最近の話題から     
2001年(平成13年)分


花粉症の症状を和らげる物質発見

日本メナード化粧品(名古屋市)はくしゃみや鼻詰まりなど花粉症の不快症状を和らげる作用がある新たな物質お茶の中にあることを突き止めたと発表。

プロアントシアニジンという物質で抗アレルギー効果があり、これを配合した健康食品を開発、2002年1月下旬に売り出す。

花粉症の症状は鼻やのどの粘膜にある細胞からヒスタミンなどが放出されるために起きるが、この物質は抗アレルギー成分として知られ同じくお茶に含まれるカテキン類よりもヒスタミンを抑える働きが1.5倍もあるという。
   (愛媛新聞2001/12/21より抜粋引用)

1月下旬発売と言えば、ちょうどスギ花粉症で悩んでいるヒトにはまさに朗報と言えるでしょう。今までもミント(ハーブ)系のチューインガムに予防(治療?)効果があると言われたりしていますが、この商品の効果は如何でしょうか。注目です。 (「鼻アレルギーについて」、「レーザー治療について」もご覧下さい)


 風邪のウイルスに効く薬

米バージニア大のフレデリック・ハイデン博士らのグループはシカゴで開かれた米微生物学会の感染症会議で、風邪のウイルスに効く薬を世界で初めて開発したと発表した。

今までの風邪薬は鼻づまりや発熱などの症状は改善するが、風邪を起こすウイルス自体には効果がなかった。すでに米食品医薬品局(FDA)に承認申請済みで、近々、認可が下りる見込みとのこと。

風邪の半分はライノウイルスが原因と言われている。同博士らが開発したのはプレコナリルという薬で、ライノウイルスの表面に取り付いて、ウイルスが人間の体の細胞に侵入するのをブロックする。

同博士らが、このウイルスに感染した患者を治療したところ、症状改善も早く、副作用もほとんどなかったインフルエンザウイルスには効果がないという。
   (読売新聞2001/12/18より抜粋引用)

ここ数年ウイルスに直接作用する薬が開発され、原因療法が可能になってきました。「インフルエンザ最新情報」もご参照ください。


 アレルギー性鼻炎、原因に昆虫も

くしゃみや鼻水が頻繁に出るアレルギー性鼻炎の原因の一部にこれまで見過ごされていた昆虫があることが全国規模の調査で示された。これまで原因がよくわからず、治療効果の上がらないアレルギー性鼻炎では、原因として昆虫を疑ってみる必要がありそうだ。

「昆虫アレルギー研究班」(奥田稔日本医大名誉教授らが組織)が昨年夏、全国20施設でアレルギー性鼻炎患者計560人の血液を採取。これまでによく知られている植物などのほか、昆虫のゴキブリ、ガ、ユスリカを含めた13種類の抗原に対して抗体の有無を調べた。

荻野敏大阪大学教授によると抗体があった患者の割合はガ33%、ユスリカ16%、ゴキブリ13%だった。ほかの抗原はハウスダスト66%、ダニ63%、スギ花粉57%、カモガヤ(イネ科)花粉33%、ブタクサ花粉14%など。ガはイネ科、ゴキブリやユスリカはブタクサ並みに抗体を持つ患者がいた。

とくに秋から冬に悪化する患者で昆虫が原因の一部であるヒトが多い」(荻野教授)。夏から秋に増えた昆虫の死がいから抗原が飛散するためらしい。
   (朝日新聞2001/10/21より抜粋引用)

 このページ7項目下に同様の記事あり。ご参考下さい。


  抗がん物質を含むガム、口腔がんを予防

北海道大学とロッテなどは、抗がん物質を含ませたガムで、口の中にできる口腔がんを予防できる可能性があることを確かめた。噛みタバコの習慣があるスリランカで口腔がんの多発が問題となっており、381人の患者を対象にしたスリランカでの試験で効果を確認した。

ガムにはショウガ科の植物ターメリックに含まれる抗がん作用を持つ色素、クルクミンを含ませる。1.5グラムのガム1粒あたりに50ミリグラム入っている。

がんの元になる腫瘍が口の中に出来ている患者にこのガムを1日に3−5粒ずつ6ヶ月間噛んでもらった。普通のガムを噛んだ患者に比べ、腫瘍が小さくなる患者数は1割以上多かった。ガムを噛んで唾液が多く出て、クルクミンが溶け出して腫瘍に作用したとみている。成果を26日から横浜市で開かれる日本癌学会で発表する。
   (日経新聞2001/9/14より抜粋引用)

 一昔前のアメリカメジャーリーグの野球選手は噛みタバコをクチャクチャやっていました。今もクチャクチャやって唾をペッと吐いていますが主に噛んでいるのはチュウインガムで、時にひまわりの種(?)とのことです。健康上は大進歩でリラックス効果も高いようですが、後者には興奮作用かなんかがあるとも言われています。


  耳あかの遺伝子場所を特定

かさかさの「乾型」と湿った「湿型」の2種類ある耳あかのタイプを決める遺伝子が、16番染色体の中央付近にあることが、長崎大医学部の新川詔夫教教授(遺伝医学)らの(8月)27日までの研究で分かった。

耳あかの型は体臭の強さと関係があると考えられており、新川教授は「遺伝子を分離し働きがはっきりすれば、体臭を抑えたり、好ましいにおいを分泌させる薬剤や化粧品の開発につながるかもしれない」と話している
   (日経新聞2001/8/27より抜粋引用)

 民族によって違いがあると言われていますが、日本人の耳あかは乾型、湿型がほぼ半々で、アフリカ系民族には湿型が多いと言われています。「耳あかが軟らかい、湿型の人には耳の病気が少ない」と俗に言いますがそのようなことはないようです。「耳あかが湿型の人にはワキガの人が多い」と言いますが、これはこの研究とよく一致しています。


 (1)恋人に甘い言葉をささやく時は左耳

米国の大学の研究者が調査結果を英国の心理学学会で発表。調査には62人の被験者に右耳と左耳で、感情的な言葉と、感情に訴えないような言葉をそれぞれ聞かせ、その言葉を思い出してもらった。その結果、感情的な言葉を左耳で聞いた場合はその64%を思い出したが、右耳だと、58%だった。

左耳は脳右半球がつかさどっているが、今回調査にあたった研究者は「感情的な刺激に対する右脳の役割が裏付けられた」と話している。(ロンドン、ロイター=共同)
   (愛媛新聞2001/7/4より抜粋引用)

    (2)映画館では右側の席がよく泣ける?

学問的に調査できないものはないとしてブルガリアの研究者は映画館に入る人の流れが片側に集中する理由について検討した。5つの映画館に調査に協力してもらい、合計870人の来館者に好みの席を自由に選んでもらった。

その結果明らかに右側の座席に人気が集中し、右利きの88%と左利きの58%、両利きの67%が右側の座席に腰を下ろした。

この現象は簡単に説明が付きそうだ。右側に座った者はおもに視界の左側でスクリーンを捉えるため、特に感情をつかさどるとされる右脳で映像を処理することができるのだ。
   (Medical Tribune 2001/5/10より抜粋引用)

 左脳が理性的(言語脳)、右脳が感情的(音楽脳)な事柄を支配していることは多くの研究が立証しているので予想された結論ですが、(1)64%、58%の差異が有意な差かどうか、、、(2)一方に偏ることがあるとすれば、出入り口がどっちにあるかで決まるくらいにしか考えませんでしたが、、


  アレルギーを起こさない猫を開発、販売へ

米国で初の哺乳類クローン、「子牛のエイミー」を成功させた米コネチカット大学のシャンジョン・ジェリー・ヤン教授が新しいプロジェクトに挑戦。飼い主にアレルギーを引き起こさない猫を作るという。

同教授はアレルゲン(アレルギーを起こす物質)を持たない猫を開発し、2003年までには販売も可能にしたいと話している。

パーキンソン病や糖尿病などの病気の治療開発、研究に携わっており、このアレルゲンフリー猫はこれらの研究の派生的な結果であり、倫理的な議論を引き起こしているデザイナー・クローン・ペット(遺伝子操作によって創られる理想のペット)の先駆けではなく、人間のクローンにも反対の立場と言う。

このアレルゲンフリー猫、もしくは「くしゃみフリー」の猫は同教授が働く大学の動物研究所と共に研究を行っている「トランスジェニック・ペッツ」社から、一匹750ドル(約9万3千円)から1000ドル(約12万円)で販売される予定。
   (CNN.co.jp2001/6/29より抜粋引用)

 犬よりも猫の方が、よりアレルギーを引き起こしやすいと言われています。


 多様なアレルギー性鼻炎ーアジア11カ国で専門医にアンケート

日本医科大学耳鼻咽喉科のRuby Pawankar講師の第6回鼻科学アジア研究シンポジウムでの報告。全体的にアジアでのアレルギー性鼻炎は発症率が高く、成人の約30%が罹患する。小児についてはネパールの発症率は10%以下である半面、香港では約35%シンガポールでは10−40%であった。

アジアでは通年性アレルギー性鼻炎のほうが、一方、欧州、北米では季節性アレルギー性鼻炎が多い。

アジアで共通して見られるアレルギー性鼻炎の原因はダニとされるが、日本やインド、韓国では木本類の花粉症が多く、マレーシアとタイでは草本類の花粉症の発症率が高い。文化、生活様式、地理、社会、経済、食生活が多様であるため、アレルゲンの種類にも多様性があると説明した。
   (Medical Tribune 2001/6/7より抜粋引用)


12歳以下の花粉症が激増

成人に多い花粉症患者が12歳以下の子供でも増え、過去10年間(1991−2000)の前半と後半を比べるとスギ花粉症は4.5倍、イネ科花粉症は6.8倍になったことが鹿児島県立北薩病院(大口市)耳鼻科医、上野員義医師の調査で分かった。同医師は食生活や住環境の変化も影響しているとみている。分析対象は同科でアレルギー性鼻炎と診断された1210人。

個人差はあるが、花粉への抗体が一定量に達すると発症するため、成人に多いが、2000年には3歳で発症した例もあった。
同病院は交通量が少なく、発症に関わると指摘されているデイーゼル微粒子の影響も殆どない地域にある。

上野医師は「花粉の量は以前とそれほど変わっていない。高タンパクの食事や、機密性の高い住居の増加といった環境の変化など、複数の要因が絡み合っているのではないか」と話している。
   (日経新聞2001/5/18より抜粋引用)


 ガやゴキブリでもアレルギー性鼻炎が!

喘息がユスリカなどでも起こることは明らかになっているが、アレルギー性鼻炎も昆虫が一因であることが裏付けられた。
静岡県の県西部浜松医療センターなどの20施設が参加した全国調査で560人の患者の血液中にゴキブリのふんや、ガのりん粉など13種の抗原に対する抗体があるかどうか検査したところ、室内のちりに対しては66%、スギ花粉には57%の患者が抗体を持ち、昆虫ではガ33%、ユスリカ16%、ゴキブリ13%だった。

昆虫のエキスをろ紙に浸して患者の鼻に入れ、くしゃみや鼻水の症状を確認したところ、抗体量の多い患者の62%がガで、44%がゴキブリで反応を起こし、アレルギー性鼻炎の原因になることが確認された。

ガやユスリカの増える秋には、抗体を持つ患者も増え、昆虫によるアレルギーにも花粉のような季節性があることも分かった。

研究班長の奥田稔日本医大名誉教授は「夏はゴキブリ、秋はガ、ユスリカの影響が軽視できない。自分で花粉症と思っていても昆虫が原因んの可能性があるので、検査を受けた方がいい」と話している。
   (愛媛新聞2001/5/17より抜粋引用))


 全ての女性を美形にする整体術先端事情

「頭蓋骨は23個の骨が寄木細工のように組み合わさったものですが、ほとんどの人がそこに骨格の歪みやズレが起こっているのです。その微妙な歪みやズレと、首の骨の歪みを治せば、その人本来の一番いい顔になれるのです。」左右に開き気味の顔なんかは、矯正で2センチも狭まることがあり、いま流行りの小顔になるだけでなく、その分、鼻骨が盛り上がり、鼻も高くなるんだとか。ほとんどの女性が見違えるほど美しくなってしまうらしい。
   (週刊新潮5月3−10号156頁より抜粋引用)

 頭蓋骨のつなぎ目ってそんなにユルユルでしたっけ?


口腔粘膜がんが増加傾向に
ー早期発見と手術で予後の改善をー

口腔粘膜がんは悪性度の最も高い腫瘍の一つで、死亡率は50%を上回る明らかなリスク因子はアルコールとニコチンの乱用で、30年間喫煙を続け、毎日最低75gのアルコールを摂取していれば発ガンリスクは90倍にも跳ね上がる。口腔内での慢性的な局所刺激因子が発ガンを促す役目をはたしているのである。
近年若い女性の喫煙者が増加しており、近いうちに発症率は男性と肩を並べることとなろう。

最初に診断がつけられた段階で既に15−25%ではリンパ節転移を認める。最初に冒される部位は下顎角の後ろ側のリンパ節であることが多く、硬く、無痛性で、非可動性のこともあれば、被膜を突き破っていることもある。

口腔内悪性腫瘍に対する基礎療法は手術である。早期ガンに対して外科手術を行った場合、5年生存率は約80%に達している。早期発見は予後を決定づける最も重要な要因である。
  (Medical Tribune 2001/2/15より抜粋引用)


毛色が濃いネコは飼い主のアレルギー性鼻炎症状を加速

ロングアイランドカレッジ病院(ニューヨーク州ブルックリン)のS.Hussain博士らは、アレルギー性鼻炎の症状の重症度と毛色の濃いネコの飼育との間に有意な正の相関関係があると報告した。

濃い毛色のネコのいる患者では、ネコのいない患者もしくは明るい毛色のネコのいる患者と比較して、重度もしくは中等度の症状が見られる傾向が高かった。ネコのいない患者と明るい毛色のネコのいる患者との間に統計的な有意差はなかった。濃い毛色のネコのいる患者は重度または中等度の症状の訴えが2−4倍多かった。

同博士によると、濃い毛色のネコで高いアレルゲン性が観察された原因はわかっておらず、濃い毛色のネコに高濃度のFel dlがみられるか、さらに検討する必要があるという。Fel dlは主要なネコアレルゲンの一つである。
   (Medical Tribune 2001/1/4より抜粋引用)


 おしゃぶりは耳に悪影響

フィンランド、オウル発。Niemela氏はPediatrics(106:483-488)で、「おしゃぶりの使用を禁止すれば、中耳炎はまれにしか見られなくなる」と報告している。

生後18ヶ月までの乳幼児におしゃぶりを全く使わせなければ、中耳炎リスクは3分の1減少する。さらにおしゃぶりをの使用時間を制限した場合にも、感染率は29%低下するという。
   (Medical Tribune 2000/12/28より抜粋引用)

 おしゃぶりがあご、歯牙の発育、歯列などに悪影響があるとはよく言われていましたが、中耳炎への影響は初耳でした。


 突発性難聴に抗ウイルス薬が有望

マンソウラ大学(エジプト)のZaghloul博士らはワシントンDCで開催された米国耳鼻咽喉、頭頚部外科学会で突発性難聴(特発性感覚神経性難聴、ISSNHL)の治療には早期に抗ウイルス薬アシクロビルを併用すると回復率が向上すると報告した。

ISSNHLは血管閉塞や、内耳細胞の破壊のほか、多くはウイルス感染などの内耳の障害を示唆する疾患。現在治療にはコルチコステロイド(副腎皮質ホルモン)が広く用いられるが、奏効しないことも多い。報告によると特に、初期にコルチコステロイドと抗ウイルス薬の併用投与を開始すると聴覚回復率が向上するという。
   (Medical Tribune 2000/12/14より抜粋引用)

 内耳性の疾患のもう一つ重要なものに眩暈症があります。最近、ある種の眩暈にも抗ウイルス薬が著効をしめすと報告されています。まだ大多数の耳鼻科医が効果を認めたわけではありませんが、今後の研究に期待がかかります。
(「突発性難聴について」もご覧下さい。)


 (1)てんかん患者の3分の1は睡眠時無呼吸症

ミシガン大学の研究によると、てんかん患者の3分の1は睡眠中の呼吸停止によって特徴ずけられる潜在的に深刻ではあるが治療可能な状態である未診断の睡眠時無呼吸症であるかもしれない。
   (Medical Tribune 2000/12/14より抜粋引用)

   (2)睡眠障害で群発頭痛の可能性

群発頭痛は夜間に発生することが多く、頭の片側に激痛発作を生じる。発作は1日または1週間に数回群発し、その後数週間から数ヶ月は症状が消失する

ミシガン大学(米ミネソタ州)Chervin博士かの研究では群発頭痛を有する患者25人中、20人(80%)が夜間の睡眠中に上気道が閉塞して呼吸が停止し、短時間だが繰り返し睡眠が妨げられる閉塞性睡眠時無呼吸の徴候をしめした。
   (Medical Tribune 2000/10/5より抜粋引用)

 睡眠時無呼吸症候群は主に口の奥、扁桃腺のある部位の狭窄から起こることが多く、鼻詰まりがあり、口呼吸することにより増悪します。同大学は睡眠障害研究所があり、上記症候群の研究などで注目されています。