還暦を過ぎ、私の周りには現役時代に果たせなかった夢に生きる者、
今なお現役で頑張っている者、仕事はしたいけれど働き場所が見つからないまま家にいる者など様々である。
1年余り前に警察を退職した高校の友人が、家庭菜園で作った無農薬のそら豆や小松菜を両手に抱え訪ねて来てくれた。
退職してから久しく会っていなかった。
朝は家庭菜園に精を出し、昼間はフイットネスクラブ、憧れだった汽車の旅もしているという。
退職後マラソンやハーフマラソンにもチャレンジし、以前より体が引き締まり元気そうに見えた。
奥さんが糖尿病で腎臓を患い、透析を続けていたが、3年程前に彼が腎臓を提供し移植手術をした。
持病の糖尿病の関係で、回復するまでに少し時間がかかったが、今では二人で旅行に行けるほど元気になったそうである。
その話を聞いて、移植手術を勧めた一人としてほっとした。
先日、同級生の退職慰労の会に出席した。会社関係の方を中心に恩師の元大学学長や主治医の先生、友人たち50名余りが集まった。
彼とは小・中学校の同級生で、高校こそ違ったが、大学も一緒で半世紀を超える付き合いになる。
大学を卒業し、東京で本社勤めもしたが、会社人生のほとんどを地元で勤務した。
金融という特殊な分野の中で、会社ではなくてはならない存在となり、四国の責任者として、地方勤務ながら上場企業の役員までになった。
高度成長時代に「モーレツ社員」という言葉が流行ったことがある。 まさしく彼のためにあるような言葉だった。
20年程前に持病の糖尿が悪化し、ここ10年余り透析を続けている。本人のたっての希望で、惜しまれながら会社人生にピリオドを打った。。
大学時代、一緒にアルバイトしている時に追突事故に遭い、ベッドを並べて入院したことや、
彼の家の縁側で当時流行りの反戦のフォークソングを大きな声で歌ったことも、今となっては懐かしい思い出である。。
これからは身体を労わり、奥様と二人三脚でスローライフを存分に楽しんでいただきたいと思う。
そういう私は、今しばらく現役で頑張りたいと思っている。