★トルコのタクシー

 帰りはしんどいのでタクシーで帰ろうってことに。
 「なるべく観光スポットで客待ちしているタクシーには乗らない」ってのが、ワタシが旅先で学んだこと。観光スポットから少し歩いて、流しを拾う。
 でも、ここらへんで、ちょっと判断力が鈍ってきてたみたい。値段交渉で憔悴していたのかも。
 バザールから出たところで、もう面倒くさくなってそこらへんのタクシーを拾った。
 タクシーに乗ろうとしたら、ドライバーのオヤジが、いきなり周りのタクシードライバーとケンカ。
 な、なんなの?いったい。怖いよう。
 ワタシタチ「もういいよ。乗らない」
 怖いので、しかたなくしばらく歩くことに。
 そしたら、オヤジが後ろからタクシーでおっかけてきて「乗れ」という。
 …なんかヘンだったけれど、ま、いっか、のっちゃえ。しんどいし。
 乗ってしばらくしてからさくらが、「ねえ、メーターがヘン」と言い出した。
 ワタシ「そうなの?でも、ここで下ろせって言っても、絶対支払わなきゃなんないし。タクシム広場まで5分くらいだし。もういいやこのまま行っちゃえ」
 でも、これがいけなかった。
 ここで意地でも降りときゃよかった。

 タクシム広場までメーターは900万リラ。(900円くらい)
 高い…。聞いていた相場の3倍。
 しょうがない。この責任の一端はウカツに乗った自分にもある。(自分にあるからよけい悔しい)
 おつりはもらえないだろうな、と思って、しかたなく1000万リラ渡した。
 そしたら、なんと100万リラのおつりが返ってきた。へー、めずらしい。
 オヤジ「あんたがくれたのは100万リラだ。タクシー代は1000万リラである。1000万リラよこせ」(トルコ語)
 なんですって???
 ワタシ「いーや!ワタシはぜったい1000万リラ渡した。間違いなく1000万リラ渡した。あんたが取り替えたんでしょ?」(日本語)
 オヤジ「これは100万リラだって言ってるだろ?さあ1000万リラよこせ」
 ワタシ「ぜったい1000万リラ渡したって。ぜったい間違いない!」 
 トルコ語と日本語で口論になってきた。なんでこういう時って通じるんだろう?
 もうすっごい腹たってきた。こいつ、絶対常習犯だよ。
 だって、お金を受け取って、100万リラが返ってくるまで間があったんだもん。まだトルコリラに慣れてない観光客を狙ってるんだろうな。
 オヤジ「話にならないね。ポリスに行く」 
 ワタシ「ポリス?いいじゃん。行けば?」
 ポリスに行くって言ったくせに、オヤジは広場をぐるっと回って車をとめた。行く気なんてないくせに。
 オヤジ「さあ、1000万リラよこしな」
 ポリスに行くのはかまわない。ぜんぜんおっけーだ。でも、そのとき、一瞬ふと頭に浮かんだのが、そのポリスが偽物だったら?そいつとぐるだったら?
 そして、このオヤジは体がでかい。
 それを思うと、急に怖くなった。いろんな想像が一気に頭の中を駆け巡った。その、偽物かもしれないポリスに連れて行かれたらどうなるんだろ?とか。…実は小心者のワタシ。
 いったん怖くなってきたら、もう、どうでも、この密室から抜け出したくなってきた。
 もう、ここから抜け出せるんなら、1000万リラ払う!
 そう思ったとたん、財布に手を入れて1000万リラをオヤジに突き出し、逃げるようにタクシーから降りてしまった。
 怖さと屈辱感で、しばらく震えが止まらなかった。

 トルコでは、特に自由行動だったイスタンブールでは、いろんな人に親切にしてもらった。道を聞く人、聞く人、丁寧に教えてくれた。ポリスも親切だった。普通に暮らしている人は、みんな親切だった。
 でも、何処の国にも、持ってるヤツ(ワタシなんか、当時の年収160万だよ。さくらなんて100万くらい)から取ってやれ、と思う人は何処にでもいる。トルコにもイタリアにもタイにもバリにも日本にも。
 だまされる方も注意しなくちゃならない。たとえパックツアーでも、それが旅行をする上での自分で自分に責任を持つと言うことなのだ。
 でもやっぱり悔しい〜!!