも心を打ちます。細胞の初期化に必要な遺伝子が24個に絞られたあと、どうせ教授に言われるだろうなと思いながら、実験計画にない24の遺伝子をすべて組み込むという実験を”ついでに”行ったことが、2~30年はかかるかも知れないと思われていたリプログラミング遺伝子(山中因子)の同定を、わずか1年で成し遂げるという業績に繋がりました。山中氏の言によれば「高橋氏はとにかく実験が好きで、へこたれなかった」とのこと。今この時間にも、へこたれずに実験している研究者が日本中の研究室に大勢いるはずです。へこたれない研究者に幸運の女神が舞い降りますように!
  3日   普通感冒からの二次感染で、急性中耳炎・滲出性中耳炎・急性副鼻腔炎に至る方が少しずつ目立ってきました。夏風邪のウイルスは、主に咽頭と腸で反応します。寒い時期のウイルスは、主に鼻腔で感染し、勢いがあれば下気道に感染が広がります。また寒い時期は、気道粘膜が寒冷刺激で腫脹しやすく、線分泌も亢進します。そのため、寒い時期の風邪の方が二次的な中耳炎、副鼻腔炎、気管支炎を生じやすくなります。10月は台風が近づかなければ気候が良いため、風邪は流行しません。それでも、夏風邪から一般的な急性上気道炎に流行は移ってゆきます。当院外来も、徐々に冬の気配へ移行です。  
  10日    太平洋高気圧が頑張っています。びっくりするくらいに暑いです。ところが明日夜からは、前線の通過とともに急に冷え込むそうです。気道過敏症やメニエール病の増悪にご注意下さい。
 アデノウイルス咽頭炎、RSウイルス感染症、溶連菌咽頭炎が散見されますが、特定の感染症の流行は見られません。当院では一般的なウイルスによる急性上気道炎がほとんどです。
 昨日、日本気象協会から来年の花粉飛散予報の第一報が発表されました。記録的な大量飛散となった関東や東北地方では、今年より”少なめ”とのことです。今年、松山でも、3月初旬の急激な暖波のせいで予想以上に花粉が大量飛散しました。松山では、スギが過去3番目程度、ヒノキは過去最高程度飛散しました。今年の大量飛散から、私は ”来年は裏年で飛散は少なめ" とお伝えしていましたが、南近畿、山陽、四国、南九州では、「猛暑」「少雨」「日照時間長い」の3つの条件が重なり、日本気象協会の予報では”平年並み”の飛散が予想されるとのことです。今年、松山では3月上旬にスギが集中的に大量飛散し、ヒノキも初めて3月に飛散のピークを迎えました。短期間で大量に飛散した珍しいシーズンとなりました。さて、来年度の飛散量や飛散パターンはどうなるのでしょうか。当院では来年度も引き続きポールンロボによる花粉の測定を続ける予定です。ホームページをご覧の皆様に、中予地方の迅速な情報をお伝えしたいと思います。
  先天性耳瘻孔急性増悪、頚部蜂窩織炎、鼻炎のレーザー治療、突発性難聴、前庭神経炎、メニエール病、外耳道真珠腫など。

 ノーベル賞の発表も自然科学分野が終わり、今日は文学賞でした。私は日本人の受賞に結構期待していましたので、速報を聞いてはがっかりする毎日の繰り返しでした。しかし、物理学賞のヒッグス氏の業績は南部陽一郎氏の理論を発展させたもので、化学賞の「計算化学」の受賞では、重要な貢献をした7人に京都大福井謙一記念研究センターの諸熊奎治氏の名前も挙がりました。研究の実践化で評価すれば猪熊氏が受賞してもおかしくなかったとのこと。医学賞は生物の教科書にも載っている内容で、昨年の山中氏がスピード受賞過ぎるのが異例で、受賞待ちの研究が沢山あることを再認識しました。平和賞は取らない国の方が平和?、経済学賞はまだまだ欧米とのギャップが大きく日本人の受賞は至難の業? ですので、日本人受賞の楽しみは来年以降に持越すことにします。私にとって10月は、やはり文化の秋です。
  秋高し 雲より上を 鳥かける  子規
  21日  台風一過の秋晴れですが、台風27号がゆっくりと西日本に接近中です。今日は台風28号も発生しました。昨年からこれまで台風の直撃が無かった愛媛県ですが、今度の台風は怪しいです。これからの10日間ほどは、気温や気圧の変化が大きい気候となりそうです。台風自体への災害の備えとともに、気道過敏症体質の方は、体調も万全でお願いします。
 まだまだ外耳炎の方が目立っています。当院では明らかに例年より多いようです。9月まで続いた夏の記録的猛暑の影響がまだ残っているのでしょうか。
  頬部蜂窩織炎、反回神経麻痺、声帯ポリープなど。
 
 山下達郎コンサートのMCで仕入れたランキング情報です。多目的ホールの定員では、ひめぎんホールは日本で3番目とのことです。私も大きいホールとの認識はありましたが、全国で3位とはビックリです。 1位の東京国際フォーラム ホールAが5012席、2位のNHKホールが3746席、ひめぎんホールが3000席です。ひめぎんホールを満杯にすれば人気アーティスト!とのことでした。気になりついでに調べてみると、愛媛県武道館の収容人数は6532人、福山雅治ライブの座席表を参考にするとアリーナツアーライブでは、アリーナ席に立見を入れて5600名収容程度でしょうか。アスティー徳島が5000人収容、香川県県民ホールが2001名、高知県民文化ホールが1504名、坊ちゃんスタジアムが3万人収容です。松山には野外ライブを行える場所が、ニンジニアスタジアム、城山公園と近隣にあります。以前、松山は、街、城、温泉、港、飛行場、スキー場、海、山がすぐ近くにあるのが良いところだと書いたのですが、ライブ環境でも結構いい線を行っているのですね。しかし、、さすがにドームツアーは難しいでしょうね。


 今年で8年目を迎えた「イルミナーレ花園2013~光のガーデン~」で、今年初めて登場したイルミネーション路面電車「光のトラム」です。(昼間の写真でスイマセン<(_ _)>) 10月中旬には南堀端に「光の噴水」が登場するとのこと。例年以上にロマンチックな南堀端になりそうです。 
  22日  秋晴れが続きますが、明日には台風接近です。先週木曜日に就学児検診のため午後の診察開始を3時からとさせて頂きました。来週の木曜日には、もう1校予定しています。来院の患者様にはご迷惑をお掛けしますが、ご理解の程お願いいたします。健診時には、当院に通う子供達も見かけます。普段はお母さまと受診ですが、健診では子供グループの一員としての診察です。みんな、こころなしか緊張していますが、当院での診察時よりしっかりして大人びて見えます。健診はどうしても流れ作業的になりますが、私は心の中で「しっかりしてるね、頑張れ!」と褒めています。

 今日、南堀端を通りかかると「光の噴水」が始まっていました。大きな噴水ではありませんが、お堀の中に青白い噴水が浮かび上がり、とても幻想的でした。
 前回、全国の多目的ホールの定員について触れましたが、気になってさらに調べてみると、、 TOKYO DOME シティホール3000席、パシフィコ横浜国立大ホール4538席、名古屋国際会議場3012席ですので、ひめぎんホールは正確には全国で5位タイでした。それでも全国の県庁所在地の中心的なホールの定員は1800~2000席が標準ですので、さすが、ひめぎんホールです! 
  30日  肌寒い朝に、暑い昼。温度変化の大きい季節です。先週はある呼吸器研究会で、医学生も混じった症例検討会に参加してきました。私も新鮮な心持ちになりました。
 ”軽い風邪”に罹る方が目立ちます。当院での感染症は、溶連菌、アデノウイルス、RSウイルスが散見、おたふくかぜ、水痘、突発性発疹をわずかに見ます。全国的にはアデノウイルスが増えているようですが、当院でも愛媛県内でも目立っては増えていません。しばらくはアデノウイルスによる咽頭炎の増加に注意してみます。インフルエンザは、全国的には昨年同期より少なく、沖縄、和歌山、兵庫で散見程度ですが徐々に報告は増えています、愛媛県での報告はまだですが、一昨日、当院の患者様で知人がインフルエンザの方もいました。集団発生はまだまだでしょうが、愛媛でも徐々に報告は出てくるものと思われます。私も少しずつ準備をしたいと思います。世界的にはカンボジア、インドネシア、中国で鳥インフルの発生が報告され、イタリアでの発生は注目されました。今年も鳥インフルエンザのパンデミック化の無いことを祈っています。
 10月中旬でブタクサなどのキク科花粉症は終わりました。イネ科花粉をわずかに感じる方は見られますが、当院で最も多いのが、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎がベースにありウイルス性上気道炎で症状が増悪するタイプです。
  急性喉頭炎、顔面神経麻痺、先天性耳瘻孔急性増悪、外耳道真菌症など。
 
 院内のLED照明化が完成しました。やはり照明が明るくなると、晴れやかで清潔感に溢れます。もうひとつだけLED化を検討しているものがあります。それは、私が診察時に頭に着けている額帯鏡です。今はハロゲンライトの光源をファイバーで導光しているタイプを用いているのですが、最近、LED光源のものが複数の医療器具メーカーから出るようになりました。高輝度の製品も出てきています。問題は、従来と色調が異なることです。その辺りの問題がクリアできれば、当院でも導入しようと思っています。また、BGM用のスピーカーや環境ビデオ用のモニター、トイレのハンドソープの自動スイッチも更新しました。スピーカーは念願のBOSE社製です。これまで喫茶店に行くと、いい音質のお店のスピーカーが気になっていたのですが、BOSE製にしてダイナミックレンジの広がりを実感しています。こっそりと悦に入っています。(^.^) 

 本の紹介をひとつ。「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム大賞」「日本ジャーナリスト会議大賞」受賞、記者の教科書とも言われる清水 潔著「桶川ストーカー殺人事件ー遺言」です。補章のある文庫本が事件のその後の経過にも触れている完結版です。ちなみに清水氏はここ2年でも、日テレ記者として足利事件の報道で「日本放送連盟最優秀賞」「日本ギャラクシー賞」を受賞、受刑者の無罪が確定しました。前職の雑誌フォーカス記者時代のこの事件がきっかけでストーカー規制法が立法化されました。自称”3流雑誌記者”が事件を追い記事にするという行動がどういうことなのか、まるで追体験したかのような読後感です。
 ノンフィクションの本が大好きな私ですが、不覚にもノンフィクションで私が涙したのはこの本が初めてです。被害者の方の遺言、そのご両親や記者の考え、色々な面で心に迫るものがありました。私も多くは語りません。被害者のご冥福をお祈りします。 
     
9月 7日  ここ1週間、暑い大雨2日の後 、ひんやりとした台風襲来と、一気に秋の気配です。気温気圧の変化が大きかったことから鼻炎や喘息などの気道過敏症やメニエール病などのめまいが増悪した方が少し目立ちました。今回の台風は四国に近づいた段階で温帯低気圧になりましたが、これからの台風襲来では、気温の低下や気圧の変動も大きくなります。気道過敏症の方は、症状の増悪に気を付けて下さい。
 小児の感染症では手足口病、アデノウイルス咽頭炎、溶連菌やRSウイルス感染症が散見されます。乳幼児の年代では、これからの9月中、手足口病の二度罹りやRSウイルスによる気管支炎に注意して下さい。
 中学高校では体育祭の季節となりました。体育祭の準備で過発声したための急性喉頭炎が見られました。体育祭の応援練習での声の酷使は一時的で、過発声を続ける訳ではありませんので、声がれが慢性化する恐れはありません。しかし運動部員などで過発声を続けると声帯結節化して声枯れが地声となってくるケースがあります。過発声で声がかれてきた場合には、のどをしめて力むような発声(硬起声)は極力しないように心掛けて、長風呂などで声帯の加湿を心掛けて下さい。
 秋の花粉症では、お盆明けからイネ科花粉の小飛散が始まり、9月10日ぐらいからはキク科のヨモギ、20日ぐらいからキク科のブタクサの飛散が始まります。その後、キク科が10月中旬まで、イネ科が10月終盤まで飛散します。春は5月にイネ科のカモガヤの抗原性が強く、秋はキク科のブタクサの抗原性が強いです。これから9月下旬に目と鼻に強いアレルギー反応が出ればブタクサの花粉症を最初に疑います。

 ブエノスアイレスで開催されているIOC総会では、先ほど立候補都市の最終プレゼンが始まりました。明日の未明には2020年夏季五輪の開催都市が決定しています。東京に決定して、3兆いや150兆ともいえる経済効果でアベノミクス第四の矢となり日本が元気になるきっかけとなって欲しいですが、汚染水問題のクローズアップでマドリードに決まるかもしれません。IOC委員は東京が安全だけでは不十分で、日本全体が安全でなければいけないと判断するかもしれません。64年の東京五輪の招致期間にも日本のマスコミでは五輪開催より戦後補償に費用を回せとの意見もあったとのこと。もしマドリードに決まれば、、くやしいですが、日本は原発を初めとした災害復興に全精力を向けよとの天の声だと思うことにしたいです。
  9日  東京オリンピック開催決定おめでとう! 当日は生中継にかじりついて寝不足となりました。都心の空に再びブルーインパルスが舞う? 7年後には新東京駅から甲府までリニア新幹線でいける??? 夢は広がります。7年後に向けて日本中が明るくなった感じです。これを機会に、院内の照明をLED化して、当院も明るくすることにしました。!(^^)!
 最終プレゼンもロビー活動も最高でしたが、プロモーション・ビデオも3都市の中では1番ではなかったでしょうか? ”Japan Cool” と ”おもてなし” が世界に広がりますように! 
  YouTube TOKYO2020 FINAL Presentation FILM へ
  YouTube Tokyo 2020 International Promotion Film:Tomorrow Begins へ  ちなみにこの動画にはトルコの方からこんなコメントがアップされています。 ”Turkish people are not sad. We are happy as much as to have won ourself. Congratulations from Turkey! We love Japan."
  16日  台風一過。暖かい日差しと、冷ややかな風が心地よいです。
 ここ1週間、手足口病を中心とした夏かぜは目に見えて減りました。手足口病、アデノウイルス咽頭炎、 溶連菌咽頭炎、RSウイルス、マイコプラズマが散見されます。松山市内で小児のA型インフルエンザが報告されています。当院では経験していません。この時期の集団発生はさすがにないと思われますが、保育児童間での発生には注意したいと思います。
 涼しくなってはきましたが、まだ残暑の季節でもあります。大人では症状の強い耳せつが目に付きました。外耳道の腫脹が強く、鼓膜炎、頚部リンパ節炎、頚部蜂窩織炎まで波及する例も見られます。 
  21日  今日明日が近隣の小学校の運動会のピークです。今日は素晴らしい秋晴れでした。今日が運動会だった小学生達は、思いっきり競技に打ち込めたことでしょう。昨日今日の診察では運動会前に風邪気味になった子供たちが来院しました。軽い風邪の初期と思われるケースがほとんどでした。明日の朝の体調次第ですが、診察を受けた子供たちが、みんな元気に運動会に参加できますように! 

 明日はTBSドラマ「半沢直樹」の最終回です。私の地上波の視聴はもっぱら録画です。気になった紀行もの、ドキュメンタリー、大河ドラマを、録画で早見しています。スポーツはライブで見ますが、最近のドラマをリアルタイムで見ることはまずありませんでした。ところが評判を聞きつけて「半沢直樹」は第三話から録画視聴。第八話は遂にリアルタイムで見てしまいました。ドラマの結末も気にはなりますが、それ以上に気になっているのが視聴率です。^^; ちなみに昨年の平均視聴率第一位が紅白第二部の42.5%、次がW杯サッカーのアジア地区最終予選の日本ーオーストラリア戦の35.1%。一昨年は紅白第二部が41.6%、次が家政婦のミタ最終回の40.0%です。昭和時代の70%台とはいきませんが、やはり紅白はおばけ番組です。平成に入っては、紅白以外で年間最高視聴率を記録しているのは、W杯サッカー本選の日本戦だけです。私は「家政婦のミタ」はチラッとしか見ていないので偉そうには言えませんが、「半沢直樹」の方が老若男女で話題にできそうです。日本中がひとつになり共通の話題ができる、、黄金期のトレンディードラマのようで、なんだか楽しいです。今年の最高視聴率は初めてドラマが紅白を抜くか?? 少し大袈裟ですが五輪招致前日のようなワクワク感があります。
 「半沢直樹」のドラマのベースに”恨み”があるのは気になりますが、主演に合わせて企画するいかにも視聴率を狙ったドラマでなく、脇役に有名でない名演技怪演技の役者を揃えたドラマです。今回のドラマで、今の時代でもしっかりとした作品ならば支持が得られることが実証されて ”Japan Cool" が盛り上がって欲しいものです。
 私は”技術者ががんばる”話が好きです。探査機ハヤブサ3部作のような映画は脚本が甘くても許してしまいます。「半沢直樹」の原作者、池井戸潤氏原作のWOWOWドラマ「下町ロケット」は再放送で見ていました。東京の下町工場の技術者達が工場の経営問題も含めて難問を解決して、遂にロケットを打ち上げるドラマです。お勧めです。
 経済雑誌週間ダイヤモンドの今週号の特集は「半沢直樹はどこにいる? 頼れる銀行頼れない銀行」です。キャッチ・コピーを少し紹介すると「半沢直樹原作者の池井戸潤氏が明かす銀行マンの実像」「銀行員は人事がすべてーー。そして人事をめぐる出世レースは一度でもこければはい上がれない過酷なトーナメントレースだ。」 私もこれまで、キャリア官僚や上場企業役員人事の動向や銀行の運営は、報道や書籍で目にしてきましたが、銀行の人事についてこれだけ詳しい特集記事には初めて触れました。メガバンクの出世レースはキャリア官僚以上に窮屈で過酷かもしれません。出向などの人事に関してはドラマ「半沢直樹」は決して大げさではなさそうです。この雑誌もお勧めです。
 明日の夜は、中学時代の同窓会です。「半沢直樹」最終回は、ネタバレ覚悟で録画で見ることにします。P.S. 今年放映の民放ドラマでは「とんび」も気になってます。時間があれば見てみたいです。 
  29日  松山市内は10月7日の地方祭本宮に向けて、街頭の飾り付けが進んでいます。今日は城山公園で、今年で4回目となる「大神輿総練」がありました。大街道やロープウェイ街にはハッピ姿の人たちが集まり、一足先に祭り気分です。 (7日月曜日、当院は通常通り診療を行います)
 愛媛県でも当院でも、今年7月から乳幼児のRSウイルス感染症が目立っていましたが、全国的にも昨年にに引き続き、今年も夏から報告が増えています。県別では福岡、大阪、東京で目立っています。東京での流行は新聞でも報道されました。RSウイルスに対する免疫が不十分な乳幼児は、発症すると、発熱が続いたり、下気道の症状が強くなり肺炎や細気管支炎を惹き起こすことがあります。RSウイルスが検出された際には、気管支炎の経過には注意して、小児科との連携を密にしています。
 猛暑の8月は遠くなり、さわやかな秋の日が続いていますが、まだまだ残暑も残っています。大人の方で、汗をかいたせいで外耳道の蒸れが刺激となって、外耳道湿疹が外耳道炎化する方はまだまだ目立っています。
 9月下旬が秋の雑草花粉症のピークの時期です。キク科のブタクサも抗原性は強いですが、5月のイネ科のカモガヤのシーズンほど症状の強い例は目立ちません。

 いろいろなメディアで取り上げられ、菅官房長官までコメントを求められた「半沢直樹」の視聴率は、ご存知のように42.2%(関東地方)と高視聴率でした。マスコミではミタを抜いたと話題になっていますが、私としてはやはり、紅白との年間最高視聴率争いが気になります。今年の紅白は「あまちゃん」勢を総動員させるでしょうね。大晦日の視聴率は正月2日に発表されます。半沢の42.2%は紅白のここ数年の視聴率と比較しても絶妙な数字です。「半沢」VS「あまちゃん」、史上初めてドラマが紅白を抜くか? お正月にささやかな楽しみが増えました。
 前回のコラムでは、銀行員の出向に触れましたが、金融庁検査や疎開資料の件も、現実に起こった事件を題材にしているようです。某メガバンクが金融庁検査で引当金を積み増されて時の頭取が退陣、某メガバンクの合併前の非主流派の銀行出身者が主流派の疎開資料を内部告発して、主流派の役員が退任。一昨日も、みずほ銀行の反社会勢力への融資が金融庁検査で発覚たとの報道がありました。私はメガバンクの合併時の秘話に興味がそそられました。誰ひとり悪い人の登場しない「とんび」の視聴の前に、高杉良 作「金融腐蝕列島」を先に読もうと思います。
 経済の話題ついでに、この夏、私が読んだ本で最も印象深かったものを紹介したいと思います。「国債の歴史」富田俊基著 2006年度日経経済図書文化賞受賞の専門書で、県立図書館で貸出可です。国債のリスクプレミアムや調達の観点から見た壮大な中世~現代史です。なぜイギリス名誉革命が成功したのかに始まり、フランス革命、ナポレオン戦争、アメリカ独立戦争&南北戦争、帝政ロシアからロシア革命、ワイマール共和国からナチスドイツ、ポルトガルからオランダ、イギリス、アメリカへと覇権が移る構造、冷戦終結までの西洋列強の財政史が網羅されています。東インド会社などによる植民地経営や、日本の明治維新や昭和恐慌、現代日本の超低金利の財政史でもあります。お金の観点から見た歴史ですので、民族学、地政学、宗教、軍事の観点以上に人間の普遍性が露わになります。私は読み進める度にトレビア状態でした。例えば、戦争の帰趨は長期金利が予言してきた、王権ではなく議会の信任で国債償還が担保出来た英国が最も低利で戦費の調達が可能だった、日本は明治4年にはポンド建て国債を発行して借換債が今でも市場にあり円建て国債よりリスクプレミアムが高い、などです。明後日には安倍首相が消費税に関する発表を行います。消費税増税が是か非か? 日銀の金融緩和が是か非か? アベノミクスが是か非か? 日本の実験を世界の経済学者が見守り、誰も答えは知りません。本書はアベノミクスの後に来るものを予想するものではありませんが、通読することで長期金利というものの奥深さと歴史を知る事の重要性を感じ取ることが出来ました。
 あまりこんなことを書くと、お前は医者か?と言われそうです。先週、岩田健太郎著「99.9%が誤用の抗生物質」を購入しました。私は抗生物質を重用するドクターです。またの機会に書評したいと思います。  
     
8月 3日  猛暑が続いています。先月も触れましたが、例年6月7月に流行する小児の夏かぜが、今年は劇的に少なかったのですが、学童が夏休み入りした7月下旬にヘルパンギーナが保育園児の間で急に大流行しました。ただし今年の流行のタイプは症状が総じて軽い傾向にあります。
 耳鼻科関係のトピックスをひとつ紹介します。和歌山医大の耳鼻科、精神科、生理学、解剖学の共同研究で耳鳴りの関連部位を明らかにした、との報道がありました。MRIを用いた研究で、重度の耳鳴患者ほど、耳鳴の音は聴覚とは関係なく脳内の尾状核や海馬、前頭葉のネットワークに異常が見られたとのことです。臨床の立場の私の経験では、急性の内耳障害で急に耳鳴が発生する場合が多く、発症後2~4週間以内の急性期であれば改善する可能性があり、そのようなケースでは積極的に神経炎の治療を行っています。しかし、発症1ヶ月以上、特に6ヶ月以上耳鳴が治らない場合には難治となるケースがほとんどです。近年は脳内神経伝達物質に働く薬剤も開発が進んでいます。和歌山医大のような研究がすすめば、慢性で重症の耳鳴り患者への新たな治療法も見つかるかもしれません。 
  7日  今日は「鼻の日」です。夏休み期間は病院も時間に余裕ができるために、院内研修や設備の更新を積極的に行えます。先月に続いて、救命救急措置の研修が出来ました。設備関係では、昨年に屋根の塗装を行いましたが、今年度はコンクリート壁の補修とソファ類の張替が終わり、これから今月末までにデジタルレントゲン設備の更新を行います。また小さな改修ですが、西日の当たるチャイルドコーナーの窓に遮熱フィルムを貼りました。夏の遮熱だけでなく紫外線カットと冬の補温効果も期待しての遮熱フィルムです。これは私とスタッフによるDIY(日曜大工)で行いましたが、やはり素人仕事でした。一枚目のガラス窓のフィルムは気泡だらけになってしまいました。^^; 

 今月からマイコプラズマ迅速キットが保険適応になりました。当院ではこれまで、血液検査によるIgM抗体(急性期の抗体)検査をいち早く導入、昨年夏からは鼻汁から高感度に迅速検査できるLAMP法も取り入れていました。IgM抗体検査は病初期5日程度は陽性にならず、また、IgM抗体は6ヶ月から時に1年血中に存在しますので直接的な感染を確認できる訳ではありませんでした。マイコプラズマ自体(抗原)を測定するLAMP法も検査センターに提出するために、結果が判定するのは最短でも翌日でした。新しい迅速キットはインフルエンザの検査キット同様、5~15分でその場で判定が可能です。
 マイコプラズマ感染症は、咳が長引く場合の代表的な感染症のひとつですが、多彩な症状を惹き起こします。大人では微熱が持続する場合が多いが小児では急な発熱で発症する場合がある、皮疹を認める場合がある、下痢などの消化器症状が出る場合がある、中耳炎化する場合がある、などの様々な症状を併発する場合があり、かつ、重症化すれば肺炎から呼吸不全に至る、2年前からはマクロライド系といわれる一般的な抗生物質の耐性菌も増えてきているなど、風邪の経過を診る上では”曲者”の感染症です。
 新しい迅速キットはのどの粘膜を採取してマイコプラズマの存在を判定します。マイコプラズマは主に下気道で増殖します。上気道での菌濃度は下気道の100~1000分の1程度ですので、検査キットの感度以下だと陽性化しません。また増殖速度がマイコプラズマに比べて圧倒的に早いインフルエンザですら発症後2日目でも陽性化しない場合があり、インフルエンザ以上に病初期には検出出来ない可能性が高いと考えられます。これらのことから、検査が陰性だからといって必ずしも感染していないとは断定出来ませんが、検査が陽性であればマイコプラズマに現在感染していると判断出来ます。以上のことからその場で検査結果が得られる新しい迅速キットは、臨床の場では大いに活用出来そうです。 
  10日  毎日ひたすら暑いです。三津浜の花火大会が終わりました。今年は1万発と打ち上げ数も増えて、文字通り景気のいい花火大会でした。昨日から松山祭りが始まりました。千舟町通りの交通規制のおかげで、夕方の一番町周辺は大渋滞でした。今日からは高知のよさこい祭りの本祭も始まりました。12日からは阿波踊り、高松まつりも始まります。気になって調べてみると、阿波踊りの人出が130万人、よさこいが100万人とのこと。高松まつりも以前の上品な盆踊りスタイルから、ディズニーのパレードあり、踊りも型を気にしない総踊りとなり活気が溢れているようですね。夏祭りは、東北と四国が元気いっぱいです! 
 松山の夏祭りといえば、道後温泉夏祭りもあります。8月一杯かけて様々なイベントが行われています。夕涼みがてら温泉街をそぞろ歩く、、松山市民ならではの贅沢な夏の過ごし方です。
  
 夏休みも中盤になり、さすがに小児の手足口病も目に見えて減ってきました。アデノウイルスによる咽頭炎、へルパンギーナもごく少数です。子供達の夏かぜのシーズンも終わりが近いです。
 昨年、夏から徐々に増えてきた小児のRSウイルス感染症ですが、当院での発生状況を見ると、昨年以上に立ち上がりが早く、7月初旬から発生が目立っています。例年、11月から1月にかけての冬に多いRSウイルス感染症ですが、今年も昨年のパターンのように夏から秋にかけて徐々に増えてくるのか? 秋は少なくなるのか? 注意して診察をすすめてみます。
  急性喉頭蓋炎、喉頭浮腫など。

 息きつて 発句もできぬ あつさ哉  子規(ちなみに子規の俳句の中では最も暑い句でしょうか) 
  11日  今週13日から16日までの4日間、当院ではお盆休みを頂きます。お正月休み同様、当院ではまとまったお休みですので、いつもながら経過の優れない患者様のことが気にかかります。恐縮ながら私も県外に出る予定で診療は出来ませんが、当院かかりつけの方で病状が気にかかる方は、遠慮なく院内掲示やパンフレットでお伝えしている連絡先までご相談さい。 
 お盆休みは、学童が夏休み終盤の上に、大人も保育園児も集団生活の機会が少なくなります。さらに子供達の世代はプール遊びをする機会が減り、学生のスポーツの機会も減ります。そのため、風邪が流行らない、小児の中耳炎が治りやすい時節です。少し暑さがしのげるようになって、台風シーズンのような気圧の変動はありませので、メニエール病や気道過敏症などの気候の変化で誘発される病気も発生しにくくなります。このホームページをご覧の方々が、ゆったりとしたお盆を過ごされることをお祈りしています。
  16日  当院のお盆休みも終わりです。休み期間中はご迷惑をお掛けしました。猛暑の中、おかげで私も英気を養うことができました。明日からは通常通りの診察となります。宜しくお願いします。

 猛暑についての11日のコメントの後、12日に四万十市で41.0℃と観測史上の最高気温となりましたね。過去に記録の出た熊谷、多治見、甲府は盆地ですので気温が上がるのは納得していたのですが、なぜ太平洋岸の四万十市で史上最高??と思いましたが、観測地点の地図を見て納得しました。観測点は四万十市でも内陸、愛媛県との県境に近い盆地のような地形でした。うれしくない記録?かもしれませんが、愛媛に近い四国で日本一が増えるのは悪い事ではありません。(^'^) 
  22日  暑い日が続いています。雨が全く降りません。四国の水瓶、早明浦ダムの取水制限が強化されました。当院でも玄関脇の豆つげが茶色くなってきました。(;_;)
 お盆明けで、諸々の感染症は少なくなっています。当院では7月下旬から小児のRSウイルス感染症がやや目立っていましたが、愛媛県の感染症情報でも徐々に増えてきています。例年ならば11月から1月にかけて目立つRSウイルスですが、昨年は夏から秋、冬へと徐々に 増えていきました。今年は昨年以上の立ち上がりですので、これから冬に向かって小児の感染症としては注意して見ていきたいと思います。当院では少なくなった手足口病ですが、愛媛県でも全国的にも、お盆の時期でも発生は減っていません。当院では手足口病の二度罹りのお子様は診ていませんが、愛媛県でも3パターンのウイルスが検出されています。これから9月まで、手足口病の二度罹りにも注意したいと思います。沖縄では今年も夏にB型インフルエンザが発生しています。沖縄では通年生の発生がもう8年目です。松山での発生はありませんが、松山も沖縄直行便が毎日運航されています。急な発熱の患者様には、ひょっとしたら、、とは念頭に置いておきます。
 マイコプラズマの院内で判定できる迅速検査キットが8月から活用できるようになりましたが、やはり便利です。咳や微熱が長引く患者様の鑑別診断のためには大いに役立っています。
 耳鳴の薬物治療薬には、ビタミンB12、アデノシン酸、末梢血流改善剤、抗不安薬、抗うつ薬、漢方薬などがあります。当院でも種々活用してきましたが、ストミンAという薬も再活用することにしました。ストミンAは内耳の蝸牛血流量を増加させるとともに、騒音刺激による内耳電解質変動に対して予防効果を示します。保険適応の点では、唯一の耳鳴緩和剤です。市販薬のナリピタンも同等の成分ですので、ネットではいろいろな口コミを見ることができます。私はよく「耳鳴、肩こり、腰痛は健康雑誌にも毎回特集が出るくらいで、特効薬は無いです」とお伝えしているのですが、ナリピタンの評価も、やはり様々です。ナリピタンを自分で購入して長期間服薬するくらいなら、病院の処方で試してもらった方が安くつきます!という観点からも、古いお薬ではありますが、ストミンAを再評価して活用したいと思います。

 今月末に、院内のデジタルレントゲン装置の更新を行います。レントゲンのカセットを読み取り装置に通すシステムから、据付けのCCDパネルで直接読み取る装置への更新です。パソコンも同時に更新します。こんどのパソコンは、モニターがDVI(デジタル)出力でフルハイビジョン画質、ハードディスク(HDD)が、フラッシュメモリとHDDが共用できるハイブリッドHDDで、高容量のHDDのままでSSD並みにパソコンの立ち上げや読み込みが早くなります。テレビや、スマホ、タブレット端末の進化が注目されるデジタルの世界ですが、パソコンも2~3年で別世界ですね。 
  25日  今日は恵みの雨です。ただし、血管運動性鼻炎や咳喘息などの気道過敏症や、メニエール病、片頭痛などが目立つ気候です。夏バテのせいで、疲労が蓄積して、自律神経の失調が強くなり、水分摂取の乱れで体内のナトリウム、カリウムなどの イオンのバランスが崩れたりしていると、症状は増悪しやすくなります。今年は空前の猛暑でしたので、休養や睡眠を十分に取って、夏バテ解消を目指して下さい。
 猛暑のせいでお盆を過ぎても外耳炎の方が目立ちます。そろそろ秋のイネ科花粉症を感じる方の来院も始まりました。 
  31日  8月も最終日です。今週に入り猛暑が和らぎ雨も降って、グッと秋の気配です。松山は水不足無く台風シーズン入りです。学生さん達は明日もお休みで、ちょっとお得な夏休みです。

 頭痛の原因は多岐にわたります。耳鼻咽喉科でも頭が痛い、首が痛いとの主訴で来院される方は少なくありません。耳鼻科の視点で見ると、鼻炎が強いと副鼻腔炎まで至らなくとも副鼻腔の陰圧で目の周囲に痛みを感じる”副鼻腔ブロック”という病態があります。鼻炎の強いお子様の中には頭痛を感じるケースも少なくありません。よくお母さま方にお伝えするのですが、鼻炎も体質のひとつとも言えますので、症状が軽ければ治療をせずに様子を見てもいいです。しかし、小学生高学年以上で、鼻炎が強く鼻閉からの集中力不足や頭痛のようなような強い症状が続くようであれば、治療した方が生活の質が高まります。また別の視点では、大人で頭痛はなくめまいが主訴で来院するケースの中には、片頭痛の機序が隠れていてめまいを誘発する場合もあります。痛みは目に見えませんので、広い視野からの鑑別診断が求められます。
 最近、私の外来で興味深いケースがありました。個人情報の問題もあり具体的な例示は差し控えますが、ある頭痛を訴える患者様で、耳鼻科の一次的な診察では、副鼻腔ブロックや、めまいの代表的な疾患が痛みの原因と考えられましたが、医療用の各種鎮痛剤では痛みが軽減せず、市販の頭痛薬の中でも特定銘柄のものだけが有効だと訴えられました。念のため、その市販薬の成分を調べたところ、ベースとなる消炎鎮痛剤に市販薬レベルの軽い精神を鎮める成分が含まれていました。頭痛が、精神的な疲弊で強く感じたのか、鬱病や抑うつ状態でなくても抗うつ剤が脳内の精神伝達物質の疼痛刺激のブロッカーとして働く機序と同様に、精神安定剤(マイナートランキライザー)的な成分が中枢神経内で疼痛の伝達をブロックしているとも考えられました。この患者様には、医療用の消炎鎮痛薬と短期作用の精神安定剤を屯用として処方しました。(今後、症状が続いたり痛みのコントロールが難しくなった場合には、片頭痛、緊張性頭痛、神経痛、心因性頭痛、脳腫瘍、脳血管障害などへのアプローチが必要で、神経内科や脳外科、麻酔科、精神科へのコンサルトも考慮することは当然です) 耳鼻科の限られた診察時間で精神科的なアプローチはなかなか出来ませんが、患者様の服薬の経緯を調べるだけで治療のヒントになりました。広い視点で患者様の病態を探る重要性を改めて再認識しました。 
     
7月  5日   今日は猛暑で梅雨開け間近のようでした。
 7月に入り、さすがに小児の夏かぜが少しずつ増えてきました。今日は今シーズン初めてヘルパンギーナのお子様を診察しました。 全国的にはアデノウイルスによる咽頭結膜熱の報告も増えています。これから7月いっぱいは、小児で急な発熱と強いのどの痛みが症状の主体となる夏かぜの流行期となりそうです。
 インフルエンザは沖縄を除きほぼ終息しています。沖縄は7年前の06年以来毎年夏もB型を中心としたインフルエンザの流行が続いています。
 徐々に蒸し暑くなり汗をかく機会も多くなってきました。外耳炎、鼻出血が少しずつ増えています。
  8日   一昨日、当院では蝉が初鳴き。昨日は関東地方が梅雨明けで松山でも入道雲が見えました。今日は松山も梅雨明けで、熱帯夜で昼間も猛暑でした。いきなり夏本番です。梅雨明けが早い分、今年の夏は長くなりそうです。  熱い日は 思ひ出だせよ ふしの山  子規

 昨日、当院ではRSウイルス迅速検査陽性のお子様が3名も見られました。今の時期にしては珍しいです。また単純ヘルペスによる歯肉口内炎のお子様も見られました。これから夏かぜのエンテロウイルス類やアデノウイルスが増えると思われることから、感染症の病原微生物の検索としてはこのあたりに注目するのはもちろんですが、RSウイルスやメタニューモウイルス、風疹ウイルス、エコーウイルス、マイコプラズマ、クラミジアなど様々な病原微生物の存在も視野に入れ、さらに夏に特有の虫刺や夏カビ(トリコスポロンなど)による夏型過敏性肺炎などのアレルギー、熱中症や鬱熱(うつ熱)などの体温調節異常など、様々な病態にも注意して診察を進めたいと思います。
  動脈性鼻出血への鼻粘膜焼灼術、唾石摘出術、扁桃誘発テスト、百日咳、中耳真珠腫、突発性難聴など。 

 9月7日の夏季五輪の開催都市決定まであと2か月を切りました。今年に入って薄明りの見えてきた日本です。候補都市の中で東京が選ばれる可能性は今年に入って30%から50%ぐらいにはアップしたようにも感じます。三保の松原の世界遺産登録の時のように、日本が不得意とされるロビー活動も上手に進めて、東京招致決定で、ALWAYS三丁目の夕日の頃の高揚感をもう一度感じたいものです。
   YouTube いきものががり/風が吹いている へ 
  15日  海の日です。猛暑です。当院でも熱中症の患者様を見かけるようになりました。先週は、暑さとプールの刺激が影響して、外耳炎や鼻出血も目立ちました。時には動脈性の出血も見られます。動脈性、静脈性でも拡張した血管が太い、スポーツや宿泊訓練などで出血が起こると困る、などのケースでは血管の凝固処置を行っています。
 手足口病が少し増えてきましたが、ヘルパンギーナ、アデノウイルスともに少なく、やはり今年の夏は、小児の夏かぜが記録的に流行らない夏になりそうです。(^^)  今週末には学童が夏休み入りします。未就学児の年代では7月末までは夏かぜはやや増えますが、小児全体で見れば夏かぜの発生は今週がピークになりそうです。
 全国的に風疹の発生が減少に転じたとの報告がありました。松山では流行的な発生にならずに終息してしてほしいものです。 
  28日  今日は梅雨明け後、久々の雨模様でした。
 夏休みに入り、風邪にかかる方はめっきり減ってきました。記録的に夏かぜの流行らない7月でしたが、7月後半から幼児の年代では手足口病が急に増えてきました。7年前に流行した手足口病はエンテロウイルス71型で無菌性髄膜炎化する例もありました。2年前に流行した手足口病はヨーロッパから伝播した新しいタイプで、手や足先の皮膚が剥脱する例もありました。今年流行の手足口病の当院での特徴は、発熱は長引かず、口内炎は軽く、手足の皮疹が体の中枢側のおしりや肩、時には顔面まで広がる傾向にあります。今後のウイルス解析の報告が興味深いです。
 夏真っ盛りとなり、外耳炎の方が目立ちます。鼻炎や湿疹体質の方は耳の奥を痒く感じる傾向にあるため、1年を通して掻破から外耳炎を惹き起こす方が時々来院されますが、汗をかく今の季節には、鼻炎や湿疹体質が無く普段は外耳炎を起こさないような方でも、外耳道の炎症を起こしやすくなります。 
 夏休みに入り患者様の受診パターンがいつもと違ってきます。子供たちがお休みのせいで、午前の外来がやや混み合い、午後は診察が途切れる時間も出てきます。例年この時期を利用して、スタッフの研修を行っています。昨日は、救急処置の研修が出来ました。
 
 頚部リンパ節炎、扁桃周囲炎、突発性難聴、外耳道真菌症など。 
     
6月 3日  今日の午後は、梅雨の合間の晴れ空でした。感染症では、溶連菌咽頭炎、アデノウイルス感染症がやや目立つ程度で、症状の軽い普通感冒の方がほとんどです。
 中耳炎が1年で一番治ってほしい5月も終わりました。6月になっても滲出性中耳炎が軽快しないお子様を前にすると、私も心苦しいです。中耳炎が両側で滲出液が粘稠なため中等度難聴が続く場合、鼓膜の陥凹などの変形が強く癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎への移行の可能性がある場合、鼓膜の菲薄化が進行する恐れのある場合、耳小骨の関節の硬化による伝音性難聴の進行が疑われる場合などには、已むを得ず鼓膜チューブ留置術を行っています。チューブを留置しても、耳栓着用でスイミングは可能です。夏本番はもう直ぐです。止む無くチューブを入れた子供達も、しっかりと夏のプールを楽しんでもらうよう、生活のアドバイスを行っています。 
  4日  ザッケローニ・ジャパン、ワールドカップ出場決定! おめでとう! 私はドーハの悲劇がいまだPTSDとなって残っています。内心もうだめか、と思いました。本田選手の能面、メンタルはさすがです。
 良性発作性頭位幻暈症(BPPV)の治療法として、三半規管に浮遊する耳石を再配置するエプレイ法があります。このエプレイ法をサポートする治療器具 DizzyFIX を導入しました。今日は私も被検者になりこの治療法の訓練を行いました。当院におけるBPPVの治療でおおいに活用したいと思います。  
  11日  台風3号が太平洋の風を運んできています。今日は真夏を思わせる蒸し暑さでした。
 例年なら今頃からヘルパンギーナや手足口病などのエンテロウイルスによる夏かぜが小児で流行り始めるのですが、今年はまだほとんど見かけません。 もう一つ、夏かぜの代表的なウイルスにアデノウイルスがありますが、こちらも散見される程度です。アデノウイルスはのど、目、おなかで反応が強くなる事が多く、目だけで反応するタイプが流行性角結膜炎、のどと目で反応して高い熱が出やすいのが咽頭結膜熱ですが、現在見られているタイプは、アデノウイルスの中でも反応が軽く咽頭扁桃炎で終わるタイプです。これは今年の冬から発生しているタイプが引き続き流行しているものと思われます。
 昨日、4日前と、複数の近隣の小学生でB型インフルエンザが見られました。昨シーズンは5月いっぱいで見られなくなっていましたので、今シーズンは流行シーズンが長くなっています。ただし集団発生までは至らないようです。
 中耳炎が治りやすい気候の5月に反復性や難治性の中耳炎が治りきらなかった子供達を診察する際は、どうか治っていますようにと念じながら鼓膜を診ています。ハウスダストによるアレルギー性鼻炎がある子供たちは、これから高温多湿になる梅雨の後半期を迎えて中耳への換気機能が改善しにくくなることから、中耳炎も治りにくくなります。小中学校ではプール開きも始まりました。6月下旬からは保育園児達のプール遊びも始まります。中耳炎が治っていないとプール遊びにも気を使います。急性期の中耳炎での水泳は基本的には控えてもらうのですが、急性期から移行したタイプも含めて滲出性中耳炎が治っていない子供達については、できる限り水泳の授業やプール遊びに参加できるように治療を進めたいと思っています。 
  16日  空梅雨が続いています。松山は早くも取水制限が始まりました。
 小児の”夏かぜ”はまだ流行りませんが、昆虫による外耳道異物、外耳炎、外耳道真菌症、鼻前庭湿疹からの鼻出血など、外来は少しずつ夏の趣です。  
  22日  ここ二日の雨で松山の水不足は解消です。しかし梅雨らしい気候になったために、メニエール病が増悪した方が目立ちました。
 今の時期にしてはびっくりするくらい 、まだ小児の夏かぜが流行りません。愛媛県の感染症データでも、ヘルパンギーナ、手足口病は本当に少ないです。例年、夏休みも後半になると子供たちの集団生活が無くなるために風邪が流行らなくなり、当院の外来ものどかになるのですが、今年は今の時期からのどかな外来です。(^.^) しかし、昨日の報道で熊本県で手足口病が流行とありました。これから7月中頃にかけて少しずつ夏かぜが見られてくると思います。
 ここ10日程、B型インフルエンザは見かけなくなりました。台湾では中国で発生した新型鳥インフルエンザとは違うタイプの鳥インフルエンザでの人への感染が確認されました。今年は日本の近隣で新型インフルエンザの発生が続いています。今後の発生動向には注意したいと思います。

 久方ぶりに”おもしろ消しゴム”を用意しました。いろいろなキャラクターのかわいい消しゴムで、以前差し上げていた頃には、子供達に大好評でした。鼓膜切開や採血などの気合の要る治療を頑張った子供達にプレゼントしたいと思います。 
  30日  梅雨空が続いています。一昨日、当院では今夏初めて典型的な手足口病のお子様を診察しました。やはり今年の夏かぜは流行の立ち上がりが遅いようです。  
     
5月 5日  今日は子供の日。松山市内も県外ナンバーの車が目立ちます。特にゴールデン・ウィークはバイクツーリングのグループが目につきます。新緑の中のツーリング、ライダーの皆さんもさぞ気持ちがいいのでしょうね。 ゴールデン・ウィーク後半の4連休は私も少しだけのんびりさせて頂いてます。
 連休に入っても急な発熱の方が目立ちました。中耳炎の急性増悪、B型インフルエンザの散見、めまい発作、急性感音難聴など、様々な病態の方が来院されました。連休の合間の3日は外来も混み合い、来院された皆様にはご迷惑をおかけしました。
 ヒノキ花粉の飛散は4月26日で終了の見込みです。山口県医師会の報告では、スギ花粉の飛散が過去3番目、ヒノキ花粉は過去最多とのことでした。予想以上の飛散でしたが、この連休でスギ・ヒノキの一連の花粉症シーズンは終わりです。これからの5月は、風邪も流行らず、気道過敏症が起こりにくく、雑草花粉症以外の花粉は飛ばず、子供がもっとも中耳炎を起こしにくく、かつ治りやすくなる季節です。インフルエンザは恐らく昨年並みにB型の発生がわずかに続きそうで、耳鼻科医としては学校健診の準備で少しドタバタしますが、連休明けの外来はのどかになっているでしょう。(^^)
 当院ではお休みを利用して外壁のコンクリートの補修を行っています。ちょっとリフレッシュして連休明けの診療を始めようと思います。  
  12日  ゴールデンウィーク期間中に西中学校で学級閉鎖がありました。連休が明けても、当院近隣の複数の中学校で集団発生が見られています。当院でも1才児から小学生、中学生、高校生、成人と広い年代でインフルエンザが散発しています。4月下旬からは全例B型です。昨年同様、5月いっぱいはB型の発生が続くものと思われます。今週、市内の小学6年生は修学旅行に出発します。今日は、B型陽性の小学6年生も何人か見られました。落胆した子供たちを見ていると、本当に心が痛みました。 
 前回の疾患情報で、ヒノキ花粉の飛散終了は4月26日か?とお伝えしましたが、連休明けの7日までヒノキの飛散が観測されています。飛散終了日に関しては、もう少し経過をみてみます。
 連休中、連休後と立て続けに成人の急性喉頭蓋炎の方が来院されました。いずれもインフルエンザ桿菌などの細菌性の高度な炎症が疑われました。喉頭蓋は声を出す声帯と舌根の間に位置する軟骨で、声帯の上のひさしみたいなものです。嚥下時に誤嚥しにくくしたり、異物が気管に入るのを防ぐような働きがあります。喉頭蓋や声帯周囲が腫れると呼吸困難を起こします。成人の急性喉頭蓋炎と小児の声門下喉頭炎は、耳鼻科領域の救急では最も注意しなければいけない疾患のひとつです。幸、呼吸不全で一刻を争う状態ではありませんでしたが、応急処置の上、入院施設のある耳鼻咽喉科病院に紹介しました。喉頭蓋の内側(喉頭蓋喉頭面)や声帯の下(声門下腔)、食道と気管の境目(喉頭披裂部)に浮腫を認める際には、呼吸困難に至らないよう最善の注意を払います。 
  20日  気持ちの良い初夏の陽気です。今日は朝から中耳炎がスカッと治る子供たちが多く、私の診察も快調でした!
 中学生を中心にB型インフルエンザが散見されましたが、学級閉鎖が広がるほどの流行拡大はなさそうです。
 今年2月よりヒト・メタニューモウイルス(hMPV)の迅速検査が行えるようになりました。聴き慣れないウイルスですが、少し紹介してみます。hMPVは2001年にオランダで同定されたウイルスですが、以前から存在していたと考えられています。RSウイルスに似た病原性を示し、RSウイルス同様に直接効く抗ウイルス薬はないため、治療もRSウイルスに準じます。ウイルス性の呼吸器感染症の中で、小児の5~10%、成人の2~4%はhMPVが原因と推測されており、母親からの移行抗体が消失する生後6ヶ月くらいから感染が始まり、2歳までに50%、10歳までにほぼ全員が感染し、その後何度も再感染を受けます。初感染はRSウイルスより遅い傾向にあります。重症例は乳幼児、高齢者に見られることが多いのですが、全ての年齢層に上気道炎から細気管支炎、肺炎まで引き起こす可能性があるウイルスです。流行時期は3~6月とされていますので、今の時期がちょうど流行シーズンと言えます。迅速検査が出てきたおかげで、今の時期の幼児で発熱が長引いたり、咳症状が強いケースでは、鑑別診断に役立ちます。当院でも必要に応じて活用し、小児科との連携に役立てようと思います。
  22日  さわやかな陽気が続いています。今日水曜日は午後から”さくら小学校”の学校健診を行いました。健診は午後の5時間目の時間帯を中心に行います。昼休みに元気に校庭で走り回って、健診の際にも汗だくの子供たちも多かったです。今日は200名強の児童を健診しました。耳鼻科の校医は基本的に1校に1名ですので、毎年在校生全員を検診することは実際的ではありません。”選別健診”といって、保護者からの問診表を基に、耳鼻科疾患が疑われる児童を検診します。今日は学校健診の健診病名についてお話ししてみます。
 現代の小学生の約半数はハウスダストの抗体を有しているとの報告もあるぐらいですので、問診表の段階で鼻炎症状がある児童の大部分はハウスダストを中心としたアレルギー性鼻炎があります。しかし健診では軽度のアレルギー性鼻炎の児童には病名は付けません。鼻詰りタイプの鼻炎で日常生活に明らかに影響が出ていると思われる児童に病名を付けます。健診は、1年の中でハウスダストの刺激が最も少ない5月の、自律神経の状態が最も安定している午後の時間帯に行っていることになりますので、健診でアレルギー性鼻炎と指摘された児童は、一部の雑草花粉症の児童を除き、高温多湿でダニ・カビが繁殖し、クーラーなどで外部環境の温度変化が大きくなり、プールの塩素で粘膜が刺激されるこれからの6月から9月にかけては、より一層鼻炎症状が強くなる可能性が強いと言えます。健診で病名がついた児童はあくまでも症状の強い児童だけですので、健診で異常無しと判定されたとしても鼻炎がないということではありません。検診終了後にはこの辺りのことを養護の先生にもお伝えしました。
 アレルギー性鼻炎以外にも、耳垢栓塞、滲出性中耳炎、副鼻腔炎、扁桃肥大、アデノイド増殖症、音声言語異常など様々な健診病名の児童が見られましたが、いずれも程度の強い所見のはっきりした児童に病名を付けました。特に両側の滲出性中耳炎の児童は、中耳炎になりにくくかつ治りやすい5月でも中耳炎で、また、今回は問診表から現在も耳鼻科に通院中であることが判っている児童は健診は行ってないことから、本人も保護者も気付かないままに難聴が続いている可能性があります。検診で「滲出性中耳炎&難聴疑い」との報告書をもらった児童の保護者の方は、ぜひ一度耳鼻科を受診してみて下さい。 
  27日  今日、四国と九州、中国地方が梅雨入りしました。四国は例年より9日早いとのことです。これまでの2週間がイネ科雑草花粉の代表であるカモガヤの飛散のピークでした。今日までの診察では「あと2~3週間、梅雨入りまでは花粉症が続くと思います。スギ花粉症の人の3割はイネ科花粉症を持つとのデータもあります。」 などとお伝えしていたのですが、気象庁の発表を聞いて、速い梅雨入りにビックリです。スギ、ヒノキの花粉は市街地では夕方を中心に天から降ってきますが、雑草の花粉も100mぐらいは飛散します。梅雨入りが早いからと言って雑草の花が咲かない訳ではありませんが、雨模様だと花粉は周囲に広がりませんので、花粉症として感じる方は激減すると思います。雑草花粉症に方には、梅雨入りさまさまですが、ハウスダスト・アレルギーの方にとっては、高温多湿でダニ、カビが繁殖する季節となりますので、気道過敏による諸症状の増悪に注意して下さい。 
  29日   今週土曜日 6月1日は臨時休診させて頂きます。実は当院スタッフの結婚式です。(^^) お仕事や通学の都合で土曜日しか来院できない方には大変恐縮ですが、何卒、ご理解の程、お願いいたします。翌日曜日はしっかり診療いたします!
 昨年同様、B型インフルエンザはほとんど見られなくなりましたが、まだ僅かに散見します。その他には、溶連菌咽頭炎、ヒト・メタニューモウイルス感染症、マイコプラズマ感染症が散見されますが、病原菌の特定できる感染症はごくわずかになりました。例年ならば幼児の年代でへルパンギーナなど夏かぜが流行り始めるのですが、今年はまだ見かけません。ほとんどが一般的な症状の軽いウイルス性上気道炎です。
 学校健診の結果通知表を持って来院する児童が増えてきました。アレルギー体質や扁桃肥大の体質、鼻血が出やすい素因、声枯れ、めまい、耳鳴りの対処法などなど、治療よりも、子供達の体質と日常生活での対処法を説明する診察が多くなっています。 
     
4月 2日  新年度です。今年は診療報酬改定の無い年ですので、レセプト・コンピューターが正常に稼働するかなどを気にする必要がありませんでした。本日、春のセンバツ高校野球では愛媛県代表の済美高校と高知県代表の高知高校の間で準決勝が行われました。ベスト4に四国から2校残り、四国の人間としてはどちらにも勝たせたいといううれしい悩みのある対戦でした。9回表、1点リードの済美は無死3塁のピンチ。安楽投手の力投で済美が守り抜きました。ちょうど午後の診察中でしたが、待合室はハラハラ・ドキドキ、おおいに盛り上がっていました。済美高校は2年生で既に大型投手の安楽君を擁しています。これから2年間、済美の第二期黄金時代がやってくるのでしょうか?

 関東地方を中心に流行の広がる風疹ですが、愛媛県でも感染の報告がでてきました。風疹も発症初期は、首の後ろのリンパ節の腫れだけのことがあります。また発疹や発熱がでても、初期であれば溶連菌感染症やウイルス性発疹症との区別がつかない場合があります。耳鼻科医としても、風疹の初期症状に留意して診察したいと思います。
 スギ花粉の飛散も、先月の27、28日と2日続けて観測しない日がありました。3日続けて観測しないと飛散終了日となります。今週後半、ないしは来週早々には飛散終了日を迎えそうです。ヒノキ花粉症を合併していない方や、ハウスダスト・アレルギーや他の鼻粘膜過敏症がなくてここ数日花粉症症状をほとんど感じない方は、そろそろ服薬を止めてもよい頃合いです。当院で処方した内服薬は、まず来シーズンまでは有効期限内だと思いますので、今シーズン用で余ったお薬は、来シーズンの飛散開始の1週間前(平年並みならば1月下旬が目途です)から服用し始めると初期治療用のお薬になります。今シーズンは予想以上にスギ花粉、ヒノキ花粉ともに飛散しました。また松山では来年はスギ花粉飛散の裏年に当たります。まだスギ花粉の飛散が終わっていないのに気が早いのですが、来シーズンはスギ花粉症の方にとっては快適なシーズンとなりそうです。

 


 春爛漫の石手川公園と松山気象台です。 
  6日   全国的に春の嵐が吹き荒れました。松山では今日のお昼は、心配されるような強風は認めませんでしたが、今日から明日にかけて気圧や気温の差が大きくなります。気道過敏症やメニエール病など気圧で影響を受ける方は体調を崩さないよう注意下さい。スギ花粉はわずかながらまだ毎日飛散しています。飛散終了は来週に持越しです。

 今日は本を題材にした徒然を。新聞の広告欄で、近藤 誠氏の第60回菊池寛賞受賞作「医者に殺されない47の心得」が目にとまりました。一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな、軽い風邪で抗生物質を出す医者を信用するな、等の内容が紹介されており、私も気になり購読しました。一読すると、なるほど、、確かに、、と共感できる点も多々ある本でした。ネット上では様々な反響が起きますので、あえてこのホームページでは具体的な書評はしないことにします。通販サイトのアマゾンにはこの書籍への様々な立場からの書評が掲載されています。アマゾンに登録した会員からの投稿ですので、匿名掲示板の書込みよりは重みがあると思います。気になる方はアマゾンのサイトを覗いてみて下さい。ちなみに私はアマゾンのレビューの中で特に ”手術や抗がん剤治療などの積極的な治療を行わない人が増えれば、国民医療費が少なくてすむ”との意見が、治療や検診を受けるか受けないかという論点とは違った観点で印象深かったです。 アマゾン カスタマーレビューへ

 ここから少し、私の”治療を受けるということは”に対する徒然を述べてみます。私の処世訓を挙げれば「しょうがない」「物事に絶対の正解はない」です。人生でも仕事でも病気でも、意に沿わないことだらけです。起こったことはしようがない、けど、後悔はしたくないので出来る限り次の一歩は自分で決断したいと思っています。けれども状況は刻一刻と変化します。視点を変えれば答えは変わります。後悔しないために、出来る限り多角的な視点から物事を判断できるべく情報を収集して、前向きに進みたいと思っています。外交交渉も立場が替われば利害が180度違います。自然科学で絶対ともいえる数学でも、高校レベルの幾何代数より上のレベルでは答えがない命題は多々あります。物理学でも、量子力学までゆけば最後はゆらぎをどう捉えるかとなり答えは一つではなくなります。原発問題でも、人類の歴史が2万年で、40万年前の活断層をどう捉えるのか。震災問題でも、千年に一度の災害にまで備えるのか。法学、経済学に基づく政治や市場経済などの社会科学ならばなおさら答えはひとつではありません。リフレ政策で、将来長期金利急騰の副作用が起こるのか。GDPが増えるインフレ社会が本当に幸せなのか。社会保障と国民負担のバランスをどうとるのか。幸福を感じるとは、絶対的なことなのか、相対的なことなのか。行き着くところは哲学です。医学は自然科学分野、医療制度は社会科学分野で、やはり答えはありません。これは私の主任教授から叩き込まれたことなのですが、医学論文でも母集団の取り方や検定の仕方で有意差判定は変わってきます。医学論文ですら絶対的な答えはないぐらいですので、症例報告レベルの意見はあくまでも意見として、偏った見方にならないように自分の中に取り込む必要があります。一言で、癌や風邪と言っても、100人いれば100人の多様な病態があり、病気の治療を受けるということは、確率論的な医学をどう活用するか、社会科学的な医療をどう活用するか、やはり画一的な答えはありません。

 癌や感染症は異物と体の戦いです。癌は自分の体から発生しして過増殖する細胞の塊です。風邪は病原菌が体内に入って体内の細胞に障害を及ぼします。普通は風邪は自然に治りますし、癌だって自分の免疫力で抑え込むことができますので、笑いの絶えないような朗らかな生活で免疫力が高まれば、癌の自然治癒もあり得ます。大病院でご遺体を病理解剖させて頂くと、死に至った原疾患以外にも、隠れた癌は結構見つかります。耳鼻科関係では甲状腺の隠れた癌は珍しいものではありません。一言で癌と言っても、種類は様々で、実は悪性と良性の間に境界はありません。病巣の細胞の分化度や増殖能力をみて、病巣部で過増殖をして正常組織を破壊していくのか、他の部位に転移して増殖する能力があるのかを判断します。私も含めて外科医は、生検や手術で摘出された病理標本を観察した病理医のレポートを基に、どのよう治療するか判断します。手術中なら、摘出した病巣を術中迅速診断で病理医が悪性度を判断します。術中に外科医も摘出範囲をどうするかシビアな判断を求められますが、実は、病理医はそれ以上にシビアな判断を求められます。癌細胞は正常な細胞より元気なことが多く、正常な細胞を破壊して体内の栄養分を奪い取りますので、癌が重症になった場合には体はやせ細ってゆきます。抗がん剤による治療もつきつめれば”癌細胞が先に死ぬか、正常細胞が先に死ぬか””自分が死ねば、自分を苦しめた癌も死ぬ”との、ぎりぎりのところでの治療です。そのために、当然毒物の抗がん剤ですが、いかに癌細胞だけにダメージを与えることができるか、いかに標的の臓器でのみ働くかを目指して、開発が進められています。手術で取りきれたかにみえても、術創周囲の血行やリンパの流れが阻害されて僅かに残った癌細胞が局所で再発する、すでに転移しており手術を受けたこと自体や術後の経過で免疫力が落ちて、逆に残った癌細胞が勢いづく場合もあります。自分の免疫力で抑え込んでいて放っておいても過増殖しない癌もあれば、前癌状態ともいえる本来の正常細胞よりも未分化だが増殖能が進化しない境界型の癌、悪性度は高いものの血行性やリンパ行性で遠隔転移しにくく手術で取れ切れる癌、など様々なタイプがあり一概に言えません。

 かぜの治療も答えはありません。治療をする立場として私は、可能な限り病原菌を特定したいと思います。特定できなくても出来るだけどのような病原菌が疑われて、どのような経過で治っていくのかを考えて処方しています。インフルエンザも含めてかぜは自然に治ることが多いけれども、時には命にかかわる事もあり得ます。風邪がきっかけとなって本人が以前から持っていた中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎、気管支炎などの慢性病変が悪化したり長引いたりして、風邪+αでデメリットが大きくなることもあります。学校でも職場でも早く復帰できた方が本人にメリットがあるのか、社会全体でメリットがあるのか。医療費がどれだけ高額だと本人の許容範囲を超えるのか、医療保険の観点で社会全体の負担にどれだけ影響するのか。薬剤を使うことによって自然の免疫力が落ちたり、薬害を誘発しないのか。様々な観点から、抗生物質も含めて薬が患者個々人に有用かどうか判断して処方します。「軽い風邪で”やみくもに”抗生物質を出す医者を信用するな」は本当でしょうが、「軽く見える風邪でも体に負担をかける病原菌に感染しているかどうかを想定して、必要に応じて抗生物質を出す医者」は信用してもいいのではないでしょうか。

 治療を受ける患者の立場から見ても、様々な要望があります。会社や学校の都合で待ち時間が許せない方。再診はしたくない意向の方。費用負担は極力少ない方がよい方。病院で別の病気をもらう可能性のリスクに耐えられない方。重大な病気でなければ体力で頑張る方針の方。とにかく早くスッキリ症状が無くなってほしい方。せっかく病院を受診したのだから風邪をこじらさないとのイメージで抗生物質の処方を希望する方。実に様々な方がいます。私の診察の言い訳になってしまいますが、待ち時間が長くなった時に診察時間を短くする事を優先して、十分に患者様の要望を捕えきれていない時があります。問診表で得た情報に関する受け答えは省略して、誘導尋問みたいに次のステップの問診を進める場合があります。初診の患者様にしっかりと自己紹介している訳ではありません。これも言い訳ですが、病院勤務時代は、もちろん入院患者様や家族にはしっかり挨拶していたつもりですが、、 この冬も、まずご自身の考えを伝えたい患者様の話の腰を折って、苦言を呈されたことがありました。反省しきりです。またある授乳婦の患者さまから赤ちゃんへの影響が怖いので薬は最低限にとの要望があり、授乳に影響がないことを説明して3種類の風邪薬を処方したところ、その後様々なやりとりがあって結局1剤になったこともありました。抗がん剤ほどではありませんが、一般的な処方薬も体内に自然ではない変調を来すことによって薬効が発現されますので、お薬も”体の毒”には違いありません。薬は相互作用で変調が増幅されることもありますので、”ひとつの病態”ごとには最低限のお薬が好ましいのはもちろんです。「一度に3種類以上の薬を出す医者を信用するな」はある意味その通りです。ただし一方で、薬剤数を気にするならば、例えば市販の風邪薬には1錠に複数の薬効成分が入っています。(たとえばコンタックかぜ総合には6種類の薬効成分、13種類の添加物が入っています) 病院処方薬にも配合剤はありますが、原則として1剤型1薬効ですので、病院でお薬をもらうとどうしても種類が多くなり薬漬けの印象を受けます。厚労省や医師会もこのあたりの点の誤解を解くようにキャンペーンをしたらとも思うのですが、こんなキャンペーンは見たことがありません。


受付に活けた椿のアレンジメントです。  
  8日  3月31日に中国からWHOに報告された鳥インフルエンザのヒトへの感染は、最近報告の主流だったH5N2型と異なるH7N9型でした。一昨日のWHOの発表では、いまのところヒトーヒト感染への兆候はないとのことです。万が一、ヒトーヒト感染が広がりパンデミックになると、20才代の若者でも40℃の発熱が1週間続くような人類が恐れている本格的な新型インフルエンザになります。(ちなみに2009年型はAソ連型とブタインフルエンザが合併した新型”もどき”といえるかもしれません)中国は地理的にも日本に近いため、従来のインフルエンザも中国での流行が日本の流行に反映していました。今のところ過剰な心配の必要はないですが、感染拡大への注意は必要です。ちなみに厚労省は新しいワクチン開発の検討を始めました。心強い限りです。

 これも一昨日、国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センターから、今シーズン流行のインフルエンザの流行株の抗原性および薬剤耐性株の検出状況についての途中経過の報告が発表されました。発生の割合はA2009年型が2%、A香港型が85%、B型が13%で、B型は山形系統とビクトリア系統が3:2の割合とのことです。薬剤耐性については、A2009年型にわずかにタミフル・ラピアクタ抵抗例が検出されたとのことですが、A香港型、B型ともに耐性株は見られなかったとのことでした。予防接種との関連では、今年の流行株は2009年型、A香港型、B型山形系統で構成されたワクチン株と類似しており、B型ビクトリア系統も昨年のワクチン株に類似していたとのことです。また別の報告で愛媛ではB型はビクトリア系統が最近報告されたことと、ワクチンの効果は大人で6ヶ月、小児で4~6ヶ月で減弱することを考え併せると、愛媛の方は、1、今シーズン予防接種しているか昨シーズンA香港型に感染していれば、今年流行の主体だったA香港型は軽い症状で終わり、仮にB型山形系統やA2009年型に罹っても軽い症状で終わった可能性がある 2、昨シーズンB型ビクトリア系統に感染していれば、今シーズンB型ビクトリア系統に罹っても軽い症状で終わった可能性がある とまとめられます。
 今シーズン中予地方では、1月から2月にかけてA型、B型が混合的に流行し、3月24日まで警報レベルで発生していました。4月に入ってもB型を中心とした発生がまだ続いています。今シーズン、当院でみたインフルエンザの特徴は、A型、B型ともに、症状が強い例と軽い例の混在が例年のシーズン以上に目立ったことです。インフルエンザウイルス研究センターの報告を基に考察すると、昨シーズンにインフルエンザに罹ったかどうかと今シーズンに予防接種していたかどうかの組み合わせで、例年以上にB型の感染に対しての症状発現に差があったことが解りました。A型の流行はもう終わりそうですが、B型の発生は、昨年同様5月まで残りそうです。今しばらくのインフルエンザの診断や治療にこの報告データを活用したいと思います。
 
 先天性耳瘻孔急性増悪、扁桃周囲炎など。 



 三番町通りの八重桜「一葉」の夜桜です。右手の低い建物は、量的金融緩和策の象徴、日銀(松山支店)です。じっくり見てみると、満開までは花だけのソメイヨシノとは違い、八重桜は花と若葉が同居するのですね。ソメイヨシノがなぜ華やかなのか、桜と言えばソメイヨシノなのか、が再認識できました。
  13日  学童は新学年を迎えました。診察中、学生さんにはよく「こんど何年生になったの?」と尋ねています。新年度と言っても私自身は特段代わり映えしませんが、学生さんの成長する姿を見て新年度を感じています。
 ここ4日程、肌寒い朝が続いたせいで、気道過敏症の悪化する方がやや目立ちました。 全国的に桜の開花が史上2番目に早く、3月の気温も史上2番目に高かったので、スギ花粉も例年より早く今週中には飛散終了日を迎えると予想していましたが、4月11日現在ではまだ観測が続いています。飛散終了は来週に持ち越しそうです。ヒノキ花粉も3月中にピークを迎えた後、4月5日頃からは目立って飛散は少なくなっています。黄砂の大量飛来による鼻炎の増悪も疑われました。また、4月10日より雑草花粉症のお子様が見られるようになってきました。今の時期はハルガヤによるイネ科花粉症が最も疑われます。
 インフルエンザに関しては、お正月明けより、ほぼ毎日、迅速検査でA型、B型ともに見かけていましたが、4月9日からは1例も認めませんでした。ところが今日、B型が陽性の方が2名来院されました。感染の状況をお聞きすると、職場や学校単位での小流行が疑われました。学童の新学期入りに伴い、しばらくはB型の散発的な発生が続きそうです。昨年同様、5月末まで発生が続く恐れもあります。
 B型はA香港型に比較してウイルスの増殖速度が緩慢な傾向があることから、発症初期に迅速検査が偽陰性(発症後1~2日は陽性所見が出ない)となるケースも少なくはありません。また、エコーウイルスなどの確定診断が難しい一般的なウイルス感染でもインフルエンザ様の発熱や咽喉頭炎を呈する場合があり、発症初期には、基礎免疫があって症状の軽いインフルエンザなのか、あるいは一般的なウイルス感染なのかの鑑別診断が難しい場合があります。咽頭や気管粘膜の所見、熱型、全身状態などを総合的に診て、出来るだけ早期に診断がつくような診察を心掛けています。
 関東地方では3月に入っても風疹の報告数が益々増えています。これまで流行の無かった松山でも3月最終週に初めて報告されました。愛媛県全域でみても、抗体を保有しない成人男性の発生が多いようです。当院でも、風疹の抗体を有するかどうかの検査を希望するケースがありました。当院では予防接種は診療時間の都合もあり行っていませんが、風疹や麻疹、おたふくかぜの抗体保有の有無を判定する血液検査は行っております。

 メニエール病、緊張性頭痛、橋本病、鼓膜チューブ留置術、コラーゲン膜を用いた鼓膜穿孔閉鎖術など。 
  21日  新緑が目に鮮やかです。アデノウイルス咽頭扁桃炎、溶連菌咽頭炎がやや目立ちます。インフルエンザはB型が散見され、A型はごくわずかです。スギ花粉の飛散はごくわずかですが、まだ飛散終了していません。イネ科雑草花粉症の方が少しずつ増えています。
 1週間後にはゴールデンウィーク入りです。連休入りとともに学校も職場もお休みになりますので、風邪に罹る人は極端に減ります。温暖で気圧変動の少ない気候になりますので、冬の感染症で傷んでいた気道粘膜も整ってきます。反復性難治性中耳炎のお子様や副鼻腔炎が慢性化した大人の方も、これからの心地よい季節に、ぜひ直ってほしいものです。
 子供が耳や鼻に物を詰める外耳道異物や鼻腔異物は、耳鼻科外来では珍しくありません。ビーズ玉やBB弾、おもちゃの部品、消しゴム、粘土、紙切れ、ティッシュペーパーなど子供達は様々な物を自分でなにげなく詰めてしまいます。大人では、耳掃除用綿棒の先の綿が残ったり、様々な昆虫、ときにはゴキブリやムカデなどが入り込んで取れなくなったりします。今週、かわいらしい女の子が鼻に自分で物を詰めて受診しました。詰めていたのは”花のつぼみ”でした。春らしいちょっとおしゃれな鼻腔異物でした。(^^) 
 小さな子供さんが異物を詰める場合の原因としては、意味もなく詰めるよりは、アレルギー素因による鼻炎や皮膚の乾燥性湿疹がある⇒鼻の奥から耳の奥が底痒くなる⇒おもわず異物を入れてしまう というケースがほとんどです。異物を除去するだけでなく、誘引となる体質がないかどうか、滲出性中耳炎や耳管狭窄症、副鼻腔炎が隠れていないのかも確認して、保護者の方にはお子様の今後の生活上で注意すべき点をお伝えしています。特に留意する異物には、ティシュペーパーやボタン型電池があります。ティシュペーパーによる鼻腔異物では、ティシュが嫌気性菌の培地となり2週間程たってから鼻からの異臭が徐々にひどくなり、時に副鼻腔炎を誘発します。ボタン型電池は鼻中隔穿孔を来すことがあります。ただし電池の異物はごみの分別収集対策で家庭内で放置されることが少なくなったためか、最近はめっきり少なくなりました。また、外耳道異物では一応、お友達のいたずらにも注意を払います。
 5月の連休は、暦通りに祝日のみ休診となります。4月28日の日曜日は平常通り日曜診療いたします。 
  24日  スギ花粉の飛散終了日を4月6日とします。当院のデータとともに松山大学薬学部、近隣の山口、島根、福岡の飛散データ を総合的に判断しました。今後も4月末まではわずかな飛散は観測されると思われますが、持続的な飛散は4月6日まででした。
 今年のスギ花粉は予想以上の大量飛散となりました。関東では、1日あたりの飛散数で観測史上最多を数えた観測点も多かったようです。スギの植林事業は昭和50年代からは縮小していますが、スギ花粉の飛散数はここ10年全国的に増える傾向にあります。植林されたスギの樹勢のピークは過ぎていることから、花粉の飛散も年々減ってもよさそうなものですが、なぜ増えているのか? 私も各方面からの報告に注目したいと思います。アレルギー疾患全般に言えるのですが、スギ花粉症の有病率も増加傾向にあり、今年は大量飛散した関東でスギ花粉症の初発年齢の低年齢化が話題になっています。アレルギー疾患の増悪因子については従来から言われている説とともに、今年はPM2.5に代表される大気汚染物質の関与も話題となりました。この点でも今後の研究成果に注目したいと思います。 

病院玄関のハナミズキも満開です。
     
3月 2日   昨日、松山でも春一番が吹きました。午前中は暖かい春の嵐で、午後からは雨模様となりました。春一番に誘われて、スギ花粉が大量飛散しました。一昨年11年3月2日に1日当たりでは過去最大規模の飛散がありましたが、それに匹敵する記録的な飛散でした。前日2月28日の午後や昨日午前の強風の中、野外でいた方はスギ花粉に大量に暴露したようです。北京では2日前に黄砂も観測されていたそうですので、松山でも恐らく黄砂も飛んだものと思われます。当院データでは重合して大きな粒子となった黄砂もカウントされていますので厳密なスギ花粉だけのデータではありませんが、昨シーズンの最大飛散が1日132個で昨日が769個でしたので、やはり記録的な大量飛散でした。また、このデータとは別にダストの粒子も多数カウントされており、恐らくPM2.5も飛散したと思われます。大量飛散にともない、初めてスギ花粉症を発症した”花粉症デビュー”した方や、急性反応の強い方が、多数来院されました。花粉症に症状の軽いインフルエンザを合併した方や、ハウスダスト・アレルギーに軽く花粉症が出た方など、注意深く診察する必要がありました。診察の待ち時間も長くなり、受診された患者様にはご迷惑をお掛けしました。
  6日  花粉がまあよく飛びました、、大量飛散の翌日には車のフロントガラスが薄っすらと黄色くなっています。この時期、本州全域でこのような状況になります。ここまで広域に大量飛散するのはスギだけです。花粉1個あたりの生命力は弱いのでしょうが、トータルで見たスギの種を維持するパワーは相当なものです。 西日本も多く飛散してきましたが、関東地方はびっくりするくらい飛散しています。今年は九州南部から関東地方にかけての太平洋沿岸は同時に近く飛散が始まりました。出張で東京へ向かう方には、マスク、ゴーグルなどによる暴露回避を強くお勧めしています。
 スギはハウスダストより粒子が大きく抗原性が強いですので、急に大量飛散するとアレルギー反応が強く起こります。目が弱い、鼻が弱い、皮膚が弱い、のどが弱いなど個々人でどの部位が弱いかの感受性には差がありますが、今回も急に大量飛散したせいで、特に目の周りの反応が強くなる方が多くなりました。急に反応した方が目だった今週の外来ですが、初期治療(予防投薬)をされていた方やレーザー治療を受けていた方はやはり反応が軽微です。私も大量飛散した直後には初期治療の効果を実感します。今シーズン強い反応がでた方には、来シーズンの初期治療をお勧めしています。花粉症発症年令の若年化も毎シーズン実感します。私はよく6年前に経験した例を紹介しています。あるお子様が1才児にスギ花粉症発症が疑われ、3才児になった際にアレルギー抗体の血液検査をしたところ、スギ花粉の抗体が多かっただけでなく、本来は共通性抗原でスギ花粉症発症から5~15年遅れて発症することの多いヒノキ花粉の抗体もついてきていました。今年もこれまでに3名の2才児にスギ花粉症の発症が怪しいとお伝えしました。花粉症が軽い場合には、ハウスダスト・アレルギーが発現しつつあるところに風邪をひいたり体の冷えなどで粘膜が過敏になる症状との鑑別が難しいことがおおいのですが、大量飛散の直後には鑑別診断も容易になります。花粉症を疑われたお子様や、両親やお兄ちゃんお姉ちゃんが花粉症で遺伝的な素因が強いお子様のお母さまには、花粉を吸い過ぎると早く発症する可能性が高くなることと、その予防のためには花粉がよく飛んでいる時期には動物園やスキー場などの山に近い場所での野外活動は控え目に、とお伝えしています。
 花粉測定の標準法は、重力法のDurham(ダーラム)型標準捕集器です。これは1日スライドグラスを野外に置いておき実際にスライドグラスに吸着した花粉を顕微鏡で確認してカウントするものです。やはり厳密な測定は顕微鏡での確認が必要です。しかし手間の問題もあり日内変動をみる報告はほとんどありません。夜中も1時間毎にスライドグラスを回収して測定するというのは大変な手間ですし、臨床の場では1日当たりの飛散数を把握することで十分です。十分ですが、昨年から当院で始めた、花粉状粒子を1時間単位で自動測定データを見てみると、実に興味深いです。私の予想していた以上に、スギ花粉は午前中はほとんど飛散せず(先日の春一番は例外です)、午後から飛散し始め、午後3時頃から午後9時頃にかけてが多く、その後の夜間も結構飛散しています。午前中に山間部で舞い上がった花粉が、夕方冷え込んで下降気流とともに市街地に落ちてくるのがよく判りました。マスクやゴーグルを用いての花粉暴露予防は夕方に効果が高いという訳です。夕方に野外でクラブ活動をする学生さんが辛くなるのがよく判りました。朝方症状が強くなるのは、過敏になった粘膜のせいで非特異的過敏症が強くなりモーニング・アタックが目立つのが主因です。このようなお話を診察時にお伝えしていたところ、「親子で夕食後にウォーキングをしていたけど控えなければいけませんね」とのお話を伺い、患者様私共々苦笑いしました。
 先週2月28日に2シーズン振りに、ディレグラという医療用の抗アレルギー剤の新薬が発売されました。従来のお薬で眠気の発現が少ないアレグラを私はよく受験生に処方していたのですが、ディレグラはこのアレグラの成分と血管収縮剤の合剤です。高齢者で心臓の機能の弱い方には注意して処方しなければいけませんが、若い方には効果が高そうです。新薬ですので暫くは私も状況をみて慎重に処方しますが、花粉症治療の選択肢がひとつ増えたことになります。
 今日は、時節柄、花粉談義でした。(^^)

 先週、消炎鎮痛剤による胃粘膜障害に関する講演会がありました。消炎鎮痛解熱剤は私も当然よく処方しますので、興味があり聴講してきました。消炎鎮痛剤NSAIDsと胃粘膜障害の関係はもとより、最近、脳梗塞や心筋梗塞、目や四肢の末梢血管障害の治療や予防で服用する方が増えている低容量アスピリンを中心とした血液の抗凝固剤と胃粘膜障害の関係、ピロリ菌感染と胃酸過多、逆流性食道炎、胃癌発生との関係など、私も知識の整理ができました。その講演会の中でも教科書には載っていなくて興味を引いたのが、ピロリ菌と逆流性食道炎の関係についてでした。ピロリ菌には多くは5才までに感染するものの、現在の50歳以下は感染が少なく感染率は5%程度で、経時的に高齢者の感染割合が増えています。ピロリ菌に感染していれば胃粘膜障害が強くなるため、胃潰瘍や胃癌の発生原因となりますが、逆に胃酸分泌は少なくなります。このため高齢者でピロリ菌を除菌すると逆流性食道炎が増えます。このような基礎知識を基に私が注目したのは、最近、若年者では高頻度に食道裂肛ヘルニアが多いとのことです。若年者はピロリ菌に感染していないうえに、小児期から高蛋白高カロリーの食事を摂る機会が多いことから、胃の入り口の噴門部が胃酸過多にさらされてその刺激で食道下部に裂孔ができて逆流性食道炎を発症しやすいとのことでした。今年から慢性胃炎でもピロリ菌除去が治療保険適応になったことから、より一層高齢者の胃癌の発生は少なくなりそうですが、若年者の逆流性食道炎は増えるであろうとのことです。私はこれまで、逆流性食道炎はある程度年配の方が、食後や睡眠時、腰椎変形による前傾姿勢などで誘発されるものと理解していましたが、これからは若年者でも逆流性食道炎による病状が隠れていないかという視点でも診察を行いたいと思いました。逆流性食道炎は、咽喉頭酸逆流症や喉頭肉芽腫、慢性咳嗽の発生原因として耳鼻科、気管食道科でも注意すべき疾患のひとつですので、私もおおいに参考になりました。 

 生活情報紙リックの今週号の巻頭で、私への取材を基にした耳の日特集が組まれています。耳垢(あか)ケアについて記載してあります。ご一読頂ければと思います。 
  13日  堀端の梅が散り始めました。昨日、福岡で全国で最も早くソメイヨシノが開花しました。(今年は高知が一番ではありませんでした。私の予想は外れました。^^; ) このように日一日と季節は冬から春に代わっています。今日は午後から雨でしたが、一雨ごとに暖かくなっています。昨日は蒸し暑い程で、診察室ではおもわずエアコンをドライ・モードにしました。
 1日に春一番、8日に黄砂の大量飛来とともに、スギ花粉は大量飛散が続いています。飛散が続くために、鼻詰りの持続、目や顔面の浮腫、のどの掻痒感、咳などのアレルギーの遅発性反応が続く方が増えてきました。
 ここ1週間でA型、B型ともにインフルエンザの発生は目に見えて少なくなってきました。一般的なウイルスによる普通感冒も少ないですが、所見の軽い溶連菌咽頭炎や最も軽いタイプのアデノウイルスによる咽頭炎、乳幼児のRSウイルス、マイコプラズマやクラミジア感染症、ノロウイルスやサボウイルス、ロタウイルスなどのウイルス性胃腸炎に伴う上気道炎などもあり、必要に応じて病原微生物を同定すべく診察を進めています。

 今日は午後から南海放送夕方の報道番組「チャンネル4」の取材があり、早速、夕方に放映されました。ポールンロボを用いた花粉飛散情報の診療への応用についてと、スギ花粉の飛散予報をお話ししました。記事を投稿したり著者校正のある紙媒体の取材とは異なり、テレビの取材は編集がきつく、私も過去に伝えたいこととニュアンスが異なって編集されるケースをまま経験しており、テレビ取材はなにがしか身構えるのですが(事件報道や政治芸能関係の取材を受けた当事者の報道に対する忸怩たる思いもよく理解できます)、今日の放送はよくまとめて頂いており、私も感心しきりでした。今日は午後休診の水曜日でしたが、午前診の診察終了が午後2時半をまわり、その後に取材が始まりました。途中、時間外の患者様の診察もはさんだりで、テレビクルーの方は、放映までの2時間たらずで編集を済ませなければいけなかったのですが、私の出演したコーナーのカットは流れるように進み、テロップも印象的に挿入されており、おもわず「さすが」と感じ、またホッとしました。
 テレビと言えば、、 当院を受診された方で気付かれた方もおられると思いますが、診察室 中待合のテレビモニターを新しくしました。37インチの液晶テレビ(当時は高かった、、)はまだ使えたのですが、ブルーレイレコーダーのハードディスクが不調になり、当初はレコーダーだけ買い換えようと思ったのですが、最近のレコーダーの映像出力はHDMI規格になっており、古いテレビでは接続できないため、已むを得ずの買い換えです。診察室のモニターですので薄型でフレームが白いものを探したのですが、外国製も含め大型のものは見事に黒いものばかりでした。ところが、ひとつだけあったのです!フリースタイルAQUOSです。ディスプレイ部とチューナーを分離してワイヤレスで接続しましすので、モニター本体はビックリするくらい薄く軽いのです。46型で以前の37型より外径寸法が小さく、薄さは3.5センチです。私にとってはまさに”目の付け所がシャープ”でした。現在、綱渡が続くシャープの経営ですが、がんばれSharp、がんばれPanasonic、がんばれSONY、がんばれ日本の製造業です!
 診察中、小手術をする必要が出てきたり、急いで関連病院に紹介状を書かなければいけない場合などでは、時にひとりの患者様の診察が30分以上かかる場合があります。そのような場合に、中待合でお持ちの方に少しでも和んでもらおうとの目的から、中待合から見える位置にモニターを設置していました。かわいい動物やめずらしい深海魚などが映し出されている時には、診察中の私にも「あっ、ライオン」などと子供の声が洩れ聞こえてくると、おもわず和みます。診察室には、実はもう一つ、患部の所見を映し出すモニター以外のテレビが置いてあります。診察机の正面上の壁に設置しています。こちらも、時に診察中の子供達が「おさかな!」などと、モニターを見つけてくれます。当然、診察ユニットで緊張している子供たちの気を紛らす目的もないことはないのですが、設置の一番の理由は、実は私も気晴らし用です。^^; 診察が込み合う時期には、診察が一旦始まると、コーヒーブレイクの時間を除くと診察スペースから一歩も離れられません。時には朝9時から午後10過ぎまで診察が続きますので、”これだけしゃべり続けて仕事をしている人はなかなかいないよ”の状態になります。時計の針は気にしても、窓の外の天気を気にする余裕はなくなります。机の上のモニターで流れる環境映像が、私にとって一瞬の気晴らしです。 
  14日   ヒノキ花粉の松山の初観測日が3月9日となりました。山口県の初観測日が2月23日、飛散開始日が2月27日でしたので、今週から松山もヒノキの持続的な飛散が始まったものと思われます。ヒノキ花粉の飛散のピークは例年4月上旬から中旬にかけてですが、暖かい春は早く飛散のピークを迎えます。今シーズンのヒノキ花粉の飛散のピークは4月上旬になりそうです。
 ヒノキ花粉は、共通性抗原のスギ花粉より抗原性や飛散量は少ないですので、ヒノキ花粉症はスギ花粉症よりは反応が軽いことがほとんどですが、スギ花粉症を有している方で4月中旬まではっきりと症状の残る方は、ヒノキ花粉症を合併している可能性があります。ヒノキ花粉の抗体を有しながらスギ花粉の抗体を持ってない例はほとんどありません。スギ花粉症がないのに4月に花粉症の症状が出る方は、ハルガヤやオオアワガエリなどの早い時期のイネ科花粉症の可能性が高くなります。
 ヒノキの飛散量は、スギのように前年の花芽の発育に左右されるのではなく、飛散直前の気候の影響が大きいことが推察されていますが、実態はまだ十分に解明されていません。今年1月が寒かった影響で飛散量が少なめになるのか、3月が暖かいため飛散量が多くなるのか、私も興味のあるところです。  
  16日  医療とは関係ありませんが、訂正を。13日に全国でも最速で福岡が桜の開花とお伝えしましたが、地元、愛媛県宇和島市も同日に最速で開花とのことです。市独自の観測とのことですが、全国最速は今回で10回目とのこと。実は我が愛媛県が全国で最も早い桜前線に位置していました。確かに、南予は黒潮がぶつかる位置にあり、高知市より暖かそうです。宇和島を含めた南予の人に怒られそうです。<(_ _)>  
  17日   今日も春の陽気です。昨日は東京でも桜が開花しました。今年は3月に入り日本全体が一気に暖かくなったせいで、スギ花粉前線も桜前線も一気に九州から関東まで進みました。松山のヒノキ花粉も3月12日に飛散開始したもようです。今週後半の当院の観測データは、約1/5はヒノキをカウントしているものと思われます。
 私はよく”冬に反復性中耳炎や難治性中耳炎だったお子様も、春休みには9割がた治ってくる”とお伝えしています。後1週間で子供たちの春休みです。今年は春休みを待たなくても、既に3月中旬で春休みみたいな気候です。冬に中耳炎がなかなか治らなかった子供達の中にも、徐々に改善する子供さんが目立ってきました。しかし一方で、まだ治る気配のない子供さんもいます。難治性の滲出性中耳炎があっても風邪ひいた際でも中耳炎が急性増悪しない場合、片耳だけの中耳炎で難聴としてはそう困らない場合、鼓膜の菲薄化や陥凹が強くなく真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎へ移行する心配のない場合などには、鼓膜切開や鼓膜チューブ留置を行わずに、出来るだけ投薬や鼻炎のスプレー、漢方薬、自宅での自己通気も含めた耳管通気、時には治療無しで経過を見ていましたが、これからの時期も難治であれば、逆に積極的に手術的治療も行うべきケースも出てきます。通院されている全ての子供たちが、春の気候で治るよう祈りながら診察しています。

 国道56号線の坊ちゃんスタジアムへの取り付け道路を少し南に行くとマグドナルドがあります。その反対車線側にペットショップ、ペットStep余戸店が開店しました。実はこのお店の前の道を直進すると、当院の前に出ます。松山市内からは、ペットStepを斜め右に西方向に入ります。そのまま直進し、伊予鉄の線路を渡ると当院は目の前です。ただしこの道は生活道路のため、飛び出しへの注意が必要です。また、踏切を渡って県道にでる交差点は見通しが悪くなっています。松山市内から車で当院へお越しの際には活用できるルートですが、時間には余裕を見て、安全運転でお越し下さい。

 先日、綱渡りが続くシャープの経営とお伝えしましたが、昨日の桜の話題同様、医療とは関係ないのですが、気になるので少し触れさせて頂きます。昨日、シャープの1000億円の自己増資に銀行が難色、との報道がありました。現在の株価ではとても転換など出来ない2000億円の転換社債の償還がこの夏に迫っています。現在の格付けでは社債発行は無理。ホンハイの670億円の出資話は無くなる。メインバンクを含む都市銀行系のシンジケート団は、既に担保枠がなくなり国の保証でもない限りは新規融資に首は振らない。第三者割当増資はサムスンの100億円だけ。利益の出ている白物家電は国外生産のため円安のメリットなし。最も当てにしていた亀山工場の小型液晶もiPone5の減産で利益を生まない。仮に自己増資できても残りの1000億円規模の液晶在庫の引き受け先の目途が立たない。など、綱渡りどころではない状態のようです。
 一時はシャープ以上に自己資本が毀損していたオリンパスですが、世界的シェアを誇る医療用内視鏡(当院も電子スコープでお世話になっています)分野があり、他社の出資が得られました。ルネサスは、マイコン製造で地歩があり、経産省や自動車業界の後押しがあり出資が得られました。シャープは選択と集中で、液晶事業と太陽光パネルに集中投資しましたが、いずれも裏目に出ています。これらの事業は残念ながら、国を挙げて死守するほどの事業とは言い難く、負債は1兆円近いですが、都銀やリーマン・ショック時のAIG保険のようにToo big to fail(大きすぎて潰せない)な金融機関ではありません。エコポイント・バブルに踊らされなかったならば、円高がこんなに進まなければ、液晶技術を死守できていればと、悔やむに悔やみきれません。
 大阪の阪神高速湾岸線を走ると、堺ではシャープの(ホンハイの出資により連結決算の対象から外れた)液晶工場の広大な敷地が遠望され、尼崎ではパナソニックの(プラズマ事業撤退を前にして既に減損処理済みの)プラズマパネル工場が間近に迫ってきます。シャープ、そしてパナソニック、関西企業には踏ん張ってもらいたいです。
  18日  昨日、松山でも桜が開花しました。平年より8日、昨年よりも13日早く、2009年と並ぶ過去2番目の早さとのことです。昨年の2~3月が記録的な寒さだったことから、梅の散り際と桜の開花を同時に愛でることができるという極めてレアな春でした。それと比べると今年の3月の暖かさは際立って感じます。昨年のスギの飛散時期は例年より1ヶ月遅かったですが、今年の飛散は例年より早く終息しそうです。
 今日の午前中は南風の突風が吹き荒れ、午後から暖かい雨が降りました。正式な気象用語ではないそうですが、春二番です。立春までの南風を春一番、春二番、春三番、、、と言うのだそうです。今日のスギ花粉の飛散は、先日3月1日の春一番の時と全く同じパターンでした。午前中の突風とともに花粉が大量飛散して、午後の雨で落ち着きました。さすがに春一番のときのような記録的な飛散ではありませんでした。今年のスギ花粉の飛散ピークは、春一番とともに始まり、春二番とともに終わりそうです。 
  22日  24日(日曜日)は、学会出席のため臨時休診とさせて頂きます。松江市で行われる日本気管食道科学会に出席してきます。恥ずかしながら出席の理由は、参加しないと気管食道科学会専門医の更新ができないため、との後ろ向きな理由からです。(^_^;) 耳、鼻、咽頭、喉頭は上気道で、気管、肺の下気道と繋がっています。口腔、咽頭は消化器系で食道、胃へと繋がっています。気管食道科領域の知識や技術は耳鼻咽喉科の立場からも非常に重要です。気管食道科学会は、内視鏡が普及するまでは気管支異物や食道異物は主に耳鼻咽喉科医が摘出していたなどの歴史があるため、耳鼻咽喉科医がアクティブ・メンバーですが、呼吸器内科医、呼吸器外科医、消化器内科医、消化器外科医、放射線科医など科を超えて多くのメンバーで構成されています。耳鼻咽喉科学会の中の分科会である耳科学会、鼻科学会、口腔咽頭科学会、喉頭科学会、めまい平衡学会、音声言語学会などと比べても少し異なる趣があります。私が参加している学会の中では、日本アレルギー学会、頭頸部腫瘍学会もそのような趣です。医局講座制の枠を超えてドクターが参集し議論をしますので、ある意味、広い視野で医学の知識が深まります。日曜診療を休診とすることで、皆様にはご迷惑をおかけします。何卒、ご理解の程お願いいたします。なお、当院かかりつけの患者様で、当日、病状について相談したい方は、院内に掲示してあります私の携帯まで、遠慮なくご連絡下さい。 
  26日  一昨日の休診、ご迷惑をお掛けしました。幸、患者様からは緊急を要する連絡はなく、私も安心して学会に参加することができました。おかげで様々な知識のupdateが出来ました。これからの診療に役立てたいと思います。
 今日から子供達の春休みです。学童の集団生活がなくなると目に見えて感染症は少なくなります。今日もまだ当院ではA型、B型ともにインフルエンザの患者様を見かけましたが、今週に入り一気に少なくなりました。普通感冒の方も少なくなり、ようやく冬の風邪のシーズンは終わりです。 この冬に中耳炎が遷延化していた子供達も、目に見えて治るお子様が増えてきました。今日は1年半ぶりに滲出性中耳炎が治った男の子もいました。この子は、滲出液が水様性で、感冒時でも急性増悪せず、鼓膜の陥凹などの変形もないために、冬でも出来る限り投薬なしで経過を見ていましたので、私も本当にホッとしました。
 スギ花粉の飛散は目に見えて少なくなりましたが、今シーズンはスギに続いてヒノキも思いのほか頑張っています。^^; ここ数日は観測されている花粉の95%はヒノキです。3月19日、20日の大量飛散に続き、24日は3月1日のスギの記録的な大量飛散に匹敵するぐらいの記録的な大量飛散がありました。私の車のガラスも薄っすらと黄色くなっていました。スギ花粉や黄砂で車のガラスが黄色くなるのは時に経験していましたが、ヒノキ花粉で黄色くなったのを確認したのは、私も初めてでした。 

 


 学会場は島根県民会館で、松江城のお堀端でした。松江城は小山にある平城ですので、散歩気分で休憩時間に立ち寄ることができました。松山では桜は7分咲きでしたが、松江では1分咲きでほとんどが蕾でした。それでも春祭りのぼんぼりが用意され、陽気も手伝って春の気配でした。写真左は ”花粉のついたスギの木と松江城” です。こんなアングルの写真を撮るのは私だけでしょう。^^; 山陰地方はまだまだ花粉が飛んでいるようでした。
 松江城は全国で12ある現存天守のあるお城のひとつで、山陰地方では唯一です。愛媛には現存天守が松山と宇和島に、四国ではさらに丸亀と高知にありますので、松山の人間としては街の中心にお城のある松江は親近感が持てます。お城の入り口には「松江城を国宝に」の大きなのぼりが掲げられていました。調べてみると、国宝に指定されている現存天守は、松本城、犬山城、彦根城、姫路城でした。松江城の天守建造年は1607年、松山城は再建して1853年ですので、国宝指定されるなら、まず松江城からだと思いますが、ついでに松山城も含めて現存天守は全部国宝にする、というのはどうでしょうか。
  31日  松山市内はソメイヨシノが満開です。当院では、チューリップが満開、診察室横のケヤキが芽吹き始め、ウグイスの鳴き声も聞こえます。春真っ盛りです。中之川やお堀のしだれ柳が緑をたたえ、三番町通りでは、八重桜の”一葉”が3分咲き、”寒山”が開花と、こちらも例年より早い開花です。今日、三番町通りをJR方面から勝山通りに向かって通って初めて気づいたのですが、三番町では、淡いピンクの花の一葉と、濃いピンクの寒山が大きな交差点を境にして交互に植栽されていました。(鮮やかな色づきの寒山をみていると、桜がバラ科というのも少し納得できます) 三番町を通り抜ければ、今の時期は花の色の変化も楽しめるのですね。今年の春は、震災の傷も少しばかりは癒え、アベノミクスへの期待感もあり、三番町のオフィス街を歩くビジネスマンの足取りも軽やかそうにに感じました。 
 年度末です。転勤、転校、入学、入社などで松山を去る患者様が最後の診察に来院される季節でもあります。中予には炭素繊維や液晶フィルムなどの素材を創る帝人や東レなどがあり、先端技術を持ったエンジニアの方も大勢います。患者様の中には、米国シアトルに、米国南部に、シンガポールに、中国に、と様々な方面に家族とともに転勤する社会人の方や、北海道へ、仙台へ、と遠方の学校に入学する学生さんもおられました。松山から離れて新生活を迎える方々のご活躍とご健康をお祈りしています。特に海外赴任される方には、日本の子供達のためにも頑張って下さい。お願いします。<(_ _)> 英語圏に出る幼稚園児のお子様とは「ぜひバイリンガルになって帰ってきてね」と、お別れしました。
 また、春休みに帰省して受診される方も見られます。東京都区部から帰省された方の中には、中学生まで健康保険の外来自己負担分が無料という区からの方もいます。さすがにリッチな行政区と言うべきか、地域の少子化対策に力を入れているというべきか、しかし、それだけの予算があれば、都会では大きな問題になっているという保育園児の待機児童対策を優先すればとも感じたのですが、、 幼稚園と保育園、認可保育園と無認可保育園など厚労省と文科省の壁や、保育士さんの人材確保など様々な障壁がありスムースにはいかないのでしょうね。

 スギ花粉の飛散はいよいよ僅かになりました。例年よりかなり早いのですが、今週中には飛散終了日を迎えそうです。ヒノキ花粉は引き続き元気に飛散しています。今シーズン、3月初めのスギ花粉の大量飛散の直後には、初めてスギ花粉症を発症した患者様を視診だけでも確定診断できました。同様に、ここ2週間、スギ花粉の飛散が急激に減って、ヒノキ花粉の飛散が急に増えましたので、スギ花粉症にヒノキ花粉症を初めて続発した患者様も、アレルギーの抗体検査にたよらなくても、ある程度診断が付けやすかったです。
 今日、A型インフルエンザに当院で2回目に陽性になったお子様を診ました。四国内の報告はまだですが、全国的には2009年型(新型)も2%程度報告されています。A香港型、2009年型に別々に感染した可能性も否定はできませんでした。お子様の症状は軽く、A香港型、2009年型ともに今シーズンの予防接種で抗体がついている可能性が高く、また昨年までに感染したことによる免疫も残っている可能性があり、症状が軽かったものと思われました。これからの流行状況によっては、香港型、2009年型を別々に判別できる迅速キットも活用したいと思います。
 先週後半からは、当院では目に見えてインフルエンザは少なくなりましたが、まだA型、B型ともに散見されます。特にB型は症状の軽い方と比較的症状の強い方のばらつきが大きく、過去の免疫の付き方や、予防接種の効果の差が病状の重症度にどう関係しているか気になっています。昨シーズン、日本の流行の主流はB型のビクトリア系統ですが、愛媛県も含めて山形系統の報告もありました。今シーズンのワクチンには山形系統が含まれています。今シーズンのこれまでの感染症情報では、全国的にはビクトリア系統と山形系統がほぼ拮抗して混在、愛媛県からは系統不明例の報告のみです。1月末に近隣の小学校で流行したB型がどの系統か、現在も発生しているB型がどの系統なのか、などが気になっています。また、松山でもここ2年来の沖縄のように夏までB型の発生が続くようになるのかなど、今後の発生状況と感染症情報に注目しておきます。

  扁桃周囲膿瘍、遅発性内リンパ水腫、肉芽性鼓膜炎、反復性耳下腺炎、突発性難聴、ウイルス性内耳炎など。 


 道後温泉春まつりで、ぼんぼりで飾られた道後温泉本館です。三層楼の屋上にある振鷺閣には時を告げつ刻太鼓がつるされています。午前6時の太鼓の音とともに、一番風呂を目指す入浴客が入場します。刻太鼓の音は当時の環境庁が1996年に選定した「残したい日本の音風景100選」に選定されています。ちなみに刻太鼓以外に四国で選ばれているのは、阿波踊り、大窪寺の鐘とお遍路さんの鈴、満濃池のゆるぬきとせせらぎ、室戸岬・御厨人窟の波音だそうです。思わず”ヘーッ”です。これが100選の音だとじっくり聞けば、聴き慣れた音でもしっとりとした風情を改めて感じて心が豊かになりそうです。が、私としては、当時の選定や広報に要した予算がどれだけだったかも気になって仕方ありません。^^;




 お花見ので賑わう道後公園です。道後公園は松山で最も人出の多いお花見スポットです。また、道後公園は温泉街に隣接していますので、お花見の宴会を楽しむ市民に混ざって、浴衣姿の温泉宿泊客もそぞろ歩いています。浴衣姿が似合うお花見スポットは松山ならでしょう。今年のお花見では、桜を照らす裸電球の半分ほどが白色のLED電球に替わっており、例年よりも夜桜が明るく鮮やかに見えました。
 私は道後公園をよく散策するのですが、松山の桜の開花を告げる標本木がどこにあるのかは全然知りませんでした。以前から気にしていたのですが、分かりませんでした。ところが、今年のお花見で遂に見つけました。標本木の周りに柵が作られ、案内板までありました! 去年か今年に整備されたのでしょうか? 案内板は「植物季節観測用標本樹(桜) ソメイヨシノ 松山地方気象台」。標本木の正式名称は ”植物季節観測用標本樹(桜)ソメイヨシノ” とのことです。これも思わず”ヘーッ”でした。標本木は、花見酒やバーベキューで賑わう花見会場のど真ん中にありました。案内板のアップを撮る際には、前に陣取っているグループの方々にお断りをして撮らせてもらいました。写真左の案内板の下の白い霞の正体は、実はバーベキューの煙です。写真右、標本木の手前に引っかかったクラッカーの赤い紙すだれはご愛嬌です。(^^)
 道後公園の南端、温泉街の入り口には子規記念博物館があります。館正面に大きく掲示された今月の句は 「遠足の 十人ばかり 花の雨」 でした。子規の時代は、帝大学生のプチ・トリップも遠足と称されていたとのこと。春雨の中のお花見は肌寒むかったでしょう。子規は濡れそぼった桜の花に何を感じたのでしょうか? たった17文字の短句から、実に様々なイメージが浮かんできます。俳句が文学とされる所以でしょう。 
     
2月 3日  2月入り、節分です。昨日、今日と雨上がりの小春日和です。当院での花粉測定(ポールンロボ)が本日より正式運用となりました。時間単位での花粉飛散数がリアルタイムでご覧になれます。データは当ホームページの「当院の花粉観測データ」のページよりご覧ください。本日、早速5個の花粉を観測しました。松山市の他の地域のデータも総合すると、今シーズンのスギ花粉の飛散開始日は2月2日となりそうです。もう一度寒波が来て、その後に本格的な飛散が始まると思われます。初期治療の予防投薬をお考えの方は、今週より服薬を続けてみて下さい。
 松山市のインフルエンザの流行は、1月24日の週に警報レベルとなりました。まず小学生を中心に流行が広がっています。先週より市内各地の小学校で学級閉鎖が広がっています。今日の診察では、A型の流行が主流ですが、B型の方も結構目立ちました。今シーズンはまず小学生の年代より流行が広がりました。現在流行のA香港型は昨シーズンに流行したタイプと同系統の可能性があります。今後、保育園児幼稚園児、中高生、成人へと流行が広がるものと思われますが、昨シーズンのタイプも含めてA香港型の基礎免疫を有する中高生、成人には広範な流行拡大はないかもしれません。
  9日   明日は愛媛マラソンです。当院でも参加予定のご本人や、その家族の方が来院されています。風邪気味だが体調万全で臨みたい方、参加する本人にインフルエンザをうつしたくない家族の方など、いろいろな立場の方がおられます。明日参加される全ての方が、体調万全で実力を如何なく発揮されることを祈っています。
 当院のスギ花粉の飛散開始日は2月2日となりました。松山大学でも2日、山口県の飛散開始日も2日です。飛散開始日以降、雨模様でも毎日飛散が観測され、6日,7日にはまとまった飛散があり、今年初めて花粉を感じた方も目立ちました。今日の朝方は冷え込んでいましたが、当院のデータでは朝から花粉が観測されています。本格的な花粉シーズン入りです。  
  13日  引き続きインフルエンザが流行しています。小学生の流行のピークが2週間前、保育園児の流行のピークが今週ぐらいでしょうか?これから高校生や幼稚園児に流行が広がりそうです。しかし今シーズンの流行の主体のA香港型は、大人の世代にはあまり流行は広まっていません。現在流行しているA香港型は昨シーズン流行したタイプと同じかもしれません。インフルエンザへの感染が疑われて来院された方の昨年のカルテを見てみると、今年予防接種を受けていなくても、昨年の1~2月にA香港型に感染した方は総じて症状が軽い傾向があります。やはり昨シーズンの免疫が結構残っているものと思われます。
 スギ花粉も毎日飛散が続いています。昨日は雨模様でしたが、当院でも花粉を観測していました。今日は暖かい小春日和です。このまま寒さが緩んだ日が続けば、ここ数日中にも最初の大量飛散日を迎えるかもしれません。ハウスダストと異なり、花粉は抗原性が強く、大量に暴露すると”腫れあがる”ようになります。これから1ヶ月は、暖かく少し風の強い日や雨上がりの日の午後には、大量飛散にご注意下さい。
 東京の花粉飛散日が2月7日となりました。例年、松山の飛散開始より10日~2週間遅いのですが、今年の関東地方の飛散開始は早かったようです。東京では昨年の6~7倍飛散するとの予想もあり、当院を来院される方の中には、東京の報道をみて心配される方もおられます。松山の飛散予想は”例年より少し多目”程度ですので、ご安心下さい。(^.^)
 花粉シーズン入りですが、レーザー治療を希望される方も来院されています。本来ならばレーザー治療は、飛散シーズン入りする前の1月中旬までに済ませる事をお勧めしているのですが、大量飛散はまだですので、今現在花粉症の症状がほとんど見られない方に対してはレーザー治療を行っています。
  耳小骨離断疑い、口腔カンジダ症、伝染性単核球症、メニエール病、水疱性鼓膜炎など。
  16日  スギ花粉が毎日飛散しています。昨日は雨上がりの夜間に飛散していました。松山では椿まつりが始まりました。例年だと”椿さんの頃にインフルエンザが流行り、スギ花粉が飛散し始める”のですが、今年は暦の関係で例年より遅い椿さんですので、今年は”椿さんでインフルエンザのピークが過ぎ、スギ花粉が大量飛散を始める”となりそうです。天気予報では、椿さん最終日の18日には暖かくなるとのことですので、18日の月曜日に最初の大量飛散を迎えるかもしれません。
  23日  寒さのせいで開花の遅かったお堀端の梅も五分咲きといったところです。気象庁の発表した今年の桜の開花予想では、3月が例年より暖かくなることもあり、平年より3日、昨年より8日早い3月22日頃との発表です。例年、本州では最も桜の開花が早いのは高知ですが、高知の開花予想が3月18日、松山も全国的にも早い開花を迎えそうです。今週に後半から一気にスギ花粉の飛散が増え、昨日に今シーズン初めての大量飛散日を迎えました。スギ花粉症は”梅とともに始まり桜とともに終わり”ます。3月が暖かく、桜の開花が早いことから、これから3月中旬までが飛散のピークで、この間に2~4回程度の大量飛散日を迎えそうです。昨日の当院の観測データでは、午前中はほとんど花粉の飛散はなく、午後からわずかな飛散が観測され、午後4時から午後8時にかけて大量飛散していました。花粉の飛散は、やはり午後に目だつようです。野外でクラブ活動する学生は1日の中でも最も花粉が飛散する時間帯に野外活動をすることになります。主婦の方には、「買い物にいくなら午前中に済ませ、洗濯物は午前中に取り込むように」とアドバイスしました。また、両親が花粉症でスギ花粉の抗体が出来やすい素因がある小さいお子様の外遊びも、午前中が好ましいと思います。
 今日は2才児でスギ花粉症が疑われる複数の子供達を診ました。生まれて0才、1才と2シーズンでスギ花粉を吸って、まだ少ないながらもスギ花粉の抗体が出来てきたものと思われます。さすがに反応が弱く、ハウスダスト・アレルギーないしは花粉症が疑われる、という程度ですが、スギ花粉症の発症年令が徐々に若年化していることが感じられます。今年は大気汚染物質のPM2.5が話題となっています。これまでにも、花粉症の重症化にはディーゼルエンジンの排ガスとの重合や、大気汚染物質が付着した黄砂により花粉症が重症化する、などの話題がありました。厚労省では急ぎPM2..5の人体への影響の指針を作るとのことですが、花粉症と大気汚染物質との相互作用などの研究も行われてくるものと思います。どのような影響があるのか、私も諸学会の発表に注目してみます。
 インフルエンザの発生は、当院でも愛媛県でも全国的にもピークは過ぎたようです。インフルエンザの治療で判断に苦しむのが、現在流行のインフルエンザのタイプがタミフル耐性かどうかです。昨シーズンまでの研究では、B型と2009年型(新型)、Aソ連型ではタミフル耐性の割合が年々増えてきていました。また、シーズンの前半より後半でタミフル耐性のタイプが増えるとの報告もありました。タミフルと、イナビルやリレンザといった吸入薬の両方が選択できる成人や10才未満の小児では、どちらを選択するかの判断材料に、タミフル耐性インフルエンザに関する研究報告が参考になります。今シーズンのインフルエンザの流行のタイプが徐々に解ってきました。日本や北米ではA香港型が流行の中心、欧米や中国では新型が中心ですが何れの地域でもB型は発生しているようです。今シーズンはいずれの地域でも、これまでのところタミフル耐性株はほとんど報告されていません。タミフル服薬による異常行動の心配のない成人では、吸入薬の方が気道での速効性はありますが、血行を介して体内に広く効くタミフルの方が感染後半期の倦怠感の軽減には有効な印象があります。今シーズンは、いまのところ成人のB型にはタミフル内服も有効だと思われます。
 ダニ媒介性の新しい感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」による死亡例が国内でも3例報告されました。内1例が愛媛県で報告されています。この病気の病原ウイルス(SFTSウイルス)は2011年に初めて特定されました。これを介在するダニはマダニで、草むらなどの野外に生息しています。当院でも問合せがあったのですが、アレルギーの原因となる家庭内に生息するヒョウダニとは違う種類ですので、ダニアレルギーを有するからといって直接関係するものではありませんのでご安心ください。
 関東を中心に風疹の発生が増えています。妊婦さんが感染すると先天性風疹症候群で赤ちゃんに先天性難聴が出ることがあります。風疹の予防接種を受けていない父親から妊婦さんへの感染ルートが注目されていて、女性だけでなく成人男性への予防接種も勧められています。発熱、発疹とともに首のリンパ節の腫れが目立つことから、耳鼻科外来でも注意して観察はしますが、今のところ愛媛県下では、平成22年3例、平成23年4例、平成24年2例、今年の報告はなし、ですので、いまのところ心配はないようです。ただし、今後、四国にも感染が拡大する可能性もありますので、私も注意して診ていくつもりです。 
  28日  今日、スギ花粉が今シーズン最多の大量飛散しました。当院の観測では、昨シーズンに最も飛散した日の飛散数が132個でしたが、22、23日に150個台の大量飛散を、今日は午後10時の段階で279個と最多の飛散です。明日は雨模様ですので飛散は一服すると思われますが、雨上がりのお雛さま前後に今シーズン最大の飛散を迎えそうです。


 城山公園内にある冬日の愛媛県美術館です。時間を持て余しながら人影まばらな常設展を観て、美術館のカフェで珈琲を頂く、、といった余暇を過ごしたいのですが、なかなか余裕が出来ません。^^;  少し寂しいですが、現在の私の美術鑑賞はもっぱらテレビです。デジタル化して精細化したテレビで見応えが増したもののひとつが美術番組でしょう。NHKの日曜美術館ももちろん良いのですが、少し堅苦しい、、 今の私のお気に入りは、BS日テレで毎週火曜日午後8時から放映の「ぶらぶら美術・博物館」です。美術に造詣の深い山田五郎さんとコメディアンのおぎやはぎとの掛け合いは、美術鑑賞を楽しくさせてくれます。あれ、この番組いいなと思っていたら、放送文化基金賞テレビエンターテインメント番組賞やギャラクシー奨励賞を受賞するなど、さすがの番組です。
 美術館の裏手には県立図書館があります。松山市総合コミュニティーセンター内にある中央図書館よりは閲覧できる蔵書数は少ないのですが、混み合ってないことが多く、私のお気に入りです。ジャンルを決めずに適当に借りて流し読みするというのが、私の読書法?です。市民向けながら医学専門書が充実しており実用としても役立っています。自習にいそしむ学生さんに囲まれていると、なんだか啓発されます。 
     
1月 1日    明けましておめでとうございます。今年も当院を宜しくお願いいたします。


 元旦に行われた天皇杯全日本サッカー選手権を観戦してきました。国立競技場のスタジアム中央に鎮座する聖火台は、東京五輪から始まる日本の高度経済成長のシンボルです。この競技場は、3年後に現在の5万人収容から8万人収容のより大きなスタジアムに建て替えることが決まっています。東京の至る所に7年後のオリンピック東京誘致の啓発ポスターが貼られていました。誘致都市の決定は今年9月です。今年の日本は、復興を確かなものにして、政治経済文化スポーツ、全てが前向きになって、56年ぶりの夏季五輪の誘致が出来ればいいですね。
  6日  当院も4日の仕事始めから3日経ちました。年末年始は大人も子供も集団生活の機会が減りますので、お正月に新たな風邪に罹ってこじれるた方は少ないようでした。年始の診察ではいつもながら、年末に診させて頂いた方の経過が気になります。年末に急性期の症状だった方で、年始の再診で症状の落ち着いていることを確認できた時には、私もホッとします。しかし、小児の中耳炎はお正月の寒さが厳しかったこともあり、治りきらない子供達が目立ちました。子供達はこれから集団生活に戻り、1年で最も風邪をひきやすい1、2月を迎えます。中耳炎が治りきらない状態で新たな風邪をひいて、中耳炎の経過もまた悪化するケースが多くなります。今週の3学期の始業式に向けて、私も気を引き締めて診察に当たろうと思います。
 松山では、全国と比較してインフルエンザの集団発生はなく年末を迎えましたが、愛媛県感染症情報センターの報告ではA香港型が9割、B型が1割の比率で報告されています。1月はA香港型主体ながら、B型も散見するパターンの流行が予想されます。
 スギ花粉症の方で、レーザー治療を希望する方が目立ちました。またお正月にスギ花粉症をかすかに発症した方が来院されました。松山では、例年通り11月下旬よりごく少量のスギ花粉の飛散が報告されています。山口県では今シーズンの初観測日は元日になりました。今年の1月は寒さが厳しいとの長期予報ですので、本格的な飛散開始は例年よりやや遅く2月中旬になるかもしれませんが、わずかな飛散は1月中旬より徐々に目立ってくると思いわれます。スギ花粉症に対する予防投薬(初期治療)の開始時期については、一般的な方は今年は例年よりやや遅めの2月に入ってからでもよいかもしれませんが、花粉に対して過敏な方は、1月中でも天気の良い日に室外で鼻や目がムズムズ感じ出した時点から服薬を始めてもよいと思われます。 
  10日  今月4日に6万人目の初来院された方を診察しました。平成6年5月の開院後、9年後の平成14年4月に3万人目の方をお迎えし、その後、8年弱で6万人目の方をお迎えしました。松山市の人口が約52万人、中予圏の人口が約60万人ですので、住民の転入出はありますが、中予にお住いの方のざっと10人にひとりを診察させて頂いた事になります。幸いにも開院以来医療紛争などのトラブルなく診察を続けることができましたのも、患者様はじめスタッフや当院を支えて頂いている方々の協力の賜物だと思っております。これから8年後、10年後に当院がどのような姿になっているのか?医学や医療情勢が どのようになっているのか?先を見通すのが難しい時代ですが、これからも私自身の健康にも留意しながら診察を続けたいと思っています。これからも山口耳鼻咽喉科クリニックを宜しくお願いいたします。
 私が開院の際に掲げた診療理念は、
 1、「説明と同意」の治療を基本とし、医の倫理に反しない。
 2、
自己研讃を怠ることなく、常に最新の医学知識、医療技術を提供する
 3、
最短の時間・最少の費用で、最大の効果を上げるべく努力する。
 4、
治療に際しては、不安や苦痛を与えない
 5、
安易に薬に頼らず、自然の治癒力を高める医療を実践する
 6、
最善の治療を行うべく、高次医療機関との連携を密にする
 7、
東洋医学の利点を取り入れる。
 8、地域の家庭医として、救急医療に対応する。
 9、病気と薬に関する情報を可能な限り公開する。
でした。私自身改めて見直し、気持ちも新たに診療に臨む所存です。開院以来、当院に通院される患者様の平均の再診回数は、全国の耳鼻咽喉科施設の平均よりかなり少ない回数を保っています。これからも、当院を受診された患者様が「最短の時間・最少の費用で、最大の効果が得られる」よう、「当院を受診して、安心を得られる」よう、日々、心掛けていきたいと思います。
 年が明けてほぼ毎日、A香港型ないしはB型インフルエンザを検出しています。学級閉鎖をきたす集団発生は見られませんが、家族内で、クラスの友人からなど、少しずつ感染は広がってきています。厳しい寒波も続いており、恐らく、連休明けの来週後半からインフルエンザの本格的な流行が始まるものと思われます。あえて予想すれば、今シーズンのインフルエンザの流行は、1月後半から2月前半にかけてA香港型が、B型が4月まで散発が続き、場合によっては2月後半に2009年型(新型)の流行が発生する? ような気がしています。
 スギ花粉の飛散については、元旦に山口県で初観測されましたが、その後の寒波で飛散は見られていません。当院のポールンロボでも、初観測はまだです。当院では1月下旬から、このホームページの「当院の花粉観測データ」のページで花粉飛散データのグラフを更新する予定です。


 青いバラです。花言葉は「可能性」「神の祝福」です。 
  12日  今日の診察では、花粉症に対する予防投薬(初期治療)やレーザー治療を希望する方が目立ちました。当院外来も、本格的な花粉症への準備の時期になりました。 
 レーザー治療は、鼻粘膜の中でもアレルギー性鼻炎の重症度に最も関わる部位である下鼻甲介粘膜を”軽くやけど”させるものです。そのため治療後約2週間は照射後の粘膜にかさぶたが付着するために、一時的に鼻詰りが強くなります。スギ花粉が大量飛散した直後に来院されて、鼻詰りがピークの状態でレーザー治療を希望する方が、少ないながら例年おられます。このようなケースでは、ひどくなった粘膜をさらにやけどさせることになりますので、レーザー治療は見合わせてもらっています。このような理由で、レーザー治療は基本的に、鼻粘膜がまだ高度なアレルギー性炎症を起こしていない花粉飛散前に行います。当院でスギ花粉症に対するレーザー治療を推奨している時期は、12月下旬から1月中旬で風邪に罹っていない体調の時です。
 今日明日と伊予市双海町のふたみシーサイド公園では水仙まつりが開かれていますが、厳しい寒波のせいで水仙の開花が例年より1ヶ月遅れる予定だそうです。このまま1月後半も例年以上の寒さが続けば、水仙の開花同様にスギ花粉の飛散開始も遅くなりそうです。愛媛県立中央病院耳鼻咽喉科がスギ花粉の測定を行い始めた1988年(昭和63年)以降のデータを見ると、最も早い年の飛散開始日(毎日スギ花粉が飛散し始めた日)は、2006年が1月17日で最も早く、2004年が2月13日で最も遅くなっています。私はよく、”スギ花粉の飛散は、梅の開花とともに始まり、桜の開花で終わる””松山の花粉症は椿さんとともにやってくる”とお話ししていますが、今年は梅も開花も遅くなりそうですし、椿さんも2月16日~18日と例年より遅い暦の巡りあわせですので、やはりスギ花粉の飛散開始日は例年より遅くなりそうです。(椿さんの時期との関連は半分こじつけです ^^); ) 飛散開始が遅くなるとすれば、今シーズンのレーザー治療は1月下旬でも間に合うかもしれません。また、予防投薬を始める時期も、私は例年、1月下旬からをお勧めしていましたが、スギ花粉に対する感受性が極端に強い人でなければ、今シーズンは2月初旬からでもよさそうです。
 アレルギーの原因抗原の検査試薬や、当院でも用いている減感作療法用抗原エキスの注射液を製造している鳥居薬品が、昨年7月にダニ・アレルギー治療用の経口減感作(免疫療法)の舌下錠の臨床治験を始めると発表しました。舌下錠とは舌の裏側に含ませて溶かせる内服薬に準じたお薬です。この治験では薬の安全性、有効性、至適使用量を調べるフェーズ2だけでなく、実用前の最終試験である多くの患者さんを対象にするフェーズ3も計画に入っています。また、昨年のクリスマスには、スギ花粉症治療用の舌下経口減感作薬のフェーズ3の治験が終了して、発売に向けた最終段階である承認申請を行ったと公表しました。遂に、経口減感作薬の実用化の可能性が見えてきました。うまくいけば2、3年以内に当院でも使用できるようになるかもしれません。今の医学では、遺伝子治療が実用化汎用化するまでは、減感作療法が最も体質改善に近い治療法と言えます。しかし、従来の注射薬を用いる治療法は、治療期間が長期に渡ること、確実な効果が保証できるものではないこと、ごくまれながらショックなどの重大な有害事象を惹き起こすリスクがあることなどの理由で、臨床の場で普及はしませんでした。舌下減感作療法が副反応が限りなくゼロに近い条件で行えるようになるのであれば、スギ花粉症を初めとするアレルギー疾患に対する治療の選択枝が増えます。アレルギーを専門とする私にとっては、クリスマス・プレゼントとなるニュースでした。 
  20日  私は「学童の3学期入りとともに風邪が急増する」と予想していましたが、いい意味で予想は裏切られました。愛媛県下では年末に比べて、乳幼児では気管支炎が増悪しやすいRSウイルスと、代表的な感染性胃腸炎の病原ウイルスのロタウイルスが共に大幅に減少、アデノウイルス感染症も減少し、インフルエンザの流行の立ち上がりも鈍かったです。(^.^) しかし当院では、大人も含めて溶連菌感染症が目立ち、ここ1週間は確実にインフルエンザの患者様が増えてきました。インフルエンザの発生については、愛媛県下では1月第2週より急増し、四国中央市、西条市では注意報レベルの発生となっています。しかし、18日現在ではまだ県下での学級閉鎖は報告されていません。県内のインフルエンザの内訳はA香港型が90%、B型が10%で、当院での検出傾向もほぼ一致しています。おそらく今週前半に小児の間で感染が広がり、今週後半には学級閉鎖も増えるものと思われます。当院では、インフルエンザワクチンを接種していても発熱などの症状が強く出たお子様も散見されています。今年流行のウイルスのタイプとワクチンに使われたウイルスがあっているのかどうか、今後の研究機関の報告を注意深く見てみます。
 スギ花粉の飛散については、近隣の山口県ではその後もほとんど飛散していません。当院では全く観測されておらず、初飛散日はまだの状態です。やはりスギ花粉の飛散開始は例年より遅くなりそうです。
 今日はアレルギー性鼻炎のレーザー治療について少しお話ししようと思います。レーザー治療を検討している患者様から受ける質問で一番多いのが「痛くないですか?」です。確かに治療を受ける立場では切実な疑問です。お答えは「ほとんど痛がらない人もいれば、涙目になって痛がる人もいます」です。
 鼻粘膜に針を挿入する電気焼灼術では局所麻酔薬を注射しますが、レーザー治療や化学剤手術は粘膜表層の治療ですので、表面麻酔剤をスプレーしたりガーゼに浸み込ませて行う表面麻酔を用います。積極的に注射した方が麻酔はしっかり効きますが、極めて稀に局所麻酔剤でショックを起こすケースのあること、また、麻酔注射に少量含まれている血管収縮剤の影響や、薬剤の成分には関係なく注射を行うという緊張を強いる行為に伴い低血圧などの二次的なプレショック(脳貧血)が起こる場合もあることから、切開を加えるような手技ではないレーザー治療は、表面麻酔で行こなうのが標準的な麻酔法で、当院でもこの方法を取り入れています。ほとんどの方は麻酔自体は十分な効果が得られるのですが、痛みを感じる場合はあります。レーザーを照射する部位で言えば、下鼻甲介の中の後端、上部、前端は知覚神経が集簇しているために痛みを感じやすいです。鼻中隔弯曲などで鼻腔に狭い部分があると、その場所は鼻閉の原因となるところですので、術者の立場としてはレーザーを特に十分当てたい場所です。ところが物理的に狭い部分ですのでどうしても治療装置のハンドピースを押し込むことになり、機械的な圧迫から痛みを誘発する場合もあります。また、小児などでは恐怖心が先にたっていると精神的に痛みを感じやすくなります。私も施術中、「痛みを感じたら遠慮なく仰って下さい」といって慎重に行っていますが、痛みを感じやすい部位の照射では「ここは痛いかもしれませんが、少し我慢して下さい」と思わず言っています。無麻酔下に針をブスブス刺し続けるような痛みはありませんが、全くの無痛ではありません。結論としては、術後に痛みが続くことはありませんが、半数以上の方が、術中後半の時間には少し涙目になります。鼻粘膜へのレーザー治療自体は副作用の全くない治療法です。さて、レーザー治療を検討しているみなさんは、これを読んでどう判断するでしょうか。痛みが心配な方は、診察時にどうぞ遠慮なくご相談下さい。 
  23日  今シーズン、愛媛県下ではインフルエンザによる学級閉鎖が、先週まで1校もありませんでした。大変めずらしいシーズンです。今年に入り、年明けとともにインフルエンザの発生は徐々に増えていましたが、先週半ばまでは集団発生が広がるレベルにはなっていませんでした。ところが先週末の18日、松山市内のある小学校ではあと3人欠席なら学級閉鎖だったとのことです。当院でも先週末から一気にインフルエンザの患者様が増えました。A香港型の発生が増えて、当院での割合は、A香港型が95%、B型が5%の割合です。今シーズン早くもB型に続いてA型に感染したお子様も見られました。また、A香港型とマイコプラズマの同時感染、溶連菌咽頭炎に引き続いてB型に感染したケース、RSウイルス感染に続いて直ぐにA型に感染した例など、立て続けに熱発するお子様も見られました。 
  伝染性単核球症、突発性難聴、鼓膜チューブ留置術など。 
  26日  日本上空に寒気団が入り、日本海側では大雪が続いています。 愛媛県下でもインフルエンザの流行が急速に広まりました。先週、西条、新居浜、宇和島で警報レベル、松山も含めたその他の地域でも全て注意報レベルの流行となりました。松山では先週18日に南第二中学校で今シーズン初めての学級閉鎖がありました。患者数からみれば流行の立ち上がりは昨シーズンとほぼ同様です。恐らく今週、来週が流行のピークになると思われます。
 愛媛県感染症情報センターの報告では、集団発生は全てA香港型とのことですが、1月上旬に引き続きB型の発生も続いています。ローカルな話題で恐縮ですが、当院は余土小学校とさくら小学校の校区の境界に位置していますが、当院東側の余土小学校ではB型が主体で流行、西側のさくら小学校ではA型、B型が混在、さらに西部の垣生小学校ではまだ患者数は少ないようです。このように当院近隣ではB型も集団発生しています。B型は従来タミフル耐性の傾向が強いこともあり、抗ウイルス剤の選択の際には、迅速検査の結果がおおいに参考となります。
 スギ花粉の飛散は、引き続きほとんどみられていません。当院の観測でも初観測はまだです。今後の飛散の予想ですが、私はこのままの寒波が続くようなら、松山の飛散開始日は過去20年で最も遅い2月13日と同じ時期のバレンタインデーの頃になりそうな気がしています。しかし、1月下旬を迎えて、飛散への準備としての初期治療を希望される方は増えてきました。私は初期治療でも出来る限り、個々の方の体質や希望に沿った処方を行いたいと思っています。効果の高いお薬にするか?受験生であったり、運転や夜間のお仕事関係の方で眠気は全くでない方が良いのか?妊娠の可能性があっても安心できるお薬にするか?ハウスダスト・アレルギーや好酸球性鼻炎がベースにあり遅発性反応も抑えたいのか?成長期で抗体産生を抑えたいのか?出来るだけ費用負担が少ない方がよいのか?点鼻液などの外用薬中心の処方がよいのか?点鼻スプレーに過敏だったり人前でのエチケットを気にしたりなどで内服薬中心の処方がよいのか?などなど、当院を受診される方は、遠慮なく希望をお伝え下さい。
 花粉症治療の薬剤についてですが、今シーズンは今のところ新薬は出ていません。鼻閉に有効であるが心血管系や精神系への注意が必要な抗ヒスタミン薬とα交感神経刺激薬の経口配合剤の発売が予定されていますが、発売時期はまだ未定です。ジェネリック医薬品(後発薬)の新製品としては、効果の高いアレロックの成人向けのジェネリックが昨年12月に発売され、眠気が発現しにくいアレグラのジェネリックが2月に発売予定です。ジェネッリック医薬品はやはり費用負担が少なくなるという利点があります。内服薬長期処方+頓服薬+点鼻薬+点眼薬など様々なお薬をまとめて処方されると、医療費の自己負担も結構な額になります。ジェネリックを上手に活用して、お財布への負担を軽く出来ればと思います。
  口臭精査、声帯結節など。 
  30日  松山大学のデータでは、今年のスギ花粉の初観測は1月7日でした。その後、ほとんど飛散していませんが、今日の午後は寒さがぬるみ、日向ぼっこが気持ちいい陽気でした。明日も暖かくなり、かつ風が強くなるそうです。毎日連続して花粉が飛散する飛散開始日はだでしょうが、ここ2、3日、花粉が飛散しやすい天候になりそうです。スギ花粉に過敏な方は、ここ数日で花粉を感じだすかもしれません。