H20.1

 最近子供の頃のことを懐かしく思い出す。昭和30年代前半である。


 食べず嫌いで偏食気味だったわたしは、痩せぎすで小学校低学年の頃はいつも顔に、はたけができていた。
 クラスには私と同じような子が何人かいたと思う。はたけと言っても今の若い人には何のことかわからないと思うが、要は栄養状態が悪い為に、肌がぱさぱさとなって粉を吹いている状態になっていることである。これも栄養の関係だと思うが、あおばなをたらしている子も多かった。みんなきまったように学生服の袖で、はなを拭いていたから、いつも袖口は妙にピカピカと光っていた。最近ではそういう子を見かけることはほとんどない。
 
 当時の子どもの多くは服は兄や姉のおさがりで、ズボンや靴下などもつぎをあてたものを穿いていた。その頃はごくごくあたりまえのことで、恥ずかしいと思ったことはなかった。
 日が暮れるまで、近所のガキ大将と畑を走り回り、藁ぐろを壊しては農家のおじさんによく叱られた。今となっては懐かしい思い出である。
 
 畦道の所々に野菜栽培に使うための「肥溜め」があり、遊びに夢中になって足をつっこんでしまい、臭い匂いをさせながら泣いて帰ったこともあった。
 当時の野菜栽培は今のように化成肥料などは使わず、人糞や牛糞などが使われていた。 その関係で多くの子どもに回虫や、ぎょう虫などの寄生虫がいた。そのせいかどうかはわからないが、今のように花粉症やアレルギーなどの子はいなかったように思う。まさに肥溜め恐るべしである。
 
 あの頃は、今のように豊かな時代ではなかったが、いろいろ思い出すとなんだか懐かしく楽しい。みんな貧しかったけれど、子供も大人ももっと心豊かで生き生きしていたように思う。それは明日への希望を感じながら、みんな生きていたからかもしれない。  

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