幻惑の森  < at ゼビル島.1 >

おまえではなかった

何が

四次試験のターゲットだ

そりゃよかった。実はオレもだ
とりあえず、殺しあわなくってすみそうだな

しかし、1点分にはなるぞ、最悪の場合・・・

そうならないことを祈るしかねーな



1週間後に会おう

ああ





そして―――それは予想以上に短い別れだった。



同盟をもちかけられて、正直、こころが踊った。
同盟の利だとかそんなものはどうでもよくて、ただ、こいつといられること、それを言い出したのがこいつだってこと。
ほんの1日2日聞かなかっただけなのに、そのへらずぐちがひどく懐かしい気がする。

もしも誰かと組むのなら、オレは迷わずこいつを誘ったと思う。
いままでの行程からしたって、この場で信頼できるって言ったら、他に誰がいる?
けれど、逆もまた然りと言えるかというと自信がない。
なにより、説明のつかない不安定な感情が心中を占めている。


  迷っているのはオレだけかもしれないけれど
  やつには迷う以前のことかもしれないけれど



どちらが先に休むかで、早々にもめた。
結局、強情さでクラピカにかなうわけもなく、オレが眠ることになったのだが。

どうにも寝つけない。
ごそりと起き出し、見張りをしているクラピカの隣へすわりこんだ。

「どうした」
「いや、なんか落ちつかなくてよ」
「安心しろ。寝込みを襲うような真似はしない」

・・・・へ?

「私のプレートはもう足りている」

  あ、そーゆーイミね・・・一瞬でも期待した自分にあきれる。

「夜這いでもかけられんのかと思ったぜ」
「・・・?!!」

ぼそりと半分本気でつぶやくと、あきらかにうろたえるのがわかった。
奇妙な優越感がわいてくる。

「別に突飛な解釈でもないと思うけど」
「・・・な、なにを戯言をっ///」
「コドモには刺激が強かったかなー」
おかしくなって、ぐしゃぐしゃと頭をもしゃぐった。
「ば、ばかものっーーー」
むくれる様がかわいくて、けれど、うかれそうになるオレと対極の疑念はふくれあがる。

つまり、そういうことだってありえるのだ。それなのに・・・。

「なんで、オレなんかと組んだんだ」
「それは・・・ひとりより何かと便利だろう。夜だって、こうして交替で見張っていられる」
さも当然の、優等生な答え。
「プレートは足りてると言ったのはおまえじゃねーか。あと数日、どっかに隠れてりゃすむことだぞ。オレが足ひっぱるとか思わねーのか」
「足手まといになる自覚はあるのだな」

  それを言うか・・・

「サイアク・・・オレが2点分欲しさにってことは考えなかったのか」

考えたくもないことだけれど、充分想像しうる事実。
クラピカはしばしオレを凝視していたが、ふらりと立ち上がり、数歩歩むと背を向けたままで口を開いた。

「そんなに私と組むのは嫌か」
「ち、ちげーよ、なんでそういう結論になんだよ」
あわててオレも立ち上がった。
「・・・そうではないか、先ほどから聞いていると」
うつむいて、吐き捨てるような声。

だめだ、言いたいのはそんなことじゃない。
聞きたいのはそんなことじゃない。
それなのに、身体は勝手にクラピカの肩をつかまえて、強引にこちらへ向きなおさせる。

「体格と腕力ならオレの方が上だ・・・それでも、オレが信用できんのか」

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MEMO/051017