子供が小学生だった頃、ゴールデンウィークに県外へ出掛け苦い経験をしたことがあるため、今年もいつものようにごくごく近場で過ごした。
娘は仕事の関係で帰れなかったが、息子は、家内と電話で話しているうちに急に里心でもついたのか、急遽、船で帰ってきた。
私も若い頃は、よく関西汽船を利用して大阪と松山を行き来した。友達に会うことや、母親の手料理を食べることが何よりの楽しみであった。
あの頃の関西汽船は、船賃も1,700円くらいだったと記憶している。今から35年か36年も前のことである。いつも満員で、肩幅くらいの寝場所を確保するのがやっとだった。
なぜか、母親くらいのおばさん軍団と一緒になることが多く、騒々しさとパワーに圧倒され、あまり眠れなかったことを記憶している。今となっては、懐かしい思い出である。
家内と息子と三人で、久し振りに城山に出かけた。ロープウェイ駅舎で坂本竜馬の特別展を見た後、東雲神社の方から登った。市民から賛否はあったものの、登城道はきれいに整備され、随分歩きやすくなった。木漏れ日浴びた新緑もすがすがしい。何ともいえない爽快な気分である。
松山城も2年余りかけて改修され、県外からこられた観光客にもわかりやすいように、随所に配慮がされている。地元にいると、かえって縁遠い城山もなぜか新鮮に感じられる。
年がいもなく息子と一緒になって、天守閣の中にある観光客用の鎧兜を身にまとい、戦に出る前の武将になったような気分で、デジカメに納まった。
司馬遼太郎の小説「坂の上の雲」のNHKのスペシャルドラマも、来年の秋からの3ヵ年の放映が決まっている。ドラマの中で、松山城はなくてはならない舞台のひとつである。
主人公の秋山真之役の本木雅弘さんを初め、重厚な俳優陣を配し、ロケも順調に進んでいると仄聞している。ドラマ放映期間中は、県外からの観光客も本市をたくさん訪れることだろう。
瀬戸大橋やしまなみ海道の開通の時は、渋滞による到着時間の遅れや、受け入れ等の問題で、観光客からひんしゅくをかったと聞いている。来年のドラマ放映は、本市にとって、地域活性化の最高のチャンスでもある。関係者はもとより市民挙げての心あるおもてなしと、用意周到の受け入れ態勢が必要である。