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松山の花粉症情報


山口耳鼻咽喉科クリニック

’26年4月3日最終更新

【松山での花粉症の特長】
 スギは、前年の秋11月からかすかに飛散した後、1月初旬から中旬に初観測日を、2月初旬に持続的に飛散し始める飛散開始日を迎えます。2月から3月中に2〜5回程大量に飛散する日があり、その後、4月上〜中旬に終息します。飛散は梅(松山では椿まつり)とともに始まり、桜で終わると言われています。雨上がりの後や暖かく風の強い日には大量に飛ぶ傾向があり、市街地では午後3時頃〜9時頃に落ちてきます。飛散初期は目のかゆみ・くしゃみ・鼻水が主な症状ですが、後半期は慢性的な刺激のため、目の充血・鼻詰まり・のどの痒みや痛み・咳・熱感など、風邪様症状が目立ってきます。また、顔面皮膚炎を起こす場合もあります。飛散の多い日は午後の外出を控えたり、帰宅時に玄関先で衣類のホコリを掃ったり顔や目を水で洗い流す、早めに入浴する、洗濯物は午前中に取り込むか部屋干しする、などで花粉に晒されないよう心がけてみて下さい。特にシーズン後半期は個々人の症状に合わせたきめ細やかな治療が求められます。
 ヒノキは3月中旬に飛散が始まり、4月上旬にピークを迎え、5月上旬に終了します。ヒノキはスギとの抗原共通性があり、愛媛県はヒノキの植林が全国3番目と多く、スギ花粉症の方の8割が最終的にヒノキの花粉症を合併します。スギ・ヒノキともに2000年代に入り、飛散量が多くなっています。
 ブナ目カバノキ科ハンノキは湿地帯に生息する樹木で、スギヒノキ花粉と同時期の3〜5月に飛散します。シラカンバ(秋にどんぐりをつけるブナ、オオバヤシャブシ、コナラも含む)と共通抗原性があり、果物による口腔アレルギー症候群を高率に合併します。粒子が小さくヒノキ同様に咳やのどの症状が立ちます。
 イネ科雑草の飛散は3月下旬から11月初旬までの長期に渡り、梅雨と7月後半の時期を除き見られます。最も目立つ時期は5月の連休明けから梅雨入りにかけてのカモガヤです。イネ科は共通性抗原となることから、複数の植物に反応し長期間反応する人も多いです。
 ブタクサ、ヨモギなどのキク科の花粉症は9月中旬〜10月中旬に見られます。雑草花粉は100〜300m程度(ブタクサは数10m程度)飛散します。好天の日に公園や土手、草むらに近づけば、急性の強い反応が出ます。


【スギ花粉症の初期(予防)治療について】
 初期治療(発症前投薬・予防投薬)を始める時期は、飛散開始日の1週間前(例年なら2月始め)または1月中でも外出時に花粉を感じ始めた時点からです。レーザー治療は12月後半から1月中旬に済ませることをお勧めしています。舌下免疫療法は11月中までに開始します。

< 26年シーズンの予想と経過 > 
 飛散の裏年にあたる、前年の夏が猛暑で日照時間も多く少雨だった、スギ雄花の花芽の量は例年並みなどの点から、前年よりやや少なく例年並みの予想でした。
 スギは1月10日初観測、2月16記録的に遅く飛散開始、22日28日に多く飛散しました。その後の飛散は予想以下で平年の7割程度の飛散に落ち着きそうです。
 ヒノキは3月30日に大量飛散しました。

< 25年シーズンの概括 > スギ花粉は、前年夏が記録的な高温少雨かつ表年に当たることから、平年の2倍、昨年の8倍の大量飛散が予想されましたが、平年並みの飛散量となりました。山口県で1月5日、東京で1月8日と飛散開始日が記録的に早まりました。松山の飛散開始日は最強最長寒波の影響もあり平年より遅い2月13日でした。例年より遅い3月13〜15日に1回だけ大量飛散するという大変珍しいパターンでした。ヒノキは3月21日に飛散開始、3月26日に大量飛散しました。ヒノキ花粉は3月9日飛散開始、4月10日に大量飛散し4月30日に飛散終了しましたが、ヒノキ花粉も少量飛散でした。

*当院では1月下旬よりポールンロボによる自動観測を行っています。スギ花粉の飛散シーズンは当ホームページにて時間単位の速報がご覧になれます。なお、ポールンロボは花粉状粒子を測定しているため、ヒノキ花粉の時期は雑草花粉との判別はつきません。また黄砂にも反応します。


< アレルゲン・カレンダー > 
スギ:前年11〜12月にごく少量、1月初旬に初観測、2月初旬に飛散開始、3月上旬にピーク、4月中旬に終息
ヒノキ:スギと共通性抗原。3月中旬に初観測、4月初旬にピーク、5月初旬に終息
ハンノキ:シラカバと共通性抗原。果物アレルギーを合併。咳が目立つ。3〜5月
イネ科雑草:4月上旬に松前町の裸麦、4月にハルガヤ、5月にカモガヤ、6月初旬の梅雨入りで一旦終息。秋の8月下旬〜11月初旬。互いに共通性抗原。
キク科雑草:9月中旬のヨモギ、9月下旬のブタクサ、10月中旬に終息
ハウスダスト:家ダニが梅雨〜11月、カビは夏
過敏症(血管運動性、好酸球性、薬剤過敏、萎縮性(加齢など)、上咽頭炎(扁桃肥大)):6月、9〜11月、冷房時、梅雨台風時
黄砂、PM2.5:3月〜5月に飛来が目立つ



●花粉症が初めて疑われた方へ:20才代で70%の人が花粉やホコリなどの吸入抗原の抗体を持ち、花粉症未発症者の45%が花粉の抗体(内65%はスギ)を持つとの報告もあり、花粉症予備軍は思いのほか多いです。花粉症を今シーズン初めて発症した方は、まだ抗体の量が少ないので、軽微な症状しか出ず軽く終わることが多いです。冬の名残で上気道粘膜が弱った時期に、アレルギー素因があり以前から気道粘膜の弱い傾向のあった方が発症していきますので、花粉症発症1年目か軽いウイルス性上気道炎かの鑑別は難しいものがあります。耳鼻科専門医はこの辺りの診断を的確にすることに細心の注意をはらって診察を進めていきます。
検査は @鼻汁好酸球の有無でアレルギー反応の存在を類推 A確定診断と程度をみるための血液検査による抗体測定(RAST)があります。当院では主に総抗体量(IgE抗体)、ハウスダスト、スギ、イネ科花粉、と、細胞性過敏症の指標である血中好酸球数を測定し、必要に応じてヒノキ、キク科花粉、ハンノキ、ペット、カビ、ガ、ゴキブリ、食餌性抗原、接触性抗原なども測定しています。検査を希望される方は診察時ないしは受付でお伝え下さい。

●小児・女性・高齢者の花粉症の特徴:生後3-4ヶ月までに非病原性細菌のエンドトキシンに暴露する機会がない清潔な環境だとアレルギーを抑制するTH1細胞が増えず、アレルギーを増悪させて2型自然リンパ球やサイトカインを活性化するTH2細胞が増える(衛生仮説)、清潔な衛生環境、乳児期の抗菌薬の服用、腸管免疫機能の低下、動物性蛋白の摂取が増える、環境汚染物質(PM2.5など)の増加で、1960年代から急速に発現頻度が増え、発症年令が低年齢化しています。
 アレルギー体質=異物蛋白の抗体産生力が強い体質の小児は、早ければ6ヶ月で食物、1才でハウスダスト、2才で花粉へのアレルギーを発症します。小学生の2割に雑草花粉3割にスギ5割にハウスダストの抗体が、20才台の7割、妊婦の8割に何らかの吸入性抗原の抗体があるとの報告があります。成長期は抗体産生力が強いので、15才前後まで徐々に症状が強くなる傾向があります。また、女性はホルモンの影響で妊娠後半期や出産後に症状が強くなる場合があります。一般的な花粉症の初発年齢は小学生〜40歳代ですが、まれに60歳代でも発症します。逆に50歳代以降では年齢的な反応の減弱化によりアレルギー反応は弱くなり(アネルギーanerugy)ます。

●花粉症とまぎらわしい鼻炎:花粉症の方は程度の多少はあるものの平素の過敏症も有しており、さらにほこりのアレルギーを合併する方も多いので、花粉症シーズン以外の時期でも鼻炎の症状が目立つことがあります。*以下のように、気候や環境からは6,7,9,11月が過敏になりやすいです。
@鼻過敏症:鼻の粘膜は毛細血管で構築されていますので血管運動性鼻炎とも称します。扁桃組織の弱い人に多いです。また、加齢による萎縮性鼻炎や、30才代以降の女性に目立ってくる好酸球性非アレルギー性鼻炎、消炎鎮痛解熱剤に対するNSAID過敏症、シックハウス症候群(化学物質過敏症)もあります。妊婦さんでは妊娠後半期にホルモンの影響で妊娠性鼻炎を起こしやすくなります。副交感神経という自律神経が活発になる朝に症状が出やすくなりモーニングアタックと呼びます。また、夏のクーラー・11月初冬の冷え、梅雨や秋雨前線・台風による低気圧、温度変化、乾燥、風邪を引いた後(感冒後過敏症症候群)、黄砂やPM2.5プールの塩素尿素、化学建材などによる機械的化学的な刺激、ストレスから惹き起こされる自律神経失調などで過敏になります。またPM2.5などの化学物質の影響で粘膜が障害され抗原の侵入が容易になるため、花粉症などが悪化しやすくなります。
Aハウスダストによる通年性鼻炎:家ダニ、カビによるアレルギーがあると一年を通じて鼻炎が続きやすくなります。10才代で体質が完成します。梅雨は高温多湿でダニ、カビが繁殖し、夏に結露の多い住宅や古い畳の多い住宅では夏カビが繁殖します。冷え込みの始まる11月には抗原性の強いダニの死骸やフンが多く発生します。

★舌下免疫療法:スギ抗原を口内に滴下する舌下免疫療法(SLIT)は5才以上65才未満を対象に、5〜11月に開始し、2〜3年間毎日服薬します。同様にダニのSLIT、スギとダニの治療を同時に行うdual SLITも行われています。
舌下免疫療法 へ

★ゾレア(ヒト化抗ヒトIgEモノクローナル抗体): 抗IgE抗体を注射することにより、アレルギー反応を引き起こすIgE抗体総量の働きを阻害することによりアレルギー反応を抑えます。世界的にも花粉症に反応する患者数の多い日本が2019年12月に世界で初めて季節性アレルギー薬として承認されました。
 既存治療で効果不十分な重症又は最重症の12才以上で、スギIgE抗体がクラス3以上の患者に限定されます。対象患者の総IgE量と体重に基づいて投与量が設定され、スギ+ヒノキ花粉症シーズンの2〜5月に月1〜2回投与します。遺伝子組換え製剤であることから高価で、スギ+ヒノキ花粉症の方で標準的なIgE量の方の薬剤費は1回9万3千円×4回(3割自己負担で11万2千円)、最大で8回149万円(同45万円)です。
 スギ特異的なIgE抗体だけでなく全てのIgE抗体の働きを抑えることから、副次的なアレルギー反応の発生に注意し、抗アレルギー剤の同時服薬も必要です。
 当院では耳鼻科基幹病院への紹介により治療します。
*この薬剤が広く使われると保険診療の財政を圧迫する懸念もあることから、最適使用ガイドラインが
設定され,市場規模が1000億円を超える場合には費用対効果評価が行われます。

★ワセリン療法:花粉には水分に触れると割れるという特性があります。油性のワセリンを鼻入口部に塗ると、花粉を捕捉するだけでなく、花粉が割れるのを防ぐために鼻粘膜でのアレルギー反応を少なくできます。鼻汁は弱アルカリ性で花粉が付着すると破裂しやすいのですが、ワセリンが油性であるために花粉の破裂も防げます。さらに鼻の反応が収まれば、鼻ー眼軸索反射が抑えられて目の反応も軽くなります。方法は、鼻の穴の入口の小鼻の部分に、外出時にワセリンを綿棒や指で少量に広げます。これまでイオンの力や静電気予防で花粉の鼻への侵入を抑えるゼリーや花粉を捕集するジェルは市販されていましたが、ワセリンによる鼻バリアの治療法は日本ではおなじみではありませんでした。しかし、イギリスの国民保健サービス(NHS)が推奨しており英国ではおなじみの治療法です。

★サプリメント(健康補助食品):
@甜茶(てんちゃ)という中国南部で健康飲料として飲まれている甘い味のお茶にはヒスタミン放出抑制作用のあるGDPポリフェノールという成分が含まれており、特にバラ科の甜茶に多く含まれています。薬局に用意して頂いてます。
A体のリンパ球の中のTh1細胞が減りTh2細胞が増えるとアレルギーが強くなります。ヨーグルトやカルピスなどの乳酸菌がTh1細胞を活性化してアレルギー反応を鎮めます。

★花粉症と食物アレルギーの関係:果物を食べた直後に口やのどが痒くなったり腫れぼったくなる果物アレルギーの中に花粉症から誘発されるものがあります。これは花粉の抗原と果物の抗原に一部似た部分があり、花粉症の人が特定の果物を食べると口腔粘膜を中心に交差反応というアレルギー反応が起こるためで、口腔アレルギー症候群と呼ばれています。多くは摂取後半時間ほど、口から耳やのどの奥にかけての痒い感じが起こる程度で収まるのですが、まれには喉頭浮腫や喘息発作からの呼吸困難やアナフィラキシーから低血圧性ショックを可能性もあり注意が必要です。なお、ジャムなどの加熱品では反応しません。
<花粉と反応があるとされる植物>
スギ、ヒノキ→トマト
カモガヤ、マグサ、オオアワガエリ(イネ科)→トマト、メロン、スイカ、バレイショ、オレンジ、セロリ、バナナ
ブタクサ(キク科)→メロン、スイカ、カンタローブ、ズッキーニ、キュウリ、バナナ
ヨモギ(キク科)→ニンジン、セロリ、リンゴ、ピーナッツ、キウイ
ハンノキ、オオバヤシャブシ(ハンノキ科)、シラカンバ、コナラ、ブナ(ブナ目)→リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ(以上バラ科果物のPR-10抗原と交叉反応)、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ブラジルナッツ、ココナッツ、アーモンド、クルミ、ニンジン、セロリ、バレイショ、キウイ、ファンネル *豆乳(大豆)は、シラカンバ花粉中のアレルゲンBet v 1と大豆中のGly m 4の交叉抗原性で重篤症状が報告されています。

★スギ花粉の抗原:花粉の表面に微小な抗原タンパクCryj1が、花粉の内部にCryj2が存在します。花粉が破裂して内部のCryj2が放出されます。微小なCryj1、Cryj2はマスクをすり抜け、室内や道路から舞い上がり拡散します。Cryj1とヒノキ花粉のChao1と交叉抗原性を示します。Cryj2は皮下組織に浸透し皮膚のくすみを引き起こします。

★スギ花粉症の初期(予防)治療:花粉に大量に暴露した場合、たとえ初期治療(予防投薬)やレーザー治療を受けていたとしても、かなり強いアレルギー反応を起こす可能性があります。(当然、未治療よりは症状は軽いのですが) よく都市圏では花粉の季節にはゴーグルやマスクで身構えて通勤する人を見かけます。ある程度症状の強い花粉症に悩まれた覚えのある方は予防グッズを活用下さい。当院でも年々、初期治療=予防投薬や予防的なレーザー治療を希望して来院される方が増えています。当院では以下の考えで予防治療を行っています。
1、予防用に特殊な薬があるのではないこと 
2、抗アレルギー作用のある薬を症状の出ないうちから服用していれば、花粉が付着しても反応が起こりにくくなり、その後のアレルギー炎症や過敏症の亢進と呼ばれる悪循環が起こりにくいこと、このような目的で処方するお薬を便宜的に予防薬と称していること (付記:耳鼻科の学会では初期治療という呼称が標準となりつつあります)
3、予防薬を服用していても大量や持続的な花粉への暴露があると発症を防ぎ切れるものではないこと 
4、特に今年は、予防治療をしていても2、3月に大量飛散があれば花粉自体を避ける努力をかなりしなければ、強い症状が出る可能性のあること
5、ただし、症状が出るにしても未治療よりは格段症状が軽く、市販の薬と違い眠気や口の渇きなどの副作用がほとんど出ずに効果の高い薬剤が処方できること
6、一般的な抗アレルギー剤や抗炎症剤を服用していても高度の症状が出た場合には、少量で短期作用の抗炎症・抗アレルギー作用のあるホルモン剤(ステロイド)も使用するが、予防的な長期作動性のホルモン剤の注射は副作用の遷延化の可能性があるため原則的に行わない



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