松山の句碑・歌碑めぐり
松山には句碑歌碑が多い。古くは栗田樗堂、近年では正岡子規をはじめ村上霽月・河東碧梧桐・高濱虚子・柳原極堂・内藤鳴雪などの俳人を数知れず輩出し、
多くの人びとが教えをうけ、いつしか松山は俳都、俳句のメッカといわれるようになった。
その昔、小林一茶は栗田樗堂に教えを請うため、二度にわたって松山をたずねている。
(場所については資料が古いため正確ではないかもしれない。蒙御免)
○ | 春や昔十五万石の城下哉 | ○ | 正岡子規 | ○ | 大手町2丁目JR松山駅 |
筆に声あり 霰の竹を打つごとし | 正岡子規 | 御幸一丁目長建寺 | |||
○ | 旅人のうた登り行く若葉かな | ○ | 正岡子規 | 窪野町窪野公民館前 | |
○ | 三津口を又一人行く袷哉 | ○ | 正岡子規 | 萱町六丁目農協経済センター入り口 | |
花木槿家ある限り機の音 | ○ | 正岡子規 | 久万の台民芸伊予絣会館 | ||
○ | 色里や十歩はなれて秋の風 | ○ | 正岡子規 | 道後湯月町宝厳寺 | |
○ | 永き日や衛門三郎浄瑠璃寺 | ○ | 正岡子規 | 浄瑠璃寺町浄瑠璃寺石段の左 | |
○ | ていれぎの下葉浅黄に秋の風 | ○ | 正岡子規 | 高井町西林寺奥の院 | |
○ | 秋風や高井のていれぎ三津の鯛 | ○ | 正岡子規 | 高井町西林寺門前 | |
○ | 朝寒やたのもとひゞく内玄関 | ○ | 正岡子規 | ○ | 末広町正宗寺本堂の右 |
○ | 巡礼や夢を冷すや松の露 | ○ | 正岡子規 | 平井町平井駅前 | |
○ | 松に菊古きはもののなつかしき | ○ | 正岡子規 | 祝谷一丁目文教会館内庭 | |
○ | 茸狩や浅き山々女連れ | ○ | 正岡子規 | 平井町平井駅前 | |
○ | 我見しより久しきひよんの茂哉 | ○ | 正岡子規 | ○ | 和泉町薬師寺 |
○ | 寺清水西瓜も見えず秋老いぬ | ○ | 正岡子規 | ○ | 和泉町薬師寺 |
粟の穂のこゝを叩くなこの墓を | 正岡子規 | ○ | 子規庵 | ||
○ | 若鮎の二手になりて上りけり | ○ | 正岡子規 | 余戸南四丁目出合橋北側 | |
○ | じゅずだま(数珠球)や昔通ひし叔父が家 | ○ | 正岡子規 | 土居田町鬼子母神 | |
○ | 行く秋や手を引きあひし松二本 | ○ | 正岡子規 | 余戸東五丁目三島神社 | |
○ | 松山や秋より高き天主閣 | ○ | 正岡子規 | ○ | 松山市城山長者ヶ平 |
○ | 新立や橋の下より今日の月 | ○ | 正岡子規 | 新立町一丁目金刀比羅神社 | |
○ | 南無大師石手の寺よ稲の花 | ○ | 正岡子規 | ○ | 石手二丁目石手寺 |
○ | 御所柿に小栗祭の用意かな | ○ | 正岡子規 | 小栗三丁目雄郡神社 | |
○ | 身の上やみくじ(御籤)を引けば秋の風 | ○ | 正岡子規 | 石手二丁目石手寺 | |
○ | 山本や寺は黄檗杉は秋 | ○ | 正岡子規 | 御幸一丁目千秋寺 | |
○ | 絵をかきし僧今あらず寺の秋 | ○ | 正岡子規 | 御幸一丁目千秋寺 | |
○ | 薫風や大文字を吹く神の杜 | ○ | 正岡子規 | 北立花町井出神社 | |
○ | 足なへの病いゆとふ伊予の湯に 飛びても行かな鷺にあらませば | ○ | 正岡子規 | ○ | 道後公園子規記念博物館前 |
○ | 閑古鳥竹の御茶屋に人もなし | ○ | 正岡子規 | 東野四丁目竹の御茶屋跡愛媛県研修所の西 | |
○ | 真宗の伽藍いかめし稲の花 | ○ | 正岡子規 | 拓川町相向寺 | |
○ | くれなゐの梅散るなへに故郷に つくしつみにし春し思ほゆ | ○ | 正岡子規 | ○ | 港町三丁目中の川 |
○ | 西山に桜一本のあるじ哉 | ○ | 正岡子規 | 南江戸町五丁目山内神社 | |
国なまり故郷千里の風かをる | ○ | 正岡子規 | 二番町4番町小学校 | ||
○ | 賽銭のひびきに落ちる椿かな | ○ | 正岡子規 | 居相町伊予豆比古命神社 | |
○ | 初汐や松に浪こす四十島 | ○ | 正岡子規 | 高濱一丁目黒岩 | |
○ | 蒟蒻につつじの名あれ大山寺 | ○ | 正岡子規 | 大山寺大山寺参道左側 | |
○ | もののふの河豚にくはるる悲しさよ | ○ | 正岡子規 | 堀江町浄福寺 | |
○ | 東雲のほがらほがらと初桜 | ○ | 内藤鳴雪 | ○ | 丸の内東雲神社 |
○ | 元旦や一糸の天子不二の山 | ○ | 内藤鳴雪 | ○ | 道後公園西入り口 |
○ | 功や三百年の水の春 | ○ | 内藤鳴雪 | ○ | 御幸一丁目來迎寺 |
○ | 寝ころんで蝶泊らせる外湯哉 | ○ | 小林一茶 | ○ | 道後公園北口 |
○ | 正風の三尊みたり梅の宿 | ○ | 小林一茶 | 勝山町一丁目緑地帯 | |
○ | 遠山に日の当たるる枯野哉 | ○ | 高濱虚子 | 丸の内東雲神社 | |
○ | しろ山の鶯来啼く士族町 | ○ | 高濱虚子 | 祝谷東町松山神社参堂右側 | |
○ | 笹啼きが初音になりし頃のこと | ○ | 高濱虚子 | ○ | 末広町正宗寺子規堂の前 |
春風や闘志いだきて丘に立つ | ○ | 高濱虚子 | 二番町4番町小学校 | ||
○ | ふるさとのこの松伐るな竹伐るな | ○ | 高濱虚子 | 東野四丁目竹の御茶屋跡 | |
○ | 城山や筍のびし垣の上 | ○ | 柳原極堂 | ○ | 一番町3丁目万翠荘 |
○ | 薄墨の綸旨かしこき桜かな | ○ | 柳原極堂 | 下伊台町西法寺 | |
○ | 春風やふね伊予に寄りて道後の湯 | ○ | 柳原極堂 | ○ | 道後湯之町放生園 |
○ | 感無量まだ生きている子規祭る | ○ | 柳原極堂 | 山田町妙清寺 | |
○ | 温泉をむすぶ誓も同じ石清水 | ○ | 松尾芭蕉 | ○ | 道後公園 |
○ | 馬をさへながむるゆきのあしたかな | ○ | 松尾芭蕉 | 新立町二丁目多賀神社 | |
よくみれば 薺花さく かきねかな | 松尾芭蕉 | 御幸一丁目長建寺 | |||
○ | 木のもとにしるも鱠もさくら哉 | ○ | 松尾芭蕉 | 神田町厳島神社紗空楽都閑 | |
○ | 笠を舗て手を入てしるかめの水 | ○ | 松尾芭蕉 | 港山町不動院 | |
○ | 志くるるや田のあら株の久ろむほど | ○ | 松尾芭蕉 | 三津二丁目恵比寿神社芭蕉翁塚(荒株塚) | |
○ | 宇知与利氏 波奈以礼左久戻 牟女津波几 うちよりて はないれさぐれ うめつばき 打ち寄りて花入れ探れ梅椿 |
○ | 松尾芭蕉 | ○ | 石手二丁目石手寺(芭蕉翁塚) |
○ | 古乃茂図爾之留毛那末春裳左句良可南 このもとに しるもなますも さくらかな |
松尾芭蕉 | 梅津寺梅津寺パーク芭蕉翁塚 | ||
○ | わかるるや一鳥啼いて雲に入る | ○ | 夏目漱石 | 一番町4丁目四国電電ビル前 | |
○ | 伊予の秋 石手の寺の香盤に 海のいろして立つ煙かな | ○ | 与謝野晶子 | 石手二丁目石手寺 | |
鎌倉のむかしを今に寺の鐘 | 前田伍健 | ○ | 石手二丁目石手寺 | ||
○ | 鉄鉢の中へも霞 | ○ | 種田山頭火 | ○ | 御幸一丁目一草庵 |
○ | 春風の鉢の子一つ | ○ | 種田山頭火 | 御幸一丁目一草庵 | |
母と行く この細径の たんぽぽの花 | 高橋一洵 | 御幸一丁目長建寺 | |||
○ | さくら活けた花層の中から一枝拾ふ | ○ | 河東碧梧桐 | ○ | 二番町4丁目市役所前 |
○ | 山川草木悉有仏性 | ○ | 河東碧梧桐 | 東方町大連寺 | |
○ | 宝川伊豫川の秋の出水哉 | ○ | 村上霽月 | ○ | 御幸一丁目來迎寺 |
○ | 酔眼に天地麗ら麗ららかな | ○ | 村上霽月 | 西垣生町公民館前 | |
○ | 朝鵙に夕鵙にかすり織りすすむ | ○ | 村上霽月 | 西垣生町鍵谷カナ女頌功堂前 | |
初暦好日三百六十五 | ○ | 村上霽月 | 西垣生町三島神社 | ||
○ | 梅てのむ茶屋も有へし死出の山 | ○ | 大高子葉 | ○ | 末広町興聖寺 |
浮雲やまた降る雪の少しずつ | ○ | 栗田樗堂 | 味酒町阿沼味神社 | ||
○ | はつざくら華の世の中よかりけり | ○ | 栗田樗堂 | 神田町厳島神社 | |
南無三宝七十歳にはやとなり | 井上正夫 | ○ | 松山市駅 | ||
○ | うららかや昔てふ松の千とせてふ | ○ | 東洋城 | 平井町小野小学校 | |
○ | 春雨や王朝の詩た今昔 | ○ | 東洋城 | 大山寺町大山寺参道 | |
○ | 鶴飛久や丹頂雲をやぶりつつ | ○ | 東洋城 | 和気一丁目円明寺 | |
梅でのむ茶屋も有べし死出の山 | 大高子葉 | 興聖寺 | |||
○ | 風ひそひそ柿の葉おとしゆく月夜 | ○ | 朱燐洞 | 喜与町2丁目三宝寺 | |
○ | 涼しさや西へと誘ふ水の音 | ○ | 内藤淡節 | ○ | 柳井町一丁目石手川堤 |
○ | 寝待月灯の色に似て出てにけり | ○ | 古郷 | 余戸中三丁目五十崎邸 | |
○ | 散と見し幻消て花に月 | ○ | 鶯居 | 道後湯月町円満寺 梅滴翁之墓 | |
○ | 寒椿つひに一日ふところ手 | 波郷 | 余戸中三丁目五十崎邸 | ||
○ | 秋いくとせ石鎚を見ず母を見ず | 波郷 | 西垣生町垣生中学校内 | ||
子規忌過ぎ一遍忌過ぎ月は秋 | 黙禅 | 道後湯月町宝厳寺 | |||
春風や博愛の道一筋に | 黙禅 | ○ | 日本赤十字病院前 | ||
○ | 月盈虧(つきえいき)田高の庵の眺めかな | ○ | 黙禅 | 道後多幸町道後動物病院 | |
○ | 春光や三百年の城乃景 | ○ | 黙禅 | 祝谷五丁目祝谷公民館 | |
○ | 東風の船高濱に着き五十春 | ○ | 黙禅 | 祝谷東町松山神社 | |
○ | 梅が香やおまえとあしの子規真之 | ○ | 黙禅 | 梅津寺梅津寺パーク | |
ちりつ咲く花も思へば世のをしへ | 八十島清月 | ○ | 御幸一丁目龍隠寺 | ||
色鳥のいろこぼれけりむら紅葉 | 黒田青菱 | ○ | 祝谷一丁目常信寺 | ||
○ | 石鎚も南瓜の花も大いなり | ○ | 富安風生 | ○ | 大手町二丁目JR松山駅南側地下道緑地 |
○ | なつかしき父の故郷月もよし | ○ | 年尾 | 一番町3丁目万翠荘 | |
城北の景のさきがけ野焼かな | 西岡十四王 | ○ | 御幸一丁目千秋寺 | ||
門前に野菊咲きけり長建寺 | 大島梅屋 | ○ | 御幸一丁目長建寺 | ||
○ | このほたる田ごとの月とくらべ見ん | ○ | はせを | ○ | 道後姫塚義安寺 |
○ | さまさまの事おもい出す桜かな | ○ | はせを | 味酒三丁目阿沼味神社拝殿の西側 | |
○ | よくみれば薺花さくかきねかな | ○ | はせを | 御幸一丁目長建寺 | |
○ | 八九間空へ雨降る柳かな | ○ | はせを | 大山寺大山寺参道 | |
○ | 十月に中の二日や柳つか | 蕉門老人竹翁 | 大山寺大山寺参道 | ||
いしぶみの石に降込時雨かな | 宇都宮丹騎鶴 | ○ | 石手二丁目石手寺 | ||
散と見し幻消て花に月 仮名詩碑(支考二五回忌に門人ら建つ) | 奥平鶯居 | ○ | 道後円満寺 | ||
御仏の瞳は慈悲に輝きて 悩みと罪の子等に微笑む | 熊野山主俊章 | ○ | 石手二丁目石手寺 | ||
○ | 熟田津爾 船乗世武登月待者 潮毛可奈比沼 今者許藝乞菜 にぎたつに ふなのりせむとつきまてば しおもかないぬ いまはこぎいでな |
○ | 額田王 | ○ | 御幸一丁目護国神社 古三津大明神久枝神社 |
つくしけん人のまことをにほはせて さくかむ月のはつさくらばな | 西村清臣 | ○ | 和泉町薬師寺 | ||
○ | 我ひとりのこして行きぬ秋の風 | ○ | 叟柳 | 港町三丁目緑地帯 | |
○ | やまじこえて一人ゆけど 主の手こすがれる身は安けし | ○ | 清雄 | 北久米町城南高校 | |
○ | 囀りや天地金泥に塗りつぶし | ○ | 喜舟 | 立花町石手川公園 | |
○ | 明月や丸うふけ行ものの影 | ○ | 其戎 | 大可賀一丁目三津浜公園 | |
○ | 敬えはなほもただしや花明り | ○ | 其戎 | 三津二丁目恵比寿神社花之本大神 | |
○ | 造作なふ共に消えけり雪仏 | ○ | 其沢 | 大可賀一丁目三津浜公園 | |
○ | 大伊予の友国の湯にひたりつつ ほのぼのとしてものをこそおもへ | ○ | 吉井勇 | 権現町ホテル清泉前 | |
○ | 木の芽日和慶事あるらし村人の | ○ | 雷死久 | 平田町宝珠院 | |
葉桜の中の無数の空さわぐ | ○ | 梵 | 石手二丁目石手寺 | ||
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1 観光ガイド 松山 松山観光協会 昭和57年7月刊
2 伊予路の文化 松山市教育委員会 昭和40年刊
3 愛媛県の歴史散歩 愛媛県高等学校教育研究会社会部会 1974年刊