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インフルエンザ 25/26シーズン

 「インフルエンザ」とはイタリア語で'同時に多くの人を襲う災厄'という意味です。1743年にヨーロッハで多数の死者を出したかぜが大流行した時にインフルエンザと名付けられました。後に原因がウイルスであることが解明され、Influenza virusと命名されました。人間に感染・発症するタイプにA香港型、A2009年型、症状の軽いB型(山形系統、ビクトリア系統)があります。09年4月に豚インフルエンザやAソ連型から変異したA型がメキシコで流行した後世界に広がり新型(その後2009年型と称す)となりました。インフルエンザは感染すると48時間はウイルスが急激に全身で増殖し、その後、体内のインターフェロンや中和抗体の働きによって4~7日でウイルスが死滅します。日本では、12月末から流行が始まり、1~3月にA型が流行し、4月にB型が小流行する傾向があります。05年から沖縄では通年でB型が発生しています。A09年型は、AH1N1亜型で1918年に流行したスペイン風邪や77年から流行したAソ連型と構造が似ており、また香港型、ソ連型、トリ、ブタの4種の遺伝子が混ざっているために、成人では部分的な免疫力を獲得しているため発症しにくいと考えられます。20年3月以降新型コロナ流行下で世界的に発生が無くなりましたが、22年11月より流行が再発生しています。インフルエンザ」とはイタリア語で'同時に多くの人を襲う災厄'という意味です。1743年にヨーロッハで多数の死者を出したかぜが大流行した時にインフルエンザと名付けられました。後に原因がウイルスであることが解明され、Influenza virusと命名されました。人間に感染・発症するタイプで従来からあるものを季節性としA香港型、Aソ連型が変異したA09年型、症状の軽いB型があります。09年4月に豚インフルエンザから変異したA型がメキシコで流行した後世界に広がり新型(その後2009年型と称す)となりました。インフルエンザは感染すると48時間はウイルスが急激に全身で増殖し、その後、体内のインターフェロンや中和抗体の働きによって4~7日でウイルスが死滅します。
 日本では、季節性のものは12月末から流行が始まり、1~3月にA型が流行し、4月にB型が小流行する傾向があります。05年から沖縄では通年でB型が発生しています。A09年型は、AH1N1亜型で1918年に流行したスペイン風邪や77年から流行したAソ連型と構造が似ており、また香港型、ソ連型、トリ、ブタの4種の遺伝子が混ざっているために、成人では部分的な免疫力を獲得しているため発症しにくいと考えられます。09/10シーズンに罹っていない人を中心に11年に再流行しました。
 20年3月以降新型コロナ流行下で世界的に発生が無くなりましたが、22年11月より流行が再発生しています。

症 状:潜伏期間が12~48時間と一般的なウイルスの2~4日に比べ短く、また、一般的なかぜに比し全身症状が強いのが特徴です。A香港型が症状が強く、09年型とB型は症状が軽い傾向があります。高熱(38~40度)が突然出るととともに、悪寒、頭痛、腰痛、筋肉病、全身倦怠感が出現します。それと同時か、1~2日遅れて鼻みず、くしゃみ、のどの痛み、せきなどの呼吸器症状が出てきます。時には食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状も出現します。熱は通常3日程度で下がります。二度熱という、いったん下がった熱がウイルス自身の反応によって再度1~2日上昇するケースもあります。呼吸器症状はその後も数日続き、合併症がなければ約一週間の経過で治癒します。
*以前の感染による基礎免疫により、倦怠感と軽い咽頭痛、咳だけで、熱が出ない軽い症状だけの場合もあります。将来遺伝子レベルでの研究がすすめば、症状が出にくい体質や感染しにくい体質、ひいては予防接種を必要としない体質も判るようになるかも知れません。

合併症:普通のかぜと違い全身症状が強い為、様々な合併症を起こします。高齢者では二次的な細菌性肺炎で死亡することもあります。発病して4~5日してもいっこうに熱が下がらなかったり、せき、たんがひどくなって、呼吸困難感や胸痛を感じる時には、肺炎を合併した可能性がありますので必ず医療機関を受診して下さい。ごくまれに脳症ギランバレー症候群と呼ばれる神経系の病気や心筋炎横紋筋融解症による腎不全を合併することもあります。小児では中耳炎仮性クループ(声門下喉頭炎)と呼ばれる呼吸困難を起こすことがあります。2才以下の乳幼児の脳炎は発症当日~2日で急激に発現し、時には命に関わることもあります。耳鼻科領域では発症初期のウイルス性中耳炎(水泡性鼓膜炎)による内耳炎にも注意します。
 合併症の注意点を発症後の経過で以下に挙げます。
   発症当日~4日 乳幼児の脳症、熱せん妄‥頭痛、意識障害、嘔吐、首のこわばり、異常行動
   発症2~5日  乳幼児、高齢者の脱水‥尿がでない、ぐったりしている
   発症4~8日  乳幼児、高齢者の肺炎‥解熱しない、呼吸困難
           乳幼児の中耳炎‥解熱しない、不機嫌 (初期でも発症します)

治 療:発症初期には抗ウイルス剤による根本治療が、発症2日後からは対症療法と二次感染の予防が主体となります。家庭で安静にして、保温の上、水分を十分に補給して下さい。高度な合併症が疑われた場合には、入院を前提として関連病院に紹介することもあります。
   ◎ 意識消失、嘔吐の持続、高度の脱水などの際には救急治療が必要となります!!

★感染への注意点

 潜伏期は1日前後と極端に短く、発症後約5日間は感染力があるため、家庭内や学校、職場で一気に流行します。主に痰からうつる飛沫感染で、家庭内では20~40%の人にうつります。患者の鼻水や痰をとったティッシュペ-パ-には手を触れない、患者はマスク着用で痰を広げない(咳エチケット)など、直接接触しない心掛けが必要です。また、抗ウイルス剤の服用で早く症状が治まってもウイルス排泄期間は短くならないとの報告もあり、治ったかにみえた人から感染する場合もあります。

★解熱剤の使用に際しての注意点
 38度台の体温は全身の免疫機能が活性化されてウイルスを殺す至適温度です。痛みがなく生活に支障がなければ、解熱剤を用いる必要はありません。ただし、39~40度の熱が続く場合は、熱自体による体力の消耗と、特に幼児では脱水やけいれん、せん妄の心配がでてきます。倦怠感が続くため水分が十分に取れず、尿の出が少ないようなら、解熱剤の使用も考慮して下さい。COX1阻害作用の強いサリチル酸系の解熱剤(ボルタレン、ポンタールなど)は極まれに脳炎による嘔吐、意識障害、けいれん、肝障害などのライ症候群を誘発する可能性があるため使用を控えて下さい。  
*当院で処方される小児用の解熱剤はアセトアミノフェン(コカール、パラセタ坐薬など)というCOX3阻害作用が主体の刺激の少ない解熱剤ですので安心してご使用下さい。

★予防接種について
 前年の中国のブタの流行からその年に流行する種類を類推した09年型、A香港型、B山形系統、Bビクトリア系統の4種類(15/16シーズンよりB型が2種に増えました)が混合したワクチンです。高齢者の約4割の発症を予防し約8割の死亡予防効果が、就学前児童の2~4割で発症予防効果があるとされており、特に高齢者に対する接種が推奨されています。0歳児への発症予防や脳炎予防への効果については多様な報告があり、厚労省研究班が04年2月に発表したデータでは有効性は認められないとのことです。現在の不活化ワクチンでの重大な副作用は少ないとされており、高齢者、集団保育中や耳・気管支が弱い幼児、受験生などへの接種は推奨します。ただし、1)接種部位が腫れることはままある 2)学童への集団接種による副作用被害に対し国の責任が問われたことや集団接種しても流行が抑えられないとの報告が出たことなどから、4年に任意接種に切替わった歴史がある 3)厚労省の副作用情報では、約1500万人が接種した02年では小児1名を含む9名の接種後死亡例の報告もある などから、特に乳幼児の接種に際してはその得失をよく理解したうえで接種されることをお勧めします。
 大人は1回、インフルエンザに対する基礎免疫の少ない12才以下の小児は2~4週の間隔を開けて2回の接種が望まれます。(ただし小児向けのフルミスト点鼻は1回) 初回の接種後約2週間で抗体がつくため、流行入りの前の12月初旬までに接種を済ませていれば効果的です。接種後1ヶ月で約80%に有効な抗体量がつき、成人では5ヶ月後より、小児では4ヶ月後より抗体が少なくなります。点鼻のフルミストでは抗体保有期間が注射ワクチンよりやや長いです。抗体の保有期間は約半年ですので、毎年接種する必要があります。65才以上の高齢者には接種への公的補助があります。  

★小児の出席停止期間について 
 学校保健安全法で「発症日を0日と数え、5日を経過しかつ解熱した後2日(幼児にあっては3日)を経過するまで出席停止」とされおり、最短でも発症日を1日目とすれば7日目に登校可能となります。なお欠席は公欠扱いで、中予地方では、中学生は欠席の連絡に診断書は不要で、口頭でよいとされています。

[診断] 迅速診断キットは、ウイルスの量の少ない感染初期と感染後半期には感染していても反応が出にくいため、診断は所見や経過から総合的に判断します。キットの感度は発熱1日目の陽性率3割、2日目の陽性率8割との報告もあります。

[治療] 抗ウイルス薬でウイルスの増殖を停止させます。高熱や全身倦怠感などは改善しますが、殺菌作用ではないために微熱が無くなる期間は使用しない場合と比べて1日半程度の短縮効果となります。ウイルスが本来増殖のピークを迎える発症後48時間までに服薬を開始すれば特に有効です。小児は全ての薬剤で、発熱から2日間は保護者は転落等の事故防止対策を講じることとされています。抗ウイルス薬の4割が日本で消費されています。

内服薬:全身からの発熱や倦怠感、関節痛に特に有効です。
タミフルはA09年型耐性株の報告があります。2割の小児で下痢を認めます。2017年からは0才児でも使用可能となりました。服用後の異常行動による10代の服用中止は、インフル自体の自然経過や他の薬剤との発生率に違いがないことから2018年より解除されました。
ゾフルーザは1回の服用で5日間有効で、体重10㎏以上の小児なら粉末化で服薬も可能です。既存薬はウイルスが増殖後に細胞の外に出るのをブロックするのに対し、ゾフルーザは細胞内での増殖そのものを抑えるため、ウイルスの排出時間が大幅に短縮されることから翌日にはウイルスの排出がほぼ無くなります。小児の50人に1人で下痢を認めます。治験段階で耐性化の機序が報告され、2019年1月に国内の患者よりA香港型に対する耐性変異株が検出されました。  
*ウイルスが検出されなくなる時間;無治療4日 タミフル3日 ゾフルーザ1日

吸入薬:リレンザは1日2回5日間吸入で、特にB型に速効性があります。イナビルは1回で5日間効果が持続します。主な感染の場である気道にウイルスが広がるのを強力に抑える作用があり、耐性株は見られていません。吸入可能な5才から使用でき、嘔吐などで服薬が困難な小児にも有用です。いずれも成分は脳内に移行しないとされます。牛乳アレルギーでは慎重投与との注意がされています。イナビルは19年10月に吸入液が発売になり、吸入器での吸入が難しい小児や高齢者に有用です。

点滴:ラピアクタは1回点滴で5日間効果が持続します。4ヵ月児より投与可能。下痢誘発の傾向あり,腎障害あれば慎重投与。

予防投薬:成人・幼児(2017年承認)ともに、タミフルは1日1回10日間まで、リレンザは1日1回10日間まで、イナビルは1回の吸入で5日間その後1回追加で計10日間まで、の有効性が認められています。

[トリインフルエンザ] ヒト→ヒト感染のパンデミック化すると全世界で数百万人が死亡すると推定される新型インフルエンザ化する可能性があります。 96年に中国のアヒルから高病原性のH5N1型が検出され、97年香港でヒトへの感染死亡例が、04年にヒト→ヒト感染疑い例の報告があり、06年にはインドネシアでヒト→ヒト→ヒト感染が報告され、11、12年にもヒトの死亡例が出ました。現在WHOでの感染症レベルはグレード3の「ヒトーヒト感染は極めて限定されている」です。13年3月に中国で新たなタイプのH7N9型のトリ→ヒト感染が確認され、14年も感染例、死亡例が報告され、強毒の新型インフルエンザ化が心配されています。日本では13年に新型インフルエンザ等対策特別措置法が施行されました。

[予防接種] 03年より米国で点鼻生ワクチンのフルミスト点鼻が承認され、日本でも24年後半より接種が始まりました。適応は2~18才で1回接種(両鼻腔の入り口に各1回噴霧)します。

[新型コロナとの同時感染] 新型コロナは血管内皮細胞に、インフルは粘膜の細胞にと、ウイルスが侵入するレセプターが異なることから、競合せずに同時感染を引き起こす可能性も指摘されています。

25/26シーズンの経過 (26年4月2日現在 その後の経過は診察時に適宜お知らせします)
 09年、23年以来で例年より異例に早く9月上旬よりA香港型が全国的に発生し、9月28日には全国水準では過去20年で2番目の早さで流行入りしました。愛媛でも9月中旬より発生が報告され始め、10月中旬から学級閉鎖の報告が始まりました。当院では9月29日にA型、9月30日にB型を今シーズン初めて検出しました。全国的には11月16日には過去10年で最も早く警報入りし、愛媛県は11月23日に警報入りしました。1月も警報レベルでの発生が続き、B型(ビクトリア系統)の発生が増えてきました。12月はA型99%、1月はA型79% 、B型21%でした。3月はB型が97.5%でした。3月22日現在で愛媛県は警報レベルの発生数です。
 A香港型は96%が変異株サブクレードk株で、予防接種の製造株バース株と異なっていることから効果がやや低くなっている可能性があります。薬剤耐性は、A香港型の1.1%がゾフルーザ耐性。B型は主な薬剤への耐性は報告されていません。


24/25シーズンの概要 
 9月から全国的に散発し、当院では9月7日にA型、9月13日にB型を検出しました。9月10月と松山市内でも学級閉鎖がみられました。11月3日全国的にA2009年型による流行入り、12月16日には全国愛媛県共に警報入りし、23日には統計のある1999年以来最多の報告数となりました。99.6%がA2009年型ですがB型も散見されました。2月中旬でA型の流行は終息。25年4~5月にB型の流行が見られました。年末には抗インフルエンザ薬の不足が起こりました。耐性株は12月25日の報告では、A2009年型に対してゾフルーザ2.7%、タミフル3.4%でした。


23/24シーズンの概要 
 22年11月中旬より2年半ぶりに日本でも流行が発生しました。3月には全国的に流行のピークを迎えました。愛媛県も注意報レベルとなりましたが警報レベルには至りませんでした。5月より再度発生が増え、夏も発生が続き、新型コロナの第8波、第9波との同時流行となりました。2009年の新型インフルエンザの流行時以降では初めて10月初旬より全国的に流行が広がり、愛媛県も10月22日に初めて10月に警報入りしました。1月にはB型ビクトリア系統の流行も始まり、A香港型、A2009年型、B型の同時流行となり、6月まで流行が続きました。
 耐性株はA香港型で1.3%ゾフルーザ耐性がみられた以外は報告されていません。23年11月よりA香港型とA2009年型に二回罹るケースも出ています。約2年半インフルが発生しなかったことからインフルに対する基礎免疫が低下している人が多く、予防接種未接種の人で症状が強くでる傾向が見られていました。


22/23シーズンの概要
 7月に東京の小学校で学年閉鎖、8月に南半球で冬にあたるオーストラリアではインフルとコロナの同時流行が見られました。11月中旬に関西圏で小流行がみられ、12月初旬に6都県で流行入りしました。愛媛でも11月下旬に西条から報告が始まり、当院では12月23日に20年2月以来でA型を、1月13日にB型を検出しました。1月16日、四国中央市と西条市で注意報レベルになりました。3月6日に石川県福井県が警報レベルで全国的にも流行のピークを迎えました。愛媛県も注意報レベルとなりましたが、その後警報レベルには至りませんでした。5月より再度発生が増え、中予でも学級閉鎖が多く発生しました。夏も発生が続き、2009年の新型インフルエンザの流行以来、10月初旬に全国的に注意報レベルの流行になっています。
 複数の型が同時発生しています。全国、愛媛とも、A香港型99%で大多数を占め、A2009年型、B型ビクトリア株も少数報告されています。耐性株はA香港型で1.3%ゾフルーザ耐性がみられた以外は報告されていません。
 インフルエンザと第8波入りした新型コロナウイルスの同時流行となりました。また約3年間インフルが発生しなかったことから世界の人々のインフルに対する基礎免疫が低下している可能性があり、感染すると症状が強くなる恐れがあります。


21/22シーズンの概要
 8月15日より報告が上がり始めました。青森、宮城、栃木、広島県から報告があり、全く発生していない訳ではありません。
 この夏、昨年小児の間で全く発生しなかったRSウイルスが大流行しました。昨シーズン、全く発生していなかったインエンザも個々人の基礎免疫が低下していると考えられることから、来シーズンは流行する可能性もあります。


20/21シーズンの概要
 9月10月に北海道と福岡で学級閉鎖が3校報告され、全国のウイルス分離報告では10月にA09年型が2例確認されましたが、12月の発生は全国的に例年の1/100以下で記録的な少なさとなっています。愛媛では11月15日に松山で1例報告されたのみです。1月に新型コロナウイルスが発生、世界的な感染予防のニューノーマル下、世界的にも日本でもインフルエンザはほとんど発生しませんでした。B型山形系統は世界的に消失したとの論文もでました。

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リンク集
愛媛県感染症情報センター 愛媛県立衛生環境研究所の報告です。県内の最新の流行情報が掲載されています
インフルエンザ情報サービス  「インフルエンザ流行レベルマップ」で全国の最新の流行情報が一目でわかります
国立感染症研究所 感染症情報センター  全国の流行状況が判ります
インフルエンザQ&A  厚生労働省のページです。感染予防やワクチン接種についてまとまっています
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