最近の話題から

2002年(平成14年)分


 睡眠時無呼吸症候群に狭心症リスク

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)は心臓など循環系にも悪影響を与える。夜間に酸素不足に陥ると交感神経が興奮して血圧が上昇し、左心に過剰に負担がかかる。その結果、左心肥大、律動障害、無症候性心筋虚血などが引き起こされて、最終的に左室機能障害を招くこともある。SAS患者の死亡率が高い一因は心血管イベントの発現と考えてもよさそうである。
   (Medical Tribune 2002/12/26より抜粋引用)

 「いびき、睡眠時無呼吸について」 もご参照ください。


 アレルギー疾患の親子調査 親が有病なら子も半数発症

親子で花粉症有病率を比べると、子の有病率は親のそれに比べ倍増している上、両親がアレルギー性疾患を有している場合は子も過半数でアレルギー性疾患を発症していることが、日本医大耳鼻咽喉科助教授の大久保公裕氏の調査で明らかになった。第39回日本小児アレルギー学会で同氏が発表した。

調査対象はある製薬企業の社員958人(男性803人、女性155人、平均42歳)とその子1285人(平均12歳)。

その結果、15歳までのアレルギー性鼻炎の発症率は親が9.1%だったのに対し、子は17.6%とほぼ倍増し、春の花粉症の発症率も親の5.3%に対し、子は9.7%だった。

また両親がアレルギー性疾患を持つ場合、子の同疾患の発症率は57.4%と半数を超えた。逆に両親ともにアレルギー性疾患を持たない場合、子の発症率は26.7%だった。一方父親のみアレルギー性疾患を持つ場合、子の発症率は44.8%、母親のみの場合は44.1%と親の性別による差は無かった
   (Nikkei Medical 2002年12月号より抜粋引用)

 以前の報告では「子供の有病率は母親の影響が4割、父親の影響が3割」と言われていたこともあります(出典不詳)。

 花粉症 「ほくろ」がガード 日本免疫学会で発表

ほくろが顔などに目立つ人は花粉症になりにくく、逆にほくろのない人は花粉症にかかりやすい傾向があることを科学技術振興事業団の技術参事、栗屋昭さんらが見つけ、東京でこのほど開かれた日本免疫学会で発表した。

栗屋さんはことし5,6月、東京近郊で通勤途中に出会った人や知人らの115人(17−60歳)に花粉症の有無を聞いた。顔や首、腕にほくろが目立つ人と、ない人に分けて調べた。しみなどで区別がつきにくい場合は除いて、極端な人の間で比較した。

ほくろがあった85人で花粉症にかかっていたのは5人。しかもその内3人は目立つほくろが1個だけで、ほくろがないのに近かった。これに対し、ほくろがない30人は全員が花粉症にかかっていた

「ほくろが出来るような体質の人が花粉症になりにくいといえる。ほくろがなくて皮膚がつやつやしている人に花粉症が多い。美男美女が花粉症などアレルギーになりやすい傾向と符号する」と栗屋さんはみる。

同様の傾向は、共同研究者らが計300人を対象に実施した調査でも確認された。ほくろのない人では70%以上が花粉症だった。
    (愛媛新聞 2002/12/23より抜粋引用

 1960年代後半にスギ花粉症が発見され、70、80年代頃までは「美男美女が花粉症などアレルギーになりやすい」と、冗談半分に言われたことはありますが、科学的根拠があるのかどうかは不明です。今や日本国民の15−20%が花粉症と言われております。こうなるともう「美男美女云々」と言っている余裕はありません(!?)更に付け加えるならば、ほくろがなくて皮膚がつやつやしているかどうか、むしろ肌が白くきれいな人にはほくろも目立つと思うし、ほくろと肌のつや美人度とは互いに密接な関連性がないのでは、と愚考しております。本題のアレルギーとは離れますが、スーパーモデルのシンデイ・クロフォード、永遠のハリウッドスター、マリリン・モンロー、いずれもチャームポイントは「ほくろ」です。


 インフルエンザ 米で新ワクチン 

米食品医薬品局(FDA)のワクチン諮問委員会は(12月)17日、鼻腔に噴霧する新インフルエンザワクチンの有効性と安全性を認めた。FDAはとりあえず使用世代を5−49歳に限り販売を認める見通しだ。

新ワクチンは米国の製薬会社が開発。不活性化したウイルスを使う従来の注射型ワクチンとは違い、生きたまま毒性を弱めたウイルスを鼻にスプレーする。

インフルエンザのウイルスは鼻や口などの粘膜細胞にとりついて増殖する。事前にワクチンを鼻に噴霧することで粘膜の免疫を活発にし、水際でウイルスをたたく。
    (朝日新聞 2002/12/19より抜粋引用)

鼻腔粘膜は薬剤の吸収が非常によいので、婦人科のホルモン治療などに鼻スプレー型のものがあり実用化されています。このアイデアは非常に優れたものと思いますが、ただワクチンというものは弱毒化したり、不活性化したウイルスを体内に取り込んで免疫機構を形作るのが基本で、抗体が出来るのに最低10日ー2週間はかかります。インフルエンザが流行ってきてから、シュッシュと鼻にスプレーしても即効果が出るものではないので、文章を読み違えないようにする必要があります。


 鼻ポリープの再発をインターフェロンが予防

ウルム大学のGuido Muhlmeier博士らは「手術を行っても鼻のポリープが再発するケースには、インターフェロン(IFN)α-2aの投与が有効かもしれない」とドイツ・オーストリア耳鼻咽喉科学会で報告した。

同博士らは、既に2回以上の手術を受けたポリープ性の汎副鼻腔炎患者11例を対象として、最後の副鼻腔炎手術の直後からIFNα-2aの皮下注(週3回)を開始した。最初の3ヶ月間は1回量300万IU、その後9ヶ月間は同50万IUとした。その後の3−20ヶ月間の観察期間中、11例中9例で再発は認められず、残り2例ではポリープ様の小塊が認められたものの、無症候性であったという。

組織学的には、鼻ポリープの90%で組織好酸球の増加が見られることから、同博士は「おそらく、IFNα-2aはインターロイキン(IL)-5の合成を阻害することにより、間接的に好酸球の活性化を防ぐのではないか」と推測している。
   (Medical Tribune 2002/11/28より引用)

鼻のポリープは日本人の場合、喘息などに合併してアレルギー反応の結果生じる場合もありますが、殆どは副鼻腔炎が高度となって発生することが多く、原則として手術的に除去することが現時点では基本的かつ根本的治療です。本文では「汎副鼻腔炎」とはありますが、「好酸球の増加」とあるので、あるいは炎症型でなくアレルギー型のポリープかも知れません。近年では日本人も高度の炎症型は減少傾向にあり、アレルギー(主体)型が増えているのも事実ですので、手術以外のこういう治療法が今後増えていく可能性は高いと思います。

 新型インフルエンザの兆しー流行なら国内推計3200万人発病

多くの死者が出ると心配される「新型インフルエンザ」が発生の兆しを見せている。これまで10−40年の周期で大流行し、最後の流行から30年以上たった。ここ1,2年監視網の強化やワクチン株の保存、新薬の備蓄などの対策は進んだが、なお警戒が必要だ。

近年、冬に流行するインフルエンザはAソ連型、A香港型、B型の3種がある。昨年から今年にかけて、Aソ連型とA香港型の遺伝子が混じったウイルスが、日本を含む世界各地で見つかった。病原性は通常のウイルスと変わらず、大流行の恐れはないが、新型ウイルスの発生の兆しとして、専門家は警戒を強めている。

1918年から大流行したスペイン風邪(H1N1)は世界で2千万−4千万人の命を奪った。当時の全人口の約3%、20世紀最悪のインフルエンザ被害となった。さらに、アジア風邪(H2N2)(57年)、香港風邪(H3N2)(68年)と、20世紀には合わせて3度の大流行があった。Aソ連型はスペイン風邪の、A香港型は香港風邪のそれぞれ子孫にあたる。

新型ウイルスは人に感染するインフルエンザウイルスと鳥のウイルスが同時に豚に感染、豚の体内で両方の遺伝子が混じり合ってできる。もともとのウイルスはシベリアの野生のカモ類が持っており、人里に運んでアヒルなどにうつす。その結果、人と豚、アヒルや鶏が一緒に暮らすアジアの農村などで、新型ウイルスが生まれる可能性が強い
しかし、昨年来見つかっている混合型は、人の体内で遺伝子の混合が起きたと見られている。

インフルエンザウイルスの型は15種のHと9種のNの組み合わせであらわす。HとNはウイルス表面にあるトゲの種類の名前で、計135の型があり得る。
   (朝日新聞 2002/11/28より抜粋引用)

11月27日埼玉新聞によれば例年より1週間早く小学校の学級閉鎖が行われ、児童からB型インフルエンザを検出したとのこと。同日読売新聞では都立衛生研究所で行っている免疫検査と過去の患者数の記録から今シーズンは「A香港型」「B型」を中心に患者総数を240万−340万人と推計。約260万人が発症した1998年度並みの大規模な流行の可能性があるとしている。(インフルエンザ最新情報もご覧下さい)


 (秋の)アレルギー性鼻炎ー花粉かダニか、はたまた昆虫かー

アレルギー性鼻炎の原因は草木の花粉類約80種のほか、カビや動物の毛昆虫の排泄物など多種多様だ。花粉類のうち、秋に症状が出るのはアキノキリンソウ(セイタカアワダチソウ)、ブタクサ、カナムグラ、ヨモギなど。またダニが増えるのは夏から秋にかけて。その死骸や排泄物が抗原になるので、秋に症状が出ることが多い。最近はゴキブリガなど身近な昆虫が原因になっているという報告がある。症状も秋にひどくなる傾向があると言われている。

昨年全国の耳鼻科医のグループが560人のアレルギー性鼻炎患者の血液を調べたところ、抗体を持っている人の割合(陽性率)はハウスダスト66%、ダニ63%、スギ57%。これに対し、ガ33%、ユスリカ16%、ゴキブリ13%など昆虫でも比較的高い数値を示した。「昆虫関係の陽性率は、ヨモギやブタクサなどの花粉と変わりません。台湾や香港ではゴキブリがダニに次ぐ原因です」(荻野敏・大阪大教授)

ただゴキブリに陽性を示した人のほとんどはハウスダストも陽性で、「問題は昆虫単独で症状を起こしている人がどれくらいいるかです。ハウスダストに対する治療でよくならない時は昆虫を疑う必要があります」
   (朝日新聞 2002/11/04より抜粋引用)

 実際、耳鼻科の診療に携わっていても、春の花粉症のスギ、ヒノキから初夏のカモガヤなどのイネ科花粉くらいまでは、原因が比較的はっきりわかりますが、秋のアレルギー性鼻炎は原因が今一つはっきりしません。今後の研究に期待するところ大です。


航空性中耳炎ー耳抜きの徹底と基礎疾患の治療をー

東京慈恵会医科大学耳鼻咽喉科の加藤孝邦助教授は、航空機の客室環境と耳鼻咽喉科領域の関連について、耳抜きや基礎疾患の治療、マスクの使用などが有用と解説した。

機内環境では、気圧が一番問題になる。疾患として最も多い航空性中耳炎は、鼻炎や咽頭炎などで耳管の機能低下があるところに、航空機の降下による気圧の変化(0.8気圧から1気圧に上昇)に対応できないために、耳閉感、耳鳴りが発現する。あくびなどで大きく口を開ける、顎を左右に動かす、バルサルバ法(口を閉じて鼻をつまみ、中くらいの強さで息を鼻から出すようにする)やトインビー法(鼻をつまみ、唾液を飲み込むなど嚥下をする)などの「耳抜き」で対処する。また、機内は低温、低湿度であるため、長時間フライト時の鼻腔の環境維持には、マスクなどの着用や水分の補給が必要になる。

速度、加速度に対しては、唾液腺分泌亢進、顔面蒼白、冷汗、胃部不快感、吐き気、頭痛、眠気、めまいなどを訴える動揺病が起こりやすい。エンジン音、換気音、後方気流音などの騒音は、離陸時に63.8−76.8dB、巡航時には71.1−80.4dB、着陸時は66.3−74.9dBにもなる。

同助教授は「頻繁に飛行機に乗る人、パイロットや客室乗務員は騒音性難聴になる可能性もあり、耳栓をする、イヤホンの音は大きくせず聞き流しにしない。音としては感じない低周波音(0.1−20KHz)によって、眼振、重心動揺のような平衡感覚の低下、聴力低下、作業能率の低下が現れるが、対策はなく、現在研究されているところである」と述べた。
   (Medical Tribune 2002/08/22より引用)

耳鼻科の病気あれこれ「航空性中耳炎」もご参照下さい。


 睡眠呼吸障害が脳損傷

鳥取大学の難波講師らは睡眠中に呼吸が止まったりする睡眠呼吸障害の症状が重いと、脳の白質と呼ぶ部分に損傷が現れることを突き止めた。睡眠呼吸障害が脳機能に及ぼす影響の解明につながる成果。

いびきや日中の眠気を訴えるなど睡眠呼吸障害と診断された患者55人について、脳表面の皮質と、その内側にある白質を調べた。その結果、障害が重い患者ほど、白質部分でアミノ酸の一種「NAA」が少なく、逆にコリンと呼ぶ物質が多くなることがわかった。白質の組織が損傷を受けていることを示すデータという。
  (日経産業新聞 2002/08/27=(株)幸耀 Medical Today News 8-14号より引用)

睡眠時無呼吸症候群は最近最も注目されているトピックの一つで各分野で色々な角度から研究されてきています。その大半はのど奥、鼻などに原因があると考えられています。


 スギ花粉予測、来春は困難にー花芽出る時期に狂いー

春に花粉症を引き起こすスギの雄花の花芽のつけ始めが、西日本で昨年と比べ1ヶ月近くも早いことが「花粉情報協会」の調査で分かった。

スギは盛夏に花芽をつけ、雄花を成長させていくが、秋にいったん休眠状態に入る。そして12月に休眠から覚め、春に花粉を飛ばす。「例年、スギは梅雨明けが刺激になって花芽をつけ出す。スギにとって今年の梅雨明けは、気象庁の発表よりも1ヶ月ほど早い6月半ばだったのでは」(小笠原寛医師、兵庫県市立西脇病院)

春のスギ花粉の飛散量は雄花芽が育つ前年夏の気象に左右されるといわれ、猛暑で少雨ならば多く、冷夏で多雨だと少ない傾向がある。このため飛散量をうかがい知る一つの指標として、過去の気象データと花粉量を関連づけた予測式が使われることがある。ところが、今年のように花芽の出る時期が大きく狂うと、過去のデータは参考にならないとの見方が強い。
   (朝日新聞 2002/08/18より抜粋引用)

 スギ花粉症は2−3年周期でひどくなったり、軽かったりします。予防的治療が奏効するので、花粉が大飛散するかどうかの予測が出来ればメリットが大きく、色々な予測がなされています。前年夏の天候がもっぱら重要視されているのですが、このようなデータだと予測が困難となります。


 聴神経腫瘍患者の10%で突発性感音難聴

聴神経腫瘍(第八脳神経の頭蓋内における良性新生物)のおもな症状の一つとして進行性難聴がある。ペンシルバニア大学医療センター(ペンシルバニア州フィラデルフィア)のAnna Aronzon博士らは、聴神経腫瘍患者の10%が突発性の感音難聴を訴えていると耳鼻咽喉科学会春季合同集会で発表した。
   (Medical Tribune 2002/07/04より抜粋引用)

腫瘍性病変は増殖するにつれて症状が進行性に拡大します。従って聴神経腫瘍の場合は通常は難聴や耳鳴りが次第にひどくなっていくことが多いのですが、時にはこの記事のように突発性難聴の形で出現します。治療経過が思わしくないときはそう多いものではありませんが、この病変を除外しておく必要があります。


 花粉症の発症年齢

Q 1歳児で花粉症様の症状がみられたというが、このような年齢でも発症することがあるか?

A 花粉抗原の侵入により体内に(特異的IgE)抗体が産生されるが、発症に至るまでにはある程度の年月を要する。体内に入る花粉数が多いほど、また体質的アレルギー素因が強いほど抗体の蓄積も早くなると考えられる。
1980年代には4歳以下のスギ花粉症例はないとされていたが、最近の知見ではスギ花粉による感作は早ければ2シーズンで起こり、3シーズン目には発症に至ることが示されている。したがって常識的にはスギ花粉症の発症は2歳以降となる。

Q 本例は母親が花粉症を発症する前に生まれた第1子には症状がなく、第2子に見られた。母親の妊娠時期と子の花粉症罹患には関係があるか?

A 遺伝素因という点では母親の花粉症発症前後で子供への影響に差はない。また抗体は母体から胎盤を通して移行しないので、母体に蓄積した抗体の影響もないはず。もし母親が花粉症発症後に出産した子が花粉症になったということならむしろ環境要因が共通していることが影響するものと考えられる。乳児期に花粉に大量に暴露したほうが花粉症に罹患しやすいという報告もある。

Q 60歳くらいを過ぎると花粉症は発症しなくなるというが、実際はいかが?

A スギ花粉症患者は60歳以上で激減するものの、数%の有病率があるし、60歳以上になって新たに発症する例もわずかながらみられ、発症者全体の2.7%を占める。
新たな発症が少ない理由としては生理的に抗体産生量が落ちること、若い頃には花粉量そのものが今より少なかったため、花粉に接する機会が少なかったことなどが考えられる。ある報告では花粉症は長期的には年ごとに症状が軽くなるのが一般的傾向のようである。
   (日本医事新報 No.4074 2002年5月25日 91頁より抜粋)

 たしかに発症の低年齢化は間違いないようです。が経験上、殆どは鼻カゼまじりで、そちらが主体です。


 ステロイド注射で皮膚萎縮 症状遷延例もあるので注意

年々増加するアレルギー性鼻炎の治療法の一つとして、副腎皮質ホルモンの注射療法がある。症状が出る季節の前に注射し、不快な症状をコントロールするもので希望者も多い。

ステロイドの注射薬の中で、局所貯留性の高い懸濁液を溶媒としたものを通常使用するが、逆に局所的な副作用がそれだけ発現しやすい。

ステロイドには多くの副作用があり、皮膚の萎縮や陥没もその一つ。皮膚浅部への注射による副作用は炎症症状にとどまるが、皮内深部への注射による副作用は皮膚萎縮や色素脱失を起こす。

注射部位に陥凹性病変を呈する症例が報告されている。多くは閉経前の女性で、脂肪細胞に変性と萎縮が起こり、注射部位の皮膚が陥没したものと思われる。

皮膚病変を起こさないためには筋肉層が薄い部位は避けた方がよく、上肢より臀部の方がよいとされる。また太い注射針で皮下脂肪組織よりも深部に注射し、逆流しないように注射部位をもまないようにするなどの手段もある。

皮膚の萎縮や陥没は可逆性と言われているが、投与中止後も治癒しなかった例もある。(滝野川病院 今泉真知子)
   (Nikkei Medical 2002年5月号より抜粋)

 「アレルギー性鼻炎」「ステロイド筋注とレーザー治療」もご覧下さい。


 睡眠時の無呼吸は受診を

いびきは上気道(のど)が狭くなり、空気が通るとき口蓋垂付近が振動して音が鳴る現象である。のどが更に狭くなると、息を吸うときに気道の壁が吸い寄せられて閉じてしまい、息が吸えない状態になる。これが無呼吸である。無呼吸が起こると脳が目覚めて(覚醒反応)、呼吸が再開する。

無呼吸がたびたび起こると、その度に覚醒反応を起こし睡眠が妨げられる。乳幼児は更に全身に対する影響が大きく、食欲不振から体重増加不良になることもある。乳幼児突然死症候群(SIDS)の原因の一つとして、睡眠時無呼吸も推測されている。

睡眠中に無呼吸(十秒以上の呼吸停止)が1時間に5回以上起こるのが睡眠時無呼吸症候群である。成人では肥満との関連が指摘されているが、小児では肥満以外に、アデノイド、扁桃肥大のことが多い。

いびきがすべて病気ではない。無呼吸を伴ういびきは、いびきが止まり(平均30秒、長いときは2分以上)、その後あえぐような激しい息、またはいびきで呼吸が再開するのが特徴。

小児に関しては無呼吸を伴わなくても、高度のいびきは睡眠呼吸障害を起こしている可能性があり、安易に自己判断せず、病院を受診したほうが良い。(長岡赤十字病院小児科 今村 勝医師)
   (日経新聞2002/03/15より抜粋引用)

 下段の記事、「睡眠時無呼吸症候群」、と「いびき、睡眠時無呼吸について」もご覧下さい。


 耳抜き 抗アレルギー剤の服用有効

スキューバダイビングの入り口でつまずく人の多くが、耳抜きの苦労を訴える。潜水をすると水圧が増し、耳の中を圧迫。放置すれば中耳が損傷、耳に水が残った感じや難聴に悩まされる。中耳の圧力を一定に保つには、鼻をつまんで口の中の空気を、耳管を通じて中耳に送り込む耳抜きが必要だ。

潜水関係の健康トラブルの8割は耳鼻科がらみで、その内7割が耳抜き不良。

対策の第一は技術、訓練だが、それでも駄目なら医学的治療に進む。耳抜き不良の9割はアレルギー性鼻炎が原因とされる。鼻炎になると鼻の奥が腫れて、耳管の出入り口を塞ぐ。

抗アレルギー剤の服用で8割は耳抜き可能に。レーザー治療なども組み合わせれば2,3ヶ月以内にほぼ全員ができるようになる。
   (日経新聞2002/03/09より抜粋引用)

下段の記事、および「航空性中耳炎」、「アレルギー性鼻炎」、「レーザー治療」もご覧下さい。


 ダイビングすぐフライトご用心気圧急変 死亡の恐れ

海でダイビング(潜水)後に航空機に乗る場合、最低でも4時間置かないと、減圧症で命を落とす恐れがあることが、海洋科学技術センターの動物実験で明らかになった。
地上より気圧の低い航空機内では潜水中に血液に溶け込んだ窒素が気泡となり、血流を阻害する減圧症の危険があるため。

同センターの楢木暢雄副主幹は「週末にダイビングを楽しんで、航空機で都会にとんぼ返りするような余裕のない日程を組むのは危険」と、注意を呼びかけている。

研究チームはラットとウサギを、深さ30−40メートルの潜水と同等の高圧タンクに2時間半置いた。そこからいったん地上の気圧環境に戻した後、高度3000メートルに相当する気圧まで減圧していき、体調を調べた。
航空機の機内は通常、地上より1−2割低い気圧に調整してある。実験の結果、海底の高圧状態を出た後、地上の大気圧に1分間置いただけで上空の減圧状態にすると、両者とも死亡率が増加した。また地上の気圧環境で10分間慣らすと、死亡率は約5分の1に下がることもわかった。

この結果を人間に置き換えると生命にかかわる重症の減圧症を避けるには、潜水後、航空機搭乗までに、地上で最低4時間以上過ごす必要がある。安全を考慮すると、搭乗までに24時間以上空けてほしい」と楢木さんはアドバイスしている。
   (読売新聞2002/02/19より抜粋引用)

 「航空性中耳炎について」もご覧下さい。


子供への解熱剤 要注意!!

昨年5月以前に医師から処方された解熱剤を、インフルエンザの子供(15歳以下)に使用しないよう厚生労働省が呼びかけている。症状がかえって重くなり、インフルエンザ脳炎、脳症を悪化させるおそれがあるためだ。
対象は「ジクロフェナクナトリウム」(商品名ボルタレンなど)、と「メフェナム酸」(同ポンタールなど)。内服薬と座薬とがある。

インフルエンザのこどもが解熱剤を使用した場合、重い症状を引き起こし、致死率も高まるとの研究班の報告から、これらの薬を原則使用せず、解熱剤としては必要なときは効果が穏やかな「アセトアミノフェン」を薦めている。
   (朝日新聞2002/02/13より抜粋引用)

上記の解熱鎮痛剤とアスピリンなどサリチル酸系解熱剤(総合感冒薬に入っている)はインフルエンザや水痘など、ウイルス性の病気の小児に投与しないこととされています。


 スギの木も花粉症の治療!?

幹の太さが27センチ未満のスギに化学薬品のマレイン酸水溶液を注入すると花粉の基になる雄花の量を9割以上も減らす効果があることが東京都の実験でわかった。

都はジャガイモの芽の抑制にマレイン酸が使用されていることに着目し、幼木で雄花の抑制効果を確認していた。その後多摩地区のスギ人工林の成木で実験を継続。昨年7月、スギの幹にドリルで穴を開け、約2千倍に薄めたマレイン酸の水溶液を注入して、雄花の重量を調べた。

その結果、幹の太さが20センチ以上27センチ未満のスギにマレイン酸水溶液約1リットルを注入したとき、何も注入しなかった場合と比較して雄花の量を平均で9割以上抑制することができた。

20センチ未満のスギでも同様の効果があった。しかし、27センチ以上のスギでは安定した効果が出なかった。都によると、太さ27センチのスギは平均で植林してから約50年経過しているという。

都は「1回の注入で花粉の抑制効果が何年持続するかや、注入がスギの成長にどのような影響を与えるかが今後の研究課題」と話している。
   (日経新聞2002/02/14より抜粋引用)

 マレイン酸誘導体は風邪薬の成分であり、一部アレルギー性鼻炎の治療薬としても広く普及しています。記事のアレイン酸がこれと共通性があるかどうか不明ですが、面白い発想と思います。


 睡眠時無呼吸症候群

本症は肥満の中年男性に多い。その半数以上は40歳以上である。

喉の後ろの筋肉群が弛緩するときに起きる。これらの筋肉は口蓋、口蓋垂、扁桃および舌を支えており、これらの筋肉が弛緩するとき、気道が狭められ、閉じられ、呼吸が瞬間的に中断される。

呼吸の中断は血中酸素濃度を下げ、脳はこの低下を察知し一時的に患者は睡眠から目覚め、気道は再開する。この覚醒は非常に短時間のため、記憶には残らない。

このようなパターンが1時間に10回以上繰り返され、一晩中続くと、睡眠の深い安らぎに到達しにくくなり、日中にしばしば眠気を感じるようになる。

「一般的にはこの症状を軽減するには、体重を10%以上も減量させねばならない」とGupta博士は述べている。
   (Medical Tribune 2002/01/17より抜粋引用)

 一言で体重10%と言いますがそれが出来るひとは殆どいないと思います。「いびき、睡眠時無呼吸について」もご覧下さい。


 アレルギー性鼻炎は職場の深刻な問題

Raymond Slavin博士(セントルイス大学保健科学センター、ミズーリ州セントルイス)は職業喘息アレルギー国際学会年次集会で「職場のアレルギー性鼻炎と喘息に関連が認められるアレルゲンは現在250種にのぼる。アレルギー性鼻炎の症状は客観的にわかりにくいため、軽視されがちであるが、職場においては深刻な問題である」と発表した。

同博士によれば、職場のアレルギー性鼻炎は(1)香水や洗剤が原因の不快感を覚えるもの(2)滑石や石炭が原因の皮膚の痒みや鼻詰まり(3)高分子量および低分子量の真性アレルギー(4)アンモニアや塩素が原因の痛烈な侵食性のアレルギーの4種類に分類できる。

症状は天然の物質やラテックスなどの合成化学物質が原因となり、くしゃみ、鼻水、鼻詰まりなどが誘発される。特に懸念されるのはラテックスに対する感受性上昇で、これは皮膚、鼻にとどまらず、喘息の原因にもなると強調した。
   (Medical Tribune 2002/01/03,10より抜粋引用)

 ラテックスは合成ゴムで強烈なアレルギーを引き起こすことで最近特に注目されています。原因(3)の説明が今ひとつ意味不明ですが、ラテックスがこれに含まれるのだと思います。


 わが国のスギ花粉症有病率は13.5%

(財)日本アレルギー協会の奥田稔会長は昨年3月に全国各地で行われたスギ花粉症の有病率について解析し、アレルギー情報センター(ARC)主催のセミナーでこのほど報告した。

対象は北海道、沖縄県を含む全国都道府県390地点で無作為抽出された1万866人。

その結果全国推計有病率は19.2%であった。地域別に見ると、東海28.4%、南関東23.8%、北関東20.9%、近畿20.5%などが高く、従来有病者はいないとされた北海道、沖縄県でもそれぞれ5.1%、3.3%に認められた。

性、年齢、地域、受診状況などを補正した結果わが国のスギ花粉症有病率は13.5%と推定された。
   (Medical Tribune 2002/01/03,10より抜粋引用)

 この数字は統計の種類にもよりますが年々増加の一途を辿っています。


 喘息のコントロールにはまずアレルギー性鼻炎の治療を

米国アレルギー・免疫学会(AAAI)の年次集会において、世界のアレルギー疾患専門医が、喘息の治療で重要なことは最初にアレルギー性鼻炎を治療することであるという見解で一致していることがわかった。

現在米国人のおよそ26%がアレルギー性鼻炎に罹患しているが、これを治療しないと、喘息のみならず副鼻腔炎や結膜炎、中耳炎などのリスクも増大する(Richard Weber博士ー全米ユダヤ人医療・研究センター、コロラド州デンバー)

さまざまな試験およびデータベースによると、大多数の鼻炎患者は喘息に罹患していないが、逆に大多数の喘息患者は鼻炎を併発している。

その理由としては鼻閉塞による口呼吸、鼻刺激による気管支収縮が鼻・気管支反射を誘発していることなどが示唆されている。
   (Medical Tribune 2002/01/03,10より抜粋引用)

鼻は呼吸をするときに加湿、加温、除塵などの作用により、肺呼吸がスムースに行えるような役割を果たしているので、鼻炎などで機能が障害されると気管支、肺などに影響が及びやすい。