本文へスキップ

当院は、耳鼻咽喉科、気管食道科、アレルギー科を専門とし、地域医療に貢献します。

TEL. 089-973-8787

〒790-0045 愛媛県松山市余戸中1丁目2-1

’14年 今月の疾患情報

  29日  今年の診察が終わりました。今日は昼までの受付とさせて頂いたこともあり、長い方には7時間以上お待ち頂きました。年末の忙しい中、また、体調の優れないところをお待ち頂き、本当に恐縮しております。お待ち頂いた方はもとより、年末に診察を受けた方々の年末年始の体調のよきことをお祈りしています。また、急性中耳炎で鼓膜切開をせずに経過を見る方を初めとして、体調の優れない方には診察中もお伝えしましたが、この休み中に体調不良でご不安な点がありましたら、当院時間外の電話番号まで遠慮なくお問合せ頂ければと思います。 来春は寒波から始まるとの予報です。皆様にはご自愛の程、よいお年をお迎えください。 
  28日  年末にもかかわらずインフルの患者様が目立ちました。当院の過去12年の記録を見ても、年末押し迫ってインフルが流行したのは08/09シーズン、11/12シーズン以来です。今日のインフルの患者様の多さを見ると、当院では過去最高かも知れません。この雰囲気ならば、休日診療所を受診した患者様も病院のスタッフも大変でしょうね、との声に納得しました。受験前に、帰省して、旅行前に、家族に親族に流行が広がる、年末年始に仕事が休めない、、など年末忙しい中、発症した本人はもとより家族や同僚の方も大変です。辛い症状が早く軽快するように、全身状態の悪化を来さないように、注意して診察をすすめています。
 インフルやRSウイルスによる急性中耳炎の方も見られました。ウイルス性中耳炎では、水疱性鼓膜炎のように局所の反応が強くなり、時には感音性難聴や耳鳴・めまいなどの内耳炎を続発することもあります。この内耳炎では、時に難聴や耳鳴の後遺症を残すケースもあります。鼓膜切開を行うか?保存的に経過を診るか?などに注意して経過を診ています。

 テレビドラマの「MOZU」を早見でみていたところ、この作品が東京ドラマアウォードで作品賞優秀賞を受賞したことを知りました。東京ドラマアウォードって?と調べてみると、映像コンテンツを市場性商業性の立場から海外に売り出すための賞とのことです。民放各局が共同で実行委員会を作り、いわば業界人が互選するドラマの賞です。今年で6年目の賞ですが、受賞作を見れば、なるほど!と感心しました。レンタルビデオでドラマを見ようと思う時にはおおいに参考になりそうです。 東京ドラマアウォード へ 
  27日  今年の診療日も残すところあと2日となりました。県外への帰省を前に受診する方、松山に帰省して受診する方など、年末の診察風景になっています。昨週、全国的にも愛媛県もインフルの発生が注意報レベルになりました。当院での検出はほぼA型でしたが、今日初めてB型陽性の方が見られました。四国中央市では報告数の半数がB型です。中予地方も年明け以降B型の流行にも注意する必要がありそうです。当院での発症年令では、30才台以下の年令の方の発症がほとんどですが、先週より40才台以上の方の発生も見られ始めました。
 年明けとともに、全国の観測点でスギ花粉の観測が始まります。早い年は、正月早々に初観測日を迎え、1月中旬から飛散が目立ってきます。毎日飛散する飛散開始日は2月初~中旬となりますが、これも早い年は1月下旬だったこともあります。年明けとともにスギ花粉のシーズンが始まります。当院ではレーザー治療を希望する方が少しずつ増えてきました。レーザー治療は、12月後半から1月中旬の体調の良い時に受けることをお勧めしています。  
  24日   メリークリスマス! 今日は祝日明けの診察だったこともあり、外来が込み合いました。お待ち頂いた方にはご迷惑をおかけしました。子供達へのクリスマス・プレゼントもあと1日となりました。診察を怖がって泣いていた子がホッと笑顔を見せるのがなによりでした。
 明日は終業式です。12月に”だらだら”流行していた、A香港型インフル、RSウイルス、溶連菌、手足口病、アデノウイルス、感染性胃腸炎も、学童の冬休み入りとともに一旦終息すると思われます。中学受験の小学生は、年明け早々受験です。今のうちに罹っておいてよかったと、ホッとする受験生も目につきました。
 スギ花粉の経口免疫療法は、スギ花粉の飛散時期には治療(導入)は開始しません。共通性抗原のヒノキ花粉の飛散の時期も考慮して、導入開始の至適時期は5月から12月上旬までとなります。今シーズンの経口免疫療法の導入開始は終わりました。次は来年5月からとなります。現在、維持療法している患者様についての花粉飛散期の注意点を挙げておきます。1、経口免疫療法は治療開始2~3ヶ月で効果が表れはじめるとされますが、導入初年度のスギ飛散期が大量飛散の年に当たると効果を実感することは難しくなります。初年度のスギ飛散期に強い症状が出ても、免疫療法は予定通り2~3年続けてみて下さい。2、免疫療法の効果を見る観点から、前もって抗アレルギー薬を服用する初期療法は行わず、症状が出た際にアレルギー症状に直接的な効果のある抗ヒスタミン薬を早めに服薬することで対応します。3、ステロイドを全身投与すると経口免疫の作用自体も抑えることから、少量屯用であっても経口ステロイド薬は極力使用せず、局所ステロイドの点鼻スプレーで対応します。4、感冒や体調不良で経口免疫を休止しても、1~2週間の休止であればそのまま維持療法を再開して下さい。ただし、1シーズン以上休止した場合には、再度、導入からはじめます。実は、一旦休止から再開した場合の臨床データやエビデンスは十分に集まっていません。 
  12日   当院の大掃除、忘年会は無事終わりました。今年も早いもので残すところ3週間あまりです。選挙が終われば、クリスマス、年末ももう直ぐです。当院では今年も、ささやかながらクリスマス・プレゼントを用意しています。 診察を頑張った良い子達に喜んでもらえればなによりです。
 当院駐車場では水道工事を行っています。車で来院の患者様にはご迷惑をおかけしております。明後日には終わる予定ですので、それまでは第二駐車場を中心に利用頂ければ幸いです。宜しくお願いいたします。
 今月に入り、松前小学校、さくら小学校、生石小学校、道後小学校で学級閉鎖が報告されました。松山市西部を中心に流行が拡大しました。2009年型が発生した09/10年シーズンを除くとここ10年で最も早い流行の立ち上りです。現在流行しているタイプは、ほとんどがA香港型です。当院でも全例A型で、家族内で感染が広がった方も目立ちました。しかし、予防接種を受けていない小児でも微熱と咳の軽い症状で終わる例が多く、40才台以上で症状の強い方はほとんど見られません。現在流行のA香港型は、恐らく今年の1~2月に流行したタイプと同じタイプと思われます。そのため基礎免疫を有する方が多いことにより、症状が軽い方が多いのだと思われます。
 国立感染症研究所から、RSウイルスが、2011年に外来で行える迅速診断キットが乳児に保険適応になって以降では過去最高の発生数であるとの発表がありました。2011年以前の流行の実態の評価は難しいのですが、例年11月~1月が流行シーズンであるRSウイルスが、今年は9月から多いことから、こちらもインフルエンザ同様、流行の立ち上りが早かったことになります。今年の秋の気候がどのように流行に影響したのでしょうか? RSウイルスは、教科書的には学童や成人では軽い上気道炎で終わるとの報告が多いのですが、耳鼻科の立場で見ると急性扁桃炎を来す例も珍しくありません。乳幼児では急性中耳炎も高頻度に続発します。乳幼児の肺炎や細気管支炎で注意する感染症ですが、耳鼻科の立場でも注意する感染症のひとつです。

   
 今年4月から道後温泉本館改築120周年記念事業として開催さていた「道後オンセナート2014」もグランドフィナーレです。道後温泉本館がLED照明で色が換わってゆきます。現代と歴史のコラボレーションといったところでしょうか。昨日はノーベル物理学賞の授賞式でした。日本発のLEDが誇らしいです。


 温泉本館周囲や道後公園は「輝く果実の光の実」で暖かく照らされています。こちらもLED照明です。
  5日    厳しい寒さが続いています。病院から望む石鎚連峰は早くも雪景色です。今晩から明日にかけて南予でも雪の予報です。愛媛県四国中央市と徳島県三好市を結ぶ国道192号線境目トンネル辺りで120台の車が雪で立ち往生し、全国ニュースでも大きく取り上げられました。今の季節にまるで雪国のようなニュースです。 私は以前、この国道沿いに位置する徳島県立三好病院に勤務していました。三好市は山間に位置しており、当時でもよく雪に覆われましたが、この時期の深い積雪は珍しく、チェーンやスタッドレスタイヤの準備が間に合わなかった車が多かったのでしょう。
 今日、国立感染症研究所から、インフルが全国的に流行シーズン入りしたとの発表がありました。昨年より3週間はやく、過去10年間で2番目に早い流行入りとのことで、9割がA香港型です。先週、関東地方を中心に急に感染者が増えたことによりますが、愛媛県は先週既に流行入りしています。昨シーズンは、1、2月にA香港型、2、3月にH1N1型(2009年型)、3、4月にB型が流行しました。今シーズンは早い流行入りですが、このまま寒さが続くと、12月下旬の流行拡大も気になってきます。
 スギ花粉症の予想の基となるデータも続々と発表されています。前年夏の気温が高く日照時間が長いと、飛散数が多くなります。2014年は、7月の気温が大阪以東で平年より高めで、中四国九州が平年並み。7月の日照時間が大阪以東で例年より長く、中四国九州で短い。8月の日照時間は、東北関東で例年並み、中部以西で短く、特に四国九州で極端に短かったとのことです。そのため来シーズンの予想が、九州四国で例年より少なめ、中国から中部で例年よりやや多め、関東東北が大量飛散とのことです。昨年の夏休み、松山は雨ばかりだったことを思い出しました。
 小児急性中耳炎の難治化のリスクファクターに関する論文を目にしました。2歳未満、集団保育、鼻副鼻腔炎合併、両側罹患では有意に中耳炎が反復化遷延化しやすいとの研究です。当院での臨床のイメージもまさに同じです。2歳未満ではまだ免疫能が十分発達していません。アレルギー素因や扁桃肥大の素因があると鼻の感染が難治化しやすくなります。わが国では病児保育が普及していないこともあり、集団保育の環境ではどうしても感染する機会が多くなります。さらに、現代の保育児はセフェム系抗生物質を多く服用した世代に続く世代であることから、世界の中でも薬剤耐性菌保菌児が多いのが現状です。このような条件が重なると、上気道粘膜が弱い2歳未満の集団保育児に細菌の持続感染が起これば、中耳炎も初回の急性片側性で終わらずに、反復性両側性になりやすくなります。私も、このような条件に合致して難治化のリスクのある児童に対しては、初診時でも、鼻汁の細菌検査を積極的に行うなどにより、適切な抗生剤の選択が早い時期に行えるように心掛けています。
12月 2日   師走入りです。当院では明日水曜日の午後から一足早く大掃除を予定しています。今日は朝から一気に寒くなってきました。これから週末まで厳しい寒波が続くとのこと。インフルも徐々に感染地域が広がってきているようです。選挙も公示されて例年以上に慌ただしい年の瀬ですが、皆様も体調を万全にお過ごし下さい。  
     
  28日 いよいと「はやぶさ2」の打ち上げです。30日の予定が天候不良のために12月1日に延期されましたが、打ち上げが待ち遠しいです。スケジュールは、2014年度打上げ、2018年1999JU3到着、2020年地球帰還とのことです。2020年東京五輪の年にサンプルが回収できれば、、五輪の年まで、ハラハラドキドキ楽しみにしたいです。
 愛媛県のインフルは、先週、流行開始の目安を超えました。県下でも松山市と松前町の発生が主で、松前小学校でも学級閉鎖が報告されました。当院でも松山市西部の広範な地域からの発生が見られ始めました。予防接種の時期に始まった、例年に無くなく早い流行開始です。
 スギ花粉の経口免疫療法は、中予で導入を行う基幹病院の内、愛大、県中、鷹ノ子病院で既に始まりました。日赤の開始は来春とのことですので、維持期の治療を担当する当院では、当面県立中央病院との連携で治療を進めることになります。免疫療法を始める時期について、スギ花粉飛散期は副反応が発生する可能性が高くなる事から避けることになっていますので、12月中ないしは5月以降となります。早期に導入希望の方は、12月初旬までにご相談下さい。


街はすでにクリスマス・モード。松山の冬を彩る花園町のライトアップですが、今年は金色の電飾が増えて明るい感じです。当院でも今日からBGMにクリスマスソングを流し始めました。
  23日  気持ちの良い秋晴れの連休です。当院もお休みを頂きました。政治の世界は風雲急を告げていますが、私は”書類整理”で、ゆっくり過ごしています。
 医学会では、エビデンス(証拠)に基づいた疾患ガイドラインの策定が大きな事業となっており、毎週のように新しいガイドライン策定の発表があります。今日は、最近私が注目したガイドラインの話題をふたつほど。
 睡眠時無呼吸症候群について、米国内科学会が成人の診断についてのガイドラインを発表しました。ガイドラインでは「原因不明の日中の眠気が見られる患者に対して睡眠検査の施行を推奨する」となりました。昼間の眠気に対して、内科学会でも睡眠時無呼吸を視野に入れた診療の必要性に言及しています。耳鼻科の目で見ると、首が短かい、首がふくよか、顎が小さい、扁桃腺が大きい、のどの奥が狭い(口峡部狭窄や舌根扁桃肥大)などがある方は、中年期以降は高率にいびき症や睡眠時無呼吸症になります。その際、自覚症状で発現頻度が高いのが昼間の傾眠傾向です。内科診療の場で、一般的な睡眠覚醒障害だけでなく閉塞型睡眠時無呼吸症候群も視野に入れて診察するように今後なっていくことが期待されます。また、このガイドラインでは「高血圧、糖尿病、心筋梗塞などの冠動脈イベントに対する持続的陽圧呼吸療法(CPAP)の有効性についてのエビデンスは不十分である」とされました。CPAPを行っても、ベースに肥満や動脈硬化などのメタボリックな要因があると、CPAPを行うだけで血管障害が改善する訳ではありませんので、私の診療における印象とも一致しています。
 原発性糸球体腎炎の中でも頻度の高いIgA腎症について、厚労省研究班と日本腎臓学会が診療ガイドラインを発表しました。なぜ耳鼻科医が腎臓病に注目するのかと言われそうですが、IgA腎症は、「扁桃腺や腸管を中心とした粘膜免疫の異常により循環血漿中で多量体IgA1が増加し、高分子IgA1が腎臓に蓄積して発症する」という機序が想定されているからです。(ちなみにIgA1は、小児が青あざや腹痛で発症することの多いシェーンラインヘノッホ紫斑病の原因物質としても注目されています)そのため、難治性のIgA腎症に対する扁桃腺摘出手術(扁摘)が有効な症例もあることから、耳鼻科医が把握しておくべき腎疾患なのです。IgA腎症に対する治療方針は、日本と諸外国で大きな違いがあり、日本は世界の中でも特に扁摘を積極的に行っています。2011年に糸球体腎炎に対する国際ガイドラインが作成された際には、「扁摘はエビデンスが十分に確立されていないことから推奨しない」となっていました。しかし日本では、健診で見つかる早期のIgA腎症が多い事、IgA腎症に対して扁摘が多く施行されている事などを踏まえて、日本独自のエビデンスに基づいてガイドラインを新たに作成することになりました。今回のように国際ガイドラインが策定された後に本邦で再作成するケースは少ないので、この発表には私も思わず目を引きました。結果、日本のガイドラインでは「扁摘は検討してもよい」となりました。ただし、根拠となったデータは、扁摘群40例、未扁摘群40例の治療1年後のデータだけとのことですので、日本でも世界でも更なる症例の蓄積が待たれます。耳鼻科の立場から見れば、同じ扁摘でも、慢性扁桃炎や病巣感染が疑われるような所見がある扁桃腺に対して選択的に扁摘をすれば、扁桃腺とIgA腎症の因果関係がより高くなると思われます。

 鼻腔異物、咽頭熱傷、鼻骨骨折、耳介裂傷、舌小帯短縮症など。 
  20日  18日に味生第二小学校で愛媛県下で初めての学級閉鎖がありました。迅速検査ではA型インフルとの報告です。県下の学級閉鎖の報告としては例年よりやや早く、発生数でも例年より流行シーズンの立ち上りは早いようです。松前町の小中学生の間でも発生が増えてきています。当院でもインフルの患者様が徐々に目立ってきており、いままでのところ全例A型でした。今週末が連休となることから、流行が急激に広がることはないと思いますが、これから12月にかけての感染拡大が気になります。当院では、急な発熱や強い痛み、めまいや嘔気が続く患者様は早めに診察しています。高熱で倦怠感が強い方は、受診の際には遠慮なく受付にお伝え下さい。
 スギ花粉症の経口免疫療法が当院でも始まりました。病診連携で、県内耳鼻科基幹病院(当院では主に県立中央病院耳鼻咽喉科)で導入を行って頂き、維持療法を当院で行います。当院での診察は維持期の副作用チェックが主ですので、簡単な診察で済むことがほとんどと思われます。免疫療法中は、当面2週間に1回の頻回な通院が必要となりますので、待ち時間を減らすことで通院の負担が重くならないような診察体系を考えています。副作用の発現は極めてまれだと思われますが、感冒時などの体調不良時や花粉飛散時期には副反応が出やすくなる可能性があります。また免疫療法中であっても、当初は花粉飛散時には症状が出ます。徐々に症状が軽減してくることを期待したいのですが、花粉症シーズンには症状に応じた治療も必要になります。今後の維持期の治療では、副作用発現時の対応はもとより、花粉シーズンをどのように過ごすのかなど、きめ細やかなケアを心掛けたいと思います。
  11日  学校健診出務は滞りなく終わりました。ご協力ありがとうございました。やはり冬を前にした時期の就学前児童の検診ですので、それなりに滲出性中耳炎の子供が見られました。急性中耳炎で痛みや熱が出るのではなく、滲出性中耳炎が鼻風邪の後にじわっと発症した場合には、耳の閉塞感が強いだけで本人は結構ケロッとしている場合も多いです。ただし両側に滲出液が充満している場合にはささやき声や話し声が聞こえない程度の難聴になります。これから冬に向かって治りにくくなり、新たに風邪に罹った場合には、急性化する事も考えられます。また慢性化した場合には中耳骨の含気不良などで換気不全がより慢性化する場合もあります。就学時健診は検診結果を報告するなどの義務はありません。アレルギー性鼻炎と指摘されても、症状が軽いようならば、アレルギー性鼻炎という体質があることを保護者が認識して、鼻炎が強くなった際や風邪がこじれた際に医療機関を利用する程度でもかまわないと思います。しかし、滲出性中耳炎と指摘されたならば、本人に自覚がなくとも耳鼻科で所見の程度は確認しておくことが好ましいと思います。 
 今日、当院で今シーズン初めてA型インフルを検出しました。中予南部のお子様でした。この日曜日には松山市の急患医療センターでインフル陽性が認められています。また当院近隣の内科でもインフルの報告がありました。中予でのA香港型の発生は、10月後半にはやや下火になっていましたが、これから12月に向かって徐々に発生は多くなっていくと思われます。
11月 5日   今日は目も覚めるような深い青空でした。先週に引き続き、明日も学校健診のため午後の診察開始が遅くなります。ご協力の程お願いいたします。
 A香港型インフルが中予、南予で散見されていますが、当院での検出はありません。他院の情報でも、余戸、垣生地区では発生していないようです。当院での他の感染症では、RSウイルスが減り、手足口病が散見されます。今年の手足口病は手足の水疱が目立たないなど症状の軽いタイプですが、一昨日は口内炎が40個以上出来た症状の強い1才の赤ちゃんを見かけました。
 ヒンヤリした気候になったことから夏よりも減りましたが、まだ外耳炎の方が散見されます。まだ冬来たらずで、中耳炎が難治化するお子様は目立ちません。

 


 愛媛大城北キャンパスと城山公園の紅葉です。最近、城北キャンパス内の図書館をよく利用しています。大学ならではの専門書も開架されています。学外者でも貸出が可能で、今学期は午後11時まで開館していますので、大いに重宝してます。城山公園内の県立図書館は館内工事が一部終わり、1ヶ月振りの開館でした。
     
  30日  明日午後は学校健診出務のため、午後の診察開始を3時半頃からと予定しています。来年新入学する子供達の就学児検診です。私も少しばかり、元気な子供たちにパワーを貰ってきます。
 来シーズンのスギ・ヒノキの花粉飛散予報が出始めました。花粉情報協会の予想では、九州・四国が平年よりやや少なく、近畿が平年並み、中国・東海がやや多く、関東・東北が大量飛散となっています。今治は平年の3/4程度で2月中旬に飛散開始の予想です。どうやら松山も”表年ながら平年よりやや少なくなりそう”です。 愛媛県立中央病院では経口免疫療法が11月5日から開始されることとなりました。早速治療を希望する方もおられましたので、当院でも維持療法が12月から始まります。 
  26日   街路樹の銀杏が色付き始めました。当院のケヤキも赤く染まり始めました。診察室から見える景色も秋が深まっています。風邪の流行でみると、現在は夏と冬の端境期とも言えます。これまで流行してきた感染症が下火になり、ほとんどが一般的なウイルスによる上気道炎です。RSウイルスの流行はさらに下火になり、インフルエンザは流行ほどの広がりは見られません。アデノウイルス、ヘルパンギーナ、手足口病などの夏かぜも少なくなりました。溶連菌やマイコプラズマも散見される程度です。台風襲来のような気候不順もないことから、気道過敏症やメニエール病など気圧や気温の変化が病状に影響する疾患も少なくなっています。
 今年の日耳鼻総会に私が出席した折の報告でも触れましたが、血管炎と耳鼻科疾患の関連についての研究が進みつつあります。抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎と、好酸球も関与するチャーグ・ストラウス症候群(Churg-Strauss syndrome: CSS)がその代表です。最近当院でも、難治性滲出性中耳炎と全身性の血管炎が合併した方が見られました。”一見脈絡のない多彩な全身症状を呈する発熱患者では血管炎を疑え”とのアプローチもあります。発熱に対する耳鼻科の診療では、まず急性の上気道感染やその後の中耳炎、副鼻腔炎、扁桃炎などの二次感染を念頭に診断治療を進めていきますが、中耳炎などの上気道炎が難治性遷延性で発熱が続く場合には、全身性の血管炎に伴う腎炎や間質性肺炎などの合併も念頭に置きます。炎症スクリーニングとして一般血、CRP、尿定性検査を確認することの重要性と、総合病院内科との連携の重要性を再認識しました。

 以前より気になっていたテレビドラマ「とんび」(2013年1月期のTBS日曜劇場で放映)を見ています。もういけません。初回から感涙です。次回予告だけで泣いてしまう作品は久しぶりです。登場人物がとにかくみんないい人です。
全国ロケ地ガイド 50音別INDEX:映画やドラマに出てきたおしゃれなお店や散歩道、海岸などがたちどころに判ります。
  20日  朝方はひんやりしてきました。ライノウイルスやコロナウイルスなどの一般的なウイルスによると思われる急性上気道炎が増えてきました。いわゆる普通の軽い風邪です。9月に乳幼児の間で猛威だったRSウイルスの流行のピークは過ぎたもようです。

 ヤミック(YAMIK)と呼ばれる副鼻腔炎治療用カテーテルを導入しました。このカテーテルの歴史は古く、ロシアで1980年代に開発され、日本では1991年の国際鼻科学会で初めて紹介された後、2000年には保険適応となりました。2008年に輸入許可が無くなっていましたが、日本の会社が改良版を開発しました。当院ではこの国産カテーテルを導入することとしました。副鼻腔炎の排膿や薬液注入を強制的に行う治療の代表的なものに上顎洞穿刺洗浄とプレッツ置換法があります。上顎洞穿刺洗浄は太い針で鼻腔内から骨を破って上顎洞を洗浄するもので、手技で緊張や痛みを誘発しやすく、空気塞栓や眼窩壁の損傷などの副損傷の恐れもあります。 当院でも必要に応じて行っていましたが、適応は限らていました。プレッツ置換法も、首を伸ばす懸垂頭位を続けた上で発声を続けなければ耳痛を誘発する場合もあり、特に小児では行えません。今回導入したカテーテルは、ガーゼ麻酔のみで行え、無理な姿勢をとる必要もないため、安全に上顎洞だけでなく、篩骨洞や前頭洞の排膿や薬液注入ができます。薬の投薬が制限される妊婦さんや、一般的な抗生物質の投与ではコントロールできない高齢者の慢性副鼻腔炎などに活用したいと思います。
 今月1日、米国耳鼻咽喉科頭頸部学会が、エビデンスに基づいた耳鳴に対する初の診療ガイドラインを学会誌に発表しました。私は、耳鳴の原因は多岐に亘るとともに原因の確定が困難な事が多く、また精神的な要因も多いため、ガイドラインの作成は困難と考えていました。今回のガイドラインがどのようなものか、私も興味深々でした。この学会による耳鳴診療のアルゴリズムを紹介すると、18才以上の耳鳴患者に対して、耳鳴の原因疾患の存在や重度の気分障害があればそちらの検査治療を優先します。原因の特定できない片側性や拍動性、難聴の合併のある耳鳴では聴覚検査を行こなった後に治療します。耳鳴が6ヶ月以上続き、原因が特定できない場合には、補聴器装用や認知行動療法、音響療法を勧めます。この段階では、漫然とした薬物療法、反復径頭蓋時期刺激、食品サプリメント、ルーチンの画像検査は勧められません。このガイドラインで私が注目するのは、最後の部分です。つまり、原因が特定できず慢性化した耳鳴症には、難聴例では補聴器装用を、無難聴例では耳鳴り順応(TRT)療法を試すことが推奨され、薬物療法や頻回の画像診断は勧められないという部分です。思いのほか大雑把な?ガイドラインですので、すぐに日本の診療の現場に反映されることはないと思われますが、従来よりもより積極的に耳鳴り順応療法を行う機会は増えるかもしれません。

 ある患者様にcoolなサイトを教えて頂きました。飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイム表示する航空機レーダー追跡サイトの Flightradar24(フライトレーダー24)です。このサイトは、2006年、2名のスウェーデンの航空ファンがヨーロッパ北部・中部の航空機受信ネットワークの構築をスタートし、2009年に公開したのが始まりで、たった5年でこの進化です。有料版ではリアルタイムで航空便の詳細も表示されるそうですが、無料版でも便名は表示されます。さらに、この便名をGoogleで検索すると、その航空機の航空会社名、発着時刻、発着空港、リアルタイムの進行状況が判ります。Googleがこんなところにまで既にリンクさせているのが、私にとっては二度ビックリでした。ネットの進化にはついていけません! フライトレーダー24 へ 
  16日   台風一過、目も覚める秋空です! 当院がお休みを頂いた祝日前後は、外来がやや混み合いました。感染症ではRSウイルス感染症がやや目立ち、アデノウイルス、溶連菌、ヘルパンギーナが散見されました。当院ではインフルエンザ陽性の方はまだ見られていません。 ヒンヤリした気候になってきていますが、まだ外耳炎の方も散見されます。
 スギ花粉症の経口免疫薬シダトレンが8日に発売となりました。薬剤費だけでみると、費用は年間36.000円程度、3割負担の方の自己負担は11.000円ですので、当初予想されていたよりも "安く"治療が受けられそうです。シダトレンの治療に関して、愛媛大学耳鼻咽喉科学頭頸部外科教室より、対応へのアナウンスがありました。経口免疫療法では自宅でアレルゲンを服薬することから、ショックなどの万が一の有害事象への救急対応を万全にするために、救急外来の整った基幹病院で治療を進めようとの方針です。当院でも愛媛大学の方針に則って治療を始めます。詳細は、当サイトの スギ花粉症の経口免疫療法 をご覧下さい。
  7日   台風一過の青空の下、今日は神輿の鉢合わせで有名な松山地方祭の最終日でした。同じく秋空の中、種子島宇宙センターではH2Aロケット25号機の打ち上げが成功、気象衛星「ひまわり8号」が無事、予定軌道に投入されました。H2Aの成功は19回連続(成功率は96%)とのことで、発射は安心して見ていられます。H2Aの後継機であるH3は今年度初めて予算化されました。H2Aが信頼性をより高めて、H3の開発に繋がって欲しいものです。 今日は祭りと学術の秋だと思っていたところ、、夕刻に、赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏のノーベル物理学賞受賞の速報が飛び込んできました。特に中村氏は愛媛県出身、私が大学院で博士号を取得した翌年に高輝度青色発光ダイオードを開発、翌々年に博士号を取得されています。徳島大学のキャンパスは理工人文系と医歯薬系に分かれてはいますが、中村氏と私は同じ時期に身近で研究していたことになります。私の勝手ですが、いつものノーベル賞よりも身近に感じます。^^;
 爽やかな秋の気候の中、外耳炎や外耳道湿疹は目立たなくなりました。

  松山や 秋より高き 天主閣  子規(松山では定番中の定番の俳句です)
10月 5日  台風18号が四国に接近中です。今年は、8月と10月に襲来して、9月は台風が近づかないという変則的な秋です。今晩から明日にかけては気温や気圧の変化が大きいですので、気道過敏症やメニエール病、片頭痛などの体質のある方は、風雨への備えとともに体調管理にも心がけて下さい。
 乳幼児の間で大流行ともいえたRSウイルス感染症ですが、9月下旬には流行のピークは越えた模様です。ただし、例年は11月より流行しますので、2才以下の乳幼児は、今後も感染に注意して下さい。砥部や松山市南部でみられたインフルエンザは散発程度の広がりで落ち着きそうです。感染症情報センターの報告ではほとんどがA型で、一部にB型も認めたとのことです。 これまでのところ、当院では陽性例は認めていません。

 スギ花粉症への経口免疫療法のお薬であるシダトレンが10月8日に発売されます。保険適応で、年間の薬価負担が約37.000円程度、医療保険3割負担の方の自己負担額は12.000円程度です。この他に、新薬期間の平成27年10月までは2週間毎、それ以降は1ヶ月毎の診察が必要ですので、別途、初再診料と管理料、処方料、調剤料などがかかります。治療期間は2年以上(できれば3年間)必要となります。愛媛県下の耳鼻咽喉科施設では、現在、実施に向けての検討が行われています。シダトレンの増量期は県下の基幹病院で行い、維持期を地域のクリニックで行うという方式も検討に挙がっているようです。日本耳鼻咽喉科学会愛媛地方部会などでの方針が決まり次第、当院での具体的な対応方法についてお伝えする予定です。
     
  27日   御嶽山が噴火しました。死火山か休火山と思われていた御嶽山が1979年、2007年に噴火して以来の噴火です。太平洋プレートやフィリピン海プレートからは離れていますので、東日本大震災の連動ではないと思いたいです。これから30~40年、やはり東北地方太平洋沖地震に連動する東南海地震や富士山噴火が怖いです。
 秋花粉症がピークを迎えています。キク科の中では抗原性の強いブタクサの飛散が最盛期と思われます。ハウスダストの成分では、カビが少なくなり、これから初冬にかけて家ダニの死骸や糞がメインとなります。
  22日  昨日の日曜日は、松山市内の小学校の運動会が集中した日でした。 当院では、昨日は目立って小学生の受診が少なく、今日は小学校の振替休日で午前中に小学生の診察が多かく、いつもとは少しばかり趣の違う診察風景でした。。松山市内の小学校の運動会の多くは9月下旬に行われます。しかし、近隣の伊予市や松前町では10月に行われることが多く、全国的にも10月の開催が多いのではないでしょうか。松山では10月初めに地方祭が行われますので、その影響もあるのでしょうね。また、運動会を開催する曜日も、公立小学校でも土曜日に行うと学校もあれば日曜日に行う学校もあり、統一されているわけではありません。松山市内でも例年5月に行う小学校もあります。運動会の開催日は、学校の、特に校長先生の意向で決められるのでしょうか? PTAにも諮っているのでしょうか? ちょっと気になりました。来月は小学校の就学児検診への出務があります。その際に、学校の先生に尋ねてみようと思います。
 徐々にひんやりした気候になってきていますが、昼間はまだ汗ばみます。まだ蒸し暑さが残るためか、外耳炎の慢性化した方が少し目立ちました。8月は強い症状の外耳炎や耳癤の人が多いのですが、9月には所見の軽い外耳炎が増えます。外耳道湿疹と外耳炎・鼓膜炎の中間程度の所見で、時々起こる鈍痛と痒みが続くのが主な症状です。外耳炎が治りにくい人は、乾燥性湿疹などで皮膚が弱い体質があったり、アレルギー性鼻炎などの鼻の過敏症体質があることが多いです。その訳は、1)鼻炎があると、耳管狭窄による耳閉感や耳の後ろの圧迫感をを感じたり、鼻の奥の痒みを必要以上に耳の奥に感じやすくなることから、耳の穴を掻く癖を持ちやすくなるため (外耳道の深部(骨部外耳道)を支配する知覚神経は迷走神経と呼ばれる咽頭を走行する神経の枝であることから、耳掃除すると咳き込みが出たりいします) 2)特にハウスダスト・アレルギーがあると、鼻炎だけでなくアトピー性皮膚炎や乾燥性湿疹、皮膚掻痒症の体質にもなりやすいことから、外耳道皮膚が湿疹化する傾向があるため などが挙げられます。外耳道は皮膚と鼻の接点でもある訳です。外耳炎が慢性化してくると、緑膿菌や耐性ブドウ球菌などの薬剤耐性菌や、カンジダやアスペルギルスのような皮膚のカビ(真菌)による感染が、併発したり続発してくる場合があります。一般的な細菌感染や炎症に対する治療を行っても外耳炎が改善しない場合には、特にこのような可能性にも注意して検査や治療を進めます。

 「世界の小説大百科―死ぬまでに読むべき1001冊の本」に目を通しました。著者はピーター・ボクスオールという英文学者で、千夜一夜物語から現代小説まで、無数の小説の中から選んだ1001冊のあらすじや書評を、出版年順に紹介している労作です。日本人では、川端康成、三島由紀夫、遠藤周作、吉本ばなな、村上春樹、宮部みゆきなどが選ばれていました。年代順に、9世紀のアラビヤ文学「千夜一夜物語」が最初に挙げられていますが、続いては、10世紀の「竹取物語」、11世紀の「源氏物語」、14世紀の「三国志」、16世紀の「西遊記」と続きます。改めて源氏物語の偉大さに気付かされました。 
  18日  先々週先週と松山市南部の小学校、中学校でインフルが複数例発生しているとのことです。松山では2009年の新型の流行時を除くと、例年になく早い報告です。当院ではインフルを疑わせる方の来院は見られませんが、今後の感染の広がりには注意したいと思います。
 来週を中心に小学校の運動会が開催のピークを迎え、10月上旬には保育園幼稚園もピークを迎えます。鼻炎を持つお子様にとっては運動会シーズンが鼻血の出やすい季節です。その理由は、残暑で汗をかきやすい時期に野外活動をすることから、鼻の入り口(鼻前庭と鼻粘膜の境界部)の痂皮を手で掻いて刺激することが多くなり、そのため、痂皮が付着した部位の粘膜血管が拡張して破れやすくなるためです。治療は、毛細血管が粘膜表層に広がる程度であれば、粘膜の凝固作用のある薬剤の塗布と鼻炎の治療で経過をみます。静脈が太く拡張していたり血腫状に突出していて出血の頻度が多い場合や、圧迫止血でも止血まで時間がかかる場合、動脈出血の場合には、高周波電気(サージトロン)で凝固止血します。

  顔面神経麻痺、鼻腔異物など。  
  15日  昨日当院に、翌日より米国に移住のために出発するという患者様が来院されました。今日はアメリカの医療事情についてお話します。
 2007年、マイケル・ムーア監督のドキュメンタリー映画「シッコ」が公開されました。高額医療で6人に1人が無保険のアメリカの医療事情を皮肉った映画です。病院が医療保険を持たない患者を他の救急病院の裏口に”捨てる”、キューバに不法入国してまで医療を受けるアメリカ人、など衝撃的なエピソード満載の映画でした。当時は医師会でも上映会を開いて話題になりました。 現在TPP交渉は、日米の農産物と自動車の交渉が行き詰まっています。交渉中は報道規制しますので、私たちの耳にはまだ入りませんが、医療をはじめとする保険分野の交渉もどこまで進展しているのでしょうか? 1994年に日米保険協議がまとまり日本の保険の自由化が始まり、これによって第3保険と呼ばれる医療保険や介護保険の自由化が認められました。続くTPPによって保険診療と自由診療を同時に行う混合診療がどのように解禁されるのか。日本のありように大きく関わるTPPを理解するためにも、アメリカの医療事情をおさらいしてみました。
 アメリカには日本のような国民皆保険制度はありません。会社負担あるいは個人で、高額な民間医療保険に入ります。65才以上の高齢者と障碍者にはメディケア、低所得者にはメディエイドという公的医療保険制度がありますが、15%の国民が無保険です。中途半端に収入があって保険料の支払えない(支払わない)人は無保険となってしまいます。加えて米国人口3億1千万人に対して1千万とも2千万とも云われる不法入国者には当然医療保険の恩恵はありません。民間医療保険はマネージドケアという制度で運営されています。これは、従来の医師からの求めによる出来高払い制度の基で保険料の高騰と保険加入率の低下が起こったことから、保険会社が医療の決定権を持つという制度です。民間保険には様々なタイプがあります。保険加入者は自分の保険で契約している初期医療を行うプライマリケア医(ゲートキーパー医)を受診します。入院や専門医への紹介は、プライマリケア医や保険会社が契約している病院に限定されます。救急病院も契約の病院に限定されます。保険でカバー出来る疾病や処方薬もあらかじめ契約で制限されています。保険がカバーする地域も同様に制限されます。病院側の立場では、患者がどの保険に加入しているか確認できなければ医療費は支払われません。そのため、アメリカでは”急病の時は、金持ちそうな身なりをして、クレジットカードをもって倒れろ”との話もあります。
 アメリカは医学研究と医療技術の先進国ですが、平均寿命や疾患治癒率、医療過誤の発生率、患者満足度などでは先進国とは言えません。高額医療と医療訴訟の国です。2011年度のアメリカの医療費は 2 兆 7,007 億ドル(約210兆円)で、対GDP比16%。フランスのGDP総額と同額です。過去30年間経済成長率を2%以上上回って増加しています。ちなみに日本の医療費は対GDP比7%です。医療費が高い原因については様々な要因があります。高額な医薬品費、医療訴訟経費、乳児や高齢者の終末期医療経費、医療保険会社の利益などです。そのなかで最も顕著なのは、意外に事務経費とされています。複雑な医療保険に対応するための事務経費が医療費の14%、36兆円も費やされています。事務経費の軽減を目指して、アメリカでは2015年に向かってIC保険証の導入、請求の完全電子化を目指しています。
 医療訴訟に目を向ければ、医療過誤による死者が年間20万人、医療過誤の補償金は1件当たり平均48万ドル(約5000万円)、示談例の補償金は平均46万ドル(約4800万円)です。裁判では補償金の78%が裁判と弁護士費用、示談でも54%が弁護士費用とのことで、訴訟大国の一端が伺えます。アメリカでは現在、医療過誤の賠償金に上限額を設定する検討がされており、2003年にいち早く規制法を制定したテキサス州では、医師登録希望者が殺到しているそうです。アメリカの医師は、毎年7.4%が訴えられ、65才までに外科医では100%、医師全体でも75%が一度は訴訟を経験します。
 医薬品の流通にも問題があります。抗がん剤を中心に高額な医薬品が毎年発売されることから製薬メーカーは少量多品種の生産ラインとなり、また、特許の切れたジェネリック医薬品は製薬企業の利益が少なければ製造を中止することから、供給不足が恒常的に起こっています。投機的な買占めも起こり、抗がん剤の供給不足で治療が延期になるケースもあります。
 振り返って日本では、敬老の日にちなんで発表されたデータでは、なんと100才以上の方が5万8800人とのこと。健康長寿社会は喜ばしい限りですが、これからの超高齢少子化社会に対して、どのような保険制度がよいのか? 消費税を含めてどのような負担をしたらよいのか? TPPはどこまで受け入れるべきか? 近視眼ではなく長期的な視点で検討したいものです。(すいません。批判だけして提言しないマスコミみたいになっていまいました。日本の金融資産1400兆円の75%を50才以上が保有し、内60才以上が60%持っています。この金融資産で間接的に日本国債を買い支えています。金融資産は当然富裕層に偏在化していますが、高齢者の方が若者より豊かです。日本は一丸となれる国民性を持っています。お金は墓場まで持って行けません。相続税を調整して、死蔵している金融資産を国に還付する。高齢者もお金のある人には負担してもらい、公的援助は現物支給を原則とする、、などの方向性はどうでしょうか) 
  13日  9月8日は中秋の名月。翌9日は、月が通常の満月に比べ大きさで14%、明るさで30%増すスーパームーンでした。明るい月明かりの下、夜更けには少し肌寒く感じるようになってきました。8月の不順な気候が一変、9月の方が台風襲来もなく乾燥した日が続いています。このように高温多湿の時期を過ぎると、ハウスダストの主成分であるチリダニは減ってきます。住宅内でのチリダニ数のピークは8月で、9月からは減ってゆきます。しかし、ダニは糞や死骸にも抗原性があります。糞や死骸も含めたダニアレルゲン総量は、梅雨の6月から冬の1月まで多く、アレルゲン量のピークは意外と10月です。これから初冬にかけて、掃除のし甲斐がありそうです。
 9月にからインフルエンザのシーズンは14/15年シーズン入りです。9月入りとともに、島根県の中学校・高校、千葉県の中学校、東京都と岐阜県の小学校と立て続けにインフルの学級閉鎖がありました。いずれもA香港型でした。松山でもインフルの報告がありました。例年でも9月にインフルによる学級閉鎖の報告はありますが、全国多地点から報告されたことは、例年より多いようにも感じます。当院でも例年11月後半から12月前半にはインフルを初検出しています。あと2ヶ月程で当院でもインフルの季節です。1年は早いものです。
 スギ花粉症の舌下免疫療法薬であるシダトレンが10月8日に発売されることが決定しました。私もシダトレン処方医師の資格は既に所得しましたが、経口免疫療法へ地域としてどう対応するかは検討段階です。自宅で服用した後でのアナフィラキシーショックの発現の可能性も否定できないことから、まずは救急対応が可能な地域の基幹病院から始めようとの意見も出ています。当院も含めクリニックでは24時間完全な救急対応は無理ですので、まずは地域の基幹病院に紹介する連携から始めることになりそうです。 
 
 RSウイルス感染症が増えています。全国の報告で例年よりも発生が多いのですが、愛媛県は9月に入り急増しました。当院でも目立って増えてきました。
 RSウイルスは0~1才児の細気管支炎が有名ですが、耳鼻科領域では、RSウイルスによる上気道炎の約半数で急性中耳炎を発症したとの論文があります。ウイルス感染と急性中耳炎の関係を調べた論文では、RSウイルス以外でも、インフルエンザウイルスで1/3~1/2が発症した、アデノウイルスによる3才児以下の上気道感染では約半数で発症した、ヒトメタニューモウイルスでは約1/4で発症したなどの報告があります。このように耳鼻科の立場で見ると、ウイルス感染が中耳炎を惹き起こすことは珍しくありません。特にインフルエンザを筆頭に上気道粘膜の反応が強いウイルス感染の初期には、水疱性鼓膜炎化した中耳粘膜自体の反応が強い中耳炎を惹き起こすことがあります。さらにこのような場合、中耳炎から内耳炎が惹き起こされて耳鳴、めまいを続発する場合もあります。一般的には、急性中耳炎は細菌性がメインとのイメージがありますが、小児のウイルス性上気道感染では中耳炎の続発にも注意して診察しています。さらに、小児の反復性や遷延性の中耳炎の約1/3でウイルスと細菌の混合感染が見られたとの報告もあるように、中耳炎の診療では、”抗生物質の効く”細菌性中耳炎と、”抗生物質の効かない”ウイルス性中耳炎がどの程度かかわり合っているのかにも注意する必要があります。
 医療の現場では1990年代後半から、様々な疾患で治療指針や診療ガイドラインが提唱されています。最初は癌領域で普及してきた手法ですが、医師個人の経験に基づく医療ではなく、蓄積されたデータや論文を基に”根拠に基づいた医療(EBM)”で医療を標準化することは大切なことです。例えば耳鼻科でも、2004年に米国で小児急性中耳炎のガイドラインが作成されて2013年に改定されています。日本でも2006年に発表されて2013年に第3版が発表されました。米国では1994年には小児滲出性中耳炎のガイドラインが提唱され、2004年版が世界的に活用されています。ちなみに中耳炎に近い領域である鼻副鼻腔炎では、2000年に米国急性細菌性鼻副鼻腔炎の抗菌薬治療ガイドライン、2007年に欧州鼻科学会やベルギーのガイドラインが出され、2010年には我が国でも急性副鼻腔炎のガイドラインが出されました。
 私も当然、ガイドラインを念頭に置いて診療をすすめていますが、一筋縄ではいかないのが実際臨床の場です。また、ガイドラインも適宜改定されていきます。小児急性中耳炎の治療指針に関して挙げれば、2000年初頭にベルギーから90%は抗菌薬を投与しないで治るので、まずは消炎鎮痛剤のみで経過を見るべきとの提唱がありました。その当時は、わが国でも耳鼻科は抗生物質を使いすぎるとの内科領域からの批判があったのを覚えています。2004年の米国のガイドラインでも軽症例はまずは抗菌薬なしで経過を見るとの指針でした。ところが米国ではガイドライン策定後も、小児に抗菌薬が使用される疾患として急性中耳炎が最多のままであり、抗菌薬の処方率も変わらないままでした。2004年版では検討データに滲出性中耳炎の子供も急性中耳炎として登録されていたり、鼓膜の明確な観察がないままに急性中耳炎が診断されていたことなどを反省して、2013年の改訂版では、厳しい鼓膜所見による診断基準が提唱されました。また、2才未満では抗菌薬投与が原則となり、年長児で軽症であっても、抗菌薬投与なしで経過を見る場合には、保護者との相談による意思決定に基づくこととされました。欧米のプライマリケアでは、まず家庭医が初期治療します。乳幼児で鼓膜の評価が難しい場合には、症状の訴えだけでも中耳炎と診断せざるを得ません。それに比べて日本では、耳鼻科医がプライマリケアしていることから鼓膜所見を基に診断されます。また、海外と日本では薬剤耐性菌の検出率に大きな違いがあります。中耳炎の代表的な起炎菌である肺炎球菌は、北欧では耐性化率は10%以下、日本では50%前後。また、インフルエンザ桿菌の耐性化率も日本は特に高い、との報告もあります。あくまでも海外のガイドラインを厳格に踏襲するのではなく、ガイドラインの作られた時期、地域、背景を考慮して、診療にガイドラインを活用したいと思います。

  腺腫様甲状腺腫(甲状腺嚢胞) 外リンパ瘻 好酸球性中耳炎など  
  7日  少しずつ秋の気配です。今日は空気も澄んで、松山城も近く見えました。
  松山や 秋より高き 天主閣  子規
 錦織選手、全米オープンテニス、決勝進出おめでとうございます。グランドスラムの決勝戦で日本を応援できるなんて感激です! 私は学生時代、ソフトテニスをしていました。ソフトテニスはダブルスだけですのでより一層感じるのかも知れませんが、それにしても一流選手のシングルスのプレーは、コートがなんと小さく見えることか。あれだけの球速で前後左右に振られてもストロークが続きます、、 凄いの一言です。
 
 秋花粉症の季節です。お盆明けから、秋のイネ科雑草が飛散していましたが、これから、キク科のヨモギ花粉が、9月下旬にはキク科のブタクサ花粉が飛散します。5月のイネ科カモガヤと同様、ブタクサも抗原性が強いです。キク科雑草の花粉症の方は、これから10月初めにかけて、天気の良い日に公園や草むらに近づく際にはご注意下さい。また、秋は気道過敏症が強くなりやすい季節です。気管支喘息領域では、台風接近で20%の人が発作を誘発した、前日より気温が3℃以上下がると症状が悪化しやすい、などの報告があります。台風や秋雨前線で朝から冷たい雨が降っている時には、鼻炎も含めて気道過敏症が強くなりますので、体調管理に留意して下さい。 
9月  2日  夏休みが終わりました。今年9月の松山の日照時間は平年の44%、東予では36%、さらに東予と南予では猛暑日も無かったそうです。来年のスギ花粉の飛散数はかなり少なくなりそうです。 スギ花粉症の舌下免疫療法薬シダトレンは1月に製造販売承認を得ていましたが、本日9月2日に薬価収載となりました。これから年内に正式に発売となります。今回の薬価収載では、私としては、シダトレン以外に、初の爪白鮮用外用薬やC型肝炎治療薬、COPD(慢性閉塞性肺疾患)用吸入薬が目につきました。それにしても、抗がん剤の新薬はやはり高価です。
 お盆明けから10月にかけては感染症の少ない時期になります。当院でみる感染症としては、溶連菌やアデノウイルス、RSウイルスが時に検出されますが、1~2日の発熱と咽頭痛で終わる軽い夏かぜのウイルス性咽頭炎がやや目立つ程度です。
 愛媛県でも、代々木公園で感染したと考えられるデング熱が報告されました。交通手段の発達した現代では、感染症の伝播は、一気に広範囲に及びます。幸にもデング熱は蚊→ヒト感染だけですし、アフリカで深刻化するエボラ出血熱も接触感染ですので、愛媛県でにわかに流行するものではありません。しかし、今後そう遠くない時期に発生するであろう新型インフルは、飛沫感染かつ感染力が強いので、一気にパンデミック(大流行)する可能性があります。新型インフルはやはり怖いです。
     
  28日  夕方は目に見えて涼しくなりました。虫の音が耳に心地よいです。夏休みも、あと3日です。小学生達の夏休みの宿題ははかどっているでしょうか? 当院でも健診結果の報告書を持って受診する小中学生が目立ちました。これも夏休みの宿題のひとつですね。
 お盆明けの手足口病は、小児1名、成人1名のみでした。今年の手足口病は流行らしい流行がなく秋を迎えるかもしれません。例年11月から1月にかけて流行するRSウイルス感染症ですが、8月からやや目立っています。RSウイルス感染症は乳幼児の細気管支炎が有名ですが、時には中耳炎を誘発する場合もありますので、耳鼻科ではこの辺りにも注意しています。 
  22日  全国で甚大な被害をもたらしている”平成26年8月豪雨”ですが、8月の日照時間は西日本太平洋側で平年の49%とのことで、農作物への悪影響が心配されています。スギ花粉の生育もかなり抑制されているものと思われます。残念な豪雨ですが、これだけは唯一、救われます。 
 夏休み終盤に入り、風邪で急に高熱の出るお子様は目に見えて少なくなっています。
 お盆前に、当院のAEDの導入と講習が終わりました。AEDは毎日自動で、機器に異常がないか自己診断してPHSでデータをメーカーに送信します。異常があれば当院にも即座に連絡が入るというシステムです。改めて、万全なサポート体制に感心しました。AEDの世界的な普及率をみると、人口比では日本が1番だそうです。それでも救急時のAEDの活用率は3%とのことで、もっと活用できれば救命救急率が上がることが期待できます。改定された救急マニュアルでは、全く意識が無い、全く呼吸をしない、心拍動がない、この3点が確認できれば即座にAEDを装着して、自動判定の上で除細動を行います。しかし、公共の場で人が倒れていた場合に、周囲の一般の人(救命救急ではバイスタンダーと呼びます)が即座に意識・呼吸・脈拍を観察して、冷静にAEDを取りに行き装着するというのは、なかなか難しいと思います。実際は、”直ぐに119番通報して、救急車が到着するまで付き添っていてあげる”のが一般的な対応だと思われます。日本臨床救急医学会では2010年に「心肺蘇生の指導方法、指導内容に関するコンセンサス2010」という提言を行い、その中で、小学校中高学年の低年齢でも「安全を確認しつつ、救命の連鎖を理解し、実技によって友だちと協力して心肺蘇生を実施することができる。心肺蘇生に必要な知識とともにAEDを使用することができる。実技が必ずしも十分伴わなくても容認する。」ことを目標としています。今後、義務教育の場で、心肺蘇生やAEDの講習の機会が広まれば、日本で年間6万件を超える心原性心肺停止の救命率が上がるものと期待されます。  
  20日  暑い日が続いています。昨日の松山の最高気温は35.0℃。昼のニュースでは全国で3番目に暑かったとのことでした。夜の全国ニュースでは特に取り上げられていなかったことから、恐らく午後2時頃は、もっと暑い地点が全国的にいっぱい出てきたのでしょう。松山は盆地ではありませんので、やはり強烈な暑さにはならないのでしょうね。 ちなみに、松山の最高気温は94年7月22日の37.0℃です。1961年以降のデータですが、35℃以上は結構記録しているようです。それでも過去トップ30位までの記録の内、21日は2000年代に入り記録されています。松山でも今世紀に入り温暖化は進んでいます。ちょっと気になって当院3階のベランダに設置されたポールンロボのデータを見てみました。ベランダで暖められた上昇気流にせいで、軒下の設置地点は気温よりずいぶん暑くなります。昨日は午前11時に40.1℃となり午後3時には41.5℃を記録しています。7月25日の午後3時が41.6℃でしたので、当院での今年最高気温の日は7月25日になりそうですが、午前11時からずっと暑かったという意味では、昨日が今年一番の暑さでした。
 今日は、今月初めての手足口病のお子様が来院しました。今年はこれまで”うそ”みたいに少なかった手足口病ですが、昨年同様、これから9月にかけて少し増えてくるかもしれません。
  航空性中耳炎、甲状腺腫、慢性穿孔性中耳炎、ステロイド依存性感音難聴など。 
  18日  お盆休みが明けました。今年は11年振りに雨の多い8月とのことです。お盆期間中も梅雨のような日が続きました。スギ花粉を放出する雄花は7月頃から形成され始め、11月頃に雄花の中の花粉が成熟し、その後の気温の低下や日照時間の短縮で雄花は休眠状態になります。このような背景があることから、何らかの刺激で11月~12月に花粉の一部が放出されて秋季スギ花粉症が惹き起こされます。夏の雄花は、猛暑で気温が高く日照時間が長い程、沢山形成されます。今年は日照時間の短い夏になりそうですので、来シーズンはスギ花粉症の表年ですが、案外、飛散数の少ないシーズンになるかも知れません。(^.^) どの程度の飛散数になるのか? 12月から1月にかけて発表されるスギ花粉飛散予測が興味深いです。
 当院のお盆明け2日間の診察をみると、小児ではヘルパンギーナが目に見えて少なくなり、アデノウイルスやRSウイルス感染症がやや目立ちました。成人では高熱が2~3日続くウイルス性咽頭扁桃炎の方や外耳炎の方が目立ちました。
  頚部腫瘤、甲状腺腫瘍、丹毒、面疔、突発性難聴、顔面神経麻痺、扁桃周囲膿瘍など。

 今年の立秋は8月7日でした。お盆を過ぎるとさすがに朝は少しヒンヤリします。夜には虫の音も聞こえ始めました。
  ひゝやりと すきまの風や 秋のたつ  子規 
  11日  明日より4日間、当院ではお盆休みを頂きます。私も少しばかりゆっくりしたいと思います。当院かかりつけの方で休み期間中にご不安な点がありましたら、当院に掲示してあります時間外の連絡先までご連絡下さい。
  9日 台風は松山をやや逸れて、西よりに進んでいます。それでも夜にかけて風雨は強くなってきました。今日の午後からは四国と本州の交通手段は全て遮断されました。台風の翌日は全国紙の新聞が来ない、、なんだか昔を思い出しました。
 外出もままならない天気でもあり、少しばかり本の紹介です。
 現代新書「精神医療ダークサイド」は、読売新聞記者 佐藤光展氏の精力的なルポルタージュで、統合失調症と強迫性障害・解離障害・発達障害の間における誤診、過剰投薬の問題、強制入院(措置入院)の問題、うつ病における過剰診断の問題、精神安定剤への薬剤依存や離脱症状の問題、暴言面接の問題などを鋭く取り上げています。記者ならではのアプローチで、違う病院で誤診が疑われた患者の前医である,
大学病院担当医と教授へのインタビューには目が離せませんでした。治療で良い結果が得られないことから患者自身の意思で医療機関を変えた場合には、前医にはその情報は入ってきません。ドクターは治療が上手くいかなかったケースほどフィードバックがかからないものです。これは耳鼻科でも言えることですので、記者が前医にインタビューして初めて前医が経過を知る、という流れは読んでいて”興味深い”ものでした。また、小児の言語発達遅滞を扱う私としては、10代の若者の10数%は統合失聴様の幻聴・妄想体験があるとの論文の紹介、若者が強度のストレスで幻聴・妄想体験が結構得出現するとのレポートは参考になりました。また違う章では、”暴言面接”という表現で、精神医療の現場で患者を怒鳴りつけたり見下す医師の実態とそうなってゆく背景を紹介しています。混み合った診察の中で15分間患者の”ダラダラ”とした訴えを聞いていて怒り出した医師の紹介もあります。私も診察が込み合っている時には、実は10秒単位で時間は気になっていますので、”暴言面接”という表現は、私の心にも深く滲みました。
 ここ数年、精神安定剤や睡眠薬への依存症が注目されています。 私も、耳鳴症には長時間作用タイプの精神安定剤を、入眠障害には睡眠導入剤を屯用で処方していますので、最近気になっている領域でした。精神安定剤や睡眠薬として広く用いられているベンゾジアゼピン系薬剤は薬物依存を惹き起こします。依存症には、精神的に欲求が強くなる精神依存、体内の薬物量が減って苦しい離脱症状が起こる身体依存、薬の効果が減ってきて使用量が増える薬剤耐性があります。この本では2年前に翻訳版が出たベンゾジアゼピン依存症離脱の手引書である「アシュトン・マニュアル」(ネットで公開中)とその著者のコメントを紹介しています。このマニュアルを読むと、依存発生の機序、治療の実際が良く判りました。(ただし治療法については否定的な意見も一部にはあります) 私も精神安定剤を複数回処方する場合には、依存の傾向が生じてないか確認するための問診、依存症という病態があることについての啓蒙を行ってきましたが、改めて依存症の気配がないかどうかの確認の重要性を認識しました。
 雑誌「こころの科学」3月号の特集は、「自閉症スペクトラム」でした。精神科領域では、米国精神医学会の診断マニュアル(DSM)が標準的な診断指針となっています。2013年にDSMが20年振りに改定されDSM-5が出されました。DSM-3で発達障害、自閉症の領域ができ、DSM-4で、広汎性発達障害の下位分類で高次脳機能障害であるアスペルガー症候群などが位置付けられました。DSM-5では、神経学的発達障害の下に、自閉症スペクトラム障害、知的症障害、注意欠陥/多動性障害、チック障害などが置かれ、アスペルガー症候群の記載が無くなりました。高次機能障害でない自閉症の多くが、1~3才頃に言葉が遅いことから明らかになってきます。聴覚障害や音声言語障害の診断治療にもこの分類の変更はこれから徐々に影響していくと思われます。今回の特集で発達障害の考え方の変遷が良く判りました。
  8日  今日は松山まつり初日。夕刻の大街道周辺は大渋滞でした。今日の野球拳おどりは開催されましたが、台風の影響で明日のおどりは中止となりました。明日の高知のよさこい祭り前夜祭も中止です。 台風11号は、明日の午後から明後日の午前にかけて四国に直撃しそうです。この土日に当院への受診を予定されている皆様は、強風や足元にくれごれも注意の上お越しください。 
8月  5日  三津浜花火大会が終わり、子供達の夏休みも折り返し点です。高知、徳島では大変な豪雨となりましたが、松山も天候不順が続いています。 
 暑さのせいで外耳炎を惹き起こす方は目立ちますが、風邪に罹る方は目立って少なくなりました。ヘルパンギーナが散見される程度です。

 当院外来も本格的な夏休み入りです。例年、当院ではこの時期を利用して、救急体制の再確認を行っています。今日はまず新しい救急マニュアルの輪読を行いました。
 日本ではAED(自動式体外除細動器)が医師以外でも使用可能になって10年になります。最近では公共施設の至る所でAEDを見かけるようになりました。また、2010年にアメリカ心臓協会(AHA)の心肺蘇生ガイドラインが改定になったことから、我が国の救急処置や心肺蘇生のマニュアルも、ここ3年で大きく変わりました。従来はABC(A=Air Way(気道確保) B=Breathing(呼吸) C =Circulation(循環))の順番でしたが、CABと循環機能の処置が最優先とされるようになりました。意識消失&呼吸停止&脈拍の認められないケースでは、人工呼吸より先に、直ちに100回/1分間のペースで胸骨圧迫を行います。それでも心拍動が戻らない場合には、AEDで自動判定の上、除細動を行うことが求められています。当院ではこれまで一般的な除細動器を備え付けていましたが、バッテリーの更新時期を迎えたことから、この夏にAEDも新たに設置することとしました。(ちなみに従来の除細動器も、コンセントからの給電で心電図モニターとしての使用は可能ですので、心電図モニターのバックアップとして外来には備え付けておきます) 当院では開院以来、幸にも挿管を含む人工呼吸や除細動を必要とする機会はありませんでしたが、今後も万一に備えて、救急処置のトレーニングや救急器具の整備点検は、怠らないように心したいと思います。
     
  31日  7月も最終日です。風邪の流行では、全国的には、咽頭結膜熱が例年より多目、ヘルパンギーナが例年並みに増えました。夏休みに入り、当院でも保育園児の間ではヘルパンギーナがやや増えましたが、これから8月に入ると小児の集団生活の機会がますます少なくなりますので、風邪に罹るお子様は目立って減ってくると思われます。
 猛暑のせいで、耳垢栓塞⇒耳掃除や汗、入浴の刺激⇒外耳炎を誘発 のパターンの方が増えました。土用の丑の日を迎え、うなぎ魚骨による咽頭異物の方も来院されました。 

 今年の日本気管食道科学会専門医大会では、好酸球性食道炎の講演がありました。アレルギー性鼻炎の領域では、アレルギー反応の解明は、ヒスタミン・肥満細胞・IgE抗体による即時型反応の解明、ケミカルメディエイタ―を介した遅発性反応の解明、好酸球を介した過敏症の解明と研究が進んできましたが、消化器内科の領域でも、食物アレルギーに対するIgA、IgEを介する即時型反応の解明から、好酸球を介する反応の解明へと研究のstageが進んできています。気管食道科領域でも今後、好酸球を介した反応が注目されてくると思います。好酸球性食道炎・胃腸炎はヘルパーT細胞の中のTh2細胞を介して消化管粘膜に好酸球細胞の浸潤が起こる疾患です。厚労省研究班の診断指針案では、嚥下障害やつかえ感を有する患者で、食道生検で上皮内に好酸球が20/高視野以上あることが必須で、食道粘膜の白斑や狭窄・食道壁の肥厚・血中好酸球増多を認め、胃酸を止める薬剤であるPPIが無効でステロイドが有効な傾向があるとされています。また、40~50才台の男性が8割を占め、逆流性食道炎と似た症状を呈するとされます。PPI抵抗性の逆流性食道炎の4%は好酸球性食道炎であるとの報告もあります。そのため、逆流性食道炎を疑う症例でPPIに抵抗性であれば、好酸球性食道炎も疑う必要があります。好酸球性食道炎を誘発する食物は、牛乳、小麦、大豆、卵、ナッツ類、海産魚類が多いことから、治療は、それらの除去、吸入ステロイドを口腔内に噴霧して30分かけて徐々に嚥下する、などがありますです。日本ではピロリ菌感染者の減少にともなって逆流性食道炎が増えてきていますが、好酸球性食道炎も増えてくることが予想されています。私も逆流性食道炎や咽喉頭酸逆流症を疑いアレルギー素因も有する方に対しては、好酸球性食道炎の存在も視野において診断を進めたいと思います。 
  27日  松山も20日に梅雨明け、一昨日は最高気温も36.4℃と 、夏休みに入り猛烈な暑さです。水遊び好きな子供達にとっては願ってもない夏休みですが、体育館で運動していた小学生がめまいで来院したりと、耳鼻科の立場でも熱中症が気にかかる猛暑の夏休みです。
 夏かぜの流行では、へルパンギーナだけが例年並みに増えています。

 口蓋扁桃潰瘍、NSAIDs不耐症、顔面神経麻痺など。
  18日  今日は終業式、明日からは子供達待望の夏休みです。九州南部は15日に梅雨明けです。松山も連日猛暑です。夏休み入りとともに四国も梅雨明けですね。
 夏休み前にして、小児の感染症ではヘルパンギーナだけが急に増えました。ヘルパンギーナは急に高熱が出ますので、お母さまも心配して来院されます。夏休み入りとともに始まるお泊り保育に参加できるかどうか心配されるお母さまも見られました。アデノウイルス、溶連菌は引き続き散見程度で、手足口病は先週一人だけ来院されました。 成人では症状の軽いウイルス性咽喉頭炎の方が目立ちました。
 夏本番で子供達の水遊びやプール遊びも本格化します。急性中耳炎、滲出性中耳炎の遷延化、慢性穿孔性中耳炎、肉芽性鼓膜炎、鼓膜チューブ留置中などで水泳が出来るかどうかの相談も増えました。寒い時期の室内プールでは、プールの前後での寒冷刺激や室内の塩素の刺激が鼻の刺激になるために、反復性中耳炎や難治性中耳炎のお子様のスイミングは好ましくありませんが、水が温んだ夏の野外活動での水泳には出来るだけ参加させたいものです。どの程度の水遊びやプール遊びなら耳に影響がないのか、どのような耳栓を着用すればよいのかなど、出来るだけ個々のお子様の耳の状態に合わせて指導したいと思います。 
  13日  風邪の流行では、当院ではヘルパンギーナが少し増えてきました。アデノウイルス感染症、溶連菌感染症が散発し、手足口病は全く見られていません。当院の状況は、全国や愛媛県の発生状況ともほぼ一致しています。また、沖縄では例年通り、今シーズンも夏でもB型インフルの発生が続いています。
 マダニ媒介性の重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、2011年に中国で初めて報告され、2013年1月に本邦でも海外渡航者以外から初めて報告されました。この夏、愛媛県は宮崎県に次いで2番目の報告数です。マダニはイノシシなどの野生生物が出没する環境で多く見られ、里山のあぜ道などにも生息しています。市街地である当院近隣ではマダニ咬傷は少ないですが、市街地を外れると多く発生しているようです。SFTSは、マダニに咬まれSFTSウイルス(SFTSV)に感染すると6日〜2週間の潜伏期を経て、発熱と消化器症状が発現します。白血球や血小板が減少し、AST・ALT・LDHなどの血清逸脱酵素が増加します。致死率も6〜30%と報告されていますので決して侮れる病気ではありません。これから秋にかけて、野外活動でマダニに咬まれた方はご注意下さい。  
  11日   今日、当院では蝉が初めて鳴きました。 アブラゼミでした。梅雨があけると蝉しぐれです。
 昨日、気象庁がエルニーニョ現象の予想を訂正しました。当初の予想より遅く秋に始まるために、夏は猛暑になる見込みとのことです。エルニーニョ現象が夏に始まる⇒夏が冷夏⇒来シーズンのスギ花粉の飛散が少ない、となりますので、エルニーニョ現象が秋から冬にかけてとなると、来シーズンのスギの飛散量は多くなります。2000年代に入り、スギ花粉の飛散量は増えています。今シーズンのスギの飛散量は、裏年の中では過去最高のレベルでした。ヒノキも過去最高だった昨シーズンには及びませんが、例年より多く飛散しました。今日は台風一過で関東地方はのきなみ猛暑でした。もう1週間あまりで夏休みです。さて、今年の夏は本当に猛暑となるのでしょうか。表年となる来シーズンのスギ花粉の飛散量はどうなるのでしょうか。

  扁桃周囲膿瘍、耳管開放症、突発性難聴など。
  9日  愛媛県立中央病院の医療連携懇話会に出席してきました。病院のエントランスが完成していて、ホテルのロビーのような美しさでした。県病院は病室から観覧車とお城の夜景が望める全国でも珍しい病院ですが、よりおしゃれな病院となりました。県病院の最上階には骨髄移植用の無菌室があります。新しくなった病院で無菌室を最上階にした理由のひとつが、骨髄移植で病棟を出られない患者様の心が、城山などの美しい景色が見えることによって和らぐように出来ればとのことだそうです。
 今回の講演会は脳卒中センターが担当でした。血管内治療、頭部外傷、心原性脳梗塞の抗凝固療法、パーキンソン病などの最新の治療についての講義があり、私も勉強になりました。今回、私が参加した主目的はガンマナイフの新機種についての講義があったからです。ガンマナイフはガンマ線をピンポイントで頭に照射して放射線治療を行う装置です。現在、四国では愛媛県中と高知県もみのき病院だけに導入されています。 なお、ガンマナイフと似た治療法でX線をピンポイントで照射するサイバーナイフは、四国では済生会今治病院のみに導入されています。ガンマナイフやサイバーナイフは脳外科が行う治療ですが、耳鼻科からは聴神経腫瘍の治療で紹介します。聴神経腫瘍は緩徐に進む難聴から発症することの多い良性腫瘍で、脳腫瘍の約10%を占めます。この腫瘍は、耳鼻科医が難聴やめまいで早期発見しますが、最近は脳ドックで偶然見つかる場合も増えています。確定診断は造影MRIで行います。直径10mm以下の腫瘍では、新たな症状の発現に注意しながら定期的にMRIで大きさの推移をみて経過観察する場合が多いですが、10~30mmの大きさとなるとガンマナイフも治療の選択枝に入り、30mm以上では主に脳外科が後頭蓋下開頭で頭蓋内からの手術を、場合によっては耳鼻科医が中耳や側頭骨からアプローチする径迷路法や中頭蓋窩法による手術を行います。愛媛県民は脳腫瘍の先進放射線治療を県内で受けることができます。聴神経腫瘍を専門分野に持つ私にとっても心強いです。 
  7日   先日、集中豪雨のニュースがないと言った矢先ですが、7月としては過去最大級の台風8号が近付いてきています。予想では、宮古島の波の高さは最大14m、強力な津波に匹敵します。中心付近の風速50m、最大瞬間風速は75mとのこと。昨年フィリピンを襲った台風30号ヨランダは895ヘクトパスカル、最大風速87.5m、最大瞬間風速105mだったそうです。今回の台風はさすがにヨランダ並みまでは達しませんが、それでも大きな被害が予想されます。当院でも植木やすだれの撤去などの準備をしたいと思います。今日は七夕ですが、残念ながら、織姫のこと座ベガも、彦星のわし座アルタイルも見ることはかないそうもありません。今日降る雨は催涙雨、織姫と夏彦が流す涙だそうです。今後数日、急激な気温や気圧の変化が予想されます。気道過敏症やメニエール病の方は体調の管理を心がけて下さい。
  ガマ腫、耳癤、肉芽性鼓膜炎など。


 病院東側の樫の木に鳩が巣作りを始めました。診察室からよく見えます。当院では初めての鳩の巣です。雛鳥の巣立りを間近で見られそうです。一方、鳩は帰巣本能が強いそうで、一度巣を作ってしまうと将来の糞害や鳴き声の騒音も気にはなります。台風でどうなるか、、、悩ましいところです。 
7月 4日  梅雨も後半ですが、今年は全国的に少雨だそうです。そういえば集中豪雨のニュースが聞かれません。この気候が影響しているのでしょうか??  夏かぜが例年より極端に少ないようです。手足口病はほとんど見られません。アデノウイルスによる咽頭炎も散発程度です。ヘルパンギーナが少しずつ増えていますが、夏かぜが流行らないうちに夏休み入りするかもしれません。(^^)
  長靴の たけに余るや 梅雨の泥  子規
     
  27日  サッカー日本代表、残念でした。それにしても北中南米の躍進が目立ちます。アジア勢は1勝もできませんでした。次のW杯ロシア大会ではアジア枠が現在の4.5から4に減らされるかもしれません。今後のW杯開催を狙う中国も実力をつけてくるでしょう。次回W杯アジア予選も心して望まないといけませんね。 
 当院で診る夏かぜは、症状が軽いタイプのアデノウイルスは例年よりやや多めですが、ヘルパンギーナ、手足口病は例年同時期よりかなり少ないです。特に手足口病は全く見かけません。愛媛県でも全国でも同様の傾向です。今年の梅雨の気候がどう影響しているのか、少し興味深いところではあります。
 スギ花粉症の経口免疫療法ですが、8~10月に薬価収載される見込みだそうです。経口免疫療法へ地域としてどう対応するかの検討も進められています。自宅で服用した後でのアナフィラキシーショックの発現の可能性も否定できないことから、まずは救急対応が可能な地域の基幹病院から始めようとの意見も出ています。当院も含めクリニックでは24時間完全な救急対応は無理ですので、まずは地域の基幹病院に紹介する連携から始めることになりそうです。 
  21日   日本代表、なかなか勝てません。コートジボアール戦は日曜日10時キックオフでしたので、当院では初めて中待合でもテレビ中継を無音で放映しました。診察中の私からは見えませんので、スタッフが途中経過で日本が先行していると教えてくれました。その後、情報がなかったので、私は日本が勝ったのかな?と思っていましたが、後で結果を聞いて、、がっくりでした。(;_;) コロンビア戦では、日本代表が4年間追い求めてきた戦術を変えることなく、心置きなく戦ってほしいです。
 梅雨空の中、今日は耳管機能不全(耳管狭窄と耳管開放症)、軽度の平衡障害、鼻過敏症による頭痛の方が特に目立ちました。気圧の変化や温度変化、クーラーの環境などが複合的に影響していると思われます。
 インフルエンザはここ10日ほど、全く見かけなくなりました。急な発熱と口内炎によるのどの強い痛みが特徴的なヘルパンギーナが幼児で増えてきました。
 最近話題の理化学研究所ですが、アレルギーに関する新たな研究成果が発表されました。「好塩基球と自然リンパ球の共同作業による、喘息の新たなメカニズムを解明」というものです。気道領域でのアレルギー研究の流れをざっとまとめると、以下のようになります。理化学研究所の研究が発展すると、これまで解明されていなかった好塩基球を介するアレルギー機序のさらなる解明が期待されます。またこの研究によって、新しい機序の治療薬の登場も期待されます。
60年代: Ⅰ型即時反応、肥満細胞・ヒスタミンを介する抗原抗体反応の解明、IgE抗体の発見(京大 石坂氏)
70年代: 持続性抗ヒスタミン剤、気管支拡張剤の開発
80年代: ケミカルメディエーター、神経伝達物質(PG、LT、PAFなど)の作用解明、吸入(鼻噴霧)ステロイド、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、眠気の少ない抗ヒスタミン剤、作用時間の長い気管支拡張薬の開発、RTC(Round The Clock)療法、β刺激剤の少量定期吸入
90年代: アレルギー性炎症-遅発反応、好酸球の関与(00年代に悪玉説確定)の解明、吸入ステロイドの再評価(リモデリング理論)
10年代:ヒスタミン・レセプターの分子構造解析で薬効の分子生物学的評価が可能に、好塩基球・自然リンパ球の関与、減感作から免疫療法へ、食物アレルギー領域では耐性誘導の考え
20年代以降: 遺伝子診断(テーラーメイド医療)?分子標的薬?さらに将来は遺伝子治療?
  
  甲状腺腫瘍、亜急性甲状腺炎、頚部腫瘍、老人性平衡障害、起立性調節障害、鼻茸摘出術、鼻粘膜レーザー手術など。
  11日   今日は10日振りにB型インフル陽性の方がいました。患者様共々、少しビックリです。梅雨空の下、徐々に蒸し暑い日が増えてきました。当院でもクーラーを点け始めました。ここ3日程で、ヘルパンギーナのお子様が目についてきました。耳掃除の後で外耳炎を誘発したり、外耳道真菌症化する方も出てきました。冬の感染症のインフルの発生もまだ見られますが、当院外来も夏モード入りです。 
 ここ3日、気圧外傷による外傷性鼓膜穿孔の方が立て続けに来院されました。鼓膜が傷ついて穴が開く場合で多いのは、耳掃除の最中に他人の手が当たったり、小さなお子様が自分で棒を突っ込んで傷つけてしまうケースですが、ここ数日はなぜか様々なパターンの圧外傷による方の来院が重なって、これも少しビックリしました。水泳、ダイビング、平手が当たる、テニスボールが当たるなど誘引が多岐に亘っていました。
 もうひとつ、昨日の外来で印象深かったケースをご紹介します。前夜の食事で魚の骨がのどに刺さった方ですが、一見すると骨は見えませんでした。嚥下時の首への痛みの響き具合から骨のある場所を類推してピンセットで探ると、扁桃腺の下(下極)に堅い部分がありました。周囲を圧排すると骨の頭が見えて、無事、摘出する事が出来ました。咽頭異物が疑われるのに異物の位置が判らない場合も往々にしてあります。ウナギの小骨が扁桃腺に埋もれてしまったりすると、見つけ出すのもなかなか困難です。先日の学会発表でも、CTでやっと異物の部位が判った舌根扁桃異物の報告もあったぐらいです。埋もれている小骨をが摘出出来ると、私も思わずホッとします。

 急性喉頭蓋炎、中耳コレステリン肉芽腫、口唇粘液嚢胞、唾石摘出術など。




 城山公園から見上げた緑濃き松山城天守閣・二の丸公園と、城山公園内にある愛媛県美術館です。下の写真の美術館新館1階の長い窓ガラスの部屋は、美術情報図書コーナーです。窓の外に向かって閲覧用のデスクが設置されいて、上の写真のアングルそのままの松山城を正面に望みながら、無料で資料の閲覧ができるようになっています。一般的な図書館の机と違って、大きな美術全集を広げても十分な、ゆったりとしたスペースの確保されている机です。図書コーナーには様々な美術全集や美術雑誌、写真雑誌などが置いてあります。また、全国の図書館や美術展の図録も置いてありますので、居ながらにして様々な美術展の企画が楽しめます。今日、私は初めて土門拳の「古都巡礼」全5巻を手にしました。オリジナルの大型写真集の古都巡礼は、今では個人での入手は困難ですので、美術館さまさまです。時間を気にせず閲覧して、目が疲れたら隣のカフェでちょっと一休み、、と行きたいところですが、今日の私は写真集をパラパラと紙芝居のように”手にした”だけでした。^^; 
  5日   今日もよく雨が降りました。松山は3日に梅雨入りです。平年よりやや早く、気象庁の予想入りも少し早い梅雨入りです。梅雨時は前線の通過で急激に気温や気圧が変わります。前日より3℃以上気温が低下すると喘息発作が誘発されやすいとの報告があります。鼻過敏症やメニエール病、片頭痛なども急に悪化することがあります。これから1ヶ月、体調の変化にご注意下さい。今月の後半からは、学童の水泳の授業が始まります。水温が規定以上で開始されますが、6月中は低い水温でのスイミングとなり、水泳の後で体は冷えてしまいます。学童はスイミングによる気道過敏症の悪化にも注意して下さい。梅雨から9月の残暑や台風シーズンまではダニ・カビのハウスダストの季節です。クーラーや除湿機を使い始めるシーズンにもなります。エアコンや除湿機のフィルターにはカビが多く存在します。家ダニも爆発的に増殖します。ダニは成虫以外でも、死骸や抜け殻、糞も抗原性が強く、糞は空中にも浮遊します。ダニの好物は人やペットの垢やフケで、布団やソファー、カーペットの中に潜り込む習性があります。天気の良い日には部屋の換気やシーツ・布団の天日干しにも心がけて下さい。
 今週に入り、当院でもB型インフルの発生はほぼ無くなりました。(^^)

  好酸球性中耳炎へのステロイド鼓室内注入、口蓋扁桃縮小手術、鼻茸摘出術、鼓膜換気チューブ留置術など。 
6月 1日   6月に入りました。昨日は北海道で30℃越え、全国でも5月の最高気温を更新した地点が多く見られました。今日は朝からまるで7月のようでした。
 昨日今日の診察では、これだけ気候が良いのに中耳炎の治りが悪い子供たちが目立ちました。私としては、がっかりです。(;_;) 先日の学会でも、中耳炎が遷延化すると乳突洞という中耳の奥の含気腔が発育しないために、さらに悪循環に陥るとの発表がありました。10才の時点で乳突洞が十分発育していないと、成人になっても中耳炎の体質を引きずることになります。小学生が今の季節に中耳炎が難治化していると悩ましいです。まだ急性期で細菌感染をコントロールすれば治癒していくstageなのか? 耳管狭窄が主体の換気不全のstageなのか? 鼻炎としてアレルギーの要因は? どこまで副鼻腔炎化していて細菌感染が主体科か? アレルギー性副鼻腔炎が主体か?  アデノイド遺残の大きさはどの程度なのか? 様々な要因を勘案して、抗生剤、消炎酵素剤、抗アレルギー剤、点鼻ステロイド、鼻洗療法、耳管通気、鼓膜切開、鼓膜チューブ留置などの治療法を適切に選択できればと思っています。また、6月中旬からはスイミングの授業も始まります。どのような点に注意して水泳の授業に参加すべきかなども、お伝えできればと思います。
 先週26日で愛媛県感染症センターの今シーズンのインフルエンザの週間報告は終わりました。先々週はB型インフルの報告がほとんどでした。当院でもようやく散見する程度となりましたが、今年は夏休み前まで、小学生の世代ではB型インフルの発生にも注意していきます。エンテロウイルスによる夏かぜの、ヘルパンギーナ・手足口病も散見されるようになってきましたが、まだ集団発生は見られていません。発熱も短期間で、咽頭所見も軽い例がほとんどです。溶連菌は引き続き見られています。感染性胃腸炎に伴う急性上気道炎も小児では流行しています。
 5月30日、31日に今年初めて日本で黄砂が観測されました。例年ですとスギ花粉の大量飛散の時期に観測されるのですが、今年は遅かったのですね。意外でした。ヒノキ花粉の飛散終了日は、近隣の県の報告も参考にして、当院では5月10日とします。後10日以内には梅雨入りでしょうか。アレルギーの季節としては、イネ科花粉症からハウスダストや梅雨の気候やクーラーの影響による血管運動性鼻炎などの鼻過敏症の季節に換わっていきます。これから汗ばむ夏の季節になります。耳癤(せつ)、鼻前庭湿疹からの鼻出血などが少しずつ増えています。
  突発性難聴、先天性耳瘻孔急性増悪、口腔扁平苔癬、鼻茸摘出術など。
     
  28日  先日参加した日本耳鼻咽喉科学会総会の演題の忘備メモを書きました。専門的なメモ書きですので、読んで頂くような代物ではありませんが、耳鼻科の研究と臨床の一端は伺えるかなとも思います。「院長の徒然草」のページに掲載しています。 院長の徒然草へ 
  27日   学校健診が始まりました。私も先週、まず中学校の検診を行ってきました。これから小学校の検診です。治療を必要とするような病気がないか? アレルギー性鼻炎や扁桃肥大などはある程度体質ですが、その体質が強いのかどうか ? など、健診を受けた子供達の有用な情報になるようしっかり健診を行いたいと思います。また、検診の結果通知表をもとに受診する学童も目立ってきました。治療を必要とする病状か? 学校生活を送る上での注意する点は何か? など、診察では個々の子供達の体質や留意点をお伝えしたいと思います。
 イネ科花粉症のピークは、ゴールデンウィーク明けから梅雨入りまでです。四国の梅雨は平年並みでは、梅雨入りが6月5日、梅雨明けが7月18日です。昨年は例年より早く5月27日に梅雨入りし、7月8日に明けました。昨年なら今日から梅雨入りだったのですね。今年は、沖縄が5月5日に既に梅雨入りしています。日本気象協会の予想では、本州は梅雨入りも梅雨明けも遅くなるとのことです。あと2週間程、イネ科花粉症の方は、公園や草むらでの花粉暴露にご注意下さい。
 当院では、先週後半も小学生を中心にB型インフルが検出されましたが、いづれも友人間やクラブ内での感染程度で、大規模な集団発生は見られなくなっています。幼児の間では、ライノウイルスなどの病原性の軽い一般的なウイルスによって発熱するパターンが最も目立ちます。発熱は1~2日程度で、その後の気道症状も総じて軽いです。このようなウイルスによる感染では、家族内感染した場合には保育園児の下のお子さんが発熱し、免疫のある小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんや親御さんは熱が出ないというパターン典型的です。
 気候が良く、風邪の流行らず、ハウスダスト・アレルギーによる刺激も少ない5月は、小児の中耳炎が最も治りやすい季節です。しかしながら、アデノイド肥大やアレルギー性鼻炎、集団保育による薬剤耐性菌の持続感染などの要因のために中耳炎が治らないお子様もいます。中耳炎が難治化すると、難聴が持続するだけでなく、中耳の奥に広がる乳突洞という含気腔の発育不良・鼓膜の陥凹・菲薄化・硬化により中耳炎がより遷延化する悪循環に陥ります。時には高度な換気不良と粘液排出不良により中耳粘膜の”内出血”から粘稠な滲出液が充満するコレステリン肉芽腫化するケースもあります。コレステリン肉芽腫では、鼓膜チューブを留置しても中耳腔が乾燥化しない、感音難聴を続発する、乳突洞の最深部である錐体尖炎を起こす場合があります。また、中耳への換気不良が持続し鼓膜の部分陥凹が強くなると中耳の骨を徐々に破壊する真珠腫性中耳炎化する場合もあります。このような観点から、中耳側頭骨発育の長期的視野から鼓膜チューブ留置が望ましいお子様がいます。耳には良い季節でも難治化しているお子様には、残念ながら今の時期に鼓膜チューブ留置術を行うなっています。
 今日は、サッカーW杯日本代表の壮行試合がありました。合宿後の筋肉疲労の残っている日本代表ですが、キプロス相手に勝利を収めました! W杯ブラジル大会開幕まで、いよいよ2週間です。とにかく、なんとしても、いや絶対、初戦は勝ってもらいたいです。(日本代表の試合はテレビ観戦しかしたことのない私ですが、一生に一度は、観客席がピッチに迫るサッカー専用の埼玉スタジアムでぜひ観戦したいです)
  20日   学会、講習会に無事出席することができました。 近隣の幼稚園でB型インフルが流行しているとの情報はありましたが、当院では今週の3日間インフルエンザの検出はありませんでした。先週はようやく愛媛県下の学級閉鎖の報告はなくなりました。長かったインフルエンザ13/14シーズンですが、ようやく終息に向かいそうです。

 舌下免疫療法講習会は、募集定員1.000名でしたが、受付開始後直ぐに定員となりました。耳鼻咽喉科学会会員の関心も高いようです。講習会では、アレルゲン免疫療法の歴史、機序、舌下免疫療法の施行方法、副作用への対応法などが講義されました。現時点ではシダトレンの薬価収載は8月から10月の見込みとのことです。講習の中で私が特に注目した点をご紹介します。舌下免疫療法は皮下注射(皮下免疫)とは作用機序が異なるために、皮下免疫療法で維持量に達している人も舌下免疫療法にスイッチする場合には初期の量から開始する必要がある。花粉症シーズンに花粉症との自覚のある人で実は花粉症でない人が2割はいることから、治療開始にあたってはスギ花粉症であることの厳格な確認が必要である。経口減感作の副反応は花粉症シーズンに発現しやすいために、治療は花粉症シーズンでない時期に開始する。欧州では経口免疫療法が普及し、米国では皮下免疫療法が多い。経口免疫の方が副作用の発現頻度は多いが、アナフィラキシーなどの重篤な副作用は皮下免疫の方が多い。経口免疫療法は過去の全世界の報告で死亡例はない。経口免疫療法の重篤な副反応は、服薬後30分以内がほとんどのため、初回は必ずドクターの前で服薬する。オランダの報告では、通院や服薬の煩わしさから経口免疫療法開始後1年で50%の人が脱落したとのことで、効果発現には3年の継続治療が望ましいことから、治療開始にあたってはしっかりとした動機付けが必要である。高血圧の治療などでβ阻害剤を服薬している人は、副作用発現時の治療が困難であることから免疫療法の対象としない。果実とスギ花粉による口腔アレルギー症候群のある人は副反応が起こりやすいことが考えれることから免疫療法の対象としない。このようにいろいろな制約はありますが、講習を受けた後の私の印象は、3年続ければその後治療をやめても効果が持続する可能性が高く、重大な副反応が極めて少ないことから、花粉症治療の新たな選択枝のひとつになり得ると感じました。


 

 福岡は松山からは案外近そうで遠いです。松山ー福岡便はJAL子会社の日本エアコミューターが就航しています。カナダ ボンバルディア社製Q400、74席のプロペラ機です。ボーディングブリッジは通らず、滑走路を歩いて搭乗しますので、いかにも飛行機に乗り込む、といった感じです。大学時代の学会出張によく利用していた徳島-伊丹間のYS-11を思い出しました。ボンバルディア社と三菱重工はリージョナルジェット機分野のライバルです。数年後には三菱MRJが就航していますように!
 学会会場は、ヒルトン福岡シ―フォークでした。ソフトバンク・ホークスの本拠地であるヤフードームがホテルの真横にあります。
  14日  今週土曜日の17日は、福岡での学会出席のために休診させて頂きます。日本耳鼻咽喉科学会総会と舌下免疫療法講習会に参加する予定です。Up to Dateな知識を得られればと思っています。迷惑をおかけしますが、ご理解の程、お願いいたします。当院かかりつけの患者様で休診中の病状の経過で不明不安なことがありましたら、院内に掲示しております緊急連絡先に遠慮なくご連絡下さい。なお、翌18日の日曜日は平常通り診療致します。
 昨日は初夏の陽気でした。甲府では気温が30℃越えとのことで、いつのまにか熱中症がニュースになる季節になりました。昨日、今日と当院ではまだB型インフルが検出されています。近隣の小学校では集団発生も見られました。愛媛県の報告では、ゴールデンウィーク 明けのインフルエンザは9割がB型でとのことです。全国的には5月に入って若干インフルエンザの発生が増えています。当院では、A型インフルの発生は見られなくなりましたが、アデノウイルスや溶連菌による咽頭炎はやや多くなっています。
 ヒノキ花粉の飛散は、ゴールデンウィーク入りとともにわずかとなりましたが、飛散終了はまだのようです。遠足でイネ科花粉症の症状が急に強く出るお子様が見られはじめました。

 伝染性単核球症、頚部腫瘍、甲状腺腫瘍、突発性難聴、顔面神経麻痺、頸部リンパ節腫脹など。

 
 開院記念日にお花を頂きました。いつも以上に花いっぱいの診察室です。
  6日  ゴールデンウィークも今日で終わりです。5月は、気候が暖かくなることから感染症が1年で最も少なくなり、スギからヒノキの花粉症も終わり、ハウスダストの発生もない時期です。例年ならば、風邪に罹る方が最も少なく、気道過敏症も落ち着き、難治性中耳炎のお子様も最も治っている季節です。 耳鼻科では、イネ科雑草花粉症の方だけが困る季節です。ただし今年は、5月初旬までB型を中心としたインフルエンザをはじめとして様々な感染症が目につきました。明日から診察再開です。さすがにインフルエンザの発生は少なくなると思われますが、万が一、7月まで発生が続くと愛媛も、ここ8年続いた沖縄並みの流行と同じパターンになります。

 私の気になったサイトをご紹介します。最近は姓名判断もネットで簡単にできるのですね。また全国の同性同名探しもできます。私も思わず自分の名前を入力してしまいました。ただし、同性同名探しの母集団はNTTの固定電話帳掲載者です。30才台以上の世帯主が主でしょうから、若い方の名前はあまり反映しないと思われます。
 赤ちゃんの名づけ命名 へ 
 同姓同名探しと名前ランキング へ 
5月 3日  ゴールデンウィークも後半です。今年のゴールデンウィーク中日の診察は、A型B型インフル、アデノウイルス、溶連菌、EBウイルス、マイコプラズマなどの病原菌、病原菌が特定できない熱発など、風邪様症状で様々なパターンが見られました。診察も連日長引き、例年以上に忙しい外来でした。お待ち頂いた患者様にはご迷惑をお掛けしました。そしてスタッフに感謝です。

 私もこれから4連休、骨休めしたいと思います。ここ数日、佐藤優氏の「自壊する帝国」「国家の罠」を読みました。日本がバブル崩壊の時期に、ソ連邦では国家崩壊の時期でした。特に「国家の罠」では、この時期の、我が国の官僚の動きをノン・フィクションで記しており、興味深く読み進めました。TVドラマでは、WOWOW「パンドラ」を一気に見ました。夢の抗がん剤”パンドラ”をめぐるサスペンスです。先月は、アメリカ・ドラマのNo1との評判を聞きつけて「プリズンブレイク」(脱獄)を見ましたが、ハラハラドキドキ過ぎてシーズン2の前半でリタイアでした。やはり、日本のドラマはどこか優しいのが良いところです。
 もし世界から癌が克服されれば、世界の平均寿命は30年延びるとのこと。「パンドラ」の主人公は18年間、抗がん剤の開発に没頭していました。このドラマに触発されて?今回は、頭頸部癌の特徴について述べてみます。
1、癌とは:まず前提として、悪性腫瘍と良性腫瘍の境界はありません。自律を失って自己増殖して組織を破壊していくのが悪性腫瘍で、局所に留まるのが良性腫瘍ですが、増殖力や転移のしやすさの有無で、悪性度も様々です。わずかな増殖能で留まった前癌状態、粘膜の浅い部分にわずかに発生している上皮内癌、組織検査の細胞の増殖能でみた悪性の準備状態など、悪性度にも様々なものがあります。癌として発見できた時点で転移は否定できない、癌であっても転移していなければ治療を必要としないものもある、との”癌もどき”理論に準ずる癌も存在します。このように悪性と良性の境界が無い中で、組織を破壊して進行する悪性腫瘍=癌を見逃さないように頭頸部の診察を行います。各種癌の中でも頭頸部癌は、臓器の表面から発生することが多いことから、扁平上皮癌などの分化度の高い=悪性度が低く、放射線治療が有効な癌が比較的多い部位です。さらに、口腔内や喉頭は軽い慢性刺激が持続することの多い部位ですので、白板症などの前癌状態が目立ちやすい部位です。体の中でも重要な臓器である心臓は不思議と癌は発生しません。脳も悪性のものよりは良性腫瘍が多いです。
2、癌の種類:癌の分類を大きく分けると、固形癌と血液癌に分けられます。固形癌は、臓器細胞が変化して発生します。血液癌は血液を作る骨髄から発生する白血病とリンパ組織から発生する悪性リンパ腫があります。白血病は全身症状が主体です。正常白血球の減少からの発熱、正常赤血球の減少からの貧血、正常血小板の減少からの出血・皮膚の紫斑などが初期症状です。耳鼻科でも、鼻血で白血病や血友病を心配して来院されますが、鼻血だけでは直ぐには白血病は疑いません。悪性リンパ腫は、リンパ組織で増殖します。頭頸部は扁桃腺、アデノイド、頚部リンパ節などのリンパ組織が、体表から目立つ部位にありますので、早期に悪性リンパ腫を発見できる場合があります。初期には感染による炎症と区別がつきませんが、治療を行っても感染症としての治癒の傾向が無い場合には、悪性リンパ腫も疑います。
3、頭頸部癌の早期診断:癌の局所における大きな特徴は、正常組織を破壊しながら増殖することです。その結果、癌周囲の正常組織の血管や神経を蝕んでゆきます。体の局所で、持続的に出血したり、持続的な自発痛がある場合には、癌も視野にいれなければいけません。当院外来では、よく2~3日前からの痛みや違和感、しびれ感で癌を心配して受診される方がおられますが、発症後2~3日ではそのほとんどが感染症や一時的な刺激による組織障害です。2~3週間以上症状が持続し、かつ、進行する傾向のある場合には、癌も否定できないとして診察を進めてゆきます。
4、頭頚部癌の検査:頭頸部は頭蓋内や胸部、腹部とは異なり、体表に露出しているために早期発見が可能です。視診、鼻腔・喉頭ファイバー、触診で腫瘤の存在は早期から認識できます。エコー検査、CT、MRIによる画像診断は検診的な意味合いではなく、腫瘤の存在が疑われた後に、腫瘤の性状や進展具合、隣接臓器との因果関係を見極めるために行います。
 以下に、頭頸部の部位別に、私が診察時に注意している癌の早期発見の注意ポイントを挙げます。いずれも1~2週間、症状が持続し、かつ、徐々に悪化する傾向があるという前提の上です。
  外耳道癌、中耳癌:無理な耳掃除や以前からの耳の掻痒感、鼻風邪症状が無い耳痛、耳出血。頭頸部の中でも癌の発生頻度は極めて少ない部位です。むしろ、骨破壊性の良性疾患である中耳真珠腫や外耳道真珠腫に注意します。
  鼻腔癌、副鼻腔癌:血性の鼻水、目の周囲の痛み、頬のしびれ。ごく稀に悪性黒色腫のような悪性度の高い癌も発生します。またウェゲナー肉芽腫のような組織破壊をともなう自己免疫疾患にも注意します。
  上咽頭癌:血性の鼻水、鼻閉、片側性の滲出性中耳炎、複視などの視神経障害。ほとんどが扁平上皮癌ですが、悪性リンパ腫にも注意します。東南アジア、日本では太平洋岸を中心にEBウイルス感染による癌もあります。
  扁桃癌:扁桃表面の片側性の白苔付着や潰瘍形成、血痰、咽頭痛、頭痛。リンパ組織ですので、悪性リンパ腫が発生しやすいです。
  舌癌、歯肉癌、頬粘膜癌、中咽頭癌:進行する口内炎、出血、痛み。口腔扁平苔癬も前癌状態のひとつとして経過に注意します。
  下咽頭癌、頚部食道癌:血痰、嚥下痛、嚥下困難、声がれ。頭頸部の上皮癌の中では、下咽頭の食道入口部より下は喉頭ファイバー検査でも確認出来ません。食道入口部の唾液の貯留や声帯の動きに左右差がある場合には、下咽頭食道ファイバー検査で確認します。喫煙、大量の飲酒習慣がリスク・ファクターです。
  耳下腺癌、顎下腺癌:痛み、皮膚との癒着、顔面神経麻痺。唾液腺組織のため様々な悪性度の癌や良性腫瘍が見られます。良性腫瘍と悪性腫瘍の発生率は10:1ですが、良性の多形腺腫は悪性変化する場合もあり注意します。
  喉頭癌:声がれ、痛み、血痰。喫煙が大きな発生要因です。
  甲状腺癌:痛み、反回神経麻痺(声帯麻痺)を介した声がれ、甲状腺組織の破壊による甲状腺機能亢進。悪性度の低い癌が多いですが、悪性度の高い未分化癌、良性からの悪性変化もあります。
  頚部リンパ節癌:皮膚に癒着して硬いリンパ節。多くは頭頸部癌の転移ですが、原発巣不明の転移リンパ節もあります。頭頚部癌の転移であれば、原発巣も同時に摘出しなければ後の制御が困難になります。そのため転移リンパ節が疑われた場合には、上気道のファイバー検査、エコー、CT、MRI、PETなどで頭頸部に原発巣がないかまず確認する必要があります。頭頸部に原発巣がなければ、異常なリンパ節の針生検や生検を行い確定診断します。もし転移リンパ節であれば全身の検索を徹底的に行います。悪性リンパ腫や白血病にも注意します。悪性腫瘍以外でも、壊死性リンパ節炎、リンパ節結核、伝染性単核球症などでも遷延化するリンパ節腫大を認めます。
     
  30日  昨日は当院もお休みを頂きました。おけげさまで、長らく?工事中だったスマホ版ホームページの「なぜなに耳鼻科の病気」を更新することが出来ました。また、リンク集の再確認も行いました。ここ3ヶ月程かけて、「なぜなに耳鼻科の病気」のコンテンツを増やしていました。診察時に、ホームページを見て来院しました、と伝える方が、ここ最近で少し増えたような気がしています。頑張った甲斐があったかなと、少しばかり嬉しくなっています。
 一昨日の愛媛新聞に、「X線やCT検査は少量でも発がんリスク」との記事が掲載されていました。記事の中で、昨年オーストラリアで0~19才だった1094万人を23年間追跡したデータでは、CT検査を受けた群が受けなかった群に比べて発癌率が1.24倍であったとの研究が紹介されています。放射線被ばく量には、それ以下なら害が無い”しきい値”はなく、どんなに少なくてもリスクがあるとの考えも紹介しています。当院のデジタル・レントゲンは、フィルム式のレントゲン撮影よりも被ばく量は少なく、鼻のレントゲン1枚の被ばく量は、”飛行機でニューヨークへ片道搭乗して機内で受ける放射線量の1/10”ですが、やはりレントゲン検査は必要最小限にとどめるべき、との認識を新たにしました。

 TBS日曜劇場のルーズヴェルト・ゲーム、第1話を視ました。面白いです。めったにリアルタイムで連ドラを観ない私ですが、「下町ロケット」「半沢直樹」に続いて、毎週見てしまいそうです。もともと経済ドラマ好きな私ですが、池井戸潤氏の作品には、はまってしまいます。(^.^) 
  29日   ゴールデンウィーク前で、ここ数日診察が込み合いました。お待ち頂いた患者様には 、ご協力ありがとうございました。
  花散りて 人の眠たき 卯月かな  子規

 一昨日はA型陽性、B型陽性。昨日もB型陽性の方が見られました。ゴールデンウィーク直前までA型B型ともに発生するインフルエンザのシーズンは大変珍しいです。インフル以外にも、溶連菌、アデノウイルス、RSウイルスなどが迅速検査で陽性になる方、一般的なウイルス感染で高熱が1~3日続くお子様、ウイルス性胃腸炎に伴い発熱する方など、急に熱発を来す方が多く、私も診断には苦慮しました。
 イネ科花粉症で急性症状を来す方が増えてくる一方で、ヒノキ花粉もまだまだ飛散していましたので、スギからヒノキへと花粉症を引きずる方も見られます。ハウスダスト・アレルギーが素因にあって鼻炎症状だけで終わる軽いウイルス性上気道炎に罹る方もあり、急な鼻炎症状だけでも多彩な要因が考えられました。

  不明熱、顔面神経麻痺、良性発作性頭位めまい、扁桃腫瘍、先天性耳瘻孔、真珠腫性中耳炎、外耳道真菌症、口腔扁平苔癬など。
  23日  緑が目に鮮やかです。風邪の流行は、ライノウイルスなどの一般的なウイルスによる軽い上気道炎が主流です。インフルエンザはB型が散見、A型がごくわずか程度です。溶連菌、アデノウイルス、RSウイルス、ヒト・メタニューモウイルスも散見される程度です。花粉症では、スギ花粉の飛散終了日は4月14日となりました。ヒノキの飛散も今後は一気に少なくなると思われます。イネ科雑草花粉により野外活動で急に症状の強くなった学童が見られ始めました。
 これからは風邪が流行しないシーズンですが、4月から幼稚園や保育園に入園した矢先に、すぐに風邪に罹って来院されるお子様も見られます。集団生活の中に入ると、1~3才児はどうしても風邪に罹りやすくなります。お母さま方には「風邪に罹って免疫をつけるのも子供の大切な仕事です」とお伝えしています。一回一回の風邪が、ちゃんと5日前後で自然に治ってこじれなければいいと思います。ただし耳鼻科の立場では、今の日本では集団保育児が薬剤耐性菌を保菌していますので、中耳炎が反復性や難治性になるとちょっといやらしいです。


当院玄関前のはなみずきが咲き誇っています。”はなみずき”は花のシーズンが長いのがいいですね。はなみずきと言えば、先日、ケネディ駐日アメリカ大使が伊勢神宮に植樹した、とのニュースを耳にしました。
  15日  当院外来は、春休み後半から目に見えて風邪に罹る方が少なくなってきました。反復性や難治性中耳炎のお子様も治るケースが増えています。春休みが終わっても治らなかったら鼓膜チューブ留置も考えましょう、とお母さまと相談していたお子様の中耳炎が改善していると、私も思わずホッとします。(^'^)<br>
 インフルエンザは、今年は春休みまで流行が持続するシーズンとなりましたが、&nbsp;4月に入り松山市では漸く警報レベルを脱しました。愛媛県におけるインフルエンザの発生割合は、3月末でB型が90%となっています。当院でも、A型の検出は4日前のA香港型陽性の成人の方が最後で、ほとんどがB型となっています。B型は、春休みが明けて集団生活が始まったことから地域によっては増えましたが、さすがに学級閉鎖に至るような流行は見られなくなっています。当院でB型陽性の成人の方で、タミフルを服用していても高熱が3日続いた方がおられました。気になって調べてみましたが、今シーズンはまだ本邦ではタミフル耐性のB型は見られていないようです。発熱の程度には、やはり個々人の免疫力も大きく関わっているようです。今年1月に、長野県でA09年型による健常小児の急性脳症による死亡例が報告されています。私もレポートを読んでみましたが、適切な救急措置を行ったにもかかわらず、わずか2日で不幸な転帰となっています。やはりインフルエンザは「普通の風邪であって、普通の風邪ではない」疾患です。激症の経過が存在することは常に頭に置いておきたいと思います。<br>
 スギ花粉症の飛散終了日ですが、先日4月3日とお伝えしましたが、松山大学のデータを見ると、飛散終了日は4月12日、ないしは今後の飛散状況によってはさらに遅くなりそうです。結局、飛散終了時期は平年並みとなりそうです。ヒノキ花粉は、4月1日ほどの大量飛散ではありませんが、11日、12日にもまとまって飛散しました。イネ科雑草の花粉を感じる方も増えてきました。明日は、関東以南では最高気温が25℃を超える夏日(ちなみに真夏日は30℃以上)になるとの予報です。ヒノキの最後の飛散ピークと、イネ科雑草花粉の飛散増にご注意下さい。 
  10日  スギ花粉は4月3日で飛散終了しました。ヒノキ花粉は4月5日まで大量飛散していましたが、ピークは過ぎた模様です。松山大学のデータでは、イネ科雑草花粉が4月1日に初観測されました。
  6日  春休みも後半に入るとインフルエンザをはじめとした感染症は一気に少なくなりました。ライノウイルスなどの症状の軽いウイルス性上気道炎が風邪の主流となってきました。
 ヒノキ花粉がここ1週間、びっくりするくらい大量に飛散しました。当院でも、松山大学でも、山口県医師会のデータでも、スギ花粉のピーク並みかそれ以上に飛散しています。私自身、ヒノキがこれほど大量に飛散したのは記憶にありません。スギ花粉に比べてヒノキ花粉の方が抗原性が弱いと言われていますが、やはり大量に飛散すると症状の強く出る方も目につきました。スギの植林は昭和40年代で終わりましたが、90年代よりも2000年代の方がスギ花粉の平均飛散数は増えています。ヒノキの植林はスギの植林の後も続きました。今後はヒノキ花粉の年間総飛散数の増加が、スギの年間総飛散数の増加よりも目立ってくるかもしれません。

 採血用のトランスイルミネーターを導入しました。トラスイルミネーターは、赤色LED光を皮膚に照射することによって皮下の血管の走行を浮き出します。当院ではアレルギー検査などで幼児でも採血する機会は多いですので、血管の同定な困難な患者様の採血に活用したいと思います。 
4月 1日  新年度になりました。診療報酬改定によるレセコンのトラブルもなく無事に外来を終えることが出来ました。私もホッと一安心でした。昨日は、アレルギー検査を希望したり、鼻炎のお薬を希望する今年小学校入学の新1年生が目につきました。消費税導入前の駆け込み需要ではありませんが、当院でも駆け込み?受診でした。(^^)
 今日は雨上がりで暖かかったために、当院のポールンロボでは3月28日に続き花粉が大量飛散しました。スギもある程度飛散していますが、黄砂は全く飛んでいませんので、当院のデータの大部分がヒノキの飛散だと思われます。
 松山の桜は3月29日で満開となりました。今年は開花から満開までの期間が短かいです。一気に、あれよあれよという間の満開ですね。
 今日は、5月の耳鼻咽喉科学会総会の後に開催される経口免疫療法講習会のエントリー受付開始日でした。6月の免疫療法の開始に間に合うように、また、講習会には定員があることから、早めに申し込んだのですが、今日、免疫療法の開始は10月頃との情報が届きました。製薬会社、厚労省ともに実施には慎重になっているのでしょうか? 私はゆっくりと準備したいと思います。 
     
  30日   28、29日とヒノキが大量飛散しました。スギ花粉の飛散が少なくなったところに、ヒノキの急な大量飛散です。スギ花粉症の症状が落ち着いてきていたのに、ここ数日急に症状が強くなった方は、ヒノキ花粉症も合併しているものと考えられます。 
  26日  高知の桜の開花が18日。宇和島の開花が17日でした。気象庁の記録では全国で一番早い開花は高知となりましたが、市独自の観測では、今年も愛媛の宇和島が日本最速です! 今年の宇和島VS高知の開花発表はNHKニュース9でもレポートされていました。 そうこうしていたら、ここ2日の暖かさのせいか、高知は25日にもう満開とのニュースです。ちなみに満開とは標本木のつぼみが8割以上開花した状態とのこと。ここ2日、当院観測の花粉も中等度飛散です。恐らくヒノキが主体だと思われます。スギの飛散は少量となり、あと2週間程で飛散終了日を迎えそうです。
 春休みに入り、インフルエンザの発生は目に見えて少なくなってきました。B型インフルの発生は、散発的にあと1ヶ月程度続きそうですが、ようやく風邪のシーズンも終わりになりそうです。
 新年度を前にして、転居前に受診する患者様も少なくなってきましたが、今年も海外赴任の話が聞かれました。中国、シンガポール、米国、フランス、外来の話題が少しばかり国際的になりました。
 新年度からの消費税率アップの話題でもちきりですが、医療の現場は2年振りの診療報酬改定の年にも当たります。今週は厚労省主催の改定の説明会が開かれます。レセプト・コンピューター用の更新ファイルも届きました。当院も新年度の準備が始まりました。 
  21日  春分の日です。球春が始まり、来週はいよいよ学童の春休みです。 文字通り春の気配です。当院もお休みを頂きました。ここ1ヶ月、診療時間が長くなる日が多かったですので、私も一休み出来ました。おかげで、今日一日、当院の患者様向けパンフレットの更新と、県立図書館で借りた小児救急の専門書と小児科医が書いた家庭医学書に目を通すことができました。(^^)
 流行のピークは過ぎたと思われたインフルエンザですが、先週愛媛ではB型インフルの発生が増えました。終業式間近に学級閉鎖が起こる、シーズンの長い流行パターンとなっています。
 スギ花粉の飛散はピークを過ぎていますが、大量飛散が3月3日前後だけだったこともあり、中等度の飛散は”だらだら”と続いています。スギ飛散の後半期ですが徐々に粘膜の反応が強くなり鼻閉の強い方も目立っています。やはり、ハウスダスト・アレルギーがベースにある方に強い症状が出ています。ヒノキ花粉は山口県の初観測日2月15日、飛散開始日が3月1日、松山では初観測日が3月9日、飛散開始日が3月12日となりました。スギだけでなくヒノキ花粉の抗体も同時に持つ方は、これから4月末にかけて軽い症状が続く可能性があります。
  17日  今日の朝、当院で今年初めてうぐいすの鳴き声が聞こえました。風もなく暖かな朝でした。春本番です! もうすぐ学生さんの春休み入りです。集団生活の機会が少なくなることもあり、インフルエンザの流行も下火になってくると思います。当院でも、普通感冒(ウイルス性上気道炎)が少しずつ増えてきました。風邪を惹き起こす病原微生物は200種類以上あるとも言われています。ライノウイルス、パラインフルエンザウイルス、コロナウイルス、エコーウイルスなどが代表的です。普通感冒の原因ウイルスは、冬に多く喉頭炎や気管支炎を引き起こしやすいパラインフルエンザウイルスから、上気道の炎症が主体で鼻風邪のウイルスと言われるライノウイルスが主体となってきます。ライノウイルスは、風邪のウイルスの30~50%を占め、症状は軽いことが多いです。当院外来も、春休みに向かって少しずつ穏やかになってくると思います。(^^)
  15日  12日で県立高校の入試が終わり、明後日は公立中学校の卒業式です。卒園、高校卒業で県外に進学、新年度に合わせて転勤など、当院もかかりつけの方の移動の時期になりました。卒業式や卒園式までに風邪は治るだろうか、熱は下がるだろうか?  転居後の耳鼻科通院をどうしようか? 年度末ならではの相談を受けるようになりました。
 日本気象協会が最新の桜開花予想を発表しました。全国で最も早く高知が3月18日に開花、松山の開花は24日で満開が4月4日とのことです。昨年のこのページでも触れましたが、市で独自に観測している宇和島の方が高知よりも開花が早いそうです。今年も本州の開花一番乗りは宇和島になるのでしょうか? 桜は開花から満開まで1週間たらずです。改めて、一気に咲く花だと思いました。松山の開花予想日は例年並みで、3月の平均気温が記録的に暖かかったために3月17日に開花した昨年は記録的に早すぎた年でした。桜と同様にスギ花粉の飛散終了が早かったのも昨年の特徴です。昨年のスギ花粉の実質的な飛散終了日は4月3日でしたが、今年は平均的な4月10日頃でしょうか? ここ2日程、お天気は良くなりましたが、3月3日のような大量飛散はありません。今シーズンの飛散のピークは3日となりそうです。 
  11日  スギ花粉は2月28日~3月4日にかけて大量飛散しましたが、その後はやや落着いています。それでも気象庁の予報の基準では「非常に多い」状態が続いています。私は3月3日が第1波で、その後に飛散のピークが来ると考えていましたが、今日までのところでは3月3日がピークのようです。今日の午後から暖かくなり、明日は雨の予報です。13日の木曜日に雨があがり、16日の日曜日に再び暖かくなるとの予報ですので、3月3日が今シーズンのピークになるのか? 17日辺りがピークになるのか? いずれにしても来週明けにかけてもう一度大量飛散しそうです。スギ花粉は、山間部で午前中に気温が上がるとともに吹き上がり、夕方に気温が下がるとともに市街地に落ちてきます。今後10日間程は、雨上がりの暖かい日の午後3時頃から9時頃までの時間帯は、花粉を浴びないようにご注意下さい。花粉は”気合を入れれば”避けられます。3月3日の飛散で目や鼻、顔面が腫れあがった方は、ゴーグル、密着型のマスク、フードなどで顔面への暴露を極力防いで下さい。先日、お子様にゴーグルを勧めたところ、メガネをしているためにゴーグルが使えないとの意見がありました。最近は様々なゴーグルが出ています。既存のメガネの内側に装着するタイプのゴーグルもあります。ネット通販サイトでは様々なゴーグルが販売されています。メガネを使っている方は、通販サイトを参考にしてみて下さい。また、衣服にも花粉は結構付着します。思いのほか室内に花粉を持ち込みます。夕方や夜の帰宅時には早めに着替える、洗顔する、入浴するなどで花粉に触れないように心掛けてみて下さい。当然、洗濯物や日干しの布団にも花粉は付着し、洗濯物を取り込む際に花粉を室内に持ち込むことになります。室外で洗濯物を干す際には、出来るだけ午前中に取り込んで下さい。
 インフルエンザの流行についてですが、3月だけをみれば、愛媛県では過去5年間で今シーズンが最も発生が多くなりそうです。A09年型の流行のピークは過ぎたようですが、B型の流行はやや増えています。予防接種を受けた小児も発症しています。その他の感染症では、小児のRSウイルス、アデノウイルスは少なくなってきていますが、ヒト・メタニューモウイルスが増えてきています。 
  5日  サッカー・ワールドカップまであと99日。今日は国立競技場最後の日本代表の試合。競技場には聖火が灯っていました。今のところ日本代表は怒涛の4点連取。私も気分よくパソコンに向かえています。(^^)
 当院のポールンロボでは、3日の花粉飛散数が143個、大量飛散の昨年のピークは877個。一昨年のピークが132個でした。昨年は150個超の日が4月末までで23日ありましたので、昨年がいかに大量飛散だったかが判ります。昨日今日と雨模様のせいで花粉は少量飛散に戻りましたが、今日も鼻閉が取れない方も目立ちました。ハウスダストアレルギーがベースにあって花粉症もある方はやはり鼻閉が取れにくくなります。鼻粘膜が一度腫れてアレルギー性炎症の状態になると抗アレルギー剤も効きにくくなります。初期治療で前もって服薬している方は、やはり鼻粘膜の反応は軽いようです。


 城山公園南堀端、満開の紅梅、白梅です。今年の松山の梅の開花は1月23日。平年より17日、 昨年より9日遅い開花でした。この頃からスギ花粉は観測され始めてましたので、スギ花粉はやはり”梅とともに始まる”です。開花とは花が数輪以上が咲いた状態、満開とは花芽の約80%以上が開花した状態だそうです。満開の定義は私も今まで知りませんでした。
 東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春を忘るな 大宰府天満宮の飛梅をふと思い出しました。
3月 3日   今日はひな祭り、そして耳の日です。耳の日にちなんで?今シーズン初めてスギ花粉が大量飛散しました。私は”今シーズンの第一波”と呼んでいます。天気予報では明日、明後日と雨模様です。その後も今週は寒い日が続く予報ですが、恐らく雨上がりの今週後半に最大飛散日の第二波、来週に第三波が来ると思われます。今日は、今シーズン初めて、午前中から花粉が飛散していました。午後の診察では、屋外でクラブ活動をしていたせいで強い症状の出た高校生が印象的でした。また、ご両親がスギ花粉症でスギ花粉症の症状が疑われた1才10ヶ月のお子様もおられました。お母さまには「これから2週間の天気の良い午後を中心に花粉が飛散するので、その時間帯に外出時に目や鼻を痒がっていたら花粉症がやはりあやしいです。花粉症が強く疑われたなら、花粉をいっぱい吸い込こんだり被ったりすればするほど早く抗体が増えるので、出来るだけ花粉を避けるように」とお伝えしました。高校入試目前の受験生、結婚式を控えた新郎さん、初めて花粉症”デビュー”した子供さん、妊娠が予想される女性の方、色々な立場の人それぞれへのテーラーメイドの処方を心掛けています。
 迅速検査で2009年型とB型が同時に陽性となったお子様がいました。検査キット精度の関係で、どちらかが間違って陽性になる偽陽性という現象もないことはないのですが、今回の例では両タイプともにはっきりと陽性でした。幼児の間では2009年型とB型が同時に流行していますので、このようなケースも時に見られます。
 気になった論文をふたつほど紹介します。一つ目はイギリスからの報告で、7~16才のピーナツアレルギー患児対象の経口免疫療法で54%が脱感作に成功し、91%で軽減したとのことです。ピーナッツ粉を増量中は施設内で2時間経過を見て、維持中はアドレナリン自己注射を携行しながら自宅で病状を記録し、2時間は運動禁止していたとのリサーチです。やはり経口免疫療法はかなり慎重にすすめなければいけないようです。この研究に対して米国の研究者は、「極めて有望ながら、長期の副作用や作用機序、転機が明らかにならなければいけないため、臨床使用は何年も先であり、早く市場に出すという過剰な期待なしにデータを再実証すべき」と意見しています。私には、経口免疫療法の普及には慎重を期すようにとの意見が印象的でした。二つ目は、国内の耳鼻咽喉科学会紙の論文ですが、これまでは一度罹れば二度と罹らないと考えられていたおたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の再感染もあるとの報告です。再感染の報告は小児科領域で報告されていましたが、耳鼻科領域で、小児だけでなく成人の再感染が疑われる例も見られたとのことです。おもわず私は院内の患者様向けパンフレット一部修正しました。従来は成人の発症例は少ないと言われていた、麻疹や風疹、百日咳に続き、おたふくかぜでも再感染がありそうです。耳下腺が急に腫脹した場合、おたふくかぜ以外にも、他のウイルス(パラインフルエンザ・インフルエンザ・コクサッキー・エコー・サイトメガロなど)に感染した可能性や、唾液腺管に炎症が残った反復性耳下腺炎の可能性、成人ではシェーグレン病などの自己免疫疾患の可能性もありますが、これからは家族内の小児から再感染する成人例なども念頭に置いて、唾液腺腫脹の診察に当たりたいと思います。 
     
2月 1日  2月に入りましたが、昨日、今日と暖かい小春日和です。今週は、6日から3日間、椿まつりが、9日未明にはソチ五輪が開幕、9日昼は愛媛マラソンです。最近は早朝にマラソン練習している人をよく見かけるようになりました。
 昨日の環境省の発表では、1月がやや暖かかったせいでスギ花粉の飛散のピークはやや早まり、四国では3月上旬とのことです。 私のスギの飛散開始日の予想も少し早めて2月10日としておきます。
 インフルエンザの発生が全国的にここ1週間で一気に増え、九州を中心に警報レベルになりました。全国的にはA09年型が約半数とのこと。松山ではまだ09年型は広がっていませんが、今後増えてくるものと思われます。当院でもA香港型に罹る方の年令が、1才児から壮年の方まで幅広くなってきました。3~4年前の新型インフルエンザ流行時にまだ生まれていない幼児は免疫がありませんので、予防接種を受けていない幼児が09年型に罹ると症状が強くなる可能性があります。09年型はタミフル耐性も5都道府県で報告されています。今後の09年型の流行の広がりには注意したいです。
 今月の疾患情報のコラム的なものを一部、「院長の徒然草」のページにも転載したいと思います。徒然草のコーナーをしばらく更新していないので、、こんな活用の仕方させて下さい。^^;

  雪の日や 巨燵の上に 眠る猫  子規 
*日本にしかない炬燵(こたつ)ですが、ここ10年で売り上げは約半分になりました。フローリングの部屋やエアコンの普及のせいだそうです。炬燵の上の定番の、我が愛媛が誇るみかんの売り上げも落ちています。ちょっとさみしいような、、 
  2日  1月22日からの石井東小学校や中山小学校のインフルエンザによる学級閉鎖はA09年型との報告がありました。 これまでの愛媛県のA型インフルも、思いのほかA09年型が多かったかもしれません。09年型は4シーズン前に新型としてパンデミック、3シーズン前にも日本で流行しましたが、ここ2シーズンは日本で流行しませんでした。(世界的には昨シーズンも流行しています) 日本で09年型が流行した後に生まれた今の2才児以下の幼児は09年型への抗体を持っていません。幸いにも09年型は発生以来大きな変異は見られていませんので、予防接種を受けていればそのシーズンは抗体を獲得します。0才児は母親からの免疫の移行もあり、以前よりインフルエンザの重症化は少ない傾向にあります。これから松山でA09年型が流行してくると、今シーズン予防接種を受けていない1,2才児での重症化に注意する必要がありそうです。
 今日の午後はびっくりするくらい暖かかったです。当院のポールンロボでも午前中から花粉を観測していました。山口県では1月30日から1個以上花粉を観測する地点も出てきました。しかし、これから椿まつりにかけて、おきまりのように寒さが戻ってくるとのことですので、花粉の飛散は一旦落ち着くと思われます。スギ花粉の飛散開始日が2月頭になるのか、2月10日頃になるのか、ちょっと興味深いです。
  3日  スギ花粉の松山の飛散開始日は1月31日となりました。また、2日の日曜日もまとまった飛散が見られました。ちなみに、山口県では1月29日、ポールンロボのデータからは関東がいち早く1月26日に飛散開始でした。1月後半が暖かかったために、例年よりやや早い飛散開始日となりました。飛散のピークも、やや早めの3月始めになりそうです。 
 当院で今シーズン初めてA09年型のインフルを検出しました。やはり1月中の迅速検査A型の中には、相当数A09年型も含まれていたと思われます。 
  6日  今日の松山は日中雪が降り続きました。最低気温が0℃、最高気温が4℃と、一日中冷蔵庫の中のような寒さでした。”椿まつり”の頃は寒いとのジンクス通りです。堀之内の椿も梅も3分咲きといったところです。梅とともに、椿まつりとともに、松山の花粉症も始まりましたが、この寒さでスギ花粉はほとんど飛散していません。来週から、パラパラ毎日飛散してくると思われます。インフルエンザは先週末で県内全域が注意報レベルとなりました。松山も警報直前です。当院でもA09年型、B型と発生は増えてきましたが、急激な流行ではありません。近隣の学校でも学級閉鎖は広がっていません。やはりA09年型は4シーズン前のパンデミック以降の変異がほとんど無いために、A09年型の骨格であるスペイン風邪やソ連風邪の免疫があれば軽症で済む、予防接種のタイプもしっかり合っていることから、接種の効果が続く成人で接種後6ヶ月、小児で4~6ヶ月は軽い風邪程度で終わる傾向があります。B型も本来ウイルスの反応は軽いですので、A香港型が主体で流行するシーズンよりは、39~40℃の高熱の出るケースは少ないようです。

 当院で行う血液検査のアレルギー検査についてですが、複数の抗原をチェックする検査を、従来の33種類同時に調べるタイプから、新しく発売になった36種類調べるタイプに変更しました。従来の検査よりチェックするアレルゲンが増えました。卵白の中の耐熱性蛋白質で加熱卵の摂取の可否の指標となるオボムコイド、口腔アレルギーの代表的フルーツであるリンゴとキウイ、食品の特定原材料に準ずるゴマ、青魚の代表で鮮度の落ちた食材からヒスタミンが遊離されることで起こる仮性アレルゲンとの鑑別に役立つサバ、皮膚常在菌の好脂性酵母で思春期以降のアトピー性皮膚炎の増悪因子であるマラセチア、初夏と秋に空中抗原量が多くなり喘息や鼻炎の原因となるガ、糞や死骸が抗原となり丹毒の原因抗原となり得るゴキブリ、の項目が増えました。私から見てもなかなか考えられた36種類の組み合わせになっています。マルチアレルゲンの検査は、血中好酸球なども含めると検査の自己負担費用が6.000円弱もかかりますので、なかなか気楽にオーダーできる検査ではありません。当院でも医療費のかかる立場の方には、出来るだけターゲットを絞った必要最小限の項目のみを調べるようにしていますが、やはり広く調べられる検査は魅力的です。特に小学校入学前のお子様に以下のような体質がないかどうか知るのは有意義です。小学生の年代に生後増えてきた抗体の量が安定するダニやカビのハウスダスト・アレルギーがどの程度のレベルなのか、花粉症がどの程度準備状態なのか、1~2才で抗体が出来ても6才頃に摂取しながら慣れてきて耐性ができる(経口免疫寛容)卵・牛乳・小麦の抗体がどの程度あるのか、耐性ができにくく成人になっても反応が強くなりやすいエビ・カニ・そば粉などの抗体が出来てきていないか、接触性抗原の代表のラテックス(ゴム)のアレルギーが出てきていないか、などです。幸いに未就学児は、公的補助もあり自己負担の費用がかかりません。当然、自己負担分はその地域の市民の税金なのでやみくもに調べるとお叱りを受けますが、アレルギー素因が強い小児の体質を具体的に把握できれば、対策も立てやすいので、マルチ・アレルゲンの検査は大いに役立ちます。お母さま方には、小学校入学前の3月までが、費用負担の面からも検査にはお勧めの時期であるとお伝えしています。 
  7日  今日も一日中みぞれ交じりの寒い一日でした。 明日未明にはいよいよソチ五輪の開幕です。アスリートたちの素晴らしいパフォーマンスを楽しみにしています。
 スギ花粉が2月2~4日にかけて少ないもののまとまって飛散しました。花粉症の症状が発現したために診察を受ける方が徐々に増えてきました。また、特に今日は”駆け込み”でレーザー治療を希望する方も立て続けに来院されました。花粉症に対するレーザー治療は、鼻粘膜の中で最もアレルギー反応が強くなる下鼻甲介粘膜を軽く”やけど”させるものです。風邪に罹り鼻粘膜の炎症が強い場合や、花粉症の反応が強く出た後では、レーザー照射により粘膜の炎症を増悪させます。そのため、鼻粘膜の急性炎症が強い場合にはレーザー治療は見合わせます。ここ3日程は寒さと雪交じりの天候のためにスギ花粉はほとんど飛散していないことから、風邪に罹らず、かつ、まだ粘膜に花粉症の急性反応が見られない方に対しては、まだレーザー治療を行っています。
  8日  都心では今日の夕方で22㎝の積雪です。ニュース映像で見る首都高や東京駅、羽田の滑走路は幻想的ですが、交通機関の麻痺、事故の多発など首都圏の方々は大変です。 今日もスギ花粉はほとんど飛散せず、今週もインフルエンザの学級閉鎖は広がっていないようです。明日は愛媛マラソンです。選手達の為にも応援する人たちの為にも、明日は風の穏やかな暖かい日になって欲しいです。

 診察時に花粉症治療についての希望をお聞きした際に、注射を希望される方が時々おられます。花粉症の注射とステロイドについてのコラムを書きました。長文っぽくなりましたので、このページではなく、院長の徒然草に掲載しています。 
  12日  ソチ五輪も早いもので三分の一の日程が終わりました。何時もながらにアスリート達のドラマがあります。レベルは全然違いますが、私も学生時代、”練習し過ぎて調子が悪くなる” ”試合中、無意識に緊張して、無意識にスムースな動きが出来なくなる”ことを幾度も経験しました。”ナイスショットは、練習中に95%出来て、やっと本番で50%出来るかどうか” ”マインド・コント―ロールは至難の業”でした。大物選手が大きな試合のここ一番ほど実力を発揮するのを見ると、勿論、陰では血のにじむような努力もあるのでしょうが、やはり神業としか思えません。五輪の大舞台は4年に一度、トップ・アスリートでもその大舞台の1度か2度程しかない場面でベストを出すのは、いかに難しいことか。次のチャンスは4年後。本当に過酷な世界です。
 この休日を利用して、久々にホームページの大幅な更新を行いました。ホームページをスマホ対応版に替えて以来の更新です。、「院長の徒然草」と「なぜなに耳鼻科の病気」の記事を追加して、「スギ花粉症の経口免疫療法」のページも新たに設けました。特に「なぜなに耳鼻科の病気」は、かなり以前に私が新聞に投稿していた文などもそのまま掲載していましたので、今回の更新で、とりあえず今の医療情報をメインとすることが出来、私も引っ掛かりが取れました。とは言っても、スマホ版までは、まだ手が回っていません。スマホでこのページをご覧の方は、とりあえずPC版での巡回をお願いします。<(_ _)>

 ここ1週間、寒波が続き、スギ花粉はほとんど飛散していません。
 一昨日、当院で、A09年がインフルでタミフル耐性が疑われた方を診察しました。タミフルはインフルエンザ・ウイルスの増殖を抑えるという作用があり、抗生物質でいうところの静菌的作用で、殺菌的作用ではありません。そのため、タミフルが良く効けば、服薬後1時間ほどで体が軽くなる実感が出て、発熱が抑えられます。ただしウイルス自体は徐々に減っていくことから、平熱に戻るまでの有熱期間は、タミフルを服薬しない群と比較して、1日半しか短縮しないとのデータもあります。このようにタミフルが効いたからといって、直ぐに解熱する訳ではありませんが、タミフル耐性が疑われた方は、タミフルを服薬しても高熱が続き、屯服の解熱剤が効く5時間程だけ微熱になることが4日程続きました。まだ愛媛では、タミフル耐性のA09年型は報告されていませんが、やはり松山での存在もあやしいです。
 A09年型と言っても診療の場ではピンとこない患者様がほとんどですので、私は「4年前の新型インフル」とお伝えしています。正確には「5年前のメキシコからパンデミックを起こし、Aソ連型とブタ・インフルが合わさった、4シーズン前と3シーズン前に日本で流行した半分新型インフル」です。今、中国では、新顔の新型インフル予備軍H7N9型が昨シーズンから発生しています。ヒトーヒト感染が広がりパンデミックを起こすと完全新型となります。今年の感染者は7日現在、中国本土と香港を合わせて175人(うち36人死亡)と、昨年を既に上回っています。中国衛生当局も、相次ぐ家族間の感染疑いを受けて「限定的で非持続的なヒトからヒトへの感染は排除できない」と発表しています。今シーズンの寒い季節の間に、ヒトーヒト感染が広がらないことを願います。 
  13日  医師会のレポートでは、今シーズンは今までのところ高齢者のインフルエンザの発症者が少ないとのこと。 やはりA09年型の流行が主体では、ご高齢の方ほど、09年型の骨格であるスペイン風邪やソ連風邪の免疫が残っていることから発症しにくいようです。また、インフルエンザの発生もピークを越えたのではないかとの意見もありました。私は、まだ保育園児や幼稚園児の間に流行が広がっていないことから、流行のピークは来週辺りだと感じているのですが、、さて、どうなるでしょうか?

 当院では、扁桃腺の日帰り手術である口蓋扁桃縮小手術についての問合せが時にあります。日帰りの扁桃手術を行う施設が少ないこともあり、過去には、関東地方や関西、九州からの問い合わせもありました。扁桃腺を凝固・縮小させる手術は、レーザー機器の普及や2000年からのコブレーターという凝固機器の日本への導入などから、レーザー手術、コブレーション手術という低侵襲手術のジャンルが出来て、徐々に取り入れる施設が増えてきました。今日は、当院で行っている扁桃縮小手術について、改めてご紹介したいと思います。
 当院で行っている口蓋扁桃縮小手術は、サージトロンという高周波電気(ラジオ波)を用いて、口蓋扁桃(扁桃腺)の実質を凝固することにより、リンパ組織である扁桃組織が瘢痕収縮し、術後は約半分の大きさになるというものです。扁桃の被膜を含めて切除する扁桃全摘出ではなく、扁桃の部分切除に準じます。Day Surgery(日帰り手術)、局所麻酔で行います。適応とする病態は、1、扁桃肥大によるいびきの軽減 2、習慣性扁桃炎の急性反応の軽減 3、扁桃膿栓症の膿栓付着の軽減で、適応年令は扁桃腺の大きさが固定する15才以上としています。手術の実際ですが、当院での日帰り、局所麻酔手術(局所麻酔薬キシロカインへのアレルギーのある方には行いません)として、火曜日、金曜日の午前ないしは午後に、予約の上、行っています。手技は、口蓋扁桃周囲を局所麻酔後、ラジオ波で扁桃実質の凝固を行います。所用時間は麻酔を含めて約40分、翌日と1週間後に予約再診して頂いています。当日から翌日にかけては扁桃腺周囲が腫脹しある程度の強さの痛みがあり、翌日から創部が口内炎様となり、起床時や摂食時の鈍痛が約1週間続きます。翌日からは、ご本人の痛みに応じて、消炎鎮痛剤を屯用して頂きます。注意点としては、この手術では術創は扁桃被膜には達しませんので扁桃摘出術のような術創被膜脱落時の術後出血の可能性は極めてまれですが、しかし、創部の被膜が無くなるまでの術後7~10日間は術後の出血や、頚部蜂窩織炎などの二次感染に注意して、術後の経過を診ています。

 昨日は、愛媛県立中央病院の医療連携懇話会という研修会に参加してきました。今回の担当は血液内科でした。県病院は四国で初めて造血幹細胞移植を行った施設で、血液疾患の基礎から骨髄移植の話題まで、大いに勉強になりました。医学の中でも血液疾患は難解な分野で、医学生泣かせの分野です。今回、講師となった血液内科のスタッフは、いかにも皆さん聡明そうでした。(^^) 県立中央病院は昨年5月に新本館が暫定オープンし、今年12月に完成とのことです。建材の匂いの残る新しい病院は、私も勤務医時代を思い出して、歩くだけで身が引き締まります。


県立中央病院のロビーに展示されていた。新病院の模型です。入院患者様は、見晴らしよく松山城や観覧車、石手川が望めますね。 
  15日  羽生選手、金メダルおめでとうございます!

 5日前に当院でも報告したA09年型のタミフル耐性疑い例ですが、今日、県の保健所の発表で、09年型8検体の内の1検体でタミフル(ラピアクタ)耐性例が認められたとのことです。ここ1週間の外来で私は、今週は恐らくA香港型が2割、A09年型が7割、B型1割だが増えているかも知れないとお伝えしていましたが、愛媛県の報告でも、今年に入っての検体ではA型(香港型25%、09年型60%)、B型15%(山形株、ビクトリア株)で発生とのことで、私の感触と似たり寄ったりでした。当院近隣の小学校でB型の集団発生があり、来週月曜日から学級閉鎖になるとのことです。B型は春までダラダラ流行しそうです。しかし、インフル全体としては松山も愛媛県全体でも先週は先々週よりもやや発生が減り、注意報レベルのままとのこと。インフルの流行のピークは過ぎたかもしれません。このまま保育園や幼稚園で流行が広がらずに終息に向かって欲しいものです。

 経口免疫療法の情報が集まってきています。製薬会社の情報では、対象者は12才以上で、65才以上の高齢者への使用経験はなく慎重に判断する。妊娠中や授乳中の安全性は確立していない。スギ花粉以外のアレルギーを持つ患者への有効性、安全性も確立していない。患者は、アナファラキシー等の発現の恐れがあるために、かかりつけ医療機関と緊急搬送先医療機関を明記した患者携帯カードを常に携帯する必要がある。とのことです。副作用への注意としては、国内臨床試験266例ではアナフィラキシーショックなどの重大な副反応は報告されていないが、発現の可能性に対して、観察を行い適切な処置を行うことが求められるとしています。36例13.5%に口内炎、舌下腫脹、口腔内腫脹、咽喉頭掻痒感、耳掻痒感、頭痛などの副作用が認めらとのこと。アレルギー学会のアレルゲン免疫療法の手引きからは、80%が症状軽減、20%が改善なしとの報告です。月に1回(発売後1年間は2週間に1回)は必ず診察すること。投与30分間、治療開始後1ヶ月間、スギ飛散時期には、特に副作用の発現には注意し、アナフィラキシーの発現の可能性が皆無ではないことを明記せよ、とのこと。このように、製薬会社も学会も慎重な対応を求めています。これらを踏まえると、経口で副反応が少なそうと言っても、やはり減感作療法ですので、医療機関内ではなく自宅で服薬することから、注射による減感作以上に注意が必要とのスタンスですね。実際に運用が始まると、ドクターは患者様にアナフィラキシーへの注意を喚起した上で、喘息患者や食物アレルギーの患者に準じて患者携帯カードを常に携行してもらい、花粉症シーズンはさらに副反応の発現に注意してもらう必要があります。もろもろ説明を行うと、患者様もドクターも、治療を開始することに”怖くなったり、億劫になりそう”です。1ヶ月(当初は2週間)に1回は必ず診察を受け、薬価はまだ発表になっていませんが、2年間で10万円??近くの自己負担が必要で、従来の注射の減感作治療に準じるなら、2~3年後に自覚的に有効と感じる人が2人に1人程度(あくまでも私の実感からきた主観ですが)、雑草花粉症やハウスダスト、食物アレルギーを合併している人はさらに効果が低いならば、経口減感作も注射減感作同様あまり普及しないかも知れません。私も、情報を集めながら、慌てずに対応していこうと思います。

  ハント症候群、突発性難聴、頚部リンパ節腫脹、喉頭肉芽腫など。 
  17日  葛西選手、 銀メダルおめでとうございます。 サッカーの三浦カズ選手も凄いですが、ウィンタースポーツにも凄い選手がいたものです。葛西選手は、腰や膝を故障したにもかかわらず、41才で20才当時の基礎体力をほぼ維持しているとのこと。長野五輪の日の丸飛行隊のメンバーから漏れた後の、次のレークプラシッド五輪での個人成績は40位台。私だったらこの時点で気持ちは折れています。強靭な精神とたゆまぬ努力は凄すぎます。

 今日の外来では、午前中だけで、A09年型、A香港型、B型のインフル、アデノウイルス、RSウイルス、溶連菌など、多用な病原菌を、大人の方からも子供さんからも迅速検査で検出しました。インフルが3パターン同時期に検出されるのも珍しいのですが、本来なら夏に多いアデノウイルスも同時期に検出されるのはさらに珍しいです。また、当院で検出したのではありませんが、発熱が続いたために小児科で行った検査でヒト・メタニューモウイルス(hMPV)が検出された後に、中耳炎となって当院を来院した子供さんがいました。特にhMPVは例年春に流行することが多いとされています。今日は真冬と春と夏が混在したような感染症の外来でした。寒さが続いています。一時的な感染症の炎症が遷延して、二次感染による急性中耳炎を惹き起こす子供達も目立ってきました。 
  19日  スノーボード、竹内選手、銀メダルおめでとう! 
 当院の観測でもスギ花粉は毎日”パラパラ”飛んでいます。昨日は今シーズンで一番飛散しましたが、それでも”ふわっと”ぐらいです。来週には第一波で”ドカン”と飛散しそうです。花粉症症状がじわじわと出てくる人が増えています。症状を感じる方は、来週からはマスクの着用などの予防も本格化させて下さい。

 以前この欄でも取り上げたSTAP細胞ですが、理研に続きネイチャー編集部も、論文に不備がないかの調査を始めたそうです。各国の追試でも、用いる細胞が同じでないなど論文と全くの同じ手法ではないそうですが、細胞の初期化が追試出来たとの報告はまだ出てきません。もう少し慎重に再現性を確認してから投稿したほうが良かったのか? ちょっと暗い気分です。ゴーストライターの存在が発覚した交響曲「HIROSHIMA」で知られる佐村河内守氏の難聴の疑惑も、耳鼻科医としては、なんともなニュースです。私もこの騒動の起こる前に、NHK特集を見て、HIRISHIMAのCDをレンタルしていました。この交響曲を初めて聴いた時には、いかにも広島の絶望と希望が表現されていると感動していました。いや、今聞いても、きっとすごい曲と感じると思います、、(;_;) HNKの番組を見ると、恐らく心因性の部分が大きい障害だからこんな感じかなと思っていましたが、確かに高度な中途失聴の話し方ではないですね。私も身体障害の認定医の資格を持っていますので、年に何回か聴覚障害の認定を行っています。自覚的な聴力検査のまだ出来ない幼児の高度難聴の確定には、脳波聴力検査ABRがまず必要ですが、 成人では自覚的検査である標準純音聴力検査だけでの認定が可能となっています。当院では現在、高齢者の明らかな老人性難聴による聴覚障害の新規認定はしていますが、中途失聴された方の診断確定は難しいことから、公的病院に改めて紹介して認定してもらっています。公立病院勤務医時代も含めて、過去には障害認定されるかどうか微妙な聴力で、聴力検査の際に反応を鈍くする疑いのあるケースも無いことはなかったです。そのようなケースでは、私が直接検査していました。聴力検査も、上昇法という小さい音から聞かせて聞こえたらボタンを押してもらうだけでなく、下降法という大きい音から聞こえなくなってボタンを押してもらう方法や、ベケシー検査という自動的に音が上昇下行するのを認識してもらう検査を行っていました。こうすれば、まず聴力をごまかす事は出来ません。脳波聴検は他覚的検査ですのでデータは客観的ですが、カチカチという高音がどの程度で聞こえるか微弱な脳波で判定しますので、測定値には真の聴力±20dBの誤差があります。成人ではこのような下降法やベケシー検査だけでも結構厳密に聴力は判定できます。成人の障害認定では、このくらいまでの検査を求めたり、時期を区切って再検査することを法制化するべきかも知れません。

 今日は松山保健所の結核対策講演会を聴講してきました。私も大学病院時代に頚部リンパ節結核や喉頭結核を目にする機会があり、結核の多様性は実感していたのですが、今日は改めて結核の現状について勉強することができました。
 わが国ではいまだに年間21.000人以上の新規登録患者が発生し、欧米先進国の中でも高い罹患率で、70才以上の高齢者が半数を占めています。高齢者では小児期に潜伏感染して、免疫が落ちて発症する内因性発症がほとんどで、20才以下では新規に感染して発症するならば2年以内に発症します。結核はヒトーヒト感染しますが、非結核性抗酸菌症は土や水からの感染でヒトーヒト感染は起こしません。結核菌は喀痰が乾燥しても空気中に浮遊して死滅しないために、麻疹、水痘とともに空気感染します。結核に特異的な症状、所見はなく、症状では無症状から長引く咳・痰、微熱、寝汗、体重減少から呼吸困難まで多彩で、胸部聴診音も正常であることが多く、レントゲンでも、典型例では上葉の空洞や撒布陰影ですが多彩な所見を示します。確定診断は喀痰からの塗抹培養や結核菌の核酸をみるPCR法で行います。ツベルクリン反応は評価が難しく、近年は血液検査のQFTやTーSPOTで感染の有無の確認が可能となりました。ただし感染後8週以降でないと陽性化せず、過去の感染でも陽性(20才台の3%、50才台の10%、70才台の30%が陽性)ですが、潜在性結核の診断が可能となり、発症の早期発見や医療従事者の検診に役立っています。高齢者の難治な誤嚥性肺炎の中に結核が隠れている場合などは、喀痰培養を行って初めて確定診断できます。結核は人体の様々な部位で増殖し、肺結核以外にも、気管支結核、喉頭結核、結核性胸膜炎、粟粒結核、腸結核、尿路結核、結核性脊髄炎(脊椎カリエス)、結核性髄膜炎、結核性リンパ節炎などがあります。この中で隔離が必要なうつる結核は、肺結核、気管支結核、喉頭結核です。頭頸部癌患者は比較的結核に発症する例が多いようです。
 講演会を聴講して、耳鼻科でも、気道の炎症所見の軽い長引く風邪や高齢者の痰には注意が必要なことを改めて認識しました。また日常診療で、喉頭結核や頚部のリンパ節結核の存在にも改めて注意したいと思います。 
  22日  浅田真央選手、入賞おめでとう! フリー演技のトリプルアクセル挑戦、素晴らしかったです! 浅田選手のタチアナ・タラソワ元コーチが、コーチ時代に浅田選手に練習し過ぎないようにと指導していたとの報道が目につきました。いつの五輪だったか? 結果の出なかった日本柔道界の練習し過ぎの体質が話題になっていました。やはり日本人は知らず知らずのうちに頑張りすぎるのでしょうか?? エキシビジョンでは、男子が同じ順位の女子をエスコートするそうです。高橋大輔選手が浅田真央選手をエスコート。今から楽しみです。

 当院のポールンロボでは、今日の午後が今年一番暖かな気温でした。日差しもあり、今日の夕方には、花粉も今年一番飛散しましたが、まだ”パラパラ”程度です。中予の山間部でも日陰はまだ雪が残っているのでしょうか? 山間部の寒さがぬるむ来週あたりからスギ花粉の飛散が本格化しそうです。
 昨日、当院の目の前の県道で交通事故がありました。人身事故のため、私も当院の診療を一時中断して救護に向かいました。当院の前は、市道が踏切を挟む形で県道と交差しています。市道から県道に出る際は、線路のフェンスがあるために見通しが悪くなっています。 来院される皆様も、くれぐれも交通安全でお願いします。
 昨日はヘルパンギーナのお子様を診察しました。ヘルパンギーナの病原菌は、エンテロウイルスというRNA ウイルスであり、その中に様々な亜型があります。A群コクサッキーウイルス2、3、4、5、6、10型、B群コクサッキーウイルスがヘルパンギーナを惹き起こす代表的なウイルスで、複数のタイプがあるために、毎年タイプが異なりながら流行を繰返します。エンテロウイルスはヒトのみに感染し、糞口感染と飛沫感染でヒトーヒトー感染を繰り返します。エンテロとは”腸”を表します。急性期に感染力が強いのですが、症状が回復しても2 ~4週間の長期にわたり便からウイルスが検出されるために感染力が結構残ります。例年夏から秋に流行しますが、昨日のように冬季にもまれに遭遇します。冬に小児の体内に潜伏感染的に潜みながら、、ウイルスが活性化する夏に流行するものと考えられます。
 インフルは、A09年型の流行はピークを過ぎたようです。先週は、当院近隣の小学校でB型の学級閉鎖が広がりました。B型にはA型以上に亜型が多く、インフルの予防接種に含まれている株だけでは流行するウイルスをカバーしきれません。B型は本来A型よりも病原性は低いのですが、これから4月初めまで、予防接種を受けた人を含めてB型のゆっくりした流行が続きそうです。
 当院でもヒト・メタニューモウイルスを検出しました。これから春にかけて、幼児の間で少しずつ増えそうです。

 耳垢、外耳道真珠腫、咽頭魚骨異物、鼻腔異物、先天性耳瘻孔など。耳垢(耳あか)が鼓膜の表面に落ち込み、がつがつという異音を感じる方もよく来院します。
  24日  この土曜日曜に、スギ花粉が初めてまとまって飛散しました。花粉症を感じる方が目に見えて増えてきました。今シーズンに初めて花粉症になったお子様も見られました。今週は4月並みの暖かさになる日もあるとの予報です。やはり今週後半に大量飛散が起こりそうです。マスクやゴーグルの着用や、天気の良い日の午後の外出を控えるなどの花粉症対策をそろそろ本格化させて下さい。 
  26日   スギ花粉の飛散が日に日に増えています。今日は午後から暖かな雨模様です。雨上がりの土曜日に大量飛散しそうです。
     
1月 3日   明けましておめでとうございます。今年1年、皆様が輝く年でありますように! 今年も当院を宜しくお願いいたします。

 昨年末にインフルエンザが全国的に流行入りしました。11月には2シーズン振りに09年型の重症例が報告されました。カンボジア、インドネシアでは鳥インフル(H5N1)が発生、死亡例も出ています。中国では新型鳥インフル(H7N9)が発生。ヒトーヒト感染はまだですが、感染拡大が注目されています。年明けとともに、松山でもA香港型を中心に、B型、A09年型が流行し出すと思われます。学童の3学期入りからは、当院でも様々な感染症に留意して診察を進めたいと思っています。

 紅白2部と半沢直樹の視聴率争いですが、関東では紅白の視聴率が上回り、関西では半沢の視聴率が上回りました。一応、日本の記録上は関東が優先ということで、紅白を視聴率で上回るドラマは出なかったということになりました。今年は、ソチ五輪のフィギアスケート男女シングルスの決勝、W杯サッカーの予選など、さてどの位の視聴率になるのでしょうか?日本が歓喜の渦とともに60%近くの視聴率になって欲しいものと思います。

 


謹賀新年。道後、伊佐爾波神社参道から松山城を望みます。道後は市内のやや高台にあり、昔は道後の温泉街からお城下が見渡せました。県外の方は、この写真で道後と松山市街の位置感覚が判ると思います。下の正月飾りは、伊佐爾波神社の麓にある温泉旅館ふなやロビーの正月飾りです。
  8日  冷たい雨です。当院第二駐車場の県道側入り口のポールの修理を行っています。しばらくの間、出入りは病院側(東側)からのみとさせて頂きます。ご不便おかけしますが、宜しくお願いします。
 子供達は3学期を迎えました。これから2ヶ月が本格的な風邪のシーズンです。年末年始は大人も子供もお休みで風邪が流行らないと年末の診察でも言っていましたが、11月がピークながら幼児のRSウイルス感染症と、12月に記録的に多かったアデノウイルス感染症が、年末年始も続けて発生していました。インフルエンザの流行は予想通りありませんでしたが、当院では4日に今シーズン3例目のA型の大人の方を診察しました。インフルエンザに関してのトピックスを紹介します。12月中旬に札幌でA09年型(新型)の重症肺炎例が報告されました。さらに国内でのタミフル耐性A香港型の報告も出ています。昨シーズンは世界的にタミフル耐性株の報告は少なく、また、以前から09年型やB型に対するタミフル耐性例は珍しくなかったのですが、A香港型のタミフル耐性株は少なかったです。それにも関わらず、今シーズンは流行前の時点でA香港型に対する耐性の報告が出てきました。恐らく今年も1月中旬からインフルの流行が始まると思いますが、今シーズンは、タミフル耐性株の流行や2シーズン振りのA09年型の流行にも留意したいと思います。
 近隣の山口県では元日がスギ花粉の初観測日となりました。昨年1月も元日が初観測日でしたが、その後記録的な寒さが続いたために、1月末までは全く飛散しませんでした。さて今年はどうなるでしょうか? 飛散開始には1月の積算気温が関係するとの研究があります。暖かい日が続けば早く飛散が始まります。私は昨年12月上旬段階では、松山のスギの飛散開始日(毎日飛散し始める日)は2月13日頃と予想しましたが、さてどうなるでしょうか? 1月中でも花粉を感じる敏感な方は、感じ始めた時点から初期治療の予防投薬を始めてもかまいません。今日、今シーズン初めてとなる”花粉を感じ始めた方”を診察しました。また、初期治療薬を希望して受診される方も少しずつ増えてきました。 なお、当院の花粉自動観測ロボット ポールンロボの運用は2月初旬頃からを予定しています。
  16日  全国的には厳しい寒さが続いています。恥ずかしながら私が感染性胃腸炎に罹ってしまいました。仕事柄、病原菌への免疫だらけのつもりの私ですが、昨日は、お腹に力が入りませんでした。患者様からも「お大事に」とのお声を頂き、恐縮しきりです。私の取り柄と言えば、幸いにも開院以来一度も病欠をしたことがないことです。今回も診察の合間に少し休憩を頂くくらいで済みましたが、やはり嘔吐下痢症は、微熱程度でもインフルエンザ並みに倦怠感を強く感じます。体調が戻り、今日の診察はホッと一息でした。
 インフルエンザが12月27日に全国的に流行入り、愛媛でも1月5日の週には流行入り、12日には宇和島が注意報入り後一歩まで迫りました。八幡浜ではB型が目立っていますが、松山を始め愛媛県下ではA型が75%、B型が25%の割合での発生です。当院でも年明けに今シーズン初めて小学生のA型、成人の
B型を検出しましたが、未就学児の検出はなく、例年になくインフルエンザの流行の立ち上がりの遅いシーズンでした。しかし、昨日からは広範な年齢の方でインフルエンザが目についてきましたので、来週には学級閉鎖などの集団発生も出てきそうです。
 山口県のデータではこの連休にスギ花粉のわずかな飛散が観測されていますが、この寒さのせいで飛散はわずかなままで推移しそうです。当院でも、今シーズン用の新しい花粉観測ロボット(ポールンロボ)を設置しました。観測開始が始まりましたら、当ホームページでもデータ飛散グラフを閲覧できるようしていきます。そろそろ花粉症の初期治療w希望される方が目立ってきました。レーザー治療を希望される方も今がピークのようです。レーザー治療後、鼻粘膜が落ち着くのは照射後2週間経った頃です。今シーズンの飛散開始日が2月13日頃とすれば、初期治療は2月5日頃からの服用を、レーザー治療は1月中に済ませることをお勧めします。

 年末の総集編でやっと「あまちゃん」を観ることが出来ました。通の人からは総集編ごときでは魅力は解らないとお叱りをうけそうですが、流行の周回遅れでハートフルなドラマに触れることが出来ました。年始は、ネットのレビューから脚本の良さそうなのを私なりに厳選して、ハートフルな映画をDVD鑑賞しました。「舟を編む」:「そして父になる」は見ていませんが、今年の日本アカデミー賞の発表が楽しみになってきました。私は「舟を編む」を大いに押したいです。山田洋次監督いわく、こんな邦画ができるなら日本はまだまだ捨てたもんじゃない、と言わしめた映画です。「最強のふたり」:フランス映画で、全編を通してすこしウルウルしながらニコニコできます。本当にハートが暖かくなります。私の映画鑑賞歴の中でもベスト20には入りそうです。「鍵泥棒のメソッド」「アフタースクール」:コメディータッチのサスペンスです。今が旬な俳優が勢ぞろいで、痛くないサスペンスの脚本が秀逸です。「きっと、うまくいく」:ハートフルなインド映画ですが、スイマセン、レビュー程には私はホッコリとはしませんでした。途中脱落でした、、、 
  17日  今日の未明、旭川郊外では氷点下30.5℃とのこと。顔は痛いんでしょうね。私の未体験ゾーンです。 今日は、午後の診察ぐらいから、そろそろインフルエンザの子供達が来院するかなと心していましたが、小学生、高校生で”いかにも怪しい”が迅速検査では陰性の方は診ましたが、確診に至った方は大人の方1名のみでした。さすがに来週からはインフルエンザの発生が増えてくると思います。インフルエンザも過去に罹った免疫+現在の体調で発症の程度は大いに違ってきます。寒い中、睡眠不足や過度に体を冷やすなどに注意して、体調管理は万全でお願いします。
 先日、このコラムで、12月に日本でもA香港型のタミフル耐性例が報告されたとお伝えしましたが、実はA2009年型のタミフル耐性例でした。誤記をお詫びします。昨シーズンは世界的にもタミフル耐性例はほとんど報告されませんでしたが、2シーズン前にさかのぼると、09年型とB型のタミフル耐性例は目立っていました。当時新型と呼ばれた09年型は、後の研究で、A型H1N1亜型で、1918年に流行したスペイン風邪や77年から流行したAソ連型と構造が似ており、また香港型・ソ連型・トリインフル・ブタインフルの4種の遺伝子が混ざっていることが判明しています。そのためソ連風邪の流行時には徐々に目立ち始めていたタミフル耐性株が、今シーズンに09年型が流行するならば多くなることが予想されます。愛媛県内ではまだ、09年型の報告は出ていませんが、今シーズンは2シーズン振りに流行するかもしれませんので、流行した際には抗インフルエンザ薬の選択には注意しようと思います。 
  19日  松山大学薬学部の花粉症測定データの配信が始まりました。臨床薬学研究センターの難波教授はじめ研究室スタッフのご尽力に感謝します。今シーズンの松山のスギ花粉の初観測日は1月6日となりました。当院のポールンロボも15日から観測を開始しました。15日午後に5個と少量ながらまとまった観測があり、その日に花粉症症状で来院された方もありました。これから寒さが緩んだ午後には、わずかながら花粉が落ちてくるものと思います。当ホームページと院内では、花粉飛散グラフの掲示を始めました。花粉症シーズンもいよいよ本番です。
 今日の診察ではインフル陽性の方は見られませんでした。昨年は1月18日の南中学の学級閉鎖から始まり20日には市内全域の子供たちにA香港型の集団発生が急に広まりました。今年は例年より集団発生の始まりは遅いですが、インフルエンザの流行も今週には本格化しそうです。  
  20日   昨年もお伝えしていたスギ花粉症への経口免疫療法のお薬が、1月17日に製造販売承認を得ました。保険診療の制度上では、今後、薬価収載という過程を経て発売されていくことになります。予定は未定ながら、今のところ、今年4月に発売、保険診療での使用が可能になる見込みです。 開発した鳥居薬品のプレリリースによれば、薬剤は、シダトレン:スギ花粉舌下液200ボトル、2.000ボトル、2.000パック。効能効果:スギ花粉症(減感作療法)。適応年令:12才以上。服薬方法:1日1回、舌下に滴下し、2分間保持した後、飲み込む。その後5分間は、うがい・飲食を控える。1週目増量期; 200ボトル 0.2-0.2-0.4-0.4-0.6-0.8-1 と毎日増量 2週目増量期;2.000ボトル 0.2-0.2-0.4-0.4-0.6-0.8-1 と毎日増量 3週目維持期;2.000パック 全量。とのこと。この療法での具体的な費用や副作用は、情報を得次第にお伝えします。花粉症診療に携わるものとしては、近年にない画期的な薬剤です。発売はちょうど今シーズンのスギ花粉シーズンが終わる時期に当たります。花粉症の症状が厳しくて積極的に体質改善に取り組みたい患者様とよく相談する形で、私も取り組みたいと思います。鳥居薬品では、一般の人向けの情報提供サイトを1月27日にオープンするとのことです。
 トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ 
  24日  22日から市内の小学校でインフルエンザの学級閉鎖が出始めました。今日は当院近隣の小学校でも学級閉鎖となりました。来週は保育園、幼稚園でも集団発生が広がるものと思われます。当院ではA型8割、B型2割程度の検出です。今年はA香港型とB型が同時に流行しそうです。ただし今のところ、総じて症状が軽い印象があります。昨年と同じ株のA香港型が広まっているために、昨年罹った人が基礎免疫があって発症しにくいか、発症しても軽い。さらに予防接種のタイプが合っており発症しにくい、発症しても軽い、などの可能性があります。
 スギ花粉症の経口免疫療法ですが、徐々に情報が集まってきています。発売は今年6月頃の予定で、耳鼻咽喉科学会やアレルギー学会の講習会を受講した医師が対応する予定です。  
  27日   学級閉鎖の急激な広がりはありません。当院より東の市内中心部方面ではA型の流行が主流で、当院より西の垣生、松前、伊予市方面ではB型の発生が主流です。当院が流行の境に位置しているようで、ちょっと興味深い状態です。
 ここ数日はスギ花粉の飛散はありません。私のスギ花粉飛散日の予想は、今のところ2月12日としておきます。  
  30日  当院では、A型、B型インフル、RSウイルス、アデノウイルス、溶連菌感染症や、ノロ、サボウイルスの感染性胃腸炎にともなう上気道炎が散見されます。今年は全国的にみてもインフルエンザの流行の立ち上りが遅く、当院でも比較的穏やかな外来が続いています。 
 スギ花粉は、わずかな飛散は続いていますが、まとまった飛散はまだ見られません。松山のスギ花粉症は「梅や椿まつりとともに始まり、桜で終わる」傾向があります。インフルエンザも椿まつりの頃に流行します。今年の椿さんは2月6~8日と例年よりやや早いです。さて、椿さんの頃に、花粉は飛散開始するでしょうか? インフルの流行はどうなっているでしょうか?
 25日に、松山も愛媛県全域としても、インフルが注意報レベルになりました。先ほども述べたように例年よりもやや遅い流行の立ち上がりです。愛媛や全国ではA型75%、B型25%、松山ではA型90%、B型10%で発生しています。全国的には保健所レベルのウイルス分離でA09年型が最も多くなってきており、その19%がタミフル耐性株との報告です。ただしリレンザ、イナビルへの耐性は見られていません。09年型も2シーズン振りに全国的に広がってきているようです。抗ウイルス剤の選択では、A香港型はタミフル耐性なしなのでタミフルも選択枝に、A09年型はタミフル耐性に注意して薬剤を選択する、となりそうです。当院では今後、香港型と09年型が区別して検出できる迅速検査キットも活用したいと思います。(今シーズン、09年型が判定できるキットは1社からしか発売されていません。今後の供給不足がやや懸念されます)

 頚部リンパ節炎、突発性難聴、耳介血腫、頚部嚢胞、外傷性鼓膜穿孔、水疱性鼓膜炎など。 
  31日  今日はニュースな話題を。
 ウェザーニュース社がポールンロボのデータを基に、1月26日に東京始め関東6県でスギ花粉が飛散開始したと発表しました。同時にポールンロボを記者会見で紹介。今後はPM2.5も測定する予定であることも発表しました。ポールンロボはあくまでも花粉状粒子を測定したものですが、スギ花粉しか飛散していない今の時期のデータでは、スギ花粉の飛散を結構的確に把握できます。正式なスギ花粉の観測が1日当たりの花粉量を測定するのに対し、時間当たりの飛散量が全国レベルでリアルタイムに分かります。「2日連続して花粉を1個以上観測した最初の日を花粉飛散開始日とする」という従来の花粉飛散の定義とは異なりますが、今年は関東地方が全国でも最も早くまとまった花粉の飛散があったことは間違いないと考えられます。今後も花粉観測ロボットの精度があがると、花粉飛散予報も変わっていくかもしれません。当院のポールンロボは、まだわずかな飛散のみですので、松山の飛散開始日は2月に入ってからになると思います。とりあえずウェザーニュース社の取り組みは画期的です。ウェザーニュース社やグーグルは無料のコンテンツばっかりでどうやって収益を上げているのか不思議になる方も多いと思います。グーグルはいまや検索の上位に広告を載せるアフェリエイトやアドセンスで莫大な収益をあげるようになっています。ウェザーニュース社の一番の収益源は海洋気象予報だそうです。船舶がその情報を基に最も燃費の少ない航路を選択するそうです。先進企業の収益機会はどんどん進化していますね。
 今日は愛媛新聞の1面もSTAP細胞の記事でした。弱酸性の刺激を与えるだけの簡単な方法で、あらゆる細胞に分化できる万能細胞STAP細胞を作製することに理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方リーダーがマウスで成功し、29日付のネイチャーに掲載されました。iPS細胞とは異なる新型の万能細胞で、再生医療の研究に役立つと期待されています。日本の再生医療はまた進化しそうです。頼もしいかぎりです。
 28日には、東京大医科学研究所などの研究チームが花粉症患者の細胞を使ってiPS細胞を作製し、このiPS細胞を、さらにアレルギー反応を引き起こす原因となる肥満細胞に変化させることにも成功したとの報道もありました。耳鼻科医にとっては、京都大が高度難聴のサルにiPS細胞から作成した内耳細胞を移植して中等度難聴に改善した、というニュース以来のニュースで、私も少し興奮気味です。特定のアレルギー疾患に感作された細胞が簡便に作成できれば、薬の効果や副作用の判定が迅速かつ安全にできます。アレルギー分野の創薬医療にも再生医療が一気に入ってきそうです!