最近の話題から

2007年(平成19年)分



 四国のスギ花粉「やや多い」 ー今夏の猛暑影響 飛散時期は同じ

気象情報会社「ウェザーニューズ」(東京)は来春のスギ花粉の傾向予測をまとめた。今夏の猛暑の影響などで飛散量は今年よりも多く、倍以上に上る地域も。飛び始める時期は同じか、遅めになりそうだ。

スギ花粉を作る雄花は、前年の夏に気温が高く、日照時間が長いと多くできる今夏は全国的に記録的な猛暑で、現時点でも昨年より多めの雄花が全国で観察されているという。

飛散は、平年より高温が予想される来年2月以降に始まるとみられる。全国的に早目だった今年と比べると、北海道は4月上旬、東北北部は3月上旬、南部は2月下旬、北陸・甲信北部は2月中旬と1,2週間遅め。関東以西は同じくらいで、2月上旬になる見通し。

今年と比べた各地域の花粉飛散量予想は次の通り。

北海道(シラカバ花粉) 数倍多い
東北、関東        2倍以上
北陸、甲信北部     同じかやや多い
東海、甲信南部     2倍程度
近畿            やや多いか同じ
山陰            ほぼ同じ
山陽            やや多いか同じ
四国            やや多い
九州北部         やや多いか同じ
九州南部         やや多い
   (愛媛新聞 2007/12/20より引用)

 下段のような予想記事もあり、飛散直前の1月以降の気候にも左右されますが、やはり地球温暖化は花粉飛散状況にも大いに影響しそうです。


 2008年の花粉飛散は「東高西低」

2008年のスギ・ヒノキ花粉飛散量は、「東高西低」となりそうだ。全国的には過去の平均並みで、07年と比べればやや多めの飛散量になる。花粉が飛び始める時期も過去の平均と同時期か、やや早め。もし来年1月の気温が温かくなれば、飛散開始時期がいっそう早まるとみられる。NPO法人花粉情報協会・気象業務支援センターの村山貢司氏が(11月)2日のイブニングシンポジウム「花粉症の最新治療」で明らかにした。(57th Annual Meeting of Japanese Society of Allergology)
   (Japan Medicine (株)じほう 2007/11/3)

 発表の中で「四国・九州地域は全体的に、07年に比べて飛散量はヒノキ花粉のマイナス分の影響でやや少なめになりそう」とのことです。そうなればスギ花粉は飛散開始量や時期は同じで、3月末から4月にかけての花粉症が比較的早く終焉する可能性が高いこととなります。初期治療の重要性は例年通り大切となりそうです。


 子供のインフルエンザマスクで発症率五分の一

ユニ・チャームと関西医科大学の研究チームは、マスクをつけると子供のインフルエンザ発症率が五分の一に低減することを突き止めた。小学生を対象にした調査で、マスク装用の有無によって発症率に明確な差が表れた。マスク装用によるインフルエンザの予防効果を臨床医学的に調べたのは初めて。(11月)9日から開かれる日本小児感染症学会で発表する。

東京都荒川区立尾久宮前小学校の全校児童308人を対象に調べた。今年2月5日から3月2日まで、登下校と清掃時にマスクの装用を推奨した。254人から有効回答を得た。

期間中マスクをつけて過ごした児童は151人。インフルエンザにかかったのは3人で発症率2%だった。マスクをつけなかった103人中、インフルエンザにかかったのは10人で発症率は9.7%となり、統計的に有意な差が得られた。期間中の荒川区の小学校におけるインフルエンザ発症率は8.2%だった。

マスクは口や鼻へのウイルスの侵入を防ぐため、インフルエンザの感染防止に有効と言われてきたが、データによる裏付けは乏しかった。関西医科大耳鼻咽喉科の久保伸夫准教授は、休憩時間や在宅時にもマスクをつければ一層の予防効果が期待できるとしている。
   (日経新聞 2007/11/02より引用)

 今までこのようなデータを調べていなかったのが不思議ですが、「ウイルス粒子はマスクの網目模様より格段に小さいので侵入を防ぐことはできない」との意見もありましたが、やはり効果があるようです。保湿、保温効果などが好結果につながるのでしょうか。


 鼻汁鼻かみ液でインフルエンザ診断ー国内で初承認

インフルエンザウイルスを検出する検体として「鼻水鼻かみ液」が、国内で初めて「Quick Vue ラピッドSP influ (ラピッドSP)」に認められた。検出検体としてはこれまで、鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、咽頭拭い液が用いられてきたが、「鼻水鼻かみ液」が承認されたことで、従来の検体採取法に比べて、不快感や苦痛が軽減されるものと期待される。

「ラピッドSP」はDSファーマバイオメディカルが製造販売している製品で、A型およびB型インフルエンザウイルス抗原を特異的に認識する2種類のモノクローナル抗体を用いたイムノクロマトグラフィー法による抗原検出キット。特別な器具を必要とせず、迅速、簡便に、患者の鼻腔・咽頭中のA・B型インフルエンザウイルスを鑑別して検出できる。

検出検体として、従来の鼻腔拭い液、鼻腔吸引液、咽頭拭い液に加えて、「鼻水鼻かみ液」が認められたことで、特に小児患者の診療などで利便性が高まった。「鼻水鼻かみ液」を用いることによる臨床性能に関しては、従来の鼻腔拭い液検体と同等の成績が得られている。
   (薬事日報 2007/10/2   Medical Today News No.7-77  (株)幸燿より引用)

 検体は従来のど、または鼻の奥に綿棒を入れて採取していましたが、この方法だと器具を入れずに出来るので恐怖感や不快感が少なく、特に小児や過敏な患者さんには福音です。


 スギ花粉の予兆公表 山形衛生研など原因物質測定 ー飛散前の対策可能にー

山形県衛生研究所などは、スギ花粉が飛び始める前から空中に微量の原因物質が放出され、花粉症を引き起こしていることをつきとめた。花粉が飛ぶ二、三週間前には敏感な人が発症するくらいの量に達する。来年から花粉だけではなく原因物質の測定結果も公表し、早めの対策に役立ててもらう考えだ。

山形衛生研と山形県産業技術振興機構、山形大学医学部などの研究チームが発見した。スギ花粉症は花粉の表面、表面に付着した微粒子に含まれるタンパク質が原因で起きるとされる。

2003年から毎年、1月末ごろから5月まで、空気中に含まれる原因物質の量を測定した。その結果、花粉が飛散を始める前から原因物質が増え始めることがわかった。飛散の二、三週間前には原因物質の量が空気1立方メートルあたり1ピコ(ピコは1兆分の1)グラムに達し、敏感な人には症状が出始めていた。

従来は原因物質を精密に測定する手段がなく「測定機器より患者の鼻の方が敏感」(高橋裕一・山形衛生研研究主幹)だった。微量タンパク質が測定できる装置を開発したことで、患者の発症前に原因物質をとらえることができる。発症時期がある程度予測ができ、効果的な予防につながるという。
   (日経新聞 2007/9/24より引用)

 スギ花粉症の発症時期には個体差がありますが、確かに花粉飛散情報より早く発症する患者さんはかなりいます。このような人は実際の花粉より先行して飛散する原因物質に早く反応していることがこの研究結果から推定されます。スギ花粉の測定は1日単位でしたが、昨年くらいから時々刻々計測されるようになってきて大進歩ですが、この装置により、より一層きめ細かい測定が可能となれば、花粉症患者さんにとっては福音となるでしょう。


 花粉飛散に地域差(今春) 松山平年より69%増 宇和島21%減 今治10%増

(愛媛)県内のスギ、ヒノキ科の花粉飛散状況を観測している日本花粉学会員・桧垣義光さん(西条農業高講師)の研究グループはこのほど、今年の県内三地点(今治、松山、宇和島)での飛散状況をまとめた。飛散数は平均3、846個(一平方センチ当たり)で、平年(過去十年間平均)と比べ22%多かった。

観測地点ごとの飛散数は、松山が5,791個で平年より69%も多く、今治では3,523個で10%多かった。一方、宇和島は2,223個で21%少なかった。

飛散期間は、スギ花粉が2月初めから4月初めごろまで、ヒノキ花粉は3月中旬から4月末ごろまで。比率はスギが約九割を占め、ヒノキ科は約一割と少なかった。
   (愛媛新聞 2007/7/13より引用)

 愛媛県に限れば今年は「かなり少ない」との飛散予想(このページ最下段の項ご参照ください)がはずれたようです。実際耳鼻咽喉科外来の患者さんは特に2月に随分多かったように実感していましたが、「一気に飛んだせいかな」とか考えていましたが、トータルの数も決して少なくはなかったようで、納得しました。


 花粉症緩和米 医薬品に ー農業生物資源研 動物実験で安全確認へー

農業生物資源研究所(茨城県つくば市)は(6月)22日、遺伝子組み換え技術によるスギ花粉症緩和米を医薬品として開発する計画を発表した。

この米はアレルギーの原因となるスギ花粉のアミノ酸配列を作る遺伝子を導入しており、数週間食べると、花粉への反応が下がることがマウスの実験で確認されている。

計画では、7月に田植えをして10月下旬に30−40キロを収穫。これをマウスなどに食べさせる動物実験で安全性を確かめる。安全性が確認されれば来年以降、人への効果や安全性も明らかにしていくという。

商品化には少なくとも6,7年かかる見込みで、同研究所は製薬会社にも協力を呼び掛ける。

同研究所は当初、食品としての開発を目指し、2005年から2年間、栽培して動物実験で安全を確認した。だが厚生労働省が今年1月「食品でなく医薬品として扱うべきだ」と判断したため、医薬品としての開発に方針変更した。
   (愛媛新聞 2007/6/24より引用)

 4つ下の記事もほぼ同様です。「遺伝子組み換え」技術が気にはなりますがスギ花粉症の方には朗報です。


 食物アレルギー 唾液で600種類 診断 −徳島大が微小チップー

徳島大学の木戸 博教授らは、微量の唾液や鼻水などから食物アレルギーを調べられる微小チップを試作した。アレルギーのきっかけとなる物質(アレルゲン)の抗体を高感度でとらえる。微量の血液を使う検査では一度に一種類した検査できなかったが、六百種類が可能になる。病院と協力して性能を確認し、来年4月のサンプル出荷を目指す。

チップ上に炭素がダイヤモンドと同じ構造に並んだ分子を並べ、この原子間に卵やそば、牛乳などのアレルゲンの抗体をとらえる分子をくっつける。唾液や血液などの試料を垂らし蛍光するところを測る。

この構造は分子を結合しやすいため感度が二十倍以上に向上した。二十マイクロ(マイクロは百万分の一)リットルという微量の試料でアレルゲンの抗体について最大で六百種類調べられる。検出時間は1−2時間で中小の病院や診療所などでも迅速な検査ができる。従来は血液20−30マイクロリットルで一種類しか調べられなかった。

アレルギーは一般に血液中に含まれる「Ig E」という抗体の値を調べる場合が多い。だが Ig E が少ないにもかかわらず、症状の重い患者がおり、症状の軽重や治りかけか、否かにかかわる抗体 「SIg A」 や 「Ig G 」なども調べる研究が進んでいる。

こうした抗体は唾液や涙、鼻水などで測れる。チップが実用化されると、症状に合わせた最適な治療方法を選べる可能性がある。

現在、木戸教授らは、健康保険鳴門病院(鳴門市)やいからし小児科アレルギークリニック(新潟県加茂市)と協力、百人規模の幼児患者の診断に利用して性能などを確認中だ。

血を使う医師向けの診断キットと唾液や鼻水、涙などを使うキットの二種類で実用化を検討中。唾液対応のキットは学校などで給食を利用する前に調べられ、潜在需要は大きい。現在、協力企業と製品化に向けて検討中。十月をメドに製造会社などを決める。

厚生労働省の調査などによると、乳児の一割が食物アレルギーにかかっており、激しいショック症状「アナフィラキシー」で死亡する例もある。乳幼児期から体質を確認して食事の管理をする必要がある。
   (日経新聞 2007/6/18より引用)

 保険医療との兼ね合いもあり、いままでは4,5種類から多くても15,16種類くらいのアレルゲン検査がせいぜいでした。この方法ではなんと六百種類検査が可能とのこと、超(!)新次元の大量のアレルギー検査の誕生となります。唾液、鼻水でもできるとなると容易かつ簡便でまさに画期的な検査となります。耳鼻咽喉科領域では当然アレルギー性鼻炎、花粉症の検査、治療に応用できそうです。


 H5N1ワクチン、米国で初承認

仏サノフィパスツールは、ヒト用の新型インフルエンザワクチンの承認を米国で取得した。H5N1型ヒト用トリインフルエンザの承認は米国初という。

治験では、18−64歳までの健康な成人に90μg/mL を2回摂取し、H5N1ウイルスに対する免疫反応を確認、副反応は軽微との結果が得られている。それを受け同社と米国国立衛生研究所(NIH)が共同で申請、承認取得を4月17日に発表した。また同社は、H7N1ワクチンの欧州での共同研究プロジェクトに協力している。

H5N1ワクチンでは、海外ではバクスター、グラクソ・スミスクラインの開発が知られており、日本では北里研究所、阪大微生物病研究会、デンカ生研が2月に承認申請を発表している。
   (薬事日報 平成19年5月7日 MEDICAL TODAY NEWS (株)幸燿 より引用)

 トリインフルエンザも含めて、インフルエンザ治療の切り札と考えられたタミフルやリレンザに「異常行動誘発」などの疑いが持たれてきており、治療より、予防法としてのワクチンに期待が集まります。


 スギ花粉は今月で終息

今春のスギ・ヒノキ花粉の飛散について環境省は(4月)26日、「東北地方を除き、おおむね4月中に終息する」と発表した。

飛散量は名古屋で平年の約6割、東京で約4割にとどまるなど関東から東海にかけては少なめで、九州、四国も平年量を下回った。同省によると、スギ花粉の飛散は近畿や中四国などでほぼ終息。残る地方でも4月末までには終わる。
   (日経新聞 2007/4/27より引用)

 四国、松山では2月の飛散初期にまとまって大量飛び、春一番や、「今年は飛散が少ない」との情報で準備を怠っていた、などの諸条件が重なり、耳鼻咽喉科外来は一時はパニック状態でした。来年から飛散予想は上記諸要因も加味し、情報を提供する必要性があると痛感しました。


 花粉症緩和米

遺伝子組み換え技術によって、スギ花粉症の緩和につながる「花粉症緩和米」の開発を進めている農業生物資源研究所(茨城県つくば市)はこのほど、サルとマウスを使った動物実験では、食べさせても異常は認められなかったと発表した。ただ厚生労働省からの指摘で、「医薬品」として厳密な動物実験や治験をすることになり、商品化は早くて6年後の(20)13年以降になるという。

花粉症緩和米は、スギ花粉に含まれるたんぱく質の断片を人工的につくるようにした米。食べて少しずつ取り込むことで体が慣れ、症状が和らぐと期待されている。

実験では、マウスにはエサを混ぜて13週間食べさせ、カニクイザルには緩いおかゆ状にした液を26週間飲ませて、通常のエサのマウスやサルと比べた。その結果、体重の増え具合や臓器に異常は見られなかった。血液中にスギ花粉に対する抗体はつくられておらず、緩和米が逆にアレルギーの原因になることがないことも確かめたという。

同研究所は05年、緩和米をマウスに食べさせると花粉症を抑える効果があることを東京大や島根大との共同研究で確認。今年には人に食べさせる実験を予定していたが、今年1月、厚労省から「医薬品にあたる」などの指摘を受け、方針変更になった。(清水康志)
   (朝日新聞 2007/4/16より引用)

 研究は着実に進んでいるようです。今までの記事(05年、03年)を再掲します。「医薬品」の適用を受けて販売は予定より遅れるようです。

 花粉症予防組み換えイネ試験

農業生物資源研究所(茨城県つくば市)はスギ花粉症の予防効果がある遺伝子組み換えイネの実用化を目指し、6月から隔離圃場(ほじょう)での栽培試験を始める。環境に与える影響を調べると同時に、収穫したコメを使った動物実験で食品としての安全性を評価する。問題がなければ2007年度にも試験販売する考え。

実験するのは遺伝子組み換え技術でスギ花粉のタンパク質をコメに含有するようにしたイネ。このコメを食べていると、スギ花粉を食物として体が認識するように慣れるので、花粉症が起きなくなると期待される。実験期間は05年6月から07年3月まで。
   (日経新聞 2005/04/25より抜粋引用)


 コメ食べて花粉症治療  慈恵医大助教授らマウスで実験成功

スギ花粉症の原因となる物質の遺伝子を組み込んだコメをマウスに食べさせ、花粉症の症状を引き起こす免疫の働きを抑えることに、慈恵医大の斎藤三郎・助教授(免疫アレルギー学)と東北大農学部などが成功した。

呼吸困難やしびれ、ショック状態などの副作用は見られず、「食べる花粉症治療」に道を開く成果。遺伝子組み換え食品を口にすることへの抵抗はありそうだが、人間でも安全性や効果が確認できれば、新たな予防、治療法として期待される。

スギ花粉症は、体内に入った花粉で、異物を防御する複数の免疫細胞が過剰に働き、発症する。原因物質として花粉に含まれる複数のタンパク質が特定されている。斎藤助教授らは、原因タンパク質の遺伝子を物質をイネに組み込み、このタンパク質を含むコメをつくった。

マウスにこれを2週間食べさせた後、スギ花粉症の原因タンパク質に触れさせたところ、免疫細胞の中心となるT細胞の増殖が、このコメを食べなかったマウスの約3分の1に抑えられた。
T細胞に連動して働く免疫細胞であるB細胞も働きが抑制され、花粉症の治療につながる効果がみられた。

このコメを100度で約1時間半加熱しても、効果が落ちないことを確認、調理の影響も受けないという。
   (愛媛新聞2003/02/23より抜粋引用)


 公立学校の全児童生徒 9%アレルギー性鼻炎ー文部省初調査

全国の公立小中高校の児童生徒約千二百七十七万人のうち、9.2%に花粉症などのアレルギー性鼻炎、2.6%に食物アレルギーの症状があることが(4月)11日、文部科学省の調査でわかった。公立学校の全児童生徒の六つのアレルギー疾患(ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、食物アレルギー、アナフィラキシー)を調べたのは初めて。

調査は2004年12月ー05年2月。調査の結果、ぜんそくは5.7%、アトピー性皮膚炎は5.5%、アレルギー性結膜炎は3.5%。ハチ毒や食物摂取などにより複数の器官でアレルギー反応が出るアナフィラキシーは0.1%だった。

このうち、アトピー性皮膚炎は小中高校のいずれも沖縄県が最も割合が低く(1・9−3.0%)食物アレルギーでは、小中高校すべてで北海道が最も割合が高い(3.3−4.2%)など、都道府県で数値に差が出た疾患もあった。

男女差ではぜんそくでは女子の4.6%に対し、男子は約1.5倍の6.8%。アレルギー性鼻炎では男子が10.8%と女子7.6%の約1.4倍だった。アナフィラキシーの割合でも男子は女子の約1.4倍で都道府県ごとに差もあったが、文科省は「絶対数が少なく、有効な数値かどうかは今後の検討」とした。
   (日経新聞・愛媛新聞 2007/4/12より抜粋引用)

 スギ花粉症に悩んでいる人は今や日本全人口の15%と言われており、低年齢化が推測されているので、「スギ花粉症を含むアレルギー性鼻炎が学童の9%強」の結果はむしろ少ない印象があります。診断の精度でその差が出るのでしょうか。今後の推移が気になります。


 黄砂量、ネットで公開へ −環境省 今春増える予測もー

中国大陸から飛来する黄砂について、環境省は近く、全国9ヶ所の観測量をインターネットで常時公開するシステムの試験運用を始める。記録的な暖冬を経た今春は例年より黄砂の量が多くなるとの予測があり、(4月)1日は九州から東北にかけての広い範囲で観測された。黄砂は花粉症を悪化させるなど健康への影響も指摘されており、研究も始まっている。

環境省は03年度から、上空6千メートルまでの黄砂分布量をレーザー光で精密に観測できる機器を島根県などに設置。現在は国立環境研究所の設置した機器も含め、札幌市、仙台市、新潟市、茨城県つくば市、富山県射水市、松江市、長崎市、長崎県五島市、沖縄県国頭村の9ヶ所で観測している。

環境省によると、ここ数年、黄砂による健康への影響を心配する人たちから飛来状況の問い合わせが増えてきた。このため、ホームページで1時間ごとの飛来量や高度分布を表すグラフを近く試験的に公開することにしたという。

黄砂をめぐっては、国で02年、小中学校や高校など約5千校が休校し、呼吸器科や眼科などの患者が急増したという。中国でも黄砂時に呼吸器系感染症の発生率が高かったとの報告があるという。国内でも年間を通じた黄砂の観測日数は増加傾向にある。00年に49日、01年に48日、02年には55日をそれぞれ記録。一時減ったが、05年に43日、06年も42日と再び高水準が続いている。

鳥取県衛生環境研究所が05年、黄砂が観測された日の大気の成分を調べたところ、健康への影響が疑われているマンガンや砒素が通常より高い濃度で検出された。中国の上空を通過する時に大気汚染物質が付着した可能性があるという。

大分県立看護科学大学の市瀬孝道教授(環境毒性学)によると、日本では中国や韓国に比べて濃度が高くないため、呼吸器系への直接的な影響は少ない。ただ、花粉症を悪化させたりする可能性が動物実験などでうかがわせるという。

市瀬教授は「日本に飛来する微少な黄砂の呼吸器系への影響を動物実験で調べたり、黄砂とぜんそく患者数の関係を疫学的に調べたりすることが必要」と指摘している。

気象情報会社「ウェザーニューズ」(東京)の予報担当者は「記録的な暖冬の影響で中国大陸も例年より暖かかったため、砂が舞い上がりやすくなっている。今春の黄砂は期間も長く、量も多そう」と予想している。(小池淳)
   (朝日新聞 2007/4/2より引用)

 黄砂には有機物成分が少なく、それ自体で花粉症などアレルギーを起こすことは少ないと考えられていますが、悪化させる可能性が示唆されました。実際、黄砂が多い日は花粉症の方は具合が悪いことが多いようです。ますます増加傾向にある花粉症との関連など今後の重要検討課題の一つです。また環境省は花粉飛散状況を経時的に表示している花粉観測システム(愛称:「はなこさん」)もネットで公開中で比較参照できれば興味深いです。


 花粉症に”勝つお節” −マルトモと愛媛大研究ーマウス実験 アレルギー低減に効果

削り節・めんつゆ製造のマルトモ(伊予市)は(3月)27日までに、愛媛大農学部との共同研究で、かつお節の成分の中にアトピー性皮膚炎などアレルギーを低減させる効果を確認した。同社は「花粉症の発症を低減させる効果も期待できる」としている。

これまで、かつお節に含まれるレジスタントプロテイン(難消化性タンパク質)には、コレステロールや中性脂肪を下げる効果があることが分かっている。

同社はかつお節の消費拡大と削り節生産の過程でできる副生成物の有効利用を目的に、レジスタントプロテインを含んだサプリメントを製造しており、このサプリメントを継続して飲んだ社員から「花粉症の症状が軽くなった」との報告を受けた。2005年から愛媛大農学部の海老原 清教授との共同で研究を始めた。

研究ではアトピー性皮膚炎を発症させたマウスにかつお節の成分を混ぜたえさを与えると、血液中の Ig E 抗体が約5週間でほぼ半減し、症状が緩和した。Ig E 抗体は花粉などのアレルゲンと反応して症状を引き起こすことから、かつお節の摂取により抗体数が抑制されれば、花粉症の症状も同様に緩和が図れるとみている。同社は研究内容や製造技術を特許申請している。

土居幹治開発本部長は「新たな効果が分かったことで、日本の伝統食のかつお節を見直すきっかけになるのでは。かつお節には未知の部分があり、さらに研究を進めたい」と話している。
   (愛媛新聞 2007/3/28より引用)

 (スギ)花粉症はスギ花粉と体内のIg E抗体との間で起こる抗原・抗体反応なので、Ig E抗体が体内から減少していれば反応は起こりにくくなります。Ig E抗体自体、かなり安定した数値を示すものなので、「5週間でIg E抗体が半減していた」との成績は驚異的かと思います。人体にも有効な結果が出れば画期的なこととなります。


 インフルエンザ治療薬「タミフル」とは ー「異常行動の例、7割消費する日本が突出

Q どんな効能があるのか?
A 気道の粘膜に入り込んだインフルエンザA型とB型の両方のウイルスが細胞から飛び出すのを防いで増殖を抑える。一般に発熱期間を一日ほど短くする。カプセルと水に溶いて飲む粉状の二種類があり、体重37.5キログラム以上の患者はカプセル、それ未満の患者は粉状が処方される。

Q 普及の経緯は?
A  スイスのロシュ社が製造し、日本の子会社が2001年2月に発売した。中外製薬がロシュの傘下に入った02年以降、中外が独占的に輸入販売している。公的な健康保険制度が整った日本は薬を手に入れやすく、「早く治したい」とのニーズから広まった。これまで世界で計四千五百万人が使い、うち三千五百万人が国内とみられる。

Q 異常行動との因果関係はどこまでわかっている?
A 服用していなくても、小児を中心にインフルエンザにかかると、場合によっては異常行動が起こることが知られている。タミフルを投与したネズミでは薬が脳に達したとのデータもあるが、人の服用時に同じことが起こるかは不明だ。

Q 海外での異常行動の報告例や対応は?
A 米食品医薬品局への精神神経症状などの報告例(05年8月ー06年7月)は米国人五人、ドイツ人二人などにとどまるが、服用の多い日本が九十五人と突出している。欧州連合(EU)は日本での問題を受け、薬に添付する注意書きに「異常行動や幻覚の報告がある」と明記する方針だ。

Q  厚労省が十代の使用中止を指示した。影響は?
A  抵抗力が高い十代は自然に治ることが多く、若者にタミフルは不要との意見もある。ただ、学校でのインフルエンザ予防接種が1994年に義務付けから任意制となったことで感染が広がり、死者が増えた。若者へのタミフル投与中止の悪影響を懸念する声も専門家では根強い

Q 国内に他のインフルエンザ治療薬はあるのか?
A 英グラクソスミスクライン社の「リレンザ」が販売されている。専用容器に薬剤をセットして吸い込むタイプで、医師から使い方の説明を受ける必要がある。同治療薬での処方量シェアは1.4%にとどまる。
   (日経新聞 2007/3/23より引用)

 簡易迅速診断キットの普及とタミフルの効果でインフルエンザの診断・治療は著しく進歩したのですが、ここにきて「待った」がかかり、医療現場は戸惑っています。これから明らかになるでしょうが、やはりシャープな切れ味の薬には厄介な問題もつきまとうのでしょうか。


 しゃっくり少女37日目に止まる −米フロリダ

しゃっくりの止まらない「奇病」に悩んでいた米フロリダ州の15歳の少女がこのほど、37日目にしゃっくりから開放された。地元紙セントピーターズバーグ・タイムズ(電子版)が(3月)1日までに報じた。

この少女は高校生のジェニファー・ミーさん。しゃっくりは1月23日から始まり、1分間に約50回のペースで続いた。(ニューヨーク=時事)
   (日経新聞 2007/3/3より引用)

 しゃっくりは横隔膜の痙攣で起こり、支配神経である迷走神経の枝、横隔神経の不調で起こるとされています。時々こういうことが起こり、止まらないとき、色々な止め方が考えられていますが、なかなか有効なものが少ないのが現状です。比較的簡単で、かつ医学的根拠に基づいているのは「氷を口奥に含む」、「口蓋垂(のどちんこ)を綿棒でこする」などです。時には先述の神経系統に重大な異常があることもあり、あまり長引くときには食道、縦隔などを中心に検査が必要です。小生の経験した「しつこいしゃっくり」の方は因果関係は不詳ですが心筋梗塞が後に見つかりました。


 杉花粉食品飲用 女性が一時重体 和歌山

和歌山県は(2月)26日,同県東牟婁郡の40代女性が、健康食品を飲用後にアレルギー症状を起こし一時意識不明になったとして、厚生労働省に報告するとともに製品名を公表した。

杉花粉を原料とした加工食品「パピラ」で製造・販売者は「健森」。厚労省はアレルギーの緩和を目的としている製品であることから薬事法違反の疑いもあるとして調べている。

女性は快方に向かっている。女性は23日、パピラを飲んでじんましんが出た。のど内部が膨張し気管が圧迫され意識不明になった
   (朝日新聞 2007/2/28より引用)

 花粉症の治療法に免疫を高める目的で減感作療法がありますが、個人、個人で過敏の度合いをチェックして、微量から注射して徐々に身体を慣らしていきます。シーズン中は過敏反応が過剰に出やすいので、量を減じたりします。一気に高濃度が体内に入れば重篤な反応がでますので絶対注意が必要です。


 スギ花粉飛散急拡大 42都府県確認 量は少なめ

暖冬の影響で今年はスギ花粉の飛散が例年より早く始まり、(2月)21日現在、既に42都府県で飛散が確認されたことが22日、環境省のまとめで分かった。

1月31日に東京都で確認されたのを皮切りに、2月に入って関東や西日本を中心に飛散地域が拡大。21日現在、飛散が確認されていないのは北海道、青森、秋田、長野、沖縄の5道県のみとなっている。

例年ならば2月10日ごろから関東、四国、九州地方の一部で飛散が始まり、徐々に北上していくが、今年は大幅に速いペースだ。

同省は当初、2月10日ごろから関東以西の本州、四国の太平洋岸と九州北西部で飛散が始まると予測していたが、暖冬傾向が予報より強く、スギの開花が早くなったと説明している。

ただ、昨夏の日照時間が少なかったため、スギ雄花についている花粉の量は例年より少ない。このため、同省は「地域により平年並みから平年の20%」とする飛散量の予測に変更はないとしている。
   (愛媛新聞 2007/2/23より引用)

 暖冬と2−3年ぶりの「春一番」の影響か、大量の花粉飛散が当地(愛媛県松山市)でも続いており、耳鼻咽喉科外来は患者さんであふれています。環境省花粉観測システム「はなこさん」を見てもスギ花粉の飛散状況には強烈なものがあります。当地は毎年4月10日ごろまで飛散がみられ、まだ前半戦折り返し前ですが、現在のところ大飛散の2005年の時よりも患者さんはしんどい思いをしているように感じています。


 スギ花粉 飛散確認 松山など県内3ヶ所 例年より少なめ予想

(愛媛)県内でのスギ花粉の飛散開始が(2月)3日、新居浜、今治、松山の各市で確認された。県内のスギ、ヒノキ科の花粉飛散状況を観測している日本花粉学会員・桧垣義光さん(西条農業高講師)の研究グループによると、今年の県内平均の予測飛散数は平年より少なめという。

同グループは宇和島市、松山市、今治市、新居浜市の4ヶ所で花粉の飛散を観測。花粉を飛散させる雄花芽が育つ7月の平均気温や日照時間などから、翌年の飛散数を予測している。

過去11年(宇和島は10年)の平均と比較した各地点の予測飛散量は、松山87.6%、今治73.2%、新居浜80.1%と東中予が少なめだが、宇和島は127%と多め。4ヶ所平均は89.8%、昨年比では63.6%で大幅減となっている。スギの飛散ピークは2月末から3月上旬ごろ、ヒノキ科は4月上旬とみられる。
   (愛媛新聞 2007/2/6より引用)

 先週末の冷え込みから一気に気温が上昇し、スギ花粉の飛散が始まり、鼻炎症状を発症している方が急増しています。発症してしまうと花粉の多寡は余り関係ないことが多いので、早めの治療が必要です。


 インフルエンザ 流行シーズンに 

厚生労働省は(2月)2日、インフルエンザが流行シーズンに入ったと発表した。国立感染症研究所が実施する発生動向調査で、定点としている医療機関の1ヶ所あたりの報告数が1月15日からの1週間で平均1.06となり、全国的な流行の目安である1を上回った。昨冬より5週間遅く、この10年では2番目に遅い流行の始まりという。

厚労省は、「2月下旬ー3月にピークがくるかもしれないので注意が必要」とし、人込みを避けることや帰宅時のうがい・手洗いの励行などを呼びかけている。

報告数は九州や近畿、中部などで全国平均を上回るところが多い。
   (日経新聞 2007/2/3より引用)

去年は始まりが早く、遅くまで続きましたが、今年は遅めに始まるようです。


 花粉症 飛散少なめ? 予測では平年の20−70%程度も

環境省の予測速報値によると、今春のスギとヒノキの花粉飛散量は地域によって平年の20%程度から平年並みになりそう。飛散開始時期も例年並みか、やや遅れそうという。
東京都は平年の25%(前年比13%減)の水準
愛知県は24%(17%減)
大阪府は48%(57%減)
福岡県は78%(46%減)と軒並み低い。

ただ一部地域では前年より飛散量が増えそう。
福島県 2.3倍
青森県 60%増
福井県 51%増
奈良県 38%増 などだ。

昨年7月は東北から九州北部にかけて日照時間が少なく、飛散量減少につながった。昨秋の気温が高めに推移したため、スギの開花も後にずれる可能性がある。
   (日経新聞 2007/01/20より抜粋引用)

 昨年は飛散量が少なかったのですが、2年つづきで飛散量が少なかったことは過去に余りなく、また症状は一度出てしまうと飛散量と余り関係ないので油断のないように願います。


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