第42回  Electronic Dictonary
(時代にそぐわない箇所がありましたので、遅まきながら追加・訂正しました。)

 今朝は珍しく早起きしてキーボードを叩いている。早起きのご褒美とでも言おうか、エアコンなしで仕事をしている。部屋の窓を開け放しておくと、わずかながら心地よい西風が入ってくる。このところエアコンの中でばかり仕事をしているので、自然の風を感じながら机に向かっていると新鮮な感じがする。BGMは、アルバム「イマージュ」。知人に勧められて聴き始めたのだが、今はやりの「癒し系」音楽で、確かに気持ちが落ち着き、仕事にも集中できるような気がする。
 
 大学も夏休みに入り、今日は午前中にレッスンを済ませようということになった。
 「電子辞書ってそんなにいいんですか?」なにか珍しいものでも見るように、私の愛用の電子辞書を手にとってヒカリが言う。
 「もちろん。もう、これがなければ始まらないって感じかな。ほんと、学生時代にこれがあったら、もっと能率よく英語を学べたのになって思うよ。調べるのにほんの数秒しかかからないし、複数の辞書間をジャンプできるのが便利だな。実際、机の上に英和、和英、英英と3冊も辞書を広げていたら仕事にならないからね。これには、広辞苑も入っているんだけど、広辞苑なんて一応持ってはいたけど、あの分厚さだろ。見ただけで引くのが億劫になって、ほとんど使ったことがなかったんだ。でも、この電子辞書を買ってから広辞苑のお世話になることがとても多くなったなあ。使用頻度はひょとしたら収録されている辞書の中で一番多いんじゃないかな。恥ずかしながら、広辞苑がこれほど便利なものだとは思わなかったよ。こういった辞書すべてがこの中に入ってるんだから、これは驚きだよね。」
 「そんなに便利なんですか。でも、私が高校のときは電子辞書禁止でしたよ。英語の先生は、『辞書は、時間かけて丁寧に引く作業が大切なんだ』って言ってたし。」とヒカリ。
 「オ・ク・レ・テ・ルなあ、高校は。でも、大学じゃあ勧めてくれるんだろ?」
 「勧めてくれる教授もいるけど、『私の授業では、電子辞書は使うな』っていう先生もいるし・・・。」ブレスがため息混じりに付け足す。
 「ふ〜ん。で、その『電子辞書禁止先生たち』は自分で電子辞書を使ったことがあるのかな。おそらく、ないと思うよ。自分で手間ひまかけて紙の辞書を引かないと語彙力が身につかないとか、辞書を引く作業そのものが英語の勉強だって勘違いしているんだろうな。実際生徒自身も、時間をかけて辞書と奮闘したら『今日はよく勉強した』って気持ちになるんだろうしね。」
 『世の中の動きにもっとも鈍く、柔軟性がないのは教育現場だ』というのはこれまでも繰り返し言われてきたことだが、残念ながら教師の電子辞書に対する認識の低さもまたその事実を裏付けているような気がする。
 「なるほど、そうですよね。辞書を引くっていうのは単なる作業であって、ほんとうの英語の勉強はそこから先。だったら、作業的なことはできるだけ効率よく済ませた方がいいですからね。」

 「電子辞書のよさはよく分かったんだけど、いろんな種類があって、どれを買えばいいのか分からないんですよね。」
 「将来的にはほとんどの学校で一括注文できるようになるから、スクールパックの機種から選べばいいよ。メーカーは、カシオで決まり。」

追記:
 2007年7月現在、電子辞書はここ数年でめざましい進化を遂げ、学校パック用の辞書もかなりの優れものとなっています。プレインストールされている辞書の充実度は言うまでもなく、お好みの辞書ソフトも追加できるし、ペンタッチで検索したり、ボキャビル練習もできます。ネイティブの音声も、見出し語にとどまらず、例文もカバーしてくれそうな勢いです。これで、3万円を切るのですから、元は取れると思います。

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