年末は県外に出ている子供たちも帰ってきて、我が家も久し振りに賑やかな年の瀬と正月を迎えた。息子は県外の大学、娘は昨春大阪で就職したばかりの社会人1年生である。
子供たちとの一杯を一番の楽しみにしていたが、不覚にも年の瀬が押し迫っての突然の歯の炎症でふいになってしまった。強烈な痛みを伴い忘年会などの行事もすべて断った。
頓服と抗生物質を飲んで1週間余り、我が家で借りてきた猫のようにおとなしくじっとしていた。
議員になって22年余りになるが、年の瀬のこの忙しい時期にこのようなことは初めてである。
歩きで鍛えた健康おたくの私も、歯医者から抵抗力が弱った時にこういう状態になると言われ、さっぱり形無しであった。
酒席などでひけらかしていた健康談議も、これからはすこし控えるつもりである。
年明けの3日、完全ではないが痛みもやや薄らぎ、息子が帰る前日にやっと外で食事をした。帰ってきた時の第一声が「うまいものを食わしてくれ」だっただけに、実によく飲み、よく食べる。しかし、よく食べる割には私の若い頃とそっくりでやせっぽちである。
自炊はしているものの、普段はさぞかし貧しい偏った食生活をしているに違いない。
娘は仕事の関係で一日早く大阪へ帰っていった。今、大阪のデザイン関係の会社に就職し営業の仕事をしている。松山育ちで、大学も滋賀の田舎ということもあって、大都会大阪での暮らしは言葉や習慣の違いなどもありつらいことも多いようである。
就職当初は人間関係や慣れない仕事のことなどで、泣きながらよく電話もかかっていたが、ここ最近だんだんと少なくなってきた。一番恐れていた上司も今は娘をみかん、みかんと愛称で呼んでくれ、可愛がっていただいていると聞き安心した。都会の波にもまれながらも、どうにかくじけることなくがんばっているようである。
かくして子供たちが嵐のように去り、また家内と二人きりの生活が始まった。少しさびしさも感じるがほっとしているというのも本音である。今頃そんなご家庭も多いことだろう。