第40回                          World Cup

 ワールドカップの対ロシア戦で日本が初勝利を収めたが、 レッスンの準備をしながらの観戦だったので、稲本のシュートシーンを見逃してしまった。前回のベルギー戦は、 レッスンが入っていたので観られなかった。ということで、ワールドカップにはあまり縁がないのかなとも思う。
 ロシア戦の後すぐ、いつものようにVOAニュースをチェックしようとノートパソコンを立ち上げると、 メールが一つ入っていた。ロンさんからだった。ロンさんは、5年前にエジンバラでホームステイした家のホストファーザーだ。 典型的なマイホームパパ(homebody father)」で、夕方6時頃に帰宅し、夕食は家族と共にしていたし、週に2度は自慢の腕を振るって夕食を作っていた。 そう言えば先日、ドイツ人女子大生が、「夫婦が家事を分担しているといえる判断基準の一つ」は、 『夫が食事を作っているかどうか』だと言っていたのを思い出した。もちろん、 彼女の父親はちゃんと食事を作っていたという。ごみ捨てや食器のあと片付けだけでは家事を分担していることにならないそうで、 そうなると日本のお父さんはほとんどが不合格ということになりそうだ。
 久しぶりのメールだったので何事かなと思いながら開いて見ると、 なんとたった今終わったばかりの日本対ロシアの試合を観て書かれたものだった。

 Hello Masato, how are you?
I've just finished watching Japan beat Russia 1-0 in the World Cup! Congratulations!
You must be very pleased for your country!

I'm currrently supporting Japan, Korea and Brasil so I hope that one of them win.
How are you and your family?
(中略)
Speak to you soon
Regards Ronnie

 今回ロンさんは、地元のスコットランドチームが出場していないので、日本、韓国、ブラジルを応援しているとのこと。
 メールをのぞき込んでいたブレスが、
 「あれ、どうして同じ国のイングランドチームを応援しないの?」と素朴な疑問をぶつけてくる。
 「ちょっとややこしいかもしれないれど、イギリスという国はイングランド、スコットランド、 ウェールズ、北アイルランドの4つの地域からなっていてね、もともと歴史的・ 人種的・文化的にもそれぞれ独自の特性を持っていた独立国だったんだ。それに、 イングランドと他の3つの地域は絶えず争いを繰り返していたんだ。ブレスは、 メル・ギブソン主演の映画で『ブレイブハート』っていうの観たことある?」
 「はい、ありますけど。」
 「あの映画の中で戦っていたのが、実はスコットランドとイングランドなんだ。 もともとスコットランドは独立した王国だったんだけどイングランドに征服されたという歴史があってね、 たしか議会は別だったし、紙幣のデザインも違うものを使っているくらいお互いに嫌っているんだ。」
 「同じ国なのに。日本人にはわからない複雑な感情があるんですね。」
 「イングランドチームの応援旗って、イギリスのユニオンジャックじゃなかっただろ?」
 「ええ、そう言えば、白地に赤十字だったですよね。」
 「そう。あれがイングランドの旗で聖ジョージ十字と呼ばれるもの。これに、 スコットランドの聖アンドルー十字、アイルランドの聖パトリック十字を組み合わせたものがユニオンジャックなんだ。」
参考文献:英語圏生活・文化情報辞典(学研) 
   
   England
(St. George's Cross)
 Scotland
(St. Andrew's Cross)
 Northern Ireland
(St.Patric's Cross)
Union Jack
  

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