本文へスキップ

当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

’12年 月別疾患情報

12月 2日   12月入りです。当院では今週水曜日の午後に大掃除を行います。いよいよ師走です。
 愛媛では乳幼児のRSウイルス感染症が9月以上に増えてきました。ノロウイルスによる感染性胃腸炎も急に増えています。また、夏に多い傾向のあるアデノウイルス感染症がやや増えています。 当院でも今日の診察だけで3人のアデノウイルス陽性の方が見られました。今の時期にしてはやはり多いようです。例年12月に入り徐々に増えてくるインフルエンザですが、インフルエンザは例年より流行の立ち上がりは遅いようです。愛媛県ではほとんど発生していませんが、全国的には確実に増えてきています。先週、当院近隣の中学校でインフルエンザの発生がありました。11月、12月とA香港型の報告が散見されていますので、当院でもそろそろ見かけるかもしれません。
  伝染性単核球症、片頭痛、顔面神経痛、歯性頬部蜂窩織炎、咽喉頭異常感症、外耳道真珠腫など。 
  12日  12月としては最大級の寒波が日本に到来です。松山市内からも石鎚連山の雪化粧が見えます。麓の山では紅葉の名残が見えますので、紅葉と雪景色が同時に見える、松山では珍しい光景です。
 10月中旬から松山でもA型インフルエンザの報告が散見されていますが、当院ではまだ検出されていません。集団発生もありませんが、標準的な流行のシーズンでは12月中旬からクリスマスにかけて集団発生がみられますので、当院でも注意して診察してゆきます。
 ノロウイルスを中心とした感染性胃腸炎が増えています。例年、12月にピークを迎えますが、今年は例年より多いようです。感染性胃腸炎は当然、嘔吐下痢などの消化器症状が主体ですので、上気道感染を中心に診ている耳鼻科で一次的に診る疾患ではありません。しかしノロウイルスやロタウイルスなどのウイルス性胃腸炎では細菌性食中毒とは違い、咽頭炎などの上気道症状も出てくる場合があります。ノロウイルスの潜伏期は1~2日と短いのですが、軽い上気道炎を前駆症状として胃腸炎を発症する場合や、胃腸炎が収まる時期に上気道症状が出てくる場合もあります。また咽頭痛などの咽頭症状が主体の溶連菌感染症で、咽頭所見が軽いにもかかわらず初期の中毒症状で嘔気嘔吐や腹痛をきたす場合があります。インフルエンザやマイコプラズマ感染症で上気道症状に続いて消化器の症状が出てくる場合、発熱や頭痛、咽頭痛、耳痛などの痛みに伴って嘔気が出る場合、風邪をひいたことから二次的に自律神経失調となり、小児で自家中毒(アセトン血性嘔吐症)を成人で過敏性腸症候群をきたす場合など、上気道症状と消化器症状がリンクして出てくる病態は様々ありますので、耳鼻科でも当然、消化器の症状や全身の症状を注意して観察する必要があります。
 来シーズン、平年より花粉飛散数が多いと予想されているスギ花粉ですが、花粉症シーズンを見越してレーザー治療を希望する方が来院される季節となりました。レーザー治療では照射5年後でもレーザー照射部の瘢痕化は確認できます。その意味では鼻炎症状の軽減効果はある程度持続するのですが、当然、粘膜は少しずつ再生していきますので、症状軽減効果が最も高いのは照射2週間後から3ヶ月後ぐらいです。そのため、スギ花粉症に対してのレーザー治療は毎年受けてもよいことになります。レーザー治療をお考えの方は、今の時期から花粉飛散が本格化する前の1月中旬までに済ませておくことをお勧めしています。例年、花粉が大量飛散した直後に慌ててレーザー治療を希望する方がおられます。もしこのような場合にレーザー照射をすると、粘膜のアレルギー炎症が強い時期にさらに粘膜を軽く”火傷”させて炎症を強くすることとなりますので、基本的には発症前投薬と同様に症状の出る前、かつ風邪をひいていない時にレーザー治療は行います。
  耳下腺腫瘍、良性発作性頭囲幻暈症、咽頭異物、唾液分泌低下など。

 初雪や 海を隔てゝ 何處の山   子規 
  16日   今日は衆議院の総選挙です。投票率が上がりません。ある意味、投票率が低迷している間は、日本は”まだ本当の危機”ではないのでしょう。
 当院でも14日に今シーズン初めてA型インフルエンザを検出しました。2日程でいったん下がった熱がまた出る二度熱の小学生でした。松山ではまだ集団発生は見られていませんが、高知ではB型の発生が見られています。全国的にはA香港型が主流ながら、2009年型、B型との混合感染の気配です。  
  17日  街はクリスマス・イルミネーション一色です。当院では今週、小さな天使である子供達にささやかなクリスマス・プレゼントを用意しています。 受診する子供たちの中には、泣き続ける子、お母さんにじっとしがみつく子など、診察を怖がる子供たちも少なくありません。中には診察の前に「先生、これはやめてね」などと、処置の器具や検査キットを指さして機制を制するしっかりした子もいます。以前、インフルエンザの迅速検査が始まった当初、「こんなのが普及したら、病院嫌いになる子が増えるなあ~」と苦笑いしていた小児科医の知人の言葉がいまでも忘れられません。子供たちにとって病院通いはかなりのストレスです。引率する保護者の方にとっても、大変な労力を要します。私は常々当院のスタッフに「病院は、誰一人として好んでくる人はいないことを忘れないで下さい」と伝えています。ささやかなプレゼントですが、嫌々ながら診察を受けた子供たちや、忙しい中、子供を連れてきた保護者の方に、少しばかりホッとしてもらいたいと思っています。 
  19日  先日のA型に続き、今日の診察ではB型インフルエンザを検出しました。B型陽性の方は家族内感染が疑われました。 もうすぐ始まる学童の冬休み入りとともに風邪の集団発生はなくなると思われますが、今週はインフルエンザの散発にも注意したいと思います。 
  24日  Merry Christmas ! 私も連休を頂き、年末の雑用が出来ました。この連休が明けると幼稚園児、学生が冬休み入り、続いて社会人も年末の休暇に入ります。来春は4日に有給休暇を取れればお正月休みが9連休です。このようにこれから1月6日までは、例年に比べて長期に集団生活の機会が減りますので、風邪の流行も例年よりも下火になると思われます。皆様ものどかな年末年始をお過ごし下さい。(^^)
 しかし先週は全国的に、ノロウイルスの感染性胃腸炎を中心に集団発生の報道が続きました。また愛媛ではまだ下火ですがA香港型を中心としたインフルエンザも徐々に増えています。ノロウイルスの潜伏期は普通のウイルス感染よりやや短く1~2日、下痢が治っても便には5日程度ウイルスの排出が続きます。また上気道の症状が出る場合には痰や鼻水からの飛沫感染、接触感染の起こります。またインフルエンザの潜伏期も1~2日とされていますが、感染後12時間程度で急激に発症する場合もあります。インフルエンザの感染力は強く空気感染とも言われます。家族や身近な人がノロウイルスやインフルエンザに感染した場合には、糞口感染、飛沫感染、空気感染、接触感染など様々な感染経路に注意して、手洗い、マスク着用、下着などの洗濯処理などに気を付けて、家庭内や学校内、職場内での感染拡大に気を付けて下さい。 
  30日   昨日で当院の年内の診療も終わりました。インフルエンザも散見されましたが、集団発生はありませんでした。お休み前にいつも気になるのが、小児の急性中耳炎ですが、今年は鼓膜切開を余儀なくされるような炎症の強いお子様はいませんでした。私も年末年始を前に、少しホッとしています。これからの年末年始、年末に受診されたすべての方が穏やかに過ごせることを祈っています。
 皆様、良いお年をお迎え下さい。  
     
11月 6日  11月です。徐々に風邪にかかる方、風邪が長引く方が増えています。祝日後、診察終了時間も長くなりました。お待ち頂いた患者様にはご協力ありがとうございました。
  三叉神経領域帯状疱疹、音響外傷、外傷性鼓膜穿孔、良性発作性頭位幻暈症など。  
  10日  病院のけやきが紅葉してきました。けやきの落葉も少しずつ増えています。 秋も深まってきました。
 どの風邪が流行、、ではありませんが、10月に続き様々な感染症が見られます。乳幼児のRSウイルス感染症はかなり減りましたが、まだ当院でも見られます。夏かぜに多いアデノウイルスはここ2週間見られていませんが、軽いヘルパンギーナは幼児の間で散見されました。マイコプラズマ感染症がやや多く、溶連菌感染症は少なめ、ウイルス性胃腸炎に伴う上気道炎がやや増えつつある、インフルエンザはまだ見られない、といったところが当院での状況です。また、少しづつ耳鼻科外来の冬の気配も出てきました。急性上気道炎から急性副鼻腔炎を続発したり、慢性副鼻腔炎が急性増悪する、高齢者で滲出性中耳炎を続発する、小児で急性中耳炎の反応が強く鼓膜切開を必要とする、、などです。ただし小児で中耳炎が難治化してチューブ留置を必要とする方はまだごく少数です。

  通りぬけ 通りぬけても 紅葉哉   子規 
  14日  衆院解散の流れが出来ました。野田総理はこれで就任1年余で消費税増税と議員定数削減の大きな仕事をした歴史に残る総理になりそうです。野田総理、安倍自民党総裁ともに力のこもった論戦でした。私は思わず「男子の本懐」(女性の皆さん、昔の言葉のあやです ^^; ) という言葉を思い起こしました。
 インフルエンザですが、当院では例年なら今頃、シーズン最初の方を診断することが多いのですが、12/13シーズンはまだ検出していません。全国的には、A香港型が沖縄を中心に夏から散見され、9月に横浜で集団発生が報告された程度で、2009年型、B型とともに愛媛を始め全国的な発生はまだのようです。今日はこの秋一番の冷え込みです。冬はそこまで来ています。当院でもスタッフのインフルエンザワクチンを行いながら、インフルエンザの流行に備えようと思います。
 秋の雑草花粉症は終わりました。1年は早いものです。あと2か月後にはスギ花粉の飛散の時期を迎えます。来シーズンのスギ花粉の飛散は、四国地方では、例年よりやや多めで昨年より多目との予想です。本格的な飛散は2月に入ってからですが、実は今の時期からわずかに飛散が始まります。初期治療(予防投薬)をするにしても本格的な治療は1月下旬からで十分ですのでまだ治療は必要ないのですが、本当に敏感な人は ”11月に深山での紅葉狩りでかすかにムズムズ、12月に久万のスキー場やゴルフ場でわずかにムズムズ、1月に砥部動物園など山に近いところでクシュン” となります。 
  16日  診察中にあるお母さまから印象深い話をお聞きしました。「うちの子は冬の布団にしたら鼻のグズグズが強くなった」とのことでした。今はダニやカビが増える季節ではありませんが、ダニの死骸や糞は抗原性が強いですので、布団の中のホコリやエアコンのフィルターにダニの糞が多いとハウスダストアレルギーは強くなります。急に冷え込んでくる11月は気候としても過敏症を誘発しやすい季節ですが、家の掃除のし甲斐のある季節でもあります。


 石手1丁目の岩堰を下流から見ています。松山城築城の際、足立重信が石手川の岩盤を削って水路を南西に変えて重信川と合流するようにした工事が偲ばれる場所です。赤いつり橋の周りはちょっとしたプチ渓谷です。すぐ横には大手スーパーがあるような所ですので、気軽に立ち寄れます。
  21日   松山市内でも先月にB型、先週にA型のインフルエンザが発生したとの報告がありましたが、まだわずかな散発のようです。当院では、急な40℃の発熱などで、もしインフルエンザであれば抗ウイルス剤で対応しないとご本人も辛いだろうなという場合に迅速検査はしていますが、まだ確認していません。 今日はインフルエンザの診断についてお話してみます。ご承知のようにインフルエンザは感染症の中でも、増殖の力が強く速いウイルスです。予防接種や過去に罹った際の基礎免疫が残っていないと、急な発熱や倦怠感、吐き気などの全身症状が現れてきます。特に気道粘膜での増殖力が強いために、咳込みが強くなります。気道粘膜の所見でインフルエンザだからといった典型的な所見はないのですが、普通のウイルスによる上気道炎よりは気道粘膜全体の反応が強くなる傾向があります。そのため、鼻粘膜だけ、のどの粘膜だけ、扁桃腺だけ、声帯を中心とした喉頭だけ反応するというよりは、鼻から気管まで粘膜表面のただれ(専門的にはびらんや発赤といいます)が広く現れます。特に発症初期から気管の反応が強くなる傾向があります。耳鼻科医は一般的な外来診療で鼻の奥の上咽頭や気管の観察ができますので、そのあたりの診断力は強いです。確定的な診断にはやはり迅速検査キットが有用ですが、ウイルス量の少ない初期には陽性になりませんので、特に発症初期には先ほど述べたような気道粘膜の所見も参考にしながら診断を進めていきます。
  甲状腺腫瘍、肉芽性鼓膜炎、頚部リンパ節炎、発作性頭位幻暈症、突発性難聴、鼻茸摘出術など。


 今日はおちゃめなフラワーアレンジです! 
  23日  今日は祝日。私ものんびりしています。
 来シーズンの花粉飛散情報が出そろってきました。来シーズンといっても早いものであと2か月です。花粉情報協会の予想では、松山のスギ花粉は昨年の1.3倍、過去10年の平均よりやや多めとのこと。この機会に全国の飛散数の平均を県別にみてみると、中四国では、松山が1とすると、高知が1.3、米子が1.1、山口が0.7、岡山、阿南、松江が0.5、広島、高松が0.3と、実は中四国の中でも松山の飛散数は多目です。高知や南予は例年飛散が多いのは認識していましたが、広島が松山に比べて思いのほか少なく、すこし驚きです。花粉の飛散数は、同一の市内でも観測地点で大きく変わります。中予地方は現在松山大学のデータが発表されていますが、以前、県立中央病院や県立医療短大で測定していた際には、松山市駅近くの県立中央病院より砥部の医療短大では2倍近く飛散していました。松山市中心部と比べれば、少し山に近づいた重信川を越えたところで2倍、山すその砥部動物園で3倍、山の中の久万では5倍、、くらいの飛散数でしょうか。同じ瀬戸内海地方でも、松山は広島、岡山、高松に比べて心持ち山が近いのが、過去の平均飛散数に反映されているものと思われます。 
  25日  祝日明けの土曜日、今日の日曜日と診察が混み合いました。お待ち頂いた患者様には大変ご迷惑おかけしました。ご協力ありがとうございました。いつもながら思うことですが、迅速な診察を心掛けながらも、見落しのない診察を肝に命じています。 
 当院ではiTicketというオンライン予約システムを利用しています。このシステムを導入しているのは全国的にも小児科耳鼻科が多いのですが、この土曜日の朝9時過ぎにはアクセスが殺到してサーバーの反応が悪くなっていたとのことです。当院の予約システムは午前9時30分からの稼働ですので、当院を利用される患者様には幸にも不都合はありませんでした。例年、インフルエンザなどの風邪が流行する冬の祝日明けや土曜日にサーバーに負荷がかかるみたいです。これまでも同様な不都合が生じた際にiTicket様は迅速なサーバー増強を行っていましたので、予約システムの不都合が続くことはありませんでした。今回も適切かつ迅速な対応をして頂けるものと思っています。土曜日の朝は全国的に小児科耳鼻科が込み合っていたのでしょう。こんなことからも冬の風邪シーズンの訪れを感じます。




 市内の銀杏が鮮やかな黄色に染まっています。当院のけやきも紅葉のピークです。当院の診察室は2階にありますので、診察室の窓の目の前にケヤキの枝が広がっています。診察室に缶詰めの私ですが、新緑、蝉の声、紅葉と、結構季節の移り変わりを感じることが出来ています。(^^) 
     
10月 3日  台風一過の秋晴れです。市内の街路は至る所に秋祭りのしめ飾りです。なんの風邪が流行する、ではなく、いろいろな感染症が見られます。ただインフルエンザだけは見られません。ここ2年ほど、沖縄では1年中インフルエンザが発生しています。いつかは松山もそうなるのでしょうか?
 今日は、”小っちゃい子供が耳を気にする”についてお話します。当院でも、よく子供さんが耳を触るとのことでお母さまに連れられて来院されることがあります。お母さまが一番気にされるのは、耳あかが溜まっているのではないかとの心配です。大人の人ではよく、耳垢の小さなかたまりが鼓膜にひっついたり、鼓膜に倒れこむように接しているために、あごを動かした際にゴソゴソ聞こえたり違和感を感じる場合があります。しかし、子供さんでは案外少ないものです。最も多いのが、アレルギー性鼻炎の体質が出てきて、耳の奥を底痒く感じることです。人間は本来、鼻から耳の奥へは迷走神経の枝の知覚神経が走っており、鼻の奥の痒みを耳の奥で感じやすくなります。逆に、耳掃除で外耳道を刺激すると、のどがイガイガして咳き込むこともあります。また、アレルギー性鼻炎でなくとも風邪に罹った後や、アデノイドなどの扁桃肥大の体質があると鼻の奥から中耳への換気が悪くなり耳が塞がった感じが惹き起こされる耳管狭窄という状態になります。極端に換気が悪い場合や、上気道炎の炎症が波及した場合には中耳滲出液が溜まってくる中耳炎の状態になり、より一層、耳閉感や違和感が強くなります。中耳は、耳の穴の奥にあると言うよりは、鼻の奥にある洞穴といった表現の方が、中耳の病態を知る上では理解しやすいと思います。子供さんがよく耳を気にしている時には、結構、鼻炎が隠れている場合が多いのです。よく、2~4才くらいの子供さんが耳の穴にビーズ玉を詰めたり、鼻の穴におもちゃの部品を詰めたりすることがあります。時に、鼻にティッシュペーパーを詰めると、2~3週間経つと片方の鼻だけ臭ってきたりします。耳や鼻に異物を子供さんが詰めた場合には、私はまず鼻炎体質が隠れていないかに注意して診察をすすめるようにしています。一方で、耳あかのせいで子供さんが違和感を訴える場合は、家庭での耳掃除で耳垢を奥に押しやっている場合もあります。「うちの子は耳掃除を嫌がって全くさせてくれません」とお母さまが訴えることもよくあります。こんな時は案外、耳掃除を行う際に綿棒でくるくると掃除するだけに終わって、耳垢を少しずつ奥に押しやってしまい、耳垢が鼓膜に接するくらいに押し込まれていて逆に痛がっている場合があります。小さなお子様の耳掃除はなかなか難しいものです。奥が見えていないのに綿棒でクリクリと掃除していたら子供が嫌がる、という場合には本当に子供さんが耳の奥を痛がっている可能性もあります。そういう場合は、見える範囲でお子様の耳の奥を覗いてみて下さい。あきらかに耳垢が奥で詰まっているようならば、一度耳鼻科を受診してもいいかもしれません。
 病院下の駐車場で、患者様の車が壁で傷つきました。車を防護するための緩衝材があれば、とのお叱りを受けました。駐車場コーナー部分保護用のゴム製クッションを以前は設置していたのですが、剥がれやすいことから最近は付けていませんでした。患者様には多大なご迷惑をお掛けしました。早急に設置しなおします。

 
 当院の玄関前のハナミズキに赤い実がつきました。当院のハナミズキはコンクリートに囲まれているせいか、例年樹勢がいまひとつなのですが、今年は葉っぱに勢いがあります。実も沢山付きました。!(^^)! ハナミズキは案外紅葉も綺麗です。今年は紅葉も楽しめそうです。
  5日  地方祭のちょうちん行列が始まりました。子供達の元気な「持ってこーーい、もてこーい」の掛け声が当院外来にも響きました。今年は天候に恵まれてなによりでした。
 日本気象協会から来シーズンのスギ花粉飛散予報の第一報がありました。東日本では例年より多目、 西日本では例年より少ないものの昨年よりは多目とのことです。今夏の西日本は”猛暑ながら日照時間はそれ程多くない”ことが予報の判断材料とのことでした。
  8日  昨日で地方祭も終わり、少し落着いた松山です。今日は体育の日。当院も休診させて頂きました。今日は疾患情報もお休みで、少し個人のブログ風に徒然してみます。
 今日、松山で初めての安藤裕子のコンサートがありました。ファンというほどではないのですが、以前、アルバムを聴いたこともあり、聴きに行ってきました。心に響く歌声と暖かなMC(トーク)に癒されてきました。ご存知ない方には、元ちとせとアンジェラアキとCHARAを合わせたような歌声?と言ったらよいでしょうか。 
 YouTube 安藤裕子「のうぜんかつら」へ
 コンサートが終わると、山中教授のノーベル医学賞のニュースが飛び込んできました。山中氏は臨床の場から研究の道に進み、大きな仕事を成し遂げました。いや、多くの受賞者とは違い、今も研究は進行中ですね。一方私は、少しだけ研究をかじって、今は”こてこて”の臨床医です。医学の基礎があってこその臨床です。私も「医学」から離れないように心掛けたいと改めて思いました。また、日本にとって本当に前向きなニュースです。「日本もまだまだ捨てたものじゃない」、今日カウチポテトで観た映画「ハゲタカ」で印象に残ったセリフが、私の中でリピートしました。
 話は変わりますが、耳鼻科以外の徒然も。私は卒後の進路を決めるにあたって、耳鼻科と内科、心療内科、精神科の中でどの道を進もうか迷いました。人の心は弱いものです。弱いから、迷うからこそ人でもあります。今でも時々精神神経科の専門書に目を通しますが、一般の方向けに、私の印象の深いホームページと書籍をご紹介します。
 ホームページ 「心と脳の相談室」へ :様々な事例が紹介されています。私は精神科Q&AのAnswerを中心に目を通します。単刀直入でいて無理のない回答は読んでいてもスッキリします。統合失調症と発達障害や解離性障害の鑑別や、原疾患と薬の副作用の因果の見極めなどは難しいものですが、広い視点で無理のない鑑別を行っています。
 書籍 「精神科 セカンドオピニオン」へ :精神科疾患と発達障害、薬の作用の関係に一石を投じています。 
  10日  明日11日午後の診察は、学校健診出務のため、診察開始は午後3時30分頃からとなります。診察予定の患者様にはご迷惑おかけしますが、ご理解の程、お願いいたします。ふと思うのですが、小学校入学前は人の一生でも最も良い時期のひとつでしょう。親御さんや周りの人々の愛情に包まれ、毎月行事があり1年がなんと長い事か。明日は私も天使たちに元気をもらってきます。
 RSウイルス感染症の流行はピークを越したようです。この時期に流行するのは、日本で感染情報の統計を取って以来初めてのことです。ここ最近は、小児科でRSウイルス感染症を指摘され、中耳炎を併発して紹介される子供たちが目立ちます。RSウイルスに対する感染防御機構の弱い0~1才児は、RSウイルス自体でも気道粘膜の反応が強くなるため、中耳炎を惹き起こすことは珍しいことではありません。また、鼻咽腔の細菌叢が活性化して二次的に細菌性中耳炎を続発する場合もあります。RSウイルス感染症では、細気管支炎や肺炎になり入院治療を必要とする場合もあるために、乳幼児では注意を要する感染症です。例年流行する11月~1月は、寒く乾燥した時期であるためにウイルスが活性化しやすくなるとともに気道粘膜も障害を受けやすくなります。しかし、今年のような秋の流行では、冬のように重症化する乳幼児は少ない印象です。お母さま方には「どうせ何時かは初感染するのだから、真冬でない今の時期にかかった方が良かったかもしれませんよ」とお伝えしています。 
  20日   日に日に秋が深まってゆきます。朝はひんやりとしてきました。今週日曜日14日は午後から寒冷前線が通過し、この秋で一番気温や気圧の変化の大きな日でした。続く火曜日水曜日にも肌寒い雨が降りました。気圧の変化で症状が誘発される気道過敏症、メニエール病などが急に増悪した人が目立ちました。秋の花粉症では、9月中旬からのヨモギ、9月下旬からのブタクサなどのキク科の飛散は終息に向かっています。秋のイネ科花粉の飛散は続いていますが、症状の出る人は少ないです。
  好中球減少症、発作性頭位幻暈症、副鼻腔真菌症、顎下腺腫瘍など。 




アマチュア・カメラマンの野本 亭氏から写真を頂きました。10月2~9日に乗鞍岳位ヶ原で撮られたとのこと。地元の人の話では4年に1度くらいの見事な紅葉とのことです。私は残念ながらこのように鮮やかな高原の紅葉は生で見たことはありません。松山の紅葉の見ごろは11月中旬から下旬とのこと。ホームページをご覧の皆様も、一足早く晩秋を感じて頂ければと思います。 
  29日  インフルエンザ・ワクチン接種の季節です。予防接種を予定しているさ中に中耳炎になるなどのケースで、保護者の方から予防接種が可能かどうかの判断を求められる機会が増えてきました。 予防接種は以前の「義務」から「努力義務」になっています。接種をするかどうかの判断は保護者に委ねられるため、明らかに37.5℃以上の発熱がある場合でなければ、お子様の体調が十分でない場合には保護者の方も接種の可否に迷うことになります。当院で治療中で判断しなければいけないのは、主に「重篤な急性疾患にかかっている場合」「過去に中耳炎や肺炎などを患い、免疫状態の異常を指摘された人」に該当しないかどうかです。当院で診察を受けているお子様に対しては、個々のお子様の病状に応じて、当科の立場からの接種の可否をお伝えしています。接種を延期した方が良いかどうか判断に迷う場合には、お電話でも結構ですので、遠慮なくお問合せ下さい。
 中耳炎や副鼻腔炎、咽頭炎、扁桃炎、喉頭炎、気管炎などで明らかに急性炎症があり増悪する可能性があったり免疫力の低下が疑われる場合には接種を見合わせます。また予防接種では稀にですが予期せぬ重大な副反応が起こる場合もあります。接種を受ける際にはその人の免疫力や自律神経の状態が万全でなけれななりません。明らかに急性炎症を起こした場合には、炎症が治まり免疫力が回復するまでの目途として1週間は接種を見合わせることが望ましいと考えます。しかし急性期を過ぎ炎症が落着いている場合、例えば急性中耳炎後の滲出性中耳炎、慢性副鼻腔炎急性増悪後に非細菌性の鼻漏過多が残っている場合、急性喉頭炎後に声帯の軽度浮腫が残っている場合などのケースでは、全身の免疫力の低下はきたしていないと思われますので、接種は可能と思われます。またそのような病期に服薬している場合は、その薬自体へのアレルギーや副反応がないのであれば全身の免疫力を低下させるものではありませんので、服薬しながらの接種も可能と考えます。以上のような観点から、個々のお子様の、直近の全身や局所の状態、服薬状況、また摂取するワクチンがしばらく体に影響の残る生ワクチンか、影響の残りにくい不活化ワクチンかなども考慮に入れて、接種の可否をお伝えします。
 また以前よりの当院の方針ですが、診療時間の関係から当院での予防接種は行っておりません。ご了承下さい。 
  31日  5月、お盆明けの時期と同様、風邪の流行らない、お子様の中耳炎が治りやすい”10月も今日で終わりです。季節は移ろいます。私はよく銀杏の紅葉で秋の深まりを感じます。松山市内の勝山通り、平和通り、花園町の銀杏並木は少しずつ黄色くなってきました。 
 今年の10月の当院で目だった感染症は、9月よりは減りましたが乳幼児のRSウイルス感染症、わずかながらヘルパンギーナ、後半からぐっと減りましたがアデノウイルス感染症、パラパラと溶連菌感染症、着実にマイコプラズマ感染症、時にクラミジア、百日咳、おたふくかぜ、単純ヘルペス感染症、EBウイルス感染症、、などなど、例年よりは多彩な感染症が見られました。市内の内科からB型インフルエンザの報告もありましたが、当院ではインフルエンザは検出しませんでした。全国的にも沖縄県で散見される程度ですが、当院でも例年11月にB型インフルエンザを検出することが多いですので、インフルエンザ感染症を見逃さないように診察したいと思います。  
     
9月 1日   今日の朝は少しひんやりとした空気でした。9月に入りましたが、土日のせいで子供達はまだ2日間夏休みが続きます。(^^) 夏の外耳炎が減り、秋の花粉症の方が増えてきました。 
  口腔カンジダ症、ムンプス難聴、口唇腫瘍、RSウイルス感染症、肺炎クラミジア感染症、前庭神経炎など。
  6日  当院でも小児のRSウイルス感染症がやや目立っています。例年、年末年始を中心とした冬に多く発生しますが、今年は真夏にもやや目立っています。保育園によっては流行している施設もあります。このウイルスは常在性のウイルスで珍しいものではありませんが、0才児が初感染した際には、下気道の反応が強くなり細気管支炎で呼吸困難をきたす場合もあります。そのため、1才以下の乳幼児が初めて感染した場合には注意深く経過を見なければいけません。喘鳴をきたし血中の酸素飽和度が低下するなど、呼吸不全への進行が疑われる場合には小児科医のもとでの経過観察が必要で、重症化の可能性がある場合には入院管理が必要となります。耳鼻科的にも急性中耳炎の起炎ウイルスとしても重要です。このウイルスの増殖を抑制するような直接効く薬剤はありませんので、粘膜の炎症を軽減して二次感染を防ぐような対処療法が基本となります。初回感染だけでは十分な免疫がつかず、再感染を繰り返すうちに症状が軽くなり、学童期以降の年齢ではごく軽い一般的なウイルス性上気道炎程度の症状ですみます。当院でも感染した年齢とその症状に応じて、小児科との連携を図っています。
  頚部感染性粉瘤、鼻茸摘出術など。 
  10日    ここ2日ほどで風邪(急性上気道炎)の主流が咽頭炎が主体の夏かぜから急性鼻炎から始まり下気道へ炎症が下りていく普通感冒タイプになってきました。学童の新学期入りに伴い、普通の風邪が少し広がっているという感じです。花粉症もキク科のヨモギに反応していると思われる方が目立ち始め、当院の外来も文字通り秋らしくなってきました。夏かぜに関しては、今年の夏にほとんど流行しなかった手足口病が少し出てきましたが、昨年のように秋に流行が広がることなく発生は終息しそうです。アデノウイルスに関しても、咽頭結膜熱(プール熱)のタイプは流行せず咽頭炎タイプの反応の軽いものが主体でした。近年になく夏かぜが”元気のなかった”夏で終わりそうです。感染症の流行でいえば、この夏は関西から広がってきた風疹が関東地方にも広がりました。成人男性の無症候感染から家族の小児に感染が広がるケースが多いと報告されていますが愛媛県では流行は見られていません。
 これから気温や気圧の変化の大きな気候となるために気道過敏症が目立つ季節となりますが、まだ急に冷え込む朝は迎えず、また台風の襲来もないために、気道過敏症やメニエール病はまだ増えていません。
 先日、東京で今シーズン初めてインフルエンザによる学級閉鎖が報告されました。インフルエンザでの今シーズンとは12/13シーズンのことです。インフルエンザの流行対策でみれば、はや来年の冬を見越したものとなります。インフルエンザの迅速診断キットも今シーズンを見越した新製品が出てきています。感度がよく診断までの所要時間が短縮されたキット、陽性の判定を目視ではなく測定機器でおこなうもの、など色々な製品のアナウンスがあります。当院も、これから流行シーズン入りする11月頃を目途に、どのようなキットを用いるか検討していきます。 
  12日  残暑は続きますが、今日は抜けるような青空でした。木陰の風は心地よく、確実に秋到来です。これから小中学校の運動会シーズンです。当院で見かける子供たちの中には、今でも真っ黒に日焼けしたままの子もいます。今日は花粉症とインフルエンザのページを更新しました。花粉症は来シーズンの飛散予想を、インフルエンザは12/13シーズンの経過を追加しました。当院は秋を超えて冬の準備です。今年の夏は猛暑で日照時間が長かったために、来シーズンのスギ花粉の飛散は例年並み以上は確実と思われます。インフルエンザの発生では、沖縄では05年より夏季もB型の発生が、07年からは1年を通して発生していますが、今年は6月にはB型が、7月にはA香港型の発生が続いています。9月6日には東京の小学校でA型の学級閉鎖がありました。今シーズン、松山でも5月下旬までB型の発生が続きました。 そう遠くない将来に四国でもインフルエンザが通年で発生するようになるかもしれません。
 四国の話題をついでにひとつ。先日、コンビニのセブンイレブンが四国に進出するとの報道があり、四国ではちょっとした話題になっています。これを読む本州の人はビックリするかもしれませんが、四国にセブンイレブンはなかったのです。現在四国にはコンビニが1100店あまり、セブンイレブンは3年間で500店近くの出店を予定しているとのことです。今でも松山市内ではそこかしこにコンビニがあります。四国ではこれからスーパーやデパートも含めた流通の大きな変化が起こるかもしれません。
     
 久しぶりに診察室のフラワーアレンジメントの紹介です。私もこの度、ミラーレス一眼デビューです。!(^^)! 一眼レフは躯体の大きさや重さから、持ち歩くのが億劫になるので、私はこれまでもっぱら写真はコンパクトデジカメで間に合わせてきました。コンデジの中でも特にパナソニックの製品は、手振れ補正が秀逸かつ16×などの高倍率ズームの製品が多く愛用していました。ところがマイクロフォーサーズCCDのミラーレス一眼は、レンズ込みの大きさもコンパクトで、おもわず気に入ってしまいました。この写真は、20㎜ F1.7の大口径パンケーキレンズで、赤のワンポイントカラーのエフェクトをかけて撮影しています。これからは、ちょっとマニアっぽい写真をお届けできます! DATA:Lumix DMC-GF5 プログラムAE 1/200秒 F1.7 ISO160 40㎜(35㎜版換算)
  16日  近隣の中学校では今日が体育祭。昨日からの雨で運動場がぬかるみ、また明日は台風の心配もあることから、今日の体育祭は団体競技だけで短縮して開催とのことでした。日中は小雨程度でした。計画通り開催できていればよいのですが。
 幼児のRSウイルス感染症が思いのほか目立ちます。愛媛県全体で見てもこの時期では過去10年で最も多く、特に西条地区で、目立つとのこと。愛媛県だけではなく、全国レベルでも発生は多いとのことです。迅速検査キットの普及と乳児では外来での保険診療による検査が可能となったことによる確定診断数が増えたことも、報告数の増加の一因でしょうが、それでも夏のこの時期に多いのは珍しく、当院でも流行の広がりには注意をしてみます。またマイコプラズマ感染症も、昨年の夏から秋にかけて過去10年で最も多かったのですが、今年は昨年以上に報告が多いです。当院でも毎日のように、血液検査、迅速検査ともに陽性例が見られます。RSウイルス、マイコプラズマともに当院では重症例は見られませんが、やはり重症化した場合には肺炎に進行します。小児科、呼吸器科との連携を密にしています。
 ここ数日で外リンパ瘻を疑う方が複数見られました。外リンパ瘻は、急激な圧変化が内耳と中耳の間に起こり、中耳と内耳の境界である内耳窓に小さな穴(瘻孔)が開き、内耳の外リンパ液(髄液)が洩れて、内耳機能が低下し難聴や耳鳴、めまいを生じるものです。プールでの飛び込みなどで耳を強く打った後に生じることが多いです。ただし鼓膜所見から判別するのは難しく、メニエール病や突発性難聴と聴力検査どの検査所見が似ており鑑別診断が難しい病態です。頭を高くするなどで数日様子を見て瘻孔が閉鎖して徐々によくなる場合が多いのですが、改善しない場合には手術(試験的鼓室解放術)で直接内耳窓の状態を確認して確定診断します。耳鼻科外来では、帯状疱疹ヘルペスによるハント症候群などとともに経過を見ることが重要な疾患のひとつです。
 鼓膜に病的な所見がなく気を付ける疾患には、耳管開放症、老人性難聴にともなう耳鳴症などもあります。注意してみれば当院外来でも結構見かけることは多いです。耳管開放症は鼻炎にともなう耳管狭窄症と違い、鼻に問題がない若者や妊婦さん、高齢者の方、など幅広い年代で見られます。急な体重減少などのエピソードに注意しながら、トインビー現象という鼓膜の振動所見や耳管通気音をもとに診断をすすめていきます。速効性のある根本的な治療法がないことが多いのですが、当院では特に鼓膜に医療用のテープを貼って鼓膜の過剰な振動を抑える鼓膜テーピング 療法が好評です。
 経過が6ヶ月以上に及ぶ慢性耳鳴も加齢などの慢性的な難聴に伴うものは、これも根本的な治療がありません。私は時に、将来内耳細胞の再生医療がヒトでも可能になれば部分的な根本治療になるかも知れません、とはお伝えしているのですが、治療はどうしても試してみる、とのスタンスになります。個々の方の日常生活における不便さの度合いに応じて、治療をしない経過観察のみや、ビタミン剤投与、血流改善、マスカー療法、TRT療法、代替医療のひとつである甜茶、漢方治療など複数の治療法を提案しています。特に老人性難聴にともなうものは年令的な体質とう状態ですので、私はよく漢方治療をお勧めしています。ただし、急に発生した難聴や持続的な耳鳴は、特に片側で起こった場合には急に神経を傷める突発性難聴を中心とした急性神経炎にご注意下さい。耳鼻科関係では聴神経、平衡感覚を司る神経である前庭神経、味覚や唾液の分泌機能にも関わる顔面神経、嗅神経、声帯の動きを司る迷走神経の枝である反回神経などが、脳から直接出てくる脳神経です。脳神経は母体の中でほぼ完成して一生を同じ神経で過ごします。皮膚や粘膜の細胞のように再生を繰り返すものではありません。そのため病気で傷むと、2週間から1ヶ月経過すると再生しません。急激に脳神経の働きが弱ったと感じた際には、出来るだけ早い段階で受診して下さい。また急性の脳神経麻痺の多くは片側性に起こります。片方だけに症状がでた場合には特に注意して下さい。
  
  桃太郎は桃 金太郎は何からぞ 子規(子規記念館 今月の俳句より)
  17日  四国では心配された台風の襲来もなく、午後からは日差しも漏れてきました。今日は敬老の日、私も休みを利用して少しばかり市内を散策しました。今日、向かったのは愛媛大学城北キャンパスです。私の”出身大学”ではありませんが、キャンパスには”俗世間から離れた”アカデミックで若いエネルギーがあります。学生会館のレストランや図書館は学外者でも利用可能です。愛媛大学から隣接する松山大学にかけての文教地区は私のお気に入りの散歩コースです。キャンパスでは、日本金属学会が開かれており、いつもにも増してアカデミックな雰囲気でした。すれ違う人々のネームプレートを見ると、北海道から九州まで全国の研究者が集っていました。


 図書館の前には、ヒポクラテスのスズカケノキが植樹されています。1977年、日本赤十字社創立100周年を記念してギリシャ赤十字社から種子が分譲され全国の赤十字病院に植樹、89年に愛媛大学に高知医科大より枝の分譲を受けたそうです。ヒポクラテスは医学の父とも言われ、「ヒポクラテスの誓い」という医者が医の神に宣誓する誓いが有名です。私も医学生の時分に折に触れて読んでいました。
 図書館の掲示板でふと目に留まったのが、今年上半期の貸出ベスト10です。ちなみに、1位がウィルト発生生物学、2位 Essential細胞生物学、3位 親米日本の構築、4位 集合・位相入門、、とのことです。これらは試験やレポートの課題図書でしょうか。1位、2位の対象は医学部理学部の学生があやしいです。学生手製の立て看板(昔よりは嘘みたいに少なくなりましたが)や色々な学部の掲示板をみたり、談笑したり読書したりサークル活動している学生達に接すると、私もそこはかとなく啓発されます。


 大学関係のアカデミックな話題をひとつ。昨年Scienceと双璧をなす科学雑誌であるNatureに、京都大学の島村氏をはじめとする研究グループのアレルギーの細胞レセプターに関する論文が掲載されました。花粉症・アレルギーの発症因子の立体構造を世界で初めて解明-副作用を抑えた治療薬の探索・設計が可能に- へ アレルギー反応のトリガーとなるレセプターの構造を明らかにするだけでなく、抗アレルギー薬が分子レベルでどのように作用するかも明らかにしています。私の立場からすれば画期的な研究で、分子生物学レベルでの創薬への期待が高まります。
  22日  今日は秋分の日です。来月7日は神輿の鉢合わせで有名な松山地方祭です。ロープウェイ街や1番町の街路には、早くも秋祭りのしめ飾りが貼られていました。
 夏かぜはほとんど見られなくなり、秋の普通感冒(急性上気道炎)の方がほとんどです。小児ではRSウイルス感染症が、咳が長引く人にはマイコプラズマ感染症がやや目立ちます。9月はここまで、急激な朝の冷え込みや台風の襲来がみられないためか、当院では例年より気道過敏症やメニエール病は少ないです。
  甲状腺嚢胞、甲状腺腫、ハント症候群など。


今年の中秋の名月は9月30日です。(道後温泉 ふなや ロビーにて) 
  29日  大型の台風17号が明日四国に最接近します。明日の受診を予定されている患者様は、気を付けてご来院下さい。
 9月後半から徐々に午後診の終了時刻が遅くなってきています。風邪に罹る方が増えてきています。普通感冒が中心ですが、溶連菌、RSウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、ムンプスウイルス(おたふくかぜ)、百日咳、EBウイルス(伝染性単核症)など様々な感染症が見られます。少ないもののアデノウイルスやヘルパンギーナといった夏かぜも見られました。また、症状の軽い方がほとんどですが”秋花粉”もシーズンのピークを迎えています。台風の接近に伴う気圧や気温の変化から気道過敏症が急に悪化する方も目につきました。一方で、残暑の残る中、ささいな病状ですが蚊による虫刺されからの耳介腫脹を来したお子様や、また、鼻前庭湿疹からの鼻せつや反復性鼻出血、外耳炎などの”夏の名残”の病気の方も見られます。
  鼻茸摘出術、鼓膜チューブ留置術、痙攣性発声障害(喉頭ジストニア)、NSAIDs過敏症(アスピリン不耐症)など。



  
     
8月 2日   8月です。猛暑で雨が全然降りません。当院も植栽の夏枯れがちょっと心配です。屋根の塗装工事も大方終わり、ようやく建物の周りの足場も撤去されました。午後からは久方ぶりに明るい診察室です。
 夏休み入りから時間が経ち、学童に続いて保育園児幼稚園児達の夏かぜも少なくなってきました。今シーズンは典型的な手足口病やヘルパンギーナの少ない年になりそうです。しかし、のどの反応が主体のアデノウイルス感染症、溶連菌感染症やマイコプラズマ、RSウイルス、クラミジアなどの感染症は散見します。
 猛暑で汗をかくことが多くなったために外耳炎から蜂窩織炎を誘発するケースや、夏バテで免疫力が落ちたことが影響したと思われる細菌性扁桃炎や扁桃周囲炎も目立ちます。

  白砂の きらきらとする 熱さ哉  子規
     
   




 5日に松山まつりの三津浜花火大会がありました。いつかは桟敷席で大迫力の花火を、と思いつつも、今年も梅津寺海水浴場からまったりと見物です。行き帰りには伊予鉄電車を利用しました。伊予鉄は今年創立125周年ということで、記念電車「だんだん125」の臨時便に乗車です。車内では伊予鉄歴史写真館開催中で、さまざまな記録写真が展示されていました。写真館の中には当院の最寄駅である余戸駅の昔の写真も。(写真中) 余戸駅は、明治29年(1896年)7月4日開業、南予鉄道の藤原~郡中間開通に合わせて営業開始。明治33年に南予鉄道を合併して「外側(現松山市駅)」まで延長。昭和25年に電化されています。市内電車や三津浜線と同様、我が余戸駅も古くから営業されていることを知り、すこしビックリでした。今年の花火大会の開催時間中は、本当に無風状態が続きました。後半の花火は、けむりで霞んでしまいました。^^;
     
  8日   ロンドン五輪から目が離せません。男女サッカー、男女競泳メドレー、アーチェリー、フェンシングと団体競技の活躍が目立ちます。卓球女子団体の銀メダル、おめでとうございます。私の年代は子供の頃の愛ちゃんを知っているだけに、まるでわが子のことのようにホッとしました。昨日は女子バレーの活躍にもビックリでした。
 ますます夏かぜは目立たなくなっていますが、それでも急に高熱の出る方は散見されます。夏かぜなどのウイルス性で対処療法が主体になるのか、溶連菌やマイコプラズマのように抗生物質を必要とするのか、慢性扁桃炎、副鼻腔炎などウイルス性感染症の後に二次感染をきたして抗生物質が必要となるのか、出来る限り病原微生物を特定する視点で診断治療を進めていきたいです。
 猛暑の中、外耳炎の方がさらに目立ってきました。
  10日   今日から松山まつりです。自動車の乗り入れが制限された千舟町周辺では、ゆかた姿で散策する人が目立っていました。お盆の時期となり、帰省先で当院を受診する県外在住の方が目立ってきました。毎年、この時期だけ受診される県外住所のかかりつけ?の患者様もおられます。当院も、明日の診察の後、16日までお盆休みを頂きます。お盆休みの時期は、大人も保育園児も休みとなり、例年、夏かぜは流行らなくなりますが、夏バテの時期でもあります。私も少しばかり英気を養おうと思います。 
  19日  オリンピックも終わりました。明日は銀座でメダリストのパレードが予定されています。 メダリストが総出で、一般の人が一緒になってお祝いできる機会はこれまでありませんでした。明日の選手達の晴れやかな笑顔を楽しみにしています。当院のお盆休みも終わりました。まだまだ猛暑が続き、今日の午後はスコールともいえそうな激しい夕立でした。しかし、徐々に秋の気配です。蝉の音は小さくなり、夜は虫の音が聞こえてきます。お盆休みを経て大人も保育園児も集団生活の機会が減ったことから、ますます風邪は流行らなくなります。これからの8月後半は、当院外来がもっとものどかになる季節です。
 アデノウイルス咽頭炎や溶連菌咽頭炎で急な発熱とのどの痛みを訴える方も見られました。また、耳せつなど外耳炎の反応の強い方も見られましたが、いずれもお盆前よりは少なくなりました。 
  27日  暑い日が続いています。夏休みもあとわずか。感染症の方はますます少なくなり、午後に受診するお子様もめっきり減りました。夏休みを利用して学童健診の報告書を基に受診される方もちらほら見られます。 
 秋の花粉症の方が少し目立ってきました。お盆前は対象となる人は少ないですが稲(水稲)の花粉症が、お盆明けからは秋のイネ科花粉が原因となります。9月中旬からはヨモギやブタクサなどのキク科花粉が飛散します。5月のカモガヤの時期よりは強く反応する人は少ないですが、秋は花粉の種類が多いのが特徴です。また、過敏症としてはお盆前はエアコンの冷房による冷えや乾燥が刺激になる人が目立ち、お盆明けは窓を開け放して寝てしまうなどで朝方の冷え込みで過敏になる人が目立ちます。朝方は自律神経のバランスが副交感神経優位となるために、鼻粘膜ではモーニング・アタックといわれるくしゃみや水鼻が出やすくなり、下気道ではモーニング・ディップ(へこみ)と呼ばれる細気管支の収縮が強くなるために、咳込みやすくなります。
 シャープのプラズマクラスターイオン発生器を当院受付に置きました。ハウスダストや花粉のアレルギーを持つ患者様から環境改善の方法について意見を求められる際に、「空気清浄器は役に立ちますか?」との質問を受けることがあります。お答えとしては「最近の空気清浄器のフィルターは性能が良く、花粉やハウスダストだけでなくウイルスも吸着するのでそれなりに有効です。ただし、絨毯や畳の中、部屋の隅に隠れているカビやペットの毛やフケ、ダニ自体、さらには抗原性の強いダニの死骸が無くなる訳ではないので、アレルゲンが劇的に無くなる訳ではないです」とお伝えしていました。ところが!プラズマクラスターは、プラズマイオンが室内に放出されてカビの胞子や細菌壁、ウイルス表面に働いて増殖を抑える効果があるとのことです。この効果が高ければ、これまでにない画期的な空気清浄作用と言ってよいでしょう。ただし製品カタログの記載ではウイルスへの作用も”あるウイルス”への作用というというレポート程度で、厳密な医学論文ほどのデータではなさそうです。プラズマクラスターとは違うものですが、ドライヤーのマイナスイオンの効果が過剰広告との報道も目にしたことがあります。今後の、より医学的な報告を待ちたいと思います。また、プラズマクラスターには、皮膚や髪への保湿効果もあるとのことです。当院受付での感染予防効果と、スタッフへの美容効果を期待して、とりあえず稼働させてみます。(^^) シャープ、パナソニック、ソニーのデジタルテレビ陣営やNECの経営が大変なことになっています。シャープ、頑張れ!日本の企業、頑張れ!です。 
     
7月 1日   7月に入り、昨夜は夏らしい蒸し暑い夜になりました。これから学童の夏休み入りまでが夏かぜの流行のピークですが、先月に引き続き、症状の強いタイプの夏かぜは少ないです。梅雨空が続きプールの水温が上がらないために小学校の水泳の授業も休止される学校が多いようです。子供たちは夏のプールを本当に楽しみにしています。残念ながらこの時期に急性中耳炎になったお子様は急性の状態が収まるまでは水泳は見合わせる必要があるのですが、プールの休止が多いのは少し幸といったところですね。
  6日  九州北部では記録的な豪雨でした。松山でも梅雨後半期の大雨が続きます。口内炎の多発するヘルパンギーナや目やのどの反応が強い咽頭結膜熱などの症状所見の強い夏かぜは、7月に入ってもほとんど見られません。6月に目だった溶連菌咽頭炎も下火になってきました。
 ここ数年来1年中見られるようになったマイコプラズマ感染症ですが、全国的には昨年同様、発生が多くなってきているようです。当院ではこれまで主に抗体の迅速検出キット(IgM抗体迅速検査)を診断の参考に利用してきました。この検査は感染後の抗体の上昇を見る検査ですので、発病後5日以上、約1週間経たないと陽性反応がでません。またこの抗体はウイルス感染より長く体内に残る傾向があることから、かならずしも現在の活動性の感染のみを示すものでもありません。そのため臨床診断には、聴診所見、胸部レントゲン所見、喉頭鏡下の気管の所見、CRPや白血球数、白血球分画などの血液データなどの参考にして総合的に判断する必要がありました。ここ最近になって、マイコプラズマ自体の存在を測定する血清診断、遺伝子検出法がクリニックレベルでも用いることが可能となってきました。当院でも遺伝子検出法の一つであるマイコプラズマ核酸同定検査(LAMP法)を今後活用したいと思っています。この検査は、インフルエンザや溶連菌、アデノウイルスの迅速検査と同様咽頭ぬぐい液から検出できますので、採血をいやがるお子様でも負担をかけずに行うことができます。

  ハント症候群、外耳道真菌症、先天性耳瘻孔急性増悪、顔面神経麻痺、アレルギー性鼻炎に対するレーザー治療、いびきに対する軟口蓋口蓋口蓋垂形成術(UPP)、後鼻孔ポリープ摘出術など。 
  9日  今日、大飯原子力発電所3号機がフル稼働を始めました。これにともない政府は今後、関西電力管内の節電目標値を15%以上から10%以上に引き下げる予定です。四国電力の節電目標は7%のままですが、今後4号機がフル稼働すれば四国電力管内の節電目標も引き下げることが可能とのことです。今日のテレビニュースでは、計画停電が実施されれば医療行為を中止せざるを得ない産科がレポートされていました。当院も計画停電の予定地に入っています。自家発電装置は備えていませんので、万一、停電が実施されれば、充電池で稼働する血圧、心電図、酸素飽和度のモニター、体外式除細動器、喉頭鏡などの最小限の救急用の機器以外は使えなくなります。耳鼻科の処置の基本中の基本である吸引設備、酸素投与や薬剤投与に必要なコンプレッサー、レントゲンも使えなくなります。レセプト・コンピューターの予備電源も1時間は持ちませんので、病院の会計事務はもちろんのこと、カルテの出し入れにも時間がかかるなど、様々な支障がでます。約2時間とされる停電中は、シビアな救急処置以外の診療は休止せざるを得ません。梅雨明け後の猛暑の昼間は、当院も可能な限り節電に協力する所存です。計画停電が実施されることのないよう祈っています。
 震災から1年4ヶ月になります。東京ディズニーランドを初めとするテーマパークの入場者数も震災前並みに戻ってきました。この夏の国内や国外への旅行客も増えるそうです。震災を乗り越え、経済を活性化して、日本は前を向いていかなければなりません。しかし、震災や原発事故を忘れることもできません。震災後の節電についてのある高齢者の方のコメントを読んで、私も思わずハッとしました。「お国のために電気を消すのはこれが初めてじゃないから、、、」 東北や関東の被災地の、そして日本の復興を改めて目指したいです。
 YouTube「祈り〜震災を越えて(奇跡・さだまさし)」へ   
 YouTube「かぞえうた Mr.Children」へ 
  16日  入道雲が広がり夏の気配です。一昨日からは当院のけやきから蝉の鳴き声が聞こえてきました。梅雨前線がもう一度南下の後北上で、もうすぐ梅雨明けでしょう。
 前回の疾患情報で当院が計画停電の地域であるとお伝えしましたが、当院に計画停電のお知らせが送られて来ず、確認したところ当院は計画停電の地域から外れていました。<(_ _)> 当院が鉄道沿線のためでしょうか? いずれにせよ四国の計画停電を回避すべく、当院もしっかり節電に心掛けたいと思います。
 もうすぐ夏休みです。市内中心部の大街道や銀天街は週末に土曜夜市が開かれています。土曜の夜は浴衣姿で街を散策する姿が目につき、夏気分です。当院外来では、急な発熱やのどの痛みが主症状の夏かぜの方の来院が目立ちます。迅速検査で溶連菌やアデノウイルスを検出するケースが散見されます。また、のどに口内炎の出来るヘルパンギーナの軽いケースもわずかに散見されますが、咽頭結膜熱(プール熱)や手足口病は見られません。例年の夏休み前よりは夏かぜが流行らない状況です。
  突発性難聴、扁桃周囲炎、急性顎下腺炎、耳せつ、起立性調節障害、声帯結節など。 
  19日  梅雨前線はそのまま北上し、17日には梅雨明けでした。昨日はいきなりの猛暑でした。熱中症に注意する季節ですが、耳鼻科では外耳炎や鼻せつから伝染性膿痂疹(とびひ)の誘発や外耳道真菌症、頚部蜂窩織炎に注意する季節でもあります。暑い中で耳を強く掻き過ぎないよう、ご注意下さい。
 今年、関東や関西地方を中心に風疹が流行しています。例年の5倍の発生とのことです。予防接種を受けていない人の多い20~40才台の男性の発症が目立つそうです。風疹は妊婦さんが罹ると赤ちゃんが胎内で先天性風疹症候群にかかり、白内障、難聴、先天性心疾患を発症することがあります。また、 発熱や皮疹とともに耳の後ろや首のリンパ節が腫れることも特徴のひとつです。愛媛県ではまだ目立った流行はありませんが、耳鼻科外来でも発熱とともに頚部リンパ節炎を呈する例では、風疹感染も念頭において診察をすすめます。
 今日から当院では、マイコプラズマ感染症の診断にマイコプラズマ核酸検出法(LAMP法)を活用することになりました。検査方法は、インフルエンザの迅速診断同様、鼻の奥の拭い液からマイコプラズマの菌体(抗原)そのものを検出することにより、従来の感染後に血中に増えてくる抗体を測定する検査に比べて、発症早期に検出することが可能です。採血を嫌がるお子さまの検査としても負担が少ないものです。(それでも、インフルエンザや溶連菌の検査同様、子ども達はいやがりますが。 ^^; ) マイコプラズマ感染症は、初期には普通の風邪にみえながらも、発熱が続いたり咳がひどくなる代表的な病気です。こじれれば肺炎で入院治療を必要とする場合もあります。当院でも、この検査法を活用して、より一層早期の診断を目指したいと思います。 
  26日   猛暑が続いています。子供たちも夏休みで、プール遊びが楽しい季節です。梅雨の影響で長引いていた当院の工事ですが、ようやく終わりそうです。外壁の足場が結構長く設置されていたので、時々どんな改装ですか?とたずねられていたのですが、工事の内容は、経年変化にともなう屋根の再塗装と院内の塗装の劣化部の補修です。業者の方には、雨の中、またこの猛暑の中、熱心にして頂き、おかげさまで少しずつきれいになってきました。ここ数日で、屋根の塗装も終わり、足場も撤去となります。
 昨年同時期は、夏休み入りしても手足口病を中心とした夏かぜの流行が続いていましたが、今年は流行らしい流行はなく、当院外来も午後は夏休み後半のようなのどかさです。これから9月上旬にかけて少し時間に余裕が出来ますので、院内の整備、救急などの職員研修や勉強会などを鋭意行っていきたいと思っています。
  前庭神経炎、突発性難聴、睡眠時無呼吸症候群、根尖病巣からの蜂窩織炎など。  
     
6月 6日  6月になりました。今日は「金星の太陽面通過」の日でした。次の通過は105年後とのことで、私も朝、金環日食観察用のサングラスで観察してみましたが、肉眼でははっきりしませんでした。(;_;) 4日に九州南部が梅雨入りです。松山の梅雨入りももうすぐです。
 当院外来は学校健診に伴う受診のピークです。イネ科花粉症はピークを過ぎました。B型インフルエンザをまだ観測しますが、少なくなりました。
 風邪の流行はそろそろ”夏かぜ”の季節となりました。例年に比べ、手足口病はほとんどみられません。咽頭結膜熱を中心としたアデノウイルス感染症もほとんどみられませんが、幼児のヘルパンギーナがちらほら見られるようになりました。ただし典型的な、口内炎が集簇してできる例は少ないです。1~2日の急な高熱とともにのどの奥がただれるパターンが多いです。これから高温多湿の環境になるとヘルパンギーナの原因ウイルスであるエンテロウイルス感染力や病原性は強くなります。病原性の強いパターンで幼児が感染すると、高熱が続きのどの痛みが強くなり痛がってほとんど食事を摂らないようになります。このような場合には親御さんが心配することも多くなりますので、病状の説明とともに、のどを痛がるお子様が快適に過ごせるような生活指導とお薬の処方をしていきます。
  9日   昨日、松山も平年より3日遅く梅雨入りです。 今年の松山は水不足も心配されています。大雨も困りますが空梅雨も困ります。適度に雨が降ってほしいものです。梅雨入り、クーラーがかかり始める、子ども達は冷たい水温の中プール開き、などの条件が重なります。私が診察時によくお伝えしていますが、ハウスダスト・アレルギーのある方以外でも、気道過敏症を有する方やメニエール病などで低気圧に弱い方は、これから9月末までは症状の悪化に注意して下さい。
  16日   ヘルパンギーナが目立ってきました。 アデノウイルスによる咽頭炎も見られます。5月後半に中予地方で目立った溶連菌咽頭炎は少なくなりました。
  23日  梅雨空が続きます。台風一過もあり、気圧の変化や気温の変化が大きく、ハウスダストによるアレルギー症状や気道過敏症、メニエール病が増悪する方が目立ちました。まとまった雨のおかげで、松山の水不足はとりあえず解消です。この夏にむけて少しホッとします。しかし、四国電力管内も計画停電の計画策定の発表がありました。四国電力管内の原発は伊方原発だけですが、総発電量に対する原発への依存度は大きいようで、また大都市圏のように火力発電の予備能力も少なく、関西電力に続いてこの夏の電力需要はひっ迫しているとのことです。水不足は一安心でも、電力不足を気にしなければいけない夏になりそうです。
 5月後半に引き続いて小児の溶連菌咽頭炎が目立ちます。夏かぜのヘルパンギーナ、アデノウイルス感染症はまだ例年より少なく、症状の強いお子様は目立ちません。現在流行している溶連菌咽頭炎も咽頭粘膜の所見が軽いケースが多く、咽頭所見の軽い溶連菌と、発熱や消化器症状、咽頭所見の軽い夏かぜの鑑別に注意して診察を進めています。
  歯性上顎洞炎、耳硬化症など。 
  25日   寒暖の差の激しい日が続いています。東京では2日前の最高気温が30℃、今日が19℃とのことです。今日は肌寒かったですが、徐々に汗ばむ季節になってきています。耳掻きのし過ぎから外耳炎や耳せつを惹き起こす方が目につき始めました。外耳炎から、鼓膜炎や頚部リンパ節炎、頚部蜂窩織炎を続発すると痛みも強くなります。特にアレルギー性鼻炎など鼻過敏症の素因のある方は、鼻の奥から耳の奥がかゆく感じやすくなります。耳垢を取れば痒みが収まると思い耳掃除を頑張りすぎて、皮膚の弱い外耳道の奥を傷つけて外耳炎を誘発するケースも珍しくありません。これからの暑い季節には外耳道の掻き過ぎに注意して下さい。また、アレルギー性鼻炎の小児では、鼻の入り口を掻き過ぎて鼻前庭湿疹から鼻せつや反復性の鼻出血、とびひ(伝染性膿痂疹)を惹き起こすケースも目立ってきます。
 昨日、当院でA型インフルエンザを検出しました。今月のA型検出は愛媛県でもごく少ないと思われたので、国立感染症研究所のデータを確認してみたところ、やはり全国的にも珍しいようです。例年、A型インフルエンザは全国的には夏でも報告されますがごく少例です。当院での検出も稀なケースと思われます。11/12シーズンは全国的にも2009年型(新型)の検出はごく少数で、ほとんどがA香港型でした。今年のA香港型の流行は1月~2月で、3月には流行は下火になっており、今の時期の発生は集団発生となる可能性は低いと考えられます。
 また、国立感染症研究所から11/12シーズンのインフルエンザのタイプの詳細なレポートが出始めています。ワクチンと流行株の比較のレポートでは、11/12シーズン用のワクチンのタイプは2009年型のA/California(カリフォルニア)/7/2009(H1N1)pdm09、A香港型のA/Victoria(ビクトリア)/210/2009(H3N2)、B型のB/Brisbane(ブリスベン)/60/2008(ビクトリア系統)の3種の混合ワクチンでした。今シーズンの流行株は、A香港型でワクチンタイプの変異株とされるものが46%、B型はB Victoria系統とB山形系統が2:1の割合で混合流行し、全シーズンより山形系統の割合が大きく増加していました。国内において分離されたVictoria系統はすべてB/Brisbane/60/2008ワクチン類似株であったとのことです。一概には言えませんが単純化することを許してもらえるならば、今シーズンの流行では、予防接種した人は、A香港型の54%のタイプには接種が有効であり、B型には67%に有効であったと言えます。抗ウイルス剤に対する薬剤耐性化についてのレポートでは、ノイラミニダーゼ阻害薬のタミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルのいずれにも2009年型、A香港型、B型全てで耐性株は検出されなかったとのことで、10/11シーズンのAソ連型に対するタミフル耐性株の増加や11/12シーズンにおける2009年型に対するタミフル耐性の時とは違い、今シーズンは抗ウイルス剤が良く効いたシーズンであったと思われます。私のような実地臨床の立場からは、春には予防接種の効果が減弱していたことや、幼児ではイナビルなどの吸入薬が十分吸入出来ない場合がある、B型は抗ウイルス薬の効果が出にくい、などの要因から、全ての患者様に抗ウイルス剤が速攻性に著効する訳ではありません。このようなデータを基に、来シーズンの診療を行いたいと思います。インフルエンザの臨床ははやくも来シーズンに向けて動き出しています。5月21日には、来シーズン用のワクチンの製造株が決定されています。ちなみに、2009年型は今シーズンと同じA/カリフォルニア/7/2009(H1N1)pdm09、A香港型は少しだけタイプの違うA/ビクトリア/361/2011(H3N2)、B型はVictoria系統から山形系統に変更されてB/ウイスコンシン/01/2010になっています。さて、12/13シーズンの流行はどうなるのでしょうか。
     
5月 6日  ゴールデンウィークも今日で終わりです。今年は暦の並びで、長い人は9連休だったそうです。私も9連休とはいきませんが、4連休いただきました。おかげでリフレッシュできました。(^.^)
 長期の休みを挟んだこともあり、5月はさすがにインフルエンザの流行も終息すると思われます。小さなお子様は、早ければ5月の下旬より、のどの反応が強くなる夏風邪の時期となります。しかし、それまでの間は、気候もよく、風邪も流行りません。冬に発症した中耳炎が難治化して春休みを超えても治らないお子様も、こんどこそ5月中には治ってほしいものです。服薬もせずに自分の体力だけで治せるか?抗生剤や消炎酵素剤、抗アレルギー剤、漢方薬などの薬物療法で治せるか?鼓膜切開やチューブ留置術などの外科的治療でなければ治らないのか?出来るだけ子供本来の免疫力や自然回復力を信じながら、保護者の方とも相談しながら、難治性中耳炎の治療をすすめたいと思っています。
 5月は、学校検診の季節です。また、耳鼻咽喉科医専門医にとっては、最も規模の大きい学会である日本耳鼻咽喉科学会総会の季節でもあります。今年は新潟で開催されます。例年、出来るだけ参加していますが、別に新潟だからという訳ではありませんが、移動の時間を考えると少々きつい日程となりますので、今年の総会は参加を見合わせることとしました。参加はできませんが、学会後に送られてくる学会の講演録にはしっかり目を通すつもりです。^^;
 この連休は、耳鼻科関連ではクリニックのIT化に関して「電子カルテ」に関する書籍にも目を通しました。診療「電子カルテ化」についてはもう10年以上様々な医療の現場で検討されています。カルテを単に電子化するだけではなくて、医事会計システムとの統合はもちろんのこと、予約システムなどの受付システムとの統合、血液検査データやレントゲン、ファイバースコープなどの画像、聴力や平衡機能などの検査データなどのデータファイリング・システムとの統合などが可能です。入力も音声入力やタッチペンによる図形の直接入力なども進んできています。大学病院などの大規模病院の方が規模の点で利点が多く、大部分の施設で導入が終わっています。当院での導入もここ数年来検討はしていますが、色々な資料を目にするにつけ、親子や兄弟など家族単位で同時に診察をすすめる私の診療スタイルでは、同時に電子カルテを開けることが困難である、さらに私の処方スタイルとして特に小児に対する処方が多様でセット入力が少ない、私が重視する細菌検査のデータのファイリングに対応する臨床検査ラボがない、、などの点から、今しばらく導入は見合わせようと思っています。今後、電子カルテのシステムが発展して、明らかに診療時間が短縮される、スタッフの手間が簡素化される、などのメリットが上回るようであれば検討したいと思います。

  油絵の遠目にくもる五月かな 子規
  8日  今日は蒸し暑く初夏のような趣でした。当院でも午後から、今年初めて軽くですが冷房を入れました。
 小学校の修学旅行のシーズンです。旅行前に発熱した、鼻血が出やすい、車酔いしやすい、などが心配で受診するお子様も目立ちました。車酔いが心配な子供たちには、NHKの「ためしてガッテン」で紹介された車酔いの防止方法を紹介すると皆さんホーッと感心されます。修学旅行は子供たちの人生にとって大きなイベントです。安心して参加できるように、私も力添えには思わず力が入ります。
 ヒノキ花粉の飛散もほぼ終了です。恐らく今週中には飛散終了となると思われます。代わってイネ科花粉の飛散が増えてきました。ハウスダストによるアレルギーでは、ダニのフンや死骸の一部、カビの胞子などは粒子径が小さいために気管支の奥深くまで入り込み抗原性を示します。一方、花粉の粒子は大きいために目の結膜や鼻粘膜、咽喉頭粘膜での反応が主体となります。スギやヒノキ花粉は天から降ってきますが、イネ科花粉は公園や草むらの雑草に近づけば反応が急に強く出ます。そのような視点で抗原暴露への対処法を指導しています。 
  9日    ゴールデンウィークを明けて、やはりB型インフルの方はほとんど見かけなくなりました。
 乗り物酔いの対応法について、早速問合があったのでもう少し詳しくご紹介します。平衡感覚を司る内耳は幼児期に機能が発達していきます。そのため車酔いは、中途半端に発達してきた小学校入学前の時期と、自律神経の弱い小学校高学年や中学生の年齢で起こりやすくなります。乗り物酔いのお薬は主な成分は第一世代抗ヒスタミン剤です。これは一般的な総合風邪薬に鼻水止めとして入っている成分と同じで、脳内の神経の興奮を抑える作用から内耳神経の過敏性が低下して効果を発現します。このため乗り物酔いのお薬は眠気を誘発するのです。
 「ためしてガッテン」では、乗り物酔いしやすい人を集めてバスに乗った実験をしていました。バスの中で、厚い本を頭に乗せて、その本が落ちないような遊びをしていると車酔いしない、というものです。乗り物酔いは専門的には動揺病といいますが、医学でこれを専門として研究するのは平衡神経科つまり耳鼻咽喉科の一分野です。私もこのためしてガッテンの話を聞いて、目からうろこでした。つまり平衡感覚を遠心力と反対の方向に作用させると、過剰な反応が抑えられて乗り物酔いしにくくなるという訳です。そのため、乗り物に乗っている時に遠心力に逆らうように体を動かす、つまりバスが右に曲がる時には体は左に傾きますが、傾かないように進行方向と同じ右に体を傾ける、またその際には進行方向の右側を見るように心掛けるというのが対応法です。こう考えれば、車を運転しながら酔う人はいないことも納得すると思います。ただし、船の船内にいる、飛行機が長時間揺れるという状況では、このような対応は不可能なので、船酔いにはこの方法だけでは対応できないと思います。遠くの景色を見続けて視覚からの過剰な情報入力を避ける、少量の冷たい水やさっぱりした炭酸飲料で、胃や迷走神経という嚥下時の感覚を司る神経を適度に刺激する、などの方法も試みて下さい。
 耳鼻科のちょっとした裏技としては、しゃっくりを止める、という技もあります。診察中にたまたましゃっくりが止まらない人に、私もお愛嬌で試みたりします。ちょっとした裏技は、また診察の機会にでも、、(^'^)

 ここからはガラッと替わってYouTube動画の紹介です。なんだか個人のブログみたいになりますが、スマホで見つけて思わず感激したので紹介します。結婚式二次会の余興ムービーですが、ミスチル好きの新婦と結婚する高校の友人のために気合をいれてプロの音楽業界関係者?が作った動画です。 えっ、なんでみんな歌がうまいの!アテレコじゃないの? なに、このカメラワークは!というビデオです。ぜひ本編をみた後でメイキング・ムービーも見て下さい。お勧めです。(^.^)
 YouTube 「結婚式 二次会 余興 GIFT」へ
 YouTube 「結婚式 2次会 「GIFT」 メイキング」へ
  16日  日本で見える金環日食まであと5日です。松山では残念ながら部分日食ですが、それでも一時的に空は暗くなりそうです。当日の天気予報は曇りとのことですが、ぜひ雲の合間から見たいものです。
 ゴールデンウィーク明け以降、当院ではB型インフルエンザは全く検出しませんでしたが、昨日、複数の家族から検出しました。ローカルな話題で恐縮ですが、当院近隣の余戸、土居田にお住まいの方からの検出です。また、松前町の小学校での発生もあるとのことで、今シーズンは5月まで流行が続いています。ここ6~7年来の沖縄の流行パターンに似てくると、ひょっすると夏まで発生が続くかもしれません。
  18日  松山のヒノキ花粉の飛散終了は5月6日です。ここ3日程、初夏を思わせる陽気です。 この陽気で、ここ1~2週間が雑草花粉の中で最も代表的なカモガヤの飛散のピークになりそうです。
  21日   今朝の金環日食、皆様はご覧になれたでしょうか? 松山はぎりぎり金環日食の限界線をはずれて部分日食でした。松山の空はうろこ雲がどんより広がっていましたが、雲の隙間でどうにかリングに近い日食が見えました。(^^) 
 庭の草むしりをしていて、野外のクラブ活動で、などにより雑草花粉症で急に鼻炎や結膜炎の症状が強くなった方が見られました。 また宿泊研修を前にして花粉症をコントロールしたい方も来院しました。やはり雑草の花粉症は近くで暴露すれば急に強い症状がでます。この時期、スギ花粉症シーズンのようにマスクを着用する人もゴーグルを着用する人も、まず見かけません。雑草花粉症の症状の強い人は、スギ花粉症の人以上にマスクやゴーグルは有効です。そろそろ蒸し暑くなるこの時期には、やはり着用は億劫になりますが、最近はおしゃれで目立たないゴーグルも販売されています。雑草花粉症の反応が強い方は、通学途中や草むらに近づく機会のあるときだけに限ってでも着用をこころがけてみてはいかがでしょうか。
 急な発熱とともにのどの粘膜が口内炎様にただれるお子様も散見され始めました。ヘルパンギーナや手足口病などの典型的な所見を呈する例はまだ見かけませんが、夏かぜの代表的な病原ウイルスであるエンテロウイルス系の感染が疑われます。風邪の流行も徐々に夏の気配です。 
  23日  私が校医として担当する小学校2校の学校健診が終わりました。残すは中学校1校です。当院の診察でも学校健診の報告書を持って来院する学童が増えてきました。学校健診による受診は、医学的な所見と本人や保護者の方の自覚的な症状とのギャップが大きいことも珍しくありません。難聴や鼻づまり、めまい感、頭重感などなど、ご本人が困まらず後遺症を残すような病態でなければ必ずしも治療の必要はありません。お子様の現状が医学的にどうであり、どのような症状がでるのか、どのような症状が本人にとって不都合なのか、現在治療するのが好ましいのか、どのような状態になったら治療すべきなのか、対処療法だけなのか、根本的な治療法があるのか、など、診療の時間の許す限り出来るだけお答えしていこうと思います。
  25日  今年度になって、保育園で昼間の服薬が出来ないので朝夕食後など1日2回までの服薬を求められることが多くなりました。保育を受け持つ立場からは、確かに大勢の子供たちに確実に服薬させることは困難なことだと思います。ただし医療の立場では、どうしても1日3回、昼食時も服薬する必要のある薬剤を選択せざるを得ない場合もあります。例えば抗生物質など有効血中濃度を維持して効果を持続させるには1日3回服薬する必要があります。朝昼夕食時と時間を限定しないでも、朝、夕帰宅後、眠前などに時間をずらして有効な効果を得られる薬剤もあります。セフェム系、ペニシリン系などの一般的な抗生物質は標準量の倍量投与までは認められていることが多く、最近の薬剤耐性細菌への治療では高容量療法などもあります。服薬の時間間隔が短くなれば血中濃度が高くなる時間帯も出来ますが、高容量でも問題ない薬剤なのか、高容量が好ましい状態なのかなど勘案して、保育中に服薬しなくて済みながら、かつ有効な効果が得られるような服薬を考えていかなければなりません。
 来年度より定期予防接種を増やそうとの提言が厚労省の審議会から出されました。肺炎球菌ワクチン、Hibワクチン、子宮頚癌ワクチンの3つです。これまでも自治体別に公費負担がされてきたものを全国一律に定期化しようというものです。ただし公費負担の主体は地方自治体ですので、財政難の折、具体化されるかどうかはこれから検討されるようです。耳鼻科医である私の印象からは、”肺炎球菌ワクチンやHibワクチンが普及してきたために細菌性の中耳炎が劇的に減ってきた”というほどの印象はないのですが、全国的なデータはどうでしょうか? 髄膜炎の発生率とワクチン普及の関連性を検討する以上に様々なファクターがあり、統計学的に有意なデータを出すのは難しいとは思いますが、耳鼻科関連学会に報告がでてこないか気になっています。

6月になれば学童のプール開きです。先日、学校健診時に小学校の先生に教えて頂いたのですが、水温が最低22℃以上あり気温も高くないといけませんので、6月のいつからがプール開きということではないようですが、早ければあと10日前後で小学校のプール開きです。鼓膜チューブを留置している、鼓膜穿孔がある、などで、水泳の可否判断や耳栓の着用法を指導する機会が多くなってきました。
  28日  B型インフルエンザはますます見られなくなってきました。例年であればそろそろ未就学児の年令で発生が増えてくるヘルパンギーナやプール熱などの夏かぜはまだ増えてきません。5月後半現在、今年当院で目立つのは溶連菌咽頭炎です。愛媛県下の報告でも中予地方での発生が目立っています。溶連菌によるのどの所見は、専門的には”咽頭口蓋弓を中心とする点状出血状の粘膜といちご状舌、口囲蒼白、鼻咽腔を中心とする膿性鼻汁”などですが、最近目につくのは、”ウイルス感染を思わせるようなびらんが広範囲に咽頭粘膜に広がる”という所見です。溶連菌で感染性をきたすものは10種類以上ありますので、現在流行しているタイプがどのようなタイプか?愛媛県や全国レベルの感染症情報に注意してみます。
     
4月 2日  新年度です。昨日の診察は、診療報酬改定に伴う変更もトラブルなく無事終わることができました。
 先月30日、松山市で桜(ソメイヨシノ)が開花しました。平年、昨年よりともに5日遅いとのことです。城山公園では、散り初めの梅の花と2分咲き程度の桜の花が見られます。先月末にも述べましたように、梅と桜の花見が同時に出来るなんとも風流な春になりました。スギ花粉は梅とともに始まり、桜とともに終わるとされますが、やはり今年はかなり変則的な飛散状況です。3月3日が飛散のピークで徐々に飛散数が少なくなると思われましたが、3月下旬から再度飛散数が増えています。3月23日にはヒノキの飛散も始まりました。4月上旬はスギ、ヒノキ、早期のイネ科と様々な花粉が同時に飛散しそうです。
  喉頭乳頭腫、鼻腔血管腫など。
  8日  桜が満開です!ようやく春本番です。今日は子供たちの春休みの最終日でした。春休み後半になり、感染症の発生は少なくなっています。それでもB型インフルエンザ、溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマなど、様々な病原微生物が散見されます。B型インフルエンザは家族内や保育園、介護施設などでの施設内集団発生も見られますが、その数は減ってきています。しかし、明日から学童や幼稚園児の集団生活が始まります。4月にもB型インフルエンザの小流行が続きそうです。また、A香港型も少ないながら散見されます。インフルエンザの予防接種の効果は、大人で約6ヶ月、子どもでは約4ヶ月で減弱することもあり、昨年に予防接種を受けていてA香港型が発症する方も見られました。
 道後公園など市内はお花見のピークです。今年の冬は、スギ花粉の飛散が極端に遅かったですが、桜の満開とともにさすがにスギ花粉の飛散は少量になりました。代わってヒノキ花粉が大量飛散しています。ヒノキの飛散の時期は桜の開花同様、連年よりやや遅い程度です。当初は5月の連休明けまでヒノキ花粉の飛散が目立つとも考えていましたが、ヒノキの飛散のピークは例年並みに4月上旬で4月下旬には少量飛散になりそうです。ヒノキ花粉症は、スギ花粉症を有する方が共通性抗原のヒノキに反応することで徐々に発症してきます。スギ花粉症を発症して10年近くなる方の中で、4月下旬の天気の良い日に野外で花粉症症状を感じたならば、ヒノキないしはイネ科の雑草花粉症も有している可能性があります。
  13日  新緑が目に鮮やかになってきました。ここ1週間でB型インフルエンザに罹患する方は目に見えて少なくなりました。しかし学校のクラス単位や職場単位での小流行はまだ見られますので、今シーズンB型インフルエンザに罹っていない人はいましばらく感染に注意して下さい。インフルエンザ以外でも急に高熱をきたす方は少なくなってきました。当院外来はやっと春の気配です。(^.^) 
 スギ花粉の飛散については、近隣の山口県医師会のデータでは4月9日前後が飛散終了日のようです。松山も山口県に準じると思われます。ヒノキ花粉も飛散のピークは過ぎていますが4月9日には中等度の飛散が見られました。 
  後鼻孔出血、三叉神経領域帯状疱疹、航空性中耳炎など。
  18日  今月より、学童の出席停止期間を定めた学校保健安全法の施行規則の一部が改正されました。インフルエンザは、これまでの解熱後2日までの出席停止が幼稚園児では3日までになり、また早期に解熱しても発症後5日は出席停止となりました。最近は抗ウイルス剤によって早期に解熱することが多いのですが、抗ウイルス剤はインフルエンザウイルスの増殖を抑制するだけですので、本人は元気になっても感染力が残っていて他の人に感染させることが問題になっていましたので、より実態に即した改正となっています。しかし働いているお母さまにとっては、子どもは元気なのに仕事を休んで世話をしなければいけないというジレンマも増えそうです。また百日咳とおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)も規定が改定されました。従来は咳や耳下腺の腫れなど特有の症状がなくなるまでとなっていましたが、百日咳は「5日間の適正な治療」、おたふくかぜは「症状が出てから5日経過」であれば感染力が急速に消えるとの知見から改定になっています。おたふくかぜではこれまでもわずかに耳下腺や顎下腺の腫れが残っている場合には出席可能かどうかの判断が微妙なことも多かったのですが、我々臨床の立場からすれば運用しやすくなりそうです。
   
 当院玄関のはなみずきです。はなみずきは、日本が明治45年に米国に贈った桜(ワシントンD.C.のポトマック河畔の桜並木として世界的に有名です)のお礼に、米国から大正4年に贈られたのが最初です。花言葉は「返礼」で、アメリカでも最も愛される花のひとつです。松山には「はなみずき通り」があり、松山市民にもおなじみの花です。寒かった冬もなんのその。当院のはなみずきは例年より早く、鮮やかに咲きました。 
  26日   先週末に当院近隣のたちばな小学校で集団かぜによる学級閉鎖がありました。B型インフルによる学級閉鎖です。この時期の学級閉鎖はめずらしく、当院外来でも近隣地区の方でB型インフルエンザを発症する方が目立ちました。 ゴールデンウィーク入りとともに、さすがに流行は終息するものと思われますが、急な発熱や倦怠感が強い例ではインフルエンザも念頭に置いた診察を心掛けています。
 スギ花粉の飛散は終わりましたが、ヒノキ花粉の飛散はまだ続いています。今週に入りイネ科花粉症を発症する方が目立ち始めました。春の遠足で砥部動物園へ行く学校が結構あります。雑草花粉症のお子様は、これから5月にかけて、天気の良い日の長時間の野外活動で鼻炎や結膜炎が急にひどくならないか注意して下さい。
 中学校を中心に修学旅行の季節です。松山の中学校では関西方面への修学旅行が多いです。ここ最近は修学旅行で飛行機を利用する学校も多く、タイミング悪く修学旅行前に中耳炎を発症した学生さんには航空性中耳炎で中耳炎が悪化しないように治療を行っています。
  30日  フェイスブック(Facebook)に当院のページを開設しました。ページのアドレスは http://www.facebook.com/yamaguchijibika です。今日の時点ではまだリンクしていませんが、ファイスブックのページを利用すると、地図とのリンクから当院へのアクセスが瞬時に分かるなどの利点もあります。
 皆様ご存知の方も多いと思いますが、フェイスブックは、人と人とのつながりを促進・サポートするコミュニティ型のウェブサイトSNS(Social Networking Site)の中でも最も勢いのあるサービスです。私はこれまで携帯電話ではメールもネット検索もほとんど利用せず、mixiやtwitterとも縁がなかったのですが、先のお正月休みにはホームページ作成ソフトのホームページビルダーがスマートフォン用ページ作成に対応したことから、当ホームページをスマホ対応としました。つい先日には私もスマホを持つことになり、また、雑誌や新聞記事で、企業もSNS上で情報発信を行いだしたとの情報を目にしていたこともあり、当院もSNS上での情報提供を行うことにしました。
 もともと私のフェイスブックへの知識は、2010年に公開された映画ソーシャル・ネットワークの方が先でした。それも映画公開から遅れて、昨年秋にレンタル・ビデオでの鑑賞です。アカデミー賞作品賞にノミネートされており、ハーバードの学生であったマーク・ザッカーバーグ氏のITビジネス上の足跡も気になっていたために、興味深く鑑賞しました。フェイスブックは実名による登録が基本とされているために、仕事上有益であるとの記事もあれば、一方アメリカではSNS上のトラブルから事件が惹き起こされる社会現象も見られています。SNSは即時的な相方向の交流が特徴ですが、私はまだ当院ではコメントに即時的に応答することは、残念ながら難しいと思っています。理由は、当院を受診された方はお判りになるかとも思いますが、忙しい時期の私は診察が始まると夜までまとまった時間が持てません。そのため、SNS上の即時性のあるコミュニケーションは、当院の体制では負担になりそうだからです。相方向の利用は難しいことを前提にしつつも、フェイスブックを当院の情報提供のひとつの手段として活用するために、当院ホームページに掲載している「今月の疾患情報」を転載することとしました。何卒、ご理解の程、お願い致します。また、当院ホームページをご覧の皆様も、SNSを利用する際は、個人情報をネット上に出すことの意味を十分に理解して活用して頂ければと思います。
 スマートフォンは、携帯電話でありかつ携帯音楽プレーヤー、携帯カメラ、ノートパソコン、ゲーム機の複合機です。スマホを劇的に普及させたスティーブ・ジョブズの偉大な足跡には、私も畏敬の念を持ちます。アップル社の創生期のスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウィズニアックの自伝、マイクロ・ソフトのビル・ゲイツとの知的財産権を巡る争いを描いた本など、私も興味深く読みました。20世紀の革命的技術であるインターネットで個人が世界につながるだけでなく、SNSは個人と個人をメール機能以上に深く繋げていきます。21世紀、私もどこまでこのITの流れについていけるのかいささか不安ですが、当院もSNSのサービスに参加しようと思います。
 追伸ですが、私が日本人として、Walkman、Playstation、テレビ、携帯電話、デジカメの技術と、さらには音楽映像の知的所有権も手にしていたSONYが、なぜiPhoneを作れなかったのか? 残念でなりません。SONY、Panasonic、SHARP、アドバンテストなどのIT企業の経営悪化を目にするにつけ、日本の若い世代のこれからのがんばりに期待したいです。若い世代が将来の心配をせずに飛び跳ねることのできる明日になるよう、心から念じています。
     
3月 3日  今日は穏やかな日差しで小春日和となったこともあり、スギ花粉が今シーズン初めてまとまって飛散しました。週間天気予報では明日から3日間雨模様ですが暖かくなるとの予想です。恐らく雨上がりの来週木曜日8日頃に最初の飛散のピークを迎えると思います。スギ花粉症の方は、来週後半の天気の良い日にはマスクの着用を心掛けて下さい。当院外来でも、花粉症を感じ出した方の来院が一気に増えました。
 インフルエンザの流行は下火ですが、A香港型に加え、B型の方が目立ってきました。今シーズン、A香港型とB型の両方に罹患する方も出てきました。インフルエンザによる髄膜炎が疑われる方も見られ、総合病院の神経内科と連携しました。発熱が続く風邪の病原菌は様々です。インフルエンザ、アデノウイルス、マイコプラズマ、単純ヘルペス、EBウイルス、乳幼児のRSウイルス、サイトメガロウイルス、ノロウイルス、ロタウイルス、溶連菌など様々な病原菌があり、様々な部位で病原性が発現します。当院でも耳鼻咽喉科の観点から、迅速検査、血液検査などによって出来る限り早期に病原菌を特定した上での治療を心掛けていますが、原因が特定できず発熱が続く場合もあります。急性上気道炎に伴う発熱が疑われるケースで、”高熱3日以上や、微熱が5日以上続く場合”は、より広範な病態や病原菌を想定しなければいけません。全身状態も勘案しながら、適宜、入院施設のある内科、小児科と連携をしています。
  突発性難聴、遅発性内リンパ水腫など。 
  7日  昨日は全国各地で春一番が吹き、暖かな一日でした。お堀端の梅の花もようやく3分から5分咲きです。ところが今日からは週間天気予報に反して?曇り空でひんやりとした一日でした。今週の後半にかけてはまた寒さが戻るとのこと。8日頃にスギ花粉の最初の飛散のピークと予想しましたが、どうやら飛散のピークはもう少し遅くなりそうです。3月中旬から下旬に飛散のピークがくるという記録的な遅さになりそうです。そろそろ桜の開花予想も出始めました。ウェザーニュースによる予想では愛媛は3月26日~30日で例年より5日遅い程度とのことです。スギ花粉の飛散パターンとは異なり、桜の開花はそんなには遅くはならないみたいです。、記録的な寒波の冬でしたが、さすがに春はもうそこまで来ています。(^.^)
 松山耳鼻咽喉科会ホームページでは松山大学薬学部のスギ、ヒノキの花粉の測定データの公表が始まりました。実際の花粉を観測しての測定ですので、当ホームページでも当院自動観測のデータだけでなく松山大学のデータも参考にしながら、花粉飛散の情報をお伝えしたいと思います。松山大学のデータでは飛散開始日は23日でしたので、当ホームページの飛散開始日も23日にしたいと思います。
 当院近隣の小学校ではB型インフルエンザの発生が目立ってきました。A型より病原性が弱いB型ですが、それでも今週後半から来週にかけて学級閉鎖も見られるかもしれません。B型はサブタイプが多様なため、過去の感染や予防接種による免疫もつきにくいインフルエンザです。まだ受験の終わっていない学生さんもいます。A香港型による流行は下火ですが、大事なイベントを控えている方は今しばらく感染予防を心掛けて下さい。

  あたゝかな 窓に風邪の 名残かな  子規
  10日  ここ3日程、花粉症症状の強い方の受診が急に増えました。また初めてスギ花粉症を発症したお子様も目立ちました。今週前半、松山は雨模様で当院ポールンロボのデータでも花粉の飛散はそれほど急激に増えてはいませんでしたが、松山に近い山口県東部の岩国や柳井では6日に200個~300個の飛散が観測されていますので、松山でも天気の良い時間帯には中程度の飛散があった地域もあると思われます。明日の松山の天気は、気温は上がらないものの日中晴れると予想されています。また来週半ばには気温も上がるとの予想ですので、今週以上の大量飛散も予想されます。今週すでに花粉症症状の強くなった方は、来週は特に花粉の予防を心がけて下さい。マスクやできればゴーグルの着用、天気の良い午後には長時間の外出を控える、帰宅時に着替える、水でよいので洗顔する、早めに入浴する、などを心掛けるだけで、花粉を吸引したり花粉が顔面や目に付着することをかなり防げます。
 花粉症の症状の発現パターンも人により千差万別です。山間部近くなど花粉飛散の多い場所に生活の拠点がある方、野外活動やスポーツで平素に花粉暴露への予防ができない方、ハウスダストアレルギーや雑草花粉症・ペットアレルギーも持っている方、血管運動性鼻炎や好酸球性鼻炎などもあって普段の過敏症が強い方、目の症状が目立つ方、扁桃組織が弱いなどでのどの反応が強くなる方、咳喘息や慢性気管支炎などで気管の症状の出やすい方、顔面の皮膚が反応しやすい方、風邪をひいていたり風邪の後の気道過敏症が残っている方、副鼻腔に慢性炎症のある方、耳管が弱く耳の症状の出やすい方、抗ヒスタミン剤などの風邪薬で眠気の出やすい方、膠原病や他のアレルギー疾患の治療を受けている方、などなど実に様々なパターンがあります。また治療への要望でも、仕事や運動・勉強でわずかでも眠気などの薬剤による副反応を防ぎたい方、妊娠中・授乳中・妊娠を考えている方、症状を積極的に取り除きたい方、予防を中心にご自身の免疫力を重視したい方、ジェネッリック医薬品を活用して医療費の負担を少なくしたい方、内服薬を中心としたい方、鼻のスプレーなどの外用薬を中心にしたい方、鼻スプレーの使用が不快な方、アレルギーの強さや原因を特定するために検査を希望する方、漢方治療・減感作療法やレーザー治療・注射による治療を希望する方、などなど様々です。診察では、出来る限り個々の患者様の要望に沿うことができるようオーダーメイドの治療を心掛けています。
  13日  なでしこジャパンの澤選手の体調不良の原因が、良性発作性頭位めまい症でした。マスコミでも大きく取り上げられましたので、耳鼻科的なめまい疾患を一般の方に知って頂く機会になりました。 この病気は、回転性めまい発作を惹き起こすものの中では最も多いものですので、当院でもよくみかける疾患です。耳石置換法という体操のような外来治療で劇的に治る場合もあり、また劇的に治らない場合でも耳石が再生してくれば症状は収まりますので、多くは後遺症を残さず完治します。しかし、発症した立場になってみれば、突然に急激なめまいが起こるために、その恐怖感は並大抵ではありません。我々耳鼻科医にとって、病状説明をすることによって不安を取り除いてあげることのできる代表的な病気です。澤選手もきっと1~2週間で完治し、ロンドン五輪に影響することはないと思われます。澤選手のオリンピックでの活躍を期待しています。 
  14日   大学の卒業式の謝恩会帰りでしょうか。市内のホテル前でははかま姿の女性たちが集まっていました。これからの1週間、卒業式のシーズンです。かかりつけの子供たちの転居も始まり、私にっとては少し寂しいシーズンでもあります。
 インフルエンザは徐々に減っていますが、それでも毎日、A香港型、B型ともに見られます。小児で咳が強く、喉頭や気管の炎症所見が強いケースの場合、当然インフルエンザも疑いますが、ここのところRSウイルスも目立っています。RSウイルスは、2才児以下の小児が初感染した場合には細気管支炎を惹き起こすことがあり要注意のウイルスです。感染したことによる免疫は数か月で無くなってくることが多いために、何度でも再感染します。しかし再感染時には症状は軽くなります。それでも小児では、喉頭の反応が強くなり声枯れが強くなる、気管の炎症が強くなり乾いた咳が強く出るなどの印象があります。基礎免疫があり反応の軽いA香港型インフルエンザや、やや反応がゆっくり広がるB型インフルエンザの初期との鑑別に注意しています。
 寒さも続くためか、スギ花粉は3月3日が最大飛散のままです。私は3月に入りずっと「まだ飛散のピークではないですよ。このあと最大飛散の日が来ますよ」と外来で言い続けているのですが、ひょっとすれば、3日が最大飛散日となるかも知れないとも思い始めました。そうすると今年の飛散数はかなり少ないことになるのですが、、今後の飛散状況が気になります。
  慢性顎下腺炎、突発性難聴、口唇粘液嚢胞、耳介ヘルペスなど。
  20日  当院はここ1週間あまり開院以来の混雑となりました。お待ち頂いた患者様にはご迷惑をお掛けしました。
 これから子ども達の春休みとなりますのでインフルエンザの流行も終息すると思われますが、ここ1週間でもA香港型、B型ともに小流行が続いています。B型はA型に比べて感染力、症状ともに軽い傾向があることもあり、子供たちの間で学級閉鎖が広がるような流行にはなっていません。明日が卒園式、卒業式などで登園登校できるか気になって受診する子供たちが目立ちました。インフルエンザ以外にも、溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、マイコプラズマなどで急に発熱する例もあり、また特定の検査がなく病原菌が確定できない発熱を伴う急性上気道炎も目立ちました。専門的にはライノウイルスやエコーウイルスなどの一般的なウイルスが病原菌と思われますが、確定診断できないだけに、中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎、気管支肺炎などの気道の二次感染に注意するよう、保護者の方には経過観察して頂いています。 
 全国的に冷え込みが続きなかなか春が訪れません。それでも関東ではスギ花粉の飛散のピークを迎えたようです。松山の飛散のピークから、関西で1週間、関東で2週間遅れてピークを迎えますので、松山の飛散のピークは3月3日であったかもしれません。当院のデータでも3月3日が最大飛散でその後は少なめの飛散が続いています。このままいけば今シーズンは当初の予想よりさらに少ない飛散になるかもしれません。しかし一方で、スギの飛散は”梅の開花とともに始まり桜の開花とともに終わる”傾向もあります。松山でもようやく梅が満開、今日は水戸の偕楽園で梅が見頃となってきたとのことですから、やはり本格的な春を迎えるまでは飛散のパターンが読み切れません。記録的な寒波の冬ということで、私が診察中にお伝えしている予想もややぶれ気味です。<(_ _)>
  肺炎(高位病院に紹介です)、咽喉頭異常感症、鼻茸、咽頭異物、外耳道異物、鼻出血など。
  28日  今日は診療報酬改定に関する厚労省の講習がありました。改定は2年に一度ですが、いつもながらに細則が決まるのは実施日の4月1日直前となります。毎回、4月1日はレセコン(医療事務用パソコン)がスムースに動かないことも多いのですが、今回の改定では耳鼻咽喉科の外来関連では大きな改定はありませんので、大きなトラブルなく新年度を迎えたいものです。
 高知では20日に桜が全国で最も早く開花、昨日はなんと満開とのことです。昨日は大分でも桜が開花したとのことで、松山の開花もいよいよです。桜の開花は例年と比べてもわずかに遅いだけとのことです。1、2月は記録的な寒波でしたが、3月後半は暖かい日も多かったですので桜の開花は平年並みに近いようです。それでも梅の花がまだまだ咲いていますので、今年は梅の花と桜の花が同時に見られるなんとも風流?な春になりそうです。スギ花粉が大量飛散ではありませんが、まだまだしぶとく飛散しています。飛散量は少ないものの、さすがに2ヶ月近く飛散が続いていますので、鼻粘膜がじんわりと腫れて鼻詰りの強い方も目立ちます。
 春休み入りとともに感染症は少なくなりましたが、B型インフルエンザは見られます。
     
2月 1日  昨日、国内最大級の屋内スキー・スノ-ボード場東温市のアクロス重信が閉館の日を迎えました。ここで練習した選手がオリンピックに出場したりと、暖かい愛媛からウィンタースポーツが発信できていただけに残念です。ぜひ再開にこぎつけて欲しいものです。スポーツといえば今月5日には愛媛マラソンが開催されます。市民マラソンで海沿いを走るコースは少ないらしく県外からの参加者も多く、エントリーは受付とともに定員に達したとのことです。私の周囲にも、また患者様にも参加する方々がおられます。私は当然今年も診察中で、参加も応援も出来ませんが、今年も参加した人からの土産話を楽しみにしています。
 今週後半にかけて全国的に寒波が襲います。北日本の豪雪は平成18年豪雪にせまる勢いとのことです。松山も朝の冷え込みは強いですが、日中風が穏やかな時には日差しが暖かく感じられる時間もあります。少しずつ花粉が観測されています。この寒波が過ぎれば、スギ花粉の飛散開始日までわずかです。花粉症の方は、マスクなどの予防グッズを用意する時節になりました。
  3日  松山は前日の夜から断続的に雪が降り、今日はなんと25年振りの積雪です。私の記憶でも、朝の積雪で通勤の足が乱れたのは5年振り以上でしょうか。当院のスタッフも渋滞に巻き込まれて通勤が大変でした。当院を受診される方々も今朝は大変でした。朝一番の診察は閑散としていました。
 インフルエンザが市内全域で流行しており学級閉鎖も広がっていますが、”大流行で学年閉鎖”のような大流行ではありません。インフルエンザの患者様に混じって、急に発熱の出る溶連菌咽頭炎、のどの痛みの強いアデノウイルス感染症、咳症状の強くなるマイコプラズマ感染症、微熱とともに全身倦怠感が強くなる感染性胃腸炎なども見られますので、免疫があるために軽い症状しか呈さないインフルエンザとの鑑別に注意しながら診察を進めています。
     
  愛媛県庁舎 ドームが白くなっています。

 一番町の官庁街 市内電車はいつもより混み合っていました。
  
  南堀端から市役所前 

  雪化粧の松山城天守閣
 
  当院の屋根も真っ白でした 

  当院診察室前の植栽です

 3日、沖縄、伊豆諸島、奄美地方を除く全国で最低気温が氷点下の冬日となりました。全国で観測史上最低気温を更新した地点が38地点と、とにかく日本中が猛烈な寒波に見舞われました。松山はなんと25年振りの本格的な積雪でした。松山ではチェーンを付ける車はほとんどありません。朝は、徐行運転の車や、時にバイクや自転車の転倒で、そこかしこで大渋滞でした。
  4日  冷え込みが少し緩み、昨日の雪景色がうそのような松山です。 40℃を超える発熱のB型インフルエンザの大人の方が見られました。インフルの予防接種を受けているのに高熱でおかしいなと思ったところのB型です。B型は予防接種を受けていても発症しやすいです。やはり春に小流行がみられるかもしれません。
  7日    寒波は少し緩みましたが、それでも寒い日が続いています。当院でも近隣の山口県でもスギ花粉はほとんど飛散していません。寒さのせいで飛散開始日は例年よりやや遅くなる気配です。先々週より中予でも小中学校で広範囲に集団かぜの学級閉鎖が広がりました。先週そして今週とさらに流行は拡大している模様です。今週が学級閉鎖のピークとなりそうな勢いです。 
 5日の日曜日に愛媛マラソンが開催されました。第50回を迎えた愛媛マラソンは市民フルマラソンとして3年目、なんと7300人余が参加しました。ゲストランナーでシドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子さん、元プロ野球ヤクルト監督の古田敦也さん、メキシコ五輪銀メダルの君原健二さん、オープン参加で松山出身の土佐礼子選手も参加し、沿道からの応援でも盛り上がっていました。マラソンの経済効果も昨年を1億円上回り3億円とのこと。松山の愛媛の四国の一大イベントとなりつつあり、地域活性のお手本になりそうです。今日はマラソンに参加した方の話も聞けました。私もいつか参加したいとかすかに思いつつ、昔学生時代に50kmのウォーキング大会に出ただけで足の痛みで散々だったことを思い出すと、そこからは思考停止です。^^;
  10日   今週、当院ではインフルエンザの方は先週より少なくなりました。家族内、クラス内での感染も少なくなり、インフルエンザの流行は先週が今シーズンのピークになりそうです。愛媛県感染症情報センターの報告では先月末に東予でB型を検出、国立感染症研究所の全国の報告でもほとんどがA香港型ながらB型も10%ほど見られており、やはり3月に向けてB型の発生は続くと思われます。今後、インフルエンザに2回罹患するケースも出てきそうです。
 昨日今日と寒さが緩み穏やかな日差しとなりましたが、スギ花粉はほとんど飛散していません。院内でお渡ししているパンフレットでは、花粉の飛散開始日は2月10日くらいになりそうだと記載していましたが、寒波のせいもあり少し遅れそうです。松山で過去24年間で飛散開始日が最も遅かったのが2004年の2月13日、次が1998年の2月11日でしたので、今年の飛散開始日は記録的に遅くなりそうです。私の予想をバレンタインデーの14日に替えてみます。明日、祝日を利用して高知で開催される日本嚥下学会に参加する予定です。松山と高知を結ぶ国道33号線は久万高原などの四国の積雪地帯を通ります。今のところチェーン規制はなくそのまま通れそうです。33号線沿いはスギの植林の多い地域です。山間部の雪景色を見ながら、スギ花粉の付き具合も確認してきます。 
     
 日本嚥下学会参加のため高知に向かう途中、三坂峠からみた松山市街です。久万高原の田んぼにはまだ雪が残っていました。
 
 柳谷村の面河ダムの湖に架かる竜の川橋です。渡る際には水面が見通せるため思わず足がすくみます。
 
 久万高原の杉の木です。雄花が膨らみ茶色く見えます。杉の木が密生した場所では日当たりの良い南側に雄花はよく付きます。写真右は、多数の黄色い雄花が密生した枝です。花と言っても綺麗ではありません。^^; 2月11日には雄花は結構膨らんでいました。雄花は前年の6~8月から形成され、この時期に高温で少雨だと雄花の着花量は多くなります。雄花1個のなかには約40万個の花粉が含まれ、開花とともに花粉が空中に飛散します。飛散のピークに杉の山を見れば、黄色い粉が吹き上がるのがわかります。

 学会会場ほど近くにある高知城を訪れました。天守閣が現存する12城の中の4城がなんと四国にあります。高知城、丸亀城と愛媛のわが松山城、宇和島城です。因みに四国以外では、弘前城、松本城、彦根城、丸岡城、犬山城、松江城、姫路城、備前岡山城です。高知城は本丸内の建物がほぼ完全な形で残っているものとしては全国雄一とのことです。
  16日  先週週末に天気が良かったためかスギ花粉を感じた方も来院されましたが、その後の寒さと雨模様のためスギ花粉の飛散開始日はまだです。山口県でも飛散開始はまだのようで、ついに過去25年で最も遅い飛散開始日になりそうです。この寒さの緩む20日頃に飛散開始日を迎えそうです。
 A型インフルエンザは引き続き見られますが、やはり流行のピークは2週間前になりそうです。インフルエンザは気道粘膜での反応が強くなりますので、発熱や倦怠感などの全身症状が軽微な場合でも、のどの奥のヒリヒリとした痛みが強い、急に声が嗄(か)れる、痒みの強い咳が止まらないなどの局所症状が特徴的です。喉頭から気管までの粘膜の所見を確認するのは耳鼻咽喉科医の得意とするところです。インフルエンザの迅速検査や発熱などの全身症状以外にも、耳鼻科医は気道粘膜の所見からインフルエンザの診断や治療を総合的に行うことができます。
 本日発売の健康雑誌「わかさ 4月号」の別冊付録に私が担当した小児中耳炎に関する記事が掲載されています。書店で目に留まりましたらぜひご覧下さい。
  突発性難聴、メニエール病、良性発作性頭位眩暈症、面疔、声帯結節など。
  17日  スギ花粉の飛散は梅の開花とともに始まり、桜の開花とともに終わるとも言われます。 長崎市では15日に梅が開花しましたが、平年より22日遅く、1953年の観測開始以来、最も遅い記録となったとのこと。松山では昨シーズン全国でもトップの前年12月23日に開花しましたが、今年はまだ南堀端を見てもわずかな開花だけです。今日から3日間冷え込むとのことで、スギ花粉の飛散開始はますます遅れそうです。
  18日  今日は昼から小雪がちらついていました。まだまだ寒さが続きます。
 インフルエンザによる出席停止期間が変更されそうです。従来は「解熱後さらに2日間出席停止」でした。治療により早く解熱しても感染力は残ることから、12年4月からは保育園を含め「発症後5日、かつ解熱後さらに3日間出席停止」と変更される予定です。これまで、学校や幼稚園は文科省の管轄で解熱後2日、保育園は厚労省の管轄で解熱後3日 とされ、いかにも縦割り行政といった感じでしたが、今後は統一されてスッキリします。
  口唇粘液のう胞、鼻出血、顎関節症など。
  19日   環境省の花粉飛散予報の第2報が出されました。1,2月の寒さの影響で飛散開始は全国的に平年より20日程遅れるとのことです。昨シーズンがスギ、ヒノキともに松山では平年より約2週間遅い飛散パターンでしたが、今シーズンは約3週間遅くなりそうで、やはり観測史上最も遅くなりそうです。私の飛散予想もまた遅くなり、25日頃からでしょうか? 
  24日  昨日今日と暖かい日が続きました。昨日、日本気象協会がスギの花粉前線を発表しました。九州南部、千葉、静岡で飛び始めており、3月1日には西日本全域で飛散が始まるとのことです。マスコミ報道を耳にして花粉症のお薬を希望する方が増えてきました。当院の観測データでも今日の午後に初めてまとまった飛散を観測しました。明日は雨模様の予報ですが明後日には晴れ模様、来週後半にはまた暖かくなるとの予報ですので、今日ないしはここ数日中にスギ花粉が毎日飛散し始める飛散開始日を迎えそうです。
  シェーバーを用いた後鼻孔ポリープ摘出術、口唇粘液のう胞摘出術、アレルギー性鼻炎のレーザー治療など。
  25日  当院のデータでは2月24日がスギ花粉の飛散開始日となりました。近隣の山口県では22日となり、飛散開始の遅かった昨年よりさらに4日遅くなりました。 例年であれば2月初旬に飛散開始日、2月下旬から3月上旬に最大飛散日、4月上旬に飛散終了日を迎えます。今シーズンは飛散開始日が例年より約3週間遅れとなりました。これからの3月の気温にもよりますが、恐らく3月中旬が最大飛散日に、4月中旬が飛散終了日となると思われます。
  29日   4年に一度の2月29日です。関東では雪模様ですが、松山は暖かい小春日和です。NHKニュースの気象予報士さんの予想では、これから日本上空の寒気団が去り3月1日から春が訪れるとのことです。私はよく”冬に中耳炎を引きずるお子様も、春休みには9割がた治っていく”とお伝えしています。明日からは中耳炎が治ってほしい3月です。
 記録的に遅いスギ花粉の飛散ですが、3月の訪れとともに一気に飛散が本格化しると思われます。スギ花粉は抗原性が強いですので、”花粉をかぶれば強い症状がでる”のがスギ花粉症です。暖かい穏やかな天気の日には、マスク着用などの予防を心がけて下さい。私も「薬が効かない!」「せっかく病院で治療しているのに」と言われないように診察に心したいと思います。 
     
1月 1日   明けましておめでとうございます。今年も当院を宜しくお願いいたします。復興に、経済問題に、日本は様々な課題を抱えていますが、新しい年は「3丁目の夕日」に照らされながら「坂の上の雲」を目指して頑張りたいものです。
 昨年末に当院のホームページをリニューアルしました。昨年は国内のスマートフォンの販売シェアが50%になり、街中でも院内でもスマホをタップする姿が至る所で目につきました。そろそろ当ホームページもスマホに対応する必要があると感じていたところ、昨年11月に、ホームページ作成ソフト「ホームページ・ビルダー」の最新版がスマホに対応されたことをきっかけに、リニューアルした次第です。因みに当ホームページは全て私の手作りです。しばらくぶりにこのソフトを手に取ってみると、発売元がジャストシステムに変わっていました。ジャストシステムは一太郎でお馴染みですが、四国のIT企業のがんばりに思わずうれしくなりました。ソフト自体も、スタイルシートレイアウトという新たな仕組みが主流となっており、分厚いマニュアル本片手にどうにか完成しました。(ホームページのサーバー容量がオーバーしたため携帯サイトの画像は一部アップされていません。今週中には対応できる予定です) プロのウェブデザイナーのような訳にはいきませんが、以前のいかにも手作り風から、少しは今風になったと思います。今年も当ホームページも宜しくお願いします。
 また今年は新たに、2月より当院敷地での花粉の自動測定も始まります。詳細は今後改めてご紹介いたしますが、リアルタイムに1時間毎の飛散が測定可能で、皆様もネット経由で同時にデータが確認できます。花粉も大量飛散した際には、急に症状が強くなります。自動測定のデータを基に、よりきめ細やかな治療や花粉症対策の助言ができるものと、私も今から期待しています。
  3日  当院も明日から新年の診察です。今年の年末年始は、私の携帯にはほとんど診療問合せの連絡はありませんでした。とりあえずホッとしています。
 昨年1年の感染症の流行を振り返ると、1月~3月にかけて、新型、A香港型、B型インフルエンザが混在してだらだらと流行しました。新型、B型は特にタミフル耐性が増えており、1回吸入で効果の持続するイナビルが有用でした。7月、9月には幼児で手足口病が過去最高に流行、秋には中予で乳幼児のRSウイルス感染症が流行しました。夏から秋にかけてはマイコプラズマがこちらも過去最高に流行し、 マイコプラズマの一般的な治療薬であるマクロライド耐性も目につきました。12月にA香港型が小流行し、1年が終わりました。耳鼻科関連では、メニエール病に対する水分摂取や中耳加圧療法が話題となりましたが、これらの有用性のエビデンス(統計学的有用性)は今後の課題です。
 お正月が開けて大人も子供も集団生活が戻りますので、これから1~2月が感染症の流行期になります。風邪の予防には、1.体調不良時は睡眠を取ったりして免疫機能の低下を防ぎ、2.体を冷やし過ぎないで粘膜が弱くなるのを防ぎ、3.うがい、手洗いの励行、4.みかんなどでビタミンCを摂取する、などが大切です。これからの寒い時期、皆様が風邪にかからない、かかっても軽く終わることを念じています。
 1月に入るとスギ花粉の飛散ももうすぐです。早ければ1月初旬に初観測となり、過敏は人は1月中から症状が出てきます。今年の花粉飛散の予測では、少ないものの例年並みに近く症状を発現するには十分量飛散するとされています。年明け早々より、私も花粉症対策のお手伝いが出来ればと思っています。  
  9日   年末に松山市がインフルエンザの流行入りでした。全国的にみても松山は年末年始にインフルエンザが流行した地域となってしまいました。年始の救急病院は5~7時間待ちなど3年振りに混み合う救急外来だったようです。”年末年始は風邪は流行らない”との予想は今年は外れました。(;_;) 4日より当院も外来を始めましたがお正月に熱が出た方が多く、外来も混み合いました。お待ち頂いた患者様にはご迷惑をお掛けしました。忙しさにかまけて当コーナーの更新も遅れてしまいました。この連休の後、学童の3学期入りです。新学期とともに本格的な風邪のシーズン入りです。今シーズンのインフルエンザはほとんどがA香港型で、やはり基礎免疫を有する方が多く、総じて症状は軽めです。予防接種を受けても発症した、予防接種を受けずに軽く発症した、などなど、その人の症状の強さや基礎免疫の状態を類推しながら個々に抗ウイルス剤の適応を考えています。 インフルエンザの方が目立ちますが、その他にも普通のウイルスと思われる上気道炎、アデノウイルス、マイコプラズマ、溶連菌、嘔吐下痢症のノロウイルス、おたふくかぜのムンプスウイルスなどが散見されますので、個々の方の風邪で、体の中のどの部位で症状が強いのか、直接的な病原菌は何が疑われるのか、二次感染はきたしてないのか、受験生や仕事が忙しくこじれるとまずいのか、、など総合的に判断しながら、抗生物質が必要か否か、消炎剤はどのレベルのものを用いるべきか、など考えて処方をすすめています。
 今シーズンのスギ花粉症については、11月や12月に明らかに季節外れにスギ花粉症を発症した方はおられませんでした。例年よりは11月前後の少量飛散は少なかったのかもしれません。今月に入りスギ花粉を感じた方を診察しましたが、やはりスギ花粉を感じる方は少ないようです。しかし、1月前半には初観測を迎えます。スギ花粉症に対するレーザー治療を希望される方も目立ちました。当院でのレーザー治療は、風邪をひいていない状態であれば予約なしで行っています。受診の際に受付にてご相談ください。(ただし当院の診療体制としては、仕事や学業の都合や県外など遠方からの受診などを除き日曜日のレーザー治療は出来る限り控えて頂くようお願いしています)
 メニエール病、突発性難聴、ハント症候群、アレルギー性鼻炎のレーザー治療など。
   
 チャーミングな女の子からプレゼントを頂きました。とても上手に折っています。青い体の部分には私の名前も書かれています。(^.^)
  14日  スギ花粉の飛散状況についてですが、今シーズンより愛媛県立中央病院での観測がなくなりましたので、当院では、松山大学に設置してある環境省花粉観測システム(はなこさん)や、当院近県で観測システムの充実している山口県医師会、2月1日より当院設置予定の花粉自動観測器(ポールンロボ)のデータなどからお伝えします。山口県のデータでは今シーズンのスギ花粉の初観測日は1月1日となっています。松山でも年明けから陽気の良い日もありましたので恐らく初観測日は迎えているものと思われます。今の時期はごく少量の飛散ですが、ごくかすかに花粉を感じる方が来院されはじめています。 
  15日  学童の新学期が始まりましたが、急速なインフルエンザの流行拡大は見られません。また、やはり比較的症状の軽いケースがほとんどです。愛媛県感染症情報センターの年明けのデータでも、松山のインフルエンザは年末より発生は少なくなっています。基礎免疫を有する人が多いこともあり、これからの3学期、今しばらくはゆっくりとした流行になりそうな気がします。今日でセンター試験が終わりました。インフルエンザも軽症例が多いこともあり、試験前に受診された学生さん達はきっと普段の実力を出せたものと思います。 
  口唇粘液嚢胞、肉芽性鼓膜炎など。
  18日  花粉自動測定装置ポールンロボを設置しました。今月24日頃よりウェザーニュース社のWEBサイトで見られる予定です。
  22日  インフルエンザが先週、愛媛県全域で注意報レベルの流行入りとなりました。ここ数日、当院でも幅広い年齢層でA香港型の感染を確認しています。今週から1~2週間が流行のピークとなり、学級閉鎖も広がるかもしれません。うがい、手洗いの励行、睡眠や栄養をとって免疫力の低下を防ぐなどを心掛けて下さい。 
  25日   本日、愛媛県下全域でインフルエンザ警報が出されました。今日の夜は松山市内でも雪が舞いました。しばらくは冷え込みも続きます。今週後半から来週にかけて学級閉鎖の広がりや職場での流行が予想されます。 旧暦の1月7~9日に行われる椿まつりは、今年は1月29日~30日と例年より早くなっています。松山では椿まつりの頃に寒さが厳しく、スギ花粉の飛散が始まります。ことしのスギ花粉の飛散開始は椿さんの後になりそうですが、インフルエンザの流行はこの頃にピークを迎えるかもしれません。
  26日   日本海側で記録的な豪雪が続いています。全国的にもインフルエンザの流行が広がってきています。A香港型が流行の主流となるのは5年振りです。
 24日より測定を開始した当院の花粉測定装置ポールンロボのデータでは25日、今日と花粉を観測しています。あくまでも花粉状粒子の測定ですので厳密な花粉測定ではありませんが、今日の午後は寒いものの昼から気温が上がり穏やかな天気だったこともあり午後5時に複数個の花粉を測定しています。今後、1月中にスギ花粉を感じる敏感な人の来院も増えてくると思われます。 
  28日  インフルエンザの方が目立ちますが、やはり基礎免疫や予防接種で症状の軽い方の割合が多いです。
 扁桃周囲膿瘍も目立ちます。ご自身の免疫力が落ちて風邪に続発した方がほとんどです。膿瘍から穿刺排膿して、点滴を行うと次の日には劇的によくなることがほとんどですが、のどの奥の舌根扁桃や喉頭蓋に炎症が波及すれば呼吸困難をきたす可能性もあり大変危険になります。扁桃周囲膿瘍よりも軽い扁桃周囲炎であっても、そのあたりの可能性を常に念頭に置いて診察をすすめます。
 自律神経失調が誘引となるメニエール病ですが、めまいを診療する立場から見れば発症しやすい季節に傾向が見られます。難病情報センターの報告では、疫学的特徴として 1、発症誘因: 精神的・肉体的疲労、ストレス、睡眠不足 2、発症季節: 季節集積性なし 3、発症時刻: 活動時間帯に多発、夜間・深夜の発症は少数 4、気象との関係: 寒冷前線、低気圧、気圧変動 となっています。当院でも、気圧変動が大きい6月~9月にかけて発症する例が目立ちます。また、近年のトピックスでは体の脱水も悪影響を及ぼす可能性もあるとの報告もあり、夏に発症しやすいとの疫学的特徴を支持します。しかし、冬に発症が多いとの報告もあります。当院でも、冷え込む今の時期に発症するケースも見られます。扁桃周囲膿瘍の発症には、普通感冒やインフルエンザの後の免疫力の低下が誘引となるように、メニエール病も冬に風邪にかかった後でなる方も見られます。
  30日   椿さんは日曜日の好天にも恵まれて多くの参拝客で賑わってます。
 昨日、当院でB型インフルエンザのお子様を診察しました。全国的にも検出されるインフルエンザのタイプはほぼA香港型ですので。私もびっくりしました。B型はタイプが多様なため、予防接種の効果も少なく、過去に罹ったことによる免疫の効果も薄いため、症状はA型に比較して軽いものの、予防接種を受けていても”じわりと”罹ることが多いインフルエンザです。今シーズンのインフルエンザの流行は、ひょっとしたら1~2月にA香港型が流行し、春にB型が小流行するという新型が発生する前の流行パターンに似てくるかもしれません。そうなるとインフルエンザに罹りやすい小児では、昨年の1シーズンに3度罹るということなないにしても、2度罹るケースはあるかもしれません。
   
  お正月飾りの子規記念博物館です。建物の左手には今月の俳句が大き掲示されています。月替わりで掲示は変わりますので、道後公園を散策する市民にとっても楽しみです。ちなみに新年の俳句は「弘法は 何と書きしぞ 筆始」でした。
     
  道後温泉にある創業380年を誇る老舗旅館「ふなや」のロビーのお正月飾りです。「ふなや」は愛媛県における皇室御用達の施設でもあります。道後公園に隣接する敷地には名庭園があり、正面には子規記念博物館が見えます。松山は全国でも珍しく市街に隣接して温泉街がありますので、松山市民は気軽に温泉旅館やホテルを利用できます。ロビーのラウンジでお茶をすれば、それこそ気軽にお正月気分が味わえます。
   
 庭園には水量が多い渓流が流れており、宿泊客以外でも気絡に利用できる足湯は、渓流を愛でながら浸かることが出来ます。清流沿いには川床がしつらえてあり、夏にはここで会食が出来ます。ここ2~3年は少なくなっているようにも聞きましたが、以前、当院で夏の慰労会をこの川床で開いた際には、自生の蛍も見ることが出来ました。