1) ’99年9月のホームページ開設以来の「今月の疾患情報」のまとめへのリンクをコンテンツ欄にリンクしています。当院の月別の疾患情報を通して、耳鼻咽喉科外来の1年の様子が伺えると思います。ぜひご覧下さい。ブログ風ですが、ブログサイトが普及する以前からの当ホームページオリジナルの形式です。(^^)/ 2) ’02年9月より疾患情報を復活させています。(^。^) 以前のスタイルとはちょっと趣を変えて、ショートコラム風にその時々の当院の診察室風景をお伝えします。時には、松山のチョットした風物も紹介出来ればと思っています。 |
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20日 | お盆休みは、ゆっくり静養させていただきました。 新型コロナが発生する以前ですと、例年8月から9月は一年で最も感染症が少ないことから、耳鼻科外来は閑散としている時期です。今年は、以前と異なりお盆明けも風邪症状の患者様が目立っていました。お盆前に引き続き、ヘルパンギーナ、溶連菌、RSウイルス、マイコプラズマなど多彩な感染症が見られていましたが、新型コロナが特に目立って増えています。最近は、冬と夏に周期的に感染拡大の見られる新型コロナですが、今年の8月も、はっきりと第13波の流行となりそうです。現在流行しているタイプは、オミクロン株のN.B.1.8.1 (ニンバス)に置き換わっているようです。今のところ当院では、呼吸不全をきたすような重症化例は見られませんが、高齢の方や基礎疾患のある方には、症状の程度を見ながら、また、患者様と相談しながらゾコーバなどの経口抗ウイルス薬の処方を進めています。新型コロナの経口抗ウイルス薬は医療保険3割負担の方で1万5千円から3万円近くと非常に高価なのが悩ましいところです。 吉沢亮主演の映画「国宝」を見てきました。歌舞伎が題材で、高齢者に刺さる映画だとの評もありましたが、私にも大いに刺さりました。3時間があっという間でした。監督の李相日氏の作品では、「フラガール」、「悪人」を見たことがありましたが、「フラガール」に続いて今回の映画も魅せられました。圧倒的な映像美で、観客の視点も歌舞伎役者の視点も追体験できました。主演の吉沢亮さんの出で立ちは、男性から見ても清々として素敵で、女方役者役は本当に適任だと感じました。実際に歌舞伎座に観劇に行くことを考えれば、映画の入場料は安すぎるぐらいです。この映画に対する解説動画や、市川團十郎さんの感想動画を見ると、原作との違いや取り上げた演目の背景、監督や衣装担当の意図など、新たな発見がいろいろあって、映画が終わってもワクワクできました。私にとっては「君の名は。」以来の盛り上がりです。出来れば2回目も見に行こうと思っているところです。「国宝」の興行収入は105億円を超えました。実写邦画の歴代3位です。1位の「踊る大捜査線 レインボーブリッジを閉鎖せよ」(2003年)の257億はダントツですが、2位の「南極物語」(1983年)の110億は今週中にも追い越すでしょう。東宝の株価にも勢いがあります。久々に実写邦画が盛り上がっています。 |
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7日 | 今日は8月7日「鼻の日」です。久方ぶりの雨で、病院の木々も一息つきました。 昨日、愛媛県立衛生研究所から百日咳の薬剤耐性に対する検査結果が返ってきました。7月第3週に愛媛県内で検査した15検体のうち、やはり当院からのものが2検体だったようです。この2検体ともにマクロライド体制遺伝子(A2047G)が検出されました。15検体のうちの13検体がマクロライド耐性で当院の検体が内2例だったということになります。現在愛媛県で流行している百日咳の8~9割が、百日咳に対する一般的な 抗菌薬であるマクロライドへの耐性菌ということになります。耐性菌にはニューキノロン系やST合剤でないと全く効かないのか、マクロイラライド系抗菌剤も少しは効くのか、 このあたりの研究報告はなかなか出てこないのですが、私の方でも情報収集を行って、今後の治療の参考にしたいと思っています。 |
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6日 | 明日からは立秋というのに、昨日の関東、今日の静岡と42℃越えの観測史上最高気温の更新が相次ぎました。松山も昨日今日が今年の暑さのピークとなりそうな36℃の猛暑が続きました。夏休みも中盤に差し掛かり、例年ならばこの時期には感染症はぐっと減るのですが、今年は7月に続いて、発熱を伴う風邪の方の来院が目立っています。新型コロナも目に見えて増えてきました。台湾で流行していたM.B.1.8.1株が松山でも急激に増えつつあるのかもしれません。新型コロナの感染第13波到来には注意したいと思います。また、RSウイルスも引き続目立っています。RSウイルスは気道の粘膜をじわじわと広がるようなウイルスで、免疫がまだ十分でない0~1歳の小さなお子さんと高齢の方が細気管支炎のように下気道の方の反応が強くなって呼吸困難になる、重症化しやすいという特徴があります。大人になるにつれて、のどの炎症で終わることが多いですが、大人でもウイルスの量が多いと、グッと高熱が出たり咽頭痛が強くなる傾向があります。高校生で40℃出て、咽頭扁桃炎のような反応をするようなケースもありました。お子さんから感染した場合、お父さんお母さんはの多くは軽症で終わることが多いのですが、中には高熱が出る場合もあります。 夏も佳境です。先週土曜の松山の三津浜花火大会、翌日曜日の今治のオンマク花火大会ともに終わりました。以前は松山と今治で同日に開催され、どちらが愛媛県一番の玉数かというのを競っていたのですが、今年はオンマク花火が1万発、三津浜の花火が9千発ということで、少し今治の方に花を持たせて競わないという風なのでしょうか。昔は重信川で松山市の花火大会が行われていました。その当時は病院の3階からも遠くに花火が望めました。松山道の伸延とともに重信の花火大会は中止となったのですが、病院から花火が見えた時代が懐かしく思います。 ![]() ![]() ![]() JR四国の「ゆうやけビールトロッコ2025」列車に乗ってきました。思わず予約が取れて私も急遽参加してきました。開放的なトロッコ列車で、トンネルの中の轟音、生い茂る葉っぱがバサバサと音を立てて、その切れ端が車内に飛び込んでくるなど、なかなかテーマパークのアトラクションみたいな迫力がありました。全国的にも有名な伊予下灘駅では、ホームには観光客の方がいっぱい詰めかけて、入線したトロッコ列車に皆さんカメラを向けていました。ホームからも列車内からもお互いに手を振ったりして、なかなかの盛り上がりでした。伊予灘に沈む夕日もしっかり望めました。トロッコ列車の車内放送の説明では、かつて伊予下灘駅は日本で一番海に近い駅と言われていたそうです。ディスカバリージャパンのポスターに載ったことで全国的にも有名な駅となりました。ただ、その後、線路下の国道バイパスが改修で海側に張り出したそうで、日本一は返上したのかなとのことでした。 ![]() ![]() 海に近い駅といえば、そういえば私はこのゴールデンウィークに川崎の海芝浦駅に行ってきました。ここは、京浜工業地帯を縦断する鶴見線の東芝の工場の中への引き込み支線の終点にある駅で、東芝の工場への通勤客を運ぶために設置された会社が所有する支線です。改札の外は直ぐに工場の敷地内となっています。一般の人は工場内には入れないのですが、駅の奥には一般の人も入場可能な、東芝が設けた小さな公園があります。ここから見る京浜運河の工場群や首都高湾岸線の鶴見つばさ橋や横浜ベイブリッジはなかなかに絶景でした。この駅はホームの手すりのすぐ下が京浜運河の海ですので、ここが現在、日本で一番海に近い駅の一つであることは間違いないでしょう。 |
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8月 | 1日 | 当院で最近、久しぶりに結核陽性の方を見ました。資料を見ると、日本は結核の罹患率が2021年に対10万人比10を下回り、国際的な基準でようやく結核低蔓延国となりました。これでやっとG7の仲間入りができました。
先進国の中でもアメリカの発生率は日本の3分の1以下で、移民大国のアメリカはもう少し悪いのかなと思っていましたが、ダントツで発生率が少ないのは意外でした。アジアでは未だに、フィリピンを筆頭にミャンマー、インドネシア、カンボジア、ネパール、ベトナム、タイ、マレーシアと,まだまだ発生が多いようで、最近日本で発生率が減らないのは東南アジアからの流入が多いのではないかとも言われていましたが、日本で発生率が徐々に減ってきているのは、流入の影響はあまり受けていないということで良いことだろうと思います。
愛媛県の発生を見ると、6年前に年間147名、罹患率10.8でしたが、昨年は98人7.5と全国平均よりも少なくなっています。それでも先週5名の報告があったそうで、まだまだ無くなる状態にはなっていないようです。当院での検出は、結核の塗抹で陽性ではなく、培養で陽性でした。保健所の指導では感染力は強くないだろうということで、職員も健診等をする必要はないということで、私もスタッフも一安心しました。![]() ![]() ![]() 可愛い女の子から、心温まるお手紙をいただきました。お医者さんの皆さんへということで、当院スタッフ みんなで見せてもらいましたが、みんな疲れが吹き飛び、ほんわかしました。「これからも痛くないように、しんどくないように治してね」とのメッセージが添えられていました。この子の立っての希望が入っているようで、そのあたりを心がけて診察をしていこうと思います。お手紙はハートマークを開けると中に食事やお薬が出てくるというような仕掛けのあるお手紙でした。とても工夫されていて、びっくりし感心もしました。 |
29日 | 毎日、猛暑が続いています。皆さんもこの暑い夏を、夏バテしないで乗り切ってください。夏バテは、猛暑の室外と冷房の効いた建物や車内とを行き来きすることによって、体温を調節する全身に張り巡らされている自律神経系の機能が失調することにより引き起こされます。疲れやだるさ、睡眠の質の低下、食欲不振、体温調節の不調などが見られてきます。また、重症化すると脳神経系にも波及し意欲低下や抑うつ状態などが起こることもありますこれは、疲労や老化の中核となるメカニズムである 1、生体酸化 2、修復エネルギーの低下 3、小規模炎症などの免疫反応 4,これらを踏まえた自律神経系の機能低下 によって引き起こされます。暑い場所と涼しい場所を頻繁に行き来きすると、これらの調節力が落ちてきます。皆さんも体温の急激な変化には注意して、夏バテにならないよう心がけてください。 夏休みに入りましたが、発熱する方が多く見られます。新型コロナウイルスは毎日見られています。今年に入って2回新型コロナを発症した方も,珍しくはありません。私は、「冬にオミクロン株のKP.3にかかり、現在流行しているXEC株にまたかかった人が多いのかと思っていましたが、公衆衛生のデータを見ると、日本でも台湾で流行していたMB.1.8.1株が、6月からは沖縄や東京から始まって全国に広がりつつあるようで、XEC株からMB.1.8.1株への流行の移行が全国的にも起こってきているようです。松山でも2回かかった人の中には、既にこのMB.1.8.1株に感染した方もいると思われます。新しい株ですが、それでもオミクロン株ですので、完全変異の新型で重症化ということにはならないと思いますので、今のところそんなに心配してはいませんが、今後の全く新しい株の発生にも注意したいと思います。 3日前、発熱が6日続く、7日続く、8日続くという子供さんの来院がありました。皆さんマイコプラズマが検出されました。現在流行のマイコプラズマの多くがマクロライド系抗生物質が効かない耐性タイプとされていますので、そのあたりのことも考慮しながら治療を行っています。RSウイルスも小さなお子さんの間ではまだまだ発生しています。溶連菌、アデノウイルス、夏風邪のエンテロウイルスによるへルパンギーナ、少数ですがクループを引き起こすようなパラインフルエンザウイルスも見られました。そして百日咳もまだまだ発生しています。百日咳は統計を取り出して以来の史上最高をまだまだ更新しているようです。先週、愛媛県の感染症情報センターから百日咳の薬剤耐性についての報告がありました。15検体(恐らく2検体は当院からのものです)中13検体で薬剤耐性がみられ87%が野生株ではなく薬剤耐性とのことでした。百日咳についてのこの情報も考慮して薬剤選択していきます。このように夏休みに入っても、まだまだいろんな感染症が見られます。そのあたりの鑑別に注意しながら診察を進めています。 睡眠時無呼吸症候群への手術的治療ですが、新たな手術が広まりつつあります。当院でも、軟口蓋を広げる口蓋垂軟口蓋形成術UPPの日帰り手術は行っていますが、やはり強力にのどを広げるには、扁桃腺摘出も含めて大きく咽頭を広げる口蓋垂軟口蓋咽頭形成術UPPPが一般的です。これは全身麻酔下で行う必要があります。この治療の問題点は、侵襲が大きいことや、術後の瘢痕拘縮などで十分にのどが広くならないケースもあることが挙げられていますが、この問題を解決する目的で、日本発で、咽頭拡大術CWICKsというUPPPの変法が提唱されています。これは、扁桃腺を取った後に、のどを狭くする主体である口蓋弓の,前口蓋弓、後口蓋弓を下方では縫合し、上方では前口蓋弓の裏から後口蓋弓に糸をかけて引き上げ、軟口蓋も口蓋弓から側方に引っ張って、のどを広くするというものです。UPPPよりも侵襲が少なく、術後の瘢痕狭窄も起こしにくい、なかなか優れた手法だろうと思います。今後、この手法が広がってくれば、術後成績がより改善するものと期待されます。もう一つ、新たな治療法として、国内では2021年に保険適用となった舌下神経電気刺激療法HMSがあります。これは、舌根を持ち上げる神経である舌下神経を刺激する電気装置を体内に植え込み、呼吸と連動して舌根の沈下を防ぐというものです。これは全国の承認された施設が行うことになっていますが、21年の承認から以降も、この手技を行う施設は全国的に広がっていませんでした。しかし徐々に施設は増えており、現時点では、全国で17の大学病院を中心とした施設で行われるようになってきています。中四国では川崎医科大学のみが行っています。四国の大学病院でも行われるようになると、患者様にもおすすめしやすくなるのですが、このあたりがどう広がるか、そのあたりも楽しみにしています。当院では睡眠時無呼吸症候群の治療では、主に歯科的装具マウスピースと持続的陽圧呼吸治療CPAPを中心に行っていますが、CPUPを導入したものの、息苦しい、逆にしんどいと感じて続けられないケースがあります。当院でも10人から20人に1人の方が治療を断念しています。このようなCPUP療法への忍容性が低いケースに、このHNSは有効な治療であると思われます。今後この治療法が全国に広がり、私からの患者様へ提示できる治療の選択肢が増えることを期待しています。 |
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17日 | 毎日、暑い日が続いています。入道雲からの夕立のような突発的な雨は時々ありますが、まとまった雨は降っていません。今後、病院周りの植栽が枯れてきそうで心配です。昨日の夕方は、病院横の農業用水路からひしゃくで植栽に水やりをしました。今年は暦の関係で、例年より早く、明日には小中学校の終業式を迎えます。梅雨も早く終わって、今年は例年以上に子どもたちが水に親しむ夏休みになりそうです。私のソフトテニス部の後輩たちも今は夏合宿ですが、梅雨が早く明けたので、夏の大会に向かってしっかり練習ができていると思います。 この3日で当院外来は一気に閑散として、一足先に夏休みといった趣です。それでも毎日、新型コロナウイルスの方の来院が見られています。また、ほぼ毎日、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌などの感染症が見られています。また、2、3日に1人のペースで、マイコプラズマや百日咳も見られています。一方、インフルエンザは全く検出しなくなって2ヶ月が経ちました。 夏の暑さとともに、外耳炎、外耳道真菌症の方が増えてきました。メニエール病が増悪する方も目立っています。 |
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8日 | 全国的にも愛媛県でも百日咳の流行が続いています。2018年にも流行がありましたが、2025年には統計を取りだして以来過去最多の報告数となっています。愛媛県の全数把握では、6月29日時点で全県的に795件、松山市では311件報告されています。当院では、2月初旬に松前町の小学生から初めて百日咳を検出しましたが、 これまで当院では30件余の報告をあげていますので、およそ松山市の1割が当院からの報告となっています。この度、愛媛県感染症情報センターと松山市保健所から、百日咳のマクロライド耐性の割合を調べるサーベイランス事業への協力依頼がありました。当院ではこれまで、百日咳の診断は、毒素(PT)抗体を血液検査、PCR検査、抗原検査の3つの手法を適宜使い分けて行っていました。今回の事業では、 抗原検査で得た検体を保健所の方で回収してマクロライド耐性株の割合を見るということです。過去に当院では、小児中耳炎の起炎菌について、肺炎球菌の薬剤耐性を調べる臨床研究に協力していたことがありました。これは、東京女子医大の耳鼻科を中心とした全国的な調査だったのですが、この際、当院で採取した検体での薬剤耐性の割合、どういう薬剤に耐性なのかについて詳細にフィードバックをもらえていましたので、実臨床の場での薬剤選択に大いに参考になりました。 今回もマクロライド耐性株が市中にどれだけ広がっているのかどうかを把握しながら治療の指針にしたいと思っています この度、超音波断層装置エコーを、最新の機器に更新することになりました。新しい機種では解像度がアップして、これまで抽出が難しかった椎骨動脈の確認もできそうです。カラードップラー機能も加わりました。 腫瘤やリンパ節の中の血行動態が把握できることから、腫瘤の性状の把握に有用です。また、頸動脈内のプラークの同定にも威力を発揮しそうです。頭頸部外科領域でも、非侵襲的に小児でも嫌がらずに行えるエコー検査は、多くの疾患の鑑別に役立ちます。リンパ節の性状がより詳細に把握できることから、炎症性の反応性リンパ節や壊死性リンパ節炎(菊池病)、転移性リンパ節、悪性リンパ腫などの鑑別に役立ちそうです。また、甲状腺腫瘍、頚部嚢胞や神経鞘腫などの良性疾患の鑑別、耳下腺腫脹や顎下腺腫脹、 唾石やガマ腫の有無等の鑑別も詳細にできそうです。さらに甲状腺の針生検のガイドにも役立ちます。また、新しい機種では動脈硬化の評価に有用な頸動脈の内中膜複合体厚 IMTを自動で測定してくれます。新しい装置を活用して、より精度の高い診断ができればと考えています。 |
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7月 | 3日 | 松山でも梅雨が明けて以降、連日33℃を超える猛烈な暑さが続いています。来週の月曜日7日には最高気温が36℃になるとの予想です。7月初旬としてはかなりの暑さになりそうです。全国的にも6月は観測史上最高の暑さだったそうです。これからの夏、皆さん夏バテに注意して頑張りましょう。昨日に外遊びを2時間していた園児が、夕方に発熱で来院されました。そのお子様は熱中症だけでなくウイルス性の上気道炎も発症していたようでしたが、みなさんも熱中症には気をつけてください。水分補給、クーリングを心がけ、あまりにも汗が出た際には塩分補給を心がけて下さい。 ここ数日、メニエール病を発病する方が目立ちます。メニエール病では難聴やめまいの発作を繰り返します。メニエール病は自律神経の失調で引き起こされます。女性ホルモンのアンバランスが起こると自律神経失調が誘発されやすいこともあり、更年期前後の40~60才代の女性に多く、男性の2倍の発症率とされています。メニエール病は内耳に内リンパ液が過剰に溜まって引き起こされますので、体がむくむと発症しやすいと思われがちですが、実は体の脱水により利尿を司るホルモンの働きが悪くなり、体とは逆に内耳では水分過剰となること発症します。梅雨や秋雨前線、台風などの低気圧や、暑さや汗のかきすぎで脱水が引き起こされると、内リンパ水腫は増悪します。夏バテ起こし、朝の気温が冷え込んでくる8月下旬、生活の変化で精神的なストレスのかかりやすい5月、9月に発症する例が多いとされます。メニエール病も軽いと、蝸牛という聴力を感じるところだけに水が溜まって内耳の働きが落ちる蝸牛型メニエール病があります。これは耳鳴りや難聴を認めるだけです。また、三半規管を中心に水が溜まる前庭型メニエール病もあり、これはめまいのみを認めます。蝸牛にも前庭にも内リンパ液が溜まり左右差が出てくると、めまい発作を起こす典型的なメニエール病となります。高度難聴など過去に聴神経が障害された人が、難聴の発症から10年以上経過した後にメニエール病を発症することがあり遅発性内リンパ水種と言います。これは高齢の方でも発症することがあります。 熱中症では塩分が体から抜けると重症化しやすいので塩分補給が大事になってきますが、一方、メニエール病では塩分過多で症状が増悪しますので、水分補給は怠らないが塩分は控えめにする必要があります。梅雨は明けましたが、この暑さで夏バテ、脱水もろもろでメニエール病を発症する方が増えているのだと思います。メニエール病について、私はよくお伝えしているのが、50代の女の人を中心にお盆明けに症状の出やすく、70才ぐらいからは発症する人が減る傾向があることです。これから猛暑の夏、8月のお盆に向かって繰り返して発症することがありますので、メニエール病の方は体調を整えて発症に気をつけてください。発症を繰り返しながら治りきらないと、内耳の障害が修復しきれずに、普段から難聴が残こったりめまいが続くことにもなりますので、しっかり治療をして、発作前の状態に戻すことが大事になります。 メニエール病との鑑別で留意しなければいけないのが急性低音障害型感音難聴です。これもメニエール病の初回発作である場合も多いのですが、突発性難聴のような機序で血行障害、ヘルペスなどのウイルス感染が蝸牛の奥の方まで波及して低音を感じる部分が障害されて引き起こされる場合もあります。メニエール病の初回発作が疑われたり、急性低音障害型感音難症に初めてかかった人では、このような様々な病態を考えて、メニエール病の内リンパ水腫を改善する治療薬と血行障害やウイルス感染を軽減する治療薬とを併用して服用して頂く場合もあります。 1週間前のコンプレッサーの空気漏れの件で、私も医療機器の担当の方と一緒に、配管の空気漏れがないかどうかを1階の駐車場部分で調べていたのですが、その際、透明なガラスのブロック片で左手を傷つけてしまいました。結構な出血があったので抑えて止血をしたのですが、その後、手の第一関節が曲がりにくく痛みが取れない状態になりました。よくよく見てみると、直径3ミリ程のガラス片が指先の第一関節の近くに刺入していました。幸い、当院には処置用顕微鏡がありますので、自分の手を見ながら、極小の耳用鉗子でわずかに頭が出ていたガラス片を取り出して、一旦事なきを得ました。しかしその後も痛みが取れず腫れが引かなかったために、4日後に確認してみると、もう一つ、4mm×2mm程のガラス片が奥に入っていました。これもなんとか顕微鏡下に引き抜くことができました。顕微鏡様々でした。おかげで指はスムースに曲がるようになり、診察も不都合なく出来るようになりました。皆さんも怪我した際の異物混入、特に針金などの針状のものは奥に入るとなかなか取りにくくなりますので、気をつけて下さい。また、土とか錆びた鉄釘が入れば破傷風も心配されます。皮膚を傷つけてなかなか腫れが引かない場合は外科で、もし異物の刺入が疑われた際には、皮膚科、形成外科が専門になると思いますが、そちらの方で相談して下さい。 |
27日 |
今日の昼休みは、抗アレルギー薬の勉強会を行いました。その際にMRさんから、「今日どうも梅雨が明けたらしい」ということをお聞きしました。ニュースサイトを確認してみると、確かに今日、九州から近畿まで一気に梅雨明けで、史上最短の梅雨、最速での梅雨明けになったとのことです。病院から南に望む久万高原の山々を見てみると、小さな入道雲があちこちに発生していました。夏到来です。短い梅雨で大雨は2日間だけでした。これだけ早く梅雨が明けると、松山では水不足が心配になってきます。先週の21日は夏至を迎え、その頃から連日の夏日が続いています。蒸し暑い夜も続きました。来院した方にお聞きしても、ほとんどの方が就寝時にクーラーをかけ放しにしています。室内でダニが増え、猫などのペットの体毛が抜け、低気圧から気圧の変化が大きくなっています。そんな条件が重なり喘息発作を引き起こす方が目立っています。お子様では、パラインフルエンザウイルスやライノウイルスなどのウイルス性気管支炎から喘息性気管支炎化する例が目立ちます。 当院では未だ毎日、新型コロナ陽性の方の来院が見られます。最近は新型コロナに関する報道もなくなり、「コロナ禍は過去のもの」と感じている方が多いと思いますが、台湾ではオミクロンの派生株 N13.1.8.1の感染拡大が報告されています。この冬、日本での感染者数は昨年の4分の1程度でしたが、台湾では昨年同時期の2倍以上で、重症例、死亡例も多数報告されているようです。この新たな変異株は免疫回避能力が従来株の2倍との報告もあり、今後日本に上陸すれば感染爆発の可能性もあります。やはり新型コロナは全身の血管障害をきたし、免疫機能の異常をきたすやっかいなウイルスです。当院でも咳が遷延化したり、嗅覚味覚障害、運動後倦怠感の持続など、罹患後症状(後遺症)を訴える方も少なくありません。 この春、私も補聴器相談医の資格を得ました、補聴器相談医の紹介状を元に補聴器を購入すれば、その補聴器は医療費控除の対象となります。当院でも60歳を超える年齢の方々で、最近聞こえが悪くなった、会話が聞き取れにくくなった、テレビの音がうるさいと周りから言われる、などと訴える方が多数受診されます。加齢性難聴では、単純に聞こえが悪くなるだけではなく、音が歪んで聞き取りにくくなります。音を増幅するだけの集音器では、なかなか快適に聞こえません。補聴器では、周波数毎に音の増幅度を変えたり、強大音を制限したり、ノイズキャンセリングしたりする機能を備えています。また、高級機では会話が聞こえる方向に選択的に指向性を向けたり、雑音をあえて入れて不快感をなくすなど、様々な機能が付いています。せっかく高価な補聴器を購入しても、音が響いて不快に感じて、ほとんど付けなくなったという話もよく耳にします。しかし、しっかりとフィッティングすれば、かなり快適に聞き取ることができるようになります。聞こえの不調を感じる方々の中で、補聴器が有用な聴力レベルの人に対しては、しっかりとフィッティングされた補聴器を手にしていただいて生活の質が高まるように補聴器店を紹介をすることとしています。 当院の建物は、躯体自体はかつての芸予地震でもビクともしませんでしたが、個々の箇所で見ると、経年劣化からの不具合が少しずつ出ています。最近も、トイレの換気扇のモーターが停止(これはモーターの焼き付けが疑われました)、コンプレッサーのエアーの配管からの漏れ(これは1階部分の地下ので金属製の配管が腐食していました)などが起こりました。そのため25、26日は、診察室の耳鼻科ユニットのスプレーやネブライザーが使えませんでした。いつもお世話になっている医療機器の担当者の方には迅速に対応して頂き、27日には早期に復旧できました。本当に助かっています。また、レセコンや診療予約システムのパソコンの不調、顕微鏡光源のソケットの破損、レセコンや診療予約システムのパソコンの不調、上水タンクのポンプの止水弁の異常やタンクのフロート球の不具合など、何かしらの不調が湧いてきています。今後も、なんとかかんとか保守しながら対応したいと思っています。(/_;) 動脈性鼻出血、突発性難聴、良性発作性頭位めまい症、外症性鼓膜穿孔、頚部リンパ節炎、自節、鼻骨骨折など。 |
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19日 | 梅雨の合間ですが、なんと梅雨前線が消失してしまっています。松山でも連日、33度から35度の猛暑が続いています。当院でも冷房をかけ続けるようになりました。昨日は外遊びで熱中症になったと思われた小学生も見られました。汗をかきすぎて体熱がこもった際は、水分補給、クーリング、塩分補給を心がけて下さい。 愛媛県でも無くなりかけた新型コロナが再び増えています。当院でも連日、新型コロナ陽性の方の来院が見られます。アデノウイルス、溶連菌も目立ちます。百日咳やマイコプラズマ肺炎もまだまだ見られています。 |
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6月 | 3日 | 今日は朝から雨模様です。いつ梅雨入りしてもおかしくない雰囲気です。今年は九州南部がいち早く5月16日に梅雨入りしました。四国は平年では6月5日に梅雨入りとのことですが、もう数日で梅雨入りでしょうか? この気候で喘息発作を引き起こす大人の方やお子様が見られます。適宜、小児科とも連携をしながら経過を見ております。 世界的にもXEC株以降の新しい変異株の見られていない新型コロナウイルスですが、当院でもまだ毎日のように散見されています。百日咳やマイコプラズマ肺炎も引き続き散見されています。抗原検査で陰性であっても、後で血液検査の抗体上昇で診断できる例もあります。インフルエンザ、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌感染症も散見されますが、総じて感染症は少なくなってきました。しかし、一般的なウイルスで発熱される方も多々見られます。これらの中には、伝染性単核球症や壊死性リンパ節炎の方も見られます。膠原病や腸炎で発熱が長引く方もおられました。インフルエンザも含めて一般的な感染症であれば、やはり発熱は5日以内には軽快して欲しいです。発熱が続いたり全身状態がすぐれない場合は、当院でも血液検査や尿検査、レントゲン検査などで原因を検索しますが、精査が必要と判断された場合には総合病院の総合診療科や膠原病内科、呼吸器内科、循環器科などに紹介させていただいています。 |
23日 | 沖縄が梅雨入りしました。松山もここ数日は汗ばむ暑さです。当院も1日中冷房をかけ始めました。日差しも高くなり、夏ももうすぐといった趣です。今日の午前診は、本当にいつ以来でしょうか患者様も途切れ途切れの来院となり、まるで往時のお盆明けのような閑散とした外来でした。私も久方ぶりに骨休めをしました。足りなくなった備品をオーダーしたり、機器の更新を検討したり、時計の電池の交換をしたりと、診察時間中に雑用ができるのは何かと便利です。 6日前、昨日今日と新型コロナ陽性の患者様の来院も見られなくなりました。これも去年の11月以来です。数日前当院では、海外からの修学旅行帰りで新型コロナを発症した学生さんもいました。アジアでも香港や台湾でまた新型コロナの発生が増えてきていると言う報告も目にしました。しかし世界的に見てもオミクロン株のXEC株の後に続く新たな変異株の流行は発生していません。新型コロナが世界に広がって5年半、このまま世界の発生が収束してほしいものです。インフルエンザは4月に高校生を中心に学級閉鎖が発生していましたが、5月は劇的に減っています。それでも当院でも中高生を中心にインフル抗原陽性の方が見られています。その他の感染症も劇的に減っていますが、溶連菌咽頭炎、百日咳、アデノウイルス感染症は見られています。1メタニウムウィルスはヒト・メタニューモウイルスは全く見なくなりました。松山市内の他の医療機関からは報告があるようですが、当院ではマイコプラズマ肺炎も見なくなりました。 スギ・ヒノキの飛散はゴールデンウィーク前に終りました。ハンノキ花粉を感じる人は多くありません。イネ科の雑草花粉が今はピークですが、今のところ症状の強い方は少ないようです。松山もあと2週間ほどで梅雨入りでしょうか? これからはダニが繁殖し、カビが増殖する季節となります。クーラーの冷気や、室内外の気温差で、鼻や気管支の過敏症が強くなる人もいるので注意が必要です。ハウスダストアレルギーがなくても、血管運動性や好酸球性で起動過敏症が強くなる人もいるので、こちらも注意してください。スタッフルーム等の3階のエアコンを見たところ、なんと丸いファンの中に黒カビが大量発生してこびりついていました。業務用の抗カビ剤やエアコン用洗浄スプレーでブラシでこすりこすりしながら、業者さんに頼まずに何とか私1人でエアコンの洗浄をやり遂げました。夏の黒カビは、過敏性肺臓炎を引き起こすこともあります。咳が止まらない、微熱が続く、重症化すれば呼吸困難を引き起こすこともあります。冷房をかけ続けているエアコンでは、結露で黒カビが増殖しやすいのでしょうか。気になる方は、エアコンのフィルターだけでなく、通風口の奥に見えるロータリーファンが黒くなっていないか確認してみてください。 鼻出血(後鼻口)、壊死性リンパ節炎(菊池病)、めまいを伴う突発性難聴、良性発作性頭位めまい症、EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症、耳管開放症、急性喉頭蓋炎、ガマ腫、結節性甲状腺腫、市中細菌性肺炎など |
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5月 | 13日 | 今日は五月晴れ、日差しは強くなってきましたが風はひんやりとして気持ちの良い季節です。 スギ花粉の飛散は1ヵ月前に終了し、ヒノキ花粉の飛散も2週間前の4月25日にほぼ終了しました。スギ花粉の飛散量は予想の平年の2倍には至らず、平年並みで終了しました。2年前のような大量資産に至らなかったことから、来シーズンの飛散が多いのか少ないのか予想は難しくなりそうです。ハンノキ花粉の飛散がパラパラと続き、今は稲雑草の花粉の飛散のピークです。公園や草むらに近づくと強い反応がでますので、ゴールデンウィークに行楽に出かけた方で花粉を感じた方も多かったかもしれません。 感染症の流行状況ですが、4月後半に高校生を中心に学級閉鎖を引き起こしたB型インフルエンザは見られなくなっています。成人も含めてRSウイルスやアデノウイルス、溶連菌が散見されています。百日咳やマイコプラズマ肺炎、感染性胃腸炎もまだ見られますが少なくなってきました。流行する疾患ではありませんが、EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症も散見されます。この病気は有効な治療薬がなく、高熱や扁桃腺の腫脹が続き肝機能障害から倦怠感も強くなったりします。自宅での療養で食事が十分に取れないなど全身状態がすぐれない場合は入院治療も視野に入れます。 明後日の水曜日は、午後から小学校での学校健診を予定しています。元気な子供たちに接して私も活力をもらってこようと思っています。 |
16日 | 今日は昼から一気に5月後半並みの気温となりました。午後から当院では院内のワックスがけを行いましたが、暖かな気温と心地よい風のおかげでワックスが早く乾きました。 スギ花粉の飛散は、13日の日曜日にほぼほぼ終了を迎えた模様です。ヒノキ花粉のほうもピークを過ぎて少量飛散に移行しています。イネ科花粉は、松前町の裸麦の飛散は終了しましたが、これからハルガヤなどの一般の雑草花粉の飛散が草むらで始まります。14日に松山でも今期2回目の黄砂の飛来がありましたが、前回3月26日とのように大量ではありませんでしたので過敏になった方はほとんどいなかったと思われます。 集団生活がなくなった春休みの影響で、3月末まで多彩だった感染症の流行は一気に減りました。昨日の午後は本当に久方ぶりに診察が途切れて待合室が無人となった時間帯も出てきました。私もスタッフもほっと一息でした。今日はこちらも久しぶりに新型コロナウイルス陽性の方も見られませんでした。それでも感染症は発生しています。新学期を迎えた学生さんの間でB型インフルエンザが見られ、A型の家族内での集団発生が見られました。また、溶連菌咽頭炎、RSウイルス感染症、アデノウイルス感染症、百日咳、ノロウイルスと思われる感染性胃腸炎などが見られています。 この4月から松山市でも、高齢者補聴器購入費助成事業が始まりました。65歳以上、両耳の聴力レベルが40デシベル以上、市民税非課税世帯に対して、3万円を上限に助成されます。加齢性難聴では、どの程度のレベルから補聴器を装用するのが好ましいのかと言う点に関して、最近学会でも、一般的な会話の音量である50デシベルは聞こえても、ささやき声レベルの30デシベルが聞こえないレベルの、40デシベル以上の聴力の悪化があれば、補聴器の装用が望まれるとされてきています。40デシベル以上の悪化があれば、認知症の予防と言う大そうな大義名分だけでなく生活の質を高める意味合いとしても補聴器の装用は好ましいと考えます。今回の購入費助成事業はまさにそのレベルに沿った助成事業です。軽度難聴用でも補聴器を両耳装用すると購入費用は20万円から50万円はかかってしまいます。3万円は購入金額の一部分にしか過ぎませんが、補聴器をまず試用して、身近な人や社会とのコミュニケーションが潤滑になるなどの生活の質が豊かになることを確認できるのであれば、補聴器装用は有用だと思います。 |
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4月 | 6日 | 4月になりました。新年度入りです。今日は風も穏やかなポカポカ陽気でした。病院近辺の桜も満開です。お花見を楽しまれた方も多かったのではないでしょうか。3月に来院されていた方々に伺うと、4月に新生活を迎える予定の方々がたくさんおられました。お子さん共々県外へ転勤される方、九州へ広島へ大阪へ京都へ東京へと大学に新入学して一人暮らしを始める方、社会人となって寮生活を始める方など様々な立場の方がいらっしゃいます。皆様の前途が揚々たるものであることをお祈りしています。また、中耳炎がなかなか治らなかったお子様も新天地で春の陽気の中で、中耳炎が改善してくることをお祈りしています。 3月は、月間では開院以来最多の患者様をお迎えしました。診察時間が予定より遅れたり、診察時間が夜遅くまでなったりして、多くの方にご迷惑をおかけしました。申し訳ありませんでした。また私やスタッフからのご案内にも至らない場面があったかとも思います。私を含めて職員一同さらに研修を重ねて、来院された方それぞれにとって安心で役に立つクリニックを目指したいと心を新たにしています。 スギ花粉の飛散は、飛散終了に向かっています。3月26日には黄砂とヒノキ花粉の飛散第1波お迎え、ここ三日間はヒノキ花粉の飛散第2波を迎えています。ヒノキ花粉自体は抗原性はスギ花粉よりも弱いのですが、スギ花粉の飛散後半期で粘膜が過敏になっており、またハウスダストアレルギーなどの通年性の過敏症がある方は粘膜の過敏性亢進が強くなっています。ここ数日は、花粉症症状がぶり返した方が多く来院されました。 今年の1月から3月の3ヶ月間、全国的に百日咳の患者数が急増しました。愛媛県でもこの時期に限れば統計を取り出して以来の過去最高のペースとのこと。特に中予からの報告が多く、当院からも10件余の発生届を保健所に報告しました。2月には特定の小学校の学級内での感染が目についていたのですが、最近では感染経路がわからないケースや家族内感染のケースも目にしました。今しばらく当院でも、百日咳の存在に注意して診察を進めていきたいと思っています。百日咳もRSウイルスやヒト・メタニューモウイルスとともに乳児がかかると重症化しやすくなります。特に3種混合の予防接種がまだ未接種の生後3ヶ月や4ヶ月までの小さな赤ちゃんがかかると、時に死に至るケースもあるとされています。百日咳でも肺炎マイコプラズマと同様に薬剤耐性菌が増えていると言う報告や、不活化ワクチンへの免疫応答を回避することによってワクチンの効果が減弱するケースもあることが報告されてきています。今のところ当院ではマクロライド系抗菌薬で有効に治療ができている印象ではありますが、今後の耐性菌の広がりには注意したいと思います。 急性喉頭蓋炎、真珠腫性中耳炎、頚部リンパ節炎、良性発作性頭位めまい症(クプラ耳石症)、動脈性鼻出血、鼻腔異物、外耳道異物など。 |
26日 | 今日は25℃越えの夏日でした。診察も一気に半袖で臨みました。全国トップの桜の開花は23日の高知と熊本でした。最も早いと予想されていた東京は翌24日で、松山は昨日25日となりました。昨日からは西日本から関東にかけて黄砂が飛来しました。テレビニュースでも黄砂と花粉症のダブルパンチでお花見に臨む人々を紹介していました。今日は昨日以上に大量の黄砂が飛来し、松山の空も霞がかかったようでした。車のフロントガラスも黄色くなっていました。どうやら今日は、黄砂とともにヒノキ花粉が大量飛散した模様です。スギより微粒子のヒノキ花粉と、硅酸という刺激のある砂に大気汚染物質のPM2.5や重金属が付着した黄砂が粘膜に付着することで、スギ花粉の大量飛散時ほどの激烈な反応はないもののジワジワとした反応を感じた方も多かったと思われます。 | |
20日 | 中高大の入試の合格発表も終わりました。昨日、当院を受診した中3生で県立高校受験者は全員受かっていました! 卒業式も後は小学校幼稚園を残すのみです。子供たちの新生活に幸あることを願っています。昨日当院でB型インフルや新型コロナが判明したお子さんも熱が順調に下がれば卒業式に間に合います。皆さんの発熱がスッと下がることを期待しています。 早いもので来週には桜が開花します。スギ花粉の飛散もそうでしたが開花予想が全国で一番早いのが東京の24日です。その後、九州や高知、松山も25日です。また松山の満開は31日との予想です。ヒートアイランドの影響でしょうか? 最近は東京が一番乗りが多いです。スギ花粉は13-15日に3日続けて大量飛散しました。例年よりかなり遅い大量飛散日となりました。15日の最大飛散量は昨年の11倍となり、大量飛散した2年前のピーク値も超えました。大人がゴルフ場で、学生が山間でのサッカーの試合で、小学生がお別れ遠足で松山の総合公園や重信の公園で、、皆さん結構症状が強くなっていました。それぞれの方の症状所見に応じて飛散暴露対策のアドバイスや治療をさせて頂きました。例年よりかなり遅い大量飛散でしたが、それでも来週には桜も開花します。16日の日曜日から今日まで、スギの飛散量は劇的に少なくなっています。今シーズンの大量飛散は1波で終わりそうですのでトータルの飛散量は案外予想より少なくなりそうです。ヒノキやハンノキの飛散も始まった模様です。2週間後には松前町特産の裸麦からイネ科雑草花粉の飛散も始まります。これらの花粉症を持つ方は、4月以降も花粉症症状が続くことになります。 ![]() 休日、私はどこに出かけることもなく”書類整理”と今晩のサッカー日本代表の試合を楽しみにするのみですが、家族の見送りで空港に立ち寄りました。名古屋セントレア空港行きのプロペラ機ボンバルディア DHC8-Q400です。飛行高度は6000m台ですのでジェット機より眼下の景色がよく見えます。 ![]() 愛媛では「蛇口からミカンジュースが出てくる」との都市伝説?がありますが、過去に全国で行われていたキャンペーンでの「ポンジュースの蛇口」が噂の起源でしょうか。松山空港もずいぶん前からミカンジュースの蛇口が空港正面玄関入り口の最も目立つ場所に設置されています。 |
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3月 | 9日 | 4~5日はと冷たい雨でしたが、7日は雨上がりの4月並みの陽気になりました。7日からスギ花粉の本格的な飛散が始まりました。しかし、今日9日は今シーズン最初の大量飛散日になると予想していましたが、大量飛散には至りませんでした。スギ花粉の大量飛散日は、例年よりかなり遅くなっています。例年だと大量飛散する期間は4〜5週間に及びますが、今シーズンは今後の3週間ほどで集中的に飛散しそうです。スギ花粉症の方は、これからの3週間しっかりと飛散暴露への対策をとって下さい。今日の飛散の状況をみると、予想に反して今年の飛散も案外少ないのではないかとも感じました。愛媛県での昨年初冬のスギの花芽の着花調査では、着花量は昨年並みに多くありませんでした。今シーズンの飛散数は、着花調査の傾向が当たるかもしれません。 今日はスギ花粉抗原のお話でも。アレルギーの原因物質であるアレルゲンの中には小さな原因タンパクが複数存在することもあります。この小さな原因タンパク質(コンポーネント)の解明と臨床応用が最初に進んだのがピーナッツです。ピーナッツは食餌性アレルゲンの中でも激烈な症状を引き起こしますので、欧米では早くから研究が進められていました。ピーナッツへのIgE自体は少ないのにピーナッツを食べると重篤な症状が出る人、ピーナッツへのIgE抗体が多いのにあまり反応しない人など様々なパターンがあります。ピーナッツの中の細かな原因タンパクの存在の有無によって臨床的な反応度合いがわかるようになりました。ピーナッツのコンポーネントは、日本でも一般臨床の場で測定することが可能となっていますので、ピーナッツアレルギーの方への細やかな対応ができるようになっています。 スギ花粉に対しても微細な原因蛋白の存在が明らかになっています。世界の中でもスギ花粉症が国民病とまでなっているのは日本だけですから、この解明は90年代以降、日本人の研究者によって成し遂げられています。約30ミクロンのスギ花粉粒子の表面に「Cry j 1」と言う抗原物質があり、粒子内に「Cry j 2」と言う抗原物質があります。これらはおよそ40kDaの小さな分子量のタンパク質で、ペクチンリアーゼ活性やポリガラクツロナーゼ活性があるペクチンの分解に寄与する酵素です。Cry j 1は353個のアミノ酸で、Cry j 2は388個のアミノ酸で構成されたタンパク質でそのアミノ酸配列も同定されています。Cry j 1はヒノキ花粉のアレルゲンCha o 1と交叉反応性を示すことから、スギ花粉症の人はヒノキ花粉でも反応しやすくなります。スギ花粉症を引き起こす抗体はCry j 1のような抗原全体を認識するのではなく、抗原認識部位エピトープという一部の部分を認識して結合します。Cry j 1には5個のエピトープが、Cry j 2には4個のエピトープがあることが判っています。さらにCry j 1には糖鎖をエピトープとする抗体もあります。アレルギーを引き起こす抗原抗体反応は抗体が抗原のエピトープのアミノ酸や糖鎖の配列を認識して単純に起こるのではなく、熱や酸などの機械的化学的な刺激によって結合量が変わるために、反応の程度も様々に変わります。スギ花粉と抗体の反応性だけみても、反応の強さが様々な要因で変ることから一律に反応が起こることにはなりません。なかなかに奥深い世界です。また、Cry j 1、Cry j 2以外にもCry j 3、CJP-4、CjP-6、CJP-8などの複数の抗原物質が同定されていますが、主に臨床症状を引き起こすのはCry j 1、Cry j 2とされています。花粉は水分に触れると破裂します。そのことによって花粉内からCry j 2が放出されて、さらに強いアレルギー反応を引き起こします。花粉が破裂して存在しなくなってもCry j 1、Cry j 2が存在していると花粉症の症状を引き起こします。そのため、空気中を漂っているCry j 1、Cry j 2を吸い込んだり、道路上に落下しているCry j 1、Cry j 2が自動車の走行で舞上がったものを吸い込んだりして症状が出ます。Cry j 1、Cry j 2は粒子が細かいので、花粉自体よりもより長期間衣服や紙に付着します。性能の悪い空気清浄機では十分に除去しきれません。分子量が小さいため、皮下組織にも浸透します。真皮内に侵入したCry j 2によってプロトロンビンが遊走してくるために、皮膚がくすんできたり、シミができることもわかってきました。私がよくお勧めしている花粉症でのワセリン療法ですが、鼻の入り口のワセリンに花粉が吸着して捕集されるだけでなく、ワセリンは油性であるために捕集された花粉が破裂しないことからCry j 2の鼻内での放出量が減ることになります。花粉抗原の様々な動態を理解すると、花粉対策の役に立ちます。 |
24日 | 今日は1日、補聴器相談医の資格修得のための研修会を受講してきました。午前9時から午後6時までの9時間、講習の間は10分間の休憩のみで、昼はお弁当を食べながらのランチョンセミナーというアラカンの私にとってはなかなかハードな講習でした。現在、我が国の耳鼻科医は11000人、専門医は9000人、そのうちの4500人がすでに補聴器相談医の資格を持っています。昨年から日本耳鼻咽喉科学会は難聴の啓蒙に力を入れています。 皆さんの中には AC ジャパンのマッチのCMを見た方もいるのではないでしょうか。老人性難聴、最近は優しい言い方で加齢性難聴というようになりましたが、加齢性難聴も認知症の進行に悪影響を及ぼすことが分かってきており、日耳鼻では歯科の8020運動(80歳で20本 歯を残す)にならって8030 運動(80歳で30デシベルの囁き声が聞こえる 聴力を維持する)を始めています。このような中、我が国は先進諸外国の中でも補聴器をつけている人の割合が極端に少ない現状があります。日耳鼻は補聴器の普及を図るためにも、補聴器相談医を増やす意味が今回の講習会開催の背景にあります。私もこの資格は以前から取らなければと考えていたのですが、以前は所沢にある国立障害者リハビリテーションセンターでの2日間の研修が必要でした。最近でも日耳鼻秋季大会で土日2日間の講習が必要でしたので、日曜診療を行っている私にとっては修得へのハードルは高かったです。今回 6年ぶりに四国の日耳鼻地方部会で講習会が開催され、それも祝日という当院の休診日に当たったことから、私もようやく講習会に参加できました。補聴器は技術の進化とともにとても高価になり数10万円します。補聴器相談医の紹介状をもとに補聴器を購入すれば医療費控除が受けられます。3月には私も補聴器相談医の認定が得られますので、これからは認定補聴器店での補聴器の購入がスムーズになると思います。 講習は、聴力検査や小児難聴への対応の仕方、補聴器の技術、補聴適合の仕方と評価、補聴器の公的補助や補聴器 販売に関する関連法規、補聴器適合の実習など多岐に渡りました。おかげで知識が整理され、明日からの診療に大いに役立ちそうです。私がこれらの研修の中で特に目を見張ったのが最新の補聴器の進化です。ここ2年ほど、あの小さな機械の中で、高性能なマイクロプロセッサーを使って音の解析にAI の技術が導入されています。複数の話者が移動していても指向性が追随して会話の音声をクリアにしたり、歩行中など装用者の動きを把握して横で並んでいる人の会話や後ろから話しかけられた時の会話をクリアにしたり、装用者の状況を瞬時に把握して最適な音を拾います。音の認識は脳内の聴覚野で行いますので、聴覚野で最適に音を認識できるように快適な雑音をわずかに入れ込む技術もあるようです。20チャンネルも40チャンネルも音を帯域別に細分化して最適な音場を作ります。Bluetoothでスマホとの連携が強化され、耳にもウェアラブルウォッチがあるように動作します。このような高性能な機種では両耳装用で販売価格は120万円にもなります。とんでもない価格ですが技術の進化を知ると、そうなるのも仕方ないかなとも感じました。ショックだったのは世界の補聴器の99%のシェアを大手6社で占め、日本の補聴器メーカーのシェアは1%にも満たないということです。6社の内の5社が欧州のメーカーで、EU諸国では補聴器の購入に大幅に補助金が出て、個人の負担はわずかで購入できるとのことから、欧州のメーカーは多額の開発費用を製品価格に転嫁 できる強みがあります。日本で最大手のリオンは国内ではまだ40%ほどのシェアを握っています。ひと頃の携帯市場のようにガラパゴス化してはいますが、リオンやパナソニック、マチキエなどの日本のメーカーには頑張ってもらいたいものです。 |
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23日 | 例年ならばスギ花粉の第1回目の大量飛散を迎えている時期ですが、花粉の本格的な飛散開始は私の予想よりはかなり遅れています。最強最強寒波に続いて、この連休はまた寒波が到来しています。今の寒波がこの冬最後の寒波だそうで、寒波が去った後は一気に暖かくなる見込みです。今週後半からは関東以西では 一斉にスギ花粉の大量飛散が始まりそうです。 当院での感染症の流行状況を見ると、インフルエンザはかなり減ってきました。例年ならば 2月上旬が流行のピークとなるのですが、年末年始に大流行した A2009年型が散見される程度になり、1月中旬から見られていた B型ビクトリア株も増えてはいません。A香港型はこの冬は全く見られていません。百日咳の学童での集団発生が見られました。百日咳は三種混合の予防接種をしていると抗体はつきます。大人になるまで抗体が持続している人が多いのですが、早ければ4年で抗体がなくなる人もいます。そのため 小学生でも発症してしまう例もあります。予防接種をまだ受けていない新生児や乳児がかかると重症化します。上の お兄ちゃんがかかって下の赤ちゃんにうつってしまうことのないように、赤ちゃんのいるご家庭では感染予防に注意をしてもらうよお伝えしています。昨年11月をピークに 過去最多で流行した肺炎 マイコプラズマですが、年を開けても 当院でもまだ散見されています。1年前に中国で問題になっていたマクロライド耐性株ですが、日本でも耐性株の割合は増えています。2012年と 2016年にも日本ではマイコプラズマ肺炎の流行がありましたか、その際も マクロライド耐性株が増えていました。この理由として、マイコプラズマの治療の第一選択薬が マクロライド系抗菌薬であることから、除菌できずに残ったマクロライト 耐性株が中心になってさらに伝播するために 感染が拡大すると考えられています。マイコプラズマは一般的に病原性は弱いので 自然治癒するケースもありますが、治療を行っても軽い感染力は1〜2ヶ月持続するともされます。重症度に応じてではありますが、マクロライド耐性株による感染が疑われた際にはニューキノロン系や8歳以上ではテトラサイクリン系抗菌薬による治療も考慮しています。 呼吸不全、頚部腫瘤、突発性難聴、外耳道異物、咽頭異物など |
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14日 | 風は肌寒いですが、日差しは日に日に春の日差しです。窓際でのひなたぼっこが心地良いです。当院でのスギ花粉の飛散開始日は2月13日になりました。今日も昼からパラパラと花粉が観測されています。早速、昨日から花粉を感じ出したと言う方の来院がありました。![]() 年末にかわいい女の子からお手紙をいただきました。覚えたての?ひらがなでしっかりと書かれていました。小さなお子さんからプレゼントをもらうと私も疲れが吹っ飛びます。 |
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11日 | 今日の建国記念日は寒波もぬるんで穏やかな1日でした。最強最長寒波のせいでスギ花粉の飛散開始は遅れています。過去36年の松山でのスギ花粉観測の記録を見ると、一番遅い飛散開始日はバレンタインデーの2月14日で過去に3回ありました。平年より遅くなった飛散開始日ですが、明後日頃のバレンタインデー前には飛散が始まりそうです。飛散開始日の1週間後あたりで1回目の大量飛散を迎えることが多いです。花粉症の方は.花粉を吸い込まない、目や顔につけない、衣服につけない、室内に持ち込まないなどの対策をしっかり行ってください。 インフルエンザは年末年始の大流行からはかなり減ってきました。新型コロナも1年前の第10波の時ほどには増えずに、第12波と言えるかどうか微妙な流行です。小児の間ではRSウイルスが目立っていますが、当院ではヒト・メタニューモウイルスも見られ始めました。中国では昨年の秋に小児の間で流行していたそうですが、松山でも春節のインバウンドの影響があったのでしょうか? 頸部リンパ節炎、メニエール病、良性発作性頭位眩暈症、突発性難聴、乳突洞炎、甲状腺腫瘍、咽頭異物など |
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2月 | 5日 | 一昨日3日は立春、昨日4日からは伊予路に春を呼ぶ椿祭りが始まりました。現在、今季最強とも言える立春寒波が全国を襲っています。テレビニュースを見ると南予では大雪警報が発令され、宇和島や宇和町、八幡浜、大洲まで真っ白に雪化粧しています。当院の周りでも雪がちらつき、窓からは雪化粧した石鎚連山の山々や久万高原町の山並みが望めます。 今回の長く強い寒波のせいで、スギ花粉の飛散開始は平年並みより遅れそうです。私は花粉観測を行っていることもありこれから5月にかけての気象条件には注目しています。春一番が吹いた、黄砂が飛来した、PM2.5が開したなど、気温の変化以外にも毎年気になって仕方ありません。気象庁の月間予報では、1月後半は例年より暖かいとの事でしたので、飛散開始日は6日かな、いや4日かななどと予想していたのですが、昨年の2月10日よりも遅くなるかもしれません。元日からの積算気温が400度を超えるとスギ花粉の飛散が始まるとの研究がありました。今年の積算気温は昨年の積算気温の推移をコンスタントに下回っていますので、やはり飛散開始日は昨年より遅くなりそうです。花粉症対策としてのレーザー治療ですが、治療後2週間前後は術創に痂皮がついて刺激に弱いことから、レーザー治療は花粉が飛散する。2週間前の1月中旬ぐらいまでに済ませることをお勧めしているのですが、1月下旬に少し遅めにレーザー治療を受けた人にとっては、花粉症酸の開始が遅れる事はちょうどよかったかもしれません。 呼吸器感染症を網羅的に調べることのできるPCR検査装置SpotFireを導入しました。高価な装置ですが国と県の補助金を得て導入することができました。この装置では1回の鼻咽頭拭い液の検体採取で、8種類のウイルスと4種類の細菌をPCR法により一度に検出できます。検出できる病原体は、SARS-CoV-2 (新型コロナウイルス)、インフルエンザウイルス、(季節性) コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、RSウイルス、ライノウイルス/エンテロウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、百日咳菌、パラ百日咳菌です。当院の装置では3検体同時に測定でき約17分で検査結果が判明します。これまで当院で行っていたPCR検査は新型コロナウイルスのみでした。検査センターに外注していましたので結果が判明するのは最短でも翌日の午後でした。抗原検査よりも感度の良いPCR検査で多くの感染病原対応。同時に測定でき、しかもすぐに結果が分かりますので、これからの私の感染症の診断に大いに役立ちそうです。 ここ3日間実際に運用してみると、新たな経験を得ることができました。これまでは普通の風邪の原因ウイルスとして大多数を占める季節性コロナウイルスやライノウイルス、エンテロウイルスは一般臨床の場では調べることができませんでした。また小児で声門下喉頭炎クループを引き起こす代表的な病原であるパラインフルエンザウイルスも同様に測定はできませんでした。今回熱の出たお子様で測定してみると、季節性コロナウイルスでも39℃の発熱を認めたり、パラインフルエンザウイルスでも発熱だけで気道症状がなかったりと様々なパターンを経験しました。また現在愛媛県ではほとんど報告がないことから流行していないと思われるていたヒトメタニューモウイルスを検出したりしました。ヒトメタニューモウイルスは、これまで当院では流行状況からその存在を疑っていた時にだけ抗原検査で調べていたのですが、網羅的検査のおかげで確定診断ができました。今後もこの装置を臨床診断の一助として大いに活用していきたいと思います。 |
23日 | 東京では8日からスギ花粉の飛散が始まったとの報道がありました。東京都の発表では1985年の調査開始以来で最も早い飛散開始です。一昨年が2月15日、昨年が2月10日でしたので極端に早い飛散開始日です。私は山口県医師会の観測データもフォローしているのですが、山口県の初観測日が2日、早い地点では5日や6日に飛散開始日を迎えています。愛媛県内からはまだ飛散開始日を迎えたと言う報告は上がってませんが、当院でも2日に1回のペースで花粉の観測していますので、愛媛県でも例年より早く飛散が始まりそうです。私はよく松「山の春を告げる椿祭りの時期にスギ花粉の飛散が始まり、インフルエンザの流行がピークを迎える」とお伝えしています。今年の椿祭りは例年よりやや早く2月の4~6日の予定です。ここ数日暖かい日が続いています。松山での飛散開始日は2月初頭になりそうです。 感染症の動向ですが、今週当院ではインフルエンザの流行は年末年始よりは減少傾向です。新型コロナは増えてきています。 米国で多数報告されているトリインフルエンザの人への感染ですが、初めて死亡例が報告されたとのことです。日本でも今週、千葉県でニワトリのトリインフルエンザが大量発生しました。卵の値段がまた上がりそうだとの報道がされています。日本でもトリインフルエンザの人への感染が広がらなければ良いのですが。 ここ1〜2週間、当院では顔面神経麻痺の方の来院が目立ちました。顔面神経麻痺は直接的な感染症ではなく、血行障害などによる神経障害であるとされていますが、多くは単純ヘルペスや帯状疱疹ヘルペスの再活性化によって起こるとされています。年末から1月にかけて新型コロナウイルスやインフルエンザの流行によって免疫力が低下した人が増えて来たことが顔面神経麻痺の増加の一因となっていそうです。 |
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15日 | 11日、当院のポールンロボによる花粉観測が始まりました。早速12日には花粉の1個観測していましたので、当院でのスギ花粉の初観測日は12日となりました。日本気象協会による1月の長期予報では西日本の気温は平年並みかやや暖かいとの予想ですので、松山でのスギ花粉の飛散開始日は平年よりやや早くなるのではないでしょうか? 私は松山の飛散日を2月6日と予想しますが、さてどうなることでしょう。 年末の過去最大級のインフルエンザの流行を受けての年明けで、新学期が始まり集団生活も再開されていますが、幸いなことにA型インフルエンザの流行は年末ほどには広がっていません。 ところが当院ではB型インフルエンザにかかった方が目立ってきました。年末の愛媛県のデータでは、A型インフルエンザが99.6%とインフルエンザのほとんどを占めていましたが、これからはA型の新型インフルエンザとB型の同時流行になってくるかもしれません。A型にかかった後にすぐにB型にかかってしまったと言うケースも出てきそうです。連休明けも引き続き当院では、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、感染性胃腸炎の方をほぼ毎日診ています。皆様も体調を万全にして、感染予防を心がけてください。 中国からは、1年前の耐性マイコプラズマの流行に続き、昨年末にはヒト・メタニューモウイルスの流行も伝わってきています。ヒト・メタニューモウイルスは聞き慣れない方も多いとは思いますが、RSウイルスと似たウイルスで乳幼児や高齢者の下気道での反応が強いと重症化します。日本でもこれまでRSウイルスと時期をややずらしながら小さな流行を繰り返していましたので、決して珍しい感染症では無いのですが、春節のインバウンドの訪日客から日本での流行も懸念されています。私も気に留めて診察を行うこととします。 昨年末にはもう一つ感染症のトピックスがありました。米国西海岸で鳥インフルエンザのトリーヒト感染が多数報告されました。従来のヒトのインフルエンザと鳥インフルエンザの間で遺伝子組み換えが起こると、ヒトーヒト感染を起こす新型インフルエンザが発生することが懸念されています。鳥インフルエンザが人類の中で広がりパンデミック化すると、人類はその抗体を持っていないことから先の新型コロナの時と同様に厄災をもたらすことも危惧されます。11月に愛媛県の西条市でもニワトリの間で鳥インフルエンザが広がり多くのニワトリが死滅しました。当院にもその関係者で受診した方がおられたのですが、当院でも愛媛県下でも幸いなことにトリーヒト感染は起こりませんでした。一昨日発生した宮崎での地震の際に、気象庁からは今回の地震は南海トラフ地震との関連性はないだろうとの事でしたが、南海トラフ地震が起こる確率は、今後30年で7〜80%に及ぶと警告していました。鳥インフルエンザを初めとする新振興感染症によるパンデミックが起こる確率は、南海トラフ地震が起こる可能性よりも、もっと早くもっと高確率に起こる気がしています。私が現役のうちにまた起こるのか?引退した後起こるのか? 想像はしたくありませんが、心構えは持っておこうと思います。 評判を聞きつけて、チェーンソーマンでお馴染みの漫画家藤本タツキ氏の漫画「ルックバック」を読み、思わずアニメ映画「ルックバック」も観ました。漫画家を目指す二人の小学生の軌跡を描いた作品です。特に映画は「秒速5センチメートル」「この世界の片隅に」を観て以来の感銘を受けました。最近私はちょっと漫画家に憧れています。漫画は1人でも資金力がなくても壮大な作品を作り出せます。ストーリーを考えキャラクターデザインして、ネームと言う下書きに落とし込んでいく。それを出版社の編集者とともに昇華していく。私のようなどちらかと言えば現在は研究を離れ実学に身を置いている者からすれば、職人や芸術家などのクリエイターには憧れてしまいます。この作品は、漫画家による漫画家のための作品と感じました。時間が許せば、タイパなどを気にせず何度でもじっくり細部を見たい作品でした。 |
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13日 | 今日は成人式です。久々にゆっくりしてこのコーナーの更新ができます。昨日の診察では、きれいにお化粧してマニキュアもバッチリと決めたとてもチャーミングなお嬢様の来院がありました。聞けば成人式帰りとのことで納得しました。 年末年始と当院は開院以来の混雑となりました。2020年夏の重症化率の高かった新型コロナウイルスデルタ株の発生ピーク時や、2021年夏のオミクロン株が最も増えた第10波の方が保健所との連携や感染報告、自宅療養者の病状観察、無料検査、新型コロナのワクチン接種を同時に行っていましたので、業務量の多さとしてはこの当時の方が半端なかったのですが、患者数ではこの年末年始の方が最多となりました。12月16日に全国的にも愛媛県でも新型インフルエンザ(A(H1N1)pdm09亜型)の発生が警報レベルに増え年末に向かってさらに増えたためです。愛媛県でもインフルエンザの99.6%が新型インフルエンザですが、B型の発生もわずかにあります。当院でも12月にお一人、1月にもお一人の方で検出されました。インフルエンザ罹患後に脳症化して、入院したお子様、心筋炎を発生した大人の方もおられました。同時に新型コロナも徐々に増え、RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、ノロウイルスを始めとする感染性胃腸炎なども同時に発生していたため、当院でも、患者様の感染症の鑑別診断にはかなり神経を配りました。さらに感染症の続発的な急性中耳炎や鼓膜炎、腹鼻腔炎、蜂窩織炎、リンパ節炎、喘息性気管支炎や、免疫力の低下により続発されたと思われる帯状疱疹、顔面神経麻痺、突発性難聴など様々な疾患の対応に追われました。 年末年始の救急医療の現場も大変だったようです。松山の急患医療センターでも最後には受付を断っていたとの事。え、救急病院がそんなことでいいのと最初私はそう思いましたが、例えば熊本地域医療センターでは診察待ちが最大300人にも上り22時間待ちになったため、受付を一時中止せざるを得なくなったそうです。国立感染研より、インフルエンザの各タイプに対する抗体を持っている人の割合を年齢別に解析した結果が公開されました。それによると現在最も流行っている新型インフルエンザに対する抗体を0〜4歳児では10%しか保有していないとの事。新型コロナが発生して以降に生まれた乳幼児は、インフルエンザが2年半にわたってほとんど発生しないこともあり、抗体をほとんど保有していないようです。これだけインフルエンザが大流行するのも納得の報告です。乳幼児は今からでもインフルエンザの予防接種が望まれます。当院でもインフルエンザによる脳症や心筋炎の報告を聞きましたが、東京の救急病床もほぼ満床になっているとの事。2020年の報告ではインフルエンザの重症化率は新型コロナの16分の1でしたが、それでも年間1600人の方が亡くなっています。私もインフルエンザの診察にあたって、患者様一人ひとりの病状については注意して診察を進めていきたいと思います。 12月4日、米会員特別委員会は、新型コロナの起源が中国の武漢研究所からの事故での流出によるものだとする最終報告書を公表しました。米政府内での新型コロナの起源をめぐる意見は別れたままだそうで、米疾病対策センター(CDC)や米、国立アレルギー、感染症研究所(NIAID)は、動物を介して、人間に完成した可能性が高い見ており、一方、米連邦捜査局(FBI)と米エネルギー賞は研究所から抽出した可能性が高いと判断しているとのことです。新型コロナはACEレセプターを介して血管内皮細胞に感染し、また体の防御に重要な役割を果たす白血球の1種であるT細胞の機能低下させています。免疫の低下から引き起こされる、帯状疱疹増加や、劇症型溶連菌や梅毒などの感染症の増加、さらには結核や真菌感染症の発症にも新型コロナ感染は関わっているかもしれません。新型コロナウイルスによる罹患後症状(後遺症)が決して少なくないことの原因とも思われます。陰謀論では片付けられない気がしています。 インフルエンザの流行拡大に伴って、従来の鎮咳薬や抗菌薬の供給不足の上に抗インフルエンザ薬の供給不足も1月に入り顕在化しました。沢井製薬のオセルタミビルの一時供給停止、中外製薬のタミフルの限定出荷/一部出荷停止に続いてゾフルーザも限定出荷になりました。今のところ当院では抗インフルエンザ薬の処方はできていますが、1月後半もこのまま流行が続けば充分処方できなくなることも懸念されます。薬局さんにもしっかり対応していただいていますが、今後が心配です。 タミフルを服薬してもなかなか熱が下がらなかったというケースも見られています。11月に国立感染研のデータを確認した時点では、新型インフルエンザに対するタミフルの耐性化率は0.5%とのことで安心していたのですが、12月25日のデータを見ると、タミフルへの耐性化率が4%、ゾフルーザへの耐性化率が3%近くと報告されていました。耐性化ウイルスが増えているようです。思えば新型インフルエンザが発生して2年後の2011年に耐性化ウイルスが増えて問題になったことがあります。現在、吸入薬のイナビルやリレンザへの耐性は0%ですので、感染初期や軽症の方に対しては吸入薬が良いかもしれません。 当院では一昨日、花粉観測機であるポールンロボの設置を完了しました。あと1週間ほどで観測データを確認できるようになると思います。現在愛媛県では元日からの花粉飛散データを発表する施設がありませんので、愛媛県でのスギ花粉の初観測日は厳密には確認できなくなっています。私はよく山口県医師会の花粉観測データを参考にしているのですが、そのデータによると、山口県での初観測日は1月2日になったようです。松山でも正月三が日は穏やかな気候でしたので、既に初観測日は迎えているものと思われます。今シーズンのスギ花粉の飛散は、平年の2倍、昨年8倍近くと予想されています。スギ花粉に敏感な方の中には1月下旬からスギ花粉を感じ始める人も出てくると思います。松山の過去36年の花粉観測の記録では、最も早い年では1月17日から毎日飛散する飛散開始日を迎えています。最も遅い年では2月14日のバレンタインデーからと言う年が2回ありました。過去の飛散開始日の中央値は2月7日前後でした。1月の気温が暖かいと早く飛び始め、1月の気温が寒いと遅く飛び始める傾向にあります。今から正確な飛散開始日を予測するのは難しいのですが、このような過去の傾向も含めて、初期治療として花粉症の薬を服薬し始めるの時期を、私は2月初めないしは1月下旬でも花粉を感じ始めた時期とお伝えしています。またレーザー治療は、治療後粘膜が落ち着くのに2週間ぐらいかかることから、1月中には済ませることをお勧めしています。 |
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1月 | 3日 | 明けましておめでとうございます。本年も当院をよろしくお願いいたします。 松山では小春日和が続いて、おだやかな三が日です。数年に1度はインフルエンザの流行でお正月の救急病院が激込みします。この年末年始の救急病院はどうなっていたのでしょうか? 私は年末に受診された方々のお加減がよくなっていることを祈念して過ごしていました。年末が忙しかったこともあり、このホームページの年代わりの更新も含めて、事務的な仕事がたまっていたのですが、年末年始にようやく整理ができました。また、日本耳鼻咽喉科学会の秋季大会のオンデマンド配信も縦覧することができました。やはり勉強になります。学会場と違ってラフな姿勢で見ることができ、気になるところは停止してじっくり確認できるのはWeb開催のよいところです。 年始の抱負としては、2月に15種類の病原微生物の検査が同時にできる同時多糖目PCR検査装置Spot Fireが導入予定です。従来の迅速抗原検査キットでは検査できなかった、季節性コロナウイルスやヒトライノウイルス、エンテロウイルス、パラインフルエンザウイルス、パラ百日咳、クラミジアニューモニエも同時に検査できます。当院での発熱や気道感染の鑑別診断に大いに役立ちそうで、今から期待しています。 ![]() 私にとっては恒例の道後温泉「ふなや」の正月飾りです。 ![]() 道後方面から見た松山城です。街の中心の小山に現存天守閣があり、市街のどこからでも見上げることができる、、松山はいい街です。 |