SCENE < 4 > serious

ずるりと身体の力がぬけた。

身体の中心がざわついて
ふれた唇が熱い。

あわてた男がささえるまもなく膝が地についた。
男の腕にしがみついて、かろうじて持ちこたえる。
思考がぐらつく。

「・・・おまえ、なにか変なくすりとか使ってないだろうな」
「はあーーー?」
「身体がおかしい、立っていられない・・・なにをした」
「なにって、なにもおかしなことしてねーよ」

知識の上ではわかっている。
けれど、どういう精神状態ならば、そんなことが可能なのか・・・。
知らない、わからない。

実体を伴うのは男たちのねめつく視線と嫌悪感だけ。
決して、飲みこまれてはならない。

「これなら力ぬけても大丈夫だから」

男の腕が背にまわされて、ゆっくりと地に横たえられる。
もういちど口づけられ、意識は思考は手放した。
MEMO/050614
嫌いだとか、憎いとか、おぞましいとか

そんな「負の感情」ならば

いやになるほど身にしみているのに

「すきだ」という感覚がいったいどんなものだったのか


―――思い出せない


とうさん、かあさん、みんな、だいすきだったのに



この男に抱いてしまったこの感情がそれなのだろうか

わからない

いまは知りたくない

知るのが怖い
MEMO/051002

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SCENE-4