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耳の外傷の注意点と取扱い

耳の外傷の注意点と取扱い
外耳道外傷:
入口半分:外皮に近い状態の部分 (治療)傷が浅ければ局所の消毒の上、経過観察のみ。深ければ外耳炎の予防
奥半分:骨膜の上に薄い皮膚が乗った状態の部位ですので、痛みを強く感じやすく、滲み出すような出血が2~3日続きやすい。 (治療)消毒、二次感染予防

鼓膜外傷:鼓膜も皮膚に近い膜ですので1~2ヶ月かけて自然に再生することが多いですが、再生力の弱い皮膚との移行部や耳小骨の付着部が障害された場合や、約2週間ほど経過を見ても再生力が弱い場合には、鼓膜の穴を閉じる処置も必要になります。
原因:直達性:耳掻き、綿棒による機械的外傷
   介達性:平手打ち、ボールなどで圧が伝わり鼓膜に裂傷する気圧外傷
治療:
鼓膜穿孔:経過観察(約2週間がひとつの目処)
      パッチ術  キチン膜を用いて
      穿孔閉鎖術 コラーゲンスポンジ、自家筋膜、フィブリン糊を用いて

耳小骨離断:病院に紹介 高分解能CTによる精査の上、鼓室形成手術

内耳の障害:内耳の入り口に強烈な振動が伝わることにより、高音障害型の神経性難聴やめまいを生じることがあります。一時的な神経障害のことが多いですが、神経の回復が悪い場合、聴神経は約2週間で固定傾向となり、1ヶ月で完全な後遺症となってしまうことがほとんどですので、しっかりとした治療と経過観察が必要です。
*就学前のお子様は神経の再生力が旺盛ですので後遺症となることは極わずかですが、自覚的な反応をみる周波数毎の検査が十分できない(脳波聴検でも高音部の聞こえの傾向しか判別できません)ので、耳鳴り感や違和感、ふらつきが生じないかどうか、念の為、保護者の方に2~3日の間、経過観察して頂きます。

音響外傷:高音部分の神経性難聴を来します。程度が軽ければ多くは2~5日で軽快しますが、耳鳴りが残れば治療を継続します。 (治療)ビタミンB12、アデノシン、内耳循環改善剤、内耳浮腫改善薬など

外リンパ瘻:中耳と内耳の境界の膜が破れて、内耳内のリンパ液が漏れる状態です。圧負荷眼振検査で瘻孔症状、pop音、流水様耳鳴を認めます。CTP(外リンパ特異蛋白)検査(0.3ml生食洗浄液より0.1ml採取) 
 (治療)病院に紹介 2週間後を目処に試験的鼓室開放・内耳窓閉鎖手術

内耳振盪症:頭部打撲で強い振動が内耳全体に加わった時に起こります。めまい、難聴、耳鳴が様々な程度で出ます。顔面神経麻痺が疑われる場合などには、レントゲンやCTで側頭骨骨折の有無も精査します。

側頭骨骨折:側頭骨内に内耳、中耳、外耳、顎関節と聴覚を伝える聴神経、平衡感覚を司る前庭神経、顔面筋を動かしたり味覚や涙唾液を調節する顔面神経が格納されています。側頭骨骨折は、側頭部に重度の鈍的外傷を受けた際に側頭骨に亀裂が走る骨折が特徴的です。バトル徴候(耳介後部の斑状出血)と中耳から鼓膜の裏や外耳への出血が特徴的所見です。
 側頭骨錐体部の長軸に対する方向により分類され、縦骨折が70~90%、横骨折が10~30%です。縦骨折では中耳を貫通して鼓膜を破る、20%に顔面神経麻痺、まれに伝音難聴がみられます。横骨折では顔面神経管および迷路骨包を横断することから、40%で顔面神経麻痺、とき感音難聴や前庭機能障害によるめまいがみられます。
 顔面神経損傷、感音や伝音難聴、外リンパ瘻による前庭機能障害、髄液漏・髄液耳漏への治療が必要になります。髄膜炎のリスクがあるために入院で経過をみます。髄液漏は数日以内に自然軽快する場合が多いのですが、腰椎ドレーンや欠損部の外科的閉鎖を必要とする場合もあります。

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