夢の途中 < 2 >
ぼこっ
後頭部に衝撃を感じて―――気がついた。
っ痛ぁーーーー
「レオリオ、だめだよ。クラピカつぶれてるよー」
耳元でつんつんの黒髪の怒鳴り声。
状況がいまいちのみこめない。
「一瞬、抱きあってんのかって思ったけどさ、おっさんが一方的につぶしてるだけじゃん」
振り向くと、ポケットに手をつっこみ、つまらなそうに見下ろす銀髪。
多分、オレの後頭部にはこいつの足型がついているに違いない。
「キルア、そんな気色の悪いことを言うな」
見やれば、サイアクな寝起きといった風で半身を起こした金髪の「少年」。
「大丈夫?クラピカ」
ゴンが心配そうに尋ねる。
「ああ・・・グレイトスタンプに踏み潰される夢を見た」
2、3度、あたまを振って覚醒すると、眉間にしわをよせてにらんできた。
あ、そうか。
オレたち、3次試験の最中で、賭けに負けて50時間の足止めくらって・・・。
てことは、あれもやっぱ夢で、これが現実か・・・?
2段構えの夢なんて、ややっこしすぎるぜ、まったく。
そりゃそーだよな、なんでオレがこいつなんかと。
けれど、笑い飛ばしたい思いとうらはらに、もしやそういう願望が自分の中にあったかと思うと、そしてそういう目でこいつを見ていたのかと思うと、身体中、火照るような気がした。
思いっきしリアルだった、さっきの感触。
・・・あれが夢ならそーとーなもんだぞ。
まさか、いままでの試験も全部夢でした、なんてんじゃねーだろーな。
いや、確かにあんな荒唐無稽な試験・・・夢ならありうる。
オレは、まだ故郷のオレの部屋で惰眠を貪っているんじゃ。
「なにをひとりで悶えているのだ、あいつは」
「さーね、変な夢でも見たんじゃない?」
「レオリオー、ついてるとかついてないとか、でかい寝言いってたけど、あれ何?」
「運の強さだけは自信がありそうだから、その手の話ではないか?」
「宝くじあたったとかー?」
「でも、そーゆーのって、たいてー逆夢だぜ」
まだ覚めやらないオレを肴に、3人は好き勝手を言っている。
といって、事実が知れたら殺されるくらいじゃすまないのは明白だ。曖昧に笑うしかないってか。
ふと気づくと、とうのクラピカが怪訝そうにこちらを見ている。
オコサマたちの興味はすでに他へ移動してしまったらしい。
そういえば、オレはこいつのことを何も知らない。突然、その事実に気がついた。
そして、やはり突然、むしょうに知りたくなった。
「あ、悪かったな。その、重かったろ」
「いや・・・」
一瞬、口に端がわずかにあがって、笑った・・・気がしたのは、オレの欲目だろうか。
それとも、夢のつづきの錯覚だったのか。
もしも、これがまだ夢なら・・・このまま醒めない夢でいてもいいような、そんな気がなぜだかちらとかすめた。
―――3次試験、残り9時間
掟破りの夢二段活用。
レオはまだまだ女の子だと気づいてません。てか、きっと「女の子がいるわけない」というフィルターかけてたんだよなー。
「夢なのにリアルな感触」は、きっとピカをつぶしてた時に衣服越しにでも感じてしまったのでしょう。
PS。現場にもう約1名いたことはスルースしてください(笑)
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MEMO/050612