生のかしわ餅
 久谷の里・荏原(恵原)の郷のある年の5月5日=端午の節句の話。空腹の弘法大師が修行中、この郷を通りかかり、端午の節句に「かしわ餅」を作っていたとある家に立ち寄り、餅を所望した。ところが、その家の主人は、欲張りで餅が出来上がっているにも拘らず、「まだ、かしわ餅は蒸せとらん」といって施しをしなかった。大師は欲深さを哀れんで自ら反省するように、近くの小川の岩に足跡を残した立ち去ったいう。その家では、蒸した「かしわ餅」が生(なま)に変わり食べられなくなったという。それから後も毎年餅が蒸しあがらなくなったという。
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