三度栗 (北条・小山田)
  弘法大師が小山田の郷に立ち寄った時の話。一人の男の子が栗を食べていた。大師は、男の子に「坊やひとつ栗をわけてくれないか」と尋ねたら、男の子は、「うん、あげらい」と一握りの栗を大師様に差し出した。
 大師は「有難う。この栗が毎年ぎょうさん(たくさん)なるように植えてあげよう」と言って、近くの山の《すくも塚》といういう所に行って、栗を植えたという。
 すると翌年から珍しい事がおこった。子供等が《すくも塚》へ栗拾いに行ってみると、三回栗が実る木が
あった。今も同じ木に三度実る栗・三度栗があるという。

 里歌に『食わずの貝や、食わずの芋、年に三度の栗がなる』という歌が伝えられているという。

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