H22.10


 お彼岸になると両親のことを思い出す。

 子供の頃は、二人姉弟の「 おとんぼ 」ということもあって、甘えん坊の上に乳離れが遅かったようである。
 母親にどんなに叱られても、いつも母親に纏(まと)わりついていた。

 小学校低学年の頃、遊び疲れていやがる私を、母親は私の手を引きずりながら銭湯に連れて行くのが日課だった。
 その頃は、晩生(おくて)だったせいか、何のためらいもなく、母親と一緒に女風呂に入っていた。

 「 かんの虫 」といって、いまだに何の虫かよくわからないが、それが出たと言っては、お灸をよくすえられた。
 背中に、今でも大きなお灸の跡が残っている。

 先月、母の7周忌と父の3周忌をごく内輪で済ませた。
 父は、根っからの職人で、陽気な人だった。
 母は、近所付き合いは下手だったが、子供や家族に対して情がこまやかな人で、何といっても母親の手料理は最高だった。

 お彼岸がくると、決まって両親のことや亡くなった人のことを懐かしく思い出す。

 それにしても、今年の曼珠沙華は、暑さのせいか、お彼岸を忘れているようだ。

<<過去のコラムページへ戻る
ページトップへ戻る