恐怖の邂逅
< at ゼビル島.3 >
「こ、ここまで来りゃ大丈夫・・・か」
荒い息をつきながら振り返る。
来た方向は闇に閉ざされて、はたして逃げ切れたのかどうかわからない。
それでも、とりあえずは。
「にしても、おまえすげーよ。ヒソカ相手にあれだけ渡りあえ・・・って、おいっ」
予想外の交渉をやってのけた相棒が、突然がくりと膝をついた。
崩れ落ちる寸前で抱きとめた腕に、がくがくとした身体の震えが伝わってくる。
「・・・こ、怖かった・・・」
ふりしぼるようなかすかな声。
「オレも怖い。けど、オレたち生きてる。大丈夫だ、生きてる」
半分は自分に言い聞かせるため。
正直、無謀ともいっていいあの交渉をヒソカが受け入れたことが奇跡だと思う。2人がかりでも多分・・・結果は目に見えている。
なにがヒソカに気まぐれをおこさせたかわからないが、それでも結果オーライだ。
もう、なんだっていい。
オレは安堵のあまり半分うかれていた。
けれど、抱きしめるクラピカは、まるで呼吸ができないかのようにあえいでいる。
ただ、それを静めようとくちづけた。
二度、三度、身体から徐々に震えがおさまる。
ほっとした瞬間、背後に感じたまがまがしい気配。
振り向くことも躊躇される・・・。
ぼんやりしていたクラピカも気づいたらしい。
オレの肩越しに見える「それ」を蒼白なまなざしで凝視している。
やはり逃げ切れなかったか・・・。
世の中そんなに甘くないってか。
いちど逃がしておいて、また追いつめる。
ひとの絶望を見るのはそんなにおもしろいのか。
「キミたちとはよっぽど縁があるみたいだね」
なくていい、なくていい、そんなもん
「おにーさんて、案外テクニシャンなんだ」
て、てくにしゃん??!
「キスひとつですっかりおとなしくなってるよ」
蒼ざめたクラピカの頬を、つ、となぜる。
「さ、さわるなっ」
「安心しなよ。コドモには手を出さないから」
「もっと、おにーさんにオトナにしてもらってからね」
「な・・・」
「んーー、でも、おにーさんも、ちょっとおいしそう」
ちろりと舌なめずりをしたヒソカが、なにを思ってかオレのあごに手をかけた。
背中を冷たいものが走る。
・・・・よ、よるなーーー
叫び声はひきつったかすれ声にもならず、一生味わいたくないおぞましい感触が・・・。
「キミたちもとってもおもしろいよ」
残されたオレたちは、身動きもならずそのまま呆然と抱き合ったままで、どのくらいそのままでいただろうか。
やがて、クラピカがよろよろと口をひらいた。
「レオリオ・・・やつは何をしたかったんだ」
「知るかよ。げーー、気色わりぃ」
我にかえると、なおさら気持ちの悪さが反芻される。
「クラピカ!口直しさせてくれ!!」
「??!・・・だ、だ、だめだ、気持ちの悪いっーー」
「なんだ、オレが気持ち悪いのかよ」
「その魂胆が気持ち悪いのだよーー」
某所の投下物と一部かぶりますが、こちらの方がずいぶん前からあったので追求しないでください。某所から続くとなれば、それはそれでちょっと都合がよすぎるし。
(某所にいきあたってない方は、そのほうが幸せですから探索しないでください)
それよりも、おなじシチュの話はやまほどあるわけで、いまさら私が書くこともないとゆーか、はっきりいって墓穴掘りとゆーか。
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MEMO/051219