ワインのお話

ツッチ−より一言

私がホームページを開設するにあたり、仲間より、是非ワインの事を載せて欲しいとのご意見を頂き、

私のワインの師匠、伊藤茂さんにお願い致しましたところ、快く引き受けて下さいました。

このページはあくまでも、私のワイン仲間、初心者グループの為のものです。

たまたまこのページをご覧になった「ワイン通」の方、さぞご異論がおありかと思われますが、

何分にも、初心者の集まりでの他愛も無い会話です、どうか笑ってお聞き流しくださいませ。

思えば、レストランでドイツの白ワインしか口に合わずオロオロしてたのが、つい昨日の事のようです。

師匠のご指導(陰謀?)でやっと赤ワインも飲めるようになりました。

楽しい仲間も増え、毎月ワイン会を楽しむ事が出来るようになり、日々の励みとなっております。

毎月集まってくださる、ワイン好きの皆様、お一人々々に感謝を込めて・・・

因みに、「ツッチ−」の愛称?は「直子のきままなおしゃべり」の直子さんの旦那様、

私の鬼先輩につられた有り難い?あだ名です。他に「コケコッコ−」など色々あります。

             意味はご想像にお任せします。                   

                          ツッチ−

               Vol.1

ワインとは?

ワイン愛好家は「マニア」と「初心者」に2極化している。個人の趣味であるからどのように

ワインと付き合おうと他人が意見する事ではないが、マニアの方に忘れて欲しくないのは、

最初はみんな初心者。少し甘めのドイツの白ワイン、フルーティーで軽めの赤ワインが

おいしかった時期があったということを。

「ラベル」を飲む人に多い会話として『「シャトー○○」は飲んだ事あるから・・・』まさに

「エッ?」である。ワインは毎年ぶどうの出来によって味が違うし、熟成具合によって味も

変わってくるのだから、同じ収穫年のワインであっても1年後では味は違う。

1度飲んだだけでそのワインを理解するなど不可能です。「ラベル」でなく「中身」を

飲もうよ!

「値段の高いワインはおいしいか?」という質問をよく受ける。結論からいうと、「ワインの質は

値段に比例する」が、「飲んでおいしい」ということと、「ワインとして質がよい」ということは別。

一般的にソムリエがいう「よいワイン」というのは、「値段に見合う価値」があるワインだ。

800円のワインでも1000円の価値があれば、評価するし、1000円のワインでも800円の価値

しかなければ評価しない。その価値を判断する能力がなければソムリエとしての価値はない。

ワインというと「難しい」という単語が必ずでてくるが果たしてそうなのだろうか。「ラベル」を飲みたい

方にとっては、ワインは「歴史であり、値段を含めた羨望」だろうが、「中身」を飲みたい方は、

「この味でこの値段なら」という選択肢のみで十分なはずである。周りからの驚嘆の声、エピソード

がないと愛好家としての自己陶酔ができないという意見も趣味としては正解だが、プロとしては

間違った考えである。安い価格のワインも高い価格のワインもそれなりの真実はあるという愛情を

持ってワインを飲むのが愛好家としての王道ではないだろうか。

値段の高いワインがあるだけで、「高級」も「低級」もない。よって「高額ワイン」は存在するが、

「高級ワイン」は存在しない。

ワインを「何々の香り」「たとえばこんな感じ」といった会話を楽しんでいる愛好家を見かける

が、プロの立場から言うと、「だから、どうした」である。「○○の香りに、××の味がする」

ということからワインの過去・未来を推測し、現在どうすべきかを判断する材料にしか過ぎ

ない。結論として言えば、その香り、味だけで終わってしまうのであれば、その表現には何の

意味もない(もっとも、そういう会話を楽しみながら飲むのが楽しいというかたは別だが)。

その判断をするためのテイステイングであり、その答えが出ないテイステイングには何の意味

も持たない。

理屈でワインを飲んでいる人より、知識はなくとも単純に飲んで「おいしい」と満足している

人のほうが幸せではなかろうか。ワインは口で味合うものであって、耳で聞くものではないし、

ましてや、頭で理解するものにあらず。

「ソムリエ」という呼称について世の中のほとんどの人は間違った認識をしている。あくまで、

職種」であって「資格」ではない。認定試験なるものは確かに存在するが、レストランで

ヴィバレッジ(飲料)サービスを専門で行う人は全員ソムリエである。主に、ワインが中心で

あるが、ワインのみをサービスするわけではない。「ワイン鑑定士」などとは間違っても思わない

で欲しい。ワインの「過去・現在・未来」を的確に判断し、適切なサービスを行い、楽しい

時間を演出するのが仕事であり、お客様に知識を披露したり、ワインの銘柄を当てるのが

仕事ではない。来店していただいたお客様に「ワイングラスをかたむけてるこの時間は幸せ」

と思っていただけるサービスを行うのがソムリエの仕事である。

ソムリエにとってワインは「ラベル」でも「味」でも「値段」でもなく大切なのはお客様が「この

ワインに出会えてよかった」と思ってもらえること。

ワインは「ブランド」ではない。誰もが知っている有名なワインなら、自分で買って家で飲め

ばよい。そのほうがずっと安く飲める。レストランのイメージも大切だが、サイフのダメージの

ほうがもっと大切。お客様の知らない、値ごろ感があり、おいしいワインを提供するのが、

ソムリエの仕事。

ワインリストに100種類載っているとか、何万円のワインがあると自慢しているレストランが

少なからずである。ソムリエというのは組織の中の、一つのポジションにすぎない。

企業から見れば、適切な利益を上げていくらであり、過剰在庫を持て余すソムリエなど

もってのほかである。100人の顧客の好みに合わせて100種類のワインを用意するのなら

ソムリエはいらない。100人の顧客に10種類のワインで対応できるからソムリエである。

初めて訪れるレストランでの無難なワインのオーダーの仕方は「ハウスワインかワインリスト

の2番目に安いワイン」をオーダーするのが無難である。それぞれの店のセンスがたいてい

理解できる。

「ワインはおまかせします」というお客様がいるが、金額はある程度指示しておいたほうが

よいと思う。もし口に出していえないなら、ワインリストの金額欄を指で指して「これぐらい

の価格帯で」と頼めばよい。

   料理の相性を非常に気にする方が多いが「そんなものはない」と覚えておいて欲しい。

確かに「魚に白、肉に赤」といった定石的なものはあるが、夏の暑い日にステーキを食べ

ながら、よく冷えた白ワインが飲みたくなるときだってあるだろう。料理とワインの組み合わせ

は無限にあり、どう組み合わせても自由だ。だからこそ、理由を考えようとして、ハマってしま

うのである。産地、品種、醸造方法によっては、赤ワインより重い白ワインもあるし、白ワイ

より果実味のある赤ワインもある。そういったワインを知らずに料理との相性を決め付けた

はワインの持つ可能性を狭めてしまうことになる。

               次回つづく

                               2005.7.6  伊藤