最近の話題から

                       2003年(平成15年)分


  乳酸菌にアレルギー改善作用

小岩井乳業のアレルギー改善作用のある乳酸菌入り 「KW乳酸菌ヨーグルト

花粉症などのアレルギー症状の改善作用のある「KW乳酸菌」を使用したヨーグルト。1カップ(110グラム)に500億個以上のKW乳酸菌が入っている。1日1個を目安に食べる。

KW乳酸菌は小岩井乳業がキリンビール、昭和女子大学との共同研究により発見した乳酸菌で、花粉症などのアレルギー症状を改善する作用が確認されている。

KW乳酸菌を用いた商品としては、キリンウェルフーズの健康補助食品「キリンノアレ」に次いで2番目となる。
130円。1月20日に関東甲信越地区、2月17日に全国で発売
   (日経新聞 2003/12/19より抜粋引用)

 3、4、5段下の記事もご参照ください。スギ花粉症は例年2月上旬から始まりますので、もう少し早く発売して欲しいものです。


 骨を伝い 寝ながら音楽

東芝コンシューママーケテイングの骨伝導方式スピーカーを内蔵した枕「プライベート音枕 RLX−P1」

頭蓋骨を通じて直接音を伝える骨伝導方式周囲に音が漏れないため、夜中に気兼ねなくテレビを見たり音楽を聴くことが可能。

イヤホン不要のため電話の呼び出し音や玄関チャイムにも反応できる。枕は厚さ2.5センチと薄く、通常使う枕の上に置いて使用する。

赤外線通信によるワイヤレス方式。付属送信機とテレビやミニコンポなどをつなげば、離れた場所の枕を通じ音楽が楽しめる。
オープン価格だが店頭実勢は2万円前後の見込み。16日(発売)。
   (日経新聞 2003/12/12より抜粋引用)

 「骨で聞く」が続きました。すぐ下の記事もご覧下さい。


 高齢者に優しい携帯続々ー「骨で聞く」登場ー

ツーカーグループは9日、骨を振動させて通話相手の声を聞く「骨伝導」ができる機種「TS41」を発表した。携帯電話としては、世界で初めて、としている。耳が聞こえにくい人や、駅など騒がしい場所でよく使う人に向けた機種だ。

電話機の一部が振動し、その部分をほおに当てて使う。(外耳道から鼓膜を経由せずに、直接)頭蓋骨から耳の中にある「耳小骨」に伝わった(音波の)振動が「蝸牛」で電気信号に変換され、聴覚神経を通って脳で音声と認識される。同機種にはスピーカーも付いており、音声でも聞こえる。発売は12月下旬で、実勢価格は1万円前後。
   (朝日新聞 2003/12/10より抜粋引用)

難聴者には中耳炎などで「(空)気(伝)導」が悪いタイプと聴覚神経の障害された「骨伝導」が悪いタイプがあり、高齢者には後者が多いのですが、選択肢が増え、難聴者には朗報です。


アレルギー、乳酸菌で「改善」ーカルピスが飲料ー

カルピスは八日、自社が保有する「L-92乳酸菌」に花粉症やアレルギー性鼻炎などへの改善効果を確認したと発表した。この乳酸菌を活用した飲料を来年一月に発売する。

カルピスが保有する乳酸菌のうち、L-92乳酸菌に最も高い抗アレルギー作用があるとして、昨年と今年の花粉症シーズンなどに社内ボランテイアで試験。約1800人を対象とした臨床実験では、約七割で目のかゆみなどの症状の改善がみられ、年間を通じて起こるアレルギー性鼻炎の人も症状の改善、緩和が確認されたという。

来年一月に「インターバランス L−92」の名前で、三種類の飲料を発売する。
   (日経新聞、朝日新聞 2003/12/09より抜粋引用)

今年はアミノ酸飲料が大ヒットでしたが、来年は乳酸菌に注目です。すぐ下の記事もご参照ください。キリンビールは錠剤、カルピスは飲料の形のようです。


 アレルギーを抑えるKW乳酸菌が遂に商品化ー体質改善に期待大ー

キリンビール(株)が「KW乳酸菌という菌に、花粉症などのアレルギー症状改善効果が期待される」と十月半ばに発表し、その菌を用いた製品を発売予定と加えたところ、問い合わせが殺到。ついには発売時期を大幅に繰り上げることとなった。

十二月一日にキリンウェルフーズ社より発売の「キリンノアレ」は、タブレット、粉末、カプセルの三タイプ。いずれも目安量は一日一粒(袋、カプセル)という。

健康な状態なら、Th1とTh2という二種の免疫細胞のバランスが取れているが、アレルギー状態ではTh1が減りTh2が優勢となる。キリングループが持つ菌株のほか、他社のヨーグルトから抽出した菌など全百種類で実験した結果、KW乳酸菌がTh1を増やし、Th2を減らす抜群の効果を示したという。

「甜茶やトマトはいわば対症療法だが、この菌はアレルギーの元を変えるもの。長期的に摂ることで、体質改善の可能性もある」(同社研究開発部・近藤恵二氏)

「乳酸菌は生菌でないと意味がない場合もあるが、アレルギー改善に関しては、菌体が死んでいても構わない」(同、近藤氏)ので、製品化が容易で、「今回は健康食品の形を取っているが、今後はヨーグルト、スポーツドリンクの形でも出していく」(同社広報部・西脇弥彦氏)とのこと。
   (週刊文春11月27日号55頁 「This Week 新製品」 記事より抜粋引用)

 花粉症治療の決定打になるかも、と期待が高まります。すぐ下の記事もご参照ください。


 乳酸菌でアレルギー改善

キリンビールは15日、花粉症などアレルギー症状の改善作用を持つ乳酸菌を発見したと発表した。昭和女子大学、グループの小岩井乳業との共同研究で、キリンビバレッジなどグループ各社が清涼飲料や乳製品などとして来年にも商品化する。

キリングループの保有菌など百種類以上の乳酸菌を比較研究した結果、小岩井乳業が保有していた「KW乳酸菌」に高いアレルギー改善作用があることを発見した。菌が死んだ状態でも効果があるため、食品への幅広い応用が期待できるという。

今後、効果を深く検証、効果のメカニズムも解析する。同時に小岩井乳業がヨーグルトなどの乳製品、キリンビバレッジがお茶などの清涼飲料、機能性食品メーカーのキリン・アスプロが健康食品として商品化する。
   (日経新聞2003/10/16より抜粋引用)

 毎年花粉症に効果がある、とされる食品などが発売され、注目されますが、「真打ち登場」となりますかどうか。


 缶コーヒー症候群

睡眠時無呼吸症候群(SAS)の人は日中の強い眠気をなんとか解消すべく、絶えず食べ続けたり、カフェイン摂取や喫煙を続ける。このような食・行動パターンは塩見利明愛知医科大学睡眠医療センター部長が肥満のSAS患者の栄養指導を同大学の運動教育センターに依頼した際に、同センターの管理栄養士である山口節子氏によって、患者が例外なく大量の缶コーヒーを飲んでいる事実が判明したことを契機に明らかになってきた。塩見部長はこのことから、日中の過度な眠気が原因で缶コーヒー、コーラ、ドリンク剤などのカフェインを含む高エネルギー飲料を1日5本以上飲む肥満者を一種の摂食障害とみなして「缶コーヒー症候群」と呼んでいる。

さらにこうした患者は、日中体がだるく、運動が億劫で減量が進まない。加えて上述の「缶コーヒー症候群」に代表される摂食以上は肥満を一段と助長させ、夜間の呼吸障害を悪化させるという悪循環を生じる
   (Medical Tribune 2003/08/28より抜粋引用)

 「缶コーヒー症候群」は9月3日現在Google検索でまだ14件しかありませんが、ネーミングが非常にいい(!)ので、業界などからクレームがつかない限り、今後メデイアでも盛んに取り上げられる可能性が高いと思います。「いびき、睡眠時無呼吸について」もご参照ください


 睡眠呼吸障害(閉塞型無呼吸)ーわが国では患者の4割は非肥満者

睡眠時無呼吸症候群(SAS)患者と聞けば、肥満者を連想するのではないだろうか。確かに、欧米ではSAS患者の多くは肥満者のようだ。しかし、上越教育大学生活健康系講座の佐藤 誠氏が、わが国のSAS患者(無呼吸低呼吸指数・AHI5以上)1697人の肥満度を調査したところ、約4割は肥満を伴わず(BMI25未満)、84%がBMI30未満で、SAS患者の平均BMIは26.6だったという。AHI40以上の重症SAS患者でさえ、約2割は肥満ではなかった。つまり、日本人の場合、肥満に関係なく、SASを発症している患者が多いことになる。

佐藤氏は、その要因の一つとして、「日本人は、顔の長さの指標であるfacial axis(Fx)が小さい(=長顔・long face)である」ことを挙げた。肥満度別にFxとSASの重症度の関係をみたところ、欧米人に多いshort faceでは、かなりの肥満にならなければSASを発症しないが、日本人に多いlong faceでは、わずかな体重増加でもSASを発症してしまう。long faceかshort faceかは、見た目からは判断しにくいが、同氏は「日本人では”肥満ではない”ことを理由に、SASの存在を否定しないでほしい」と強調した。

また秋田大学耳鼻咽喉科学教室の宮崎総一郎氏は、肥満で扁桃肥大のないSAS患者や、60歳以上で側臥位睡眠により症状が著明改善するSAS患者では、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術などの手術により症状が悪化すると報告した。従って手術を行うかどうかの判断には、肥満や顎・顔面形態のほか、年齢、扁桃肥大、鼻閉、睡眠時の体位など、患者固有のSASの要因を検索していくことが重要だと指摘した。
   (日経メデイカル同封別冊 日経CME August, 2003、 8より抜粋引用)

  欧米人は骨相学的には長頭族系と言われています。「欧米人に多いshort face」とありますので、頭部と顔面部とは分類上また別のカテゴリーがあるようです。人種差も無視できないということでしょうか。(6段下の記事も同じ学会記事です。「いびき、睡眠時無呼吸について」と共にご参照ください。)


 市販鼻炎薬で脳出血

市販の鼻炎薬に広く使われる「塩酸フェニルプロパノールアミン(PPA)」について厚生労働省は8日、脳出血の副作用報告が相次いだとして代替成分への切り替えを製薬業界に指示した。厚労省によると、6月以降、PPAを含む鼻炎薬やかぜ薬を飲んだ10−20代女性4人が脳出血などを起こしたことが報告された。

PPAを使った主要医薬品170品目は厚労省HP(http:/www.mhlw.go.jp)などで閲覧できる。
   (朝日新聞2003/08/10より抜粋引用)

 PPAは食欲抑制剤としても知られており、ダイエット目的で服用した女性が脳卒中を起こすリスクが考えられ、米国では製薬メーカーに販売自粛が要請されていた(日経新聞2003/08/09より引用)。HP検索では医薬品情報提供HP(http:/www.pharmasys.gr.jp/)の「厚生労働省発表資料」の欄が見やすかったです。


 頚部リンパ節転移の原発巣多くは舌根、下咽頭など消化管の入り口

ゾフィー・フーフェラント病院(ワイマール)耳鼻咽喉科のOlaf Arndt教授らは「患者51例を対象とした前向き研究の結果、頚部リンパ節転移の原発巣がはっきりしない場合、その原発腫瘍の大半は消化管の入り口付近にあることが明らかになった」と北部ドイツ耳鼻咽喉科・頚部顔面外科学会の第3回年次集会で報告した。

同研究では、5年間の観察期間中、原発腫瘍の41%が突き止められたが、その約70%が扁平上皮癌、12%が腺癌、6%が悪性黒色腫であった。原発腫瘍の約90%は消化管の入り口、具体的には舌根、下咽頭、扁桃に位置していた。
   (Medical Tribune 2003/08/07  vol36.no.32より抜粋引用)

 最近、人気タレントが原発不明の頚部腫瘍で治療し、話題になりましたが、上記研究でも約60%は原発巣が不明です。この報告では言及されていませんが、我が国の耳鼻咽喉科医は上咽頭(鼻の奥)が原発巣のことが多いと教育を受けています。

 舌ピアスは危険

若者のファッションとして増えている舌に穴を開けて通すピアスは、多くの深刻な合併症の原因になる、と英国の研究者が警告している。ロンドン大学の医師らが、このほど「ブリテイッシュ・デンタル・ジャーナル」に、舌が腫れ上がってピアスを包み込んでしまい、外科手術を受けた28歳女性のケースを報告した。

医師らは、舌や口腔内のピアスは、出血、傷だけでなく、神経に損傷を与えることもあると指摘。エイズ、B型肝炎、C型肝炎、ヘルペスなどのウイルス感染の危険を大きく高めると警告した。
   (愛媛新聞2003/07/14より引用)

 常識的に考えて導かれる当然の結果が科学的証拠として提出された形です。


 亜鉛とりすぎ がんの恐れー米研究所が発表ー

男性が亜鉛をとりすぎると前立腺がんになる可能性が高まるという研究結果を、米国立がん研究所(NCI)が発表した。

重要なミネラルの一種である亜鉛は不足すると味覚不全などを引き起こす。米国ではひき始めの風邪の症状を軽くしたり、精力増進効果があるなどとして亜鉛のサプリメント(栄養補助食品)が普及しているが、とりすぎの危険性はあまり指摘されていなかった。
   (日経新聞2003/07/03より引用)

 耳鼻咽喉科領域では味覚障害に亜鉛を補う治療をしますが、アメリカなどでは別の用途にかなり大量投与されるケースがあるようです。日本では医薬品として亜鉛を補充できる薬剤がまだなく、亜鉛含有の胃薬を利用するくらいなので安全ですが、薬局などで、サプリとして輸入されたものを大量に接取すると、日本でも今後このような問題が発生する可能性があります。


 花粉の連続大量飛散で花粉症の”メモリー効果”

花粉の大量飛散が複数シーズンにわたると、花粉に対する抗体が減りにくくなり、年々症状がひどくなる、一種の「メモリー効果」が起きる可能性があることがわかった。第15回日本アレルギー学会春季臨床大会で、同愛記念病院(東京都墨田区)耳鼻咽喉科の野原 修氏らが報告した。

野原氏らは、減感作療法を実施しているスギ花粉症患者36人(男性22人、女性14人)に対し、スギ花粉が東京都品川区で4000個/平方cm超と大量だった2000−2002年の3シーズンにわたり、花粉飛散時期の前後にスギ、ヒノキ特異IgE値をCAP−RAST法で測定した。

その結果、大量飛散後は次シーズン直前になっても抗体値の下がり方が少なく、36人の各年の平均値を追跡すると有意に増加を続けていた。シーズン後も同様に有意に上昇しており、シーズン前後で増減を繰り返しながら抗体値が増加していた。

野原氏らは、大量飛散によって免疫系への影響が翌年まで残り、翌年の大量飛散でさらに免疫応答が亢進していく蓄積的な効果が起きている可能性を示唆した。(MedWave)
   (Nikkei Medical 2003年6月号より掲載)

 「今年は去年より花粉飛散は少ないと聞いたが、症状は去年よりひどい」、「例年は2、3月だけだったのに、いつまでも治らない」などの患者さんが増加しているのはこのような「メモリー効果」のためなのかも知れません。「鼻アレルギー(アレルギー性鼻炎)」もご参照ください。


 無呼吸症候群 細面の人注意 太ってる人だけじゃない!

睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、太っていない人については顔が細長い人に多くみられることが上越教育大学の佐藤 誠教授(呼吸器学)らの研究でわかった。名古屋市で開かれている日本睡眠学会で12日、発表した。太った人に多い病気だといわれてきたが、顔の細長さも関係しそうだ。

佐藤教授らは、新潟県内の8医療機関でSASと診断された143人の頭部をX線撮影し、骨格を測定して顔の細長さを調べた。その結果、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が26.4未満でそれほど肥満ではない患者は、SASでない人に比べて、平均的に顔が細長かった。

また、SAS患者1697人のBMIを調べると、25未満で肥満ではない患者が4割を占めた。佐藤教授は「顔が細長いと気道の容積が小さいために発症しやすくなるのでは」と話している。
   (朝日新聞2003/06/13より引用)

 新幹線の運転手の件以来、無呼吸症候群イコール肥満の人の病気というイメージが定着していましたが、新たな見解が発表されました。脂肪、贅肉で気道が狭くなる以外にこのような要因もチェックする必要があるようです。2段下の記事、および「いびき、睡眠時無呼吸について」もご参照ください。


 SARS「封じ込めは可能」−田代真人・国立感染研部長に聞くー

Q:SARSの流行が収まりつつある。予防の決め手となるワクチンがなくても封じ込めは可能か。
A:条件付きだが可能と考えていい。潜伏期や発症直後の患者は、ウイルスをそれほど体外に出さないから、発症直後に隔離しても間に合う。ただ、そのタイミングが遅れると、感染力の強い時期に入ってしまう。

Q:気温の低い冬に流行するとの推測がある。
A:風邪の原因になる人のコロナウイルスは冬に流行して、春先になるとなぜか消える。SARSウイルスについてもこれから冬になる南半球は警戒が必要だ。そこで流行が起これば、北半球の冬もウイルスが広まるかもしれない。
 SARSウイルスは低温に強いという実験結果も出ている。紫外線が当たらない状況なら、セ氏4度でも2−4日は感染力が消失しない。
 インフルエンザとの区別も難しい。インフルエンザには迅速な診断キットがあるが、それでも正確に診断できるのは60−70%。SARS感染を早く正確に診断する方法の開発が緊急課題だ。

Q:SARS検査法の開発の見通しは?
A:気道では、発症2,3日後でも10−20%しかウイルスが見つからない。そこからウイルスを探すのは限界がある便なら、潜伏期を含めてかなり長期にわたってウイルスが存在する。発症後はほぼ100%、PCR法で遺伝子を検出できる
 検体に便を使い、PCR法か、それを改良した形でのアプローチが現実的だろう。まだ実用には至っていないが、試作の検査キットはいくつかある。

Q:患者の便から感染することはないのか。
A:疫学的にみると主要な感染経路ではないようだが、注意は必要だ。最初は気道に飛沫を吸い込んで感染するか、便やたんに触れた手で口、鼻、目の粘膜を触ることでも感染する。ウイルスは最初に消化管で増えるようだ。潜伏期を経て肺に到達し、そこで増殖を始めて10日目にピークになると考えられる。

Q:ワクチンが登場するのはいつごろか。
A:感染したら血中に抗体ができるのはわかった。抗体で発症を防げるかもしれないが、感染防御まで可能かわからない。どのタンパク質が感染防御に必要な免疫力に関係するかが不明だ。病原性を決める遺伝子も判明していないので生きた病原体を弱毒化できず、生ワクチン(*)は作れないだろう。
 マウスとラットにはウイルスが感染せず、実験動物のモデルはできていない。サルで肺炎を起こすが、人と同じメカニズムがどうかは不明だ。
 子供は症状が軽く、高齢者ほど重症化するという事実も考慮する必要がある。免疫の過剰反応が原因なら、免疫を高めるワクチンが安全なのかという心配もある。うっかり免疫をつけてしまったために、感染したときにかえって悪くなることも考えられる。遺伝子操作をすればワクチンの候補をいくらでもつくれるが、実用化までには3年以上かかるだろう。

Q:ハクビシン(**)からウイルスが見つかったとの報告がある。そこから人に移ったと考えていいのか。
A:もし、6匹中6匹でウイルスが見つかったというデータが正しいとすれば、ハクビシンがもともとウイルスを持つ自然宿主だとは考えにくい。疫学的にみて、自然宿主なら、すべてからウイルスが見つかるとは思えない。数日前にほかの動物から感染した可能性が高い。人から感染したのかもしれない。

Q:SARSを根絶することはできるか。
A:根絶は無理だろう。根絶に成功した天然痘と比べてみれば、その困難さがよくわかる。
 天然痘の場合、宿主は人だけだし、人から人に感染はするが、必ず発症するので捕捉しやすい。また、症状は特徴的で、だれが見てみわかる。有効なワクチンもあった。
 SARSは人だけが宿主ではないようだ。インフルエンザなどと区別しにくく、感染者を完全に捕捉するのは難しい。

ワクチン:体に免疫を作らせるため、体内に送り込む微生物やその産物。毒性を弱めた生きた病原体を使う生ワクチン(天然痘、BCGなど)と、熱や薬剤によって無毒化した不活化ワクチン(日本脳炎、コレラなど)に大きく分かれる。このほか、遺伝子組み換え技術を応用したワクチンもでてきている。

**ハクビシン調査:香港と中国のグループが広東省の市場で食用動物8種25匹を調べ、ハクビシンとタヌキのふんやのどの粘液から、SARSウイルスとほぼ同じ遺伝子配列のコロナウイルスを発見。ハクビシンでは、調べた6匹すべてからウイルスが見つかるか、遺伝子断片を増やすPCR法で遺伝子が確認された。
   (朝日新聞2003/06/11 行方史郎氏記事より引用)

 一応SARS騒動は終息しそうになっていますが、本文にもありますように「冬のインフルエンザの流行するシーズンと重なったら」と思うと第一線の医療現場に携わっているものとして本当にゾッとしてしまいます。やっとインフルエンザの診断が可能になり、特効薬(特にA型に対して)もできたのですが、両疾患の症状からの鑑別は殆ど不可能。1例でも見落とすと大変なことになりかねません。それまでに良い診断法、治療法がみつかるよう、祈るような気持ちです。


 縦縞模様パジャマが睡眠時無呼吸リスクに

: 「この記事はエイプリルフールのジョークであり全文削除」とのおわびが8月14日号に掲載されましたが、面白いのでもう少し残しておきます。(2003/08/20)


オーストラリアのR.L.Murphy氏らは「睡眠時無呼吸症候群のリスクファクターとして、過体重、首周りサイズが大きいこと、いびきなどの既知の因子以外に、パジャマの模様も明らかに意味を持つようだ」とAustralian Journal of Pneumology(223:71−78)に発表した。

同氏らは、睡眠時無呼吸症候群の男性患者150例および同数の健常男性を対象に、睡眠習慣に関するアンケートを実施。特に睡眠時間、就寝時刻、就寝前の最後の食事の時刻、就寝時の姿勢、お気に入りのパジャマに関するデータを集計した。

データを分析した結果、縦縞模様のパジャマを特に好む男性は、無地または他の模様のパジャマを好んで着る男性に比べ、睡眠時無呼吸を生じるリスクが2倍という結果が得られた。一方、ナイトガウンを好む男性、または何も着ないで寝床に入るのが習慣の男性は、同リスクが30%低下していた。

この因果関係について、同氏らは現時点では説明できていない。すなわち、睡眠時無呼吸リスクが高い過体重男性は”スリム”に見える縦縞模様のパジャマを好むという説明だけでは十分とは言えそうにないとしている。というのも、body mass index(BMI)や首回りサイズ、年齢による調整後も、わずかな有意差が確認されているからである。
   (Medical Tribune 2003/05/15  vol36.no.20より抜粋引用)

 大リーグ、ヤンキースの縦縞ユニフォームはベーブ・ルースをスマートに見せるために考案されたといいます。つまり縦縞は過体重男性をスマート、スリムに見せる模様、と言えると思いますが、「その説明だけでは十分でない」となるとはてさて、どういう謎が隠されているか、今後の研究結果に注目です。3段下の記事、および「いびき、睡眠時無呼吸について」もご参照ください。


 効果が持続する花粉症ワクチン

ジョンズホプキンス大学(メリーランド州ボルテイモア)のPeter Creticos准教授らの研究によると、鼻水、鼻詰まり、くしゃみといったブタクサ花粉による重度のアレルギー症状が、6週間に6回のワクチン接種で大幅に改善され、抗ヒスタミン薬などがほとんど必要なくなりそうだ。また、試験開始2年目の患者のフォローアップでは、1年目のワクチンの効果が次のシーズンも持続し、副作用も見られないことがわかった。

ワクチンはオリゴヌクレオチド(免疫機能促進分子)を、アレルギー反応を引き起こすブタクサのタンパク質であるAmb a1などに結合させたものでカリフォルニア大学サンデイエゴ校(カリフォルニア州ラホヤ)が開発し、Dynavax Technologies社が製造した。

今回の研究結果は、毎年秋に花粉症の症状を呈しブタクサ花粉のパッチテストが陽性の成人ボランテイアを対象としたオブザーバー盲検プラセボ対照の第U相試験から得られたものである。

被検者には2001年のブタクサ花粉シーズン前にワクチンを投与し、次の花粉シーズン終了までのワクチンの追加投与なしに経過観察した。フォローアップでは、患者に花粉症の症状改善、QOLの向上、症状緩和薬の服用頻度の低下が見られ、2回目の花粉シーズンでも同様の結果が得られた。
   (Medical Tribune 2003/04/10  vol36.no.15より抜粋引用)

 海外では花粉症と言えばブタクサ花粉症が多く、その研究ということですが、日本のスギ花粉症にも応用できれば2、3月に日本列島をおおう、あの猛烈なパニック状態が緩和されることになります。


 ヒノキ花粉は5月上旬までー桧垣教諭観測ー

愛媛県内ではスギ花粉の飛散がほぼ終わったものの、東・中予ではヒノキ花粉の飛散が5月上旬まで続くことが、今治精華高の桧垣義光教諭(生物)の花粉観測でわかった。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散数は平年の1.4倍という。

1平方センチ当たりのヒノキ科花粉の数は南予の津島町で3月末に163個を観測。東予の今治市で4月6日に121個、中予の松山市では7日に112個を記録した。桧垣教諭はこれらの観測結果から、南予でのヒノキ花粉の飛散はほぼ終息し、東・中予では5月上旬まで続くと予測した。
   (朝日新聞 2003/04/18より抜粋引用)

 罹患者数の圧倒的多さ、マスコミの取り上げ方から「花粉症」と言えば「スギ花粉症」を指すほどですが、共通抗原性を持つヒノキ花粉症もなかなか難敵です。それも終わってやれやれ、と思っていると次はイネ科花粉症がやって来ます。「油断大敵」です。桧垣教諭の研究結果については7段下、9段下の記事もご覧下さい。


 相撲力士の睡眠呼吸障害相撲成績にも影響か

体格的見地から、相撲力士には睡眠呼吸障害(SDB)患者がかなり潜在していることが推定されており、近年の力士の大型化から負傷者や休場者の増加などへの関与も考えられる。

同愛記念病院(東京都)アレルギー・呼吸器科の鈴木直仁医長らは、力士を対象に、夜間睡眠中に測定した動脈血酸素飽和度(SpO2)を検討。「SDB力士は非SDB力士に比べてbody mass index(BMI)が高いが、体重増加が勝率に結び付いておらず、SDBが相撲成績に影響している可能性がある」と報告した。

対象は、某相撲部屋の所属力士24人と同科を受診した力士4人で、調査を2002年秋場所終了後に行った。相撲部屋の力士では、既に1人が重症SDBと診断され、経鼻持続陽圧呼吸(C-PAP)療法を受けていた。残る23人にパルスオキシメーターを用いて夜間のSpO2を測定し、SpO2が90%以下であった時間が5分以上あるいは全睡眠時間のうち1%以上であった者をSDBとしたところ、11人にSDBが認められ、そのうち5人が重症で、既にSDBと診断されていた1人を加えると半数にSDBが認められた。同科を受診した力士では3人が重症SDBだった。

BMIの平均値はSDB群では43.7と非SDB群の37.6に比べて有意に高かった。BMIが40以上の力士では同以下の力士に比べて、全睡眠時間中のSpO2が90%以下に低下する時間が長く、睡眠1時間当たりにSpO2が3%以上低下した回数が多いことがわかった。

また相撲は体重が重いほど有利であると考えられるスポーツである。実際、非SDB群では体重が重いほど勝率が高かった。しかし、SDB群では体重と勝率は相関せず、平均勝率も非SDB群に比べて低い傾向にあった。

鈴木医長は「SDB治療により相撲成績の向上や休場者の減少が期待できるかもしれない」とし、「地方巡業が多い力士の診療が難しい現状にあるなか、相撲協会全体でSDBの実態調査および対策に取り組むことが望まれる」と述べた。
   (Medical Tribune 2003/04/10  vol36.no.15より引用)

 SDBを起こさない程度の重い体重をぎりぎりに維持することが名力士の条件ようです。こういう研究は今までなかったと思いますが、歴代の名力士はいずれも中肉中背で、極端に肥満したり、やせ細ったりした力士はいなかったようです。(3段下の記事、および「いびき、睡眠時無呼吸について」もご参照ください。)


 多くなるダニ由来の通年性アレルギー性鼻炎

榎本雅夫日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科部長による「ダニ・ハウスダストアレルギーと住環境整備」と題したセミナーが3月5日、東京で開かれた。

榎本部長はアレルギー疾患は気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎に大きく分けられるが、日本では1960年代半ば以降、いずれも増加傾向にあると指摘。その原因として 1)アレルゲンの増加(ダニ、スギ花粉など)、2)大気汚染、3)食生活の変化(欧米化)、4)ストレスの増加、5)細菌感染の減少 を挙げた。

通年性アレルギー性鼻炎を引き起こす主な犯人はダニ由来のアレルゲンである。日本家屋の場合、約100種のダニがいるが、アレルゲンとして重要なのはチリダニの仲間のヤケヒョウダニとコナヒョウダニの2種。室内チリの1g中に、10−数千匹、4畳半のじゅうたんでは約100万匹、住居1戸当たりでは数千万ー1億匹がいるという。

その数を左右するのは、温湿度環境である。木造かコンクリートかどうかという家屋構造を始め、築年数、床が畳かフローリングがカーペットか、その材質が古いか新しいかによっても変わる。またアルミサッシなどで気密性が良く、エアコンが利いている住環境はダニにとっても好適な25−30℃、湿度60−85%が保たれやすい。さらに餌(ふけ、垢、お菓子のくずなど)の量なども増える要因になっている。ダニの増加とともにダニの死骸や糞も多くなり、アレルゲンの増加を招く。

ダニやハウスダストを除去するためには、ダニの温床となりやすいじゅうたんや畳、寝具などの掃除が第一で、室内環境を、湿度約50%以下、温度20−25℃以下に保つように調節することやダニアレルゲンは水溶性なのでシーツなどの洗濯をこまめにすることも大切だ。

その掃除法は1)排気循環式の掃除機を使って、1回20秒/u以上の時間をかけ、週2回以上する。2)ハタキをかけず、ふき掃除をする。特に障子、ふすま、カーテン、家具の表面などにダニの死骸や砕片が多いので注意してふく。3)殺ダニ剤は3−4週間で効力が失われ、ダニの死骸がアレルゲンになる。特に日本で売られている殺ダニ剤は人体への影響も不明なので現段階では勧められない。
   (Medical ASAHI 2003 April p.48-49より抜粋引用)

 徹底した掃除はなかなか大変ですが、アレルゲンの量を少しでも減らす努力は必要です。「鼻アレルギー(アレルギー性鼻炎)」もご参照ください。

  インフルエンザワクチンは効かなくなったのか!?

インフルエンザはインフルエンザウイルスが鼻咽頭粘膜で増殖して発症すると言われており、ワクチン接種によって抗体価の血中濃度さえ上げれば罹患を防げるというわけではない。一方ひとたびワクチンを接種すれば、たとえ血中濃度は上がらなくてもワクチンは効いているのだとする説もある。

ワクチンを接種すれば抗体価の血中濃度が上昇することを期待するわけであるが、千葉昭典氏(東京小児科医会公衆衛生委員)の研究によればインフルエンザA.B型3種の抗体価の血中濃度に差異があることがわかった。

6名の被接種者の過去3年間のワクチン接種後の抗体価の上昇の有無を検査した。

1999年度は接種後の抗体価の上昇は1か月後、A、B型3種とも成人では全員が有効血中濃度を示し、7か月後もなお保持していた。
2000年度はA型(H3N2)は1年前からの抗体価を有し、接種後1、4か月後も有効血中濃度を示した。A型(H1N1)は前年からの抗体保有者は半数、接種後1か月後の有効血中濃度保持は6名中5名、4か月後は2名に減少。B型は前年からの抗体保有者は1−2名にすぎず、1か月後でも有効血中濃度に達している者はわずか3名であった。

2001年度もほぼ同様の傾向で、A型(H3N2)は前年からの抗体保有が全員にみられ、接種後1、7か月後でも全員有効血中濃度を維持。B型は接種前より上昇値を示した者が一人もいなかった。ワクチン効果が全くなかったことを示した。
特に10歳以下の小児については接種後1か月で半数に抗体価の上昇が見られず、B型について、ワクチンの力価を上げるか、別株に変更する必要がある。
   (日本医事新報 No.4115(2003/03/08) 千葉昭典氏論文より抜粋引用)

 A型(H3N2)はA香港型、A型(H1N1)はAソ連型と言われる種類で、結局A香港型が流行すればワクチンは大いに威力を発揮し、Aソ連型が流行するとそれほど効き目がなく、B型については現状では殆どワクチン効果が期待できない、との結果と思います。ワクチン組成は毎年変えているようですが、さらなる改良、2回接種の必要性、など今後の研究に期待するところ大です。「インフルエンザ最新情報」もご覧下さい。


 新幹線居眠り 無呼吸症候群の疑い

山陽新幹線の居眠り運転事故で、JR西日本は(3月)2日、居眠りをした運転士(33)が、就寝中に呼吸が止まって熟睡できない「睡眠時無呼吸症候群」(SAS)の疑いが強いことを明らかにした。

運転士は身長約170cm、体重約100キロでSASが多いとされる肥満状態にあり、入院中の睡眠状態の観察結果、などから「SASの疑い」と診断された。
   (朝日、愛媛新聞2003/03/03より抜粋引用)

 5段下の記事および、 「いびき、睡眠時無呼吸について」もご参照ください。


 コメ食べて花粉症治療  慈恵医大助教授らマウスで実験成功

スギ花粉症の原因となる物質の遺伝子を組み込んだコメをマウスに食べさせ、花粉症の症状を引き起こす免疫の働きを抑えることに、慈恵医大の斎藤三郎・助教授(免疫アレルギー学)と東北大農学部などが成功した。

呼吸困難やしびれ、ショック状態などの副作用は見られず、「食べる花粉症治療」に道を開く成果。遺伝子組み換え食品を口にすることへの抵抗はありそうだが、人間でも安全性や効果が確認できれば、新たな予防、治療法として期待される。

スギ花粉症は、体内に入った花粉で、異物を防御する複数の免疫細胞が過剰に働き、発症する。原因物質として花粉に含まれる複数のタンパク質が特定されている。斎藤助教授らは、原因タンパク質の遺伝子を物質をイネに組み込み、このタンパク質を含むコメをつくった。

マウスにこれを2週間食べさせた後、スギ花粉症の原因タンパク質に触れさせたところ、免疫細胞の中心となるT細胞の増殖が、このコメを食べなかったマウスの約3分の1に抑えられた。
T細胞に連動して働く免疫細胞であるB細胞も働きが抑制され、花粉症の治療につながる効果がみられた。

このコメを100度で約1時間半加熱しても、効果が落ちないことを確認、調理の影響も受けないという。
   (愛媛新聞2003/02/23より抜粋引用)

 「遺伝子組み換え」ということで少々抵抗があります。長期間に及ぶ慢性実験による検討が今後重要となります。


 マイク・タイソン復帰戦、体調不良で延期 インフルエンザ

ボクシングの元統一世界ヘビー級チャンピオン、マイク・タイソン(米国)は17日、クリフォード・エテイエンヌ(米国)との復帰戦(22日テネシー州メンフィス)をインフルエンザによる体調不良を理由に延期するとの声明を出した。

タイソンはインフルエンザにかかってこの5日間寝込んでおり、試合に臨める状態ではないとしている。
   (愛媛新聞2003/02/19より抜粋引用)

 その後の報道ではタイソンはマネージャーに「俺は復帰戦をやりたい」と言っているとのことだが、相手は一旦トーンダウンした気持ちを立て直すのは大変で、対戦拒否を表明。さあどうなることやら。


 スギ花粉 今年は多め ピークは2月下旬から (ヒノキは4月上旬)

花粉の飛散観測を続けている今治精華高校の桧垣義光教諭(生物担当)は、今年の県内のスギ花粉飛散日をまとめた。

今治市  :1月26日
新居浜市 :1月30日
津島町  :1月31日
松山市  :2月 7日

スギ花粉飛散のピークは2月下旬から3月上旬で、3月中旬にはヒノキ花粉の飛散が始まるという。ヒノキのピークは4月上旬の見込み。

桧垣教諭は「晴れや曇りで気温10度以上の乾燥した日には花粉が多く飛びやすい。今年は平年より多い飛散量が予想され、早めの対策をしてほしい」と呼び掛けている。
   (朝日新聞2003/02/16より抜粋引用)

 2段下の記事をご参照ください。松山市は予想とピッタリ一致、新居浜市は1日、今治、南予は1週間から10日前後早く飛散が始まったようです。

 インフルエンザ 脳炎、脳症で子供26人死亡 解熱剤使用、注意呼びかけ

今シーズンにインフルエンザなどに感染した子供のうち、少なくとも26人が脳炎や脳症を発症、死亡している。一部の解熱剤との関連が指摘されており、厚生労働省は1月末に「インフルエンザによる発熱で解熱剤を使用する場合は慎重に」とする通達を日本小児科学会など関連団体に出した。

厚労省が注意を呼びかけている解熱剤は「サリチル酸系医薬品」(アスピリンなど)のほか、「ジクロフェナクナトリウム」(ボルタレンなど)、「メフェナム酸」(ポンタールなど)を含む製剤。

サリチル酸系医薬品については1998年12月に、ジクロフェナクナトリウムについては2001年5月に「15歳未満のインフルエンザ患者に投与しないこと」などと注意喚起。メフェナム酸は同年5月に「調査では悪化の傾向がなかった」としながらインフルエンザと診断した小児への投与禁止を要請している。

小児科医はほぼ使わなくなっているが、以前に入手した解熱剤などを使用してしまい重症化した事例もある。
   (日経新聞2003/02/06より抜粋引用)

 「インフルエンザ最新情報」もご覧下さい。


 今年の花粉「やや多い」 県内飛散量 昨年の1.8倍 今治精華高・桧垣教諭が予測

今年のスギ、ヒノキ科花粉飛散量は「平年よりやや多い」。日本花粉学会会員で今治精華高校教諭の桧垣義光さん(57)、越知郡大西町、がこのほど県内の花粉飛散量予測をまとめた。花粉症の人にはつらい年になりそうだ。

桧垣さんによると、飛散量は花粉の形成に影響する前年7月の気温が関係しており、松山、新居浜、今治の三市と北宇和郡津島町の四地点で気象観測。昨夏は気温が高く、過去のデータを踏まえると、県内の飛散量は昨年の1.8倍、過去7年平均の1.4倍となる結果が出た。

今年1月の平均気温から予測したスギ花粉の飛散開始日は
 新居浜市:1月31日
 宇和島市:2月 6日
 松山市  :2月 7日
 今治市  :2月 9日
 ピークは3月上旬

ヒノキ科花粉は3月中旬から飛散が始まり、南予は4月中旬、東・中予は5月上旬ごろまで続く。

桧垣さんは「早いところでは1月下旬にもスギ花粉の飛散が観測される花粉症の方は早めの対策を」と話している。
   (愛媛新聞 2003/01/23より引用)

 「アレルギー性鼻炎」、「レーザー治療について」もご覧下さい。