★世界の車窓から

 午前中で市内観光を終えた一行は、そのあと車でひたすら移動、移動、移動。
 イスタンブールからなんと350キロも移動だよ〜(>_<)
 トラキア地方をマルマラ海沿いにぶいぶい南下。
 ちょうどひまわりの時期で車窓にはずーっとひまわり畑が広がってる。ゆるやかな稜線を描く丘一面に、ひまわり・ひまわり・ひまわり!
 きれーい!
 ひまわりの大群に感動して、あきもせずにビデオをまわしっぱなしにしてた。(よって写真がない…)
 「世界の車窓から」のテーマソングを口ずさみながら、「今日はマルマラ海沿いにトルコのひまわり畑を旅します」と世界の車窓ごっこする二人…。狭い島国に住んでいると、地平線だの水平線だの広大な大地だのってーのを、見るだけで感動しちゃう。
  ★平らな皿のお城

 ヨーロッパ側からアジア側のチャナッカレへは小さなフェリーで向かう。
 ヨーロッパ大陸とアジア大陸に囲まれるようにしてある内海の名前はマルマラ海。
 このマルマラ海にちょうど両手を広げたようにしてトルコのヨーロッパ側の陸地が広がっている。その片腕にあたるのがゲリボル半島という細長い半島。この半島と小アジア(アナトリア)の間の狭い海峡がダーダネルス海峡。
 このゲリボル半島(ガリーポリ)を、14世紀、オスマン・トルコ軍が陥落し、15世紀のコンスタンティノープルの陥落へと続く道を作っ

↓チャナッカレ…。ほどんどわかんないけれど…。
たのです。…ってことに帰ってから気がついて悔しい思いをしたワタシ…。
 フェリーのお客さんはほとんどトルコの人。
 チャナッカレまで30分くらいの距離だし、夕方だったし、お勤め帰りなのか、それともバカンスかな?
 トルコ語で、チャナは「平らな」、カレは「城」。その名の通り、お皿のように平らなお城(要塞?)が遠くに見える。
 フェリーから見えるトルコの山々は、険しい日本の山と違って、起伏も緩やかで、平らに近い。
 「なんか大味…」
 さくらがぽつっとつぶやいたのには笑っちゃった。
 確かに、日本の、あわい、それでいて起伏にとんだ自然を見慣れていると、ただただ、だだっぴろい。
 逆に言えば、視界が広く感じて、風景がゆったりして見える。
 昔は、欧州の国々からやってくる船が、このダーダネルス海峡を通ってマルマラ海を北上し、ボスフォラス海峡を抜けて、コンスタンティノープルや黒海へ出かけていったんだよねぇ。
 必然的に、軍事的にも重要な地域。チャナッカレには、今も海軍学校があるとかで、兵隊さんの姿を良く見かけたなあ。
 知人の知人のトルコ人(全くの他人だが…)に聞いたんだけれど、今でも、少し土を掘り返せば100年前の戦争(第1次大戦かな?)の戦争によって命を落とした兵士たちの骨が見つかるんだそうな。
  ★謎の三ツ星ホテル

 チャナッカレのホテルは、海のすぐそばにある三ツ星ホテル。
 三ツ星なのよ、三ツ星。
 …星の基準が良く分からない…。
 まず、チェックインすると、クーラーのリモコンを渡される。
 「?」
 ホテルの窓は海側(西側)に面していて、西日がガンガンあたる。
 「??」
 クーラーはぜんっぜん効かない。暑い。というより熱い。まるで蒸し風呂。
 「???」
 チープ感あふれる…いやさ、ポップ感あふれる調度品。
 「????」
 鏡が半分曇っていて見えない。それは何故か。壁の塗料を吹き付けた跡なのだ。フツー、壁に塗料を塗るときは、目張りとかするだろーよ。
 壁の塗り替えをするのも大事であろう。面倒であろう。でも、その際に、ハンガーを外しておくとか、部屋番号の札に目張りしておくとか、しろよ〜!
 ってーか、暑いよ〜。クーラー効かないよう〜。なんでこれが三ツ星なんじゃ〜?
 …でもこのいいかげんさが好き…。
  あんまし暑いので、夕食後、海辺を散策。
 部屋にいると暑いんだもん。フツー逆だよ…。
 みんな家にいるより外のほうが涼しいのかなあ。海辺の遊歩道は、家族連れやらカップルやら友達同士やら軍人さんやらでいっぱい!せっかくの涼しい潮風も、人口密度が高いせいで、威力半減。
 近くの雑貨店でジュース購入。ここにもトマトが箱入りで売ってありました。すごいおいしそう〜。
 虫も食ってんだけれど、真っ赤っ赤で、太陽の味がするわよーんって誘ってくる。誘惑に負けて、一箱買いそうになったよ。
 それにしても暑い。野宿したいくらい…。



7月13日 

  ★木馬で兵士になる


 案の定、暑くてあんまし眠れなかった…。エアコン、ぜんぜん効かないんだもん。さくらはぐうぐう寝てた。そうだ、そういえば、こいつは暑さに強いんだった…。
 朝ごはんは、お決まりのエキメキ、キュウリ、トマト、白チーズ、ハム、ジュース。
 ほんとにシンプルなこのメニューがおいしい!キュウリは積極的に嫌いでもないけれど、積極的に好きでもない。でも、トルコのキュウリは積極的に大好き!ほんと、ドレッシングなんていらない。朝からもりもり食べちまいました。

 チャナッカレは、トロイ観光への中継地点としてよく利用されているらしい。っても、30キロあるけれど…。
 アナトリアに来てから、車窓の風景が、ひまわりからオリーブの木に変わった。飽きもせず、世界の車窓ごっこする二人。
 にしても、トロイってーと、木馬に潜んでいた兵士とシュリーマンくらいしか知らんが、こんなんで大丈夫だろうか…。
 トロイの木馬伝説って、いつ聞いても間抜けな気がする。
 いくら戦に勝った(と思った)からって、門の外に敵軍が置いていった巨大な木馬を場内に引き入れたりする?
 どう考えたって、無用心だよねぇ。もしワタシが将軍でもそんなことやらないよ。
 現在、トロイには、観光用に作られた巨大な木馬が設置してある。想像してたより小さいかな?がんばれば100人くらい入れそう。内部も見学可能。
 小高い丘には、何層もの遺跡が残ってて、紀元前3000年から紀元前1200年くらいまでの遺跡が、草生して横たわっている。現在も発掘中。
 棺や祭壇や、劇場もごろんごろんと残ってる。そして、ずっと向こうには海。古代は、今よりずっと海が近かったんだとか。
 遺跡を見るたびに、いつか、遠い未来、古代の謎がわかるときがくるのかなあ、と思っちゃう。そうなると面白いなあ。ま、そん時ワタシはいないけどさ。
↑トロイ遺跡に咲くぶっといアザミこれでぶん殴ったら
人が殺せそうだ…。
↓アクロポリスの大劇場跡。すごい急斜面。

 ★ベルガマでアカデミックに探求する

 ベルガマでビュッフェ形式の昼食。トロイからは250キロ。
 トルコ料理って、味付け自体は結構シンプルだなあ、と思う。塩、コショウ、トマト、オリーブオイル、ヨーグルト。甘いか、辛いか、すっぱいか。
 世界の三大料理の一つだそうだけれど、これは食材によるところが大きい気がする。
 ここで、トルコの国民的料理(らしい)クル・ファスリエを食べました。ヒヨコマメをトマトで煮た料理。
 食堂のおっちゃんに「(これって)クル・ファスリエ?」って聞いたら、「おー、よう知ってんなあ」とたんと入れてくれました。おいしかった♪
 ベルガマ、に何があるのか、実はぜーんぜん知らなかった。なにさま、興味の対象がイスタンブールとカッパドキアのみだったもので。他は、「ほう、そんなところがあるんかい。せっかくトルコに行くんだから、いっちょ見てみようかねぇ」って感じだった。
 でも、このベルガマのアクロポリスの遺跡!すごい良かった!
 ここの遺跡は、山の頂上にあって、駐車場から少し歩くのだけれど、日差しをさえぎるものがないから、太陽ガンガン照りまくり。暑い、ってーより熱い。湿気がないから木陰だと涼しいんだけれど、その木陰もない…。
 日ごろの運動不足がたたってぜいぜい言いながら到着したのは劇場跡。
 圧巻!
 すごい急斜面(45度くらいあるんでない?大げさ?)に作られていて、小さな声でも上まで届くようになっているんだそう。壮観だあ!
 なんか豪快だあ。おおらかな文明だったんだろうなあ。
 などと感心しつつ、頂上にある神殿跡(トラヤヌス神殿)の門柱を見ては、「い、今地震が起こったら、崩れ落ちるんでは…」と、地震大国ニッポンの小心者観光客は心配するのであった。
 大理石の門柱は、トルコの青い空の下で、その白さが映えて美しい。
 遺跡、というのは「物」なんだなあ。それ自体は、なあんにも語らない「物」。年月が遠ければ遠いほど、風化され、風景の一部になってしまう「物」。
 遺跡自体は、「物」でしかなくて、それが巨大であればあるほど、そのことを痛切に感じてしまう。それ自体はただの物体なのに、そこに「在る」というただそれだけで、そこに人が生きていた事実を証明してしまう。なんかスゴイ。
 でも、何を証明するんだろう。誰に証明するんだろう。誰が何のために証明するんだろう。不思議…。
 
 ベルガマのアクロポリスは、典型的なヘレニズム都市の遺跡。まあ、ヘレニズム都市とギリシア都市の遺跡の違いなんて説明しろって言われてもわからんけど。
 でも、遺跡や寺院を見るのは大好き。古代の人々がどうやって生きていたんだろうとか、その時代に生まれてたらどんな風に生活してただろう、とか想像するのもまた楽し。
↓トラヤヌス神殿跡

 この遺跡を作った人々、触れた人々、その遠い年月のことを思いつつ、「も、もしかしたら歴史上のえらい人が触ったかも…。触っとこう」とべたべた触っておいた。
 それにしても、「ギリシア・ローマ神話を勉強しておきゃあよかったなあ」と後悔することしきり。中学のころ、一度読んだっきりだもん。忘れちゃってるよ〜。
 トホホな気分になったところへ、ガイド氏が図書館跡へ案内してくれた。
 伝説によれば、ここには20万巻もの蔵書があり、この図書館に脅威を覚えたエジプトがパピルスの輸出を禁止し、困った皇帝がそれに代わる羊皮紙を発明したとか。
 「羊の皮を使って文字を書くことがこの都市から始まりました。えー、日本語ではなんというのかわかりません…」
と言葉に詰まったところへ、思わずさくらと二人が「羊皮紙」と答えてしまいました。いやあ、アカデミックなワタシタチ。(←どこが…)                                  
↓このトンネルを通って神聖な場所へ
  ★アスクレピオンで福祉について考える          

 アクロポリスの近くにあるアスクレピオン。ここは、古代の総合医療センター。
 ミニ劇場とかもあって、ここで音楽療法が行われていた。
 ファミリーの女の子が、珍しがられてトルコの家族連れと写真撮って(撮られて)た。そうだよなあ、子供づれの東洋人はめずらしいかも…。
 治療施設にはトンネルを通って入る。
 このトンネルが「俗の場」と「神聖な場」との境界であったそうな。ここで神のお告げ(実は人間の医者)を聞いて病に対処したとか。穴から「あんたは治る〜あんたは治る〜」と暗示かけてたんだろうか。「病は気から」ってことか?
 そういうわけで、死にかけの人間は入れてもらえなかったらしい。せちがらいなあ…。
  ★イズミール王子の町で
↓「愛の小径」…。


 イズミルまでは100キロ。それにしても、イズミル、と聞くと、「王家の紋章」のイズミール王子を思い出してしまうワタシタチっていったい…。
 ホテルに到着後、「海が見たい」ととーとつに思ったので、散歩に出かけることにする。
 ホテルに向かう途中で海を見たので、砂浜で遊びたかったのよう。
 でも、行けども行けども海はなし。人通りもなし。なんで?まだぜんぜん明るいのに。
 ずんずん歩いていったら、なんだか椰子の木が立ち並ぶ小道に出た。若者たちがそぞろ歩いておる。
 古本を売ってる露店がいっぱい出てた。ハーレクインロマンスとかも売ってた。(そこは、「愛の小径」というらしい。「愛の小径」…。ちょっとトホホなネーミングかも…)
 「愛の小径」を引き返してひたすら歩いたら、海が見えてきた♪
 
 …砂浜はなかった。公園になってたのだ。埋め立ててたんだろうね、きっと。
 こ汚いごみが浮かんだ波がちゃぷちゃぷゆってた。悲しい…。
 期待した砂浜はなかったけれど、公園はなかなかきれい。涼しいし。意味不明のオブジェとか置いてあって、家族連れがそぞろ歩いてた。                            
↑散歩の途中で見かけたステキなディスプレイのお店。
ジューススタンド?にしてはピクルスとかあるし。いったい
何のお店だろ?
  ★続・謎の4つ星ホテル

 夕食はホテルで。ポレッキ(パイに似てポテトが入っている)、魚のグリル、サラダ、フルーツ。
 魚がおいしかった♪
 夕食から帰ってきたら、部屋のカギがかからないことに気づいた。(ってーか、ここ、4つ星だよ…)気合を入れて「神様、仏様、カーン様」と唱えながら閉めると閉まる。(さすが守護神カーン?)なんかの調子でかかったりかからなかったりするんだろうけれど。ホテルマンの兄ちゃんに部屋変えてくれって言ったけど、もう使っちゃった後だったからか、変えてくれなかった。まあ、閉まったからいいけれど。毛布も毛玉だらけでした。謎の4つ星。







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