H23.6

 最近、家内との会話中などに、俳優や人の名前が出てこないことがある。
 何かしら、気持ちが悪いものである。
 何とか思い出そうと努力して、スーと出てくる場合と、そこまで出ているのに、名前にたどりつかないことがある。
 そんな時は、まどろっこしいと思いつつも、あいうえお順に考えつく名字を、ハイスピードで頭の中で唱えてみる。
 それでもどうしてもだめな時は、インターネットや電話などを使ってみる。
 名前がでてきた時は、霧がサァーと晴れたような、胸のつかえがとれたような感じだ。
 「まさに認知症まっしぐらだね」 「認知症になったら、私のことちゃんと面倒見てね」 「逆の場合は頼むよ」 そんな会話が我が家ではよく飛び交う。

 先日、認知症患者と家族の関わりの番組が放映された。
 認知症患者のいる家族の方は、介護が長期にわたるケースが多く大変な
ご苦労をされている。
 認知症患者のご婦人が、家族から叱られ、温顔な顔から笑顔が消えてしまい、症状まで悪くなってしまったケースである。
 叱られたり、責められたりすることは、本人にとって、悲しくつらいことであり、症状まで悪くしてしまう。
 家族や周囲の者が本人の身になって考え、対応することで、自尊心を傷つけず、認知症の症状が回復すると言う。
 後にご婦人の顔に、微笑みがもどった時は、私まで何か清々しい気持ちになった。

 それにしても、
   あきらかに数年前とは夫婦の会話の内容が変わってきたような……


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